(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】繊維処理剤組成物
(51)【国際特許分類】
D06M 15/233 20060101AFI20230816BHJP
D06M 13/224 20060101ALI20230816BHJP
D06M 13/165 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
D06M15/233
D06M13/224
D06M13/165
(21)【出願番号】P 2018237137
(22)【出願日】2018-12-19
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】藤井 志子
(72)【発明者】
【氏名】玉城 美希
(72)【発明者】
【氏名】大滝 理紗
(72)【発明者】
【氏名】金尾 知樹
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-274499(JP,A)
【文献】特開2006-057199(JP,A)
【文献】特開平06-049773(JP,A)
【文献】特開2000-129578(JP,A)
【文献】特開平05-209369(JP,A)
【文献】特開平05-239774(JP,A)
【文献】特開2007-284815(JP,A)
【文献】特開2006-176919(JP,A)
【文献】特開2004-346464(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0035791(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105696337(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 13/00-15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)重量平均分子量が1万以上100万以下であり、スルホン酸基を有する構成単位が全構成単位の60モル%以上を占めるスルホン酸系重合体(以下、(A)成分という)0.05質量%以上2質量%以下、(B)下記式(b1)で表される化合物(以下、(B)成分という)0.01質量%以上2質量%以下、(D)炭素数2以上4以下の1価アルコール(以下、(D)成分という)1質量%以上15質量%以下、及び水を含有し、
(A)成分が、スルホン酸基を有する構成単位として、スチレンスルホン酸に由来する構成単位を含み、
(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比(A)/(B)が1以上50以下である、
スプレー用衣料処理剤組成物。
R
1b-Z-CH
2CH(OH)CH
2OH (b1)
〔式中、R
1bは炭素数5以上12以下の炭化水素基であり、Zは-O-、又は-C(=O)O-である。〕
【請求項2】
(A)成分が、ポリスチレンスルホン酸又はその塩である、請求項1記載の繊スプレー用衣料処理剤組成物。
【請求項3】
(C)非イオン性界面活性剤(但し(B)成分を除く)(以下、(C)成分という)を0.01質量%以上2質量%以下含有する、請求項1又は2記載のスプレー用衣料処理剤組成物。
【請求項4】
(C)成分が、下記式(c1)で表される化合物である、請求項1~3の何れか1項記載のスプレー用衣料処理剤組成物。
R
1c-Z-[(EO)
s(PO)
t]-R
2c (c1)
〔式(c1)中、R
1cは、炭素数10以上22以下のアルキル基又はアルケニル基であり、R
2cは、水素原子、又は炭素数1以上3以下のアルキル基であり、Zは-O-又は-C(=O)O-であり、EOは、エチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基であり、(EO)と(PO)はランダム付加でもブロック付加でもいずれでもよく、(EO)と(PO)の付加順序は問わない。s及びtは平均付加モル数を示し、tは0以上3以下であり、s+tの合計は5以上15以下である。〕
【請求項5】
(D)成分がエタノールである、請求項1~4の何れか1項記載のスプレー用衣料処理剤組成物。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項記載のスプレー用衣料処理剤組成物をスプレー容器に充填してなる、スプレー用衣料処理剤物品。
【請求項7】
一回あたりの噴霧量が、0.1ml以上3ml以下である、請求項6記載のスプレー用衣料処理剤物品。
【請求項8】
スプレー容器が、トリガー式スプレーヤーを有するスプレー容器である、請求項6又は7記載のスプレー用衣料処理剤物品。
【請求項9】
請求項1~5の何れか1項記載のスプレー用衣料処理剤組成物を衣料に適用する衣料の処理方法。
【請求項10】
前記スプレー用衣料処理剤組成物を、衣料に対して、10質量%以上150質量%以下の量で適用する、請求項9記載の衣料の処理方法。
【請求項11】
前記スプレー用衣料処理剤組成物を噴霧して衣料に適用する、請求項9又は
10記載の衣料の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維処理剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料が着用や洗濯の繰り返しによって、新品時の外観の美しさや風合いを失うことは避けられないと言われている。特にファッション性に優れたニット衣料は、単繊維を甘く撚った糸で構成されていることから、着用や洗濯によって糸を構成する単繊維の位置ずれが発生するため外観変化や風合いの劣化が発生しやすい。即ち、着用者にとって重要とされる衣料の外観美が失われてしまう。このように、衣料が中古化することによりくたびれた外観や風合い変化が生じる。
【0003】
特許文献1には、重合性芳香族系モノマーを必須成分とする1種又は2種以上の重合性モノマーを重合して得たポリマーをスルホン化して得られる重合体又はその塩を含有することで、手軽に衣類に張りを与えることができ、糊付け後の衣類の汚れを普通洗濯により簡単に落とすことができるスプレー型糊剤組成物が開示されている。
特許文献2には、i)特定重量平均分子量のポリ酢酸ビニルの鹸化物、ii)特定重量平均分子量のポリスチレンスルホン酸及びiii)特定重量平均分子量のN-ビニル-2-ピロリドンの重合物から選ばれる水溶性高分子化合物(A)と、4級アンモニウム化合物、3級アミンの無機又は有機の酸塩及びシリコーン化合物から選ばれる柔軟化剤(B)と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型の特定の非イオン性界面活性剤(C)とを、それぞれ特定比率で含有することで、型くずれ、のび、縮み等、劣化した繊維製品の形態を回復させる繊維製品処理剤組成物が開示されている。
特許文献3には、特定の一般式で表されるアルキレンオキサイド付加物(a)を含有することで、繊維製品のしわを除去することができ、特にアイロン等の熱処理を行わなくても、風合いを損なうことなく効果的にしわを除去することができる、しわ除去組成物及びしわ除去方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-49773号公報
【文献】特開2000-129578号公報
【文献】特開2006-104648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、衣料に発生した型崩れを回復させ、また、衣料に望ましい風合い、例えばがさがさとしたごわつきのない風合いを付与する繊維処理剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(A)重量平均分子量が1万以上100万以下であり、スルホン酸基を有する構成単位が全構成単位の60モル%以上を占めるスルホン酸系重合体(以下、(A)成分という)、及び(B)下記式(b1)で表される化合物(以下、(B)成分という)を含有し、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比(A)/(B)が1以上50以下である、繊維処理剤組成物に関する。
R1b-Z-CH2CH(OH)CH2OH (b1)
〔式中、R1bは炭素数5以上20以下の炭化水素基であり、Zは-O-、又は-C(=O)O-である。〕
【0007】
また、本発明は、前記本発明の繊維処理剤組成物をスプレー容器に充填してなる、スプレー用繊維処理剤物品に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、着用や洗濯の繰り返しによって生じた、衣料の型崩れを回復させ、また、衣料に望ましい風合い、例えばがさがさとしたごわつきのない風合いを付与することができる繊維処理剤組成物が提供される。
【0009】
本発明において、衣料の「型崩れ」とは、衣料をハンガーにかけたり着用したりしたときに、布表面にハリ感がなく、表面が波打ってヨレやくたびれ感が生じた状態をいう。
なお、ヨレやくたびれ感は、例えば、新品の衣料と比べて身ごろ、袖口、首周りの形状が伸びたり縮んだりして当初とは異なる長さや形へと変化していることで生じると考えられる。
また本発明において、「風合い」とは、人が素肌で感じる感触的心地よさのことを指し、柔軟性だけでなく、滑り、かさ高さ、弾力性、はり、こし、ぬめり等、他の多種多様の因子が混ざって感知されるものである。これらの因子は、衣料を使用した際の心地良さのベクトルにおいて一定の方向性を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[繊維処理剤組成物]
本発明の繊維処理剤組成物は、(A)重量平均分子量が1万以上100万以下であり、スルホン酸基を有する構成単位が全構成単位の60モル%以上を占めるスルホン酸系重合体((A)成分)と、(B)下記式(b1)で表される化合物とを含有し、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比(A)/(B)が1以上50以下である。本発明の繊維処理剤組成物は、着用や洗濯の繰り返しによって生じた、衣料の型崩れを回復させ、がさがさとしたごわつきのない風合いを付与することができるものである。
R1b-Z-CH2CH(OH)CH2OH (b1)
〔式中、R1bは炭素数5以上20以下の炭化水素基であり、Zは-O-、又は-C(=O)O-である。〕
【0011】
<(A)成分>
本発明の(A)成分は、衣料の型崩れを回復させる観点から、スルホン酸基を有する構成単位が、全構成単位の60モル%以上、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90モル%以上、そして、好ましくは100モル%以下、より好ましくは100モル%を占める。(A)成分のスルホン酸基は塩の形態であってもよい。
【0012】
なお、ここで言う「構成単位」とは、重合体の原料モノマー1モルに相当する構造であり、「スルホン酸基を有する構成単位」は、スルホン酸基を有するモノマー1モルに相当する構造を指し、後述のようにスルホン酸基含有モノマーに由来するものでも、重合後、スルホン化することにより導入されたものでも、いずれでもよい。重合体の全構成単位におけるこれらの構成単位のモル比は、通常、原料モノマーの仕込み量(モル比)から算出できる。
【0013】
また、以下、場合により「~酸又はその塩」を「~酸(塩)」と表記する。例えば、「スルホン酸(塩)」は「スルホン酸又はその塩」を指すものとする。
【0014】
(A)成分は、スルホン酸基を有するビニル系モノマーの1種以上からなる単一重合体または共重合体であってもよく、前記モル比を満たす限り、スルホン酸基を有するビニル系モノマーの1種以上のスルホン酸基を有さないビニル系モノマーの1種以上の共重合体であってもよい。具体的には、以下の方法(イ)または方法(ロ)によって得ることができる。
【0015】
・方法(イ)
スルホン酸基を有するビニル系モノマーをモノマー(A1)とし、またモノマー(A1)と共重合可能であり且つスルホン酸基を有さないビニル系モノマーをモノマー(A2)とするとき、方法(イ)は、モノマー(A1)の1種以上を単一又は共重合するか、或いは1種以上のモノマー(A1)と1種以上のモノマー(A2)とを共重合する方法である。
【0016】
(イ)の方法で用いるモノマー(A1)としては、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スルホプロピルメタクリレート、α-メチルスチレンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、ビニルナフタレンスルホン酸、インデンスルホン酸及びこれらの塩等が挙げられる。(イ)の方法で用いるモノマー(A2)としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレン、プロピレン、n-ブテン、イソブテン、ペンテン、イソプレン、2-メチル-1-ブテン、n-ヘキセン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、2-エチル-1-ブテン、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、インデン、ブタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの塩、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、スチレンが好ましく、さらに(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びこれらの塩、スチレンが好ましい。本発明において「(メタ)」とは「メタ」のつく化合物と「メタ」のつかない化合物の両方を意味しており、例えば(メタ)アクリル酸の場合、メタアクリル酸(メタクリル酸ともいう)とアクリル酸の両方を意味するものとする。(イ)の方法において、1種以上のモノマー(A1)のみからなる単一または共重合体としては、ポリスチレンスルホン酸(塩)が好ましく、またモノマー(A1)とモノマー(A2)とを共重合させて共重合体を得る場合の組み合わせとしては、スチレンスルホン酸とアクリル酸、スチレンスルホン酸とスチレン、アリルスルホン酸とアクリル酸の組み合わせが好ましい。
【0017】
・方法(ロ)
スルホン酸基を有しないが、重合後スルホン化することが可能なビニル系モノマーをモノマー(A1’)とし、モノマー(A1’)と共重合可能な他のビニル系モノマーをモノマー(A3)とするとき、方法(ロ)は、1種以上のモノマー(A1’)を単一重合又は共重合した後スルホン化するか、1種以上のモノマー(A1’)と1種以上のモノマー(A3)とを共重合した後にスルホン化する方法である。
【0018】
(ロ)の方法で用いるモノマー(A1’)としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、インデン等を挙げることができ、これらの中でもスチレンが好ましい。(ロ)の方法で用いるモノマー(A3)としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレン、プロピレン、n-ブテン、イソブテン、ペンテン、イソプレン、2-メチル-1-ブテン、n-ヘキセン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、2-エチル-1-ブテン、ブタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。(ロ)の方法において、重合体のスルホン化は例えば下記の方法によって行うことができる。まず、モノマー(A1’)の単一又は共重合体又はモノマー(A1’)とモノマー(A3)の共重合体、例えばポリスチレン、スチレン・エチレン共重合体、スチレン・ジイソブテン共重合体、スチレン・ビニルトルエン共重合体、α-メチルスチレン・インデン共重合体を得る。
【0019】
これらの中でもポリスチレンが好ましい。次に得られたポリマーを常法により、無水硫酸、クロルスルホン酸、無水硫酸・ルイス塩基錯体等のスルホン化剤を用いてスルホン化することによって、最終的にスルホン酸基が導入された重合体を得ることができる。なお、このような後からスルホン化することによって得られる(A)成分の場合、前記モル比率は、スルホン化された部位を有するモノマー(A1’)を構成単位として求められる。
【0020】
(A)成分は、十分な型崩れ回復効果を得る観点から、重量平均分子量が1万以上、好ましくは5万以上、そして、100万以下、好ましくは80万以下である。(A)成分の重量平均分子量が5万以上であれば十分な型崩れ回復効果がより得られる。なお、(A)成分の重量平均分子量は、ポリエチレングリコール(以下、PEGと示す)を標準物質とした場合の重量平均分子量であり、ゲル浸透式液体クロマトグラフィ(以下、GPCと示す)法で測定される。
【0021】
本発明の(A)成分は、市販の重合体を使用してもよい。例えばスチレンスルホン酸(塩)の構成単位を有する重合体が、東ソー・ファインケム(株)よりPS-5、PS-50、PS-100として市販されており、本発明ではこれらを用いても優れた効果を得ることができる。
【0022】
(A)成分は、異なる重合方法によって得られた重合体や異なる重量平均分子量の重合体を任意の割合で混合して使用することもできる。上記の重合体もしくは共重合体の製造にあたっては、スルホン酸は酸もしくは塩のいずれを用いて重合してもよいし、重合後に中和によって塩としてもよい。(A)成分の塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニア、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアミン類の塩、テトラエチルアンモニウム、セチルピリジニウム等の4級アンモニウム塩等の化合物を単独又は混合して使用できる。中でもナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩が好ましい。
【0023】
本発明の繊維処理剤組成物は、(A)成分を、衣料の型崩れを回復させる観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、そして、風合いの観点から好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下含有する。
【0024】
<(B)成分>
本発明の(B)成分は、下記式(b1)で表される化合物である。(B)成分は、(A)成分と併用することで、ごわつきのない風合いを付与できる。
R1b-Z-CH2CH(OH)CH2OH (b1)
〔式中、R1bは炭素数5以上20以下の炭化水素基であり、Zは-O-、又は-C(=O)O-である。〕
【0025】
上記式(b1)において、(A)成分との併用時におけるごわつきのない風合い付与の観点から、R1bは、好ましくは炭素数6以上、より好ましくは7以上、更に好ましくは8以上、そして、好ましくは炭素数18以下、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下、より更に好ましくは12以下、より更に好ましくは10以下である。また、R1bの炭化水素基は、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又は直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基が挙げられる。
上記式(b1)において、Zは、-O-又は-C(=O)O-であり、好ましくは-O-である。
【0026】
本発明の繊維処理剤組成物は、(B)成分を、ごわつきのない風合いを付与する観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上、そして、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下含有する。
【0027】
本発明の繊維処理剤組成物は、(A)成分の含有量と(B)成分の含有量の質量比(A)/(B)が、型崩れ回復性と風合いの両立の観点から、1以上、好ましくは2以上、より好ましくは5以上、そして、50以下、好ましくは40以下、より好ましくは30以下である。
【0028】
<(C)成分:非イオン性界面活性剤>
本発明の繊維処理剤組成物は、(A)成分に対する(B)成分の風合い付与効果を高める観点から、(C)成分として、非イオン性界面活性剤(但し(B)成分を除く)を含有することが好ましい。前記非イオン性界面活性剤は、特に制限はないが、例えば、下記(1)~(8)が挙げられる。
(1)炭素数8以上18以下の第1級又は第2級アルコールにエチレンオキシド(以下、「EO」ともいう)及び/又はプロピレンオキシド(以下、「PO」ともいう)を平均6モル以上18モル以下付加したポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル、
(2)平均炭素数6以上12以下のアルキル基を有するアルキルフェノールに、EOを平均6モル以上20モル以下付加したポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
(3)炭素数8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪酸に、EO及び/又はPOを平均6モル以上18モル以下付加したポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、
(4)炭素数8以上18以下のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪酸が1モル以上3モル以下エステル結合したソルビタン脂肪酸エステル又はグリセリン脂肪酸エステルに、EO及び/又はPOを平均6モル以上30モル以下付加したポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル又はポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、もしくはEO及び/又はPOを平均6モル以上80モル以下付加したポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、
(5)ヒマシ油又は硬化ヒマシ油に、EO及び/又はPOを平均6モル以上80モル以下付加したポリオキシアルキレンヒマシ油又は硬化ヒマシ油、
(6)POとプロピレングリコールとの縮合物にEOを付加したもの(プルロニック型界面活性剤)、
(7)POとエチレンジアミンとの縮合物にEOを付加したもの(テトロニック型界面活性剤)、
(8)アルキル又はアルケニルジエタノールアマイド、アルキルアミン又はアルキルジメチルアミン、アルケニルアミン又はアルケニルジメチルアミン、炭素数10以上20以下のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルアミン又はアルケニルアミンにEO及び/又はPOを平均2モル以上40モル以下付加したポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルアミン
【0029】
(C)成分としては、風合い付与効果を高める観点から、下記式(c1)で表される化合物が好ましい。
R1c-Z-[(EO)s(PO)t]-R2c (c1)
〔式(c1)中、R1cは、炭素数10以上22以下のアルキル基又はアルケニル基であり、R2cは、水素原子、又は炭素数1以上3以下のアルキル基であり、Zは-O-又は-C(=O)O-であり、EOは、エチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基であり、(EO)と(PO)はランダム付加でもブロック付加でもいずれでもよく、(EO)と(PO)の付加順序は問わない。s及びtは平均付加モル数を示し、tは0以上3以下であり、s+tの合計は5以上15以下である。〕
【0030】
上記式(c1)において、R1cは、風合い付与効果を高める観点から、好ましくは炭素数10以上16以下、より好ましくは炭素数10以上14以下のアルキル基又はアルケニル基、更に好ましくは炭素数10以上14以下の直鎖アルキル基である。
上記式(c1)において、R2cは、好ましくは水素原子、又は炭素数1以上2以下のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又はメチル基であり、更に好ましくは水素原子である。
上記式(c1)において、Zは、好ましくは-O-である。
上記式(c1)において、tは、3以下、好ましくは2以下であり、また0であってもよい。
上記式(c1)において、s+tの合計は、5以上、好ましくは6以上、そして、15以下、好ましくは14以下である。
【0031】
式(c1)で表される化合物としては、ポリオキシエチレン(sは5以上12以下、tは0である。)モノアルキル(炭素数12以上14以下の1級の直鎖アルキル基)エーテル、ポリオキシエチレン(sは5以上12以下、tは0である。)モノアルキル(炭素数12以上14以下の2級の直鎖アルキル基)エーテル、及びラウリン酸ポリオキシエチレン(sは6以上13以下、tは0である。)メチルエーテルから選ばれる1種以上が好ましく、ポリオキシエチレン(sは5以上12以下、tは0である。)ラウリルエーテル、及びポリオキシエチレン(sは5以上12以下、tは0である。)モノアルキル(炭素数12以上14以下の2級の直鎖アルキル基)エーテルから選ばれる1種以上がより好ましい。
【0032】
本発明の繊維処理剤組成物が(C)成分を含有する場合、その含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、そして、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
【0033】
本発明の繊維処理剤組成物が(C)成分を含有する場合、(A)成分の含有量と(C)成分の含有量の質量比(A)/(C)が、型崩れ回復性と風合いの両立の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは5以上、そして、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下、より更に好ましくは25以下である。
【0034】
また、本発明の繊維処理剤組成物が(C)成分を含有する場合、(B)成分の含有量と(C)成分の含有量との質量比(B)/(C)は、(B)成分の風合い付与効果を高める観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1以上であり、そして、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、より更に好ましくは2以下である。
【0035】
<(D)成分:溶剤>
本発明の繊維処理剤組成物は、品質安定性の観点から、(D)成分として、溶剤を含有することができる。(D)成分としては、炭素数2以上4以下の1価アルコール(例えば、エタノール等)、1分子の総炭素数が2以上12以下であり、2価以上6価以下の多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等)、又は前記アルコールのアルキル(炭素数1以上6以下)エーテル誘導体が挙げられる。(D)成分は、組成物の保存安定性の点から、前記1価アルコール及び前記多価アルコールから選ばれる1種以上が好ましく、エタノール、ジエチレングリコール、及びジプロピレングリコールから選ばれる1種以上がより好ましい。
【0036】
本発明の繊維処理剤組成物が(D)成分を含有する場合、その含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0037】
<その他の成分>
本発明の繊維処理剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、更に、(B)成分及び(C)成分以外の界面活性剤、(D)成分以外の溶剤、硫酸ナトリウム等の塩、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、染料、顔料、紫外線吸収剤等の他の成分を添加することができる。
【0038】
<物性等>
本発明の繊維処理剤組成物の25℃におけるpHは、品質安定性の観点から、好ましくは4.0以上、より好ましくは4.5以上、そして、好ましくは9.0以下、より好ましくは8.0以下である。本発明の繊維処理剤組成物のpHは、塩酸又はクエン酸等の酸、又は水酸化ナトリウム等のアルカリを添加することにより調整することもできる。繊維処理剤組成物のpHは実施例に記載の方法で測定した値である。
【0039】
本発明の繊維処理剤組成物の25℃における粘度は、スプレー容器での噴霧適性の観点から、好ましくは20mPa・s以下、より好ましくは15mPa・s以下、更に好ましくは10mPa・s以下であり、そして、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは1.5mPa・s以上、更に好ましくは2mPa・s以上である。
本発明の繊維処理剤組成物において、25℃における粘度が10mPa・s以下であると噴霧パターンがより適正となる。
粘度は、東京計器株式会社製、B型粘度計(モデル形式BM)に、No.1のローターを取り付け、繊維処理剤組成物を200mL容量のガラス製トールビーカーに充填し、ウォーターバスにて25±0.3℃に調製し、ローターの回転数を60r/minに設定し、測定を始めてから60秒後の指示値である。
【0040】
本発明の繊維処理剤組成物は、(A)成分と、(B)成分とを、(A)成分の配合量と(B)成分の配合量の質量比(A)/(B)が1以上50以下となるように配合してなる、繊維処理剤組成物であってよい。
【0041】
本発明の繊維処理剤組成物は、水を含有することが好ましい。水を含有する液体組成物であることが好ましい。本発明の繊維処理剤組成物は、(A)成分、(B)成分及び水を配合してなることが好ましい。使用する水は、蒸留水や脱イオン水等のイオン成分を除去したものが好ましい。
本発明の繊維処理剤組成物に水を含有する場合、組成物中の水の含有量は、衣料の型崩れを回復させる観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは99.99質量%以下、より好ましくは99.9質量%以下である。
【0042】
本発明の繊維処理剤組成物はスプレー用であることが好ましい。本発明の繊維処理剤組成物を、スプレー容器に充填して用いることができる。
【0043】
<繊維処理剤組成物の製造方法>
本発明は、(A)成分と、(B)成分と、水とを混合する液体繊維処理剤組成物の製造方法であって、(A)成分と(B)成分とを、(A)成分の混合量と(B)成分の混合量の質量比(A)/(B)が1以上50以下となるように混合する、液体繊維処理剤組成物の製造方法を提供する。本発明の繊維処理剤組成物の製造方法では、任意に(C)成分、(D)成分を混合できる。
本発明の繊維処理剤組成物の製造方法には、本発明の繊維処理剤組成物で述べた事項を適宜適用することができる。その際、本発明の繊維処理剤組成物における各成分の含有量は、混合量に置き換えて適用することができる。
これら本発明の繊維処理剤組成物の製造方法に用いられる(A)成分、(B)成分、並びにその他の成分の具体例及び好ましい態様は、それぞれ、本発明の繊維処理剤組成物で述べたものと同じである。
【0044】
[スプレー用繊維処理剤物品]
本発明のスプレー用繊維処理剤物品は、前記繊維処理剤組成物をスプレー容器に充填してなるものである。
本発明のスプレー用繊維処理剤物品には、本発明の繊維処理剤組成物及びその製造方法で述べた事項を適宜適用することができる。本発明のスプレー用繊維処理剤物品に用いられる(A)成分、(B)成分、並びにその他の成分の具体例及び好ましい態様は、それぞれ、本発明の繊維処理剤組成物で述べたものと同じである。
【0045】
本発明の繊維処理剤組成物は、水を含有する霧状噴霧型(ミストタイプ)用であることが好ましく、これをスプレー容器に充填し、一回の噴霧量を0.1ml以上3ml以下に調整したものが好ましい。使用するスプレー容器としては、トリガースプレー容器(直圧あるいは蓄圧型)やディスペンサータイプのポンプスプレー容器、耐圧容器を具備したエアゾールスプレー容器等が挙げられる。性能を効果的に発現するために、トリガー式スプレーヤーあるいはエアゾールスプレーヤーを具備するスプレー容器が好ましく、本発明においては、容器を繰り返し使用することができる観点、耐久性や布付着性の観点から、トリガー式スプレーヤーを有するスプレー容器がより好ましい。
【0046】
スプレー容器としては、噴射口から噴射方向に10cm離れた地点における噴霧液滴の平均粒径が10μm以上200μm以下となり、噴射口から噴射方向に15cm離れた地点における粒径200μmを超える液滴の数が噴霧液滴の総数の1%以下となり、噴射口から噴射方向に10cm離れた地点における粒径10μm未満の液滴の数が噴霧液滴の総数の1%以下となる噴霧手段を備えたものが好ましい。噴霧液滴の粒子径分布は体積平均粒子径であり、例えば、レーザー回折式粒度分布計(日本電子株式会社製)により測定することができる。
【0047】
本発明の繊維処理剤組成物及びスプレー用繊維処理剤物品は、繊維製品用として好適であり、かかる繊維処理剤組成物は、噴霧により繊維製品に付着させて、衣料の型崩れ回復効果とごわつきのない風合いを付与することができる。前記繊維処理剤組成物はこの方法に好適に用いられる。すなわち、本発明の繊維処理剤組成物は、スプレー用繊維処理剤物品として使用することがより好ましい。繊維製品としては、ワイシャツやブラウス等の布帛系衣料、カーディガンやデザインカットソー、Tシャツ等のニット系衣料のトップス全般及び、パンツ、スカート等のボトムス全般に使用することができる。
【0048】
[繊維製品の処理方法]
本発明は、本発明の繊維処理剤組成物を繊維製品に適用する繊維製品の処理方法を提供する。
本発明の繊維製品の処理方法には、本発明の繊維処理剤組成物及びその製造方法並びにスプレー用繊維処理剤物品で述べた事項を適宜適用することができる。本発明の繊維製品の処理方法に用いられる(A)成分、(B)成分、並びにその他の成分の具体例及び好ましい態様は、それぞれ、本発明の繊維処理剤組成物で述べたものと同じである。
【0049】
本発明の繊維製品の処理方法では、本発明の繊維処理剤組成物を繊維製品に接触させることが好ましい。本発明の繊維処理剤組成物を、噴霧、塗布、浸漬及びこれらの組み合わせにより、繊維製品に適用、更に接触させることがより好ましい。噴霧、塗布、浸漬は、それぞれ、液体組成物を繊維製品に適用する公知の方法、手段を採用して行うことができる。本発明の繊維製品の処理方法では、本発明の繊維処理剤組成物を繊維製品に噴霧することが好ましい。噴霧には前記のような本発明のスプレー用繊維処理剤物品を用いることが好ましい。
【0050】
本発明の繊維製品の処理方法では、洗濯乾燥後、使用後などの、型崩れが生じた状態及び/又は風合いが低下した状態にある繊維製品を対象とすることができる。
【0051】
本発明の繊維製品の処理方法では、本発明の繊維処理剤組成物を、繊維製品に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは150質量%以下、より好ましくは100質量%以下、更に好ましくは50質量%以下の量で適用することが好ましい。
【0052】
本発明の繊維処理剤組成物を、噴霧などで適用した繊維製品は、乾燥させて、アイロン掛けなどの更なる処理を行ってもよい。
【実施例】
【0053】
実施例及び比較例で用いた各配合成分をまとめて以下に示す。
【0054】
<(A)成分>
(A-1):ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PS-5、東ソー・ファインケム(株)製)(重量平均分子量90,000)
(A-2):ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PS-50、東ソー・ファインケム(株)製)(重量平均分子量350,000)
(A-3):ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PS-100、東ソー・ファインケム(株)製)(重量平均分子量600,000)
【0055】
<(B)成分>
(B-1):一般式(b1)中のR1bが2-エチルヘキシル基、Zが-O-である化合物
(B-2):一般式(b1)中のR1bが炭素数7の直鎖アルキル基、Zが-C(=O)O-である化合物
【0056】
<その他の成分>
(C-1):ポリオキシエチレン(平均付加モル数8)ラウリルエーテル
(D-1):エタノール
【0057】
実施例1~11、及び比較例1~5
表1に示す配合にしたがって繊維処理剤組成物を調製した。なお、繊維処理剤組成物は、1規定の塩酸又は1規定の水酸化ナトリウムを用いて、25℃におけるpHが7.0になるように調整した。なお、pHについては、下記の測定方法により測定した。
【0058】
<pHの測定方法>
pHの測定で使用したpH測定装置及びpH標準液を下記に示す。
〔pH標準液〕
下記に示すpH標準液(株式会社堀場製作所製)を用いた。
・pH標準液100-4(フタル酸塩標準液、精度;±0.02pH)
・pH標準液100-7(中性りん酸塩標準液、精度;±0.02pH)
・pH標準液100-9(ホウ酸塩標準液、精度;±0.02pH)
〔pH測定装置〕
・pHメータ:D-52S(株式会社堀場製作所製)
・pH電極:6367-10D(株式会社堀場製作所製)
pH測定装置は、未使用のpH電極を用い、電極を予め25℃±0.2℃のイオン交換水に24時間浸しておいたものを使用した。ゼロ校正とスパン校正は、上記に記載のpH標準液を用いて、25℃におけるpHの指示値が、標準pH±0.02になるまで繰り返し校正を行った。
【0059】
<試験布の調製と処理方法>
T/C天竺(ニット)布(綿50質量%、ポリエステル50質量%、MVSカラーTOP天竺、サックスモク、双日ファッション(株)製)の反物を180cm×120cmに裁断したものを6枚(2kg)を市販の液体洗剤(花王(株)製のアタックバイオジェル(登録商標)、2017年製)を用いて全自動洗濯機(日立アプライアンス(株)製、NW-7FT)で5回繰り返し洗濯した(洗剤濃度0.083質量%、水道水(20℃)40L使用、標準コース(洗濯9分-すすぎ2回-脱水6分)、浴比1/20)。
洗濯したT/Cニット布を25℃/40%RHの環境下で12時間乾燥させて6cm×6cm角に裁断した試験布(X1)及び、10cm×20cm角に裁断した試験布(X2)を得た。この様にして調製した試験布は、布の端が巻き上がり(カーリングという場合もある)、洗濯を行っていない布と比較して平面を保てない状態になっている。
次いで、表1に示す繊維処理剤組成物を、トリガー式スプレーヤーを用いて、試験布(X1)及び、試験布(X2)重量に対し50質量%になるように均一にスプレーし、25℃/40%RHの環境下で12時間乾燥させた。乾燥後、処理した試験布(X1)を試験布(X3)、処理した試験布(X2)を試験布(X4)とした。
【0060】
<型崩れ回復性の評価法>
表1に示す実施例1~11、比較例1~5の繊維処理剤組成物で処理した各試験布(X3)のカーリング等の型崩れからの回復性を、以下の基準サンプル1、3と比較して下記判定基準にて得点をつけて平均点を求めることにより評価した。なお、評価はT/C天竺布や衣類の外観状態の変化を判断するのによく訓練された専門評価者5名により評価判定した。基準サンプル1は、未処理の前記T/C天竺布を、前記の全自動洗濯機を使用して、前記のように洗剤で5回洗濯した後に、さらに洗剤なしで前記と同様の方法で2回洗濯を繰り返すことによって劣化した状態になったものを使用した。
型崩れ回復性効果としては2.0以上が合格であり、好ましくは2.5以上、より好ましくは3.0である。
【0061】
〔基準サンプル〕
基準サンプル1:未処理で型崩れしている前記T/C天竺布(X1)
基準サンプル3:比較例1の試験布(X3)
基準サンプル1は強く型崩れがあり、基準サンプル3は型崩れの回復性があった。
【0062】
〔判定基準〕
0 :基準サンプル1の試験布と同等の外観で、強い型崩れがあり、型崩れ回復性がない。
1.0:基準サンプル1の試験布より、やや型崩れが少ないが、型崩れ回復性は低い。
2.0:基準サンプル1の試験布より型崩れが少なく、やや型崩れ回復性がある。
2.5:基準サンプル3の試験布より、やや型崩れが残っているが、型崩れ回復性がある。
3.0:基準サンプル3の試験布と同等の外観で、明らかに型崩れ回復性がある。
【0063】
<風合いの評価法>
表1に示す実施例1~11、比較例1~5の繊維処理剤組成物で処理した各試験布(X4)の風合いを以下の基準サンプル2、4と比較して下記判定基準にて得点をつけて平均点を求めることにより評価した。なお、評価はT/C天竺布や衣類の風合いの変化を判断するのによく訓練された専門評価者5名により評価判定した。
風合いとしては2.0以上が合格であり、好ましくは2.5以上、より好ましくは3.0である。
【0064】
〔基準サンプル〕
基準サンプル2:未処理の前記T/C天竺布(X2)
基準サンプル4:比較例1の試験布(X4)
基準サンプル4はごわつきがあり、基準サンプル2はごわつきがなかった。
【0065】
〔判定基準〕
0 :基準サンプル4の試験布と同等の風合いで、ごわつく。
1.0:基準サンプル4の試験布より、ややごわつきが少ない。
2.0:基準サンプル4の試験布よりごわつきが少なく、ごわつきはあまりない。
2.5:基準サンプル2の試験布よりやや風合いの違いを感じるが、ごわつきはない。
3.0:基準サンプル2の試験布と同等の風合いで、明らかにごわつきがない。
【0066】