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特許7332314スライディングノズルプレート及びスライディングノズルプレートの金属帯の再使用方法
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  • 特許-スライディングノズルプレート及びスライディングノズルプレートの金属帯の再使用方法 図1
  • 特許-スライディングノズルプレート及びスライディングノズルプレートの金属帯の再使用方法 図2
  • 特許-スライディングノズルプレート及びスライディングノズルプレートの金属帯の再使用方法 図3
  • 特許-スライディングノズルプレート及びスライディングノズルプレートの金属帯の再使用方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】スライディングノズルプレート及びスライディングノズルプレートの金属帯の再使用方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 41/28 20060101AFI20230816BHJP
   B22D 41/34 20060101ALI20230816BHJP
   B22D 11/10 20060101ALI20230816BHJP
   C21C 5/46 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
B22D41/28
B22D41/34 510
B22D11/10 340D
C21C5/46 103B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019061235
(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2020157357
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000170716
【氏名又は名称】黒崎播磨株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瓦田 幸司
【審査官】藤長 千香子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第00/023215(WO,A1)
【文献】米国特許第05020703(US,A)
【文献】特開2014-161880(JP,A)
【文献】特開平01-284474(JP,A)
【文献】特開平11-197823(JP,A)
【文献】国際公開第2012/133181(WO,A1)
【文献】実開昭61-049670(JP,U)
【文献】特開2015-193032(JP,A)
【文献】実開平06-009748(JP,U)
【文献】実開昭54-131515(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/10
B22D 41/30
B22D 41/34
B22D 41/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐火物から成る本体部の側部外周に金属帯を備えるスライディングノズルプレートの前記本体部と前記金属帯との間の全周に亘り空間が存在し,かつ,前記本体部と前記金属帯とが相互に接合されていないスライディングノズルプレートにおいて,
前記本体部と前記金属帯とを相互に固定する部材(以下単に「固定部材」という。)が前記空間の一部又は全部に着脱可能な状態で設置されている,スライディングノズルプレート。
【請求項2】
耐火物から成る本体部の側部外周に金属帯を備えると共に前記金属帯の側部外周に金属ケースを備えるスライディングノズルプレートの,前記本体部と前記金属帯との間,若しくは,前記金属帯と前記金属ケースとの間のいずれか一方又は両方の全周に亘り空間が存在し,かつ,前記本体部と前記金属帯,若しくは,前記金属帯と前記金属ケースのいずれか一方又は両方が相互に接合されていないスライディングノズルプレートにおいて,
前記本体部と前記金属帯,若しくは,前記金属帯と前記金属ケースのいずれか一方又は両方を相互に固定する部材(以下単に「固定部材」という。)が前記空間の一部又は全部に着脱可能な状態で設置されている,スライディングノズルプレート。
【請求項3】
前記固定部材は金属製又は無機物製である,請求項1又は請求項2に記載のスライディングノズルプレート。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載のスライディングノズルプレートを鋼の鋳造に使用した後,当該スライディングノズルプレートの本体部(以下「使用済み本体部」という。)を前記本体部と共に使用した後の金属帯(以下「使用済み金属帯」という。)から取り外し,前記使用済み金属帯よりも側部方向の外形を小さく形成した未使用の本体部を前記使用済み金属帯との間の少なくとも一部を固定する固定部材を介して前記使用済み金属帯に装着して,鋼の鋳造に使用する,スライディングノズルプレートの金属帯の再使用方法。
【請求項5】
請求項2又は請求項3に記載の金属ケースを含むスライディングノズルプレートを鋼の鋳造に使用した後,使用済み本体部を含む使用済み金属帯を,これらと共に使用した金属ケース(以下「使用済み金属ケース」という。)から取り外し,未使用の本体部を含む前記使用済み金属帯を,前記使用済み金属ケースとの間の少なくとも一部を固定する固定部材を介して前記使用済み金属ケースに装着して,鋼の鋳造に使用する,スライディングノズルプレートの金属帯の再使用方法。
【請求項6】
鋼の鋳造に使用した後の前記スライディングノズルプレートは,前記本体部の成形時に前記金属帯を成形用枠に設置し,成形用坏土と共に同時成形した一体的構造である請求項又は請求項5に記載のスライディングノズルプレートの金属帯の再使用方法。
【請求項7】
鋼の鋳造に使用した後の前記スライディングノズルプレートは,前記本体部を成形後に,焼嵌め,又は,巻き付けと溶接のいずれかの方法により前記金属帯を前記本体部に設置した一体的構造である,請求項又は請求項5に記載のスライディングノズルプレートの金属帯の再使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,溶融金属容器から溶融金属を排出する際の流量を制御するスライディングノズル装置に使用されるスライディングノズルプレート及びスライディングノズルプレートの金属帯の再使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スライディングノズル装置は,貫通する内孔を有する複数枚のスライディングノズルプレートを中心的な構成要素とする溶融金属の流量等を制御するための装置であり,具体的には,2枚又は3枚の独立したスライディングノズルプレートを相対的に摺動させて,これらスライディングノズルプレートの内孔が重なって生じる開孔部分の面積を変えることにより溶融金属の流量を制御する。
【0003】
スライディングノズルプレートは,その内孔付近が溶融金属の融点以上の高温に曝され,また,繰り返して使用されるので前記高温域と大気温度域の間で,大きな温度変化を受ける等,耐火材料にとって苛酷な条件で使用される。また,スライディングノズルプレートは,スライディングノズルプレートの摺動面間から溶融金属の漏れや空気の巻き込みが生じないように,摺動面間には高い圧力が負荷されると共に,スライディングノズル装置内部でズレや破壊等を生じないように,側部方向(特に摺動方向)からも強力に拘束ないし固定される。
【0004】
このようにスライディングノズルプレートには摺動面間でスライディングノズルプレート相互を圧着する方向(以下「縦方向」ともいう)の圧力に加え,前記縦方向に対し垂直の方向(以下「横方向」ともいう)からも,その横方向位置を固定するため強い圧力が付加される。
【0005】
スライディングノズルプレートの本体部は耐火物から成り,このような強い力で拘束されることと,高温及び急冷等の過酷な熱的条件に曝されることから,亀裂その他の破壊(以下単に「破壊等」ともいう。)が生じ易い。
このようなスライディングノズルプレートの破壊等を防止するため,特許文献1の背景技術に記されているように,耐火物からなる本体部の側部外周に金属帯(フープ)を設置することが一般的である。また特許文献1にはスライドゲート用プレート(スライディングノズルプレートと同じ。)の強度の向上及び拘束力の均一化を目的に,フープの内周面に全周に亘り設けられた空間部と,この空間部に連通し前記フープとプレート本体間に存在する間隙に空間部を介して充填された充填材と,この充填材を空間部に注入するためフープに設けられた注入孔とを有するスライドゲート用プレートが開示されている。
【0006】
一方,特許文献2には,プレート(スライディングノズルプレートと同じ。)の背面部に設けた嵌合凸部又は嵌合凹部を,プレート収納金枠に設けた嵌合凹部又は嵌合凸部に嵌め合わせる凹凸嵌合方式において,嵌合凸部と嵌合凹部との位置合わせを精度良くしかも容易に行うことを目的として,プレートの摺動方向両端部に係合部を延長して設けると共に,プレート収納金枠に,前記係合部が係合する受け部を設けたプレートの固定構造が開示されている。すなわち,特許文献2には,背面板と金属帯とが一体になったプレート構造と,その構造のプレートをプレート収納金枠に固定する方法が開示されている。
【0007】
また,特許文献3には,固定プレート(スライディングノズルプレートと同じ。)あるいは非摺動面を持った摺動プレート(スライディングノズルプレートと同じ。)を金枠から容易に取外しあるいは装着でき,且つ,鋳造後の温度が高いときも安定して交換作業をできるようにすることを目的として,プレートの摺動面の裏面のメタルケースに切り込みを形成し,前記金枠にこの切り込みと嵌め合う突起を設けたことを特徴とするスライディングノズル装置におけるプレートの金枠への固定構造が開示されており,さらに耐火物からなる本体部は前記メタルケースにモルタルで設置することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平11-221665号公報
【文献】国際公開第2012/133181号
【文献】特開平9-122898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のようにスライディングノズルプレートは,破壊防止又は固定精度を高める等の目的で,耐火物から成る本体部の側部外周に金属帯を設置し,又はさらに金属帯の側部外周に金属ケースを設置して,耐火物から成る本体部を強固に固定する。
耐火物から成る本体部を金属帯や金属ケースに強固に固定する構造・方法により製造されたスライディングノズルプレートでは,スライディングノズルプレート交換時には耐火物から成る本体部を金属帯や金属ケースから取り外す際に変形や破壊を生じ易いこともあって,金属帯や金属ケースは,耐火物から成る本体部と共に廃棄せざるを得ない。このような金属帯や金属ケースの廃棄はスライディングノズルプレートのコストを高める一因となっている。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は,スライディングノズルプレートの耐火物から成る本体部を,その側部外周に設置する金属帯や金属ケースに容易に取り付けることができ,かつ,容易に取り外すことができる構造を提供し,さらには金属帯や金属ケースの再利用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は,次の1からに記載のスライディングノズルプレート及びその金属帯の再使用方法である。
1.
耐火物から成る本体部の側部外周に金属帯を備えるスライディングノズルプレートの前記本体部と前記金属帯との間の全周に亘り空間が存在し,かつ,前記本体部と前記金属帯とが相互に接合されていないスライディングノズルプレートにおいて,
前記本体部と前記金属帯とを相互に固定する部材(以下単に「固定部材」という。)が前記空間の一部又は全部に着脱可能な状態で設置されている,スライディングノズルプレート。
2.
耐火物から成る本体部の側部外周に金属帯を備えると共に前記金属帯の側部外周に金属ケースを備えるスライディングノズルプレートの,前記本体部と前記金属帯との間,若しくは,前記金属帯と前記金属ケースとの間のいずれか一方又は両方の全周に亘り空間が存在し,かつ,前記本体部と前記金属帯,若しくは,前記金属帯と前記金属ケースのいずれか一方又は両方が相互に接合されていないスライディングノズルプレートにおいて,
前記本体部と前記金属帯,若しくは,前記金属帯と前記金属ケースのいずれか一方又は両方を相互に固定する部材(以下単に「固定部材」という。)が前記空間の一部又は全部に着脱可能な状態で設置されている,スライディングノズルプレート。
3.
前記固定部材は金属製又は無機物製である,前記1又は前記2に記載のスライディングノズルプレート。
4.
前記1から前記のいずれか1項に記載のスライディングノズルプレートを鋼の鋳造に使用した後,当該スライディングノズルプレートの本体部(以下「使用済み本体部」という。)を前記本体部と共に使用した後の金属帯(以下「使用済み金属帯」という。)から取り外し,前記使用済み金属帯よりも側部方向の外形を小さく形成した未使用の本体部を前記使用済み金属帯との間の少なくとも一部を固定する固定部材を介して前記使用済み金属帯に装着して,鋼の鋳造に使用する,スライディングノズルプレートの金属帯の再使用方法。
5.
前記2又は前記3に記載の金属ケースを含むスライディングノズルプレートを鋼の鋳造に使用した後,使用済み本体部を含む使用済み金属帯を,これらと共に使用した金属ケース(以下「使用済み金属ケース」という。)から取り外し,未使用の本体部を含む前記使用済み金属帯を,前記使用済み金属ケースとの間の少なくとも一部を固定する固定部材を介して前記使用済み金属ケースに装着して,鋼の鋳造に使用する,スライディングノズルプレートの金属帯の再使用方法。
6.
鋼の鋳造に使用した後の前記スライディングノズルプレートは,前記本体部の成形時に前記金属帯を成形用枠に設置し,成形用坏土と共に同時成形した一体的構造である前記又は前記に記載のスライディングノズルプレートの金属帯の再使用方法。
7.
鋼の鋳造に使用した後の前記スライディングノズルプレートは,前記本体部を成形後に,焼嵌め,又は,巻き付けと溶接のいずれかの方法により前記金属帯を前記本体部に設置した一体的構造である,前記又は前記に記載のスライディングノズルプレートの金属帯の再使用方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明により,スライディングノズルプレートの耐火物から成る本体部を,その側部外周囲に設置する金属帯や金属ケースに容易に取り付けることができ,かつ,容易に取り外すことができる。
さらには金属帯や金属ケースを簡素かつ容易に再利用することができ,スライディングノズルプレートの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】2枚のスライディングノズルプレート(固定プレート1枚,摺動プレート1枚)を備える,2枚タイプのスライディングノズル装置の一般的な組み合わせ構造を示す断面イメージ図である。
図2】本発明の一実施形態であるスライディングノズルプレート(固定プレート)を示し,(A)は断面イメージ図,(B)は摺動面側の平面イメージ図である。
図3】本発明の他の実施形態であるスライディングノズルプレート(固定プレート)を示し,(A)は断面イメージ図,(B)は摺動面側の平面イメージ図である。
図4】本発明のさらに他の実施形態であるスライディングノズルプレート(固定プレート)を示し,(A)は断面イメージ図,(B)は摺動面側の平面イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に,2枚タイプのスライディングノズル装置の一般的な組み合わせ構造を断面イメージで示している。一般的な2枚タイプのスライディングノズル装置は,1枚の固定プレート1と1枚の摺動プレート2の2枚のスライディングノズルプレートを備え,固定プレート1に対して摺動プレート2を横方向(図1において左右方向)に摺動させて,固定プレート1と摺動プレート2のそれぞれの内孔3が重なって生じる開孔部分の面積を変えることにより溶融金属の流量を制御する。
なお,これら固定プレート1及び摺動プレート2において,それぞれの本体部4は耐火物から成り,本体部4どうしの接する面が摺動面5であり,摺動面5の反対側の面が背面6である。また,背面6にはそれぞれダボ部7が設けられており,固定プレート1のダボ部7には図示しない下ノズル等が,摺動プレート2のダボ部7には図示しない上ノズル等が,それぞれ接合される。
【0015】
図2に,本発明の一実施形態であるスライディングノズルプレート(固定プレート1A)を示している。
本実施形態の固定プレート1Aは,耐火物から成る本体部4の側部外周に金属帯8を備えており,本体部4と金属帯8との間には空間9が存在し,本体部4と金属帯8は相互に接合されていない。そして,本体部4と金属帯8を相互に固定する固定部材10が,空間9に着脱可能な状態で設置されている。
【0016】
このように本体部4と金属帯8を相互に固定する固定部材10とは,いわば楔のように本体部4と金属帯8とを圧迫して相互を固定する機能を果たすもので,例えばシム鉄板等の金属板又は無機物とすることができる。
これを言い換えると,本体部4の平面形状(すなわち側部側の外形)にほぼ相似形である環状の金属帯8を,本体部4の外周よりも大きい所定の大きさに製作し,かつ予め閉じておき,その内側に本体部4を配置し,本体部4と金属帯8との間(空間9)に,シム鉄板等の固定部材10を叩き込む等の方法で装入して,本体部4と金属帯8とを相互にズレないように固定する,ということである。
【0017】
この固定部材10は,必ずしも空間9の全部に隙間無く設置する必要はなく,本体部4と金属帯8とが相互に固定されるように最少限の数,配置で,空間9の一部に設置してもよい。
具体的な固定部材10の設置場所は,応力分散効果を高め,また固定機能をより確実にするために,本体部4の形状(大きさ),構造等に応じて,できるだけ応力が集中し易い場所を主にし,またできるだけ全体に均一に分布するように,例えば複数の軸対称の組み合わせ等で分散して設置することが好ましい。
【0018】
固定部材10による本体部4と金属帯8との固定の程度に関しては,本体部4を構成する耐火物の組成や物性,本体部4の形状(大きさ),構造等により或る程度調整することが可能であり,前記特許文献1,特許文献3等のようにいわば非可逆的に(すなわち解体時にはほぼ破壊する程度に)強固な固定を必要としない場合もある。
なお,本実施形態のような固定部材10による固定構造が,前記特許文献1,特許文献3等の構造に比較して固定又は拘束機能が必ずしも顕著に劣ることはない。
【0019】
図3に,本発明の他の実施形態であるスライディングノズルプレート(固定プレート1B)を示している。
本実施形態の固定プレート1Bは,図2の固定プレート1Aの背面6に金属製の背面板11を設置し,この背面板11に金属帯8を溶接等で固定したものである。この固定プレート1Bにおいても,本体部4と金属帯8を相互に固定する固定部材10が,空間9に着脱可能な状態で設置されている。
【0020】
図4に,本発明のさらに他の実施形態であるスライディングノズルプレート(固定プレート1C)を示している。
本実施形態の固定プレート1Cは,耐火物から成る本体部4の側部外周に金属帯8を備えると共に,金属帯8の側部外周に金属ケース12を備えており,本体部4と金属帯8との間には空間は存在しないが,金属帯8と金属ケース12との間に空間9が存在している。すなわち,本実施形態の固定プレート1Cでは,本体部4と金属帯8は相互に接合されているが,金属帯8と金属ケース12は相互に接合されていない。そして,金属帯8と金属ケース12を相互に固定する固定部材10が,空間9に着脱可能な状態で設置されている。また,この固定プレート1Cの背面6には金属製の背面板11が設置されており,この背面板11に金属ケース12が溶接等で接合されている。
【0021】
なお,この固定プレート1Cでは本体部4と金属帯8との間には空間は存在せず,本体部4と金属帯8は相互に接合されているが,本体部4と金属帯8との間にも空間を設けて本体部4と金属帯8が相互に接合されていない構造とし,本体部4と金属帯8との間の空間にも固定部材10を着脱可能な状態で設置することもできる。また,本体部4と金属帯8との間にのみ空間を設けて,その空間にのみ固定部材10を着脱可能な状態で設置することもできる。
【0022】
このように固定部材10を,本体部4と金属帯8との間の空間あるいは金属帯8と金属ケース12との間の空間に設置する固定方法では,この固定にかかる工程自体が,焼嵌め方法や巻き付け及び溶接方法による工程と比較して簡素で容易である。
また,使用後に本体部4を金属帯8から取り外す,又は本体部4を含む金属帯8を金属ケース12から取り外すのも,溶断や切断等を必要としないので,簡素で容易である。
【0023】
次に,金属帯8の再使用方法について説明する。
まず,図2及び図3の固定プレート1A,1Bのように金属ケースを含まない場合は,固定プレート1A,1Bを鋼の鋳造に使用した後,当該固定プレート1A,1Bの本体部4(使用済み本体部)をこの本体部4と共に使用した後の金属帯8(使用済み金属帯)から取り外し,この使用済み金属帯よりも側部方向の外形を小さく形成した未使用の本体部を使用済み金属帯との間の少なくとも一部を固定する固定部材を介して使用済み金属帯に装着して,鋼の鋳造に使用する。
【0024】
また,図4の固定プレート1Cのように金属ケース12を含む場合は,固定プレート1Cを鋼の鋳造に使用した後,当該固定プレート1Cの使用済み本体部4を含む使用済み金属帯8を,これらと共に使用した使用済み金属ケース12から取り外し,未使用の本体部を含む使用済み金属帯8を,使用済み金属ケース12との間の少なくとも一部を固定する固定部材を介して使用済み金属ケース12に装着して,鋼の鋳造に使用する。
【0025】
この金属帯の再使用方法では,例えば固定部材としてのシム鉄板等の金属板の厚さ,重ねる数等を適宜調整しながら金属板(固定部材)を設置すればよく,未使用の本体部を使用済金属帯に設置する作業や未使用の本体部を含む使用済金属帯を使用済金属ケースに設置する作業がより容易になり,工程の簡素化,省力化等が図れる。
【0026】
なお,前述の金属帯の再使用方法において,鋼の鋳造に使用した後のスライディングノズルプレートは,本体部の成形時に金属帯を成形用枠に設置し,成形用坏土と共に同時成形した一体的構造,あるいは本体部を成形後に,焼嵌め,又は,巻き付けと溶接のいずれかの方法により金属帯を本体部に設置した一体的構造であってもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 固定プレート(スライディングノズルプレート)
2 摺動プレート(スライディングノズルプレート)
3 内孔
4 本体部(耐火物製)
5 摺動面
6 背面
7 金属帯
8 金属帯
9 空間
10 固定部材
11 背面板
12 金属ケース
図1
図2
図3
図4