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  • 特許-フィルムヒータ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】フィルムヒータ
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/20 20060101AFI20230816BHJP
   H05B 3/02 20060101ALI20230816BHJP
   H05B 3/12 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
H05B3/20 347
H05B3/20 341
H05B3/02 B
H05B3/12
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019063085
(22)【出願日】2019-03-28
(65)【公開番号】P2020161458
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】大塚 達矢
(72)【発明者】
【氏名】廣谷 幸蔵
【審査官】石川 輝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-151857(JP,U)
【文献】特開2017-004918(JP,A)
【文献】特表2018-517227(JP,A)
【文献】特表2015-508554(JP,A)
【文献】特開2003-257597(JP,A)
【文献】実開昭60-090790(JP,U)
【文献】特開2009-252712(JP,A)
【文献】特開昭59-146182(JP,A)
【文献】特開2010-212222(JP,A)
【文献】特開平10-284222(JP,A)
【文献】特開昭63-94583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00-3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な熱可塑性樹脂シートからなる支持シートの一方の面に、常温では固体で加熱溶融により被着体の表面に接着性を示す接合層を設け、前記接合層は、JIS K6301:1995に基づく表面ゴム硬度が50°以下であり、該接合層上に導電線からなる導電性パターンが設けられ、該導電性パターンは、一定の径を有する断面視で円形の導電線が超音波融着により前記接合層の表面に所定のパターンに埋め込まれ、接続端子部と、該接続端子部から延びたリード部と、該リード部から続く全体として非直線状のヒータ部とが、一本の導電線からなる連続した線状パターンとして設けられたことを特徴とするフィルムヒータ。
【請求項2】
前記支持シートがポリカーボネート樹脂からなる請求項に記載のフィルムヒータ。
【請求項3】
前記導電性パターンを構成する導電線が、自己融着性の絶縁皮膜により被覆されてなる請求項1又は2に記載のフィルムヒータ。
【請求項4】
前記導電性パターンを構成する導電線の直径が150μm以下である請求項1~のいずれか1項に記載のフィルムヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルムヒータに係り、特に、外部電源と電気的に接続可能な導電性パターンをフィルム上に設けたフィルムヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加熱対象となる被着体に貼着させて使用する、氷雪付着防止や融雪、曇り防止、保温などを目的とした、加熱用の導電性パターンを有したフィルム状の面状発熱体が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、任意の形状に加工された裸ニクロム線を、絶縁材料からなる粘着層を介して2枚の多層複合フィルムの内部に配設した面状発熱体が開示されており、この面状発熱体を、両面粘着テープ、両面粘着フィルム等によって加熱対象物に貼着することが記載されている。
特許文献2には、柔軟性を有する面状の発熱部と、この発熱部を内包するよう形成された半硬化状態の半硬化樹脂被覆層と、を有する硬質面状発熱体製造用半硬化シートが開示されている。発熱部を内包する半硬化樹脂被覆層は、半硬化状態(Bステージ)であり、柔軟性および可塑性を有すると共に、その表面は粘着性を有しているため、あらゆる被着体の形状に対して追従し、貼付させることができることが記載されている。
【0004】
特許文献3には、所定のパターンに形成された金属線抵抗体を、中心角が90度以下である扇形の切欠部を有する円形シート状の可撓性透明基材の表面または内部に備えてなることを特徴とする信号灯用の面状ヒータが開示されており、扇形の切欠部の直線部を互いに接触または近接させ、可撓性透明基材を円形シートから円錐シートの形状に変形させることで、信号灯の表示窓がドーム形の形状であっても密着させやすいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-257597号公報
【文献】特開2006-278138号公報
【文献】特開2017-004918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている発明は、2枚の多層複合フィルムの間の内部に配線固定用粘着層を用いて裸ニクロム線が配設され、多層複合フィルムの周辺部分がヒートシールされており、構成が複雑である。
特許文献2に開示されている発明は、特殊な樹脂皮膜を用いる必要があり、光硬化法により半硬化樹脂被覆層を完全硬化させるなど特殊な設備が必要で、施工法が複雑になりやすい。
特許文献3に開示されている発明は、信号灯の表示窓がドーム形の形状である場合には効果的であるが、それ以外に使用することは難しい。
【0007】
また、導電線の配設において、特許文献1では、配線固定用粘着層上に裸ニクロム線が配設されるが、粘着層は、製造工程でゴミが付着しやすく、また成形した裸ニクロム線の形状が崩れやすいという問題がある。特許文献2では、発熱用導電性糸からなる横糸と絶縁性糸からなる縦糸とを所定間隔で交差させて織り込まれた特定の織布を発熱部として用いており、特許文献3では、可撓性透明基材の表面に蛇行状の溝を彫り、この溝に沿って発熱線抵抗体を埋設して発熱部を形成しているため、構成、製造工程が複雑になってしまう。
本発明者らは、より製造が容易で、被着体の意匠性を損なうことなく、凹凸があるような形状の被着体に対しても簡単に貼着することができるフィルムヒータとして、超音波融着の原理を活用して導電線を支持シートの表面に埋め込むことを検討した。
超音波融着は、導電線を繰り出しながら熱可塑性樹脂からなる支持シートの表面を溶融させ、導電線を支持シートの表面に埋め込むことができる。しかし支持シートの材質が耐久性のある硬い材料であったり、意匠性を考慮して細い導電線を用いたりした場合、配設時の張力により導電線が細くなってしまい、その結果導電線の抵抗値が増加してしまうという問題が生じた。また、導電線が太い場合であっても、導電線と支持シートとの間のずり応力の増大に起因すると考えられる抵抗値の増加が認められた。さらに、導電線の抵抗値の増加の問題は、導電線が被覆されている場合に顕著であることも認められた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、透明な熱可塑性樹脂シートからなる支持シートの一方の面に、常温では固体で加熱溶融により接着性を示す接合層を設け、該接合層上に導電線からなる導電性パターンが設けられ、該導電性パターンは、接続端子部と、該接続端子部から延びたリード部と、該リード部から続く全体として非直線状のヒータ部とが、一本の導電線からなる連続した線状パターンとして設けられたことを特徴とするフィルムヒータである。
本発明は、1つの実施形態において、前記導電性パターンが、一定の径を有する断面視で円形の導電線が超音波融着により前記接合層の表面に所定のパターンに埋め込まれてなるフィルムヒータである。
本発明では、前記接合層のJIS K6301:1995に基づく表面ゴム硬度が50°以下であるとよい。具体的には、前記接合層がホットメルト接着剤からなるとよい。
本発明では、前記支持シートがポリカーボネート樹脂からなるとよい。
本発明では、前記導電性パターンを構成する導電線が、自己融着性の絶縁被膜により被覆されているとよい。
本発明では、前記導電性パターンを構成する導電線の直径が150μm以下であるとよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフィルムヒータは、全体として透明なフィルムヒータであり、加熱対象となる被着体の意匠性を損なうことなく、さまざまな被着体に貼着可能である。特に支持シートの表面に表面ゴム硬度の小さい接合層を形成することにより、支持シートの材質が耐久性のある硬い材料であっても導電線の抵抗値が増加することを抑えることができる。また接合層は熱接着可能であり、被着体が樹脂成形体の場合、樹脂成形と同時に樹脂成形体の表面にフィルムヒータを形成することができるインモールド転写が可能である。
本発明は、成形性がよく、機械的強度が高く、被着体に対する接着性に優れたフィルムヒータで、氷雪付着防止や融雪、曇り防止、保温など目的とした各種用途に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は本発明のフィルムヒータの一例を模式的に示す平面図、(b)はその断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1(a)は本発明のフィルムヒータの一例を模式的に示す平面図である。図1(b)は本発明のフィルムヒータの一例を模式的に示す断面図である。
図1によると、透明な熱可塑性樹脂シートからなる支持シート1の一方の面に、常温では固体で加熱溶融により接着性を示す接合層2を設け、該接合層上に導電線からなる導電性パターン3が設けられている。導電性パターン3は、接続端子部31と、接続端子部31から延びたリード部32と、リード部32から続く全体として非直線状のヒータ部33とが、一本の導電線からなる連続した線状パターンとして設けられている。図1では直線状に延びたリード部32の端部を続端子部31としている。
【0012】
支持シートは、透明な熱可塑性樹脂シートからなることが、全体として透明なフィルムヒータを作製する上で好ましい。全体として透明なフィルムヒータであれば加熱対象となる被着体の意匠性を損なうことなく、さまざまな被着体に貼着可能である。
また、熱可塑性樹脂シートを用いることにより、凹凸があるような形状の被着体に対して簡単に貼着することができ、特に、被着体が樹脂成形体の場合、真空成型、熱プレス成型、ラミネート成型、インモールド成型、インサート成型などの成型方法で、樹脂成形体の表面にフィルムヒータを形成することができる。
【0013】
熱可塑性樹脂シートとしては、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ABS樹脂等を用いることもでき、これらを2種以上含有するものであってもよい。特に屋外の用途においては、機械的強度、耐候性に優れるポリカーボネート系樹脂を用いるのがよい。
熱可塑性樹脂シートには無機微細粉末あるいは有機フィラー、分散剤、酸化防止剤、相溶化剤、紫外線安定剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤等を適宜添加することができる。
熱可塑性樹脂シートの厚みは、0.030mm~1.000mm、好ましくは0.100mm~0.700mmであるとよい。
【0014】
接合層は、常温では固体で加熱溶融により接着性を示す接合層であるとよい。常温では固体でタックを有しないことにより、ゴミ等の付着が抑えられ、被着体への貼り付け時のハンドリングも良好になる。具体的にはホットメルト接着剤を用いることができる。ホットメルト接着剤としては、主成分としてエチレン酢酸ビニル、オレフィン、合成ゴム、ポリアミド、ポリエステルなどをベースとして構成されたものを用いることができる。
接合層の厚みは0.05mm~0.5mm、好ましくは0.1mm~0.3mmであるとよい。
接合層は、被着体への貼り付けや超音波融着の原理を活用して導電線を支持シートの表面に埋め込むために用いられる。超音波融着は、導電線を繰り出しながら接合層の表面を溶融させ、導電線を接合層の表面に埋め込むことができる。導電線を埋め込む層の材質が耐久性のある硬い材料であったり、意匠性を考慮して細い導電線を用いたりした場合、配設時の張力により導電線の抵抗値が増加してしまため、接合層としてはJIS K6301:1995に基づく表面ゴム硬度が50°以下であることが好ましい。これにより比較的硬いポリカーボネート樹脂を支持シートに用いても導電線の抵抗値増加を抑えることができる。
接合層は、本発明のフィルムヒータの使用温度よりも高い軟化温度を有するとともに、導電線を接合層の表面に埋め込む際の温度で溶融するものであるのが好ましい。
導電性パターンは、銀ペースト等の導電性インキを用いた印刷や銅箔等の金属箔のエッチングによりを形成することもできるが、一定の径を有する断面視で円形の導電線を所定のパターンに形成することが、一つの連続した線状としてヒータ部とリード部、接続端子部を容易に形成できる点で好ましい。
導電性パターンを導電線で構成する場合、その導電線は、少なくとも金属線を含んで構成され、好ましくは金属線が自己融着性の絶縁皮膜により被覆されてなるものとする。金属線は、例えば、銅、鉄、金、銅ニッケル、ニッケルクロム、鉄ニッケルクロム等の金属線であるが、導電性を有するものであれば他の材料を用いることもできる。電気抵抗や耐久性、コストの観点から、金属線として銅又は銅に亜鉛や鉛、錫、銀、アルミ、ニッケル、ベリリウム、ジルコニウムなどを単独もしくは複数組み合わせてある銅合金を用いることが好ましい。
【0015】
金属線を被覆する絶縁皮膜は絶縁性の樹脂皮膜であり、絶縁皮膜で被覆された導電線は市販のエナメル線とすることができる。絶縁性の樹脂皮膜の具体例としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、フッ素樹脂等を挙げることができる。絶縁性皮膜は、典型的には黒色であるが、加熱対象となる被着体の色彩にあわせて任意の色に着色させてもよい。
導電性パターンを構成する導電線の直径は、例えば、0.03mm~0.2mmである。加熱対象となる被着体の意匠性を損なわないためには、全体として透明なフィルムヒータであることが好ましく、そのためには導電線はできるだけ細いほうがよい。導電線の直径は好ましくは、0.05mm~0.15mmである。また導電線の長さは、導電性パターンのパターン形態等に応じたものになる。
導電性パターンを形成するには、典型的には接合層上で導電線を引き回して、所定のパターン形態を描くことにより形成することができ、導電線を少なくとも接合層の表面に埋め込むことにより固定することができる。
接合層の表面への導電線の埋め込みは、例えば、超音波融着の原理を活用して導電線を支持シートの表面に埋め込むことが望ましい。超音波融着を行うに際しては、導電線を繰り出しながら接合層の表面を溶融させ、導電線を接合層の表面に埋め込むことが可能な配線描画装置を用いることができる。このような配線描画装置が備える超音波ヘッドにより、導電線を接合層の表面上へ繰り出しつつ、振動と加圧により接合層の表面に導電線を埋め込むことができる。
接合層の表面への導電線の埋め込みにより、接合層上での導電性パターンの位置決めを行うことができ、外部からの衝撃等による導電線の位置ずれの抑制を図ることができる。また、接合層の表面に導電線を埋め込むことで、接合層の表面上に導電線を配置することによる表面の凹凸の程度を低減することができる。
【0016】
次に本発明のフィルムヒータの導電性パターンについて説明する。
図1を参照すると、導電性パターン3は、接続端子部31と、接続端子部31から延びたリード部32と、リード部32から続く全体として非直線状のヒータ部33とが、一本の導電線からなる連続した線状パターンとして設けられる。
一本の連続した導電線で、接続端子部と、リード部と、ヒータ部とを形成することで、製造工程を容易にでき、低コストのフィルムヒータを製造することが可能となる。
【0017】
図1では、接続端子部31は、一本の連続した導電線から引き回されたリード部32の端部を接続端子部31としている。接続端子部はまた、必要により、接続端子部上に外部電極との接続効率を上げるためにさらに金属板からなる導電片を設けることができる。金属板としては、例えば銅、銅合金、鉄、鉄とニッケル合金等を用いることができる。
導電線が絶縁皮膜で被覆されている場合は、接続端子部の導電線を被覆する絶縁皮膜を除去し、内部の金属線を露出させる。露出させる方法としては、ミーリング装置等による切削で可能であるが、金属板や外部電極と半田接続するときの熱で絶縁皮膜を溶融除去することができる。
【0018】
ヒータ部33は、接続端子部31から延びたリード部32から引き回され、全体として非直線状の線状パターンとして形成される、図1では、ヒータ部33は、相対的に長さの短い折れ曲がり部分と相対的に長さの長い直線部分とが繰り返され、複数個所で折れ曲がって蛇行するパターンとなっている。ヒータ部のパターンは、被着体の形状や加熱面積、加熱効率を考慮し任意のパターンとすることができ、直線部分を含まない曲線形状の繰り返しや渦巻状であってもよい。
図1では、導電性パターンは、ヒータ部33を中心に左右一対の接続端子部31と左右一対のリード部32からなり、導電線により一方の接続端子部31aの端部を始点としてリード部32aが延ばされ、このリード部32aから引き回された導電線でヒータ部33が形成され、このヒータ部33から他方のリード部32bが延ばされ、他方の接続端子部31bへと続く一本の導電線で、一つの連続した線状のヒータ部33、リード部32、接続端子部31が形成されている。
【0019】
本発明では、支持シートの接合層とは反対の表面には、必要により、防汚層や防曇層、帯電防止層、ハードコート層などを形成してもよい。
【実施例
【0020】
(実施例1)
支持シートとなる熱可塑性樹脂シート(三菱樹脂社製ポリカシートDPI-AO、厚み0.075mm)を準備し、支持シートの表面に接合層を形成した。接合層としては、ポリエステル系ホットメルト(東亞合成社アロンメルトPES-111EHW、厚み0.1mm))を使用した。
接合層の表面ゴム硬度の測定を、古里精機製作所製HARDNESSTESTER ATYPEを使用し、JIS K6301:1995に基づくスプリング式A型より測定した。測定された表面ゴム硬度は、50°であった。
次に接合層の表面に導電線(ELEKTRISOLA社製自己融着被膜導線AB15φ0.1mm)を、超音波ヘッドを備えた配線描画装置(Ruhlamat社製WCE150、設定条件:USP1200、speed40%)を用いて埋め込み、図1に示すような導電性パターンを形成した。
導電性パターンは、リード部の長さが130mm、ヒータ部は、直線部分90mm、折り返し部分(ピッチ)10mm、折り返し回数(直線部分の線数)8回とし、接続端子部は直線部分17mmとした。最後に、縦170mmm×横120mmにカットし、フィルムヒータを作製した。
作製したフィルムヒータについて、埋め込み前後の抵抗値を測定し抵抗増加率を算出した。抵抗値の測定は、IWATSU製マルチメーターを使用した。抵抗増加率は、
抵抗増加率(%)=描画後抵抗値(Ω/m)/ 描画前抵抗値(Ω/m)×100-100
より算出した。ここでΩ/mは導電線1m当たりの抵抗値である。
作製したフィルムヒータの抵抗増加率は、2.0%であった。
【0021】
(実施例2)
表面ゴム硬度が43°である接合層を使用したことを除き、実施例1と同様にフィルムヒータを作製した。
作製したフィルムヒータの抵抗増加率は、0.1%であった。
【0022】
(比較例1)
接合層を形成せず支持シートの表面に導電性パターンを直接形成したことを除き、実施例1と同様にフィルムヒータを作製した。
作製したフィルムヒータの抵抗増加率は、15.9%であった。
【符号の説明】
【0023】
1 支持シート
2 接合層
33 ヒータ部
31a、31b 接続端子部
32a、32b リード部
33 ヒータ部
図1