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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】折畳み式作業台におけるロック装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 1/34 20060101AFI20230816BHJP
   E06C 1/39 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
E04G1/34 A
E06C1/39 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019099210
(22)【出願日】2019-05-28
(65)【公開番号】P2020193472
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】吉田 隆亘
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3125537(JP,U)
【文献】特開平11-193682(JP,A)
【文献】実開平06-014348(JP,U)
【文献】特開2002-180658(JP,A)
【文献】特開平10-002174(JP,A)
【文献】特開2011-246992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/34
E06C 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の長手方向Xと短手方向Yに関し、長手方向Xの両端部の妻側縁部に位置して、脚体を下向きに垂設させた開脚姿勢(P1)と天板の下側に格納させた閉脚姿勢(P2)の間で旋回自在に枢結する枢結装置(10)を設けた折畳み式作業台において、前記脚体を開脚姿勢(P1)で旋回不能にロックするロック装置(11)と、該ロックを解除する解除操作装置(20)が設けられており、
前記枢結装置(10)は、天板の妻側縁部の両側に固着された一対の固定板(12)と、脚体に固着された一対の回動板(13)により構成され、それぞれ回動板を固定板に重ねた状態で回動自在に枢結しており、
前記ロック装置(11)は、天板の下側に位置して前記短手方向Yに向けて配置されると共にスプリング(17)により前記回動板に向けて軸方向に弾発付勢された少なくとも1本のロッド(15)と、開脚姿勢(P1)としたときロッドの軸線上に位置するように前記回動板(13)に設けられた開脚ロック孔(16)により構成され、
前記ロッドの軸方向移動に関して、ロッドの本体軸部(15b)の先端に設けたロック部(15a)が前記開脚ロック孔(16)に挿入係止した位置をロック位置(L1)とし、ロック部(15a)が前記開脚ロック孔(16)から退避した位置をアンロック位置(L2)とするように構成されており、
前記解除操作装置(20)は、天板の下側に固設されると共に前記長手方向Xに隣接する支持ブラケット(24)と枢支ブラケット(25)を備えた台座金具(22)と、前記枢支ブラケット(25)に枢着されると共に天板の下面を上向きとした状態で踏み込むことにより回動する踏板(30)を備えたペダル手段(21)により構成され、
前記ロッド(15)は、前記支持ブラケット(24)に軸方向移動自在に挿通された基軸(15c)と前記本体軸部(15b)との間で傾斜する傾斜軸部(15d)を設けており、
前記ペダル手段(21)は、前記ロッドの傾斜軸部(15d)に当接する駆動部(31)を備え、ロッドがスプリングによりロック位置(L1)に移動したとき傾斜軸部(15d)が駆動部(31)を押動することにより踏板(30)を支持ブラケット(24)から離間させた待機位置(Q1)に保持させ、前記踏板(30)を支持ブラケット(24)に接支する作動位置(Q2)まで踏み込んだとき駆動部(31)が傾斜軸部(15d)を傾斜方向に押動することによりロッドをアンロック位置(L2)に移動させる連動駆動機構(32)を構成して成ることを特徴とする折畳み式作業台におけるロック装置。
【請求項2】
天板の長手方向Xと短手方向Yに関し、長手方向Xの両端部の妻側縁部に位置して、脚体を下向きに垂設させた開脚姿勢(P1)と天板の下側に格納させた閉脚姿勢(P2)の間で旋回自在に枢結する枢結装置(10)を設けた折畳み式作業台において、前記脚体を開脚姿勢(P1)で旋回不能にロックするロック装置(11)と、該ロックを解除する解除操作装置(20)が設けられており、
前記枢結装置(10)は、天板の妻側縁部の両側に固着された一対の固定板(12)と、脚体に固着された一対の回動板(13)により構成され、それぞれ回動板を固定板に重ねた状態で回動自在に枢結しており、
前記ロック装置(11)は、天板の下側に位置して前記短手方向Yに直列配置されると共にスプリング(17)により前記回動板に向けて軸方向に弾発付勢された一対のロッド(15,15)と、開脚姿勢(P1)としたとき各ロッドの軸線上に位置するように前記回動板(13,13)に設けられた開脚ロック孔(16)により構成され、
前記ロッドの軸方向移動に関して、ロッドの本体軸部(15b)の先端に設けたロック部(15a)が前記開脚ロック孔(16)に挿入係止した位置をロック位置(L1)とし、ロック部(15a)が前記開脚ロック孔(16)から退避した位置をアンロック位置(L2)とするように構成されており、
前記解除操作装置(20)は、天板の下側に固設されると共に前記長手方向Xに隣接する支持ブラケット(24)と枢支ブラケット(25)を備えた台座金具(22)と、前記枢支ブラケット(25)に枢着されると共に天板の下面を上向きとした状態で踏み込むことにより回動する踏板(30)を備えたペダル手段(21)により構成され、
前記一対のロッド(15)は、それぞれ前記支持ブラケット(24)に軸方向移動自在に挿通された基軸(15c)と前記本体軸部(15b)との間で傾斜する傾斜軸部(15d)を設けており、
前記ペダル手段(21)は、一対のロッドの傾斜軸部(15d)に当接する一対の駆動部(31)を備え、ロッドがスプリングによりロック位置(L1)に移動したとき傾斜軸部(15d)が駆動部(31)を押動することにより踏板(30)を支持ブラケット(24)から離間させた待機位置(Q1)に保持させ、前記踏板(30)を支持ブラケット(24)に接支する作動位置(Q2)まで踏み込んだとき駆動部(31)が傾斜軸部(15d)を傾斜方向に押動することによりロッドをアンロック位置(L2)に移動させる連動駆動機構(32)を構成して成ることを特徴とする折畳み式作業台におけるロック装置。
【請求項3】
天板は、高さHとされた両側壁(6,6)を長手方向Xに延設し、両側壁の間で下面から突出する梁壁(8)を長手方向Xに延設して成る構成において、
前記ロック装置(11)を構成するロッド(15)は、天板の前記側壁(6)に挿通される本体軸部(15b)と、前記梁壁(8)に乗り上げる基軸部(15c)と、本体軸部と基軸部の間で傾斜させられた傾斜軸部(15d)を形成しており、
前記解除操作装置(20)は、前記梁壁(8)に固設される台座金具(22)と、該台座金具に枢着されるペダル手段(21)により構成され、
前記台座金具(22)は、ロッドの基軸部(15c)を軸方向移動自在に挿通させる支持ブラケット(24)と、前記支持ブラケットから天板の長手方向Xに隣接して配置された枢支ブラケット(25)を備え、
前記ペダル手段(21)は、前記枢支ブラケット(25)に回動自在に枢着された枢支片(29)と、該枢支片の回動により前記支持ブラケット(24)に対して進退移動する踏板(30)を備え、該踏板に前記ロッドの傾斜軸部(15d)に当接する駆動部(31)を設けており、
前記傾斜軸部(15d)と駆動部(31)により前記連動駆動機構(32)を構成し、ロッドがスプリングによりロック位置(L1)に移動したとき傾斜軸(15d)部が駆動部(31)を押動することにより踏板(30)を支持ブラケット(24)から離間させた待機位置(Q1)に保持させ、踏板(30)を支持ブラケット(24)に接支する作動位置(Q2)まで踏み込んだとき駆動部(31)が傾斜軸部(15d)を傾斜方向に押動することによりロッドをアンロック位置(L2)に移動させるように構成されて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の折畳み式作業台におけるロック装置。
【請求項4】
前記台座金具(22)は、両側部から天板の下面に当接する脚片部(26)を延設して成ることを特徴とする請求項3に記載の折畳み式作業台におけるロック装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板の両端部に位置して、脚体を下向きに垂設させた開脚姿勢と天板の下側に格納させた閉脚姿勢の間で旋回自在に枢結して成る折畳み式作業台において、前記脚体を開脚姿勢で旋回不能にロックするためのロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折畳み式作業台は、脚体を閉脚姿勢として格納することにより、運搬や保管に便利とするように構成されている。
【0003】
ところが、脚体を開脚姿勢として作業台を作業のために使用するとき、脚体が閉脚姿勢に向けて不慮に旋回するおそれがあると、天板の傾きや転倒により、作業者の転落事故を招来する危険があるので、脚体を開脚姿勢の状態で旋回不能にロックするためのロック装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3030253号公報
【文献】特許第3574391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、ロック装置は、脚体と一体的に回動する回動板に向けて、ロックピンをスプリングにより弾発付勢しており、脚体を閉脚姿勢から開脚姿勢に向けて旋回し、回動板の開脚ロック孔が前記ロックピンに臨まされたとき、ロックピンが自動的に開脚ロック孔に挿入係止されるように構成されている。
【0006】
ところで、脚体を折畳む場合は、開脚姿勢におけるロック状態を解除した後、閉脚姿勢に向けて旋回する必要がある。しかしながら、手作業により、ロックピンをスプリングに抗して移動させ、開脚ロック孔から退避させるための作業は、必ずしも容易でなく、しかも、天板の下側でロックピンを操作することは煩雑である。特に、作業中に不慮にロックが解除される危険を防止するために強いスプリングが使用されている場合は、作業者に重労働を強いることになる。
【0007】
本発明は、折畳み式作業台におけるロック装置に関して、ロックを解除する操作装置を提供するものであり、特に、脚体を折畳むためにロックを解除する場合、作業台を逆さまに設置し、つまり、天板の下面を上向きとして地面に設置させた状態で、作業者が足により踏みつけるだけで簡単容易にロック解除を可能とする装置の提供を課題としている。これにより、作業者は両手を自由に使用することができるので、足の踏みつけによりロックを解除するとき、これと同時に、両手を使用することにより脚体を容易に折畳むことが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明が第1の手段として構成したところは、天板の長手方向Xと短手方向Yに関し、長手方向Xの両端部の妻側縁部に位置して、脚体を下向きに垂設させた開脚姿勢(P1)と天板の下側に格納させた閉脚姿勢(P2)の間で旋回自在に枢結する枢結装置を設けた折畳み式作業台において、前記脚体を開脚姿勢(P1)で旋回不能にロックするロック装置と、該ロックを解除する解除操作装置が設けられており、前記枢結装置は、天板の妻側縁部の両側に固着された一対の固定板と、脚体に固着された一対の回動板により構成され、それぞれ回動板を固定板に重ねた状態で回動自在に枢結しており、前記ロック装置は、天板の下側に位置して前記短手方向Yに向けて配置されると共にスプリングにより前記回動板に向けて軸方向に弾発付勢された少なくとも1本のロッドと、開脚姿勢(P1)としたときロッドの軸線上に位置するように前記回動板に設けられた開脚ロック孔により構成され、前記ロッドの軸方向移動に関して、ロッドの本体軸部の先端に設けたロック部が前記開脚ロック孔に挿入係止した位置をロック位置(L1)とし、ロック部が前記開脚ロック孔から退避した位置をアンロック位置(L2)とするように構成されており、前記解除操作装置は、天板の下側に固設されると共に前記長手方向Xに隣接する支持ブラケットと枢支ブラケットを備えた台座金具と、前記枢支ブラケットに枢着されると共に天板の下面を上向きとした状態で踏み込むことにより回動する踏板を備えたペダル手段により構成され、前記ロッドは、前記支持ブラケットに軸方向移動自在に挿通された基軸と前記本体軸部との間で傾斜する傾斜軸部を設けており、前記ペダル手段は、前記ロッドの傾斜軸部に当接する駆動部を備え、ロッドがスプリングによりロック位置(L1)に移動したとき傾斜軸部が駆動部を押動することにより踏板を支持ブラケットから離間させた待機位置(Q1)に保持させ、前記踏板を支持ブラケットに接支する作動位置(Q2)まで踏み込んだとき駆動部が傾斜軸部を傾斜方向に押動することによりロッドをアンロック位置(L2)に移動させる連動駆動機構を構成して成る点にある。
【0009】
また、本発明が第2の手段として構成したところは、天板の長手方向Xと短手方向Yに関し、長手方向Xの両端部の妻側縁部に位置して、脚体を下向きに垂設させた開脚姿勢(P1)と天板の下側に格納させた閉脚姿勢(P2)の間で旋回自在に枢結する枢結装置を設けた折畳み式作業台において、前記脚体を開脚姿勢(P1)で旋回不能にロックするロック装置と、該ロックを解除する解除操作装置が設けられており、前記枢結装置は、天板の妻側縁部の両側に固着された一対の固定板と、脚体に固着された一対の回動板により構成され、それぞれ回動板を固定板に重ねた状態で回動自在に枢結しており、前記ロック装置は、天板の下側に位置して前記短手方向Yに直列配置されると共にスプリングにより前記回動板に向けて軸方向に弾発付勢された一対のロッドと、開脚姿勢(P1)としたとき各ロッドの軸線上に位置するように前記回動板に設けられた開脚ロック孔により構成され、前記ロッドの軸方向移動に関して、ロッド先端のロック部が前記開脚ロック孔に挿入係止した位置をロック位置(L1)とし、ロック部が前記開脚ロック孔から退避した位置をアンロック位置(L2)とするように構成されており、前記解除操作装置は、天板の下側に固設されると共に前記長手方向Xに隣接する支持ブラケットと枢支ブラケットを備えた台座金具と、前記枢支ブラケットに枢着されると共に天板の下面を上向きとした状態で踏み込むことにより回動する踏板を備えたペダル手段により構成され、前記一対のロッドは、それぞれ前記支持ブラケットに軸方向移動自在に挿通された基軸と前記本体軸部との間で傾斜する傾斜軸部を設けており、前記ペダル手段は、一対のロッドの傾斜軸部に当接する一対の駆動部を備え、ロッドがスプリングによりロック位置(L1)に移動したとき傾斜軸部が駆動部を押動することにより踏板を支持ブラケットから離間させた待機位置(Q1)に保持させ、前記踏板を支持ブラケットに接支する作動位置(Q2)まで踏み込んだとき駆動部が傾斜軸部を傾斜方向に押動することによりロッドをアンロック位置(L2)に移動させる連動駆動機構を構成して成る点にある。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、天板は、高さHとされた両側壁を長手方向Xに延設し、両側壁の間で下面から突出する梁壁を長手方向Xに延設して成る構成において、前記ロック装置を構成するロッドは、天板の前記側壁に挿通される本体軸部と、前記梁壁に乗り上げる基軸部と、本体軸部と基軸部の間で傾斜させられた傾斜軸部を形成しており、前記解除操作装置は、前記梁壁に固設される台座金具と、該台座金具に枢着されるペダル手段により構成され、前記台座金具は、ロッドの基軸部を軸方向移動自在に挿通させる支持ブラケットと、前記支持ブラケットから天板の長手方向Xに隣接して配置された枢支ブラケットを備え、前記ペダル手段は、前記枢支ブラケットに回動自在に枢着された枢支片と、該枢支片の回動により前記支持ブラケットに対して進退移動する踏板を備え、該踏板に前記ロッドの傾斜軸部に当接する駆動部を設けており、前記傾斜軸部と駆動部により前記連動駆動手段を構成し、ロッドがスプリングによりロック位置L1に移動したとき傾斜軸部が駆動部を押動することにより踏板を支持ブラケットから離間させた待機位置Q1に保持させ、踏板を支持ブラケットに接支する作動位置Q2まで踏み込んだとき駆動部が傾斜軸部を傾斜方向に押動することによりロッドをアンロック位置L2に移動させるように構成されている。
【0011】
この際、前記台座金具は、両側部から天板の下面に当接する脚片部を延設していることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、折畳み式作業台におけるロック装置に関して、ロックを解除する解除操作装置を提供することができる。そこで、解除操作装置は、脚体を折畳むためにロックを解除する場合、作業台を天地逆向きに設置した状態、つまり、天板の下面を上向きとした状態で、作業者が足により踏みつけるだけで簡単容易にロック解除が可能であり、作業性に優れている。特に、これにより、作業者は両手を自由に使用することができるので、足の踏みつけによりロックを解除すると同時に、両手を使用することにより脚体を容易に折畳むことが可能になる
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の1実施形態に係るロック装置及び解除操作装置を備えた折畳み式作業台の1例を示す斜視図である。
図2】作業台を示しており、(A)は脚体を開脚姿勢とした作業台の正面図、(B)は閉脚作業中の作業台の正面図、(C)は脚体を閉脚姿勢とした作業台の正面図である。
図3】天板の両端部のうち、一方の妻側縁部に関して、ロック装置を分解した状態を示す斜視図である。
図4】天板の両端部のうち、他方の妻側縁部に関して、ロック装置を分解した状態を示す斜視図である。
図5】天板の下面を上向きとした状態で、解除操作装置を分解した状態を示す斜視図である。
図6】解除操作装置の分解状態を拡大して示す斜視図である。
図7】天板の下面を上向きとした状態で、解除操作装置の台座金具を梁壁に固設し、ペダル手段を枢着する前の状態を示す斜視図である。
図8】天板の下面を上向きとした状態で、解除操作装置を組付けた状態を示す斜視図である。
図9】解除操作装置の作用に関して、操作していないときの状態を示しており、(A)は中央縦断面図、(B)はA-A線断面図である。
図10】解除操作装置の作用に関して、操作したときの状態を示しており、(A)は中央縦断面図、(B)はB-B線断面図、(C)は連動駆動手段の作用を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0015】
(作業台の1例)
本発明のロック装置及び操作装置を実施するための折畳み式作業台は、建設現場等において高所作業のために使用される種々の形式のものを広く含む汎用の作業台である。その1例を図1及び2に示しているが、図例に限定されるものでないことを了解されたい。
【0016】
図例の場合、作業台1は、天板2の長手方向Xと短手方向Yに関し、長手方向Xの両端部を妻側縁部3L、3Rとし、短手方向Yの両側部を桁側縁部4L、4Rとしており、妻側縁部3L、3Rに位置して、脚体5L、5Rを下向きに垂設させた開脚姿勢P1と天板2の下側に格納させた閉脚姿勢P2の間で旋回自在に枢結する枢結装置を設けている。
【0017】
尚、以下の説明において、左右の妻側縁部3L、3Rを特に区別しない場合は、単に妻側縁部3と称する場合があり、左右の桁側縁部4L、4Rを特に区別しない場合は、単に桁側縁部4と称する場合がある。
【0018】
図3及び図5に示すように、天板2は、短手方向Yに平行して配置された中央板2aと両側板2b、2bを連設しており、両側板2b、2bは、高さHとされた両側壁6、6により前記桁側縁部4を構成している。
【0019】
中央板2aは、短手方向Yの中央に位置して下面から突出する中央梁壁7と、該中央板2aの両側に位置して下面から突出する中間梁壁8、8を長手方向Yに延設している。これらの梁壁7、8は、前記側壁6と同じ高さHに形成されており、中央梁壁7は、断面T形に形成され、天板2の下側に帯状板部7aが配置される。
【0020】
天板2の長手方向Xの両端部には端部キャップ材9が外装され、これにより妻側縁部3が形成されている。
【0021】
脚体5L、5Rは、それぞれ一対の柱脚5a、5aを踏桟5bにより連結した多段梯子状に構成されており、柱脚5a、5aの上端部を天板2の妻側縁部3の両側に旋回自在に枢結されている。尚、以下の説明において、左右の脚体5L、5Rを特に区別しない場合は、単に脚体5と称する場合がある。
【0022】
(枢結装置とロック装置)
枢結装置10は、天板2の四隅と、柱脚5aの間に設けられている。図示実施形態の場合、図3及び図4に示すように、一方の脚体5Lと妻側縁部3Lの両側の間には、開脚ロックと閉脚ロックを可能にする枢結装置10Lが設けられ、他方の脚体5Rと妻側縁部3Rの間には、開脚ロックだけを可能にする枢結装置10Rが設けられており、2種類の枢結装置10L、10Rと、これに対応するロック装置11L、11Rが設けられている。
【0023】
(開脚ロックの構成)
これらの種類の枢結装置10L、10Rとロック装置11L、11Rは、開脚ロックのための構成については、概ね共通している。従って、左右の枢結装置10L、10Rを区別しない場合は単に枢結装置10と称し、左右のロック装置11L、11Rを区別しない場合は単にロック装置11と称することにより、また、共通する構成部分には、図3及び図4のように同一符号で示すことにより説明する。
【0024】
枢結装置10は、天板2の妻側縁部3の両側に固着された一対の固定板12と、脚体5の柱脚5aの上端部に固着された一対の回動板13により構成され、それぞれ回動板13を固定板12の外側に重ねた状態で枢軸14により回動自在に枢結している。これにより、脚体5は、天板2に対して、開脚姿勢P1と閉脚姿勢P2の間で旋回自在に枢結されている。
【0025】
ロック装置11は、天板2の下側に位置して短手方向Yに直列配置された一対のロッド15、15と、脚体5が前記枢軸14を中心として開脚姿勢P1となる位置に旋回されたとき、ロッド15の軸線上に位置するように回動板13に設けられた開脚ロック孔16により構成されている。
【0026】
ロッド15は、天板2の中間梁壁8及び側壁6に形成された軸支孔に挿通され、軸方向移動自在に軸支されており、スプリング17により前記回動板13に向けて軸方向に弾発付勢されている。ロッド15の先端部はロック部15aとされており、固定板12の位置決め孔18から挿出されたロック部15aが前記開脚ロック孔16に挿入係止した位置をロック位置L1、ロック部15aが前記開脚ロック孔16から退避した位置をアンロック位置L2とするように構成され、常時は、スプリング17によりロック位置L1で弾性保持されており、後述する解除操作装置を操作することにより、スプリング17に抗してアンロック位置L2まで移動させられる。
【0027】
ロッド15をアンロック位置L2として、脚体5を旋回させることにより開脚ロック孔16を位置決め孔18から離したとき、スプリング17により弾発付勢されたロッド15は、ロック部15aを回動板13の内側面に弾接している。
【0028】
従って、折畳まれた脚体5を旋回させて展開し、開脚姿勢P1としたとき、回動板13の開脚ロック孔16が固定板12の位置決め孔18に合致するや否や、ロッド15のロック部15aが開脚ロック孔16に挿入係止され、自動的に開脚ロックを行う。
【0029】
以上の開脚ロックは、左右の枢結装置10L、10Rと、左右のロック装置11L、11Rに共通の構成であるが、左側の枢結装置10Lは、脚体5Lを閉脚姿勢P2としたときにも、自動的に閉脚ロックを行うことができるように、回動板13に閉脚ロック孔19を設けている。即ち、脚体5Lを旋回して閉脚姿勢P2としたとき、回動板13の閉脚ロック孔19が位置決め孔18に合致させられ、ロッド15のロック部15aが閉脚ロック孔19に挿入係止される。
【0030】
従って、作業台1は、図2(A)に示すように、脚体5L、5Rを開脚姿勢P1としたとき、両脚体5L、5Rが前記ロック装置11、11により開脚ロックされる。脚体の折畳みに際しては、図2(B)(C)に示すように、両脚体5L、5Rにおけるロック装置11の開脚ロックを解除することにより、右側の脚体5Rを閉脚姿勢P2とした後、左側の脚体5Lを閉脚姿勢P2とする。右側の脚体5Rは閉脚ロックされないが、左側の脚体5Lはロッド15のロック部15aにより前記閉脚ロック孔19を介して閉脚ロックされるので、天板2の下側に脚体5L、5Rを折畳んだ状態で作業台1を運搬する際に、脚体5L、5Rが展開方向に旋回するようなことはなく、安全に運搬することができる。
【0031】
(解除操作装置)
図5ないし図10は、脚体5が開脚ロックされた状態から、ロック装置11のロッド15、15をアンロック位置L2に移動させることによりロックを解除するための解除操作装置20を示している。
【0032】
解除操作装置20による開脚ロックの解除を可能にするため、図5ないし図8に示すように、ロック装置11を構成するロッド15は、前記先端のロック部15aを含んで天板2の側壁6及び中間梁壁8の軸支孔に挿通される本体軸部15bと、中央梁壁7の帯状板部7aに乗り上げる基軸部15cと、本体軸部15bと基軸部15cの間で傾斜させられた傾斜軸部15dを形成している。
【0033】
解除操作装置20は、天板2の下側に位置して、一対のロッド15、15の対向配置された基軸部15c、15cの両方に跨るペダル手段21と、該ペダル手段21を取付けるための台座金具22により構成されている。
【0034】
台座金具22は、金属板の折曲により形成されており、前記中央梁壁8の帯状板部7aに重ね合わせた状態でリベット等により固着される基板部23と、ロッドの基軸部15c、15cを軸方向移動自在に挿通させる支持ブラケット24、24と、該支持ブラケット24から天板の長手方向Xに隣接する位置(図示実施形態の場合は妻側縁部3の反対側で支持ブラケットに隣接する位置)に配置された枢支ブラケット25を備えている。
【0035】
更に、図示の構成において、台座金具22は、前記基板部23の両側から天板2の下面に当接する脚片部26を延設している。従って、基板部23を帯状板部7aに重ね合わせてリベット等により固着した状態において、天板2(中央板2a)の下面に接支した脚片部26により、基板部23の両側が強固に支持される。
【0036】
図示実施形態の場合、台座金具22を帯状板部aに取付固定した状態で、ロッド15の基軸部15cが支持ブラケット24の軸孔に挿通され、該基軸部15cに設けられたスプリング受部27と支持ブラケット24の間にスプリング17が介装される。スプリング17は、圧縮コイルスプリングから成り、基軸部15cに外挿されることにより、ロッド15をロック位置L1に向けて弾発付勢している。
【0037】
前記ペダル手段21は、金属板の折曲により形成されており、前記枢支ブラケット25に枢軸28を介して回動自在に枢着される枢支片29と、該枢支片29の回動により前記支持ブラケット24に対して進退移動する踏板30を備えており、該踏板30の両側から折曲されることにより前記ロッドの傾斜軸部15dに当接する駆動部31を延設している。図例の場合、駆動部31は、踏板30から折曲された金属板の延長端部をU形に折返して重合することにより、駆動部31の先端縁部に曲面31aを形成している。
【0038】
図8ないし図10に示すように、ペダル手段21は、枢支片29を枢支ブラケット25に枢着された状態で、踏板30が一対の支持ブラケット24、24と基軸部15c、15cに被せられ、駆動部31、31を傾斜軸部15d、15dに当接させている。
【0039】
そこで、ペダル手段21は、ロッド15、15がスプリング17によりロック位置L1に移動されているときは、駆動部31、31が傾斜軸部15d、15dの押動を受けることにより、図8及び図9に示すように、踏板30を支持ブラケット24、24から離間させた待機位置Q1に位置して保持されている。この状態で、踏板30は、図8に示すように、先端に向けて角度θを有する傾斜姿勢を保持している。尚、図示省略しているが、待機位置Q1から角度θを増す方向にペダル手段21の回動を阻止するストッパ手段を設けることが好ましい。
【0040】
解除操作装置20は、作業台1を天地逆向きに設置した状態、つまり、天板2の下面を上向きとした状態で、作業者が足裏(靴底)でペダル手段21を踏みつけることにより、開脚ロックを解除させることを目的として構成されている。
【0041】
従って、作業者が足裏(靴底)で踏みつけるだけで、開脚姿勢P1とされた脚体5を開脚ロックしているロック装置11を簡単容易にロック解除することができ、この際、作業者は両手を自由に使用することができるので、踏みつけによるロックを解除と同時に、両手を使用することにより脚体5を閉脚姿勢P2とするように容易に折畳むことができる。
【0042】
尚、上述のように、一方の脚体5Lに関して、閉脚ロック孔19による閉脚ロック装置を構成した図示実施形態の場合、解除操作装置20は、該脚体5L閉脚姿勢P2とした状態で閉脚ロック孔19に挿入係止されたロッド15を閉脚ロック解除させるためにも使用することが可能とされている。
【0043】
作業者が待機位置Q1に保持されたペダル手段21の踏板30を踏みつけると、踏板30は、枢軸28の軸廻りで前記角度θを減じる方向に回動し、図10に示すように、踏板30が支持ブラケット24、24に接支させられた位置を作動位置Q2として停止する。つまり、支持ブラケット24が踏板30を作動位置Q2で停止させるストッパ24aを構成している。このように踏板30が待機位置Q1から作動位置Q2まで回動する間、駆動部31が傾斜軸部15dの傾斜に沿って摺動しながら押動し、これにより、ロッド15をロック位置L1からアンロック位置L2まで移動させる。従って、ロッド15のロック部15aが開脚ロック孔16から退避され、開脚ロックが解除される。
【0044】
より具体的には、図10(C)に示すように、ロッド15の基軸部15cの軸線A1から、本体軸部15bの軸線A2に向けて、駆動部31が移動させられ、曲面31aを傾斜軸部15dの傾斜に沿ってスムースに摺動するので、該傾斜軸部15dが押動され、スプリング17に抗してロッド15をアンロック位置L2に向けて好適に移動させる。
【0045】
作業者の足裏による踏力を受けるペダル手段21は、台座金具22が脚片部26、26により天板2の下面に強固に支持されているので、帯板部7aと共に中央梁壁7がアルミニウム素材により薄肉板状に形成されている場合でも、該アルミニウム素材の変形を招来するようなことはなく、強い踏力に耐え、安定した取付固定状態を保持する。
【0046】
ペダル手段21は、作業者の踏力から解放されると、スプリング17によりロック位置L1に向けて移動するロッド15の傾斜軸部15dにより駆動部31が押動され、該傾斜軸部15dの傾斜に沿って移動しつつ回動させられ、待機位置Q1に復帰する。
【0047】
このように、踏板30の駆動部31と、ロッド15の傾斜軸部15dにより、連動駆動手段32が構成されており、このような連動駆動手段32により、ペダル手段21の踏板30を待機位置Q1から作動位置Q2まで踏み込んだとき、ロッド15がロック位置L1からアンロック位置L2まで移動させられ、踏み込み力を解放したとき、ロッド15がスプリング17によりアンロック位置L2からロック位置L1に移動すると共に踏板30を作動位置Q2から待機位置Q1まで回動復帰させることができるように構成されている。
【0048】
図示実施形態の場合、短手方向Yに直列配置された一対のロッド15、15と、妻側縁部3の両側と2本の柱脚5a、5aに設けられた一対の枢結装置10、10の開脚ロック孔16により、短手方向Yの両側にロック装置11、11を構成し、解除操作装置20における1つのペダル手段21により、一対のロッド15、15を同時にロック解除させる構成としたものを示したが、このような構成に限定されるものではない。脚体5は、2本の柱脚5a、5aを一体とした梯子状に形成されているので、例えば、一対のロッドのうち一方の1本のロッド15により短手方向Yの片側に位置する柱脚5aの枢結装置10に関してだけロック装置11を構成し、該ロック装置11を解除操作装置20によりロック解除させるように構成したものとしても良い。
【符号の説明】
【0049】
1 作業台
2 天板
2a 中央板
2b、2b 両側板
3、3L、3R 妻側縁部
4、4L、4R 桁側縁部
5、5L、5R 脚体
5a 柱脚
5b 踏桟
6、6 両側壁
7 中央梁壁
7a 帯状板部
8 中間梁壁
9 端部キャップ材
10、10L、10R 枢結装置
11、11L、11R ロック装置
12 固定板
13 回動板
14 枢軸
15 ロッド
15a ロック部
15b 本体軸部
15c 基軸部
15d 傾斜軸部
16 開脚ロック孔
17 スプリング
18 位置決め孔
19 閉脚ロック孔
20 解除操作装置
21 ペダル手段
22 台座金具
23 基板部
24 支持ブラケット
24a ストッパ
25 枢支ブラケット
26 脚片部
27 スプリング受部
28 枢軸
29 枢支片
30 踏板
31 駆動部
31a 曲面
32 連動駆動手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10