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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】反射防止膜
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/115 20150101AFI20230816BHJP
【FI】
G02B1/115
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019121642
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021009180
(43)【公開日】2021-01-28
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000231475
【氏名又は名称】日本真空光学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】山田 益男
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 景之
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-014203(JP,A)
【文献】特開2015-022187(JP,A)
【文献】特開2015-014631(JP,A)
【文献】特開2011-141339(JP,A)
【文献】特開2000-111702(JP,A)
【文献】特開2009-230121(JP,A)
【文献】特開2000-347002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/10 - 1/18
C23C 14/00 - 14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学基板上に屈折率の異なる複数の層を積層して形成される反射防止膜であって、
前記反射防止膜は、前記光学基板から最も離れた層である最外層と、前記最外層と前記光学基板の間に形成された複数の第1種中間層および複数の第2種中間層とを少なくとも含み、
前記各第1種中間層および前記各第2種中間層は、それぞれ少なくとも1つ以上の屈折率材料で形成され、
前記最外層に隣接する層は、前記第2種中間層であり、
前記反射防止膜は、前記第1種中間層と前記第2種中間層とが交互に積層され、且つ、前記各第1種中間層は、当該第1種中間層に隣接する前記第2種中間層より屈折率が低く形成されて、
前記第2種中間層に挟まれる前記第1種中間層のうち少なくとも1層は、使用する波長域における屈折率が1.75以上2.7未満の屈折率に形成された特定中間層であり、
前記特定中間層を除く前記第1種中間層は、使用する波長域における屈折率が1.4以上1.75未満であり、
前記光学基板に隣接する層は、Ta で構成されていることを特徴とする反射防止膜。
【請求項2】
前記特定中間層は、前記最外層に隣接する前記第2種中間層に隣接する層に少なくとも形成されていることを特徴とする請求項1に記載の反射防止膜。
【請求項3】
前記最外層の、使用する波長域における屈折率は、1.3以上1.41以下であ
ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の反射防止膜。
【請求項4】
前記第2種中間層の、使用する波長域における屈折率は、2.7以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の反射防止膜。
【請求項5】
前記光学基板の屈折率は、1.4以上2.3以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の反射防止膜。
【請求項6】
前記反射防止膜は、14層で構成され、前記光学基板上に積層した際の前記光学基板側を第1層とすると、
第1層の物理膜厚は、2nm以上30nm以下であり、
第2層の物理膜厚は、20nm以上70nm以下であり、
第3層の物理膜厚は、20nm以上60nm以下であり、
第4層の物理膜厚は、2nm以上20nm以下であり、
第5層の物理膜厚は、60nm以上130nm以下であり、
第6層の物理膜厚は、10nm以上45nm以下であり、
第7層の物理膜厚は、5nm以上40nm以下であり、
第8層の物理膜厚は、70nm以上150nm以下であり、
第9層の物理膜厚は、3nm以上60nm以下であり、
第10層の物理膜厚は、10nm以上50nm以下であり、
第11層の物理膜厚は、20nm以上90nm以下であり、
第12層の物理膜厚は、10nm以上60nm以下であり、
第13層の物理膜厚は、2nm以上30nm以下であり、
第14層の物理膜厚は、40nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の反射防止膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光学機器に搭載するレンズ、プリズム、フィルター、光ファイバー端面、天文観測、レーザー加工機、光学素子等の光学部材に適用される反射防止膜および反射防止膜を用いた光学部材、光学機器に関し、特に、人の目が色として感じ取れる波長領域に対応可能な反射防止膜および反射防止膜を用いた光学部材、光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、静止画や動画を撮影するためのカメラ等の光学機器に広く用いられるレンズには、様々なものが提案され、特に、放送用のカメラ等に多く見られるように、数十枚のレンズを鏡筒に並べ取り付けたものも使用されている。
【0003】
また、反射防止膜は、レンズの表面に屈折率の異なる複数の薄膜層を積層して形成されており、入射光の波長ごとに対応する反射防止膜の薄膜層の境界によって入射光の反射を抑制することで、逆光や半逆光などでの撮影時に発生しやすいフレアやゴーストなどと言われる光学特性を劣化させる要因を抑制し、製品性能を向上させることができるものである。
また、入射光の反射率の抑制によって、特にレンズを多数並べて使用する場合に、入射光の減衰を抑えることもできるものである。
【0004】
例えば、特許文献1には、He光源のd線(波長587.56nm)における屈折率が1.43以上2.01以下の光学基材の表面上に、第1層~第14層を光学基材側から順に積層してなる反射防止膜が公知である。
【0005】
この特許文献1に記載の反射防止膜は、第1層、第3層、第5層、第7層、第9層、第11層および第13層をd線における屈折率が2.201以上2.7以下の高屈折率材料により形成された高屈折率層とし、第2層、第4層、第6層、第8層、第10層および第12層をd線における屈折率が1.051以上1.7以下の中間屈折率材料により形成された中間屈折率層とし、第14層をd線における屈折率が1.37以上1.44以下の低屈折率材料により形成された低屈折率層とすることにより、垂直に入射する光に対して波長390nmから720nmまでの波長帯330nmにおける反射率を0.1%以下にできるものであり、製品性能の向上が可能となるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-22187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1で公知の反射防止膜には、未だ改善の余地があった。
すなわち、特許文献1で公知の反射防止膜は、一般的な可視光波長領域の大半である390nmから720nmまでの範囲での反射率0.1%以下を達成しているが、実際に人が色として感じ取れる波長領域は、JIS Z 8120の定義によれば、短波長限界はおおよそ360nmから400nmまで、長波長限界はおおよそ760nmから830nmまでであるため、390nm未満の可視光波長領域および720nmよりも大きい可視光波長領域において、十分に入射光を透過できない虞があった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するものであり、簡単な構成で、330nmより広い可視光波長領域の範囲において反射率が0.1%以下であり、フレアやゴーストなどと言われる光学特性を劣化させる要因を抑制可能な反射防止膜および反射防止膜を用いた光学部材、光学機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討の結果、例えば、反射防止膜を光学基板上に積層した際の光学基板側を第1層とした14層で構成した場合、第14層が最も屈折率が低く、第1層、第3層、第5層、第7層、第9層、第11層および第13層のそれぞれが、少なくとも隣り合う層よりも屈折率が高く、第2層、第4層、第6層、第8層、第10層および第12層のうち、いずれか1つの層の使用する波長領域における屈折率を1.4以上とすることで、可視光波長領域内の波長帯が330nmを越える広範囲においても、反射率を0.1%以下にできることを知見した。
【0010】
すなわち、本発明の反射防止膜は、光学基板上に屈折率の異なる複数の層を積層して形成される反射防止膜であって、前記反射防止膜は、前記光学基板から最も離れた層である最外層と、前記最外層と前記光学基板の間に形成された複数の第1種中間層および複数の第2種中間層とを少なくとも含み、前記各第1種中間層および前記各第2種中間層は、それぞれ少なくとも1つ以上の屈折率材料で形成され、前記最外層に隣接する層は、前記第2種中間層であり、前記反射防止膜は、前記第1種中間層と前記第2種中間層とが交互に積層され、且つ、前記各第1種中間層は、当該第1種中間層に隣接する前記第2種中間層より屈折率が低く形成されて、前記第2種中間層に挟まれる前記第1種中間層のうち少なくとも1層は、使用する波長域における屈折率が1.75以上2.7未満の屈折率に形成された特定中間層であり、前記特定中間層を除く前記第1種中間層は、使用する波長域における屈折率が1.4以上1.75未満であり、前記光学基板に隣接する層は、Ta で構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る反射防止膜によれば、反射防止膜は、最外層と、最外層と光学基板の間に形成された複数の第1種中間層および複数の第2種中間層とを含み、最外層に隣接する層は第2種中間層であり、反射防止膜は、第1種中間層と第2種中間層とが交互に積層され、且つ、各第1種中間層は、当該第1種中間層に隣接する第2種中間層より屈折率が低く形成されて、第2種中間層に挟まれる第1種中間層のうち少なくとも1層が、使用する波長域における屈折率が1.75以上2.7未満の屈折率に形成された特定中間層であり、特定中間層を除く第1種中間層は、使用する波長領域における屈折率が1.4以上1.75未満であり、光学基板に隣接する層は、Ta で構成されているため、可視光波長領域において、330nmよりも広い範囲で反射率を0.1%以下にでき、十分に入射光を透過できる。
また、最外層、第1種中間層、第2種中間層を、それぞれ安定して成形可能な膜厚に調整して形成することで、生産性の高さを維持しながら反射防止膜を光学基板上に形成することもできる。
【0012】
請求項2に記載の構成によれば、特定中間層は、最外層に隣接する第2種中間層に隣接する層に少なくとも形成されているため、可視光波長領域において、330nmよりも広い範囲で反射率を安定的に0.1%以下にでき、十分に入射光を透過できる。
請求項3に記載の構成によれば、最外層の、使用する波長域における屈折率が、1.3以上1.41以下であるため、可視光波長領域において、330nmよりも広い範囲で反射率をより安定的に0.1%以下にでき、十分に入射光を透過できる。
【0013】
請求項に記載の構成によれば、第2種中間層の、使用する波長域における屈折率は、2.7以下であるため、可視光波長領域において、330nmよりも広い範囲で反射率をより一層安定的に0.1%以下にでき、十分に入射光を透過できる。
【0014】
請求項6に記載の構成によれば、光学基板の屈折率は、1.4以上2.3以下であるため、可視光波長領域において、330nmよりも広い範囲で反射率をさらに一層安定的に0.1%以下にでき、十分に入射光を透過できる。
請求項7に記載の構成によれば、反射防止膜は、14層で構成され、光学基板上に積層した際の光学基板側を第1層とすると、第1層の物理膜厚は、2nm以上30nm以下であり、第2層の物理膜厚は、20nm以上70nm以下であり、第3層の物理膜厚は、20nm以上60nm以下であり、第4層の物理膜厚は、2nm以上20nm以下であり、第5層の物理膜厚は、60nm以上130nm以下であり、第6層の物理膜厚は、10nm以上45nm以下であり、第7層の物理膜厚は、5nm以上40nm以下であり、第8層の物理膜厚は、70nm以上150nm以下であり、第9層の物理膜厚は、3nm以上60nm以下であり、第10層の物理膜厚は、10nm以上50nm以下であり、第11層の物理膜厚は、20nm以上90nm以下であり、第12層の物理膜厚は、10nm以上60nm以下であり、第13層の物理膜厚は、2nm以上30nm以下であり、第14層の物理膜厚は、40nm以上200nm以下であるため、反射防止膜の各層の膜厚を、安定的に成形可能な厚さに確実に維持しながら、可視光波長領域において、330nmよりも広い範囲で反射率を安定的に0.1%以下にでき、十分に入射光を透過できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態(実施形態1)に係る反射防止膜100の模式図。
図2】本発明の一実施形態(実施形態1)に係る反射防止膜100の構成を示す表。
図3】本発明の一実施形態(実施形態1)に係る反射防止膜100の各可視光波長領域の入射光に対する反射率を示すグラフ。
図4】本発明の他の実施形態(実施形態2)に係る反射防止膜130の構成を示す表。
図5】本発明の他の実施形態(実施形態2)に係る反射防止膜130の各可視光波長領域の入射光に対する反射率を示すグラフ。
図6】本発明の他の実施形態(実施形態3)に係る反射防止膜160の構成を示す表。
図7】本発明の他の実施形態(実施形態3)に係る反射防止膜160の各可視光波長領域の入射光に対する反射率を示すグラフ。
図8】本発明の参考例参考形態1)に係る反射防止膜200の構成を示す表。
図9】本発明の参考例参考形態1)に係る反射防止膜200の各可視光波長領域の入射光に対する反射率を示すグラフ。
図10】本発明の他の実施形態(実施形態5)に係る反射防止膜230の構成を示す表。
図11】本発明の他の実施形態(実施形態5)に係る反射防止膜230の各可視光波長領域の入射光に対する反射率を示すグラフ。
図12】本発明の他の実施形態(実施形態6)に係る反射防止膜260の構成を示す表。
図13】本発明の他の実施形態(実施形態6)に係る反射防止膜260の各可視光波長領域の入射光に対する反射率を示すグラフ。
図14】本発明の参考例参考形態2)に係る反射防止膜300の構成を示す表。
図15】本発明の参考例参考形態2)に係る反射防止膜300の各可視光波長領域の入射光に対する反射率を示すグラフ。
図16】本発明の他の実施形態(実施形態8)に係る反射防止膜330の構成を示す表。
図17】本発明の他の実施形態(実施形態8)に係る反射防止膜330の各可視光波長領域の入射光に対する反射率を示すグラフ。
図18】本発明の他の実施形態(実施形態9)に係る反射防止膜360の構成を示す表。
図19】本発明の他の実施形態(実施形態9)に係る反射防止膜360の各可視光波長領域の入射光に対する反射率を示すグラフ。
図20】本発明の他の実施形態(実施形態10)に係る反射防止膜400の構成を示す表。
図21】本発明の他の実施形態(実施形態10)に係る反射防止膜400の各可視光波長領域の入射光に対する反射率を示すグラフ。
図22】本発明の他の実施形態(実施形態11)に係る反射防止膜430の構成を示す表。
図23】本発明の他の実施形態(実施形態11)に係る反射防止膜430の各可視光波長領域の入射光に対する反射率を示すグラフ。
図24】本発明の他の実施形態(実施形態12)に係る反射防止膜460の構成を示す表。
図25】本発明の他の実施形態(実施形態12)に係る反射防止膜460の各可視光波長領域の入射光に対する反射率を示すグラフ。
図26】本発明の他の実施形態(実施形態13)に係る反射防止膜500の構成を示す表。
図27】本発明の他の実施形態(実施形態13)に係る反射防止膜500の各可視光波長領域の入射光に対する反射率を示すグラフ。
図28】本発明の他の実施形態(実施形態14)に係る反射防止膜530の構成を示す表。
図29】本発明の他の実施形態(実施形態14)に係る反射防止膜530の各可視光波長領域の入射光に対する反射率を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の一実施形態に係る反射防止膜100について、図面に基づいて説明する。
【0017】
反射防止膜100は、図1に示すように、光学基板L上に異なる屈折率の層が、第1層101、第2層102、第3層103、第4層104、第5層105、第6層106、第7層107、第8層108、第9層109、第10層110、第11層111、第12層112、第13層113、第14層114の合計14層積層されて形成されるものであり、各層は、最外層、第1種中間層、第2種中間層に大別される。
最外層は、第14層114であり、反射防止膜100内で屈折率が最も低く形成されている。
【0018】
第1種中間層は、第2層102、第4層104、第6層106、第8層108、第10層110、第12層112であり、最外層よりも屈折率が高く形成されている。
第2種中間層は、第1層101、第3層103、第5層105、第7層107、第9層109、第11層111、第13層113であり、第1種中間層の屈折率以上の屈折率に形成されている。
【0019】
また、第1種中間層のうち、少なくとも1層は、使用する波長域における屈折率が1.41以上の屈折率に形成された特定中間層である。
また、第1種中間層と第2種中間層とは、隣接する層の屈折率の高低が交互に切り替わるように積層されている。
これによって、反射防止膜100を通る入射光の反射率を十分に低減することができる。
また、フレアやゴーストなどと言われる光学特性を劣化させる要因の抑制もできる。
【0020】
なお、最外層の屈折率の好適な範囲は、1.3以上1.41以下であり、特定中間層を除く第1種中間層の屈折率の好適な範囲は、1.4以上1.75未満であり、第2種中間層の屈折率の好適な範囲は、1.75以上2.7以下である。
また、反射防止膜100を形成する各層の物理膜厚の好適な範囲は、第1層101の物理膜厚は、2nm以上30nm以下であり、第2層102の物理膜厚は、20nm以上70nm以下であり、第3層103の物理膜厚は、20nm以上60nm以下であり、第4層104の物理膜厚は、2nm以上20nm以下であり、第5層105の物理膜厚は、60nm以上130nm以下であり、第6層106の物理膜厚は、10nm以上45nm以下であり、第7層107の物理膜厚は、5nm以上40nm以下であり、第8層108の物理膜厚は、70nm以上150nm以下であり、第9層109の物理膜厚は、3nm以上60nm以下であり、第10層110の物理膜厚は、10nm以上50nm以下であり、第11層111の物理膜厚は、20nm以上90nm以下であり、第12層112の物理膜厚は、10nm以上60nm以下であり、第13層113の物理膜厚は、2nm以上30nm以下であり、第14層114の物理膜厚は、40nm以上200nm以下である。
【0021】
反射防止膜100の各層の屈折率や物理膜厚をこのように規定することによって、成形性を維持しながら、入射光の反射率を十分に低減できる反射防止膜を提供できる。
なお、反射防止膜の各層の加工方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法でもよく、各種スパッタ蒸着や、イオンアシスト法、イオンプレーティング法による加工でもよい。
【0022】
次に、実施形態1として、本発明の一実施形態に係る反射防止膜100に関するシミュレーション条件および結果について、図1乃至図3に基づいて説明する。
反射防止膜100は、図1および図2に示すように、S-LAH55(株式会社オハラ製)で形成された光学基板L上に14層積層され、各層は、第1種中間層である第2層102、第4層104、第6層106、第8層108、第10層110はSiO、特定中間層である第12層112と第2種中間層である第1層101はTa、第1層101以外の第2種中間層である第3層103、第5層105、第7層107、第9層109、第11層111、第13層113はTiO、最外層である第14層114はMgFで形成されている。
各層の屈折率および物理膜厚は、図2に示す通りである。
なお、各層および光学基板Lの屈折率は、代表的な波長の光源に対してのものを示しており、MgFは、TiO、Ta、SiOは波長540nmの光源に対する屈折率を、S-LAH55は波長546nmの光源に対する屈折率を示す。
【0023】
上記のように構成された実施形態1の反射防止膜100の表面に入射光を照射した際の、各波長における反射率をシミュレーション上で求めた結果を図3に示す。
なお、本シミュレーションでは、実際の反射防止膜成形時に発生する誤差を考慮して、シミュレーション上で求めた結果の反射率が0.11未満の箇所を、反射率0.1以下であるものとする。
また、反射防止膜100の表面に対して入射光は垂直に入射するものとし、反射防止膜100および光学基板Lの周囲の雰囲気気体は空気とする。
実施形態1の反射防止膜100は、図3に示すように、反射率0.1以下となる最低波長が409nm(反射率0.0906)、反射率0.1以下となる最大波長が770nm(反射率0.1055)であることから、可視光波長領域における反射率0.1以下の範囲が、361nmの広範囲となる。
すなわち、実施形態1の反射防止膜100は、可視光波長領域において、広い範囲で十分に入射光を透過できる。
【0024】
以下、実施形態1と共通する内容については、一部説明を省略する。
【0025】
次に、実施形態2として、本発明の他の実施形態に係る反射防止膜130に関するシミュレーション条件および結果について、図1図4図5に基づいて説明する。
反射防止膜130は、図1および図4に示すように、S-TIH53(株式会社オハラ製)で形成された光学基板L上に14層積層され、各層は、第1種中間層である第2層102、第4層104、第6層106、第8層108、第10層110はSiO、特定中間層である第12層112と第2種中間層である第1層101はTa、第1層101以外の第2種中間層である第3層103、第5層105、第7層107、第9層109、第11層111、第13層113はTiO、最外層である第14層114はMgFで形成されている。
各層の屈折率および物理膜厚は、図4に示す通りである。
なお、S-TIH53の屈折率は、波長546nmの光源に対するものを示す。
【0026】
上記のように構成された実施形態2の反射防止膜130の表面に入射光を照射した際の、各波長における反射率をシミュレーション上で求めた結果を図5に示す。
実施形態2の反射防止膜130は、図5に示すように、反射率0.1以下となる最低波長が409nm(反射率0.0913)、反射率0.1以下となる最大波長が770nm(反射率0.1056)であることから、可視光波長領域における反射率0.1以下の範囲が、361nmの広範囲となる。
すなわち、実施形態2の反射防止膜130は、可視光波長領域において、広い範囲で十分に入射光を透過できる。
【0027】
次に、実施形態3として、本発明の他の実施形態に係る反射防止膜160に関するシミュレーション条件および結果について、図1図6図7に基づいて説明する。
反射防止膜160は、図1および図6に示すように、S-NPH2(株式会社オハラ製)で形成された光学基板L上に14層積層され、各層は、第1種中間層である第2層102、第4層104、第6層106、第8層108、第10層110はSiO、特定中間層である第12層112と第2種中間層である第1層101はTa、第1層101以外の第2種中間層である第3層103、第5層105、第7層107、第9層109、第11層111、第13層113はTiO、最外層である第14層114はMgFで形成されている。
各層の屈折率および物理膜厚は、図6に示す通りである。
なお、S-NPH2の屈折率は、波長546nmの光源に対するものを示す。
【0028】
上記のように構成された実施形態3の反射防止膜160の表面に入射光を照射した際の、各波長における反射率をシミュレーション上で求めた結果を図7に示す。
実施形態3の反射防止膜160は、図7に示すように、反射率0.1以下となる最低波長が408nm(反射率0.1069)、反射率0.1以下となる最大波長が770nm(反射率0.1058)であることから、可視光波長領域における反射率0.1以下の範囲が、362nmの広範囲となる。
すなわち、実施形態3の反射防止膜160は、可視光波長領域において、広い範囲で十分に入射光を透過できる。
【0029】
次に、参考形態1として、本発明の参考例の反射防止膜200に関するシミュレーション条件および結果について、図1図8図9に基づいて説明する。
反射防止膜200は、図1および図8に示すように、S-LAH79(株式会社オハラ製)で形成された光学基板L上に14層積層され、各層は、第1種中間層である第2層102、第4層104、第6層106、第8層108、第10層110はSiO、特定中間層である第12層112はTa、第2種中間層である第1層101、第3層103、第5層105、第7層107、第9層109、第11層111、第13層113はTiO、最外層である第14層114はMgFで形成されている。
各層の屈折率および物理膜厚は、図8に示す通りである。
なお、S-LAH79の屈折率は、波長546nmの光源に対するものを示す。
【0030】
上記のように構成された参考形態1の反射防止膜200の表面に入射光を照射した際の、各波長における反射率をシミュレーション上で求めた結果を図9に示す。
参考形態1の反射防止膜200は、図9に示すように、反射率0.1以下となる最低波長が408nm(反射率0.0860)、反射率0.1以下となる最大波長が766nm(反射率0.1055)であることから、可視光波長領域における反射率0.1以下の範囲が、358nmの広範囲となる。
すなわち、参考形態1の反射防止膜200は、可視光波長領域において、広い範囲で十分に入射光を透過できる。
【0031】
次に、実施形態5として、本発明の他の実施形態に係る反射防止膜230に関するシミュレーション条件および結果について、図1図10図11に基づいて説明する。
反射防止膜230は、図1および図10に示すように、S-LAL7(株式会社オハラ製)で形成された光学基板L上に14層積層され、各層は、第1種中間層である第2層102、第4層104、第6層106、第8層108、第10層110はSiO、特定中間層である第12層112および第2種中間層である第1層101はTa、第1層101以外の第2種中間層である第3層103、第5層105、第7層107、第9層109、第11層111、第13層113はTiO、最外層である第14層114はMgFで形成されている。
各層の屈折率および物理膜厚は、図10に示す通りである。
なお、S-LAL7の屈折率は、波長546nmの光源に対するものを示す。
【0032】
上記のように構成された実施形態5の反射防止膜230の表面に入射光を照射した際の、各波長における反射率をシミュレーション上で求めた結果を図11に示す。
実施形態5の反射防止膜230は、図11に示すように、反射率0.1以下となる最低波長が409nm(反射率0.0989)、反射率0.1以下となる最大波長が772nm(反射率0.1052)であることから、可視光波長領域における反射率0.1以下の範囲が、363nmの広範囲となる。
すなわち、実施形態5の反射防止膜230は、可視光波長領域において、広い範囲で十分に入射光を透過できる。
【0033】
次に、実施形態6として、本発明の他の実施形態に係る反射防止膜260に関するシミュレーション条件および結果について、図1図12図13に基づいて説明する。
反射防止膜260は、図1および図12に示すように、S-LAL10(株式会社オハラ製)で形成された光学基板L上に14層積層され、各層は、第1種中間層である第2層102、第4層104、第6層106、第8層108、第10層110はSiO、特定中間層である第12層112および第2種中間層である第1層101はTa、第1層101以外の第2種中間層である第3層103、第5層105、第7層107、第9層109、第11層111、第13層113はTiO、最外層である第14層114はMgFで形成されている。
各層の屈折率および物理膜厚は、図12に示す通りである。
なお、S-LAL10の屈折率は、波長546nmの光源に対するものを示す。
【0034】
上記のように構成された実施形態6の反射防止膜260の表面に入射光を照射した際の、各波長における反射率をシミュレーション上で求めた結果を図13に示す。
実施形態6の反射防止膜260は、図13に示すように、反射率0.1以下となる最低波長が409nm(反射率0.1000)、反射率0.1以下となる最大波長が771nm(反射率0.1044)であることから、可視光波長領域における反射率0.1以下の範囲が、362nmの広範囲となる。
すなわち、実施形態6の反射防止膜260は、可視光波長領域において、広い範囲で十分に入射光を透過できる。
【0035】
次に、参考形態2として、本発明の参考例の反射防止膜300に関するシミュレーション条件および結果について、図1図14図15に基づいて説明する。
反射防止膜300は、図1および図14に示すように、K-GIR140(株式会社住田光学ガラス製)で形成された光学基板L上に14層積層され、各層は、第1種中間層である第2層102、第4層104、第6層106、第8層108、第10層110はSiO、特定中間層である第12層112および第2種中間層である第5層105はTa、第5層105以外の第2種中間層である第1層101、第3層103、第7層107、第9層109、第11層111、第13層113はTiO、最外層である第14層114はMgFで形成されている。
各層の屈折率および物理膜厚は、図14に示す通りである。
なお、K-GIR140の屈折率は、波長546nmの光源に対するものを示す。
【0036】
上記のように構成された参考形態2の反射防止膜300の表面に入射光を照射した際の、各波長における反射率をシミュレーション上で求めた結果を図15に示す。
参考形態2の反射防止膜300は、図15に示すように、反射率0.1以下となる最低波長が407nm(反射率0.0897)、反射率0.1以下となる最大波長が771nm(反射率0.1054)であることから、可視光波長領域における反射率0.1以下の範囲が、364nmの広範囲となる。
すなわち、実施形態7の反射防止膜300は、可視光波長領域において、広い範囲で十分に入射光を透過できる。
【0037】
次に、実施形態8として、本発明の他の実施形態に係る反射防止膜330に関するシミュレーション条件および結果について、図1図16図17に基づいて説明する。
反射防止膜300は、図1および図16に示すように、S-LAH66(株式会社オハラ製)で形成された光学基板L上に14層積層され、各層は、第1種中間層である第2層102、第4層104、第6層106、第8層108、第10層110はSiO、特定中間層である第12層112および第2種中間層である第1層101はTa、第1層101以外の第2種中間層である第3層103、第5層105、第7層107、第9層109、第11層111、第13層113はTiO、最外層である第14層114はMgFで形成されている。
各層の屈折率および物理膜厚は、図16に示す通りである。
なお、S-LAH66の屈折率は、波長546nmの光源に対するものを示す。
【0038】
上記のように構成された実施形態8の反射防止膜330の表面に入射光を照射した際の、各波長における反射率をシミュレーション上で求めた結果を図17に示す。
実施形態8の反射防止膜330は、図17に示すように、反射率0.1以下となる最低波長が409nm(反射率0.0967)、反射率0.1以下となる最大波長が771nm(反射率0.1081)であることから、可視光波長領域における反射率0.1以下の範囲が、362nmの広範囲となる。
すなわち、実施形態8の反射防止膜330は、可視光波長領域において、広い範囲で十分に入射光を透過できる。
【0039】
次に、実施形態9として、本発明の他の実施形態に係る反射防止膜360に関するシミュレーション条件および結果について、図1図18図19に基づいて説明する。
反射防止膜360は、図1および図18に示すように、合成石英で形成された光学基板L上に14層積層され、各層は、第1種中間層である第2層102、第4層104、第6層106、第8層108、第10層110はSiO、特定中間層である第12層112および第2種中間層である第1層101はTa、第1層101以外の第2種中間層である第3層103、第5層105、第7層107、第9層109、第11層111、第13層113はTiO、最外層である第14層114はMgFで形成されている。
各層の屈折率および物理膜厚は、図18に示す通りである。
なお、合成石英の屈折率は、波長540nmの光源に対するものを示す。
【0040】
上記のように構成された実施形態9の反射防止膜360の表面に入射光を照射した際の、各波長における反射率をシミュレーション上で求めた結果を図19に示す。
実施形態9の反射防止膜360は、図19に示すように、反射率0.1以下となる最低波長が408nm(反射率0.0966)、反射率0.1以下となる最大波長が771nm(反射率0.1046)であることから、可視光波長領域における反射率0.1以下の範囲が、363nmの広範囲となる。
すなわち、実施形態9の反射防止膜360は、可視光波長領域において、広い範囲で十分に入射光を透過できる。
【0041】
次に、実施形態10として、本発明の他の実施形態に係る反射防止膜400に関するシミュレーション条件および結果について、図1図20図21に基づいて説明する。
反射防止膜400は、図1および図20に示すように、BK7で形成された光学基板L上に14層積層され、各層は、第1種中間層である第2層102、第4層104、第6層106、第8層108、第10層110はSiO、特定中間層である第12層112および第2種中間層である第1層101、第3層103はTa、第1層101および第3層103以外の第2種中間層である第5層105、第7層107、第9層109、第11層111、第13層113はTiO、最外層である第14層114はMgFで形成されている。
各層の屈折率および物理膜厚は、図20に示す通りである。
なお、BK7の屈折率は、波長540nmの光源に対するものを示す。
【0042】
上記のように構成された実施形態10の反射防止膜400の表面に入射光を照射した際の、各波長における反射率をシミュレーション上で求めた結果を図21に示す。
実施形態10の反射防止膜400は、図21に示すように、反射率0.1以下となる最低波長が405nm(反射率0.1043)、反射率0.1以下となる最大波長が772nm(反射率0.1071)であることから、可視光波長領域における反射率0.1以下の範囲が、367nmの広範囲となる。
すなわち、実施形態10の反射防止膜400は、可視光波長領域において、広い範囲で十分に入射光を透過できる。
【0043】
次に、実施形態11として、本発明の他の実施形態に係る反射防止膜430に関するシミュレーション条件および結果について、図1図22図23に基づいて説明する。
反射防止膜430は、図1および図22に示すように、S-BAL42(株式会社オハラ製)で形成された光学基板L上に14層積層され、各層は、第1種中間層である第2層102、第4層104、第6層106、第8層108、第10層110はSiO、特定中間層である第12層112および第2種中間層である第1層101、第3層103はTa、第1層101および第3層103以外の第2種中間層である第5層105、第7層107、第9層109、第11層111、第13層113はTiO、最外層である第14層114はMgFで形成されている。
各層の屈折率および物理膜厚は、図22に示す通りである。
なお、S-BAL42の屈折率は、波長546nmの光源に対するものを示す。
【0044】
上記のように構成された実施形態11の反射防止膜430の表面に入射光を照射した際の、各波長における反射率をシミュレーション上で求めた結果を図23に示す。
実施形態11の反射防止膜430は、図23に示すように、反射率0.1以下となる最低波長が407nm(反射率0.0897)、反射率0.1以下となる最大波長が771nm(反射率0.1054)であることから、可視光波長領域における反射率0.1以下の範囲が、364nmの広範囲となる。
すなわち、実施形態11の反射防止膜430は、可視光波長領域において、広い範囲で十分に入射光を透過できる。
【0045】
次に、実施形態12として、本発明の他の実施形態に係る反射防止膜460に関するシミュレーション条件および結果について、図1図24図25に基づいて説明する。
反射防止膜460は、図1および図24に示すように、S-BSM16(株式会社オハラ製)で形成された光学基板L上に14層積層され、各層は、第1種中間層である第2層102、第4層104、第6層106、第8層108、第10層110はSiO、特定中間層である第12層112および第2種中間層である第1層101はTa、第1層101以外の第2種中間層である第3層103、第5層105、第7層107、第9層109、第11層111、第13層113はTiO、最外層である第14層114はMgFで形成されている。
各層の屈折率および物理膜厚は、図24に示す通りである。
なお、S-BSM16の屈折率は、波長546nmの光源に対するものを示す。
【0046】
上記のように構成された実施形態12の反射防止膜460の表面に入射光を照射した際の、各波長における反射率をシミュレーション上で求めた結果を図25に示す。
実施形態12の反射防止膜460は、図25に示すように、反射率0.1以下となる最低波長が409nm(反射率0.0961)、反射率0.1以下となる最大波長が773nm(反射率0.1094)であることから、可視光波長領域における反射率0.1以下の範囲が、364nmの広範囲となる。
すなわち、実施形態12の反射防止膜460は、可視光波長領域において、広い範囲で十分に入射光を透過できる。
【0047】
次に、実施形態13として、本発明の他の実施形態に係る反射防止膜500に関するシミュレーション条件および結果について、図1図26図27に基づいて説明する。
反射防止膜500は、図1および図26に示すように、BK7で形成された光学基板L上に14層積層され、各層は、特定中間層を含む第1種中間層である第2層102、第4層104、第6層106、第8層108、第10層110、第12層112はSiO、第2種中間層である第1層101、第3層103はTa、第1層101、第3層103以外の第2種中間層である第5層105、第7層107、第9層109、第11層111、第13層113はTiO、最外層である第14層114はMgFで形成されている。
各層の屈折率および物理膜厚は、図26に示す通りである。
【0048】
上記のように構成された実施形態13の反射防止膜500の表面に入射光を照射した際の、各波長における反射率をシミュレーション上で求めた結果を図27に示す。
実施形態13の反射防止膜500は、図27に示すように、反射率0.1以下となる最低波長が407nm(反射率0.0884)、反射率0.1以下となる最大波長が767nm(反射率0.1042)であることから、可視光波長領域における反射率0.1以下の範囲が、364nmの広範囲となる。
すなわち、実施形態13の反射防止膜500は、可視光波長領域において、広い範囲で十分に入射光を透過できる。
【0049】
次に、実施形態14として、本発明の他の実施形態に係る反射防止膜530に関するシミュレーション条件および結果について、図1図28図29に基づいて説明する。
反射防止膜530は、図1および図28に示すように、BK7で形成された光学基板L上に14層積層され、各層は、第1種中間層である第2層102、第4層104、第6層106、第8層108、第10層110はSiO、特定中間層である第12層112はAL2O3、第2種中間層である第1層101、第3層103はTa、第1層101、第3層103以外の第2種中間層である第5層105、第7層107、第9層109、第11層111、第13層113はTiO、最外層である第14層114はMgFで形成されている。
各層の屈折率および物理膜厚は、図28に示す通りである。
なお、ALの屈折率は、波長540nmのものを示す。
【0050】
上記のように構成された実施形態14の反射防止膜530の表面に入射光を照射した際の、各波長における反射率をシミュレーション上で求めた結果を図29に示す。
実施形態14の反射防止膜530は、図29に示すように、反射率0.1以下となる最低波長が407nm(反射率0.0916)、反射率0.1以下となる最大波長が767nm(反射率0.1048)であることから、可視光波長領域における反射率0.1以下の範囲が、360nmの広範囲となる。
すなわち、実施形態14の反射防止膜530は、可視光波長領域において、広い範囲で十分に入射光を透過できる。
【0051】
以上のシミュレーション結果より、本発明の反射防止膜は、可視光波長領域において、330nmよりも広い連続する波長範囲で反射率0.1%以下を達成できた。
【0052】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0053】
なお、上述した実施形態では、光学基板はS-LAH55、S-TIH53、S-NPH2、S-LAH79、S-LAL7、S-LAL10、K-GIR140、S-LAH66、合成石英、BK7、S-BAL42、S-BSM16、第1種中間層はSiO、特定中間層はSiO、Al2O、Ta、第2種中間層はTiO、Ta、最外層はMgFで形成されているものとして説明したが、光学基板や反射防止膜の各層を形成する屈折率材料はこれに限定されず、各層ごとに求められる屈折率を有するものであれば、単体の屈折率材料によって形成された層であってもよく、複数の屈折率材料によって形成された層であってもよい。
また、上述した実施形態では、反射防止膜は14層で構成されているものとして説明したが、反射防止膜の層構成はこれに限定されず、例えば、13層以下で構成されていてもよく、15層以上で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
100 ・・・ 反射防止膜
101 ・・・ 第1層
102 ・・・ 第2層
103 ・・・ 第3層
104 ・・・ 第4層
105 ・・・ 第5層
106 ・・・ 第6層
107 ・・・ 第7層
108 ・・・ 第8層
109 ・・・ 第9層
110 ・・・ 第10層
111 ・・・ 第11層
112 ・・・ 第12層
113 ・・・ 第13層
114 ・・・ 第14層(最外層)
L ・・・ 光学基板
図1
図2
図3
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図8
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