(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】曲げ機械用の追従装置
(51)【国際特許分類】
B21D 5/02 20060101AFI20230816BHJP
B25J 9/10 20060101ALI20230816BHJP
B21D 5/04 20060101ALN20230816BHJP
【FI】
B21D5/02 W
B25J9/10 A
B21D5/04 J
(21)【出願番号】P 2019127686
(22)【出願日】2019-07-09
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】394019082
【氏名又は名称】コマツ産機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】佐野 成則
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-248521(JP,A)
【文献】特開昭61-063318(JP,A)
【文献】特開平02-104418(JP,A)
【文献】国際公開第2001/003864(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/02
B25J 9/10
B21D 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲げ機械によって曲げ加工されるワークを支持するための追従装置であって、
前記ワークを支持するための支持台と、
前記追従装置の左右方向に延び、前記支持台に接続された第1回転軸と、
前記第1回転軸と同軸に配置された第1出力軸を含み、前記第1出力軸は前記第1回転軸に接続されている第1減速機と、
前記第1減速機に接続され、前記第1回転軸回りに前記支持台を回転させることで前記支持台を傾斜させる第1モータと、
前記支持台を上下方向に移動可能に支持する昇降装置と、
を備え
、
前記昇降装置は、
前記支持台を支持し、互いに回転可能に接続された複数のリンクと、
前記複数のリンクの少なくとも1つに接続された第2回転軸と、
前記第2回転軸に接続された第2減速機と、
前記第2減速機に接続された第2モータと、
を含み、
前記昇降装置は、前記第2回転軸回りに前記複数のリンクの少なくとも1つを回転させることで、前記支持台を上下方向に移動させる、
追従装置。
【請求項2】
前記昇降装置は、前記支持台と共に、前記第1減速機と前記第1モータとを上下方向に移動可能に支持する、
請求項1に記載の追従装置。
【請求項3】
前記第1減速機と前記第1モータとを支持するフレームをさらに備え、
前記昇降装置は、前記フレームを上下方向に移動可能に支持する、
請求項1又は2に記載の追従装置。
【請求項4】
前記支持台は、前記フレームに対して前記第1回転軸回りに回転可能である、
請求項3に記載の追従装置。
【請求項5】
前記第2減速機は、前記第2回転軸に接続された第2出力軸を含み、
前記第2出力軸は、前記第2回転軸と同軸に配置されている、
請求項
1から4のいずれかに記載の追従装置。
【請求項6】
前記昇降装置を、前記追従装置の前後方向に移動可能に支持する前後移動装置をさらに備える、
請求項1から
5のいずれかに記載の追従装置。
【請求項7】
前記前後移動装置は、
前記昇降装置を支持する可動部材と、
前記可動部材を前記追従装置の前後方向に移動可能に支持するベース部材と、
前記追従装置の前後方向に延び、前記可動部材に接続されたすべりネジと、
前記すべりネジに接続された第3減速機と、
前記第3減速機に接続された第3モータと、
を含む、
請求項
6に記載の追従装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、曲げ機械によって曲げ加工されるワークを支持するための追従装置に関する。
【背景技術】
【0002】
曲げ機械では、ダイ上にワークが配置され、パンチによってワークが押圧されることで、ワークが曲げられる。曲げ加工中、或いは曲げ加工後にワークを支持するために、追従装置が用いられる。追従装置は、ワークが配置される支持台を含む。追従装置は、曲げ加工によるワークの変形に応じて支持台を動作させる。それにより、ワークが支持台に支持される。
【0003】
例えば特許文献1に開示されている追従装置は、支持台が複数のリンクによって支持されている。複数のリンクの1つがアクチュエータによって回転することで、複数のリンクがそれぞれ互いに回転する。それにより、支持台が、上昇しながら傾動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の追従装置では、複数のリンクが動作することで、支持台が傾動する。そのため、支持台の傾動動作は、複数のリンクの構成によって定まる。従って、傾動動作の自由度が低い。また、支持台の傾動動作から独立して、支持台を昇降させることは困難である。そのため、従来の追従装置では、追従動作の自由度が低い。
【0006】
一方、支持台の傾動のためにアクチュエータが設けられる場合には、アクチュエータを配置するためのスペースが追従装置に必要となる。そのため、追従装置が大型化する。また、支持台の傾動のためにリンクの構造が複雑化すると。追従装置がさらに大型化してしまう。
【0007】
本開示の目的は、追従装置の大型化を抑えながら、追従動作の自由度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る追従装置は、曲げ機械によって曲げ加工されるワークを支持するための追従装置である。追従装置は、支持台と、第1回転軸と、第1減速機と、第1モータと、昇降装置とを備える。支持台は、ワークを支持する。第1回転軸は、追従装置の左右方向に延びている。第1回転軸は、支持台に接続されている。第1減速機は、第1回転軸と同軸に配置された第1出力軸を含む。第1出力軸は、第1回転軸に接続されている。第1モータは、第1減速機に接続されている。第1モータは、第1回転軸回りに支持台を回転させることで、支持台を傾斜させる。昇降装置は、支持台を上下方向に移動可能に支持する。
【0009】
本態様に係る追従装置では、第1モータの回転が、第1減速機を介して、第1回転軸に伝達される。それにより、支持台が第1回転軸回りに回転することで、傾動する。そのため、支持台が複数のリンクの動作によって傾動する場合と比べて、傾動動作の自由度が高い。また、支持台は、昇降装置によって昇降する。そのため、傾動動作から独立して、支持台を昇降させることができる。それにより、追従動作の自由度が向上する。
【0010】
また、第1減速機の第1出力軸は、第1回転軸と同軸に配置され、第1回転軸に接続されている。そのため、第1減速機と第1回転軸とをコンパクトに配置することができる。それにより、追従装置の大型化が抑えられる。さらに、第1モータは、第1減速機を介して、第1回転軸に接続される。そのため、第1回転軸を回転させるための十分な出力を得ながら、第1モータを小型化することができる。それにより、追従装置の大型化が抑えられる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、追従装置の大型化を抑えながら、追従動作の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る曲げ機械と追従装置とを示す正面図である。
【
図3】曲げ機械および追従装置の制御システムを示すブロック図である。
【
図8】第1減速機の内部の構造を示す斜視図である。
【
図10A】追従装置による支持台の動作の一例を示す図である。
【
図10B】追従装置による支持台の動作の一例を示す図である。
【
図11A】追従装置による支持台の動作の一例を示す図である。
【
図11B】追従装置による支持台の動作の一例を示す図である。
【
図12】曲げ加工時の追従装置の制御の一例を示すタイミングチャートである。
【
図13A】曲げ加工時の追従装置による支持台の動作の一例を示す図である。
【
図13B】曲げ加工時の追従装置による支持台の動作の一例を示す図である。
【
図14A】曲げ加工時の追従装置による支持台の動作の一例を示す図である。
【
図14B】曲げ加工時の追従装置による支持台の動作の一例を示す図である。
【
図15A】曲げ加工時の追従装置による支持台の動作の一例を示す図である。
【
図15B】曲げ加工時の追従装置による支持台の動作の一例を示す図である。
【
図16】曲げ加工時の追従装置による支持台の動作の一例を示す図である。
【
図17A】曲げ加工時の追従装置による支持台の動作の一例を示す図である。
【
図17B】曲げ加工時の追従装置による支持台の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施形態にかかる曲げ機械のための追従装置について説明する。
図1は、実施形態に係る曲げ機械1と追従装置2とを示す正面図である。
図2は、曲げ機械1と追従装置2とを示す側面図である。
図3は、曲げ機械1および追従装置2の制御システムを示すブロック図である。
図2に示すように、曲げ機械1は、板状のワークW1を曲げるための機械である。曲げ機械1は、本体フレーム11と、固定テーブル12と、ラム13と、駆動装置14と、操作盤15と、曲げコントローラ16とを含む。
【0014】
固定テーブル12は、本体フレーム11に固定されている。固定テーブル12の上面には、ダイ17が装着可能である。ラム13は、固定テーブル12の上方に配置されている。ラム13は、本体フレーム11に対して上下に移動可能に支持されている。ラム13の下面には、パンチ18が装着可能である。ラム13は、下降して固定テーブル12に接近する。ワークW1は、ダイ17とパンチ18とによって押圧されることで曲げられる。駆動装置14は、ラム13を上下に移動させる。駆動装置14は、例えば油圧シリンダを含んでもよい。或いは、駆動装置14は、電動モータなどの他の駆動装置であってもよい。
【0015】
操作盤15は、オペレータによって操作可能である。操作盤15は、例えばハードキーなどの入力装置19を含む。或いは、操作盤15は、タッチスクリーンなどの他の入力装置を含んでもよい。操作盤15は、オペレータによる操作を示す信号を出力する。オペレータは、曲げ加工を行う際に、ワークデータ、金型データ、および機械データなどのデータを入力する。ワークデータは、ワークW1の材質、及び曲げ角度などを示すデータを含む。金型データは、パンチ18及びダイ17の形状を示すデータを含む。機械データは、ラム13を動作させるためのスピード、及びストロークなどを示すデータを含む。
【0016】
曲げコントローラ16は、CPUなどのプロセッサと、RAM及びROMなどのメモリとを含む。曲げコントローラ16は、曲げ機械1を制御するためのデータ及びプログラムを記憶している。曲げコントローラ16は、操作盤15と通信可能に接続されている。曲げコントローラ16は、駆動装置14と通信可能に接続されている。曲げコントローラ16は、操作盤15から出力される信号に応じて、曲げ機械1の動作を制御する。
【0017】
追従装置2は、曲げ加工されるワークW1を支持する。
図2に示すように、追従装置2は、支持台21とハウジング22とを含む。支持台21は、ワークW1を支持する。追従装置2は、曲げ加工されるワークW1の動きに応じて、自動的に支持台21を動作させる。ハウジング22は、支持台21の下方に配置されている。
図4及び
図5は、追従装置2の斜視図である。
図6及び
図7は、追従装置2の側面図である。
図4~
図7では、ハウジング22が省略されている。
【0018】
以下の説明において、追従装置2の前後左右の方向は、次のように定義される。追従装置2の前方は、追従装置2が曲げ機械1に対して設置されるときに、追従装置2から曲げ機械1に向かう方向として定義される。追従装置2の後方は、追従装置2の前方の反対の方向として定義される。追従装置2の左方と右方とは、それぞれ追従装置2から曲げ機械1を見たときの左方と右方として定義される。
【0019】
図4に示すように、支持台21は、平坦な上面を含む。ワークW1は、支持台21の上面上に配置される。追従装置2は、保持装置23を含む。保持装置23は、支持台21の上面に配置されている。
図4では、保持装置23の1つのみに符号23が付されており、他の保持装置の符号は省略されている。保持装置の数は、2つ以上に限らず、1つであってもよい。
【0020】
保持装置23は、オン状態とオフ状態とに切り換えられる。保持装置23は、オン状態で、ワークW1を支持台21上に保持する。保持装置23は、オフ状態で、ワークW1を支持台21から解放する。保持装置23は、磁力、或いは真空吸着などの保持力によってワークW1を保持してもよい。保持装置23は、例えば、電磁石を含み、電磁石への電力のオン/オフによって、オン状態とオフ状態とに切り換えられてもよい。或いは、保持装置23は、例えば、コンプレッサを含み、コンプレッサの駆動のオン/オフによって、オン状態とオフ状態とに切り換えられてもよい。
【0021】
図4及び
図6は、支持台21が水平な状態での追従装置2を示している。
図5及び
図7は、支持台21が傾斜した状態での追従装置2を示している。
図5~
図7に示すように、追従装置2は、傾動装置24と、昇降装置25と、前後移動装置26を含む。傾動装置24は、支持台21を傾動させる。
図5に示すように、傾動装置24は、第1フレーム31と、第1回転軸32と、第1減速機33と、第1モータ34とを含む。
【0022】
第1フレーム31は、第1減速機33と第1モータ34とを支持する。第1フレーム31は、第1側板35と、第2側板36と、連結部材37とを含む。第1側板35と第2側板36とは、左右方向に互いに並んで配置されている。第1側板35と第2側板36とは、前後方向に延びている。連結部材37は、第1側板35と第2側板36とを連結している。第1側板35は、前後方向に延びる第1長孔38を含む。第2側板36は、前後方向に延びる第2長孔39を含む。
【0023】
第1回転軸32は、左右方向に延びている。第1回転軸32は、支持台21に接続されている。第1回転軸32は、左右方向に第1フレーム31を貫通している。第1回転軸32は、第1側板35から左方に突出している。第1回転軸32は、第2側板36から右方に突出している。
【0024】
第1減速機33と第1モータ34とは、第1側板35と第2側板36との間に配置されている。第1モータ34は、第1減速機33に接続されている。第1モータ34は、例えばサーボモータである。第1モータ34は、第1減速機33の後方に配置されている。第1モータ34は、第1回転軸32回りに支持台21を回転させる。
【0025】
図8は、第1減速機33の内部の構造を示す斜視図である。
図8に示すように、第1減速機33は、第1ギア41と、第2ギア42と、第3ギア43と、第4ギア44と、第1出力軸45と、ギアケース46とを含む。第1ギア41は、第1モータ34の出力軸48に接続される。第1モータ34の出力軸48は、前後方向に延びている。第2ギア42は、第1ギア41と噛み合っている。第1ギア41と第2ギア42とは、例えばスパイラル・ベベルギアである。第3ギア43は、第2ギア42に接続されている。第4ギア44は、第3ギア43と噛み合って合っている。第3ギア43と第4ギア44とは、ピニオンギアである。ただし、第1~第4ギア41-44は、これらのギアに限らず、他の種類のギアであってもよい。
【0026】
第1出力軸45は、第4ギア44に接続されている。第1出力軸45は、左右方向に延びている。第1出力軸45は、第1回転軸32と同軸に配置される。第1出力軸45は第1回転軸32に接続されている。詳細には、第1出力軸45は、左右方向に、第1出力軸45を貫通する孔47を含む。第1回転軸32は、第1出力軸45の孔47に挿入されており、第1出力軸45に固定されている。第1~第4ギア41-44は、ギアケース46内に収容されている。ギアケース46は、第1出力軸45を回転可能に支持している。
【0027】
傾動装置24は、第1モータ34によって、支持台21を第1回転軸32回りに回転させる。それにより、
図7に示すように、支持台21の上面の水平方向に対する傾斜角度が変更される。なお、昇降装置25及び前後移動装置26が駆動されていない状態では、傾動装置24が支持台21の傾動角度を変更しても、支持台21の上下方向の位置、及び、前後方向の位置は維持される。すなわち、傾動装置24は、昇降装置25及び前後移動装置26から独立して、支持台21を傾動させる。
【0028】
昇降装置25は、支持台21を上下方向に移動可能に支持する。昇降装置25は、支持台21と共に、傾動装置24を上下方向に移動可能に支持する。
図5に示すように、昇降装置25は、第1リンク機構51と、第2リンク機構52と、第2回転軸53と、第2減速機54と、第2モータ55と、第2フレーム56とを含む。
【0029】
第1リンク機構51と第2リンク機構52とは、支持台21を支持している。第1リンク機構51と第2リンク機構52とは、第1フレーム31の下方に配置されている。第1リンク機構51と第2リンク機構52とは、左右方向に互いに並んで配置されている。第1リンク機構51と第2リンク機構52とは、第1フレーム31に接続されている。
図6に示すように、第1リンク機構51と第2リンク機構52とは、第1連結シャフト75と第2連結シャフト76とによって、互いに連結されている。第1連結シャフト75と第2連結シャフト76とは、左右方向に延びている。第1リンク機構51と第2リンク機構52とは、いわゆるパンタグラフ式のリンク構造を有している。
【0030】
第2回転軸53は、左右方向に延びている。追従装置2の側面視において、第2回転軸53は、第1回転軸32の直下に位置している。第2減速機54は、第2回転軸53に接続されている。第2モータ55は、第2減速機54に接続されている。第2減速機54及び第2モータ55は、第1減速機33及び第1モータ34と同様の構成を有している。
【0031】
図6に示すように、第2減速機54は、第2出力軸57を含む。第2出力軸57は、第2回転軸53に接続されている。第2出力軸57は、第2回転軸53と同軸に配置されている。図示を省略するが、第2出力軸57は、第1出力軸45と同様に、左右方向に、第2出力軸57を貫通する孔を含む。第2回転軸53は、第2出力軸57の孔に挿入されており、第2出力軸57に固定されている。
【0032】
第2フレーム56は、第2回転軸53を回転可能に支持している。第2フレーム56は、第1リンク機構51と、第2リンク機構52と、第2減速機54と、第2モータ55とを支持している。
図5に示すように、第2フレーム56は、底板58と、第3側板59と、第4側板60とを含む。第3側板59と第4側板60とは、底板58上に配置されている。第3側板59と第4側板60とは、前後方向に延びている。第3側板59と第4側板60とは、左右方向に互いに並んで配置されている。第3側板59は、前後方向に延びる第3長孔61を含む。第4側板60は、前後方向に延びる第4長孔62を含む。
【0033】
第1リンク機構51は、複数のリンクを含む。複数のリンクは、互いに回転可能に接続されている。第2リンク機構52は、複数のリンクを含む。複数のリンクは、互いに回転可能に接続されている。第1リンク機構51と第2リンク機構52とは、第2回転軸53に接続されている。第2回転軸53が回転することで、第1リンク機構51と第2リンク機構52とは、上下方向に伸縮する。
【0034】
詳細には、第1リンク機構51は、第1リンク63と、第2リンク64と、第3リンク65と、第4リンク66とを含む。第1リンク63と第2リンク64とは、互いに回転可能にX状に接続されている。第3リンク65と第4リンク66とは、互いに回転可能にX状に接続されている。
【0035】
第1リンク63の一方の端部は、第1回転軸32に回転可能に接続されている。第1リンク63の他方の端部は、第3リンク65の一方の端部に回転可能に接続されている。第3リンク65の他方の端部は、第2回転軸53に接続されている。第2リンク64の一方の端部は、第1摺動シャフト67に接続されている。第1摺動シャフト67は、第1側板35の第1長孔38内に配置されている。第1摺動シャフト67は、第1長孔38に沿って摺動可能である。第2リンク64の他方の端部は、第4リンク66の一方の端部に、回転可能に接続されている。第4リンク66の他方の端部は、第3摺動シャフト68に接続されている。第3摺動シャフト68は、第3側板59の第3長孔61内に配置されている。第3摺動シャフト68は、第3長孔61に沿って摺動可能である。
【0036】
第2リンク機構52は、第5リンク69と、第6リンク70と、第7リンク71と、第8リンク72とを含む。第5~第8リンク69-72は、それぞれ第1~第4リンク63-66と同様の構造を有している。第5リンク69は、第1回転軸32に回転可能に接続されている。第7リンク71は、第2回転軸53に接続されている。第6リンク70は、第2摺動シャフト73に接続されている。第2摺動シャフト73は、第2側板36の第2長孔39内に配置されている。第2摺動シャフト73は、第2長孔39内に沿って摺動可能である。第8リンク72は、第4摺動シャフト74に接続されている。第4摺動シャフト74は、第4側板60の第4長孔62内に配置されている。第4摺動シャフト74は、第4長孔62内に沿って摺動可能である。
【0037】
昇降装置25は、第2モータ55によって、第3リンク65と第7リンク71とを、第2回転軸53回りに回転させる。それにより、
図6及び
図7に示すように、第1リンク機構51と第2リンク機構52とが上下方向に伸縮する。それにより、支持台21の上面の高さが変更される。なお、傾動装置24及び前後移動装置26が駆動されていない状態では、昇降装置25が支持台21の高さを変更しても、支持台21の傾斜角度、及び、前後方向の位置は維持される。すなわち、昇降装置25は、傾動装置24及び前後移動装置26から独立して、支持台21を上下に移動させる。
【0038】
前後移動装置26は、前後方向に移動可能に昇降装置25を支持する。
図9は、前後移動装置26の斜視図である。
図9に示すように、前後移動装置26は、可動部材81と、ベース部材82と、すべりネジ83と、第3減速機84と、第3モータ85とを含む。可動部材81は、昇降装置25の第2フレーム56を支持している。可動部材81は、第1側部86と第2側部87と連結部88とを含む。第1側部86と第2側部87とは、前後方向に延びている。第1側部86と第2側部87とは、左右方向に互いに並んで配置されている。連結部88は、第1側部86と第2側部87とを連結している。
【0039】
可動部材81は、前後方向に移動可能にベース部材82に支持されている。ベース部材82は、第1レール89と第2レール90とを含む。可動部材81は、第1レール89及び第2レール90上に配置されている。可動部材81は、第1レール89及び第2レール90上を前後方向に移動可能である。可動部材81には、ナット部91が取り付けられている。
【0040】
すべりネジ83と第3減速機84と第3モータ85とは、第1側部86と第2側部87との間に配置されている。すべりネジ83は、前後方向に延びている。すべりネジ83は、ナット部91に螺合している。すべりネジ83は、ナット部91を介して、可動部材81に接続されている。第3減速機84は、すべりネジ83に接続されている。図示を省略するが、第3減速機84は、第1減速機33及び第2減速機54と同様に、複数のギアを含む。第3モータ85は、第3減速機84の後方に配置されている。第3モータ85は、第3減速機84に接続されている。第3モータ85は、例えばサーボモータである。
【0041】
前後移動装置26は、第3モータ85によって、すべりネジ83を回転させる。それにより、可動部材81が前後方向に移動する。なお、傾動装置24及び昇降装置25が駆動されていない状態では、前後移動装置26が支持台21を前後方向に移動させても、支持台21の傾斜角度、及び、上下方向に高さは維持される。すなわち、前後移動装置26は、傾動装置24、及び、昇降装置25から独立して、支持台21を前後方向に移動させる。
【0042】
なお、
図4に示すように、追従装置2は、複数の走行ローラ92を含む。なお、図面において、複数の走行ローラ92の1つのみに符号92が付されており、他の走行ローラの符号は省略されている。複数の走行ローラ92は、ベース部材82に取り付けられている。複数の走行ローラ92は、前後方向に延びる回転軸回りに回転可能である。追従装置2は、複数の走行ローラ92によって左右方向に移動可能である。
【0043】
追従装置2は、複数のストッパ93を含む。なお、図面において、複数のストッパ93の1つのみに符号93が付されており、他のストッパの符号は省略されている。ストッパ93は、ベース部材82に取り付けられている。ストッパ93は、上下に移動可能に設けられている。ストッパ93を下降させることにより、ストッパ93が地面に接触する。それにより、追従装置2の移動が規制される。ストッパ93を上降させることにより、ストッパ93が地面から離れる。それにより、追従装置2が移動可能となる。
【0044】
図2に示すように、曲げ機械1には、ガイドレール94が取り付けられている。ガイドレール94は、曲げ機械1の左右方向に延びている。追従装置2は、複数のガイドローラ95を含む。なお、図面において、複数のガイドローラ95の1つのみに符号95が付されており、他のガイドローラの符号は省略されている。複数のガイドローラ95は、ガイドレール94に対して前後方向に係止している。複数のガイドローラ95は、ガイドレール94に沿って左右方向に移動可能である。複数のガイドローラ95は、ガイドレール94に対して前後方向への移動が規制されている。追従装置2は、ガイドローラ95によって、ガイドレール94に沿って左右に移動する。追従装置2は、ガイドローラ95によって、前後方向への移動が規制されている。
【0045】
図3に示すように、追従装置2は、追従コントローラ96を含む。追従コントローラ96は、CPUなどのプロセッサと、RAM及びROMなどのメモリとを含む。追従コントローラ96は、追従装置2を制御するためのデータ及びプログラムを記憶している。追従コントローラ96は、第1~第3モータ34,55,85、及び、保持装置23と通信可能に接続されている。追従コントローラ96は、曲げコントローラ16と通信可能に接続されている。追従コントローラ96は、曲げコントローラ16から出力される信号に応じて、追従装置2の動作を制御する。曲げコントローラ16は、例えばラム13、或いはパンチ18の動作を示す信号を追従コントローラ96に出力する。追従コントローラ96は、ラム13、或いはパンチ18の動作に応じて、支持台21を動作させるよう、傾動装置24と昇降装置25と前後移動装置26とを制御する。なお、パンチ18はラム13と共に動作する。従って、以下の説明において、パンチ18の動作は、ラム13の動作とみなされてもよい。
【0046】
追従コントローラ96は、傾動装置24と昇降装置25と前後移動装置26とによる動作を組み合わせることで、支持台21を自在に動作させる。例えば、
図10Aに示すように、追従コントローラ96は、傾動装置24による傾動Tと、昇降装置25による昇降Vとを組み合わせることで、支持台21を昇降させながら傾動させることができる。
図10Bに示すように、追従コントローラ96は、傾動装置24による傾動Tと、前後移動装置26による前後の移動FRとを組み合わせることで、支持台21を前後に移動させながら、傾動させることができる。
【0047】
図11A及び
図11Bに示すように、追従コントローラ96は、昇降と前後の移動とを組み合わせることで、支持台21の傾斜方向に沿って支持台21をスライドさせることができる。詳細には、追従コントローラ96は、追従装置2の前後方向に対する支持台21の傾斜角度を一定に保持しながら支持台21が支持台21の傾斜方向にスライドするように、昇降装置25と前後移動装置26とを同時に動作させる。
【0048】
図11Aに示すように、追従コントローラ96は、前後移動装置26による前進Fと、昇降装置25による下降VDとを同時に行うことによって、支持台21を支持台21の傾斜方向下向きにスライドさせる(SD)。逆に、追従コントローラ96は、前後移動装置26による後進Rと、昇降装置25による上昇VUとを同時に行うことによって、支持台21を支持台21の傾斜方向上向きにスライドさせる(SU)。
【0049】
次に、曲げ機械1による加工時の追従装置2の制御の一例について説明する。
図12は、箱曲げと呼ばれる曲げ加工時の支持台21の傾動と、昇降と、前後の移動と、パンチ18の移動と、保持装置23の動作との変化を示すタイミングチャートである。
【0050】
時間T0において、パンチ18が下降することで、
図13Aに示すように、ワークW1が、パンチ18とダイ17とによって、折り曲げられる。それにより、ワークW1は上方へ向かって傾動すると共に上昇する。このとき、追従コントローラ96は、矢印TUで示すように、傾動装置24によって支持台21を上方に傾動させると共に、矢印VUで示すように、昇降装置25によって支持台21を上昇させる。また、追従コントローラ96は、保持装置23をオフ状態に設定する。それにより、支持台21は、ワークW1に追従して、傾動すると共に上昇する。
【0051】
時間T1においてパンチ18が停止すると、追従コントローラ96は、支持台21の傾動と上昇とを停止させる。また、追従装置2は、保持装置23をオン状態に設定する。それにより、支持台21が傾斜した状態でも、ワークW1が支持台21上に保持される。
【0052】
時間T2において、パンチ18が上昇すると、追従コントローラ96は、
図13Bにおいて矢印VUで示すように、昇降装置25によって支持台21を上昇させる。それにより、パンチ18の上昇に応じて、ワークW1が支持台21と共に上昇して、ダイ17から離れる。
【0053】
時間T3において、パンチ18の上昇が停止すると、追従コントローラ96は、支持台21の上昇を停止させる。そして、時間T4において、追従コントローラ96は、
図14Aにおいて矢印VDで示すように、昇降装置25によって支持台21を下降させると共に、矢印Fで示すように、前後移動装置26によって支持台21を前進させる。それにより、矢印SDで示すように、支持台21の傾斜方向下向きに、支持台21がスライドする。それにより、曲げられたワークW1がパンチ18から外れる。ワークW1がパンチ18から外れた後、時間T5において、パンチ18が上昇する。それにより、
図14Bに示すように、パンチ18がワークW1から上方へ離れる。
【0054】
時間T6において、パンチ18の上昇が停止すると、追従コントローラ96は、
図15Aにおいて矢印Rで示すように、前後移動装置26によって支持台21を後進させる。それにより、ワークW1が、支持台21と共に後方へ移動する。その後、時間T7において、
図15Bにおいて矢印TDで示すように、追従コントローラ96は、傾動装置24によって支持台21を下方に傾動させると共に、矢印VDで示すように、昇降装置25によって支持台21を下降させる。そして、時間T8において、
図16に示すように、支持台21が水平な位置に戻ると、追従コントローラ96は、支持台21の傾動と下降とを停止させる。また、追従コントローラ96は、保持装置23をオフ状態に設定する。それにより、ワークW1は、支持台21から取り外し可能となる。
【0055】
図17A及び
図17Bは、曲げ加工時の追従装置2の制御の他の例を示す図である。
図17Aに示すように、曲げ加工後に、パンチ18が上昇する。その後、追従コントローラ96は、矢印Fで示すように、前後移動装置26によって支持台21を前進させながら、矢印TUで示すように、傾動装置24によって支持台21の傾斜角度を所定角度まで増大させる。それにより、ワークW1がさらに前傾することで、ワークW1の前端W2の位置が下がる。
【0056】
そして、
図17Bにおいて矢印Rで示すように、追従コントローラ96は、支持台21の傾斜角度を所定角度に維持したまま、前後移動装置26によって、矢印Rで示すように、支持台21を後退させる。それにより、ワークW1がパンチ18とダイ17との間の位置から後方に離れる。
【0057】
以上説明した本実施形態に係る追従装置2では、第1モータ34の回転が、第1減速機33を介して、第1回転軸32に伝達される。それにより、支持台21が第1回転軸32回りに回転することで、傾動する。そのため、支持台21が複数のリンクの動作によって傾動する場合と比べて、傾動動作の自由度が高い。また、支持台21は、昇降装置25によって昇降する。そのため、傾動動作から独立して、支持台21を昇降させることができる。それにより、追従動作の自由度が向上する。
【0058】
また、第1減速機33の第1出力軸45は、第1回転軸32に接続されている。そのため、追従装置2の大型化が抑えられる。さらに、第1モータ34は、第1減速機33を介して、第1回転軸32に接続される。そのため、第1回転軸32を回転させるための十分な出力を得ながら、第1モータ34を小型化することができる。それにより、追従装置2の大型化が抑えられる。
【0059】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0060】
例えば、傾動装置24の構成は変更されてもよい。例えば、第1減速機33と第1モータ34との配置が変更されてもよい。第1減速機33の構成は変更されてもよい。昇降装置25の構成は変更されてもよい。例えば、昇降装置25は、リンク機構と異なる構造を有してもよい。昇降装置25は、パンタグラフ式に限らず他のリンク構造を有してもよい。第2減速機54と第2モータ55との配置が変更されてもよい。第2減速機54の構成が変更されてもよい。前後移動装置26の構成は変更されてもよい。例えば、例えば、すべりネジ83に代えて、ベベルギアなどの他の伝達機構が用いられてもよい。第3減速機84と第3モータ85との配置が変更されてもよい。第3減速機84の構成が変更されてもよい。
【0061】
前後移動装置26は、省略されてもよい。追従装置2は、手動で前後に移動可能であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示によれば、追従装置の大型化を抑えながら、追従動作の自由度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0063】
21 支持台
25 昇降装置
26 前後移動装置
31 第1フレーム
32 第1回転軸
33 第1減速機
34 第1モータ
53 第2回転軸
54 第2減速機
55 第2モータ
57 第2出力軸
63 第1リンク
81 可動部材
82 ベース部材
83 すべりネジ
84 第3減速機
85 第3モータ