(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】撮像装置、画像取得方法および検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
(21)【出願番号】P 2019168534
(22)【出願日】2019-09-17
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】中島 泰剛
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/196010(WO,A1)
【文献】特開2014-085220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを保持するワーク保持部と、
前記ワーク保持部に保持された前記ワークに対向するドーム状の内周面を有するとともに、
複数の貫通孔が前記内周面と外周面とを貫通して設けられるカバー部材と、
前記内周面の各部から前記ワーク保持部に保持された前記ワークに照明光を照射して前記ワークを照明する照明部と、
前記照明部により照明される前記ワークの被撮像領域を撮像する撮像部とを備え、
前記撮像部は、
前記複数の貫通孔それぞれに対応して設けられ、前記被撮像領域を
対応する貫通孔を介して撮像する
複数のカメラを有し、
前記複数の貫通孔はいずれも、他の貫通孔との位置関係において、
前記複数の貫通孔のうちの一の貫通孔を除く他の貫通孔のいずれもが、前記被撮像領域に対して前記
一の貫通孔と鏡映対称
な鏡映対称領域、前記
一の貫通孔および前記被撮像領域を含
む仮想平面と、前記内周面と
の交線から離れた位置に設けられ
ている
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記カバー部材は前記内周面と前記外周面とを貫通す
る貫通孔を
3つ以上有する撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置であって、
前記照明部は前記内周面の全体に分散して配設されて互いに異なる照明方向から前記ワークに向けて前記照明光を出射する複数の発光素子を有する撮像装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の撮像装置であって、
前記照明部は前記内周面に向けて前記照明光を出射する発光素子を有し、
前記内周面は前記照明光を反射して前記ワークに導光する反射面である撮像装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の撮像装置であって、
前記ワーク保持部を回転軸まわりに回転させる回転駆動部を備える撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置を用いて前記ワークの画像を取得する画像取得方法であって、
前記回転駆動部により前記ワークを少なくとも1回転させる間に、前記撮像部で前記ワークを撮像して前記ワークの画像を取得することを特徴とする画像取得方法。
【請求項7】
請求項5に記載の撮像装置と、
前記回転駆動部により前記ワークを少なくとも1回転させる間に、前記撮像部により撮像された画像に基づいて前記ワークを検査する検査部と
を備えることを特徴とする検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、いわゆるドーム照明法により照明されるワークを撮像する撮像装置、当該撮像装置を用いてワークの画像を取得する画像取得方法および当該画像に基づいてワークを検査する検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業部品などのワークに傷などの欠陥が無いかどうかを検査する検査技術が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の装置は、光源からの出射光をドーム状反射体(本発明の「カバー部材」に相当)の内面で拡散反射させてワークに照射するとともに、ドーム状反射体の天井部に設けられた撮影用窓(本発明の「貫通孔」に相当)を介して撮像手段によりワークを撮像してワークの画像を取得する。そして、当該画像に基づいてワークの検査が実行される。また、ドーム照明によりワークを撮像する装置としては、例えば特許文献2に記載されたものがある。この装置では、ワークに対向するドーム状の内周面を有するドーム(本発明の「カバー部材」に相当)に対して複数の発光素子が分散して配設され、ワークを種々の方向から照明するとともに、ドームの天井部に設けられた観察窓(本発明の「貫通孔」に相当)を介して撮像手段がワークを撮像して画像を取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-207380号公報
【文献】特開2019-86361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載の装置において、1台の撮像手段によりワークを撮像している。このため、ワークの形状によっては死角が発生する。そこで、特許文献1や特許文献2に記載の装置に撮像手段をさらに追加することが考えられる。つまり、ドーム状反射体やドームに対して撮影用窓や観察窓を追加するとともに、当該撮影用窓などを介して斜方や側方からワークを撮像することでワークの画像をさらに良好に取得することができる。
【0005】
しかしながら、撮影用窓などを設ける位置によっては次のような問題が生じることがある。つまり、ワークの傾斜によって一方の撮像手段でワークを撮像する際に、他方の撮像手段のための撮影用窓などが写り込むことがある。ドーム状反射体のうち撮影用窓を設けた領域では出射光の拡散反射は行われない。また、ドームの観察窓には発光素子を配設することができない。したがって、一方の撮像手段により取得された画像において撮影用窓などに相当する箇所が部分的に暗くなり、画像品質が低下してしまう。その結果、ワークの検査を高精度に行うことが難しくなる。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、ドーム照明されるワークを良好に撮像することができる撮像装置、ドーム照明下でワークの画像を良好に取得することができる画像取得方法およびワークを高精度に検査することができる検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1態様は、撮像装置であって、ワークを保持するワーク保持部と、ワーク保持部に保持されたワークに対向するドーム状の内周面を有するとともに、複数の貫通孔が内周面と外周面とを貫通して設けられるカバー部材と、内周面の各部からワーク保持部に保持されたワークに照明光を照射してワークを照明する照明部と、照明部により照明されるワークの被撮像領域を撮像する撮像部とを備え、撮像部は、前記複数の貫通孔それぞれに対応して設けられ、被撮像領域を対応する貫通孔を介して撮像する複数のカメラを有し、複数の貫通孔はいずれも、他の貫通孔との位置関係において、複数の貫通孔のうちの一の貫通孔を除く他の貫通孔のいずれもが、被撮像領域に対して一の貫通孔と鏡映対称な鏡映対称領域、一の貫通孔および被撮像領域を含む仮想平面と、内周面との交線から離れた位置に設けられていることを特徴としている。
【0008】
また、この発明の第2態様は、上記撮像装置を用いてワークの画像を取得する画像取得方法であって、回転駆動部によりワークを少なくとも1回転させる間に、撮像部でワークを撮像してワークの画像を取得することを特徴としている。
【0009】
さらに、この発明の第3態様は、検査装置であって、上記撮像装置と、回転駆動部によりワークを少なくとも1回転させる間に、撮像部により撮像された画像に基づいてワークを検査する検査部とを備えることを特徴としている。
【0010】
このように構成された発明では、ワークの被撮像領域が複数の貫通孔のうちの一の貫通孔を介して当該一の貫通孔に対応して設けられたカメラにより撮像される。このため、被撮像領域に対して一の貫通孔と鏡映対称な鏡映対称領域、一の貫通孔および被撮像領域を含む仮想平面と、カバー部材の内周面との交線にカメラ用の他の貫通孔が掛かると、一の貫通孔に対応するカメラにより取得される画像のうち上記掛かり部分に相当する箇所が部分的に暗くなり、画像品質が低下してしまう。しかしながら、本発明では、他の貫通孔はいずれも上記交線から離れて配設されている。このため、画質低下が効果的に防止される。この点については、他のカメラ側においても同様である。
【発明の効果】
【0012】
上記のように、本発明によれば、ドーム照明を行う撮像装置において、被撮像領域を撮像するためにカバー部材に設けられたカメラ用の貫通孔と、被撮像領域に対して当該貫通孔と鏡映対称な鏡映対称領域および被撮像領域を含む仮想平面と、カバー部材の内周面との交線から離れた位置に他のカメラ用の貫通孔を配設している。したがって、他のカメラ用の貫通孔の影響を受けることなく、ドーム照明されるワークを良好に撮像することができる。また、当該撮像装置を用いることでワークの画像を良好に取得することができる。さらに、ワークを高精度に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る撮像装置の一実施形態を装備する検査装置の全体構成を示す図である。
【
図2】撮像装置に設けられるカバー部材を上方から見た図である。
【
図3】カバー部材に対する第1カメラおよび発光素子の取付状態を模式的に示す図である。
【
図4】カバー部材に対する第2カメラおよび発光素子の取付状態を模式的に示す図である。
【
図5】カバー部材に対する第3カメラおよび発光素子の取付状態を模式的に示す図である。
【
図6】
図1に示す検査装置によるワークの検査動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明に係る撮像装置の一実施形態を装備する検査装置の全体構成を示す図である。また、
図2は撮像装置に設けられるカバー部材を上方から見た図である。検査装置1は、回転対称軸(
図3~
図5中の符号AX)まわりに回転対称な形状を有するワークWを撮像する撮像装置2と、撮像装置2の各部を制御するとともに撮像装置2により取得されたワークWの画像に基づきワークWを検査する制御装置3とを備えている。なお、装置各部の位置関係を明確にするために、
図1ではXYZ直角座標軸が示されている。つまり、ワークWを水平方向に移動させるX方向と、当該X方向と直交する水平方向Yと、鉛直方向Zとが示されている。
【0015】
撮像装置2は、XY手動ステージ21と、ステージ駆動機構22と、カバー部材23と、撮像部24と、照明部(
図3~
図5中の符号25)とを有している。XY手動ステージ21は上面21aにてワークWを保持可能に構成されている。また、XY手動ステージ21はオペレータの手動操作に応じてX方向及びY方向に移動可能となっている。このため、XY手動ステージ21をX方向およびY方向に移動させることで、ステージ駆動機構22によりXY手動ステージ21を回転させるときの回転軸に対するワークWの回転対称軸の相対位置を調整することができる。つまり、回転軸と回転対称軸とを一致させて偏心を抑制することが可能となっている。
【0016】
ステージ駆動機構22は、下段から順に、XY手動ステージ21をZ方向に昇降させるZ軸駆動部221と、XY手動ステージ21をX方向に移動させるX軸駆動部222と、Z方向を向く回転軸(図示省略)を中心にR方向に回転させるR軸駆動部223を有している。このため、制御装置3の駆動制御部31からの動作指令に応じてZ軸駆動部221が作動することでXY手動ステージ21に保持されたワークWはZ方向において位置決めされる。また、上記動作指令に応じてX軸駆動部222が作動することで、
図1に示すようにカバー部材23の下方でワーク撮像を行う位置(以下「撮像位置」という)とカバー部材23からX方向に離れたワーク受渡位置(図示省略)との間でXY手動ステージ21が移動される。さらに、上記動作指令に応じてR軸駆動部223が作動することで、偏心調整後のXY手動ステージ21およびワークWが一体的に回転軸まわりに少なくとも1回転される。
【0017】
カバー部材23は凹面状の内周面23aを有している。そして、内周面23aを下方に向けた状態でカバー部材23は撮像位置に位置決めされたXY手動ステージ21の鉛直上方に固定配置されている。つまり、カバー部材23の内周面23aは撮像位置に位置決めされたワークWに対向し、当該ワークWを上方から覆うドームとなっている。また、カバー部材23には、3つの貫通孔231~233が内周面23aと外周面23bとを貫通して設けられている。なお、3つの貫通孔231~233の配設位置は、本発明の特徴部分の一つであり、撮像部24により良好な画像を取得する上で重要である。これらについては、撮像部24および照明部25の構成を説明した後で詳述する。
【0018】
撮像部24は3台のカメラ241~243で構成されている。カメラ241~243としては、CCDカメラやCMOSカメラなどを用いることができる。また、照明部は、カバー部材23の内周面23aに沿って配設されたプリント基板(図示省略)と、プリント基板に配列される複数の発光素子(
図3~
図5中の符号251)とを有している。発光素子としては、LEDなどを用いることができる。
【0019】
図3ないし
図5は、それぞれカバー部材に対するカメラおよび発光素子の取付状態を模式的に示す図である。照明部25は、例えば三角形状や台形形状の複数のプリント基板をカバー部材23の内周面23aに敷き詰められている。これら複数のプリント基板のうち貫通孔231~233に隣接するものに対しては、貫通孔231~233に対向して同一サイズの貫通孔(図示省略)が設けられている。また、これらの貫通孔を除き、各プリント基板には、複数のスルーホールが設けられている。そして、各発光素子251は発光面を撮像位置に位置決めされたワークWに向けた状態で発光素子251のリードがスルーホールに挿入され、プリント基板のランドに実装されている。このように複数の発光素子251はカバー部材23の内周面23aに対して分散して配置され、制御装置3の照明制御部32からの点灯指令に応じて各発光素子251が発光することでワークWに対して種々の照明方向から照明光が照射される。そして、こうして照明されたワークWが互いに異なる3つの撮像方向から撮像される。
【0020】
カメラ241は、
図3に示すように、XY平面に対して45゜の撮像方向より撮像位置に位置決めされたワークWの被撮像領域Waを撮像可能に貫通孔231に配設されている。以下の説明において、特に言及しない限り、
図1、
図3~
図5に示すように被撮像領域Waは撮像位置に位置決めされたワークWを撮像部24により撮像すべき領域を意味している。
【0021】
カメラ242は、
図4に示すように、XY平面に対して75゜の撮像方向よりワークWの被撮像領域Waを撮像可能に貫通孔232に配設されている。さらに、カメラ243は、
図5に示すように、XY平面に対して15゜の撮像方向よりワークWの被撮像領域Waを撮像可能に貫通孔233に配設されている。このように各カメラ241~243は貫通孔を介してワークWの被撮像領域Waを撮像して被撮像領域Waの画像を取得し、画像データを制御装置3の画像記憶部33に送信する。
【0022】
次に、カバー部材23における貫通孔231~233の相対的な位置関係について
図1ないし
図5を参照しつつ詳述する。ここでは、各部の関連性を明確にするために、貫通孔231~233をそれぞれ「第1貫通孔231」、「第2貫通孔232」および「第3貫通孔233」と称する。また、カメラ241~243をそれぞれ「第1カメラ241」、「第2カメラ242」および「第3カメラ243」と称する。さらに、被撮像領域Waに対する貫通孔231~233の鏡映対称な領域261~263をそれぞれ「第1鏡映対称領域261」、「第2鏡映対称領域262」および「第3鏡映対称領域263」と称する。
【0023】
第1貫通孔231と第1鏡映対称領域261とは、撮像位置に位置決めされたワークWの被撮像領域Waに対して鏡映な関係にある。ここで、第1貫通孔231、第1鏡映対称領域261および被撮像領域Waを含む第1仮想平面(
図3の紙面)とカバー部材23の内周面23aとの交線(以下「第1交線」という)271は
図1中で破線に示すように被撮像領域Waを中心とする略半円弧となる。したがって、第1交線271に第2貫通孔232や第3貫通孔233が掛かると、その掛かり部分では発光素子251が存在せず、被撮像領域Waの傾斜によって第1カメラ241により取得される画像において掛かり部分に相当する箇所が部分的に暗くなり、画像品質が低下してしまう。そこで、本実施形態では、
図1に示すように第2貫通孔232および第3貫通孔233は第1交線271から離れた位置に配設されている。その結果、
図3に示すように、第1カメラ241は第2貫通孔232および第3貫通孔233の影響を受けることなく斜め45゜の撮像方向から被撮像領域Waを良好に撮像することができる。
【0024】
上記した第1カメラ241に対する第2貫通孔232および第3貫通孔233の配設関係は、第2カメラ242に対する第1貫通孔231および第3貫通孔233の配設関係および第3カメラ243に対する第1貫通孔231および第2貫通孔232の配設関係においても同様である。つまり、
図2に示すように、第2貫通孔232、第2鏡映対称領域262および被撮像領域Waを含む第2仮想平面(
図4の紙面)とカバー部材23の内周面23aとの交線(以下「第2交線」という)272から第1貫通孔231および第3貫通孔233は離れて設けられている。これによって、
図4に示すように、第2カメラ242は第1貫通孔231および第3貫通孔233の影響を受けることなく上方75゜の撮像方向から被撮像領域Waを良好に撮像することができる。また、第3貫通孔233、第3鏡映対称領域263および被撮像領域Waを含む第3仮想平面(
図5の紙面)とカバー部材23の内周面23aとの交線(以下「第3交線」という)273から第1貫通孔231および第2貫通孔232が離れて設けられている。これによって、
図5に示すように、第3カメラ243は第1貫通孔231および第2貫通孔232の影響を受けることなく側方15゜の撮像方向から被撮像領域Waを良好に撮像することができる。こうして撮像部24により取得された被撮像領域Waの画像データは制御装置3の画像記憶部33に送られて記憶される。
【0025】
制御装置3は、
図1に示すように、駆動制御部31、照明制御部32および画像記憶部33以外に、画像処理部34および検査部35を有している。画像処理部34は、ワークWを保持するXY手動ステージ21が回転軸まわりに少なくとも1回転される間に撮像部24により取得された画像データを画像記憶部33から読み出し、検査対象となっている被撮像領域Waの画像、つまり検査画像を作成する。そして、検査部35は上記検査画像に基づいてワークWを検査する。
【0026】
図6は
図1に示す検査装置によるワークの検査動作を示すフローチャートである。この検査装置1では、予め記憶された検査プログラムにしたがって制御装置3が検査装置1の各部を制御して以下の動作を実行する。
【0027】
撮像位置(
図1)からX方向に離れたワーク受渡位置に待機しているXY手動ステージ21の上面21aに対し、未検査のワークWが図示を省略する搬送ロボットやオペレータなどにより載置されて保持されると、制御装置3の駆動制御部31はステージ駆動機構22を駆動してワークWを撮像位置に位置決めする(ステップS1)。ここで、回転軸に対するワークWの回転対称軸AX(
図3~
図5)が偏心している場合、オペレータによる偏心調整が行われる。つまり、オペレータがXY手動ステージ21をX方向およびY方向に移動させて回転軸と回転対称軸とを一致させる。この偏心調整処理については、ワークWの撮像位置への位置決め途中でステージ移動を一時的に中断して行ってもよいし、位置決め完了後に行うようにしてもよい。
【0028】
回転軸と回転対称軸とが一致した状態でワークWが撮像位置に位置決めされたことが確認されると、次のステップS2で、照明制御部32は発光素子251を点灯してワークWを種々の照明方向から照明する(ワーク照明)。また、駆動制御部31はR軸駆動部223を制御して偏心調整後のXY手動ステージ21およびワークWを一体的に回転軸まわりに回転させる(ワーク回転)。ワーク照明およびワーク回転は、ワークWが少なくとも1回転するまで継続され、その間に撮像部24によりワークWは連続的あるいは断続的に撮像され、被撮像領域Waの画像データが画像記憶部33に記憶される(ステップS3)。
【0029】
ワークWが少なくとも1回転する(ステップS4で「YES」)と、照明制御部32は発光素子251を消灯してワーク照明を停止するとともに、駆動制御部31はR軸駆動部223によるワーク回転を停止する(ステップS5)。それに続いて、駆動制御部31はステージ駆動機構22を駆動してXY手動ステージ21を撮像位置からワーク受渡位置に移動させる(ステップS6)。こうしてワーク受渡位置に位置決めされたXY手動ステージ21から撮像済のワークWが搬送ロボットやオペレータなどにより検査装置1から搬出される。
【0030】
また、上記ステップS5、S6と並行して画像処理部34は画像データを画像記憶部33から読み出して検査画像を作成し、さらに検査部35は上記検査画像に基づいてワークWを検査する(ステップS7)。
【0031】
以上のように、本実施形態では、
図1に示すようにドーム照明を行いつつ3つの撮像方向からワークWの被撮像領域Waを撮像するために、カバー部材23に3つの貫通孔231~233を設けているが、それらは次の関係を満足するように配設されている。つまり、貫通孔231~233の各々では、当該貫通孔と、被撮像領域Waに対して当該貫通孔と鏡映対称な鏡映対称領域および被撮像領域を含む仮想平面と、カバー部材23の内周面23aとの交線から離れた位置に他の貫通孔を配設している。したがって、他のカメラ用の貫通孔の影響を受けることなく、ドーム照明されるワークWの被撮像領域Waを良好に撮像することができる。また、当該撮像装置2を用いることでワークWの画像を良好に取得することができる。さらに、当該画像に基づいてワークWを高精度に検査することができる。
【0032】
このように本実施形態では、XY手動ステージ21が本発明の「ワーク保持部」の一例に相当している。また、R軸駆動部223が本発明の「回転駆動部」の一例に相当している。
【0033】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、ワークWの被撮像領域Waを3つの撮像方向から撮像しているが、ドーム照明しつつ2つの撮像方向から撮像する装置に対しても本発明を適用することができる。また、4つ以上の撮像方向から撮像する装置に対しても本発明を適用することができる。
【0034】
また、上記実施形態では、特許文献2と同じ方式でワークWをドーム照明しているが、その他の方式でドーム照明する装置にも本発明を適用することができる。例えば特許文献1に記載された方式と同じ方式を用いることができる。つまりカバー部材23の内周面23aを反射面に仕上げ、カバー部材23の下方周縁部に配置された照明部の発光素子から内周面23aに向けて照明光を出射することで、当該照明光を内周面23aで反射してワークWに導光し、ワークWを照明してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明は、いわゆるドーム照明法により照明されるワークを撮像する撮像技術全般、上記撮像技術を用いてワークの画像を取得する画像取得技術全般およびワークを検査する検査技術全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1…検査装置
2…撮像装置
3…制御装置
21…XY手動ステージ(ワーク保持部)
23…カバー部材
23a…内周面
23b…外周面
24…撮像部
25…照明部
35…検査部
231…第1貫通孔
232…第2貫通孔
233…第3貫通孔
241…第1カメラ
242…第2カメラ
243…第3カメラ
251…発光素子
261…第1鏡映対称領域
262…第2鏡映対称領域
263…第3鏡映対称領域
271…第1交線
272…第1交線
273…第1交線
W…ワーク
Wa…被撮像領域