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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】小型物品の面計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/25 20060101AFI20230816BHJP
   G01N 21/85 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
G01B11/25 H
G01N21/85 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019179726
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021056107
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000209751
【氏名又は名称】池上通信機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷本 尚之
(72)【発明者】
【氏名】藤永 悠介
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-132577(JP,A)
【文献】特開2018-040761(JP,A)
【文献】特開2015-114235(JP,A)
【文献】特開2010-261837(JP,A)
【文献】特開2014-035241(JP,A)
【文献】特開2015-017837(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ベルトに搬送される小型物品の面を計測する面計測装置であって、
複数のピックアップユニットを備え、
前記複数のピックアップユニットのそれぞれは、異なる位置から前記面を計測する少なくとも2つのピックアップセットを有し、
前記少なくとも2つのピックアップセットのそれぞれは、少なくとも前記面の幅の全体にわたるスリット光を照射する照射体と、当該照射されたスリット光の反射光をカメラに導く反射光学系を有し、前記反射光学系は、前記反射光を受光する反射体を含み、
前記複数のピックアップユニットそれぞれの前記反射光学系から出射されるスリット光の主光線が互いに接近しながら前記カメラのレンズの主点に向かうようにする他の反射体をさらに有する、
ことを特徴とする小型物品の面計測装置。
【請求項2】
前記カメラは、前記レンズと、1つの平面をなす撮像面を有する撮像素子とを有し、
前記小型物品の面に対する前記スリット光の主光線の照射点から前記カメラのレンズの主点までの距離をa、前記主点から前記カメラの撮像面上の結像点までの距離をbとするとき、前記照射点から距離aにある前記主点を含む前記レンズの主面と、前記照射点から距離a+bにある前記撮像面を含む平面と、前記照射体が照射するスリット光を含む平面と、が同じ交線で交わるように、前記主面に対して前記撮像面が傾いて配置されており、
複数存在する前記スリット光の光線面が前記カメラの物体面内に納まるように、前記反射光学系が構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の面計測装置。
【請求項3】
対向する2端面およびこれらをつなぐ側面を有し、前記2端面のうち一方が前記搬送ベルトに載置された状態で搬送される小型物品の前記側面を計測するために、一対の前記ピックアップセットが前記搬送ベルトを跨ぐように対向して配置され、
それぞれの前記ピックアップセットの前記照射体および前記反射体は隣接して配置されており、
前記一対のピックアップセットのうちの一方の前記反射体に対する前記反射光の主光線と他方の前記反射体に対する前記反射光の主光線とが直線をなすように、前記一対のピックアップセットの前記反射体同士が正対しており、
前記一対のピックアップセットのうちの一方の前記照射体が照射するスリット光の主光線と他方の前記照射体が照射するスリット光の主光線とは、前記直線を挟んで反対側位置にあって平行に延在し、且つ前記直線に対して等しい角度をなすように、前記一対のピックアップセットの前記照射体が配置されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の面計測装置。
【請求項4】
前記一対のピックアップセットのそれぞれの反射光学系は、
それぞれの前記反射体が受光したスリット光の主光線を互いに近接した状態とする第2の反射体と、当該状態とされたスリット光の一方を偶数回反射させて出射する反射体および他方を奇数回反射させて出射する反射体を含む第3の反射体と、を含む
ことを特徴とする請求項3に記載の面計測装置。
【請求項5】
前記複数のピックアップユニットが有する前記第3の反射体が出射するスリット光の主光線が互いに接近しながら前記レンズの主点に向かうようにする前記他の反射体が設けられている
ことを特徴とする請求項4に記載の面計測装置。
【請求項6】
前記直線は前記小型物品の搬送方向に対して傾いて配置され、前記スリット光が前記側面を現に照射しており、且つ、当該照射位置が前記カメラによって捉えられる範囲に、計測の対象領域が設定される
ことを特徴とする請求項5に記載の面計測装置。
【請求項7】
前記複数のピックアップユニットは、前記小型物品の側面の計測範囲を補完するために前記搬送方向に沿って配置された2つのピックアップユニットであり、当該2つのピックアップユニットは、前記の搬送方向に対する前記直線の傾きが異なっている
ことを特徴とする請求項6に記載の面計測装置。
【請求項8】
2つの前記搬送ベルトを備え、前記複数のピックアップユニットは当該2つの搬送ベルトに対して配置された2つのピックアップユニットである
ことを特徴とする請求項5に記載の面計測装置。
【請求項9】
前記複数のピックアップユニットはツリー構造状に配置された複数のピックアップユニットであり、一のピックアップユニットが有する前記第3の反射体が出射するスリット光の主光線と、他のピックアップユニットが有する前記第3の反射体が出射するスリット光の主光線とが互いに接近しながら前記レンズの主点に向かうようにする反射体が設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の面計測装置。
【請求項10】
前記照射体は、前記小型物品の搬送面および該搬送面と直交する方向に対して傾いた主光線をもつスリット光を照射する
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の面計測装置。
【請求項11】
対向する2端面およびこれらをつなぐ側面を有し、前記2端面のうち一方の端面が前記搬送ベルトに載置された状態で搬送される小型物品の他方の端面を計測するために、前記ピックアップセットは前記小型物品の搬送方向に関して異なる位置に2つ配置され、
当該2つのピックアップセットの照射系は、前記他方の端面の別の位置に、互いに平行で且つ前記小型物品の搬送方向と交差する方向に長手方向を有する2つのスリット光を照射するように構成され、
前記2つのピックアップセットの一方の反射光学系は、前記2つのスリット光の一方を受光し、偶数回反射させて出射する反射体を含み、
前記2つのピックアップセットの他方の反射光学系は、前記2つのスリット光の他方を受光し、奇数回反射させて出射する反射体を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の面計測装置。
【請求項12】
前記反射光学系は、プリズムの組み合わせによって構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の面計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型物品の面計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
小型物品、特に医薬品である錠剤は、割れや欠けあるいは変色などが生じていたり、異物が混入していたりしたもの(以下、不良錠剤ともいう)が出荷されることは厳に防止されなければならない。したがって製造後に外観などの検査を行い、不良錠剤を排除することが必須となる。
【0003】
また、昨今では錠剤種別などを認識するために、錠剤表面に識別情報などを印刷する処理を行う場合も増えてきている。例えば特許文献1には、これらの処理を複合的に行う処理システムが提案されており、同文献には、まず錠剤の良否を判別するための検査を行い、良品と判定された錠剤にのみ印刷を施す構成が開示されている。さらに同文献では、検査時に割線付き錠剤(以下、割線錠とも称する)や異形錠の角度認識を行い、割線の傾き(すなわち搬送方向に対する錠剤の角度)や錠剤形状に合わせた印刷パターンを得て印刷を行う構成が開示されている。したがって、不良錠剤の排除や良品への印刷を適切に実施するための前提として、錠剤の外観検査を精度高く行うことが重要となる。
【0004】
錠剤の外観検査の一形態として、錠剤に対してスリット光を照射し、そのスリット光の反射光をカメラで撮像し、取得した画像上で見られるスリット光の形を三角測量の原理に基づいて解析することによって錠剤の3次元形状を計測する光切断法が知られている(例えば特許文献2)。錠剤には所謂平錠と称されるものや、回転楕円体形状の糖衣錠と称されるもの、対向する一対の膨出曲面部分を有するR付き錠と称されるものがある。しかしいずれにせよ、光切断法を用いる外観検査は、搬送面に対向して撮像系を配するとともに、搬送面に接していない端面側からスリット光を照射して行うのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5934268号
【文献】特開2014-035241号公報
【文献】特願2018-096996号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、光切断法を用いた面検査において、外観検査の対象となる小型物品の面を正確に計測できるようになし、小型物品に対する精度の高い外観検査を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明は、搬送ベルトに搬送される小型物品の面を計測する面計測装置であって、
異なる位置から前記面を計測する少なくとも2つのピックアップセットを有するピックアップユニットを備え、
前記少なくとも2つのピックアップセットのそれぞれは、少なくとも前記面の幅の全体にわたるスリット光を照射する照射体と、当該照射されたスリット光の反射光をカメラに導く反射光学系であって、前記反射光を受光する反射体を含む反射光学系と、を有することを特徴とする。
【0008】
特に本発明においては、構成において、前記カメラは、レンズと、1つの平面をなす撮像面を有する撮像素子とを有し、
前記小型物品の面に対する前記スリット光の主光線の照射点から前記カメラのレンズの主点までの距離をa、前記主点から前記カメラの撮像面上の結像点までの距離をbとするとき、前記照射点から距離aにある前記主点を含む前記レンズの主面と、前記照射点から距離a+bにある前記撮像面を含む平面と、前記照射体が照射するスリット光を含む平面と、が同じ交線で交わるように、前記主面に対して前記撮像面が傾いて配置されており、
複数存在する前記スリット光の光線面が前記カメラの物体面内に納まるように、前記反射光学系が構成されている、
ことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小型物品の計測対象となる面を正確に計測でき、小型物品に対する精度の高い外観検査を行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明を適用可能な小型物品の処理システムの一実施形態を示す立面図である。
図2図1の処理システムに適用される側面検査装置の主要部をなす画像のピックアップユニットの一実施形態を示す斜視図である。
図3図2のピックアップユニットを錠剤の搬送方向下流側の所定角度傾いた方向から見た立面図である。
図4図2のピックアップユニットにおける光路を説明するための斜視図である。
図5】(a)および(b)は、図2のピックアップユニットによる画像ピックアップの原理を説明するための説明図である。
図6】錠剤の周側面に対して計測範囲を定める態様を説明するための概念図である。
図7】(a)~(d)は、錠剤に計測が実施されて行く順次の状態を説明するための説明図である。
図8】搬送過程において計測される錠剤側面のスリット光の画像を時系列に並べて示す図である。
図9】側面から見た錠剤の3次元画像を説明するための説明図である。
図10】計測の死角を排除するために、図6で概念を説明したピックアップユニットとともに用いられるピックアップユニットの計測範囲を定める態様を説明するための概念図である。
図11】(a)~(c)は、一搬送方向に一対のピックアップユニットを並置したものを2列搬送に適用する場合において、カメラに対してスリット光を導く構成の3例を示す模式図である。
図12】一搬送方向に一対のピックアップユニットを並置したものを4列搬送に適用する場合において、カメラに対してスリット光を導く反射光学系の別の実施形態を示す模式図である。
図13】本発明の他の実施形態に係るピックアップユニットにおける光路を説明するための斜視図である。
図14】(a)および(b)は、図13のピックアップユニットによるスリット光の照射および計測態様を説明するための模式図である。
図15】本発明のさらに他の実施形態に係るピックアップユニットにおけるスリット光の照射光路態様を説明するための模式的斜視図である。
図16】(a)、(b)および(c)は、それぞれ、本発明のさらに他の実施形態に係るピックアップユニットの構成を説明するための模式的な立面図、上面図および側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。なお、本発明の処理対象となる小型物品としては、錠剤や、粒状のサプリメントあるいは菓子などの食品などが挙げられる。しかし以下の実施形態では、対向する2つの端面を有する錠剤に対し、各端面に所要の処理を施す処理システムに本発明を適用した場合を例示する。また、以下の実施形態は割線錠に好ましく適用可能なものであるが、割線の有無を問わず、また錠剤の形状を問わず、適用が可能であることは勿論である。
【0012】
さらに、本明細書で使用する「光切断線」という用語は、スリット光と対象物との交線であり、これはスリット光の照射位置で錠剤上に現れるスリット光によって形作られる線を意味するものとする。また、本明細書で使用する「主光線」という用語は、照射系および反射光学系を通る光束の代表となる仮想的な光線、すなわち、光源部から錠剤に照射されるスリット光および錠剤からカメラの撮像面に導かれる反射光の代表的な光線の軸を言うものとする。
【0013】
(第1の実施形態の概要)
図1は、第1の実施形態に係る錠剤の処理システムの概略を示す立面図である。処理システム1に対しては、供給部3から錠剤が供給される。供給部3は、ホッパ31と、搬送台33と、整列供給装置35と、から構成される。ホッパ31は、処理システム1に供給すべき錠剤を貯留し、適宜の量の錠剤を搬送台33に供給する。搬送台33は整列供給装置35に向かって下方に傾斜する傾斜面を有し、例えば振動フィーダの振動が伝達されることで、錠剤は整列供給装置35に向かって傾斜面を円滑に滑落して行く。整列供給装置35は、搬送台33から供給された個々の錠剤を重なり合うことなく整列させ、且つ一定の目標姿勢(一方の端面が搬送面に支持された姿勢、すなわち厚み方向が搬送面に垂直となった姿勢である。)とした状態で処理システム1の搬送ベルトに受け渡す。本実施形態に係る処理システム1の水平搬送装置(第1搬送部)10は、矢印Yglbの方向に錠剤を搬送するベルトを有する。これに対応して、2つの整列供給装置35を設けるとともに、搬送台33にはホッパ31から供給された錠剤の流れを各整列供給装置35に振り分ける構造が付加される。なお、以下では、搬送方向であるYglb方向に直交する方向をXglb方向、これらがなすXglb-Yglb平面に垂直な方向をZglb方向として参照する。
【0014】
さらに処理システム1は、錠剤を水平搬送装置10から吸着してピックアップし、矢印Rの方向に回転搬送する回転搬送装置(第2搬送部)20を備える。水平搬送装置10から回転搬送装置20へと錠剤を搬送することで、錠剤の表裏端面が反転する。これにより、錠剤の表裏両端面に対して適宜の処理を施すことが可能となる。
【0015】
水平搬送装置10および回転搬送装置20のそれぞれの搬送面に対向して、P11~P13およびP21~P23で示す位置に、検査または印刷に係る処理を行うための処理装置が配設される。特に本発明の第1の実施形態では側面検査装置が備えられるが、例えば、処理システム1を検査ラインとして構成する場合には、搬送方向上流側から下流側にかけての位置P11,P21、P12,P22およびP13,P23に、側面検査装置、端面検査装置および色検査装置を配置することができる。
【0016】
また、例えば処理システム1を印刷ラインとして構成する場合には、位置P11,P21、P12,P22およびP13,P23に、側面検査装置、印刷装置および色検査装置を配置することができる。
【0017】
側面検査装置および端面検査装置は、スリット光を錠剤の表面に照射し、その表面に現れるスリット光の反射光をカメラで撮像し、取得した画像上で見られるスリット光の形を三角測量の原理に基づいて解析することによって対象物の3次元形状を計測する。したがって側面検査装置および端面検査装置は、それぞれ、錠剤の側面および端面を立体的に捉え、錠剤の欠陥の有無を検査するのに使用することができる。また、割線錠に対しては、割線の向きや、割線の形成状態の不良などの欠陥の有無を検査することもできる。
【0018】
色検査装置は、例えば無影ドーム型照明装置を用いて錠剤の表面の汚れや変色、さらには欠陥の有無ひいては印刷の良否を検査する機能を果たすが、その構成によっては錠剤の3次元形状検査装置として機能させることもできる。印刷装置は、錠剤端面に識別情報などを印刷する処理を行うもので、例えば、錠剤の搬送方向と交差する方向に複数のノズルを配列してなるインクジェットヘッドを用いるものとすることができる。なお、処理装置の種類や配設箇所の数は適宜定め得るものであり、配置順序も適宜定め得ることは勿論である。
【0019】
なお、図1の処理システムでは、第1搬送部として水平搬送装置を、第2搬送部として回転搬送装置を配置した構成を例示している。しかしこの配置関係は逆であってもよく、また、双方とも水平搬送装置あるいは回転搬送装置を用いる構成であってもよい。
【0020】
(側面検査装置)
図2および図3は、それぞれ、図1の処理システムに適用される面検査装置の第1の実施形態に係る側面検査装置の主要部をなす錠剤側面画像のピックアップユニットの一構成例を示す斜視図および立面図、図4はピックアップユニットにおける反射光の光路を説明するための斜視図である。
【0021】
本実施形態においては、図2および図3において左側および右側(図1においては紙面の手前側および奥側であり、以下単に「手前側」および「奥側」という)に位置する2列の搬送ベルト12および12´に対応して、本実施形態に係る側面検査装置を構成する2つのピックアップユニット100および100´が配設される。以下では主として、図2および図3において左側に位置する一方のピックアップユニット(以下、第1ピックアップユニットともいう)100の構成を説明するが、2つのピックアップユニットは同じ構造を有しており、説明は右側に位置するピックアップユニット(以下、第2ピックアップユニットともいう)にも同様に適用される。
【0022】
第1ピックアップユニット100は、水平搬送装置10の搬送ベルト12の両側に、錠剤の側面にスリット状のレーザ光(スリット光)を照射する照射系と、側面での反射光をレンズ202ないし撮像素子204に向けて導くための反射光学系と、を含んだピックアップセットを有している。以下では、特に区別する必要がある場合には、図2および図3において左側に位置するピックアップセット(以下、手前側ピックアップセットといい、符号100Fで参照する)に含まれる要素には参照符号に「F」を付し、奥側に位置するピックアップセット(以下、奥側ピックアップセットといい、符号100Bで参照する)に含まれる要素には参照符号に「B」を付して説明する。
【0023】
本実施形態の照射系はスリット光の光源部110と、主光線がXglb-Yglb平面に平行であり、且つ、スリット光のIF,IBの長手方向がZglb軸に平行となるようにしてスリット光を錠剤Tに照射するプリズム形態の照射体112と、を有する。
【0024】
反射光学系は、プリズム形態の反射体122(122F,122B)、124(124F,124B)、および126(126F,126B)を有する。反射体122(122F,122B)は照射体112(112F,112B)に隣接して配置される直角プリズムの形態を有し、図4に示されるように、受光したスリット光の反射光の進行方向を180度転換して反射体124(124F,124B)に導くための反射面を有する。第2の反射体である反射体124Fおよび124Bは、反射体122Fおよび122Bからそれぞれ受光したスリット光の主光線を互いに近接する状態として、それぞれ第3の反射体である反射体126Fおよび126Bに導く反射面を有する。
【0025】
反射体126Fは反射体124Fから受光したスリット光を3回反射させて出射させる例えばペンタプリズムの形態を有するもの、反射体126Bは反射体124Rから受光したスリット光を2回反射させて出射させる平行四辺形プリズムの形態を有するものとすることができる。しかしそれぞれのプリズムの形状および反射回数はこれに限られない。一方が奇数回反射させる形状のもの、他方が偶数回反射させる形状のものであればよい。このことは、後述する他の実施形態等で用いられるプリズムについても同様である。なお、図4(次に示す図5(a)も同様)においては、反射体126Fおよび126Bから出射する2つの主光線が平行であるように描かれているが、実際には、これらの主光線は互いに接近して行きながらレンズ202の主点に向かうように、手前側および奥側ピックアップセットの反射光学系100Fおよび100Bが構成されている。
【0026】
反射体126Fおよび126Bから出射したスリット光(図4ではこれらの主光線をまとめて示している)は反射体128で反射され、切妻屋根型の反射体130の一方の傾斜面131に入射する。反射体130の他方の傾斜面132には、第2ピックアップユニット100´(または後述するピックアップユニット100-2)からのスリット光が入射する。反射体130は第1および第2ピックアップユニット100´(または後述するピックアップユニット100-2)の間に配置され、傾斜面131および132は2つのスリット光の主光線を互いに接近して行く状態としながらカメラ200のレンズ202の主点に向かうように傾斜角度が定められている。
【0027】
次に、図4および図5(a)および(b)を用い、錠剤Tの側面からの反射光(スリット光)の光路に関する規定について説明する。
図4および図5(a)から明らかなように、照射体112F,112Bから出射され錠剤Tの側面で反射されたスリット光RF,RBは、プリズム形態の反射体122F,122Bおよび反射体124F,124Bを経て反射体126F,126Bに入射する。図に例示したペンタプリズム形態の反射体126Fでは、その左側部分に示すようにスリット光RFは3回反射され、平行四辺形プリズム形態の反射体126Bでは、その右側部分に示すようにスリット光RBは2回反射された後に、レンズ202の主点を経て撮像素子204の撮像面に至る。
【0028】
ここで、プリズムの内部において界面に入射する入射光の角度が臨界角未満である場合には、当該界面を透過してしまうため、その界面にはアルミニウムミラーなどの反射板を配置することができる。図5(a)では、反射体126Fの界面126Faに反射板127を貼着した例を示している。
【0029】
なお、以上の構成では、錠剤からの反射光をカメラ200に向けて導くための反射光学系がプリズムを含むものとしたが、一部または全部をミラーによって構成してもよい。しかしプリズムを用いて反射光学系を構成することは、位置調整を簡単化する上で好ましい。
【0030】
また、以上の構成では、スリット光の主光線を互いに接近させて行くように構成された反射体122F,122Rおよび反射体124F,124Rを設けたが、必ずしもそのような状態とする構成が採用されなくてもよい。しかし上述のような構成を採用することは、撮像素子204の撮像面を効率的に使用することができるので有利である。
【0031】
(側面検査装置の設計指針)
本実施形態における側面検査装置の設計指針について説明する。
図5(b)は、同図(a)における主光線を模式的に示している。第1ピックアップユニット100の手前側ピックアップセット100Fにおいて、錠剤Tの側面からレンズ202の主点202Pに至るまでのスリット光の光路の空気換算長は、照射されるスリット光IFの主光線の錠剤側面上の照射点TsFから反射体122Fまでの距離と、反射体122F、124Fおよび126Fのそれぞれの内部の主光線の空気換算長と、反射体126Fからレンズ202の主点202Pに至るまでの距離と、の合計となる。
【0032】
この合計値をa、レンズ202の主点202Pから、1つの平面をなしている撮像素子204の撮像面204I上の結像点までの距離をbとする。このとき、照射点TsFから距離aにあるレンズの主面202Pと、反射光RFに対して角度θをなす照射光IFを含む平面とが図5(b)の紙面に直交する方向に延在する交線Cで交わり、撮像面204Iも交線Cで交わるように主点202Pを含むレンズの主平面に対する撮像面204Pの傾きが設定されていれば、シャインプルーフの原理により、錠剤側面上の位置TsFに主光線をもつスリット光IFの光切断線にピントが合い、精度の高い測定が可能となる。
【0033】
奥側ピックアップセット100Bについても同様の関係を満たしていれば、錠剤側面上の位置TsBに光軸をもつスリット光IBの光切断線にピントが合う。そして、錠剤Tの側面上の位置TsBから反射体122Bまでの距離と、反射体122B、124Bおよび126Bのそれぞれの内部の光路の空気換算長と、反射体126Bからレンズ202の主点202Pまでの距離との合計が上記aと等しければ、手前側および奥側ピックアップセット100Fおよび100Bについての同時のピント合わせが可能となる。
【0034】
換言すれば、図5(b)の関係を満たすようにピックアップユニット100の諸元、すなわち照射光IFと反射光RFとのなす角度θ、錠剤Tの側面から反射体122までの距離、反射体122、124および126のそれぞれの内部の光路の空気換算長に関係するプリズムの形状や材質、反射体126からレンズ202の主点202Pまでの距離、レンズ202の主面から撮像面までの距離および角度を定めればよいのである。
【0035】
さらに、本実施形態では、図2および図3において左側および右側に位置する2列の搬送ベルト12に対応して、第1および第2の2つのピックアップユニットが配設されている。したがって、第2ピックアップユニット100´についても第1ピックアップユニット100と同じ関係を満たしていれば、1基のカメラ200を用いながらも、4つの光切断線のすべてについて同時のピント合わせが可能となる。
【0036】
(側面検査の態様)
図6は、錠剤Tの周側面に対して第1ピックアップユニット100の計測範囲を定める態様を説明するための概念図である。この図は、照射体112F,112Bから照射されるスリット光IF,IBの主光線(照射光主光線)IFa,IBaと、錠剤Tの側面から反射体122F,122Bに向かう反射光RF,RBの主光線(反射光主光線)RFa,RBaと、錠剤周側面上の計測範囲との関係を示しており、各主光線に対し、上面視したときに円形の輪郭Pを呈する錠剤Tを投影して描いている。図6において、Xglb、YglbおよびZglbは空間上の座標軸ないし方向を表わしている。Xcam、YcamおよびZcamはカメラ200ないし撮像素子204上の座標軸ないし方向を表わしており、Xcam方向およびYcamが撮像素子204の撮像面の水平方向および垂直方向に対応し、Zcam方向がカメラの視線方向(反射光主光線)に対応している。
【0037】
図2および図3に示したように、錠剤Tは搬送ベルト12,12´に載置され、搬送ベルト12を跨ぐように配置されている照射体112Fおよび反射体122Fと、照射体112Bおよび反射体122Bとの間を通過し、その過程で錠剤側面の形状が計測される。
【0038】
本実施形態の反射体122Fおよび122Bは、それぞれに向かう反射光(スリット光)の主光線RFaおよびRBaが、搬送方向Yglbに対して所定角度(例えば45度)傾いた一直線をなすように、正対して配置されている(以下、これらの主光線がなす直線を反射光主光線Raとして参照する)。これに対し、照射体112Fおよび112Bは、それぞれが出射する出射光(スリット光)の主光線IFaおよびIBaが、反射光主光線Raを挟んで反対側の等距離の位置にあり且つ平行であって、ともに反射光主光線Raに対して等しい角度θ(例えば22.5度)をなすように配置されている。
【0039】
錠剤Tの周側面が照射光IF,IBによって照射され得る範囲は、錠剤Tの円形の輪郭Pと照射光主光線(IFa,IBa)とのそれぞれ2つの接点(黒い四角で示す)間の半円状の部分に相当する。そして、照射体112Fに向き合う半円状部分に対応した側面部分が照射光IFによって照射される範囲、照射体112Bに向き合う半円状部分に対応した錠剤側面部分が照射光IBによって照射される範囲となる。また、カメラ200で撮影され得る範囲は、円形輪郭Pと反射光軸RFとの2つの接点(黒い丸で示す)間の半円状の部分に相当する。そして、反射体122Fに向き合う半円状部分に対応した側面部分の反射光RFが手前側ピックアップセット100Fによってカメラ200に導かれ得、反射体122Bに向き合う半円状部分に対応した側面部分の反射光RBが奥側ピックアップセット100Bによってカメラ200に導かれ得る。
【0040】
本実施形態では、手前側および奥側ピックアップセット100Fおよび100Bのそれぞれについて、搬送されてくる錠剤Tに対してYcam方向の実際の計測範囲を規定するROI(region of interest;対象領域)を設定する。これにより、撮像素子上の読み出し画素数が削減されることで、フレームレートを向上することができる。
【0041】
ROIの範囲の広狭は照射光IFと反射光RFとのなす角度θの設定に応じて適宜定め得るものであり、それに応じて計測範囲を拡大または縮小することができる(θを小さく設定するほど計測範囲は拡大する)。そして本実施形態では、照射光IF,IBが錠剤側面を現に照射しており、且つ、当該照射位置がカメラ200によって捉えられる範囲の全体が計測範囲となるようにROIを設定している。図6に即していえば、Yglb方向に搬送されてくる錠剤Tの円形の輪郭Pが反射光主光線RFaと接触する位置Fsから、円形の輪郭Pが照射光主光線IFaから外れる位置Feまでの太い実線で示す円弧に対応する側面部分を手前側ピックアップセット100Fの計測範囲としている。また、奥側ピックアップユニット100Bの計測範囲は、円形輪郭Pが照射光主光線IBaと接触する位置Bsから、円形輪郭Pが反射光主光線RFbから外れる位置Beまでの太い破線で示す円弧に対応する側面部分としている。
【0042】
図7(a)~(d)は、錠剤に計測が行われて行く順次の状態を説明するための説明図である。同図は簡略化のために手前側ピックアップセット100Fについての動作を示しているが、奥側ピックアップセット100Bについても同様の動作にて計測が行われる。なお、図において三角で示す位置は照射光が現に錠剤側面を照射している位置であり、太い実線で示す円弧は計測が行われた範囲を示している。
【0043】
まず、図7(a)は、Yglb方向に搬送されてきた錠剤Tの円形輪郭Pに照射体112Fからの照射光の主光線IFaが接し始めた状態であるが、この照射位置は反射光主光線の死角になっており、計測はまだ行われない。錠剤Tがさらに搬送され、同図(b)のように照射位置が反射光主光線Raと接し、ROIの範囲に含まれるようになると、側面の計測が開始される。
【0044】
錠剤Tは、同図(c)の位置を経てさらに同図(d)の位置まで搬送される。同図(d)は主光線IFaが輪郭Pに接している状態であり、この状態までの照射位置はROIの範囲に含まれており、太い実線で示されるように計測が継続される。しかしこの位置以降は、主光線IFaが輪郭Pに接しない状態、すなわち照射光IFが錠剤側面を照射しない状態となり、仮に照射位置がROIに含まれていても計測動作は終了となる。
【0045】
図8は、上述した搬送過程において手前側ピックアップセット100Fおよび奥側ピックアップセット100Bによって捉えられる錠剤側面の光切断線画像を時系列に並べて示す図である。それぞれの反射体122F,122Bへの反射光RF,RBはZglb方向が反転している(搬送ベルト12に対し、反射光RFは右端側が載置面、反射光RBは左端側が載置面となる)が、上述したようにペンタプリズムの形態の反射体126Fおよび平行四辺形プリズムの形態の反射体126Bを用いることによって、カメラで捉えられる両者のスリット光の光線面は、カメラの座標軸の空間(Xcam,YcamおよびZcam)において、カメラ200の物体面(物面)に納まるものとなる。
【0046】
(計測動作の補完)
以上のようにして得られたスリット光画像(光切断線画像)を適宜画像処理することで、錠剤Tに対する2つの側面画像(縦方向がYglb方向、横方向がXcam方向に対応する)が得られる。そして、図9は、割線Bを有し、手前側ピックアップセット100Fに面する側面と上端とのエッジ部分に欠けcが生じている錠剤Tを例示しており、手前側ピックアップセット100Fおよび奥側ピックアップセット100Bで捉えられていれば、それらの割線Bの向きや欠けcなどの存在が認識できる。
【0047】
割線Bの向きは、本出願人の出願になる特許文献3に開示された技術を用いて認識することができる。上面視したときに円形の輪郭Pを有する割線錠であれば、割線Bは直径方向に延在するものとなるので、観測された割線Bの位置から、搬送方向Yglbに対する向きを認識することができ、これによって例えば割線Bの向きに合わせた印刷処理を行うことができるようになる。この際、搬送ベルト12に接している端面の側に割線Bや欠けc存在していた場合、当該端面の側の画像が不鮮明となることがあり得る。この場合は、回転搬送装置20に配設した側面検査装置によって割線Bの向きや欠けcなどの存在を認識することができる。
【0048】
各ピックアップセットで捉えられる錠剤Tの周側面の範囲(図6の太い実線および太い破線で示す計測範囲)は、θ=22.5度とすれば157.5度、全体で315度となり、相当の範囲をカバーすることができ、θをさらに小さく設定すればより広範囲のカバーが可能となる。しかしいずれにしても、2つの計測範囲の間は非計測範囲となることは避けられない。したがって、図9に示すように、割線Bや欠けcなどが非計測範囲baに位置していると、それらの認識ができなくなる。そこで本実施形態では、計測範囲を補完するためのピックアップユニットを設ける。
【0049】
図10は、かかるピックアップユニットの計測範囲を定める態様を説明するための概念図であり、図6で説明したピックアップユニット100と対をなすものである。この図に現れる照射体および反射体の構成はピックアップユニット100と同様であり、それらの照射体および反射体並びにそれらに関連した主光線は、図6で用いた符号に枝番号「-2」を付して参照する。
【0050】
図10の反射体122F-2および122B-2は、図6の反射体122F-2,122B-2とはYglb方向において反対側に配置されているが、それぞれに向かう反射光(スリット光)の主光線RFa-2およびRBa-2は一直線をなすように正対している(以下、これらの主光線がなす直線を反射光主光線Ra-2として参照する)。一方、照射体112F-2および112B-2は、それぞれが出射する出射光(スリット光)の主光線IFa-2およびIBa-2が、反射光主光線Ra-2を挟んで反対側の等距離の位置にあり且つ平行であって、ともに反射光主光線Ra-2に対して等しい角度θをなすように配置されている。図10図6との比較から明らかなように、反射光主光線Ra-2は反射光主光線Raとは異なる方向に延在しており、また照射光主光線IFa-2およびIBa-2も照射光主光線IFaおよびIBaに対して異なる方向に延在している。
【0051】
錠剤Tの周側面が照射光IF-2,IB-2によって照射され得る範囲は、錠剤Tの円形の輪郭Pと照射光主光線(IFa-2,IBa-2)とのそれぞれ2つの接点(白い四角で示す)間の半円状の部分に相当する。そして、照射体112F-2に向き合う半円状部分に対応した側面部分が照射光IF-2によって照射される範囲、照射体112B-2に向き合う半円状部分に対応した錠剤側面部分が照射光IB-2によって照射される範囲となる。また、カメラ200で撮影され得る範囲は、円形輪郭Pと反射光軸RFとの2つの接点(白い丸で示す)間の半円状の部分に相当する。そして、反射体122F-2に向き合う半円状部分に対応した側面部分の反射光RF-2が手前側ピックアップセット100F-2によってカメラ200に導かれ得、反射体122B-2に向き合う半円状部分に対応した側面部分の反射光RB-2が奥側ピックアップセット100B-2によってカメラ200に導かれ得る。
【0052】
そして、図10の構成においても、手前側および奥側ピックアップセット100F-2および100B-2のそれぞれについて、図6と同様にROIを設定する。つまり、位置Fs-2からFe-2までの、太い実線で示す範囲を手前側ピックアップセット100F-2の計測範囲とし、位置Bs-2からBe-2までの、太い破線で示す範囲を奥側ピックアップセット100B-2の計測範囲とすることができる。この結果、図6のピックアップセット100Fおよび100Bでは計測されない範囲を補完し、錠剤Tの全周側面に対する計測が行われる。
【0053】
なお、ピックアップユニット100および100-2は、互いに補完し合って錠剤Tの全周側面の計測を行うものであればよく、好ましくは錠剤搬送方向(Yglb方向)に沿って、一方が上流側、他方が下流側に位置するように配置することができる。また、図6に概念を示したピックアップユニット100による計測範囲と図10に概念を示したピックアップユニット100-2とは、等しい長さの計測範囲を有し、且つ相当の計測範囲が重複している。しかし要は、一方のピックアップユニットで非計測となる範囲を他方のピックアップユニットでカバーすることができればよいので、重複範囲をより短いものとすることもでき、また、それぞれの計測範囲の長さは必ずしも等しくなくてもよい。計測範囲の長さは、上述のように角度θすなわちROIを適切に設定することによって適宜定めることができる。
【0054】
なお、ピックアップユニット100-2においても、撮像素子の撮像面が1つの平面をなす場合において、2つのピックアップユニット100F-2,100B-2に存在するスリット光の光線面が、シャインプルーフの原理に従って傾いて配置された撮像面を有するカメラの物体面に納まるように反射光学系が構成されることが好ましいことは勿論である。
【0055】
(補完計測を多列搬送に適用した構成の実施形態)
図1図3について説明したように、本実施形態の側面検査装置は2列の搬送ベルト12および12´によって錠剤を並列に搬送し、その過程で第1および第2のピックアップユニット100および100´のそれぞれによって側面検査が行われる。そして、特に図4について説明したように、第1および第2のピックアップユニット100および100´によってピックアップされたスリット光を切妻屋根型の反射体130に導き、傾斜面131および132によってそれぞれの主光線を接近して行く状態として1基のカメラ200に導く構成とした。しかしYglbおよびXglb方向に関して傾き(反射光主光線の方向)の異なる一対のピックアップユニットをYglb方向に並置したものを2列搬送に適用する場合、カメラに対してスリット光を導く構成は適宜定め得る。
【0056】
図11(a)~(c)はその3例を示す。同図(a)は、Yglb方向の上流側にあるピックアップユニット100,100´をセットとし、図4と同様の切妻屋根型の反射体130によってそれぞれのスリット光を1基のカメラに導く一方、Yglb方向の上流側にあるピックアップユニット100-2,100´-2をセットとし、切妻屋根型の反射体130-2によってそれぞれのスリット光を別の1基のカメラに導くようにした構成である。
【0057】
同図(b)は、搬送ベルト12に関してYglb方向の上流側および下流側にあるピックアップユニット100,100-2をセットとし、切妻屋根型の反射体134によってそれぞれのスリット光を1基のカメラに導く一方、搬送ベルト12に関してYglb方向の上流側および下流側にあるピックアップユニット100´,100´-2をセットとし、切妻屋根型の反射体134´によってそれぞれのスリット光を別の1基のカメラに導くようにした構成である。なお、この構成は、1本の搬送ベルトに対して配置される2つのピックアップユニットをセットとして錠剤側面を計測するものであるので、2列搬送を行うものに限らず、1列または3列以上の搬送路が設けられる場合であっても適用可能である。
【0058】
図11(a)および(b)の構成に対し、1基のカメラのみで4つのピックアップユニットからのスリット光を撮影することも可能である。同図(c)では、4つの傾斜面を有する四角錐形状の反射体136を配置し、4つのピックアップユニット100,100-2,100´,100´-2からのスリット光を1基のカメラに導くようにした構成である。
【0059】
なお、各列における2つのピックアップユニットの配設位置および互いに対するXglb-Yglb平面内の傾きなどは、錠剤の全周側面の検査を可能とするという趣旨に沿う限り、任意所望に定め得ることは勿論である。また、図11(a)~(c)に示した反射体130,134,134´,136の配設位置および形状は、あくまでも説明のための模式的なものである。2以上のスリット光の主光線を接近して行く状態として1基以上のカメラに導き、反射体130,130-2のセットからカメラ200までの光路、反射体134,134´のセットからカメラ200までの光路、136からカメラ200までの光路において、いずれも像面(結像面)が1つの平面をなす場合に、複数存在するスリット光の平面(光線面)が,シャインプルーフの原理に従って構成されたカメラ200の物面(物体面)内におさまるように、結像光学系の反射体が構成されていれば、適宜定め得ることは勿論である。
【0060】
また、図11(a)および(b)では、2つのピックアップユニットからのスリット光を1基のカメラに導く2つの傾斜面を有する切妻屋根形状の反射体(130,130-2;134,134´)を設けた構成を例示した。しかし3以上のピックアップユニットを含む側面検査装置をトーナメント表のようにツリー構造状化ないしは階層化した状態で配置し、すべてのピックアップユニットのスリット光を1基のカメラに導くようにしてもよい。
【0061】
図12はその一例を示しており、2列の搬送ベルト12,12´に対して配置されたピックアップユニット100,100´に加え、さらに2列の搬送ベルト312,312´に対して配置されたピックアップユニット300,300´よって錠剤を並列に搬送する構成である。かかる構成においては、ピックアップユニット100,100´の組とピックアップユニット300,300´の組との間にスリット光をカメラ200に向ける切妻屋根形状の反射体430が設けられるとともに、その傾斜面431,432に向けて各組からのスリット光を導く反射体150,350が設けられた構成となっている。
【0062】
以上を一般化すれば、撮像素子204の撮像面が1つの平面をなす場合において、複数のピックアップユニットのそれぞれに2つずつ存在するスリット光の光線面が、シャインプルーフの原理に従って傾いて配置された撮像面を有するカメラ200の物体面に納まり、シャインプルーフの原理に従うように各ピックアップユニットの反射光学系が構成されていればよいといい得る。ピックアップユニットの総数は撮像面の寸法に応じて適宜定め得るものであり、階層数についても同様である。
【0063】
(その他)
本発明は、以上の実施形態および随所に述べた変形例に限られない。
例えば、第1の実施形態では、照射されるスリット光IF,IBの主光線IFa,IBaがXglb-Yglb平面に平行であり、且つ、スリット光のIF,IBの長手方向がZglb軸に平行である実施形態、すなわち錠剤Tの側面にのみスリット光を照射し、その反射光をピックアップする実施形態について説明した。しかし、少なくとも錠剤Tの厚み全体をカバーするスリット光が照射されるのであれば、スリット光IF,IBの主光線IFa,IBaがXglb-Yglb平面(搬送面)およびZglb軸に対して傾いている(非平行である)構成であってもよい。
【0064】
図13はそのための第2の実施形態に係る反射光学系の構成の一例を示し、錠剤Tの斜め上方からスリット光IF,IBを照射する照射体112F´,112B´と、その反射光を受光する反射体122F´,122B´と、が設けられている。このような構成によれば、図14(a)および(b)に示すように、搬送ベルト12に載置されている端面とは反対側の端面Teにもスリット光IF,IBが照射されるので、錠剤Tの側面Tsだけでなく、端面Teの計測を行うことも可能となる。したがって、図1に示した処理システムの構成において端面検査装置を配設することが不要となり、処理システムの構成を簡略化することができるか、あるいは別の処理装置を配設することができるようになる。
【0065】
また、異なる方向から小型物品の面を計測する一対のピックアップセットを有するピックアップユニットを備え、ピックアップセットのそれぞれは、少なくとも前記面の幅の全体にわたるリット光を照射する照射体と、当該照射されたスリット光の反射光をカメラに導く反射光学系であって反射光を受光する反射体を含む反射光学系と、を有するという本発明の趣旨に沿うものであれば、計測対象とする面は、第1および第2の実施形態に限られない。つまり、小型物品の端面に限局した計測が行われるように面計測装置を構成することもできる。
【0066】
図15および図16(a)~(c)はその構成の一実施形態を示す。この構成では、錠剤Tの搬送方向Yglbに関して相対的に上流側に位置するピックアップセットと、相対的に下流側に位置するピックアップセットと、を備える。図15に示すように、錠剤Tの端面に対し、上流側および下流側ピックアップセットの照射系IUおよびIDによって2方向から別の位置に、互いに平行なスリット光UPCおよびDPCを照射する。図ではこれらのスリット光の長手方向は錠剤Tの搬送方向Yglbと直交する方向に描かれているが、これは必須ではなく、搬送方向Yglbと交差する方向であればよい。
【0067】
図16(a)、(b)および(c)は、それぞれ、本実施形態に係るピックアップユニットの模式的な立面図、上面図および側面図であり、スリット光UPC,DPCおよびそれぞれの反射光主光線UPCa,DPCaを重ねて描いたものである。上流側のピックアップセットの反射光学系は、プリズム形態の反射体522Uおよび526Uで構成され、下流側のピックアップセットの反射光学系は、同じくプリズム形態の522Dおよび526Dで構成されている。スリット光UPCおよびDPCは、反射体522Uおよび522Dによって平行四辺形プリズム形態の反射体526Uおよびペンタプリズム形態の反射体526Dに導かれ、それぞれの内部で2回および3回反射された後に出射する。
【0068】
なお、図16においては、反射体526Uおよび526Dから出射する2つの主光線が平行であるように描かれているが、実際には、これらの主光線は互いに接近して行きながらカメラ200のレンズ202の主点に向かうように反射光学系が構成されている。
【0069】
また、図16においては1つのピックアップユニットに対して1基のカメラを対応させた構成が示されているが、上述した実施形態と同様に、複数のピックアップユニットに対して1基のカメラを対応させることも可能であるのは勿論である。さらにその場合において、複数のピックアップユニットのツリー構造状ないしは階層化した状態として配置することも可能である。また、本実施形態においても、撮像素子の撮像面が1つの平面をなす場合において、複数のピックアップユニットのそれぞれに2つずつ存在するスリット光の光線面が、シャインプルーフの原理に従って傾いて配置された撮像面を有するカメラ200の物体面に納まり、シャインプルーフの原理に従うように各ピックアップユニットの反射光学系が構成されていればよい。
【符号の説明】
【0070】
12、12´ 搬送ベルト
100、100´、100-2、100´-2、300、300´ ピックアップユニット
100F、100B ピックアップセット
112(112F,112B)、IU、ID 照射体
122(122F,122B)、124(124F,124B)、126(126F,126B)、128、130、150、350、526U、526D 反射体
200 カメラ
202 レンズ
202P レンズ主点
204 撮像素子
204I 撮像面
IF、IB 照射光(スリット光)
IFa、IBa 照射光主光線
RF、RB、UPC、DPC 反射光(スリット光)
RFa、RBa、Ra 反射光主光線
T 錠剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16