(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】円筒内面撮像装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/954 20060101AFI20230816BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
G01N21/954 A
G02B23/26 B
G02B23/26 D
(21)【出願番号】P 2019182696
(22)【出願日】2019-10-03
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503193889
【氏名又は名称】株式会社エデックリンセイシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100104514
【氏名又は名称】森 泰比古
(72)【発明者】
【氏名】井田 信
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-198485(JP,A)
【文献】特開2003-007681(JP,A)
【文献】特開平09-281424(JP,A)
【文献】実開昭62-113317(JP,U)
【文献】特開平10-197215(JP,A)
【文献】実開平07-023210(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
G02B 23/24 - G02B 23/26
G02B 5/00 - G02B 5/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置本体から伸ばされた導光筒部の一部に備えられた透明筒部の内側に前記撮像装置本体に向かって光を反射する様に凸面鏡を備え、該凸面鏡が反射した光から前記透明筒部を取り囲む円筒部の内面の様子を反映した画像を撮像するための装置であって、以下の構成をも備えていることを特徴とする円筒内面撮像装置。
(1A)前記凸面鏡として、前記導光筒部の中心軸と中心を一致させ、頂点を前記撮像装置本体に対面させる様に頂角90度の円錐コーンミラーを設置したこと。
(1B)前記導光筒部内に、当該導光筒部の中心軸に直交する方向から入射する光を当該導光筒部の中心軸と平行で前記円錐コーンミラーの設置された方向へと反射すると共に、当該導光筒部の中心軸に平行な方向から入射する光を前記撮像装置本体の設置された方向へと透過させるビームスプリッターを設置したこと。
(1C)前記ビームスプリッターに向かって前記導光筒部の中心軸と直交する方向から光を照射する光源を備えたこと。
(1D)前記透明筒部は、全周にわたり透明な筒体であって、前記円錐コーンミラーの高さの範囲については内外いずれの方向も遮蔽されることなく設置される
こと。
(1E)前記透明筒部は、その内面の少なくとも一部が全周にわたり前記円錐コーンミラーの中心軸に直交する方向の反射光を生じない様
に直径を高さ方向に連続的に変化させたテーパ筒で構成されていること。
【請求項2】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項
1に記載の円筒内面撮像装置。
(2)前記透明筒部は、先細となる様に高さ方向に直径を変化させたテーパ筒で構成されていること。
【請求項3】
撮像装置本体から伸ばされた導光筒部の一部に備えられた透明筒部の内側に前記撮像装置本体に向かって光を反射する様に凸面鏡を備え、該凸面鏡が反射した光から前記透明筒部を取り囲む円筒部の内面の様子を反映した画像を撮像するための装置であって、以下の構成をも備えていることを特徴とする円筒内面撮像装置。
(3A)前記凸面鏡として、前記導光筒部の中心軸と中心を一致させ、頂点を前記撮像装置本体に対面させる様に頂角90度の円錐コーンミラーを設置したこと。
(3B)前記導光筒部内に、当該導光筒部の中心軸に直交する方向から入射する光を当該導光筒部の中心軸と平行で前記円錐コーンミラーの設置された方向へと反射すると共に、当該導光筒部の中心軸に平行な方向から入射する光を前記撮像装置本体の設置された方向へと透過させるビームスプリッターを設置したこと。
(3C)前記ビームスプリッターに向かって前記導光筒部の中心軸と直交する方向から光を照射する光源を備えたこと。
(3D)前記透明筒部は、全周にわたり透明な筒体であって、前記円錐コーンミラーの高さの範囲については内外いずれの方向も遮蔽されることなく設置されること。
(3E)前記透明筒部は、その内面の少なくとも一部が全周にわたり前記円錐コーンミラーの中心軸に直交する方向の反射光を生じない様に直径を高さ方向に連続的に変化させた樽型又は鼓型の筒で構成されていること。
【請求項4】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項
3に記載の円筒内面撮像装置。
(4)
前記透明筒部は、最大径の部分が前記円錐コーンミラーの頂点よりも上に位置する樽型、または、最小径の部分が前記円錐コーンミラーの頂点よりも上に位置する鼓型となる様に高さ方向に直径を変化させたものであること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒内周面を撮像するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円形ボア内周面のダイヤ目やボーリング目などによる粗残りを検査するための装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1の装置は、
[1]レーザー光源のレーザー光を反射してボア内周面に放射状に照射する第1の円錐ミラーでボア内周面の360゜のレーザー照射範囲を照射し、
[2]ボア内周面からの放射状の反射光を第2の円錐ミラーで撮像器に向かって反射し、
[3]撮像器により撮像されたデータを画像処理装置で演算処理してボア内周面の粗残り検査をする、
というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の装置の光学ユニットは、レーザー光源、レンズ、及び第1の円錐ミラーを同軸に収納した第1ケースと、第2の円錐ミラーを固定した第2ケースとを連結固定したものであり、対象物の内径が変わると照明の光を目的の位置に当てることができないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、円筒内面の撮像すべき範囲から適切な明るさの反射光を得ることができる様にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためになされた本発明の円筒内面撮像装置は、撮像装置本体から伸ばされた導光筒部の一部に備えられた透明筒部の内側に前記撮像装置本体に向かって光を反射する様に凸面鏡を備え、該凸面鏡が反射した光から前記透明筒部を取り囲む円筒部の内面の様子を反映した画像を撮像するための装置であって、以下の構成をも備えていることを特徴とする。
(1A)前記凸面鏡として、前記導光筒部の中心軸と中心を一致させ、頂点を前記撮像装置本体に対面させる様に頂角90度の円錐コーンミラーを設置したこと。
(1B)前記導光筒部内に、当該導光筒部の中心軸に直交する方向から入射する光を当該導光筒部の中心軸と平行で前記円錐コーンミラーの設置された方向へと反射すると共に、当該導光筒部の中心軸に平行な方向から入射する光を前記撮像装置本体の設置された方向へと透過させるビームスプリッターを設置したこと。
(1C)前記ビームスプリッターに向かって前記導光筒部の中心軸と直交する方向から光を照射する光源を備えたこと。
(1D)前記透明筒部は、全周にわたり透明な筒体であって、前記円錐コーンミラーの高さの範囲については内外いずれの方向も遮蔽されることなく設置されること。
(1E)前記透明筒部は、その内面の少なくとも一部が全周にわたり前記円錐コーンミラーの中心軸に直交する方向の反射光を生じない様に直径を高さ方向に連続的に変化させたテーパ筒で構成されていること。
【0008】
本発明の円筒内面撮像装置によれば、光源が照射した光は、導光筒部内においてビームスプリッターに入射し、導光筒部の中心軸に平行な光として円錐コーンミラーに向かって反射される。円錐コーンミラーは頂角90度であって、導光筒部の中心軸と中心を一致させ、頂点を撮像装置本体に対面させる様に設置されているから、ビームスプリッターによって反射された光は、円錐コーンミラーの反射面で反射され、導光筒部の中心軸に直交する方向へと反射される。従って、本発明の円筒内面撮像装置の導光筒部を検査対象物の円筒部分の中心軸と平行に、より望ましくは中心軸を一致させた状態で、円筒部分に挿入すれば、円錐コーンミラーの反射面に対面する円筒部分の内面が全周にわたって照明されることとなる。この円筒部分の内面を照明した光は、円筒部分の内面にて反射され、円筒部分の中心軸に直交する方向の反射光として円錐コーンミラーの反射面へと到達する。この円筒部分の内面からの反射光は、頂角90度の円錐コーンミラーによって導光筒部の中心軸と平行な反射光としてビームスプリッターに向かって反射され、当該ビームスプリッターを透過して撮像装置本体へと到達する。この結果、撮像装置本体において円錐コーンミラーの反射面に対面する範囲の円筒部分の内面の様子を反映した画像を撮像することができる。この画像は、画像処理装置へと送られ、円筒部分の内面を表す画像情報に変換され、各種判定等を実行するのに用いられる。このとき、本発明の円筒内面撮像装置によれば、常に、円錐コーンミラーの反射面の高さに対応する様に検査対象物の円筒部分の内面へと光が照射されるから、円筒部分の径が変化しても適切な明るさの反射光を得ることができる。また、透明筒部として、全周にわたり透明な筒体を内外いずれの方向も遮蔽されることなく設置しているから、装置を回転させたりすることなく円筒部分の内面全周を撮像することができ、迅速な作業が可能となる。このとき、透明筒部の内面の少なくとも一部が全周にわたり前記円錐コーンミラーの中心軸に直交する方向の反射光を生じない様に直径を高さ方向に連続的に変化させたテーパ筒で構成されているから、透明筒部の内面による反射光が、円筒部分の内面からの反射光に重畳して撮像装置本体が撮像する画像を不正確なものとすることもない。
【0009】
より具体的には、高さ方向に直径を変化させたテーパ筒で透明筒部を構成した円筒内面撮像装置によれば、円錐コーンミラーが外に向かって反射した光の内、透明筒部の内面で反射された光は導光筒部の中心軸に直交する方向に対して傾いたものとなるから、検査対象物の円筒部分の内面から円錐コーンミラーに向かって戻ってくる反射光に重畳しない。この結果、円錐コーンミラーが撮像装置本体に向かって反射する光を明るすぎるものとせず、円筒部分の内面の様子を適確に反映した光を撮像装置本体へと到達させることができる。なお、テーパ筒は、先端に向かって細くすることで円筒部分へ挿入する際の干渉を避けやすい構造にしてもよいし、逆に、先端に向かって太くすることで透明筒部の内面からの反射光を撮像装置本体とは反対方向に向かう様にして内面の反射光の影響をより抑制する構造にしてもよい。
【0010】
撮像対象の円筒部分への挿入のし易さという点からは、特に、以下の構成を備えたものとするとよい。
(2)前記透明筒部は、先細となる様に高さ方向に直径を変化させたテーパ筒で構成されていること。
【0011】
テーパ筒に代えて、樽型、あるいは鼓型といった筒体を用いてもよい。円錐コーンミラーに向かってその中心軸に直交する反射光が生じたとしても、それは部分的であるから、画像全体を光らせてしまうことはない。
【0012】
従って、上記目的を達成するための円筒内面撮像装置としては、以下の構成を採用することができる。
撮像装置本体から伸ばされた導光筒部の一部に備えられた透明筒部の内側に前記撮像装置本体に向かって光を反射する様に凸面鏡を備え、該凸面鏡が反射した光から前記透明筒部を取り囲む円筒部の内面の様子を反映した画像を撮像するための装置であって、以下の構成をも備えていることを特徴とする円筒内面撮像装置。
(3A)前記凸面鏡として、前記導光筒部の中心軸と中心を一致させ、頂点を前記撮像装置本体に対面させる様に頂角90度の円錐コーンミラーを設置したこと。
(3B)前記導光筒部内に、当該導光筒部の中心軸に直交する方向から入射する光を当該導光筒部の中心軸と平行で前記円錐コーンミラーの設置された方向へと反射すると共に、当該導光筒部の中心軸に平行な方向から入射する光を前記撮像装置本体の設置された方向へと透過させるビームスプリッターを設置したこと。
(3C)前記ビームスプリッターに向かって前記導光筒部の中心軸と直交する方向から光を照射する光源を備えたこと。
(3D)前記透明筒部は、全周にわたり透明な筒体であって、前記円錐コーンミラーの高さの範囲については内外いずれの方向も遮蔽されることなく設置されること。
(3E)前記透明筒部は、その内面の少なくとも一部が全周にわたり前記円錐コーンミラーの中心軸に直交する方向の反射光を生じない様に直径を高さ方向に連続的に変化させた樽型又は鼓型の筒で構成されていること。
【0013】
樽型又は鼓型の筒を用いる際の中心軸に直交する反射光が部分的に発生するのを防止する上で、さらに、以下の構成を採用するとよい。
(4)前記透明筒部は、最大径の部分が前記円錐コーンミラーの頂点よりも上に位置する樽型、または、最小径の部分が前記円錐コーンミラーの頂点よりも上に位置する鼓型となる様に高さ方向に直径を変化させたものであること。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、円筒内面の撮像すべき範囲から適切な明るさの反射光を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1の円筒内面撮像装置を示し、(A)は多関節ロボットに装着して使用する様子を表した斜視図、(B)は円筒内面撮像装置の全体の構造を示す模式図、(C)はビームスプリッターにて反射された光で円筒部分の内面を照明する様子の模式図、(D)は円筒部分の内面から反射された光が円錐コーンミラーにて反射され、ビームスプリッターを透過する様子の模式図である。
【
図2】実施例1,2の円筒内面撮像装置を示し、(A)は実施例1の円筒内面撮像装置において透明筒部の内面で反射された光の悪影響が排除される様子を示す模式図、
(B)は実施例1によって撮像される画像を例示する平面図、(C)は実施例2の円筒内面撮像装置において透明筒部の内面で反射された光の悪影響が排除される様子を示す模式図である。
【
図3】
実施例3~5の円筒内面撮像装置を示し、(A)は
実施例3の円筒内面撮像装置において透明筒部の内面で反射された光の悪影響が排除される様子を示す模式図、(B)は実施例4の円筒内面撮像装置において透明筒部の内面で反射された光の悪影響が排除される様子を示す模式図、(C)は実施例5の円筒内面撮像装置において透明筒部の内面で反射された光の悪影響が排除される様子を示す模式図、(D)は実施例5によって撮像される画像を例示する平面図である。
【
図4】
実施例6及び比較例の円筒内面撮像装置を示し、(A)は
実施例6の円筒内面撮像装置において透明筒部の内面で反射された光の悪影響が排除される様子を示す模式図
、(B)は比較例の円筒内面撮像装置において透明筒部の内面で反射された光の悪影響を示す模式図、(C)は実施例6において撮像される画像を例示する平面図
、(D)は比較例において撮像される画像を例示する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0017】
実施例1の円筒内面撮像装置10は、
図1(A)に示す様に、多関節ロボット1に装着し、ワークWの円筒部Whの中心に導光筒部12の軸心を一致させた状態で昇降させながら円筒部Whの内面の様子を反映した画像を撮像するためのものである。
【0018】
円筒内面撮像装置10は、
図1(B)に示す様に、撮像装置本体11から伸ばされた導光筒部12の先端に透明筒部13を介して底板14を備え、この底板14の中心に頂点を上に向ける様にして円錐コーンミラー15を備えている。この円錐コーンミラー15は頂角90度のものである。
【0019】
透明筒部13は、高さ方向に直径を変化させた先細で全周にわたり透明テーパ筒で構成され、円錐コーンミラーの高さの範囲については内外いずれの方向も遮蔽されることなく設置されている。
【0020】
導光筒部12の上部には、当該導光筒部12の中心軸に直交する方向から入射する光を、当該導光筒部12の中心軸と平行で円錐コーンミラー15の設置された方向へと反射すると共に、当該導光筒部12の中心軸に平行な方向から入射する光を撮像装置本体11の設置された方向へと透過させるビームスプリッター17を設置すると共に、このビームスプリッター17に向かって導光筒部12の中心軸と直交する方向から光を照射する光源18を備えている。
【0021】
実施例1の円筒内面撮像装置10によれば、
図1(C)に示す様に、光源18が照射した光は、導光筒部12内においてビームスプリッター17に入射し、導光筒部12の中心軸に平行な光として円錐コーンミラー15に向かって反射される。円錐コーンミラー15は頂角90度であって、導光筒部12の中心軸と中心を一致させ、頂点を撮像装置本体11に対面させる様に設置されているから、ビームスプリッター21によって反射された光は、円錐コーンミラー15の反射面で反射され、導光筒部12の中心軸に直交する方向へと反射される。従って、円筒内面撮像装置10の導光筒部12の中心軸をワークWの円筒部Whの中心軸と一致させた状態で円筒部Whに挿入すれば、円錐コーンミラー15の反射面に対面する円筒部Whの内面が全周にわたって照明されることとなる。この円筒部Whの内面を照明した光は、円筒部Whの内面にて反射され、
図1(D)に示す様に、円筒部Whの中心軸に直交する方向の反射光として円錐コーンミラー15の反射面へと到達する。この円筒部Whの内面からの反射光は、頂角90度の円錐コーンミラー15によって導光筒部12の中心軸と平行な反射光としてビームスプリッター17に向かって反射され、当該ビームスプリッター17を透過して撮像装置本体11へと到達する。この結果、撮像装置本体11において円錐コーンミラー12の反射面に対面する範囲の円筒部Whの内面の様子を反映した画像を撮像することができる。この画像は、画像処理装置へと送られ、円筒部分の内面を表す画像情報に変換され、各種判定等を実行するのに用いられる。
【0022】
ここで、実施例1の円筒内面撮像装置10によれば、
図2(A)に示す様に、円錐コーンミラー15が外に向かって反射した光の内、透明筒部13の内面で反射された光は導光筒部12の中心軸に直交する方向に対して上向きに傾いたものとなるから、ワークWの円筒部Whの内面から円錐コーンミラー15に向かって戻ってくる反射光に重畳しない。この結果、円錐コーンミラー15が撮像装置本体15に向かって反射する光を明るすぎるものとせず、円筒部Whの内面の様子を適確に反映した光を撮像装置本体11へと到達させ、例えば、
図2(B)に示す様な画像PHT10を撮像することができる。
【実施例2】
【0023】
実施例2の円筒内面撮像装置20は、
図2(C)に示す様に、導光筒部12の先端に設ける透明筒部23を、高さ方向に直径を変化させた末広がりで全周にわたり透明テーパ筒で構成し、直径の大きい底板24を用いる以外は、実施例1の円筒内面撮像装置10と同様の構成をしている。実施例2の円筒内面撮像装置20においても、円錐コーンミラー15が外に向かって反射した光の内、透明筒部23の内面で反射された光は導光筒部12の中心軸に直交する方向に対して下向きに傾いたものとなるから、ワークWの円筒部Whの内面から円錐コーンミラー15に向かって戻ってくる反射光に重畳しない。この結果、円錐コーンミラー15が撮像装置本体15に向かって反射する光を明るすぎるものとせず、円筒部Whの内面の様子を適確に反映した光を撮像装置本体11へと到達させることができ、実施例1と同様の画像を撮像することができる。
【0024】
なお、実施例1の透明筒部13は、先端に向かって細くすることで円筒部Whへ挿入する際の干渉を避けやすい構造ということができ、実施例2の透明筒部23は、先端に向かって太くすることで透明筒部の内面からの反射光を撮像装置本体11とは反対方向に向かう様にして内面反射光の影響をより抑制した構造ということができる。
【実施例3】
【0025】
実施例3の円筒内面撮像装置30は、
図3(A)に示す様に、導光筒部12の先端に設ける透明筒部33を、高さ方向に直径を変化させた樽型で最大径の部分が円錐コーンミラー15の頂点よりも上に位置し、全周にわたり透明な樽型筒で構成し、その下端と同一径の底板34を用いる以外は、実施例1の円筒内面撮像装置10と同様の構成をしている。実施例3の円筒内面撮像装置30においても、円錐コーンミラー15が外に向かって反射した光の内、透明筒部33の内面で反射された光は導光筒部12の中心軸に直交する方向に対して上向きに傾いたものとなるから、ワークWの円筒部Whの内面から円錐コーンミラー15に向かって戻ってくる反射光に重畳しない。この結果、円錐コーンミラー15が撮像装置本体15に向かって反射する光を明るすぎるものとせず、円筒部Whの内面の様子を適確に反映した光を撮像装置本体11へと到達させることができ、実施例1と同様の画像を撮像することができる。
【実施例4】
【0026】
実施例4の円筒内面撮像装置40は、
図3(B)に示す様に、導光筒部12の先端に設ける透明筒部43を、高さ方向に直径を変化させた鼓型で最小径の部分が円錐コーンミラー15の頂点よりも上に位置し、全周にわたり透明な鼓型筒で構成し、その下端と同一径の底板44を用いる以外は、実施例1の円筒内面撮像装置10と同様の構成をしている。実施例4の円筒内面撮像装置40においても、円錐コーンミラー15が外に向かって反射した光の内、透明筒部43の内面で反射された光は導光筒部12の中心軸に直交する方向に対して下向きに傾いたものとなるから、ワークWの円筒部Whの内面から円錐コーンミラー15に向かって戻ってくる反射光に重畳しない。この結果、円錐コーンミラー15が撮像装置本体15に向かって反射する光を明るすぎるものとせず、円筒部Whの内面の様子を適確に反映した光を撮像装置本体11へと到達させることができ、実施例1と同様の
画像を撮像することができる。
【実施例5】
【0027】
実施例5の円筒内面撮像装置50は、
図3(C)に示す様に、導光筒部12の先端に設ける透明筒部53を、最小径の部分が円錐コーンミラー15の頂点のやや下側付近に位置する鼓型筒で構成し、その下端と同一径の底板54を用いる以外は、実施例4の円筒内面撮像装置40と同様の構成をしている。実施例5の円筒内面撮像装置50においては、円錐コーンミラー15の頂点付近において導光筒部12の中心軸に直交する方向になるものの、透明筒部53の内面で反射された光が導光筒部12の大部分は、中心軸に直交する方向に対して下向きに傾いたものとなる。この結果、部分的には光の重畳が生じ、
図3(D)に例示する様に、中心部分に明るいリング部分RNG50が生じるものの大部分は明るすぎることのない画像PHT50を撮像することができる。このリング部分RNG50は、円筒内面撮像装置50の挿入深さを変えることによって移動させることができるから、円筒部Whの内面全体を撮像するに当たって大きな支障にはならない。
【実施例6】
【0028】
実施例6の円筒内面撮像装置60は、
図4(A)に示す様に、導光筒部12の先端に設ける透明筒部63を、全周にわたって透明な直管で構成し、その下端と同一径の底板64を用いると共に、透明筒部63の内面に反射防止コーティング層66を設ける点以外は、実施例1の円筒内面撮像装置10と同様の構成をしている。実施例6の円筒内面撮像装置60においては、反射防止コーティング層66によって透明筒部63の内面の反射が防止される結果、円錐コーンミラー15がビームスプリッター17に向かって導光筒部12の中心軸と平行な方向に反射する光に対する光の重畳は生じず、
図4(C)に例示する様に、適確な画像PHT60を撮像することができる。なお、
図4(B)に示す様に反射防止コーティング層を備えない直管73で構成した装置70では、透明筒部73の内面による反射光が広い範囲で重畳し、
図4(D)に例示する様に、撮像される画像PHT70は全体が明るすぎるものとなるおそれが高い。
【0029】
[実施例のまとめ]
以上説明した各実施例の円筒内面撮像装置10,20,30,40,50,60によれば、常に、円錐コーンミラー15の反射面の高さに対応する様にワークWの円筒部Whの内面へと光が照射されるから、円筒部Whの径が変化しても適切な明るさの反射光を得ることができる。また、透明筒部13,23,33,43,53,63として、全周にわたり透明な筒体を内外いずれの方向も遮蔽されることなく設置しているから、装置を回転させたりすることなく円筒部分Whの内面面全周を撮像することができ、迅速な作業が可能となる。このとき、透明筒部13,23,33,43,53,63の内面の少なくとも一部が全周にわたり円錐コーンミラー15の中心軸に直交する方向の反射光を生じない様に構成されているから、透明筒部の内面による反射光が、円筒部Whの内面からの反射光に重畳して撮像装置本体11が撮像する画像を不正確なものとすることもない。
【0030】
なお、反射防止コーティングを施す必要がない点で、実施例1~実施例5の方が実施例6よりも有利である。また、透明筒部の内面の反射光の影響を無くし、かつ設計が容易な点では、実施例1,2がより優れたものということができる。
【0031】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々に実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、各種ワークの円筒部の内面検査に用いることができる。
【符号の説明】
【0033】
1・・・多関節ロボット、10,20,30,40,50,60・・・円筒内面撮像装置、11・・・撮像装置本体、12・・・導光筒部、13,23,33,43,53,63・・・透明筒部、15・・・円錐コーンミラー、17・・・ビームスプリッター、18・・・光源、66・・・反射防止コーティング層、70・・・比較例の円筒内面撮像装置、W・・・ワーク、Wh・・・円筒部。