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特許7332441負荷時タップ切換器、負荷時タップ切換変圧器及び電圧調整装置
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  • 特許-負荷時タップ切換器、負荷時タップ切換変圧器及び電圧調整装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】負荷時タップ切換器、負荷時タップ切換変圧器及び電圧調整装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 29/04 20060101AFI20230816BHJP
   H02J 3/18 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
H01F29/04 502L
H02J3/18 178
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019207326
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021082667
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】前田 博宣
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-139124(JP,A)
【文献】特開2002-204575(JP,A)
【文献】特開2018-57135(JP,A)
【文献】特開2019-80430(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0288503(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/00、29/00-29/04、41/00
H02J 3/18
H02H 7/00-7/055
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タップ付変圧器の二次巻線が有する複数のタップを切り換えるための複数の切換スイッチを備える負荷時タップ切換器であって、
前記複数の切換スイッチをオン/オフして前記複数のタップを切り換える制御部と、
前記タップ付変圧器の一次巻線に印加される電圧を検出する第1電圧検出部と、
前記制御部が切り換えたタップから出力される前記タップ付変圧器の二次巻線の電圧を検出する第2電圧検出部と
を備え、
前記制御部は、切り換えたタップに応じた前記タップ付変圧器の巻数比と、前記第2電圧検出部の検出結果に対する前記第1電圧検出部の検出結果の比である前記タップ付変圧器の変圧比との比較結果に基づいて、前記切換スイッチの異常を検出する負荷時タップ切換器。
【請求項2】
前記制御部は、前記巻数比に対する前記変圧比の比が所定の閾値範囲内にない場合に異常を検出する請求項1に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項3】
前記複数の切換スイッチのそれぞれは、逆並列に接続されたサイリスタの組を含んで構成されている請求項1又は請求項2に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項4】
前記制御部は、前記異常を検出した場合、少なくとも前記タップを切り換えるためにオンした切換スイッチをオフにして該切換スイッチのオンを禁止する請求項3に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の負荷時タップ切換器と、
前記タップ付変圧器と
を備える負荷時タップ切換変圧器。
【請求項6】
三相の交流電圧を電源から負荷に配電する配電線に二次巻線が直列に接続される直列変圧器と、請求項5に記載の負荷時タップ切換変圧器とを備える電圧調整装置であって、
前記負荷時タップ切換変圧器は、前記配電線における前記直列変圧器の接続位置よりも前記負荷側の位置に一次巻線が並列に接続され、
前記直列変圧器は、前記負荷時タップ切換変圧器における負荷時タップ切換器が切り換えたタップに一次巻線が接続されている電圧調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷時タップ切換器、該負荷時タップ切換器を用いた負荷時タップ切換変圧器並びに該負荷時タップ切換変圧器及び直列変圧器を用いた電圧調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる間接切換方式による電圧調整装置は、二次巻線が配電線に直列に接続される直列変圧器と、一次巻線が配電線に並列に接続され、二次巻線に複数のタップが設けられた調整変圧器と、該複数のタップを切り換えて直列変圧器の一次巻線に接続するタップ切換器とを備えている。
【0003】
タップ切換器は、直列変圧器の一次巻線に接続するタップを切り換えるための切換スイッチと、タップ切換を行う過程でタップ間に流れる矯絡電流を制限する限流抵抗器等の限流素子と、該限流素子のタップ間への接続及び切り離しを行う矯絡用スイッチとを有する。タップ切換器は、これらのスイッチを所定のシーケンスでオンオフすることにより、調整変圧器から直列変圧器の一次巻線に印加する調整電圧の大きさ及び極性を切り換える。
【0004】
切換スイッチをオンする制御は、通常、タップ切換器が有する制御部が行うが、制御部が制御を開始してから実際に切換スイッチがオンに駆動されるまでの間には、様々なソフトウェア処理やハードウェア回路が介在するため、制御部が行う制御と切換スイッチの挙動とは必ずしも一致するとは限らないところがある。
【0005】
このような不都合に対し、例えば特許文献1には、発電機の分割界磁巻線に流れる電流をSCR(登録商標)で分流させることによって出力電圧を調整する自動電圧調整装置が記載されている。この装置は、SCRの点弧パルス出力の喪失等の異常の有無を検出し、異常検出時に外部へAVR異常検出信号を出力するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-32353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された技術を用いて、切換スイッチを駆動する信号を監視した場合であっても、切換スイッチの実際の動作を確認したことにはならない。例えば切換スイッチにサイリスタ等のスイッチング素子を用いた場合、スイッチング素子がノイズによって誤点弧又は誤消弧したり、故障によって短絡又は開放となったりすることがあり、目標とするタップ切換が正常に行えないことがあった。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、切換スイッチによってタップが正常に切り換わったことが確認可能な負荷時タップ切換器、負荷時タップ切換変圧器及び電圧調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る負荷時タップ切換器は、タップ付変圧器の二次巻線が有する複数のタップを切り換えるための複数の切換スイッチを備える負荷時タップ切換器であって、前記複数の切換スイッチをオン/オフして前記複数のタップを切り換える制御部と、前記タップ付変圧器の一次巻線に印加される電圧を検出する第1電圧検出部と、前記制御部が切り換えたタップから出力される前記タップ付変圧器の二次巻線の電圧を検出する第2電圧検出部とを備え、前記制御部は、切り換えたタップに応じた前記タップ付変圧器の巻数比と、前記第2電圧検出部の検出結果に対する前記第1電圧検出部の検出結果の比である前記タップ付変圧器の変圧比との比較結果に基づいて、前記切換スイッチの異常を検出する。
【0010】
本態様にあっては、制御部が複数の切換スイッチをオン/オフすることにより、タップ付変圧器の二次巻線が有する複数のタップがタップ切換される。タップ切換に応じて、タップ付変圧器の巻数比が定まる。タップ付変圧器について、切り換えたタップから出力される二次巻線の電圧に対する一次巻線の電圧の比が変圧比であり、巻数比と変圧比との比較結果に基づいて切換スイッチの異常を検出する。これにより、切換スイッチによってタップが正常に切り換わったことが確認される。
【0011】
本発明の一態様に係る負荷時タップ切換器は、前記制御部は、前記巻数比に対する前記変圧比の比が所定の閾値範囲内にない場合に異常を検出する。
【0012】
本態様にあっては、巻数比に対する変圧比の比が、正常であれば1に限りなく近いのに対し、例えば1を中央とする所定の閾値範囲の上限より大きいか又は下限より小さい場合に異常を検出する。
【0013】
本発明の一態様に係る負荷時タップ切換器は、前記複数の切換スイッチのそれぞれは、逆並列に接続されたサイリスタの組を含んで構成されている。
【0014】
本態様にあっては、単一方向に導通するサイリスタを逆並列に接続したサイリスタの組合せが、切換スイッチに含まれている。これにより、汎用的なサイリスタで構成された切換スイッチが、双方向に導通可能となり、タップの選択/非選択の切り換え又はタップの接続先の切り換えに用いられる。
【0015】
本発明の一態様に係る負荷時タップ切換器は、前記制御部は、前記異常を検出した場合、少なくとも前記タップを切り換えるためにオンした切換スイッチをオフにして該切換スイッチのオンを禁止する。
【0016】
本態様にあっては、異常が検出された場合にオンしている切換スイッチをオフにし、他の異常を検出していない切換スイッチはオフにするか又は継続的に使用可とする。これにより、少なくとも異常の原因である可能性がある切換スイッチを使用不可とするため、故障の波及が防止される。
【0017】
本発明の一態様に係る負荷時タップ切換変圧器は、上述の負荷時タップ切換器と、前記タップ付変圧器とを備える。
【0018】
本態様にあっては、タップ付変圧器のタップを負荷時タップ切換器(OLTC:On-Load Tap Changer )が切り換える。従って、切換スイッチによってタップが正常に切り換わったことが確認可能な負荷時タップ切換器を、負荷時タップ切換変圧器(LRT:Load Ratio control Transformer )に適用することができる。
【0019】
本発明の一態様に係る電圧調整装置は、三相の交流電圧を電源から負荷に配電する配電線に二次巻線が直列に接続される直列変圧器と、請求項5に記載の負荷時タップ切換変圧器とを備える電圧調整装置であって、前記負荷時タップ切換変圧器は、前記配電線における前記直列変圧器の接続位置よりも前記負荷側の位置に一次巻線が並列に接続され、前記直列変圧器は、前記負荷時タップ切換変圧器が備える負荷時タップ切換器が切り換えたタップに一次巻線が接続されている。
【0020】
本態様にあっては、直列変圧器の二次巻線が配電線に直列接続され、負荷時タップ切換変圧器の一次巻線が配電線に並列接続される。そして、負荷時タップ切換変圧器における負荷時タップ切換器の出力が直列変圧器の一次巻線に接続される。即ち、負荷時タップ切換変圧器のタップを切り換えることにより、配電線の電圧が調整される。従って、切換スイッチによってタップが正常に切り換わったことが確認可能な負荷時タップ切換器を備える負荷時タップ切換変圧器を、電圧調整装置(TVR:Thyristor type Step Voltage Regulator )に適用することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、三相の電圧の大小関係に関わらず、V0の発生を抑制して三相の電圧を調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る電圧調整装置の構成例を示すブロック図である。
図2】切換スイッチの構成例を示す回路図である。
図3】OU相について、タップ位置とオンにする切換スイッチとの関係を示す図表である。
図4】調整変圧器の二次巻線に誘起する電圧と直列変圧器の一次巻線に印加される電圧との関係を示す説明図である。
図5】実施形態に係る電圧調整装置で配電線の電圧を調整する制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態)
図1は、実施形態に係る電圧調整装置100の構成例を示すブロック図である。電圧調整装置100は、紙面左側の電源から供給されるU相,V相,W相の交流電圧を調整し、紙面右側の負荷へ、配電線1u,1v,1wを介してu相,v相,w相の交流電圧を配電する。
【0024】
電圧調整装置100は、配電線1u,1v,1wそれぞれに二次巻線112,122,132が直列に接続される直列変圧器1と、配電線1u,1v,1wに一次巻線211,221,231がΔ結線される調整変圧器2(タップ付変圧器に相当)とを備える。電圧調整装置100は、更に、調整変圧器2の二次巻線212,222,232及び直列変圧器1の一次巻線111,121,131の間に設けられたタップ切換器3(負荷時タップ切換器に相当)を備える。タップ切換器3及び調整変圧器2が、負荷時タップ切換変圧器200を構成する。
【0025】
直列変圧器1は、二次巻線112,122,132それぞれに一次巻線111,121,131が対応している。一次巻線111,121,131はΔ結線されている。二次巻線112,122,132それぞれの上記負荷側の端子に対応する一次巻線111,121,131の端子をu1,v1,w1とする。また、二次巻線112,122,132それぞれの上記電源側の端子に対応する一次巻線111,121,131の端子をu2,v2,w2とする。
【0026】
調整変圧器2は、一次巻線211が配電線1u,1v間に、一次巻線221が配電線1v,1w間に、一次巻線231が配電線1w,1u間にそれぞれ接続されている。一次巻線211,221,231のそれぞれには、二次巻線212,222,232が対応している。
【0027】
二次巻線212,222,232のそれぞれは、一端及び他端から引き出されたタップt1及びt4と,一端及び他端の間から引き出された中間のタップt2及びt3とを有する。二次巻線212,222,232のそれぞれは、タップt1~t4の何れか1つがタップ切換器3を介して直列変圧器1の一次側の端子u2,v2,w2と、端子v1,w1,u1とに接続され、他の何れか1つが中性点Nとしてアースに接続される。即ち、調整変圧器2の二次巻線212,222,232は、タップ切換器3を介してY結線される。
【0028】
調整変圧器2の一次巻線211,221,231に印加される電圧を計測するために、配電線1u,1v、1wには計測用変圧器PT1,PT2がV結線されている。即ち、配電線1u及び1v間には計測用変圧器PT1の一次巻線が接続されており、配電線1v及び1w間には計測用変圧器PT2の一次巻線が接続されている。例えば計測用変圧器PT1及びPT2の二次巻線をΔ結線の三相平衡回路と見做し、後述する制御部31が三相分の計測電圧を取得することにより、一次巻線211,221,231に印加される電圧が検出される。タップ切換器3が計測用変圧器PT1,PT2を有してもよい。
【0029】
タップ切換器3は、調整変圧器2の二次巻線212のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_U,Th1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uと、二次巻線222のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThA_V,ThB_V,ThC_V,ThD_V,Th1_V,Th2_V,Th3_V,Th4_Vと、二次巻線232のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThA_W,ThB_W,ThC_W,ThD_W,Th1_W,Th2_W,Th3_W,Th4_Wとを有する。
【0030】
タップ切換器3は、更に、上記各切換スイッチの切り換えを制御する制御部31と、制御部31からの駆動信号に基づいて各切換スイッチをオンに駆動する駆動部32とを有する。制御部31には、計測用変圧器PT1,PT2の二次巻線、及び後述する計測用変圧器PT3,PT4,PT5の二次巻線が接続されている。制御部31と各計測用変圧器との接続、及び駆動部32と各切換スイッチとの接続は、図示を省略する。
【0031】
制御部31は、不図示のCPU(Central Processing Unit )を有し、予めROM(Read Only Memory )に記憶された制御プログラムに従って、電圧の調整を制御する。一時的に発生した情報はRAM(Random Access Memory )に記憶される。
【0032】
二次巻線212のタップt1は、保護用のヒューズ(不図示:以下同様)を介して切換スイッチThA_U及びTh1_Uの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_U及びTh2_Uの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_U及びTh3_Uの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_U及びTh4_Uの一端に接続されている。切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの他端同士は、接続線3uを介して直列変圧器1の一次側の端子u2及びv1に接続されている。接続線3uは、タップ切換器3からU相の交流電圧を出力するものであり、その位相をOUと表す。
【0033】
二次巻線222のタップt1は、ヒューズを介して切換スイッチThA_V及びTh1_Vの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_V及びTh2_Vの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_V及びTh3_Vの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_V及びTh4_Vの一端に接続されている。切換スイッチThA_V,ThB_V,ThC_V,ThD_Vの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_V,Th2_V,Th3_V,Th4_Vの他端同士は、接続線3vを介して直列変圧器1の一次側の端子v2及びw1に接続されている。接続線3vは、タップ切換器3からV相の交流電圧を出力するものであり、その位相をOVと表す。
【0034】
二次巻線232のタップt1は、ヒューズを介して切換スイッチThA_W及びTh1_Wの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_W及びTh2_Wの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_W及びTh3_Wの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_W及びTh4_Wの一端に接続されている。切換スイッチThA_W,ThB_W,ThC_W,ThD_Wの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_W,Th2_W,Th3_W,Th4_Wの他端同士は、接続線3wを介して直列変圧器1の一次側の端子w2及びu1に接続されている。接続線3wは、タップ切換器3からW相の交流電圧を出力するものであり、その位相をOWと表す。
【0035】
接続線3u及び3v間には、限流抵抗器R_UV及び矯絡用スイッチThS_UVの直列回路と、電磁接触器MC_UVとが並列に接続されている。接続線3v及び3w間には、限流抵抗器R_VW及び矯絡用スイッチThS_VWの直列回路と、電磁接触器MC_VWとが並列に接続されている。
【0036】
矯絡用スイッチThS_UVは、二次巻線212又は222のタップt1~t4を切り換える過程で、限流抵抗器R_UVを介してタップ間を矯絡させておくために、タップ間への限流抵抗器R_UVの接続及び切り離しを行うためのものである。矯絡用スイッチThS_VWは、二次巻線222又は232のタップt1~t4を切り換える過程で、限流抵抗器R_VWを介してタップ間を矯絡させておくために、タップ間への限流抵抗器R_VWの接続及び切り離しを行うためのものである。電磁接触器MC_UV及びMC_VWは、過電流が検出されて全ての切換スイッチがオフされる場合、又はタップ切換器3の運用が停止される場合に、直列変圧器1の一次側の端子u1,u2間、端子v1,v2間及び端子w1,w2間を矯絡して、開放状態にしないようにするためのものである。
【0037】
切り換えられたタップから出力される二次巻線212,222,232の電圧を計測するために、接続線3u,3v、3wには計測用変圧器PT3,PT4,PT5がY結線されている。即ち、接続線3u及びアース間には、計測用変圧器PT3の一次巻線が接続されており、接続線3v及びアース間には、計測用変圧器PT4の一次巻線が接続されており、接続線3w及びアース間には、計測用変圧器PT5の一次巻線が接続されている。計測用変圧器PT3,PT4,PT5の二次巻線は、Y結線されて制御部31に接続されている。制御部31が計測用変圧器PT3,PT4,PT5の二次巻線からOU,OV,OW三相分の計測電圧を取得することにより、タップ切換された二次巻線212,222,232の電圧が検出される。タップ切換器3が計測用変圧器PT3,PT4,PT5を有してもよい。
【0038】
次に、各スイッチの構成を、切換スイッチThA_Uを例として説明する。他の切換スイッチ及び矯絡用スイッチについても同様である。図2は、切換スイッチThA_Uの構成例を示す回路図である。切換スイッチThA_Uは、アノードからカソードへ一方向に導通するサイリスタThAa_U及びThAb_Uを逆並列に接続してなる。サイリスタThAa_Uのアノード及びサイリスタThAb_Uのカソードは、中性点Nに接続されている。サイリスタThAa_Uのカソード及びサイリスタThAb_Uのアノードは、調整変圧器2の二次巻線212のタップt1に接続されている。サイリスタThAa_U及びThAb_Uのゲートは、駆動部32に接続されている。駆動部32からトリガ信号が各サイリスタのゲートに印加された場合、切換スイッチThA_Uは双方向に導通する。切換スイッチThA_Uを1つのトライアックで構成してもよい。
【0039】
次に、オンにする切換スイッチの組合せについて説明する。図3は、OU相について、タップ位置とオンにする切換スイッチとの関係を示す図表である。他のOV相,OW相についても、UをV,Wに読み替えた同様の図表が示される。以下では、主にOU相を例にして説明するが、OV相及びOW相についても同様の説明が成り立つ。
【0040】
切換スイッチの組合せは13通りあり、これらの組合せをタップ1からタップ13までのタップ位置で表す。例えば、タップ位置をタップ1にした場合、切換スイッチThD_U及びTh1_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt1が接続線3uに接続され、タップt4が中性点Nに接続される。この場合、タップt1及びt4間の巻数が二次巻線212の巻数に等しくなり、OU相の相電圧の大きさが最大となる。
【0041】
タップ2からタップ6までについては、タップ間の巻数が5段階に少なくなるようなタップの組合せに応じて、2つのタップを接続線3u及び中性点Nに接続する切換スイッチが決まる。例えば、タップ位置をタップ6にした場合、切換スイッチThD_U及びTh3_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt3が接続線3uに接続され、タップt4が中性点Nに接続される。この場合、タップt3及びt4間の巻数が0を除いて最小となり、OU相の相電圧の大きさが0を除いて最小となる。
【0042】
タップ位置をタップ7にした場合、切換スイッチThD_U及びTh4_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt4が接続線3uに接続され、同じタップt4が中性点Nに接続される。この場合、タップt4及びt4間の巻数が0となり、OU相の相電圧が0となる。これが、いわゆる素通しタップである。
【0043】
タップ8からタップ12までについては、タップ間の巻数が5段階に多くなるようなタップの組合せに応じて、2つのタップを接続線3u及び中性点Nに接続する切換スイッチが決まる。例えば、タップ位置をタップ8にした場合、切換スイッチThC_U及びTh4_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt4が接続線3uに接続され、タップt3が中性点Nに接続される。この場合、タップt3及びt4間の巻数が0を除いて最小となり、OU相の相電圧の大きさが0を除いて最小となる。但し、タップ6の場合と比較して、OU相の相電圧の位相が反転する。
【0044】
タップ位置をタップ13にした場合、切換スイッチThA_U及びTh4_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt4が接続線3uに接続され、タップt1が中性点Nに接続される。この場合、タップt1及びt4間の巻数が二次巻線212の巻数に等しくなり、OU相の相電圧の大きさが最大となる。但し、タップ1の場合と比較して、OU相の相電圧の位相が反転する。
【0045】
前述のとおり、タップ切換によって接続線3u及び中性点Nに接続される2つのタップに係るタップ間の巻数は、タップ位置に応じて決まる、換言すれば、タップ位置に応じて、調整変圧器2の巻数比が決まる。ここで言う巻数比は、タップ切換によって接続線3u及び中性点Nに接続される2つのタップに係るタップ間の巻数に対する一次巻線211の巻数の比である。そこで、図3に示すように、タップ1からタップ13までのタップ位置と、NT_U1からNT_U13までの巻数比とを対応付けておく。但し、タップ位置がタップ7の場合、上記の定義による巻数比の算出は不能となるから、タップ位置と巻数比との対応付けは行わない。NT_U1からNT_U13までの総称をNT_Uとする。
【0046】
本実施形態にあっては、図3に示すタップ位置と、オンにする切換スイッチ及び巻数比とを対応付けたテーブルが、制御部31のROMに予め記憶されている。タップ位置を上げ下げする毎にこのテーブルを参照して、オンにすべき切換スイッチを示す情報と巻数比とを読み出すことにより、タップ切換の処理と、後述する異常判定処理とが容易に行える。
【0047】
次に、電源側からのU相,V相,W相の交流電圧に加算又は減算される電圧について説明する。図4は、調整変圧器2の二次巻線212,222,232に誘起する電圧と直列変圧器1の一次巻線111,121,131に印加される電圧との関係を示す説明図である。調整変圧器2の二次巻線212は、切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの何れかがオンすることによって、何れかのタップが接続線3uに接続され、切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの何れかがオンすることによって、他の何れかのタップが中性点Nに接続される。調整変圧器2の二次巻線222,232についても、UをV,Wに読み替えることによって同様のことが言える。
【0048】
図3を用いて説明したように、タップ位置がタップ1からタップ6までの何れかである場合と、タップ位置がタップ8からタップ13までの何れかである場合とでは、OU相の相電圧の位相が互いに反転する。ここでは、タップ位置がタップ1からタップ6までの間にある場合について説明する。調整変圧器2は、一次巻線211,221,231がΔ結線され、二次巻線212,222,232がタップ切換器3を介してY結線されているから、接続線3u,3v,3wにおけるOU相,OV相,OW相それぞれの位相は、破線で示すような配電線1u,1v,1wにおけるu相,v相,w相の位相に対して30度だけ進んでいる。
【0049】
一方、直列変圧器1の一次巻線121には、OU相及びOV相の相間電圧であるV_UVが、端子v2からv1への向きに印加される。同様に、一次巻線131には、OV相及びOW相の相間の電圧であるV_VWが、端子w2からw1への向きに印加され、一次巻線111には、OW相及びOU相の相間の電圧であるV_WUが、端子u2からu1への向きに印加される。
【0050】
ここで図1に戻って、例えば直列変圧器1の一次巻線121及び二次巻線122に着目する。上記のとおり、一次巻線121の端子v1,v2間には、端子v2からv1への向きに紙面上で右向きの電圧V_UVが印加される。この場合、V_UVに対応して二次巻線122に誘起する電圧も、紙面上で右向きの電圧となる。従って、電源側からのV相の交流電圧に対して電圧V_UVが加算された電圧が、負荷側に供給される。
【0051】
一方、電圧V_UVは、図4に破線で示すv相の相電圧とは逆位相の電圧である。即ち、V相の交流電圧に対して、v相の交流電圧とは逆位相の電圧V_UVが加算されるから、v相の交流電圧とは同位相の電圧が減算されることとなる。換言すれば、電源側からのV相の交流電圧が降圧されて、負荷側にv相の交流電圧が供給される。タップ位置のタップ番号を1から6まで上げるに連れて、降圧される電圧の絶対値が順次小さくなり、タップ7(素通し)にて降圧される電圧が0となる。その後、更にタップ位置のタップ番号を上げるに連れて、電源側からのV相の交流電圧が順次昇圧されて負荷側に供給されるようになる。
【0052】
以上のとおり、タップ位置をタップ1からタップ13まで切り換えることにより、電源側からのU相,V相,W相の交流電圧を降圧した電圧から昇圧した電圧まで段階的に調整して、u相,v相,w相の交流電圧とすることができる。制御部31は、計測用変圧器PT1及びPT2により、u相,v相,w相の線間電圧を検出し、検出した電圧が不感帯を逸脱した場合に、タップ位置を上げ下げすることによって、u相,v相,w相の線間電圧が不感帯の範囲内に入るように調整する。本実施形態では、二次巻線212,222,232それぞれについてタップ位置が同じとなるように調整するが、それぞれのタップ位置を独立して切り換えることにより、U相,V相,W相の交流電圧の不平衡を改善することもできる。
【0053】
制御部31は、タップ位置を切り換えた場合、切り換えが正常に行われたか否かを判定し、正常に行われていないと判定したときに異常を検出する。具体的には、タップ切換の都度、制御部31は、計測用変圧器PT1~PT5の計測結果を取得して調整変圧器2の変圧比を算出し、算出した変圧比と、その時のタップ位置に応じた巻数比との比較結果に基づいて、切換スイッチが正常に動作したか否かを判定する。より具体的には、巻数比に対する変圧比の比が、1を中心とする所定の閾値範囲内にない場合に、切換スイッチの異常が検出される。
【0054】
前述したように、計測用変圧器PT1及びPT2の二次巻線から計測電圧を取得することにより、調整変圧器2の一次巻線211,221,231に印加される電圧が検出される。それぞれの巻線について検出された電圧をV1_UV,V1_VW,V1_WUとする。また、計測用変圧器PT3,PT4,PT5の二次巻線から計測電圧を取得することにより、タップ切換された二次巻線212,222,232の電圧が検出される。それぞれの巻線について検出された電圧をV2_U,V2_V,V2_Wとする。OU相,OV相,OW相それぞれに係る調整変圧器2の変圧比NV_U,NV_V,NV_Wは、以下の式(1),(2),(3)によって算出される。
【0055】
NV_U=V1_UV/V2_U・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
NV_V=V1_VW/V2_V・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
NV_W=V1_WU/V2_W・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
【0056】
一方、調整変圧器2の一次巻線211及び二次巻線212の巻数比NT_U1~NT_U6,NT_U8~NT_U13は、前述したように制御部31のROMに記憶されているテーブルから読み出すことができる。一次巻線221及び二次巻線222の巻数比並びに一次巻線231及び二次巻線232の巻数比についても同様である。
【0057】
タップ切換が正常に行われている限り、式(1)~(3)によって算出される各相の変圧比と、現在のタップ位置に応じて上記テーブルからそれぞれの相について読み出される巻数比とは、略同一値になる。従って、巻数比に対する変圧比の比が略1に等しいか否かによって、タップ切換が正常に行われたか否かを判定することができる。OU相,OV相,OW相それぞれに係る巻数比に対する変圧比の比R_U,R_V,R_Wは、以下の式(4),(5),(6)によって算出される。
【0058】
R_U=NV_U/NT_U・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
R_V=NV_V/NT_V・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
R_W=NV_W/NT_W・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(6)
【0059】
本実施形態では、R_U,R_V,R_Wが0.95から1.05の閾値範囲内にある場合に、タップ切換が正常に行われたと判定する。閾値範囲は、0.95から1.05に限定されず、より狭い範囲又はより広い範囲であってもよい。また、R_U,R_V,R_Wそれぞれの逆数(即ち変圧比に対する巻数比の比)が所定の閾値範囲内にあるか否かを判定するようにしてもよい。
【0060】
R_U,R_V,R_Wが0.95から1.05の閾値範囲内にない場合、タップ切換のためにオンしている切換スイッチを使用不可として登録し、以後のタップ切換に用いないようにする。その他の切換スイッチについては継続的に使用可としてもよいし、全ての切換スイッチを使用不可にして強制的にオフし、運用を停止するようにしてもよい。
【0061】
以下では、上述した制御部31の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。図5は、タップ切換が正常に行われたか否かを判定する制御部31の処理手順を示すフローチャートである。この処理手順は、タップ切換が完了する毎に起動され、制御部31に含まれるROMに予め格納されている制御プログラムに従って、CPUにより実行される。図3に示す対応付けがROMに記憶されたテーブルについて、現在のタップ位置は、所定のポインタによってアクセスできるものとする。
【0062】
図5の処理が起動された場合、CPUは、計測用変圧器PT1,PT2から計測電圧を取得することにより、調整変圧器2の一次巻線211,221,231の電圧V1_UV,V1_VW,V1_WUを検出する(S11)。次いで、CPUは、計測用変圧器PT3,PT4,PT5から計測電圧を取得することにより、調整変圧器2のタップ切換された二次巻線212,222,232の電圧V2_U,V2_V,V2_Wを検出する(S12)。
【0063】
その後、CPUは、ステップS11及びS12で検出した電圧を式(1)~(3)に代入して変圧比NV_U,NV_V,NV_Wを算出する(S13)。次いで、CPUは、所定のポインタによって、現在のタップ位置と、巻数比NT_U,NT_V,NT_WとをROMに記憶されたテーブルから読み出す(S14)。
【0064】
その後、CPUは、読み出したタップ位置がタップ7であるか否かを判定する(S15)。タップ位置がタップ7ではない場合(S15:NO)、CPUは、ステップS13で算出した変圧比と、ステップS14で読み出した巻数比とを式(4)~(6)に代入して、巻数比に対する変圧比の比R_U,R_V,R_Wを算出する(S16)。
【0065】
その後、CPUは、算出したR_Uが0.95から1.05の範囲内にあるか否かを判定し(S17)、当該範囲内にない場合(S17:NO)、現在のタップ位置に応じたOU相に係る切換スイッチを不使用登録して(S18)図5の処理を終了する。ここで、現在のタップ位置に応じたOU相に係る切換スイッチとは、所定のポインタによってROMに記憶されたテーブルにアクセスした際に、「オンにする切換スイッチ」として読み出される切換スイッチである(以下同様)。
【0066】
一方、R_Uが当該範囲内に有る場合(S17:YES)、CPUは、算出したR_Vが0.95から1.05の範囲内にあるか否かを判定し(S19)、当該範囲内にない場合(S19:NO)、現在のタップ位置に応じたOV相に係る切換スイッチを不使用登録して(S20)図5の処理を終了する。
【0067】
同様に、R_Vが当該範囲内に有る場合(S19:YES)、CPUは、算出したR_Wが0.95から1.05の範囲内にあるか否かを判定し(S21)、当該範囲内にない場合(S21:NO)、現在のタップ位置に応じたOW相に係る切換スイッチを不使用登録して(S22)図5の処理を終了する。一方、R_Wが当該範囲内に有る場合(S21:YES)、CPUは、切換スイッチについての不使用登録を行わずに図5の処理を終了する。
【0068】
前述のステップS15にてタップ位置がタップ7である場合(S15:YES)、CPUは、ステップS12で検出した二次巻線232の電圧V2_Wが0であるか否かを判定し(S23)、0ではない場合(S23:NO)、即ち、タップ切換が正常に行われていない場合、切換スイッチを不使用登録するためにステップS22に処理を移す。なお、ステップS23における電圧V2_Wに係る判定は、実質的に0であるか否かを判定する(以下同様)。
【0069】
一方、V2_Wが0である場合(S23:YES)、CPUは、ステップS12で検出した二次巻線222の電圧V2_Vが0であるか否かを判定し(S24)、0ではない場合(S24:NO)、即ち、タップ切換が正常に行われていない場合、切換スイッチを不使用登録するためにステップS20に処理を移す。
【0070】
同様に、V2_Vが0である場合(S24:YES)、CPUは、ステップS12で検出した二次巻線212の電圧V2_Uが0であるか否かを判定し(S25)、0ではない場合(S25:NO)、即ち、タップ切換が正常に行われていない場合、切換スイッチを不使用登録するためにステップS18に処理を移す。一方、V2_Uが0である場合(S25:YES)、CPUは、切換スイッチについての不使用登録を行わずに図5の処理を終了する。
【0071】
なお、上述のフローチャートにあっては、OU相,OV相,OW相に係るタップ位置が同じであることを前提にしたが、各相についてタップ位置が異なる場合は、ステップS15にて相毎にタップ位置の判定を行えばよい。
【0072】
以上のように本実施形態によれば、制御部31が切換スイッチTh1/2/3/4_U/V/W及びThA/B/C/D_U/V/Wをオン/オフすることにより、調整変圧器2の二次巻線212,222,232が有するタップt1~t4がタップ切換される。但し「/」は「又は」を意味する。タップ切換に応じて、調整変圧器2の巻数比が定まる。調整変圧器2について、切り換えたタップから出力される二次巻線212,222,232の電圧に対する一次巻線211,221,231の電圧の比が変圧比であり、巻数比と変圧比との比較結果に基づいて切換スイッチの異常を検出する。従って、切換スイッチによってタップt1~t4が正常に切り換わったことを確認することが可能となる。
【0073】
また、実施形態によれば、巻数比に対する変圧比の比が、正常であれば1に限りなく近いのに対し、例えば0.95から1.05の閾値範囲の上限より大きいか又は下限より小さい場合に異常を検出することができる。
【0074】
更に、実施形態によれば、単一方向に導通するサイリスタThAa_U及びThAb_Uを逆並列に接続したサイリスタの組合せが、切換スイッチThA_Uに含まれている。他の切換スイッチについても同様である。これにより、汎用的なサイリスタで構成された切換スイッチTh1/2/3/4_U/V/W及びThA/B/C/D_U/V/Wを、双方向に導通可能にして、タップの選択/非選択の切り換え又はタップの接続先の切り換えに用いることができる。
【0075】
更に、実施形態によれば、異常が検出された場合にオンしている切換スイッチをオフにし、他の異常を検出していない切換スイッチはオフにするか又は継続的に使用可とする。従って、少なくとも異常の原因である可能性がある切換スイッチを使用不可とするため、故障の波及を防止することができる。
【0076】
更に、実施形態によれば、調整変圧器2のタップをタップ切換器3が切り換える。従って、切換スイッチによってタップが正常に切り換わったことが確認可能なタップ切換器3を、負荷時タップ切換変圧器200に適用することができる。
【0077】
更に、実施形態によれば、直列変圧器1の二次巻線112,122,132が配電線1u,1v,1wに直列接続され、調整変圧器2の一次巻線211,221,231が配電線1u,1v,1wに並列接続される。そして、負荷時タップ切換変圧器200におけるタップ切換器3の出力が直列変圧器1の一次巻線111,121,131に接続される。即ち、負荷時タップ切換変圧器200のタップを切り換えることにより、配電線1u,1v,1wの電圧が調整される。従って、切換スイッチによってタップが正常に切り換わったことが確認可能なタップ切換器3を備える負荷時タップ切換変圧器200を、電圧調整装置100に適用することができる。
【0078】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、各実施形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0079】
1u、1v、1w 配電線
100 電圧調整装置
1 直列変圧器
111,121、131 一次巻線
112、122、132 二次巻線
u1、u2、v1、v2、w1、w2 端子
200 負荷時タップ切換変圧器
2 調整変圧器
211、221、231 一次巻線
212、222、232 二次巻線
t1、t2、t3、t4 タップ
3 タップ切換器
31 制御部
32 駆動部
ThA_U/V/W、ThB_U/V/W、ThC_U/V/W、ThD_U/V/W、Th1_U/V/W、Th2_U/V/W、Th3_U/V/W、Th4_U/V/W 切換スイッチ
3u、3v、3w 接続線
ThS_UV、ThS_VW 矯絡用スイッチ
R_UV、R_VW 限流抵抗器
MC_UV、MC_VW 電磁接触器
PT1、PT2、PT3、PT4、PT5 計測用変圧器
図1
図2
図3
図4
図5