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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】光学ユニットおよび外観検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
G01N21/85 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019222934
(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公開番号】P2021092436
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000209751
【氏名又は名称】池上通信機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新倉 弘剛
(72)【発明者】
【氏名】及川 隼人
(72)【発明者】
【氏名】谷本 尚之
(72)【発明者】
【氏名】作山 貴宏
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-019790(JP,A)
【文献】特開2012-127936(JP,A)
【文献】特開2012-141237(JP,A)
【文献】特開2019-056655(JP,A)
【文献】特開2009-031247(JP,A)
【文献】特開2019-203704(JP,A)
【文献】特開昭61-066952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/84-21/958
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外観検査装置本体における検査空間内を移動させるように搬送ユニットが搬送する検査対象に照明光を照射する光源を備えて、前記検査対象に前記光源が照射する前記照明光および当該照明光が前記検査対象に反射されて撮像素子に向かう反射光の通過する光路空間を確保する光学ユニットであって、
前記照明光および前記反射光の光路途中に位置するように配置される光透過部材と、前記外観検査装置本体に対して着脱可能に支持される支持部材と、前記外観検査装置本体に対する設置位置を位置決めする位置決め部材と、有して、
前記光透過部材は、前記搬送ユニットによる前記検査対象の搬送空間を前記検査空間として、少なくとも当該搬送空間側の塵埃が前記光源および前記撮像素子の設置空間側に侵入不能に仕切るように取り付けられており、
前記検査対象から複数方向に反射される前記反射光を撮像する撮像素子と、
前記検査対象から複数方向に反射される前記反射光毎に導光して全反射することにより前記撮像素子に入光する導光部材と、を備えて、
前記導光部材は、前記撮像素子よりも多く設置されて、共通の当該撮像素子に前記反射光を入光するように配置されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
前記光透過部材は、流体が流入不能に、少なくとも前記光源の設置空間を閉塞することを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記光透過部材には、前記照明光および前記反射光を偏光する偏光部材がそれぞれの光路途中に位置するように設置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記偏光部材は、前記搬送空間に対する前記光透過部材の背面側に設置されていることを特徴とする請求項3に記載の光学ユニット。
【請求項5】
少なくとも前記光源が複数個所に設置されて前記検査対象に前記照明光を複数方向から照射して照明し、前記反射光を単一または複数個所の撮像素子に入光するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記光源が前記検査対象の搬送経路を挟む両側方に設置されて、当該検査対象の側面側からも照明することを特徴とする請求項5に記載の光学ユニット。
【請求項7】
前記光源が前記撮像素子側に設置されて前記検査対象を当該撮像素子による撮像方向に対する斜め方向から照明することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の光学ユニット。
【請求項8】
前記光透過部材が複数の平面部を有する多面体に形成されているのに対して、
前記導光部材は、前記反射光の入射面が前記光透過部材の前記平面部に対面するように設置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学ユニット。
【請求項9】
上記の請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光学ユニットを、前記撮像素子を一体または別体にして、前記搬送ユニットと共に搭載することを特徴とする外観検査装置。
【請求項10】
前記搬送ユニットが前記検査対象の前記撮像素子による撮像面を反転させる機能を備えて、
前記搬送ユニットにより搬送される前記検査対象の反転前後の搬送位置毎に、前記光学ユニットおよび前記撮像素子が配置されていることを特徴とする請求項9に記載の外観検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象を光学的に検査する際に利用する光学ユニットおよび当該光学ユニットを搭載する外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理速度の向上に伴って各種製品の外観検査を高速処理することが実用化されており、例えば、搬送する検査対象に照明光を照射しつつ、その検査対象からの反射光による撮影映像を画像処理することによって、良品と外観不良品とを仕分けることが行われている。
【0003】
このような外観検査装置では、光学的に検査対象の良否を判定することから、その撮影映像の品質向上が重要であり、高精度な撮影映像の実現が処理速度の高速化や信頼性向上に求められている。
【0004】
このことから、例えば、特許文献1には、照明光や反射光の光路途中に偏光板を設置することによって、錠剤の包装フィルムの撮影映像にハレーションなどの画像品質を低下させる現象等が発生することを抑制して、錠剤における欠損や変色等の外観検査精度を向上させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-84496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような外観検査にあっては、検査対象の撮影映像を画像処理して検査する。このことから、カメラのレンズを含めて、光透過部材の表面に検査環境中に発生する塵埃等が付着する汚損が生じると、検査精度が低下してしまう。この光透過部材に付着する塵埃は、拭き取るなどすれば除去可能である。
【0007】
このため、検査対象の移動空間からカメラのレンズまでの照明光や反射光の光路途中に光透過部材を極力設置せずに開放状態にして、光透過部材表面への塵埃などの付着を避ける構造が多用されている。なお、検査対象側空間とカメラ側空間との間に差圧を生じさせることによって、塵埃などが付着させたくない部材の設置空間内に侵入してしまうことを回避するように工夫ことも考えられる。
【0008】
このような構造で塵埃の付着による撮影映像の品質低下が発生した際には、カメラや光源等の周辺部材や光透過部材などを分解・着脱する複雑な作業と共に、個々の部品の拭き取りなどの煩雑な作業を行うことが必要になる。このような塵埃の除去作業は、一時的にでも検査動作を停止しなければならないことから、その停止時間を極力短くすることが要求される。
【0009】
そこで、本発明は、光学系における塵埃の付着などを簡易かつ迅速に解消することのできる光学ユニットおよび外観検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する光学ユニットの発明の一態様は、外観検査装置本体における検査空間内を移動させるように搬送ユニットが搬送する検査対象に照明光を照射する光源を備えて、前記検査対象に前記光源が照射する前記照明光および当該照明光が前記検査対象に反射されて撮像素子に向かう反射光の通過する光路空間を確保する光学ユニットであって、前記照明光および前記反射光の光路途中に位置するように配置される光透過部材と、前記外観検査装置本体に対して着脱可能に支持される支持部材と、前記外観検査装置本体に対する設置位置を位置決めする位置決め部材と、有して、前記光透過部材は、前記搬送ユニットによる前記検査対象の搬送空間を前記検査空間として、少なくとも当該検査空間側の塵埃が前記光源および前記撮像素子の設置空間側に侵入不能に仕切るように取り付けられていることを特徴とするものである。
【0011】
上記課題を解決する外観検査装置の発明の一態様は、上記の光学ユニットを着脱自在に搭載することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
このように本発明の一態様によれば、位置決め部材により位置決めしつつ支持部材により外観検査装置本体に装着する光学ユニットは、検査対象の照明光および反射光の光路途中に位置する光透過部材によって、その検査対象の移動する搬送空間(検査空間)側から光源や撮像素子の設置空間側に塵埃等の侵入を制限するように仕切られる。また、光学ユニットは、光源の設置空間側の閉塞状態を維持しつつ外観検査装置本体から取り外して、光透過部材の外側を拭き取るなどして塵埃を除去することができ、この後に、外観検査装置本体に位置決め部材により位置決めさせつつ支持部材により装着することができる。
【0013】
したがって、検査対象の周辺で生じる塵埃などが光源や撮像素子などの設置空間側に侵入することを防止することができ、簡易かつ迅速に光学ユニットを外観検査装置本体に着脱して高品質な撮影画像を取得して高精度な外観検査を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る光学ユニットを含む検査本体装置が搭載される外観検査装置の一例を示す図であり、その概略全体構成を示す正面図である。
図2図2は、カメラと共に検査本体装置を構成する光学ユニットの装着状態を示す斜視図である。
図3図3は、検査本体装置における光学ユニットの取り外し時の状態を示す斜視図である。
図4図4は、検査本体装置における光学ユニットの取り外し時の状態を示す図3と異なる方向から見た斜視図である。
図5図5は、光学ユニットを示す上面図である。
図6図6は、光学ユニットを示す図5におけるVI-VI断面図である。
図7図7は、光学ユニットを示す図5におけるVII-VII断面図である。
図8図8は、光学ユニットにおける照明光を説明する模式図である。
図9図9は、光学ユニットにおける反射光を説明する模式図である。
図10図10は、検査本体装置におけるカメラによる撮像画像を示すイメージ図である。
図11図11は、光学ユニットにおけるカバーを示す斜視図である。
図12図12は、光学ユニットにおけるカバーを示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその縦断面図である。
図13図13は、光学ユニットにおけるカバーの他の態様を示す縦断面図である。
図14図14は、図13と異なるカバーの他の態様を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1図12は本発明の一実施形態に係る光学ユニットを含む検査本体装置を搭載する外観検査装置の一例を示す図である。
【0016】
図1において、外観検査装置100は、2組の検査本体装置10A、10Bを、供給装置110と、水平搬送装置120と、反転搬送装置130と、選別装置140とをコントローラ150および他の周辺装置と共にフレーム100Fに組み付けて構築されている。この外観検査装置100は、例えば、図10に一例を図示する錠剤T等の小型物品(検査対象)を搬送ユニットの水平搬送装置120および反転搬送装置130により搬送しつつ外観検査を自動的に行って個々に良否判定をした後に、選別装置140がその錠剤Tの正常品を通過させる一方、外観不良品を選別排除する。なお、以下の説明では、錠剤Tの外観検査をする場合を一例として説明するが、これに限るものではなく、ネジや飴など外観検査可能な他の小型物品を処理するように構築することができることは言うまでもない。
【0017】
ここで、外観検査装置100は、2組の検査本体装置10A、10Bを錠剤Tの搬送方向における前後に、他の処理装置と共に設置可能にレイアウトされている。この外観検査装置100では、例えば、検査本体装置10A、10Bの上流側前段に錠剤Tの色検査用色情報を取得する処理装置191を設置し、連続して本件外観検査用の形状情報などを取得することによって、色と形状の良品・不良品を判定する。この後に、外観検査装置100は、その検査本体装置10A、10Bの下流側後段に設置する処理装置192によって良品の錠剤Tに印刷する。なお、配置の順序はこれに限るものではないことは言うまでもない。
【0018】
簡単に説明すると、供給装置110は、振動を加えることによって、ホッパ111内に投入される錠剤Tを重ならないように解しつつ、その出口部111aから傾斜するフィーダ112を滑らせるようにして2列の並行レール113へと送り出す。この供給装置110では、その一対の並行レール113から振動と共に押し出されるようにして錠剤Tのそれぞれが下流側の水平搬送装置120へとスライド搬送されて2列の整列状態で供給される。
【0019】
水平搬送装置120は、供給装置110の一対の並行レール113から送られてくる2列の錠剤Tを周回回転する搬送ベルト121が順次に受け取って水平方向に搬送しつつ、その搬送ベルト121により直線的な搬送経路を辿るように案内する。この水平搬送装置120では、その搬送ベルト121により水平搬送される錠剤Tが上流側前段の第1検査本体装置10Aによる検査空間(搬送空間)を2列のまま通過した後に、反転搬送装置130への載せ替え位置にそのまま搬送される。
【0020】
反転搬送装置130は、水平搬送装置120の搬送ベルト121により搬送されてくる2列の錠剤Tの上面側を、そのまま反転ローラ131が外周面側に吸引吸着して回転することにより上下(表裏)を反転させる。この反転搬送装置130では、その反転ローラ131により反転搬送される錠剤Tが上部に位置する下流側後段の第2検査本体装置10Bによる検査空間(搬送空間)に2列のまま通過された後に、選別装置140による選別位置を通過されて製品溜まりに収集される。
【0021】
選別装置140は、水平搬送装置120と反転搬送装置130との載せ替え位置付近に設置されて、これら水平搬送装置120や反転搬送装置130の最下流まで搬送されてきた外観不良の錠剤Tをエアーの噴き付けによって吹き飛ばすなどして排除する。なお、この選別装置140は、エアーの吹き飛ばしに限るものではなく、例えば、外観不良の錠剤Tを突くなどして飛ばしてもよく、また、レバーを回転させて搬送経路から外れるように案内するようにしてもよい。
【0022】
コントローラ150は、CPUやメモリ等により構成されて、操作パネル151や外部接続される不図示の各種装置から入力される入力設定情報および不図示のセンサ情報などに基づいて装置各部10A、10B、110、120、130、140を統括制御する。このコントローラ150は、後述するように、搬送されつつ前後段の第1、第2検査本体装置10A、10Bにより撮像される錠剤Tの映像を画像処理して良品と不良品とに判別して、その撮像領域から下流側に搬出された外観不良品の錠剤Tをその搬送速度に合わせて排除するように駆動制御する。
【0023】
そして、錠剤Tの搬送方向における前後段の第1、第2検査本体装置10A、10Bは、同一構造・機能を備えることから、以下の説明では、単に検査本体装置10と称する場合もある。検査本体装置10は、図2図4に示すように、外観検査装置100本体のフレーム100F側に着脱不能に設置固定されているカメラ11と、そのフレーム100F側に着脱可能に設置されてカメラ11に対して高精度に位置決め固定される光学ユニット12とを備えて構築されている。この検査本体装置10は、供給装置110から供給されて搬送経路Cpを通過するように水平搬送装置120や反転搬送装置130の搬送する錠剤Tに、光学ユニット12が照明光を当ててカメラ11(撮像素子)が撮影することによって、画像処理する撮像データを取得してコントローラ150に提供する。
【0024】
この検査本体装置10は、錠剤Tの搬送経路Cpの上方に位置するように設置された光学ユニット12が錠剤Tに照明光を照射して照明し、その錠剤Tの反射する反射光をカメラ11に効率よく導光する。この検査本体装置10は、供給装置110から2列に整列されつつ供給される錠剤Tが水平搬送装置120や反転搬送装置130により並行一対の搬送経路Cpを通過するように搬送されることから、カメラ11もその2列の搬送経路Cp毎の錠剤Tを撮影可能に光学ユニット12の上方に2組設置されている。
【0025】
カメラ11は、錠剤Tが搬送される2列の搬送経路Cpに対応するように、外観検査装置100本体に図1中の背面側から手前に向かって水平方向に延在するように設置されているフレーム100Fhに所定距離で離隔する2つ1組で並列状態になるように配置されている。このカメラ11は、それぞれ直下の搬送経路Cp上の錠剤Tが撮影範囲内を通過するように、鏡筒11pが鉛直下方に向くように取り付けられている。なお、カメラ11は、下を通過する錠剤Tを撮影することから、鏡筒11pを鉛直下方に向ける姿勢に設置されているが、これに限るものではなく、例えば、錠剤を吸着する状態で搬送する場合には、側方や上方に位置させて撮影することになり、この場合には、ごみ等の映像が画像処理の妨げになってしまうことを少なくすることができる。
【0026】
光学ユニット12は、直方体の筐体21に、後述する光源を含む光学部材が取り付けられて構築されており、その筐体21の天井面21tに、2列搬送される錠剤Tからの反射光を2つのカメラ11のそれぞれに入射可能に窓21wがその鏡筒11pの鉛直方向直下に位置するように形成されている。
【0027】
また、光学ユニット12は、外観検査装置100本体における検査本体装置10の設置個所(錠剤Tの撮影領域上部)毎に、その外観検査装置100本体の図1中の背面側に向かって差し込み可能に開口する差し込み穴10h内に、直方体の筐体21を長手方向の一端側から差し込むようになっており、その筐体(支持部材)21の角部21cが案内支持されつつ差し込まれて位置決め保持される。
【0028】
この光学ユニット12は、外観検査装置100本体の図1中の前面側に位置する筐体21の前面21fに取り付けられているハンドル13を把持して検査本体装置10の差し込み穴10hに容易に抜き差しして、水平搬送装置120や反転搬送装置130における錠剤Tの撮影領域上部に着脱される。また、光学ユニット12は、検査本体装置10の差し込み穴10h内に差し込んで押し込むことにより、外観検査装置100本体の図1中の背面側のフレーム100Fに設置されている連結接続ボックス190に位置決め固定させるとともに、後述の光源が電気的に接続される。
【0029】
具体的に、光学ユニット12は、筐体21の背面21rから位置決め部材として機能するガイドシャフト14と係合ピン15とが突出しており、検査本体装置10の差し込み穴10h内に差し込まれる際に、外観検査装置100本体側の連結接続ボックス190に形成されている位置決め孔194にガイドシャフト14が差し込まれて位置決め支持されるとともに、同様に、連結接続ボックス190に形成されている制限孔195に係合ピン15が差し込まれてガイドシャフト14を中心に回転することが制限される。
【0030】
また、光学ユニット12は、ハンドル13の取り付けられている筐体21の前面21fからガイドシャフト14の突出する背面21rを貫通して回転自在に支持されている左右一対の貫通ネジ16がハンドル13の両側に配置されている。この光学ユニット12は、検査本体装置10の差し込み穴10h内に差し込まれて、外観検査装置100本体側の連結接続ボックス190の位置決め孔194や制限孔195にガイドシャフト14や係合ピン15が差し込まれて位置決めされた状態で、その連結接続ボックス190に形成されている雌ネジ穴196f内に貫通ネジ16先端の雄ネジ部16mを噛合されて固定される。
【0031】
これにより、光学ユニット12は、検査本体装置10の差し込み穴10h内に差し込んで位置決め固定されることによって、カメラ11の鏡筒11pの鉛直方向直下に筐体21の天井面21tの窓21wが位置して下方を撮影可能な位置に装着される。また、光学ユニット12は、ハンドル13を把持して引くだけで外観検査装置100本体側の連結接続ボックス190との連結接続を解消して検査本体装置10の差し込み穴10hから引き出すことができる。
【0032】
ここで、外観検査装置100本体側の連結接続ボックス190には、光源31の電源側に接続する電源コネクタ199が設置されており、光学ユニット12の筐体21の背面21rにその電源コネクタ199に接続する配線コネクタ39が配置されている。なお、カメラ11は、外観検査装置100本体側のコントローラ150から延長されている不図示のケーブルがジャック11cに接続される。本実施形態では、カメラ11を外観検査装置100本体側に設置する場合を一例として説明するが、これに限るものではなく、例えば、光学ユニット12側にそのカメラも設置して外観検査装置100本体側から着脱可能に構築してもよい。
【0033】
そして、光学ユニット12は、図2図5図7に示すように、検査本体装置10内に装着されている状態で一対のカメラ11の鏡筒11pに対応するように筐体21に配置されている窓21w毎の直下に、2列に整列されつつ搬送される錠剤Tの搬送経路Cpが位置するように、外観検査装置100本体に装着される。この装着状態では、カメラ11の並列方向(光学ユニット12の筐体21の長手方向)と直交する方向に搬送経路Cpが延長されている。
【0034】
この光学ユニット12は、筐体21の窓21w毎に対応する2列の搬送経路Cp上を搬送される錠剤Tに、照明光を照射してその反射光をカメラ11に導光する光学手段として、光源31と、プリズム41と、カバー(光透過部材)43とが筐体21に組み付けられて構築されているとともに、その筐体21の窓21wに閉塞ガラス49が取り付けられている。
【0035】
これにより、光学ユニット12は、光源31の照明光が錠剤Tに照射されて、その錠剤Tの反射光が直下方向から直接届く光路、あるいは、カバー43やプリズム41を経由する複数の光路の空間を確保して、その光路空間を経由する光を閉塞ガラス49を介してカメラ11に導光させて錠剤Tの底面側以外の映像を撮像させる。
【0036】
詳細に、光源31は、図5図7に示すように、搬送経路Cp上の錠剤Tに、上方、斜め上方および側方の全周方向から均等に照明光を照射して高品質な錠剤Tの映像をカメラ11が撮像するように、白色光を発光するLED(Light Emitting Diode)32を高密度に搭載する複数の基板33~35が配置されて構築されている。このうちの錠剤Tの上方に位置する上部基板33は、カメラ11の鏡筒11p直下の周囲から下方の錠剤Tに向かって照明光を照射するように水平ドーナツ形状に形成されて配置されている。錠剤Tの斜め上方に位置する中間部基板34は、錠剤Tの上方から搬送経路Cpの前後方向に離隔する0°方向の2箇所とその搬送経路Cpの直交方向に離隔する90°方向の2カ所との計4箇所から中心の錠剤Tに向かって照明光を照射するように傾斜形状に形成されて配置されている。錠剤Tの両側方に位置する側部基板35は、搬送経路Cpの前後方向に対する45°方向の4箇所から中心の錠剤Tに向かって照明光を照射するように壁形状に形成されて配置されている。なお、光源31は、白色LED32に限るものではなく、他の照明機器でもよく、例えば、白色光に限らず、他の赤色、緑色、青色を発光するタイプでもよく、錠剤Tの画像処理に適した映像を撮像可能にするのが好適である。また、本実施形態では、錠剤Tの斜め上方から照明光を照射する場合を一例として説明するが、これに限るわけではなく、例えば、斜め下方から照明光を当てる形態にも適用可能であることは言うまでもない。
【0037】
これにより、光学ユニット12は、搬送経路Cpと平行な縦断モデルの図8に示すように、その搬送経路Cp上を搬送される錠剤Tに光源31の各方向の基板33~35のLED32が発光する照明光を上方、上方斜め、側方のそれぞれから照射して照明することができ、画像処理に適した光量で錠剤Tの映像を高品質に撮像することができる。
【0038】
プリズム41は、1つのカメラ11毎に、鏡筒11pの直下の周囲に位置する光源31の中間部基板34の間、すなわち、錠剤Tを中心にして搬送経路Cpの前後方向に対する45°方向の放射方向の4箇所に配置されており、その錠剤Tの斜め上方に位置しつつ全反射して偏光する光路がその放射方向に一致するように設置されている。この4式のプリズム41は、その搬送経路Cpの前後方向に対する45°での縦断モデルの図9に示すように、内側下斜面(入射面)41uから入射される錠剤Tの反射光Lを外側斜面41oで全反射させた後に内側中間斜面41mで再度全反射させることによって天面41tから、それぞれ共通のカメラ11に向けて導光する光路として機能するように形成されて設置されている。なお、このプリズム41では錠剤Tの反射光Lを2度全反射することにより反転画像にすることなく正対画像をカメラ11に入光して撮像させる。
【0039】
これにより、光学ユニット12は、光源31により照明されつつ搬送経路Cp上を搬送される錠剤Tの反射光を、プリズム41を介すことなく直下方向から直接、カメラ11に入光させるのに加えて、そのカメラ11の直下から4つの放射方向に配置されているプリズム41内で2度全反射させた後にカメラ11に入光させることができ、図10に示すように、カメラ11による1つの撮像画面Img中に、上方と4つの斜め上方からの計5方向から撮像した底面以外の映像を取得して画像処理することができる。ここで、図10のカメラ11による撮影映像Imgは、搬送経路Cp上を搬送される錠剤Tの上面映像Vcと、4方向からの斜め映像Vm1~Vm4とが1画面中に入れられて撮像化されることを示している。
【0040】
カバー43は、図11および図12に示すように、光を透過する、例えば、アクリル樹脂やガラスなどの透明材料により角錐台のカップ形状に作製されて、光源31の上部基板33および中間部基板34とプリズム41との下方に位置するように設置されている。また、カバー43は、その光源31の側部基板35の上方に位置して錠剤Tの搬送される搬送経路Cp側の搬送空間(検査空間)から塵埃等が環境空気(流体)と共に侵入不能にカメラ11側の内部を遮蔽して仕切るように筐体21に取り付けられている。ここで、搬送経路Cp側に浮遊する塵埃等には、例えば、錠剤Tの搬送処理中に削れて周囲環境中に浮遊する粉体などが含まれる。
【0041】
このカバー43は、光源31の上部基板33に近傍で対面する水平天面部43tと、光源31の中間部基板34に近傍で対面するとともにプリズム41の内側下斜面41uに近接して対面する傾斜面部43mと、この傾斜面部43mの周囲から水平方向に延長されて光源31の側部基板35により押さえられるようにして筐体21の底面21b側に取り付けられる底面部43bとを備えるように形成されている。そのうちの傾斜面部43mは、底面が正8角形の角錐台における斜面に位置して、天面部43tは、その角錐台における上面に位置する形状に形成されている。また、このカバー43の天面部43tは、カメラ11の鏡筒11pの鉛直下方に開口43toが形成されており、その鉛直下方の錠剤Tの反射光Lを直接、カメラ11まで入光させるようになっている。
【0042】
また、カバー43は、角錐台における平面部の水平天面部43tおよび傾斜面部43mの外面、すなわち、筐体21内側に偏光部材として機能する偏光板(フィルムでもよい)45t、45mがそれぞれ貼付されている。これら偏光板45t、45mは、光源31の発光する照明光と錠剤Tの反射光とのカメラ11までの光路上に介在するように容易にカバー43にそれぞれ貼付されて設置されている。
【0043】
同様に、光学ユニット12は、光源31の側部基板35の前面に偏光板46が設置されているとともに、カバー43の水平天面部43tの開口43toの直上に偏光板47が設置されている。これら偏光板46、47は、カバー43の偏光板45t、45mと同様に、側部基板35のLED32の発光する照明光や、カバー43の水平天面部43tの開口43to内を通過する錠剤Tの反射光の光路上に介在するように設置されている。
【0044】
これにより、光学ユニット12は、カバー43の搬送経路Cpに対して背面側となる光源31側やカメラ11側に偏光板45t、45m、46、47を位置させて、その搬送経路Cp上を搬送される錠剤Tに光源31のLED32の発光する照明光をこれら偏光板45t、45m、46を介して照射して照明することができ、その錠剤Tの反射する反射光Lもカバー43の偏光板45m、47を介してカメラ11に入光させることができる。
【0045】
ここで、これら偏光板45t、45m、46、47は、通過する光の偏光方向に応じた成分をカットする偏光処理機能を備えており、光源31から錠剤Tに照射される照明光と錠剤Tから反射される反射光とのそれぞれで偏光子および検光子として機能させて偏光処理するように設置されている。ここで、本実施形態では円偏光を念頭に構築する場合を一例にして説明するが、これに限るものではなく、例えば、直線偏光板を設置するようにしてもよい。具体的には、ハレーション等のノイズ低減を目的とする反射光のカットに偏光板を用いる場合、直線偏光の偏光板を光源側とカメラ側とに直交するように配置したり、また、同一の回転方向の回転偏光板を光源側とカメラ側とに配置するようにしてもよい。
【0046】
これにより、光学ユニット12は、光源31の発光する高強度の照明光が錠剤Tに照射(照明)されて反射される反射光をカメラ11で撮影するために、その撮像画像に所謂、フレアやゴーストなどが発生してノイズとなって入り込んでしまうことを抑制することができ、画像処理の精度や品質を確保することができる。
【0047】
ところで、光学ユニット12は、筐体21の天井面21tに開口する窓21wに流体の循環を制限する閉塞ガラス49が取り付けられて閉塞されており、また、筐体21の底面21b側にはカバー43が取り付けられて内部空間との流体の循環を制限することにより、検査本体装置10の差し込み穴10h内に差し込まれた状態ではカメラ11側にも塵埃等が流入しないように、実質的に遮蔽・閉塞するように作製されている。
【0048】
カバー43は、図6および図7に示すように、光源31の上部基板33および中間部基板34とプリズム41の下方に位置しつつ、その光源31の側部基板35の上方に位置して錠剤Tの搬送される搬送経路Cpからカメラ11側の内部を遮蔽するように筐体21に取り付けられている。
【0049】
これにより、光学ユニット12は、錠剤Tの搬送経路Cp側で塵埃等が発生したとしても、筐体21の内側に侵入することを制限することができ、カバー43の光源31の上部基板33や中間部基板34に対面する内面側に付着してしまうことを防止することができる。その一方で、この光学ユニット12は、その錠剤Tの搬送経路Cp側で発生する塵埃等がカバー43の外側外面側(筐体21の内部側内面の背面側)に付着したとしても検査本体装置10の差し込み穴10hから引き抜くだけで、そのカバー43の外側外面を露出させて容易かつ簡易に清掃することができ、その後に、迅速に検査本体装置10の差し込み穴10h内に差し込んで装着することができる。
【0050】
このため、光学ユニット12は、光源31の照明光や錠剤Tの反射光がカバー43に付着する塵埃等に干渉するなどしてハレーションが発生して、カメラ11の撮像画像にノイズとなって入り込んでしまうことを抑制することができ、画像処理の精度や品質を迅速に確保することができる。
【0051】
このように、本実施形態の光学ユニット12においては、外観検査装置100における検査本体装置10に着脱可能に位置決め装着されることで、錠剤Tの照明光や反射光の光路途中に設置されているカバー43によって搬送経路Cpの搬送空間側から筐体21内の光源31や上部のカメラ11の設置空間側を仕切って遮蔽・閉塞することができ、塵埃等が侵入して付着等してしまうことを未然に防止することができる。
【0052】
この光学ユニット12は、搬送経路Cp側から、すなわち、カバー43の筐体21の外面側や光源31の側部基板35の偏光板46に塵埃が付着したとしても、検査本体装置10から簡易かつ迅速に引き抜いて拭き取るなど容易に回復作業を完了させることができ、その作業後には検査本体装置10に再度差し込んで位置決め支持させるだけで外観検査処理を再開することができる。
【0053】
したがって、この光学ユニット12は、外観検査装置100の光源31やカメラ11に塵埃等が付着することを制限するとともに、発生する塵埃等は清掃しやすい部材外面に付着するのに留めて、簡易かつ迅速な回復作業を実現することができ、外観検査装置100による高品質な撮影画像による高精度な外観検査を実現することができる。
【0054】
本実施形態の他の態様としては、例えば、図13に示すように、カバー43の天面部43tの開口43toの周縁に円筒状のリブ43Rを形成するとともに、偏光板47をリブ43Rに接近させて筐体21を概略閉塞状態とすることによって、できるだけ開口43toから塵埃等が侵入する可能性をより小さくすることもできる。
【0055】
また、例えば、図14に示すように、カバー43の天面部43tから開口43toをなくして、中央の開口する偏光板45tに代えて、その天面部43tと同等の形状を有する偏光板45fを貼付することによって、筐体21を完全に閉塞状態にして塵埃等が侵入することを完全に防止するようにすることもできる。
【0056】
ここで、上述実施形態では、カバー43を底面が正8角形の角錐台に形成するが、これに限るものではなく、プリズム41に対面する傾斜面部43mの幅を狭めるなど異形に形成してもよく、さらに、8角形に限らず、6角形以下にしたり、10角形以上の底面を有する角錐台形状や角錐形状に形成してもよい。
【0057】
また、上述実施形態では、複数の方向に反射される反射光Lの全てを複数のプリズム41により集めて複数方向から見た錠剤Tを1つのカメラ11で撮像するが、これに限るものではなく、例えば、プリズム毎の個々の方向に撮像素子を配置して撮像し、あるいは、プリズムの数よりも少ない複数の撮像素子を配置して撮像するようにしてもよい。
【0058】
本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらすすべての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、各請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0059】
10、10A、10B……検査本体装置
11……カメラ
12……光学ユニット
14……ガイドシャフト
15……係合ピン
21……筐体
21w……窓
31……光源
32……LED
33……上部基板
34……中間部基板
35……側部基板
41……プリズム
43……カバー
43R……リブ
43m……傾斜面部
43t……天面部
43to……開口
45f、45m、45t、46、47、……偏光板
49……閉塞ガラス
100……外観検査装置
110……供給装置
120……水平搬送装置
121……搬送ベルト
130……反転搬送装置
131……反転ローラ
140……選別装置
150……コントローラ
190……連結接続ボックス
194……位置決め孔
195……制限孔
Cp……搬送経路
L……反射光
T……錠剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図13
図14