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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】コンビネーションスイッチ
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/42 20060101AFI20230816BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
B60Q1/42 Z
B60R16/02 630K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019226015
(22)【出願日】2019-12-14
(65)【公開番号】P2021094945
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】500309126
【氏名又は名称】株式会社ヴァレオジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100148301
【弁理士】
【氏名又は名称】竹原 尚彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176991
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100217696
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 英行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 光洋
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-183883(JP,A)
【文献】特開2004-237826(JP,A)
【文献】特開2018-069995(JP,A)
【文献】特開2005-186757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/42
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングシャフトと一体に回転軸回りに回転するカムリングと、
前記カムリングの側方で、前記回転軸の径方向に進退移動可能に設けられた操作子と、を有し、
操作レバーが中立位置から操作位置に操作されると、前記操作子が基準位置から前記カムリングに干渉する干渉位置まで変位するように構成されたコンビネーションスイッチであって、
前記操作子を収容するボディに組み付けられて、前記操作子を、前記基準位置よりも前記カムリングから離れた退避位置まで変位させて保持する保持部材と、
前記操作子を前記退避位置で保持した前記保持部材を、前記ボディ上で位置決めして固定するロック機構と、を有することを特徴とするコンビネーションスイッチ。
【請求項2】
前記ボディには、前記操作子の進退移動をガイドするガイド溝が設けられており、
前記操作子は、前記ガイド溝を貫通して前記ボディから突出するガイド軸を有しており、
前記保持部材には、前記ガイド軸を前記退避位置側に向けて変位させるカム面が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコンビネーションスイッチ。
【請求項3】
前記ボディには、前記保持部材を、前記操作子の変位方向に交差する方向に変位させるガイドが設けられており、
前記ロック機構は、
前記ボディに設けた突起と、
前記保持部材に設けられていると共に、前記突起に係合する爪部を有する係合片と、から構成されており、
前記ガイド軸を前記退避位置まで変位させた時点で、前記突起に前記係合片の爪部が係合して、前記保持部材前記ボディ上で位置決めして固定することを特徴とする請求項2に記載のコンビネーションスイッチ。
【請求項4】
前記回転軸方向から見て前記ガイドは、
前記保持部材の側縁を支持する支持壁部と、
前記支持壁部から前記保持部材側に突出して、前記保持部材の前記ボディから離れる前記回転軸方向の変位を規制する規制部と、を有していることを特徴とする請求項3に記載のコンビネーションスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンビネーションスイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、舵角センサを備えるコンビネーションスイッチが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-118295号公報
【0004】
コンビネーションスイッチは、ステアリングシャフトの挿通孔を有する本体部を有している。本体部では、挿通孔を間に挟んだ一方側と他方側にレバースイッチ装置が設けられている。
レバースイッチ装置のうちの一方は、ターンシグナル用のレバースイッチ装置(以下、ターンシグナルスイッチという)である。ターンシグナルスイッチの操作レバーが、中立位置から操作位置に向けて操作されると、車両の進行方向を周囲に報知するためのターンシグナルがオンされるようになっている。
【0005】
コンビネーションスイッチでは、本体部の挿通孔を、ステアリングシャフトが貫通している。本体部では、ステアリングシャフトと一体に回転するカムリングが、回転可能に支持されている。
【0006】
本体部には、ターンシグナルスイッチの操作レバーの操作時に、挿通孔側に突出する爪部が設けられている。爪部は、カムリングと干渉する位置まで突出するように設けられている。
コンビネーションスイッチでは、ステアリングが、ターンシグナルスイッチの操作レバーの操作方向とは反対方向に切り返されると、カムリングが爪部に干渉して、ターンシグナルスイッチの操作レバーが操作位置から中立位置に復帰する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ターンシグナルスイッチでは、操作レバーが中立位置に配置されている状態で、爪部がステアリングシャフト側に突出している。
そのため、本体部では、カムリングを本体部に組み付ける際に、カムリングが爪部と干渉しないようにするために、カムリングの径方向外側に、爪部を配置するための空間が用意されている。
【0008】
そのため、コンビネーションスイッチをより小型化するためには、操作レバーが中立位置に配置されている状態で、爪部をカムリングにより近づけて配置できるようにする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
ステアリングシャフトと一体に回転軸回りに回転するカムリングと、
前記カムリングの側方で、前記回転軸の径方向に進退移動可能に設けられた操作子と、を有し、
操作レバーが中立位置から操作位置に操作されると、前記操作子が基準位置から前記カムリングに干渉する干渉位置まで変位するように構成されたコンビネーションスイッチであって、
前記操作子を収容するボディに組み付けられて、前記操作子を、前記基準位置よりも前記カムリングから離れた退避位置まで変位させて保持する保持部材と、
前記操作子を前記退避位置で保持する前記保持部材を、前記ボディ上で位置決めして固定するロック機構と、を有する構成のコンビネーションスイッチとした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コンビネーションスイッチを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】コンビネーションスイッチを説明する図である。
図2】コンビネーションスイッチの要部の断面図である。
図3】コンビネーションスイッチの要部の分解斜視図である。
図4】ホルダを説明する図である。
図5】ロアカバーを説明する図である。
図6】アッパカバーを説明する図である。
図7】アッパカバーを説明する図である。
図8】キャンセルピンを説明する図である。
図9】サポートを説明する図である。
図10】ホルダとキャンセルピンとサポートとを組み付けた状態を説明する図である。
図11】ホルダとキャンセルピンとサポートとを組み付けた状態を説明する図である。
図12】ホルダとキャンセルピンとサポートとを組み付けた状態を説明する図である。
図13】ロックピンを説明する図である。
図14】ロックピンを説明する図である。
図15】ロックピンのアッパカバーへの組付けを説明する図である。
図16】ロックピンのアッパカバーへの組付けを説明する図である。
図17】コンビネーションスイッチの作用を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明する。
図1は、コンビネーションスイッチ1を説明する図である。図1の(A)は、コンビネーションスイッチ1を斜め上方から見た斜視図である。図1の(B)は、コンビネーションスイッチ1を上方から見た平面図である。
なお、図1の(A)では、カムリング10とロックピン9を、コンビネーションスイッチ1のボディ2から離間した位置に示している。図1の(B)では、ロックピン9をボディ2から離間した位置に示すと共に、レバースイッチ装置100の操作レバー101の中立位置を実線で、操作位置を仮想線で示している。
【0013】
図2は、図1の(B)におけるA-A線に沿って、コンビネーションスイッチ1のレバースイッチ装置100側を切断した断面図である。
図3は、コンビネーションスイッチ1のレバースイッチ装置100側の分解斜視図である。
【0014】
図1および図2に示すように、コンビネーションスイッチ1は、非導電性の樹脂で形成されたボディ2を有している。ボディ2は、車体側の不図示のブラケットに固定されている。
ボディ2は、ボトムカバー3と、ロアカバー4と、アッパカバー5と、を回転軸X方向で組み付けて構成されている。
ボディ2では、ボトムカバー3とアッパカバー5との間に、ロアカバー4が位置していると共に、ボトムカバー3とロアカバー4との間にプリント基板Pが位置している。
【0015】
図2に示すように、アッパカバー5では、板状の基部51の中央部に、ステアリングシャフトSHが貫通配置される挿通孔50と、この挿通孔50を全周に亘って囲む円筒状の支持壁部52と、が設けられている。
挿通孔50は、ステアリングシャフトSHの回転軸X方向にボディ2を貫通している。
【0016】
ステアリングシャフトSHには、カムリング10の筒壁部11が外挿されて、ステアリングシャフトSHに対して相対回転不能に連結されている。
図1に示すように、カムリング10は、ステアリングシャフトSHに外挿される筒壁部11と、筒壁部11の下縁を全周に亘って囲むフランジ部12と、フランジ部12の外周から径方向外側に突出するカム部13と、を有する一体部品である。
【0017】
図2に示すように、カム部13は、回転軸X回りの周方向で、大凡180°位相をずらして設けられている。
カムリング10のフランジ部12は、支持壁部52の上端52aに回転軸X方向から載置されている。
ステアリングシャフトSHは、ステアリングホイール(図示せず)の操作に連動して回転軸X回りに回動する。この際に、カムリング10もまた、回転軸X回りに回転する。
【0018】
図1の(A)、(B)に示すように、回転軸X方向から見てボディ2は、挿通孔50を挟んだ両側に、レバースイッチ装置100、200を備えている。
本実施形態では、レバースイッチ装置100は、車両の前照灯のスイッチと、ターンシグナルスイッチの制御に用いられる。レバースイッチ装置200は、ワイパースイッチの制御に用いられる。
【0019】
回転軸X方向から見て、アッパカバー5の基部51では、挿通孔50を挟んだ一方側と他方側が、レバースイッチ装置100、200の取付部53、54となっている。
取付部53、54は、基部51よりも紙面手前側に膨出して形成されている。
図2に示すように、取付部53、54は、基部51との間に回転軸X方向の隙間を空けて配置された上壁部531、541と、上壁部531、541と基部51との間の回転軸X方向の隙間を塞ぐ周壁部532、542と、を有する。
【0020】
周壁部532、542は、支持壁部52の外周との間に間隔をあけて設けられており、回転軸Xの径方向における周壁部532、542と支持壁部52との間に、カムリング10のフランジ部12が収容されている。
【0021】
ボディ2では、アッパカバー5の取付部53、54と、ロアカバー4との間の領域に、レバースイッチ装置100、200の先端側の領域が挿入されている。この状態において、レバースイッチ装置100、200の操作レバー101、201は、回転軸Xに平行な回転軸X1、X2回りに回動可能である(図1参照)。
【0022】
以下、レバースイッチ装置100側の構成について説明する。
図2および図3に示すように、アッパカバー5とロアカバー4との間では、ホルダ6が回転軸X1回りに回動可能に設けられている。
レバースイッチ装置100の操作レバー101は、ホルダ6に挿入される軸部102を有しており、ホルダ6の内部において軸部102は、回転軸X1に直交する軸線Y回りに回動可能に支持されている。
軸部102の先端側の内部には、節度ピン103とスプリングSp3が収容されている。節度ピン103は、スプリングSp3から作用する付勢力で、アッパカバー5とロアカバー4との間で把持された節度ブロック105に弾発的に接触している。
【0023】
図4は、ホルダ6を説明する図である。図4の(A)は、ホルダ6をアッパカバー5側から見た平面図である。図4の(B)は、(A)におけるA-A線に沿ってホルダ6を切断した断面図である。図4の(C)は、ホルダ6をアッパカバー5側から見た斜視図である。図4の(D)は、ホルダ6をロアカバー4側から見た斜視図である。
図5は、ロアカバー4を説明する図である。図5の(A)は、ロアカバー4をアッパカバー5側から見た平面図である。図5の(B)は、ロアカバー4をアッパカバー5側から見た斜視図である。図5の(C)は、ロアカバー4で支持されたホルダ6の変位を説明する図である。図5の(C)では、中立位置にある操作レバー101とホルダ6を実線で示すと共に、操作位置にある操作レバー101とホルダ6を仮想線で示している。
【0024】
図6および図7は、アッパカバー5を説明する図である。図6の(A)は、アッパカバー5を上方から見た斜視図である。図6の(B)は、アッパカバー5をロアカバー4側の下方から見た斜視図である。図7の(A)は、アッパカバー5を上方から見た平面図である。図7の(B)は、(A)におけるA-A線に沿ってアッパカバー5を切断した断面図である。図7の(C)は、(A)におけるB-B線に沿ってアッパカバー5を切断した断面図である。図7の(D)は、(A)における領域Cの拡大図である。
【0025】
図4に示すように、ホルダ6の本体部61は、上壁部611と、下壁部612と、側壁部613、614と、を有する。
側壁部613、614は、上壁部611と下壁部612の幅方向の両側部同士を接続しており、内部に、側壁部613、側壁部614と、上壁部611と、下壁部612とで囲まれて空間Sを形成している。
【0026】
図4の(B)に示すように、上壁部611では、長手方向の一端611a側に、円柱状の支持軸63が設けられている。支持軸63は、回転軸X1に沿って、本体部61から上方に突出している。支持軸63は、後記するアッパカバー5の支持部59(図2図6の(B)参照)に設けた支持穴591で回転可能に支持される。
【0027】
下壁部612では、回転軸X1と交差する位置に、支持軸64が設けられている。支持軸64は、回転軸X1に沿って本体部から下方に突出しており、ロアカバー4の支持部49(図5の(A)、(B)、図2参照)に設けた支持穴491で回転可能に支持される。
そのため、ロアカバー4とアッパカバー5との間に配置されたホルダ6は、操作レバー101の操作に連動して回転軸X1回りに回動する(図5の(C)参照)。
【0028】
図4の(A)に示すように上壁部611では、長手方向の他端611b側の上面に、カム溝67が設けられている。カム溝67と支持軸63との間には、開口部610が設けられている。
ホルダ6の中心線C6方向における開口部610とカム溝67との間であって、上壁部611の幅方向の両側には、ストッパ66、66が設けられている。ストッパ66、66は、上壁部611の上面611cから上方に突出している。
【0029】
カム溝67は、上壁部611の上面に設けた凹部である。
カム溝67は、本体部61の中心線C6と交差する領域から、一方側(図4の(A)における上側)に延びる第1カム部671と、他方側(図4の(A)における下側)に延びる第2カム部672とを有する。
【0030】
第1カム部671と第2カム部672は、中心線C6を間に挟んで対称となる形状で形成されている。
第1カム部671と第2カム部672は、中心線C6から他端611b側(図4の(A)における右側)に離れるにつれて、中心線C6からの離間距離が大きくなる向きで傾斜している。
【0031】
カム溝67は、他端611b側の側面がカム面となっている。カム面は、第1カム部671の第1カム面67aと、第2カム部672の第2カム面67bと、中心線C6に対して直交する基準カム面67cと、から構成される。
【0032】
カム溝67には、後記するキャンセルピン7のガイド軸73が挿入されるようになっている。キャンセルピン7のガイド軸73は、操作レバー101とホルダ6が中立位置に配置されている時に、後記する板バネSp2(図3参照)の付勢力で基準カム面67cに接触した基準位置に保持される(図4の(A)における仮想線参照)。
【0033】
また、操作レバー101の操作によりホルダ6が回転軸X1回りに回動すると、操作レバー101の操作位置への到達に伴い、ホルダ6もまた操作位置に到達する(例えば、図5の(C)、仮想線参照)。
そうすると、キャンセルピン7のガイド軸73は、ホルダ6の回動方向に応じて、第1カム部671の第1カム面67aと、第2カム部672の第2カム面67bのうちの一方を、他端611b側(図4の(A)における右方向)に向けて摺動するようになっている。
【0034】
さらに、図4の(A)に示すように、カム溝67には、退避部673が設けられている。退避部673は、ホルダ6が中立位置に配置されている状態で、中心線C6と交差する位置に設けられており、基準カム面67cから見て一端611a側に位置している。
後記するロックピン9によりキャンセルピン7が支持軸63側に変位する際に、キャンセルピン7のガイド軸73が退避部673に収容されるようになっている。
【0035】
図8は、キャンセルピン7を説明する図である。
図8の(A)は、キャンセルピン7をアッパカバー5側の上方から見た平面図である。図8の(B)は、(A)におけるA-A線に沿ってキャンセルピン7を切断した断面図である。図8の(C)は、(B)におけるB-B線に沿ってキャンセルピン7を切断した断面図である。図8の(D)は、キャンセルピン7をアッパカバー5側から見た斜視図である。図8の(E)は、キャンセルピン7をロアカバー4側から見た斜視図である。
【0036】
図8の(B)に示すように、キャンセルピン7は、回転軸X3上で同軸に配置されたガイド軸73およびガイド軸74を有する本体部72と、本体部72から回転軸X3の径方向に延びる操作部71と、を有する一体部品である。
【0037】
操作部71は、キャンセルピン7の中心線C7に沿って直線状に延びており、操作部71の先端71a側には、カムリング10との干渉部711が設けられている。回転軸X3方向から見て干渉部711は、先端71aに向かうにつれて幅W71が広く成る形状で形成されている。
【0038】
本体部72は、回転軸X3に交差する領域から、中心線C7に沿って操作部71から離れる方向(図8の(A)における左方向)に膨出している。
ガイド軸73は、本体部72の下部から下方に突出している。ガイド軸74は、本体部72の上部から上方に突出している。
ガイド軸74は、本体部72に接続された基部741と、基部741の上端に設けられた被操作部742とを、有している。
被操作部742は、基部741よりも小さい外径で形成されており、被操作部742と基部741は、回転軸X3上で同芯に配置されている。
【0039】
回転軸X3方向において基部741は、操作部71の上面71cよりも上方まで及ぶ高さで形成されている。
本体部72には、回転軸X3方向の中央部に凹部721が設けられている。凹部721は、操作部71とは反対側に開口している。
【0040】
図8の(C)に示すように、回転軸X3方向から見て凹部721は、回転軸X3に直交する直線L7を境にして、操作部71とは反対側(図中、左側)の領域を切り欠いて形成されている。
凹部721は、直線L7に沿う内周面721aを有しており、この内周面721aの両側に、アッパカバー5で支持された板バネSp2が係止されるようになっている。
コンビネーションスイッチ1においてキャンセルピン7は、板バネSp2から作用する付勢力で、操作部71の先端71a側(図8の(C)における右側)に付勢されている。
【0041】
図8の(B)に示すように、側面視において凹部721は、矩形形状を成しており、本体部72は、凹部721を境にした一方側の当接部722と、他方側の当接部723とに分かれている。
当接部722の端面722aのほうが、当接部723の端面723aよりも、回転軸X3から離れた位置に達している。
【0042】
当接部722には、当接部723側(図中、下側)を切り欠いて形成した段部722bが形成されている。段部722bにおける回転軸X3に並行な端面722cは、当接部723側の端面723aよりもわずかに、回転軸X3から離れた位置に配置されている。
【0043】
図9は、サポート8を説明する図である。
図9の(A)は、サポート8をアッパカバー5側の上方から見た平面図である。図9の(B)は、(A)におけるA-A線に沿ってサポート8を切断した断面図である。図9の(C)は、サポート8をアッパカバー5側から見た斜視図である。図9の(D)は、サポート8をロアカバー4側から見た斜視図である。
【0044】
図10から図12は、ホルダ6とキャンセルピン7とサポート8とを組み付けた状態を説明する図である。
図10の(A)は、ホルダ6とキャンセルピン7とサポート8とが組み付けられた状態を、アッパカバー5側の上方から見た平面図である。図10の(B)は、(A)におけるA-A断面図である。
図11の(A)は、ホルダ6とキャンセルピン7とサポート8とが組み付けられた状態を、アッパカバー5側の上方から見た平面図である。図11の(B)は、(A)におけるA-A断面図である。
図12の(A)は、ホルダ6とキャンセルピン7とサポート8とが組み付けられた状態を、アッパカバー5側の上方から見た平面図である。図12の(B)は、(A)におけるA-A断面図である。
【0045】
なお、図10は、レバースイッチ装置100の操作レバー101が中立位置に配置されて、キャンセルピン7が基準位置に配置されている時の状態を示している。図11は、レバースイッチ装置100の操作レバー101が操作位置に配置されて、キャンセルピン7が、カムリング10と干渉する干渉位置に配置されているときの状態を示している。図12は、ロックピン9により、キャンセルピン7が退避位置に配置されているときの状態を示している。
【0046】
図10の(B)に示すように、サポート8は、ホルダ6の支持軸63と、キャンセルピン7との間に配置される基部81を有している。
図9の(A)に示すように、サポート8は、基部81の幅方向の両側に、腕部82、82が設けられた一体部品である。
腕部82、82は、基部81の幅方向の中心線C8を挟んで対称に設けられている。上腕部82、82は、中心線C8に沿って、基部81の一方の端面81aから離れる方向(図中、右方向)に突出している。
【0047】
図9の(B)に示すように、平面視において腕部82、82は、先端82a、82a側に向かうにつれて幅が狭くなる形状を有している。
腕部82、82の先端82a側は、前記したホルダ6の上壁部611に載置される載置部821となっている。この載置部821の厚みh1は、腕部82の基部81側の厚みh2よりも薄くなっている。
【0048】
図9の(A)に示すように、サポート8の幅方向において、腕部82の外周には、側方に向けて突出する係止片83が設けられている。係止片83の先端面83aは、中心線C8に直交する直線L2に沿う平坦面であり、先端面83aは、基部81の端面81aよりも、前記した腕部82の先端82a側に位置している。
【0049】
本実施形態では、係止片83の先端面83aが、前記したホルダ6のストッパ66に当接する位置まで、サポート8がホルダ6に組み付けられるようになっている(図10の(A)参照)。
【0050】
図9の(B)に示すように基部81には、高さ方向の略中央部に凹部810が設けられている。凹部810は、腕部82、82とは反対側に開口している。
凹部810の内部には、スプリングSp1の係合用の突起812が設けられている。
突起812には、スプリングSp1の一端が外挿される(図10(B)参照)。
【0051】
スプリングSp1の他端は、ホルダ6の支持軸63で支持されている。サポート8は、スプリングSp1から作用する付勢力で、キャンセルピン7側に付勢されている。
キャンセルピン7が基準位置(図10の(B)参照)や、干渉位置(図11の(B)参照)に配置されている時には、サポート8は、スプリングSp1の付勢力で、基部81の端面81aを、ホルダ6の開口部610の側縁に当接させた位置に配置される。
キャンセルピン7が退避位置(図12の(B)参照)に配置されているときには、サポート8は、スプリングSp1の付勢力で、基部81の端面81aを、キャンセルピン7の当接部722の端面722cに当接させた位置に配置される。
【0052】
そのため、キャンセルピン7が退避位置(図12の(B)参照)に配置されているときには、キャンセルピン7は、スプリングSp1の付勢力で、基準位置に向けて付勢されている。
【0053】
図10の(A)に示すように、キャンセルピン7は、アッパカバー5側の上方から見て、サポート8の腕部82、82の間に位置している。
図10の(B)に示すように、キャンセルピン7の本体部72には、アッパカバー5で支持された板バネSp2から付勢力が作用している。キャンセルピン7は、サポート8から離れる方向に付勢されている。
レバースイッチ装置100の操作レバー101が操作されておらず、ホルダ6が中立位置に配置されているときには、キャンセルピン7は、板バネSp2の付勢力で、ガイド軸73を、カム溝67の基準カム面67c(図4の(A)、図10の(B)参照)に当接させた基準位置で保持されている。
【0054】
図10の(B)に示すように、この状態において、キャンセルピン7のガイド軸74は、アッパカバー5のガイド溝56を貫通しており、ガイド軸74の被操作部742は、アッパカバー5の上面から突出している。
キャンセルピン7とサポート8は、回転軸X1に直交する軸線Z1方向に進退移動可能に、設けられている。
この際に、キャンセルピン7の軸線Z1方向の移動が、アッパカバー5のガイド溝56と、ガイド溝56を貫通したガイド軸74によりガイドされる。
【0055】
図7の(A)に示すように、アッパカバー5では、軸線Z1に沿ってガイド溝56が設けられている。ガイド溝56は、上壁部531を厚み方向に貫通しており、アッパカバー5の内部と外部とを連通させている。
ガイド溝56は、軸線Z1方向の所定の長さL56(図7の(D)参照)で形成されている。ガイド溝56は、アッパカバー5の周壁部532寄りの位置に設けられている。
【0056】
軸線Z1方向においてガイド溝56の周壁部532側(図中、右側)には、軸線Z1に直交する直線Yaから周壁部532側の範囲に、弧状壁21が設けられている。
直線Yaは、操作レバー101とホルダ6が、中立位置に配置されており、キャンセルピン7が基準位置に位置しているときのガイド軸74の位置を規定する基準線である。
回転軸X方向から見て直線Yaは、軸線Z1に直交している。
【0057】
軸線Z1方向においてガイド溝56の周壁部532とは反対側(図中、左側)の端部には、ガイド壁22が設けられている。
【0058】
ガイド溝56から見て周壁部532とは反対側には、紙面手前側に突出して支持部59が設けられている。
前記したように支持部59の内部には、アッパカバー5の内部に開口する支持穴591(図10の(B)参照)が設けられている。支持穴591では、前記したホルダ6の支持軸63が回動可能に支持されている。
【0059】
回転軸X1方向から見てアッパカバー5の周壁部532は、回転軸X1を中心とした仮想円Im1に沿う弧状を成している。
アッパカバー5では、周壁部532に沿って開口部55が設けられている。開口部55は、周壁部532と上壁部531とに跨がる範囲を切り欠いて形成されている。
回転軸X1方向から見て開口部55は、軸線Z1を一方側(図中、上側)から他方側(図中、下側)に横切る範囲に形成されている。軸線Z1を基準とした一方側の長さ範囲W55と、他方側の長さ範囲W55が同じになるように設定されている。
【0060】
図10の(B)に示すように、開口部55には、前記したキャンセルピン7の操作部71の先端71a側が挿入されている。
前記したようにキャンセルピン7は、軸線Z1方向に進退移動可能であり、キャンセルピン7の先端71a側は、開口部55から出没可能となっている。
本実施形態では、後記するロックピン9を用いて、キャンセルピン7のガイド軸74を軸線Z1方向に変位させて、キャンセルピン7の先端71a側を開口部55内に引き込むようになっている。
【0061】
そのため、図6の(A)および図7の(A)に示すように、ボディ2を構成するアッパカバー5には、ロックピン9をアッパカバー5に組み付けた状態で保持するためのロック機構20が設けられている。
ロック機構20は、ガイド溝56周りに設けた弧状壁21およびガイド壁22と、ストッパ23と、リブ24と、ガイド25~28と、突起29と、を有している。
これら弧状壁21およびガイド壁22と、ストッパ23と、リブ24と、ガイド25~28と、突起29は、それぞれアッパカバー5の上面に設けられている。
【0062】
図7の(A)に示すように、ロック機構20の構成要素のうち、弧状壁21とガイド壁22が、軸線Z1上に設けられている。また、ガイド25~28と突起29が、軸線Z1の一方側(図中、上側)に設けられており、ストッパ23とリブ24が、軸線Z1の他方側(図中、下側)に設けられている。
【0063】
平面視において弧状壁21は、開口をガイド壁22側(図中、左側)に向けて設けられており、弧状壁21のガイド壁22側の端面21aは、直線Ya上に位置している。
図10の(B)に示すようにガイド壁22は、直線Yc’に沿って上方に延びる基部22aと、基部22aの上端から弧状壁21に近づく方向に延びる延出部22bと、から一体に形成されている。
【0064】
図7の(A)および(D)に示すように、平面視においてストッパ23は、直線Yaに沿う長方形形状を成しており、周壁部532側(図中、右側)の側縁を直線Yaに沿わせた位置に設けられている。ストッパ23からみて、周壁部532と反対側に、円筒状のリブ24が設けられており、ストッパ23とリブ24は、補強リブ24aで接続されている。
ストッパ23とリブ24と補強リブ24aは、それぞれ紙面手前側に突出して形成されている。
【0065】
図7の(A)に示すように、軸線Z1の一方側(図中、上側)では、ガイド25、26が、直線Yaに沿って設けられていると共に、ガイド27、28が直線Ybに沿って設けられている。直線Yaと直線Yaは、互いに平行な直線であり、後記するロックピン9の幅W9と同じ幅だけ、軸線Z1方向で離間している。
【0066】
平面視においてガイド25は、直線Yaに沿う長方形形状を成しており、ガイド28側(図中、左側)の側縁を直線Yaに沿わせた位置に設けられている。
図7の(B)に示すように、断面視においてガイド26は、直線Ya’に沿って上方に延びる支持壁部26aと、支持壁部26aの上端からガイド28に近づく方向に延びる規制部26bと、から一体に形成されている。
図15の(A)に示すように、平面視において支持壁部26aは、直線Yaに沿う長方形形状を成しており、ガイド28側(図中、左側)の側縁を直線Yaに沿わせた位置に設けられている。
【0067】
図7の(C)に示すように、断面視においてガイド27は、直線Yb’に沿って上方に延びる支持壁部27aと、支持壁部27aの上端からガイド25に近づく方向に延びる規制部27bと、から一体に形成されている。
図15の(A)に示すように、平面視において支持壁部27aは、直線Ybに沿う長方形形状を成しており、ガイド25側(図中、右側)の側縁を直線Ybに沿わせた位置に設けられている。
図7の(A)に示すように、平面視においてガイド28は、直線Ybに沿う長方形形状を成しており、ガイド26側(図中、右側)の側縁を直線Ybに沿わせた位置に設けられている。
【0068】
突起29は、ガイド25とガイド27の間に位置しており、上壁部531の上面から上方に向けて突出している。
直線Ya方向に沿う断面視において、突起29は、直線Ya方向で曲率が変化する円弧状を成している(図13の(D)、仮想線参照)。
本実施形態では、直線Ya、Yb方向からロックピン9が、アッパカバー5に組付けられるようになっている。
なお、直線Yaと直線Ya’、直線Ybと直線Yb’、直線Ycと直線Yc’は、それぞれ互いに直交する直線である。
【0069】
図13図14は、ロックピンを説明する図である。図13の(A)は、ロックピン9を斜め上方から見た斜視図である。図13の(B)は、ロックピン9を上側から見た平面図である。図13の(C)は、(B)におけるA-A線に沿ってロックピン9を切断した断面図である。図13の(D)は、(B)におけるB-B線に沿ってロックピン9を切断した断面図である。
図14の(A)は、ロックピン9を下側から見た平面図である。図14の(B)は、(A)におけるA-A線に沿ってロックピン9を切断した断面図である。図14の(C)は、ロックピン9を下側から見た斜視図である。
なお、図14の(A)では、リブ914、915、935が設けられた領域にハッチングを付して示している。
【0070】
図13の(B)、(C)に示すように、ロックピン9は、平面視において矩形形状を成す基部91を有している。基部91の幅方向の両側には、側壁部911、912が同じ高さhaで設けられている。
ロックピン9では、基部91の中心線C9方向の一方側に、帯状の把持部92が設けられている。中心線C9は、ロックピン9の幅方向の中心を通る直線である。
【0071】
平面視において把持部92は、基部91から離れる方向に中心線C9に沿って延びている。断面視において把持部92は、先端92aに向かうにつれて上方に向けて湾曲している。
把持部92の基端92bは、側壁部911、912と、基部91とに跨がって設けられている。
【0072】
基部91では、中心線C9方向の他方側に、操作片93と、ガイド片94と、係合片95と、が設けられている。
平面視において係合片95は、基部91から離れる方向に、中心線C9に沿って延びている。係合片95の先端95a側の下面には、下方に突出して爪部951が設けられている(図13の(D)参照)。中心線C9に沿う断面視において、爪部951は略円弧状の断面形状を有している。
【0073】
係合片95の基端部95bは、基部91に設けた支持壁部913に接続されている。支持壁部913は、中心線C9に直交する向きで設けられていると共に、側壁部911と側壁部912とに跨がって設けられている。
係合片95は、支持壁部913で片持ち支持されており、爪部951が設けられた先端95a側が上下方向に弾性変位可能となっている。
【0074】
そのため、ロックピン9を、ボディ2のアッパカバー5に組み付けた際に、爪部951が、アッパカバー5の上面に設けた突起29に乗り上げた後に係合できるようになっている。
【0075】
図13の(B)、(C)に示すように、ガイド片94は、側壁部911の延長上を基部91から離れる方向に延びている。ガイド片94の先端94aは、係合片95の先端95aよりも基部91から離れた位置に達している。
ガイド片94には、補強壁941が設けられている。補強壁941は、前記した側壁部911の延長上に位置しており、側壁部911の先端911aからガイド片94の先端94aまでの範囲に設けられている。
【0076】
補強壁941の上面には、ガイド突起941aが設けられている。補強壁941の外周には、円弧状の突起941b、941bが、頂点を外側に向けた向きで設けられている。
突起941b、941bは、中心線C9方向に間隔をあけて設けられている。
【0077】
ここで、前記した側壁部911の先端911aは、中心線C9方向におけるガイド片94の略中央部まで達しており、補強壁941と側壁部911は、ガイド片94の部分で接続されている。
側壁部911における補強壁941との境界部911bは、ロックピン9をアッパカバー5に組み付けた際にアッパカバー5側のガイド27に当接するストッパ部となっている。
【0078】
操作片93は、側壁部912の延長上を基部91から離れる方向に延びている。
操作片93は、基部91に設けた支持壁部913の部分で、側壁部912に接続されている。操作片93の基部91側には、操作片93の延出方向に沿う補強壁931が設けられている。
側壁部912における補強壁931との境界部912bは、ロックピン9をアッパカバー5に組み付けた際にアッパカバー5側のガイド26に当接するストッパ部となっている。
補強壁931の上部には、ガイド突起931aが設けられている。補強壁931の外周には、円弧状の突起931bが、頂点を外側に向けた向きで設けられている。
【0079】
操作片93の先端93aは、係合片95の先端95aやガイド片94の先端94aよりも基部91から離れた位置に達している。
【0080】
操作片93の上面には、接続梁96の一端が接続されており、接続梁96の他端は、ガイド片94に接続されている。接続梁96は、係合片95の先端95a近傍を中心線C9に直交する向きで設けられている。
【0081】
操作片93では、接続梁96が接続された領域と、補強壁931の領域との間に、中心線C9側に窪んだ凹部936が設けられている。
そして、操作片93における接続梁96が接続された領域よりも先端93a側では、接続梁96との接続部から先端93aまでの領域に、ガイド突起932が設けられている。
【0082】
操作片93の先端93a側では、ガイド突起932から見て中心線C9とは反対側(図13の(B)における下側)に、切欠部933が形成されている。切欠部933は、操作片93を矩形形状に切り欠いて形成したものであり、中心線C9に対して直交する第1側縁933aと、中心線C9に対して平行な第2側縁933bとを、有している。
第2側縁933bには、円弧状の突起934が、頂点を外側に向けた向きで設けられている。
【0083】
操作片93の先端93a側では、ガイド突起932から見て中心線C9側(図13の(B)における上側)に、テーパ部93cが設けられている。テーパ部93cは、中心線C9に対して所定角度θ1傾斜している。
テーパ部93cは、操作片93の先端93aから所定範囲を切り欠いて形成したものである。操作片93におけるテーパ部93cが設けられた領域では、先端93a側に向かうにつれて、中心線C9の直交方向の幅W93が狭くなっている。
【0084】
図14の(A)に示すように、操作片93の裏面では、操作片93の長手方向に沿ってリブ935が設けられている。リブ935は、紙面手前側に突出して形成されており、凹部936から切欠部933の第1側縁933aまでの範囲に設けられている。
リブ935は、ロックピン9をボディ2(アッパカバー5)に組み付ける際に、ロックピン9とボディ2との接触面積を抑えるために設けられている。
そのため、基部91の裏面にも、幅方向における両側にリブ914、915が所定幅で設けられている。これらリブ914、915は、中心線C9に対して平行であり、リブ935と同じ高さで形成されている。そして、リブ914は、操作片93のリブ935の延長上に位置していると共に、リブ915は、ガイド片94まで及んで形成されている。
【0085】
リブ935では、前記した切欠部933の第1側縁933aとの境界部にカム面935aが設けられている。カム面935aは、中心線C9に対して所定角度θ2傾斜しており、基部91側(図14(A)中、右側)に向かうにつれて中心線C9に近づく向きで設けられている。
カム面935aは、ロックピン9をボディ2(アッパカバー5)に組み付ける際に、アッパカバー5のガイド溝56から突出するキャンセルピン7のガイド軸74と干渉する位置に設けられている。
【0086】
以下、アッパカバー5に対するロックピン9の組付けを説明する。
図15図16は、ロックピン9のアッパカバー5への組付けを説明する図である。
なお、図15および図16では、ロック機構20の主要構成要素(弧状壁21、ガイド壁22、ストッパ23、ガイド25~28)の位置を明確にするために、これらにハッチングを付して示している。
【0087】
操作レバー101が中立位置に配置されている時には、図15の(A)に示すように、キャンセルピン7のガイド軸74は、基準位置(図中、直線Yaに沿う位置)に配置されている。この状態においてキャンセルピン7の操作部71の先端71aは、周壁部542の開口部55から突出している。
【0088】
キャンセルピン7のガイド軸74は、ガイド溝56からアッパカバー5の上方に突出していると共に、ガイド溝56の長手方向に沿う軸線Z1方向に進退移動可能である。
この状態において、ロックピン9をアッパカバー5に組み付ける際には、始めに、ロックピン9を軸線Z1の直交方向からアッパカバー5に近づけて、操作片93を、ロック機構20のガイド28と、ガイド26の間に挿入する(図15の(A)参照)。
【0089】
そうすると、ガイド片94では、ガイド突起941aが、ガイド27の規制部27bの下側に挿入されると共に、突起941b、941bが、ガイド28の内周を摺動する。
操作片93では、ガイド突起931aが、ガイド26の規制部26bの下側に挿入されると共に、ガイド突起932が、ガイド壁22の延出部22bの下側に挿入される(図15の(A)、(B)参照)。
【0090】
さらに、ロックピン9を軸線Z1側に変位させると、操作片93のリブ935に設けたカム面935aが、キャンセルピン7のガイド軸74に接触する(図16の(A)参照)。
カム面935aは、ロックピン9の基部91側(図中、上側)に向かうにつれて中心線C9に近づく方向に傾斜している。
これにより、以降、ロックピン9のアッパカバー5への組付けの進行に伴ってガイド軸74が、カム面935aにより押されて、ガイド壁22に近づく方向(図中、左方向)に変位する。
【0091】
そして、操作片93の先端93aがリブ24に当接すると共に、先端93a側の切欠部933の第1側縁933aが、ストッパ23に当接した時点で、係合片95の爪部951が、アッパカバー5側の突起29(図13の(D)参照)に係合して、ロックピン9がアッパカバー5上に位置決めされて固定される。
【0092】
この状態において、アッパカバー5のガイド26、27の規制部26b、27bが、ロックピン9のガイド突起931a、941aに接触しており、アッパカバー5のガイド壁22の延出部22bが、操作片93のガイド突起932に接触している。
そのため、ロックピン9は、アッパカバー5の上面から離れる方向(図16の(B)における上方向:回転軸X方向)の変位が規制される。
【0093】
また、アッパカバー5のガイド26、27の支持壁部26a、27aと、ガイド25、28が、ロックピン9の幅方向の両側を支持しているので、アッパカバー5に組み付けられたロックピン9の、軸線Z1方向の変位が規制される(図16の(B)参照)。
【0094】
さらに、係合片95の爪部951が、アッパカバー5の突起29に係合しているので、ロックピン9は、ボディ2から引き抜かれる方向(図16の(B)における上方向)の移動が規制されている。
よって、ロックピン9は、ボディ2(アッパカバー5)上の所定位置に保持される。
【0095】
さらに、この状態において、ロックピン9は、カム面935aにより押されたキャンセルピン7を、図12の(B)に示す退避位置に配置している。そのため、キャンセルピン7の操作部71の先端71aは、周壁部542から突出せずに、開口部55に収容された位置に配置される。
【0096】
よって、ロックピン9をボディ2(アッパカバー5)に組み付けた状態で、ロックピン9の移動をロック機構20により規制することで、キャンセルピン7は、操作部71の先端71aを開口部55に収容した退避位置に保持され続けることになる。
【0097】
図17は、コンビネーションスイッチ1の作用を説明する図である。図17の(A)は、キャンセルピン7が、基準位置に配置されている状態を示している。図17の(B)は、キャンセルピン7が、干渉位置に配置されている状態を示している。図17の(C)は、キャンセルピン7が、退避位置に配置されている状態を示している。
【0098】
図17の(A)および図10に示すように、操作レバー101が中立位置に配置されている状態では、キャンセルピン7の干渉部711は、開口部55から突出しているものの、カムリング10側に突出しない位置に配置される。
【0099】
また、図17の(B)および図11に示すように、操作レバー101が操作位置に配置されて、キャンセルピン7が干渉位置に配置されると、キャンセルピン7の干渉部711は、開口部55から突出して、回転軸X回りに回転するカムリング10のカム部13と干渉する干渉位置に配置される。
【0100】
図17の(C)および図12に示すように、操作レバー101が中立位置に配置されている状態で、ボディ2(アッパカバー5)にロックピン9を組み付けると、キャンセルピン7の干渉部711は、開口部55内に引き込まれて、周壁部542からカムリング10側に突出しない位置に配置される。
【0101】
そのため、ボディ2に後からカムリング10を組み付ける際に、カムリング10がキャンセルピン7と干渉しないようにすることができる。これにより、周壁部542とカムリング10のカム部13との隙間Wxを狭くして、コンビネーションスイッチ1をより小型化できる。
【0102】
以上の通り、本実施形態にかかるコンビネーションスイッチ1は、以下の構成を有している。
(1)コンビネーションスイッチ1は、
ステアリングシャフトSHと一体に回転軸X回りに回転するカムリング10と、
カムリング10の側方で、回転軸Xの径方向に進退移動可能に設けられたキャンセルピン7(操作子)と、を有する。
コンビネーションスイッチ1では、操作レバー101が中立位置から操作位置に操作されると、キャンセルピン7が基準位置からカムリング10に干渉する干渉位置まで変位する。
コンビネーションスイッチ1は、
ボディ2に組み付けられて、キャンセルピン7を、基準位置よりもカムリング10から離れた退避位置まで変位させて保持するロックピン9(保持部材)と、
キャンセルピン7を退避位置で保持されたロックピン9を、ボディ2上で位置決めして固定するロック機構20と、を有する。
【0103】
このように構成すると、キャンセルピン7を退避位置まで変位させることができるので、キャンセルピン7の基準位置をカムリング10に近づけて設定しても、カムリング10の組み付け時に、カムリング10がキャンセルピン7に干渉することを好適に防止できる。これにより、コンビネーションスイッチ1をより小型化できる。
【0104】
コンビネーションスイッチ1は、以下の構成を有している。
(2)ボディ2には、キャンセルピン7の軸線Z1方向の進退移動をガイドするガイド溝56が設けられている。
キャンセルピン7は、ガイド溝56を貫通してボディ2から突出するガイド軸74を有している。
ロックピン9(保持部材)には、ガイド軸74を退避位置に向けて変位させるカム面935aが設けられている。
【0105】
このように構成すると、ロックピン9をボディ2に組み付ける方向に変位させる過程で、カム面935aによりガイド軸74を退避位置に向けて速やかに移動させることができる。
【0106】
コンビネーションスイッチ1は、以下の構成を有している。
(3)回転軸X方向から見てボディ2には、
ロックピン9(保持部材)を、キャンセルピン7の変位方向である軸線Z1方向に直交する直線Ya、Yb方向に変位させるガイド25、26、27、28が設けられている。
ロック機構20は、
ボディ2に設けた突起29と、
ロックピン9に設けられていると共に、突起29に係合する爪部951を有する係合片95と、から構成される。
キャンセルピン7を退避位置まで変位させた時点で、突起29に係合片95の爪部951が係合して、ロックピン9がボディ2上で位置決めされて固定される。
【0107】
このように構成すると、ロックピン9を、ガイド軸74を退避位置まで移動させた位置で保持することができるので、ロックピン9のボディ2への組付けと、キャンセルピン7の退避位置での保持を同時に行うことができる。
【0108】
コンビネーションスイッチ1は、以下の構成を有している。
(4)回転軸X方向から見てガイド26、27は、
ロックピン9の側縁を支持する支持壁部26a、27aと、
支持壁部26a、27aからロックピン9側に突出して、ロックピン9のボディ2から離れる回転軸X方向の変位を規制する規制部26b、27bと、を有している。
【0109】
このように構成すると、ロック機構20は、ロックピン9の直線Ya、Ybおよび軸線Z1方向の変位と、回転軸X方向の変位を規制した状態で、ロックピン9をボディ2(アッパカバー5)上で位置決めして固定できる。
これにより、ボディ2にカムリング10を後から組み付けるに当たり、キャンセルピン7の干渉部711が、カムリング10に干渉することを好適に防止できる。
【0110】
以上、本願発明の実施形態および変形例を説明したが、本願発明は、これらのものに限定されるものではなく、発明の技術的な思想の範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 :コンビネーションスイッチ
10 :カムリング
11 :筒壁部
12 :フランジ部
13 :カム部
2 :ボディ
20 :ロック機構
21 :弧状壁
22 :ガイド壁
22a :基部
22b :延出部
23 :ストッパ
24 :リブ
25、28 :ガイド
26、27 :ガイド
26a、27a :支持壁部
26b、28b :規制部
29 :突起
3 :ボトムカバー
4 :ロアカバー
5 :アッパカバー
50 :挿通孔
51 :基部
52 :支持壁部
53、54 :取付部
531 :上壁部
532 :周壁部
55 :開口部
56 :ガイド溝
6 :ホルダ
61 :本体部
611 :上壁部
612 :下壁部
613、614 :側壁部
63 :支持軸
64 :支持軸
66 :ストッパ
67 :カム溝
67a :第1カム面
67b :第2カム面
67c :基準カム面
671 :第1カム部
672 :第2カム部
673 :退避部
7 :キャンセルピン
71 :操作部
71a :先端
711 :干渉部
72 :本体部
73、74 :ガイド軸
741 :基部
742 :被操作部
8 :サポート
81 :基部
82 :腕部
83 :係止片
9 :ロックピン
91 :基部
911 :側壁部
911a :先端
911b :境界部
912 :側壁部
912b :境界部
913 :支持壁部
914、915 :リブ
92 :把持部
93 :操作片
931 :補強壁
931a :ガイド突起
931b :突起
932 :ガイド突起
933 :切欠部
933a :第1側縁
933b :第2側縁
934 :突起
935 :リブ
935a :カム面
936 :凹部
94 :ガイド片
941 :補強壁
941a :ガイド突起
941b :突起
95 :係合片
951 :爪部
100、200 :レバースイッチ装置
101、201 :操作レバー
SH :ステアリングシャフト
Sp1 :スプリング
Sp2 :板バネ
X、X1X2、X3 :回転軸
Z1 :軸線
図1
図2
図3
図4
図5
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