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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】負荷時タップ切換器
(51)【国際特許分類】
   H01F 29/04 20060101AFI20230816BHJP
   H02J 3/12 20060101ALI20230816BHJP
   H02M 5/12 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
H01F29/04 502C
H01F29/04 502K
H02J3/12
H02M5/12 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020051834
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021150618
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】前田 博宣
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-64205(JP,A)
【文献】特公昭50-30248(JP,B1)
【文献】特公昭50-4852(JP,B1)
【文献】特開2003-50638(JP,A)
【文献】特開2019-80430(JP,A)
【文献】特開2018-57135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/00,29/00-29/04
H02J 3/12
H02M 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タップ付変圧器の複数の巻線それぞれが有するタップを切り換えて選択するための切換スイッチを備え、前記複数の巻線それぞれについて選択されたタップ同士を結線して3相の交流電圧を出力する負荷時タップ切換器であって、
前記交流電圧の少なくとも2相の線電流を検出する電流検出部と、
該電流検出部よりも出力側における少なくとも2組の2相の線間にそれぞれ接続された限流抵抗器及び矯絡用スイッチの直列回路と、
前記切換スイッチ及び前記矯絡用スイッチをオン/オフに駆動する制御部とを備え、
前記切換スイッチ及び前記矯絡用スイッチは、トライアック又は逆並列に接続された2つのサイリスタを含み、
該制御部は、
前記タップを切り換える場合、切換元のタップを選択するための切換スイッチをオフに駆動すると共に、前記矯絡用スイッチをオンに駆動し、
前記切換スイッチをオフに駆動すると共に、前記矯絡用スイッチをオンに駆動した後に、前記電流検出部の検出結果に基づく3相の線電流の全てがゼロクロス点を通過するまで待機し、
前記線電流の全てがゼロクロス点を通過するまで待機した後に、切換先のタップを選択するための切換スイッチをオンに駆動すると共に、前記矯絡用スイッチをオフに駆動する負荷時タップ切換器。
【請求項2】
前記制御部は、前記3相の線電流のうち何れかの線電流のゼロクロス点にて、前記切換元のタップを選択するための切換スイッチをオフに駆動すると共に、前記矯絡用スイッチをオンに駆動する請求項1に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項3】
前記3相の線電流のうち何れかの線電流が所定時間以上ゼロクロス点を通過せず、且つ該線電流の大きさが所定の電流閾値より大きい場合、異常を検知する第1異常検知部を更に備える請求項1又は請求項2に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項4】
前記直列回路の両端の交流電圧を検出する電圧検出部を更に備え、
前記制御部は、前記電圧検出部の検出結果に基づく3つの線間電圧のうち何れかの線間電圧のゼロクロス点にて、前記切換先のタップを選択するための切換スイッチをオンに駆動すると共に、前記矯絡用スイッチをオフに駆動する
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項5】
前記制御部は、前記切換先のタップを選択するための切換スイッチをオンに駆動すると共に、前記矯絡用スイッチをオフに駆動した場合、前記3つの線間電圧の全てがゼロクロス点を通過するまで待機する請求項4に記載の負荷時タップ切換器。
【請求項6】
前記3つの線間電圧のうち何れかの線間電圧が所定時間以上ゼロクロス点を通過せず、且つ該線間電圧の大きさが所定の電圧閾値より大きい場合、異常を検知する第2異常検知部を更に備える請求項4又は請求項5に記載に記載の負荷時タップ切換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器のタップを切換スイッチにより切り換える負荷時タップ切換器に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる間接切換方式による電圧調整装置は、二次巻線が配電線に直列に接続される直列変圧器と、一次巻線が配電線に並列に接続され、二次巻線に複数のタップが設けられた調整変圧器と、該複数のタップを切り換えて直列変圧器の一次巻線に接続するタップ切換器とを備えている。
【0003】
タップ切換器は、直列変圧器の一次巻線に接続するタップを切り換えるための切換スイッチと、タップ切換を行う過程でタップ間に流れる矯絡電流を制限する限流抵抗器等の限流素子と、該限流素子のタップ間への接続及び切り離しを行う矯絡用スイッチとを有する。タップ切換器は、これらのスイッチを所定のシーケンスでオンオフすることにより、調整変圧器から直列変圧器の一次巻線に印加する調整電圧の大きさ及び極性を切り換える。
【0004】
切換スイッチがサイリスタである場合、ゲートに印加される制御電圧がオン/オフしてから、アノード及びカソードに流れる主電流がオン/オフするまでには時間的な遅れが生じる。トライアックについても同様である。例えば、主電流が実際にオフするには、制御電圧がオフとなり、更に主電流が最低動作電流より小さくなる必要がある。従って、切換元の切換スイッチと切換先の切換スイッチとを排他的にオンさせる場合は、一方が実際にオフ(遮断)されたのを確認してから他方をオン(導通)させる必要がある。
【0005】
これに対し、特許文献1には、交流スイッチ(切換スイッチに相当)とバイパス回路(限流抵抗器及び矯絡用スイッチに相当)との間に設けた電流検出器の検出電流が所定の電流値以下のときに、次に選択される交流スイッチに切換信号を出力する電圧調整装置が開示されている。この電圧調整装置にて切換元の交流スイッチがオフした場合、電流検出器に流れる電流が0となるため、切換元と切換先の交流スイッチの同時オンが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平11-312612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1には単相回路の場合が例示されているに過ぎず、3相回路の場合の具体的な構成や制御方法は明らかにされていない。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、3相の交流電圧を出力する場合に、切換スイッチ同士の短絡を確実に防止することが可能な負荷時タップ切換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る負荷時タップ切換器は、タップ付変圧器の複数の巻線それぞれが有するタップを切り換えて選択するための切換スイッチを備え、前記複数の巻線それぞれについて選択されたタップ同士を結線して3相の交流電圧を出力する負荷時タップ切換器であって、前記交流電圧の少なくとも2相の線電流を検出する電流検出部と、該電流検出部よりも出力側における少なくとも2組の2相の線間にそれぞれ接続された限流抵抗器及び矯絡用スイッチの直列回路と、前記切換スイッチ及び前記矯絡用スイッチをオン/オフに駆動する制御部とを備え、前記切換スイッチ及び前記矯絡用スイッチは、トライアック又は逆並列に接続された2つのサイリスタを含み、該制御部は、前記タップを切り換える場合、切換元のタップを選択するための切換スイッチをオフに駆動すると共に、前記矯絡用スイッチをオンに駆動し、前記切換スイッチをオフに駆動すると共に、前記矯絡用スイッチをオンに駆動した後に、前記電流検出部の検出結果に基づく3相の線電流の全てがゼロクロス点を通過するまで待機し、前記線電流の全てがゼロクロス点を通過するまで待機した後に、切換先のタップを選択するための切換スイッチをオンに駆動すると共に、前記矯絡用スイッチをオフに駆動する。
【0010】
本態様にあっては、タップ付変圧器の巻線それぞれが有するタップを制御部が切換スイッチで切り換えて選択し、選択されたタップ同士がY結線、Δ結線又はV結線されて3相の交流電圧が出力される。3相のうちの少なくとも2相の線電流を検出する電流検出部よりも出力側における少なくとも2組の2相の線間には、限流抵抗器及び矯絡用スイッチの直列回路がそれぞれ接続されている。タップを切り換える場合、制御部は、切換元のタップを選択するための切換スイッチ(以下、切換元の切換スイッチと言う)をオフに駆動すると共に矯絡用スイッチをオンに駆動した後に、3相の線電流の全てがゼロクロス点を通過するまで待機し、その後、切換先のタップを選択するための切換スイッチ(以下、切換先の切換スイッチと言う)をオンに駆動すると共に、矯絡用スイッチをオフに駆動する。これにより、切換元の切換スイッチの全てが遮断された後に、切換先の切換スイッチが導通する。
【0011】
本発明の一態様に係る負荷時タップ切換器は、前記制御部は、前記3相の線電流のうち何れかの線電流のゼロクロス点にて、前記切換元のタップを選択するための切換スイッチをオフに駆動すると共に、前記矯絡用スイッチをオンに駆動する。
【0012】
本態様にあっては、タップを切り換える場合、制御部は、最初に検出された線電流のゼロクロス点にて、切換元の切換スイッチをオフに駆動すると共に矯絡用スイッチをオンに駆動する。これにより、オフにする切換スイッチの全てがオフに駆動されてから実際に遮断されるまでの時間が一定となり、動作が安定する。
【0013】
本発明の一態様に係る負荷時タップ切換器は、前記3相の線電流のうち何れかの線電流が所定時間以上ゼロクロス点を通過せず、且つ該線電流の大きさが所定の電流閾値より大きい場合、異常を検知する第1異常検知部を更に備える。
【0014】
本態様にあっては、電流の大きさが所定の電流閾値より大きいにも関わらず所定時間以上ゼロクロス点を通過しない線電流があった場合に異常を検知する。異常を検知した場合は、例えばタップ切換を中断して切換元のタップに戻すことができる。
【0015】
本発明の一態様に係る負荷時タップ切換器は、前記直列回路の両端の交流電圧を検出する電圧検出部を更に備え、前記制御部は、前記電圧検出部の検出結果に基づく3つの線間電圧のうち何れかの線間電圧のゼロクロス点にて、前記切換先のタップを選択するための切換スイッチをオンに駆動すると共に、前記矯絡用スイッチをオフに駆動する。
【0016】
本態様にあっては、限流抵抗器及び矯絡用スイッチの直列回路の両端電圧が電圧検出部で検出される。制御部は、最初に検出された線間電圧のゼロクロス点にて、切換先の切換スイッチをオンに駆動すると共に、矯絡用スイッチをオフに駆動する。これにより、矯絡用スイッチがオフに駆動されてから実際に遮断されるまでの時間が一定となり、動作が安定する。
【0017】
本発明の一態様に係る負荷時タップ切換器は、前記切換先のタップを選択するための切換スイッチをオンに駆動すると共に、前記矯絡用スイッチをオフに駆動した場合、前記3つの線間電圧の全てがゼロクロス点を通過するまで待機する。
【0018】
本態様にあっては、制御部は、最初に検出された線間電圧のゼロクロス点にて、切換先の切換スイッチをオンに駆動すると共に、前記矯絡用スイッチをオフに駆動し、その後、3つの線間電圧の全てがゼロクロス点を通過するまで待機する。これにより、矯絡用スイッチがオフに駆動されて実際に遮断されたときに、タップ切換の完了が確認される。
【0019】
本発明の一態様に係る負荷時タップ切換器は、前記3つの線間電圧のうち何れかの線間電圧が所定時間以上ゼロクロス点を通過せず、且つ該線間電圧の大きさが所定の電圧閾値より大きい場合、異常を検知する第2異常検知部を更に備える。
【0020】
本態様にあっては、電圧の大きさが所定の電圧閾値より大きいにも関わらず所定時間以上ゼロクロス点を通過しない線間電圧があった場合に異常を検知する。異常を検知した場合は、例えばタップ切換を中断して切換元のタップに戻すことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、3相の交流電圧を出力する場合に、切換スイッチ同士の短絡を確実に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態1に係る負荷時タップ切換器を含む電圧調整装置の構成例を示すブロック図である。
図2】切換スイッチの構成例を示す回路図である。
図3】OU相について、タップ位置とオンにする切換スイッチとの関係を示す図表である。
図4】調整変圧器の二次巻線に誘起する電圧と直列変圧器の一次巻線に供給される電圧との関係を示す説明図である。
図5】実施形態1に係る調整変圧器の出力側の線電流の位相と切換元の切換スイッチが遮断される位相との関係を示す説明図である。
図6】切換元の切換スイッチが正常に遮断されたか否かを判定する制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図7】線電流のゼロクロス点の通過を検知してフラグをセットする制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図8】実施形態2に係る調整変圧器の出力側の線間電圧の位相と矯絡用スイッチが遮断される位相との関係を示す説明図である。
図9】矯絡用スイッチが正常に遮断されたか否かを判定する制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図10】線間電圧のゼロクロス点の通過を検知してフラグをセットする制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図11】実施形態3に係る負荷時タップ切換器を含む電圧調整装置の構成例を示すブロック図である。
図12】実施形態4に係る負荷時タップ切換器を含む電圧調整装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る負荷時タップ切換器3を含む電圧調整装置100の構成例を示すブロック図である。電圧調整装置(SVR=Step Voltage Regulator)100は、紙面左側の電源から供給されるU相,V相,W相の交流電圧を調整し、紙面右側の負荷へ、配電線1u,1v,1wを介してu相,v相,w相の交流電圧を配電する。
【0024】
電圧調整装置100は、配電線1u,1v,1wそれぞれに二次巻線112,122,132が直列に接続される直列変圧器1と、配電線1u,1v,1wに一次巻線211,221,231がΔ結線される調整変圧器2(タップ付変圧器に相当)とを備える。電圧調整装置100は、更に、調整変圧器2の二次巻線212,222,232及び直列変圧器1の一次巻線111,121,131の間に設けられた負荷時タップ切換器(以下、単にタップ切換器とも言う)3を備える。タップ切換器3及び調整変圧器2が、負荷時タップ切換変圧器200を構成する。
【0025】
直列変圧器1は、二次巻線112,122,132それぞれに一次巻線111,121,131が対応している。一次巻線111,121,131はΔ結線されている。二次巻線112,122,132それぞれの上記負荷側の端子に対応する一次巻線111,121,131の端子をu1,v1,w1とする。また、二次巻線112,122,132それぞれの上記電源側の端子に対応する一次巻線111,121,131の端子をu2,v2,w2とする。
【0026】
調整変圧器2は、一次巻線211が配電線1u,1v間に、一次巻線221が配電線1v,1w間に、一次巻線231が配電線1w,1u間にそれぞれ接続されている。一次巻線211,221,231のそれぞれには、二次巻線212,222,232が対応している。
【0027】
二次巻線212,222,232のそれぞれは、一端及び他端から引き出されたタップt1及びt4と,一端及び他端の間から引き出された中間のタップt2及びt3とを有する。二次巻線212,222,232のそれぞれは、タップt1~t4の何れか1つがタップ切換器3を介して直列変圧器1の一次側の端子u2,v2,w2と、端子v1,w1,u1とに接続され、該1つと同一又は異なる他の1つが中性点Nとしてアースに接続される。即ち、調整変圧器2の二次巻線212,222,232は、タップ切換器3を介してY結線される。同一のタップが直列変圧器1の一次側の各端子及び中性点Nに接続されるのは、後述する素通しタップの場合である。
【0028】
調整変圧器2の一次巻線211,221,231に印加される電圧を計測するために、配電線1u,1v、1wには計測用変圧器PT1,PT2がV結線されている。即ち、配電線1u及び1v間には計測用変圧器PT1の一次巻線が接続されており、配電線1v及び1w間には計測用変圧器PT2の一次巻線が接続されている。例えば計測用変圧器PT1及びPT2の二次巻線をΔ結線の3相平衡回路と見做し、後述する制御部31が3相分の計測電圧(以下、計測結果と言う)を取得することにより、一次巻線211,221,231に印加される電圧を検出する。これらの電圧を、3つの計測用変圧器をΔ結線することによって検出してもよいし、抵抗分圧等の手段を用いて検出してもよい。
【0029】
タップ切換器3は、調整変圧器2の二次巻線212のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_U,Th1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uと、二次巻線222のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThA_V,ThB_V,ThC_V,ThD_V,Th1_V,Th2_V,Th3_V,Th4_Vと、二次巻線232のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThA_W,ThB_W,ThC_W,ThD_W,Th1_W,Th2_W,Th3_W,Th4_Wとを有する。
【0030】
タップ切換器の構成は図1に示すものに限定されず、例えば、直列変圧器1に印加する電圧の極性を切り換える極性切換用タップ選択スイッチを含む構成であってもよい。また、タップ数がタップt1~t4の4つに限定されるものでもない。
【0031】
タップ切換器3は、更に、上記各切換スイッチの切り換えを制御する制御部31と、制御部31からの駆動信号に基づいて各切換スイッチをオンに駆動する駆動部32とを有する。制御部31には、計測用変圧器PT1,PT2の二次巻線、後述する計測用変圧器PT3,PT4(電圧検出部に相当)の二次巻線及び変流器CT_U,CT_W(電流検出部に相当)の二次巻線が接続されている。制御部31と各計測用変圧器及び各変流器との接続、並びに駆動部32と各切換スイッチとの接続は、図示を省略する。
【0032】
制御部31は、不図示のCPU(Central Processing Unit )を有し、予めROM(Read Only Memory )に記憶された制御プログラムに従って、電圧の調整を制御する。一時的に発生した情報はRAM(Random Access Memory )に記憶される。制御部31は、また、ハードウェアにより近い制御を行う不図示のFPGA(Field Programmable Gate Array )と、経過時間を計測するためのタイマカウンタとを有する。
【0033】
二次巻線212のタップt1は、保護用のヒューズ(不図示:以下同様)を介して切換スイッチThA_U及びTh1_Uの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_U及びTh2_Uの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_U及びTh3_Uの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_U及びTh4_Uの一端に接続されている。切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの他端同士は、接続線3uを介して直列変圧器1の一次側の端子u2及びv1に接続されている。接続線3uは、タップ切換器3からU相に対応する交流電圧を出力するものであり、その位相をOUと表す。
【0034】
二次巻線222のタップt1は、ヒューズを介して切換スイッチThA_V及びTh1_Vの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_V及びTh2_Vの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_V及びTh3_Vの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_V及びTh4_Vの一端に接続されている。切換スイッチThA_V,ThB_V,ThC_V,ThD_Vの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_V,Th2_V,Th3_V,Th4_Vの他端同士は、接続線3vを介して直列変圧器1の一次側の端子v2及びw1に接続されている。接続線3vは、タップ切換器3からV相に対応する交流電圧を出力するものであり、その位相をOVと表す。
【0035】
二次巻線232のタップt1は、ヒューズを介して切換スイッチThA_W及びTh1_Wの一端に接続され、タップt2は、ヒューズを介して切換スイッチThB_W及びTh2_Wの一端に接続され、タップt3は、ヒューズを介して切換スイッチThC_W及びTh3_Wの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_W及びTh4_Wの一端に接続されている。切換スイッチThA_W,ThB_W,ThC_W,ThD_Wの他端同士は、中性点Nに接続されている。切換スイッチTh1_W,Th2_W,Th3_W,Th4_Wの他端同士は、接続線3wを介して直列変圧器1の一次側の端子w2及びu1に接続されている。接続線3wは、タップ切換器3からW相に対応する交流電圧を出力するものであり、その位相をOWと表す。
【0036】
接続線3u及び3v間には、限流抵抗器R_UV及び矯絡用スイッチThS_UVの直列回路と、電磁接触器MC_UVとが並列に接続されている。電磁接触器MC_UVは二次巻線212により近い位置に接続されており、接続線3uにおける電磁接触器MC_UVとの接続点と、限流抵抗器R_UVとの接続点との間には、OU相の線電流を計測するための変流器CT_Uの一次巻線が結合している。接続線3v及び3w間には、限流抵抗器R_VW及び矯絡用スイッチThS_VWの直列回路と、電磁接触器MC_VWとが並列に接続されている。電磁接触器MC_VWは二次巻線232により近い位置に接続されており、接続線3wにおける電磁接触器MC_VWとの接続点と、矯絡用スイッチThS_VWとの接続点との間には、OW相の線電流を計測するための変流器CT_Wの一次巻線が結合している。
【0037】
矯絡用スイッチThS_UVは、二次巻線212又は222のタップt1~t4を切り換える過程で、限流抵抗器R_UVを介してタップ間を矯絡させておくために、タップ間への限流抵抗器R_UVの接続及び切り離しを行うためのものである。矯絡用スイッチThS_VWは、二次巻線222又は232のタップt1~t4を切り換える過程で、限流抵抗器R_VWを介してタップ間を矯絡させておくために、タップ間への限流抵抗器R_VWの接続及び切り離しを行うためのものである。電磁接触器MC_UV及びMC_VWは、過電流が検出されて全ての切換スイッチがオフされる場合、又はタップ切換器3の運用が停止される場合に、直列変圧器1の一次側の端子u1,u2間、端子v1,v2間及び端子w1,w2間を矯絡して、開放状態にしないようにするためのものである。
【0038】
変流器CT_U,CT_Wを上述の位置に設けることにより、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWのオン/オフに関わらず、切換スイッチに流れる電流を計測することができる。このため、変流器CT_U,CT_Wを切換スイッチの過電流保護に用いることができる。また、計測した切換スイッチに流れる電流及び直列変圧器1の巻数比に基づいて配電線1u,1v,1wに流れる線電流を算出することができる。更に、算出した線電流及び配電線1u,1v,1wの電圧に基づいて力率を計算することもできる。
【0039】
電磁接触器MC_UV,MC_VWがオンした場合は、変流器CT_U,CT_Wにより、直列変圧器1の一次巻線111,121,131から電磁接触器MC_UV,MC_VWに流れる電流を計測することができる。このため、例えば配電線1u,1v,1wにおける短絡事故発生時に、配電線1u,1v,1wに流れる最大電流を算出することができる。
【0040】
矯絡用スイッチThS_UV及び限流抵抗器R_UVの直列回路の両端電圧を検出するために、OU相及びOV相の線間には計測用変圧器PT3の一次巻線が接続されている。矯絡用スイッチThS_VW及び限流抵抗器R_VWの直列回路の両端電圧を検出するために、OV相及びOW相の線間には計測用変圧器PT4の一次巻線が接続されている。計測用変圧器PT3,PT4の二次巻線は、制御部31に接続されている。制御部31が計測用変圧器PT3,PT4の二次巻線から計測結果を取得することにより、OU相及びOV相の線間電圧VO_UVと、OV相及びOW相の線間電圧VO_VWとが検出される。
【0041】
次に、各スイッチの構成を、切換スイッチThA_Uを例として説明する。他の切換スイッチ及び矯絡用スイッチについても同様である。図2は、切換スイッチThA_Uの構成例を示す回路図である。切換スイッチThA_Uは、アノードからカソードへ一方向に導通するサイリスタThAa_U及びThAb_Uを逆並列に接続してなる。サイリスタThAa_Uのアノード及びサイリスタThAb_Uのカソードは、中性点Nに接続されている。サイリスタThAa_Uのカソード及びサイリスタThAb_Uのアノードは、調整変圧器2の二次巻線212のタップt1に接続されている。サイリスタThAa_U及びThAb_Uのゲートは、駆動部32に接続されている。駆動部32からトリガ信号が各サイリスタのゲートに印加された場合、切換スイッチThA_Uは双方向に導通する。切換スイッチThA_Uを1つのトライアックで構成してもよい。
【0042】
次に、オンにする切換スイッチの組合せについて説明する。図3は、OU相について、タップ位置とオンにする切換スイッチとの関係を示す図表である。他のOV相,OW相についても、UをV,Wに読み替えた同様の図表が示される。以下では、主にOU相を例にして説明するが、OV相及びOW相についても同様の説明が成り立つ。
【0043】
切換スイッチの組合せは13通りあり、これらの組合せをタップ1からタップ13までのタップ位置で表す。例えば、タップ位置をタップ1にした場合、切換スイッチThD_U及びTh1_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt1が接続線3uに接続され、タップt4が中性点Nに接続される。この場合、タップt1及びt4間の巻数が二次巻線212の巻数に等しくなり、OU相の相電圧の大きさが最大となる。
【0044】
タップ2からタップ6までについては、タップ間の巻数が5段階に少なくなるようなタップの組合せに応じて、2つのタップを接続線3u及び中性点Nに接続する切換スイッチが決まる。例えば、タップ位置をタップ6にした場合、切換スイッチThD_U及びTh3_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt3が接続線3uに接続され、タップt4が中性点Nに接続される。この場合、タップt3及びt4間の巻数が0を除いて最小となり、OU相の相電圧の大きさが0を除いて最小となる。
【0045】
タップ位置をタップ7にした場合、切換スイッチThD_U及びTh4_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt4が接続線3uに接続され、同じタップt4が中性点Nに接続される。この場合、タップt4及びt4間の巻数が0となり、OU相の相電圧が0となる。これが、いわゆる素通しタップである。
【0046】
タップ8からタップ12までについては、タップ間の巻数が5段階に多くなるようなタップの組合せに応じて、2つのタップを接続線3u及び中性点Nに接続する切換スイッチが決まる。例えば、タップ位置をタップ8にした場合、切換スイッチThC_U及びTh4_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt4が接続線3uに接続され、タップt3が中性点Nに接続される。この場合、タップt3及びt4間の巻数が0を除いて最小となり、OU相の相電圧の大きさが0を除いて最小となる。但し、タップ6の場合と比較して、OU相の相電圧の位相が反転する。
【0047】
タップ位置をタップ13にした場合、切換スイッチThA_U及びTh4_Uがオンする。これにより、二次巻線212のタップt4が接続線3uに接続され、タップt1が中性点Nに接続される。この場合、タップt1及びt4間の巻数が二次巻線212の巻数に等しくなり、OU相の相電圧の大きさが最大となる。但し、タップ1の場合と比較して、OU相の相電圧の位相が反転する。
【0048】
前述のとおり、タップ切換によって接続線3u及び中性点Nに接続される2つのタップに係るタップ間の巻数は、タップ位置に応じて決まる、換言すれば、タップ位置に応じて、調整変圧器2の巻数比が決まる。ここで言う巻数比は、タップ切換によって接続線3u及び中性点Nに接続される2つのタップに係るタップ間の巻数に対する一次巻線211の巻数の比である。そこで、図3に示すように、タップ1からタップ13までのタップ位置と、NT_U1からNT_U13までの巻数比とを対応付けておく。但し、タップ位置がタップ7の場合、上記の定義による巻数比の算出は不能となるから、タップ位置と巻数比との対応付けは行わない。NT_U1からNT_U13までの総称をNT_Uとする。
【0049】
本実施形態1にあっては、図3に示すタップ位置と、オンにする切換スイッチ及び巻数比とを対応付けたテーブルが、制御部31のROMに予め記憶されている。タップ位置を上げ下げする毎にこのテーブルを参照して、オンにすべき切換スイッチを示す情報と巻数比とを読み出すことにより、タップ切換の処理が容易に行える。
【0050】
次に、電源側からのU相,V相,W相の交流電圧に加算又は減算される電圧について説明する。図4は、調整変圧器2の二次巻線212,222,232に誘起する電圧と直列変圧器1の一次巻線111,121,131に印加される電圧との関係を示す説明図である。調整変圧器2の二次巻線212は、切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの何れかがオンすることによって、何れかのタップが接続線3uに接続され、切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの何れかがオンすることによって、他の何れかのタップが中性点Nに接続される。調整変圧器2の二次巻線222,232についても、UをV,Wに読み替えることによって同様のことが言える。
【0051】
図3を用いて説明したように、タップ位置がタップ1からタップ6までの何れかである場合と、タップ位置がタップ8からタップ13までの何れかである場合とでは、OU相の相電圧の位相が互いに反転する。ここでは、タップ位置がタップ1からタップ6までの間にある場合について説明する。調整変圧器2は、一次巻線211,221,231がΔ結線され、二次巻線212,222,232がタップ切換器3を介してY結線されているから、接続線3u,3v,3wにおけるOU相,OV相,OW相それぞれの位相は、破線で示すような配電線1u,1v,1wにおけるu相,v相,w相の位相に対して30度だけ進んでいる。
【0052】
一方、直列変圧器1の一次巻線121には、OU相・OV相の線間電圧であるVO_UVが、端子v2からv1への向きに印加される。同様に、一次巻線131には、OV相・OW相の線間電圧であるVO_VWが、端子w2からw1への向きに印加され、一次巻線111には、OW相・OU相の線間電圧であるVO_WUが、端子u2からu1への向きに印加される。
【0053】
ここで図1に戻って、例えば直列変圧器1の一次巻線121及び二次巻線122に着目する。上記のとおり、一次巻線121の端子v1,v2間には、端子v2からv1への向きに紙面上で右向きの電圧V_UVが印加される。この場合、V_UVに対応して二次巻線122に誘起する電圧も、紙面上で右向きの電圧となる。従って、電源側からのV相の交流電圧に対して電圧V_UVが加算された電圧が、負荷側に供給される。
【0054】
一方、電圧V_UVは、図4に破線で示すv相の相電圧とは逆位相の電圧である。即ち、V相の交流電圧に対して、v相の交流電圧とは逆位相の電圧V_UVが加算されるから、v相の交流電圧とは同位相の電圧が減算されることとなる。換言すれば、電源側からのV相の交流電圧が降圧されて、負荷側にv相の交流電圧が供給される。タップ位置のタップ番号を1から6まで上げるに連れて、降圧される電圧の絶対値が順次小さくなり、タップ7(素通し)にて降圧される電圧が0となる。その後、更にタップ位置のタップ番号を上げるに連れて、電源側からのV相の交流電圧が順次昇圧されて負荷側に供給されるようになる。
【0055】
以上のとおり、タップ位置をタップ1からタップ13まで切り換えることにより、電源側からのU相,V相,W相の交流電圧を降圧した電圧から昇圧した電圧まで段階的に調整して、u相,v相,w相の交流電圧とすることができる。制御部31は、計測用変圧器PT1及びPT2により、u相,v相,w相の線間電圧を検出し、検出した電圧が不感帯を逸脱した場合に、タップ位置を上げ下げすることによって、u相,v相,w相の線間電圧が基準電圧に近づくように調整する。本実施形態1では、二次巻線212,222,232それぞれについてタップ位置が同じとなるように調整するが、それぞれのタップ位置を独立して切り換えることにより、U相,V相,W相の交流電圧の不平衡を改善することもできる。
【0056】
次に、タップ切換のシーケンスについて説明する。各切換スイッチに含まれるスイッチング素子が自己消弧素子ではないサイリスタ又はトライアックの場合、ゲート信号だけではスイッチング素子の導通/遮断、即ち点弧/消弧を制御することができない。具体的には、ゲート信号のオン/オフに加えて、サイリスタの場合はアノード電流の大きさが、トライアックの場合は主端子間を流れる主電流の大きさが、スイッチング素子の点弧/消弧を左右する。例えば、サイリスタの点弧条件及び消弧条件は以下のとおりである。トライアックについても同様であり、アノードからカソードに流れる電流を主端子間の主電流に置き換えればよい。
【0057】
(a)点弧条件:サイリスタのゲートにゲートトリガ電圧が印加されてゲートトリガ電流より大きいゲート電流が流れており、且つアノードからカソードに保持電流より大きい電流が流れている。
(b)消弧条件:サイリスタのゲートにゲートトリガ電流より大きいゲート電流が流れておらず、且つアノードからカソードに保持電流より大きい電流が流れていない。
【0058】
駆動部32からサイリスタのゲートに供給されるトリガ信号のオン/オフに応じて、ゲートトリガ電流より大きい電流が流れる/流れないようになっているから、サイリスタの点弧及び消弧は、専らアノードからカソードに流れる電流が保持電流より大きいか否かによって左右される。そこで、本実施形態1では、タップを選択/非選択の状態にするためにオン/オフされる切換スイッチに流れる電流を検出するために、図1及び図4に示す変流器CT_U及びCT_Wを用いる。
【0059】
図4にて、直列変圧器1の一次巻線111,121,131それぞれに流れる電流を破線,一点鎖線,二点鎖線で表した場合、接続線3uに一次巻線が結合している変流器CT_Uでは、破線の電流と一点鎖線の電流との差分が計測される。また、接続線3wに一次巻線が結合している変流器CT_Wでは、破線の電流と二点鎖線の電流との差分が計測される。
【0060】
接続線3u,3v,3wを流れる電流は相互に接続された閉ループを流れる電流であるから、接続線3vを流れる電流は、「-(変流器CT_Uの計測結果+変流器CT_Wの計測結果)」で表される。具体的に接続線3vには、一点鎖線の電流と二点鎖線の電流との差分が流れる。このように、接続線3u,3v,3wを流れる電流、即ちOU相,OV相,OW相の線電流は、それぞれ調整変圧器2の二次巻線212,222,232のタップを切り換えるための切換スイッチに流れる電流として検出又は算出される。
【0061】
タップ切換は、先ず矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオンに駆動した状態で、切換元の切換スイッチをオフに駆動するところから始まる。図5は、実施形態1に係る調整変圧器2の出力側の線電流の位相と切換元の切換スイッチが遮断される位相との関係を示す説明図である。図の横軸は位相角(度)を表し、縦軸は線電流の正規化された振幅を表す。実線,破線,一点鎖線のそれぞれはOU相,OV相,OW相の線電流を表す。
【0062】
例えば、位相角d1のタイミングで、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオンに駆動すると共に、切換元の切換スイッチをオフに駆動する場合を想定する。d1は、例えば0度と60度との間の位相角である。矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWは、d1よりも早い位相角でオンに駆動してもよいが、限流抵抗器R_UV,R_VWにおける電力消費が無駄に増大する。切換元の切換スイッチをオフに駆動した後で矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオンに駆動することは、直列変圧器1の一次巻線111,121,131が開放となる期間を生じさせる可能性があるため、避けなければならない。
【0063】
矯絡用スイッチThS_UV及びThS_VWそれぞれの両端には、OU相・OV相の線間電圧VO_UV及びOV相・OW相の線間電圧VO_VWが印加されているため、矯絡用スイッチThS_UV及びThS_VWは、位相角d1にてオンに駆動されたことにより速やかに点弧して導通する。一方、切換元の切換スイッチは、オフに駆動された後、自身に流れる相電流がゼロクロス点を通過したときに遮断される。具体的には、位相角60度にてOW相の相電流が流れる二次巻線232のタップの切換スイッチが遮断され、位相角120度にてOV相の相電流が流れる二次巻線222のタップの切換スイッチが遮断され、位相角180度にてOU相の相電流が流れる二次巻線212のタップの切換スイッチが遮断される(図5にて横方向の破線で示す区間におけるドット参照)。
【0064】
以上のことから、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオンに駆動すると共に、切換元の切換スイッチをオフに駆動してから、切換元の切換スイッチの全てが遮断されるまでの位相角の遅れは、120度から180度の範囲内となる。例えば、位相角d1が限りなく60度に近い場合、OW相の切換元の切換スイッチがオフに駆動された直後にOW相の線電流がゼロクロス点を通過するため、オフへの駆動が遅れた場合は、当該切換スイッチの遮断が位相角60度の時点よりも更に180度遅れる。
【0065】
このような不安定な動作を回避するには、OU相,OV相,OW相の何れかの線電流のゼロクロス点にて、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオンに駆動すると共に、切換元の切換スイッチをオフに駆動すればよい。例えば、位相角d1を0度、60度又は120度とすればよい。これにより、切換元の切換スイッチがオフに駆動されてから実際に遮断されるまでの位相角の遅れが180度に固定される。
【0066】
切換元の切換スイッチの全てが遮断された後は、切換先の切換スイッチをオンに駆動すると共に、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオフに駆動することができる。これにより、切換先の切換スイッチは速やかに導通する。また、直列変圧器1の一次巻線111,121,131から限流抵抗器R_UV,R_VWに流れていた電流が保持電流未満となったときに矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWが遮断される。
【0067】
本実施形態1では、何れかの線電流がゼロクロス点を通過したときに矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオンに駆動すると共に、切換元の切換スイッチをオフに駆動し、その後の所定時間内にOU相,OV相,OW相の線電流の全てがゼロクロス点を通過したことを確認する。所定時間は、上記180度の位相差に相当する1/2周期より長い時間とする。この所定時間内にOU相,OV相,OW相の線電流の何れかがゼロクロス点を通過しない場合、異常を検知して異常フラグをセットすると共に適切な異常処理を行う。なお、OU相,OV相,OW相の線電流が比較的小さい場合、例えばタップ位置が素通しタップの場合、又は配電線1u,1v,1wの負荷側に流れる電流が比較的小さい場合は、上記所定時間内にOU相,OV相,OW相の線電流の何れかがゼロクロス点を通過しないことがあり得るため、これを考慮する。
【0068】
以下では、上述した制御部31の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。図6は、切換元の切換スイッチが正常に遮断されたか否かを判定する制御部31の処理手順を示すフローチャートである。図7は、線電流のゼロクロス点の通過を検知してフラグをセットする制御部31の処理手順を示すフローチャートである。図6の処理は、タップ切換が発生する毎に起動され、制御部31に含まれるROMに予め格納されている制御プログラムに従って、CPUにより実行される。図7の処理は、制御部31の初期化後に、交流電圧の周期より十分に短い周期で起動され、制御部31に含まれるFPGAにより実行される。CPUとFPGAとの処理分担は適当に変更してもよい。電流ゼロクロスフラグは、CPU及びFPGAの両方からアクセス可能なメモリに記憶されており、例えば1バイト中にそれぞれ1ビットからなる3相分のフラグが含まれている。
【0069】
図6の処理が起動された場合、制御部31のCPUは、異常フラグを0にクリアし(S11)、更に電流ゼロクロスフラグを0に全クリアする(S12)。その後、CPUは、何れかの電流ゼロクロスフラグが1にセットされたか否かを判定し(S13)、何れもセットされていない場合(S13:NO)、何れかがセットされるまで待機する。
【0070】
何れかの電流ゼロクロスフラグが1にセットされた場合(S13:YES)、CPUは、切換元の切換スイッチをオフに駆動し(S14)、更に矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオンに駆動する(S15)。次いで、CPUは、電流ゼロクロスフラグを0に全クリアし(S16)、所定時間(例えば17ms)の監視タイマをスタートさせる(S17)。
【0071】
その後、CPUは、全ての電流ゼロクロスフラグが1にセットされたか否かを判定し(S18)、セットされていないフラグがある場合(S18:NO)、監視タイマがタイムアップしたか否かを判定する(S19)。監視タイマがタイムアップしていない場合(S19:NO)、CPUは、ステップS18に処理を移す。
【0072】
一方、監視タイマがタイムアップした場合(S19:YES)、CPUは、フラグがセットされていない相(OU相、OV相又はOW相)の線電流が電流閾値より大きいか否かを判定する(S20)。各相の線電流は、前述のとおり変流器CT_U,CT_Wから取得した計測結果に基づいて検出又は算出される。フラグがセットされていない相が複数あった場合は、フラグがセットされていない相の何れかについて線電流が電流閾値より大きいか否かを判定する。
【0073】
フラグがセットされていない何れかの相の線電流が電流閾値より大きい場合(S20:YES)、CPUは、異常フラグを1にセットし(S21:第1異常検知部に相当)、切換元の切換スイッチをオンに駆動して(S22)、後述するステップS26に処理を移す。CPUは、異常フラグを1にセットした場合に、必ずしも切換元の切換スイッチをオンに駆動しなくてもよい。また、異常検知の原因となった切換スイッチを特定し、特定された切換スイッチを除く他の切換スイッチにて、後続するタップ切換を実行してもよい。
【0074】
フラグがセットされていない全ての相の線電流が電流閾値より大きくない場合(S20:NO)又はステップS18にて全ての電流ゼロクロスフラグが1にセットされた場合(S18:YES)、CPUは、切換先の切換スイッチをオンに駆動する(S25)。更に、CPUは、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオフに駆動して(S26)図6の処理を終了する。
【0075】
図7に移って、図7の処理が起動された場合、制御部31のFPGAは、変流器CT_U,CT_Wから計測結果を取得することにより、OU相,OW相それぞれの線電流IO_U,IO_Wを検出する(S41)。次いで、FPGAは、前述のとおり「-(変流器CT_Uの計測結果+変流器CT_Wの計測結果)」により、線電流IO_Vを算出する(S42)。
【0076】
その後、FPGAは、線電流IO_Uがゼロクロス点を通過したか否か、即ちゼロクロスしたか否かを判定し(S43)、ゼロクロスした場合(S43:YES)、OU相の電流ゼロクロスフラグを1にセットする(S44)。ステップS44の処理を終えた場合、又は線電流IO_Uがゼロクロスしていない場合(S43:NO)、FPGAは、線電流IO_Vがゼロクロスしたか否かを判定し(S45)、ゼロクロスした場合(S45:YES)、OV相の電流ゼロクロスフラグを1にセットする(S46)。
【0077】
ステップS46の処理を終えた場合、又は線電流IO_Vがゼロクロスしていない場合(S45:NO)、FPGAは、線電流IO_Wがゼロクロスしたか否かを判定し(S47)、ゼロクロスした場合(S47:YES)、OW相の電流ゼロクロスフラグを1にセットする(S48)。ステップS48の処理を終えた場合、又は線電流IO_Wがゼロクロスしていない場合(S47:NO)、FPGAは図7の処理を終了する。
【0078】
以上のように本実施形態1によれば、調整変圧器2の二次巻線212,222,232それぞれが有するタップt1,t2,t3,t4を制御部31が8つの切換スイッチThX_U(X=1,2,3,4,A,B,C,D),ThX_V,ThX_Wで切り換えて選択し、選択されたタップ同士がY結線されて3相(OU相,OV相,OW相)の交流電圧が出力される。3相のうちの2相の線電流を検出する変流器CT_U,CT_Wよりも出力側における2組の2相の線間(OU相・OV相の線間とOV相・OW相の線間)には、限流抵抗器R_UV及び矯絡用スイッチThS_UVの直列回路と、限流抵抗器R_VW及び矯絡用スイッチThS_VWの直列回路とがそれぞれ接続されている。タップを切り換える場合、制御部31は、切換元の切換スイッチをオフに駆動すると共に矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオンに駆動した後に、3相の線電流の全てがゼロクロス点を通過するまで待機し、その後、切換先の切換スイッチをオンに駆動すると共に、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオフに駆動する。これにより、切換元の切換スイッチの全てが遮断された後に、切換先の切換スイッチが導通する。従って、3相の交流電圧を出力する場合に、切換スイッチ同士の短絡を確実に防止することが可能となる。
【0079】
また、実施形態1によれば、タップを切り換える場合、制御部31は、最初に検出された線電流のゼロクロス点にて、切換元の切換スイッチをオフに駆動すると共に矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオンに駆動する。従って、オフにする切換スイッチの全てがオフに駆動されてから実際に遮断されるまでの時間が一定となり、動作を安定にすることができる。
【0080】
更に、実施形態1によれば、電流の大きさが所定の電流閾値より大きいにも関わらず所定時間以上ゼロクロス点を通過しない線電流があった場合に異常を検知する。異常を検知した場合は、例えばタップ切換を中断して切換元のタップに戻すことができる。
【0081】
(実施形態2)
実施形態1は、制御部31が矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオフに駆動した後、実際に矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWが遮断されるのを確認しない形態であった。これに対し、実施形態2は、制御部31が矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオフに駆動した後、実際に矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWが遮断されるのを確認する形態である。実施形態2に係る電圧調整装置100の構成は、実施形態1の図1に示すものと同様であるため、図示及びその説明を省略する。
【0082】
本実施形態2では、実施形態1の図6におけるステップS25直前の処理及びステップS25以降の処理について、よりきめ細かい制御を行う。図6のステップS25の直前に至った時点では、OU相,OV相,OW相の線電流が流れない状態であるため、変流器CT_U,CT_Wを用いた計測はできない。一方、OU相・OV相の線間及びOV相・OW相の線間には、それぞれ限流抵抗器R_UV及びR_VWが挿入され、これらの限流抵抗器にて直列変圧器1の一次巻線111,121,131を流れる電流(図4に破線、一点鎖線及び二点鎖線で示す電流参照)同士を合成した電流による電圧降下が生じる。これらの電圧降下による線間電圧は、計測用変圧器PT3,PT4により計測される。OW相・OU相の線間電圧は、「-(計測用変圧器PT3の計測結果+計測用変圧器PT4の計測結果)」で表される。
【0083】
図8は、実施形態2に係る調整変圧器2の出力側の線間電圧の位相と矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWが遮断される位相との関係を示す説明図である。図の横軸は位相角(度)を表し、縦軸は線間電圧の正規化された振幅を表す。実線,破線,一点鎖線のそれぞれはOV相・OW相間,OW相・OU相間,OU相・OV相間の線間電圧を表す。
【0084】
例えば、位相角d2のタイミングで、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオフに駆動すると共に、切換先の切換スイッチをオンに駆動する場合を想定する。d2は、例えば0度と60度との間の位相角である。矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWは、d2よりも遅い位相角でオフに駆動してもよいが、限流抵抗器R_UV,R_VWの遮断が遅れて電力消費が無駄に増大する可能性がある。切換先の切換スイッチをオンに駆動する前に矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオフに駆動することは、直列変圧器1の一次巻線111,121,131が開放となる期間を生じさせる可能性があるため、避けなければならない。
【0085】
切換先の切換スイッチの両端には、接続線3u,3v,3wそれぞれから電圧が印加されているため、切換先の切換スイッチは、位相角d2にてオンに駆動されたことにより速やかに点弧して導通する。一方、矯絡用スイッチThS_UV及びThS_VWは、オフに駆動された後、自身に流れる電流がゼロクロス点を通過したときに遮断される。具体的には、位相角60度にてOU相・OV相間の線間電圧に比例する電流が流れる矯絡用スイッチThS_UVが遮断され、位相角180度にてOV相・OW相間の線間電圧に比例する電流が流れる矯絡用スイッチThS_VWが遮断される(図8にて横方向の破線で示す区間におけるドット参照)。例えばOW相・OU相間に限流抵抗器及び矯絡用スイッチの直列回路が接続されている場合は、位相角120度にて該矯絡用スイッチが遮断される。
【0086】
以上のことから、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオフに駆動すると共に、切換先の切換スイッチをオンに駆動してから、矯絡用スイッチThS_UV及びThS_VWが遮断されるまでの間に、120度から180度までの範囲内の位相差が生じる。例えば、位相角d2が限りなく60度に近い場合、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWがオフに駆動された直後にOU相・OV相間の線間電圧がゼロクロス点を通過するため、駆動が遅れた場合は、矯絡用スイッチThS_UVの遮断が位相角60度の時点よりも更に180度遅れる。
【0087】
このような不安定な動作を回避するには、OV相・OW相間,OW相・OU相間,OU相・OV相間の何れかの線間電圧のゼロクロス点にて、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオフに駆動すると共に、切換先の切換スイッチをオンに駆動すればよい。例えば、位相角d2を0度、60度又は120度とすればよい。これにより、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWがオフに駆動されてから実際に遮断されるまでの位相角の遅れが180度に固定される。
【0088】
本実施形態2では、何れかの線間電圧がゼロクロス点を通過したときに矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオフに駆動すると共に、切換先の切換スイッチをオンに駆動し、その後の所定時間内にOV相・OW相間,OW相・OU相間,OU相・OV相間の線間電圧の全てがゼロクロス点を通過したことを確認する。所定時間は、上記180度の位相差に相当する1/2周期より長い時間とする。この所定時間内にOV相・OW相間,OW相・OU相間,OU相・OV相間の線間電圧の何れかがゼロクロス点を通過しない場合、異常を検知して異常フラグをセットすると共に適切な異常処理を行う。なお、OV相・OW相間,OW相・OU相間,OU相・OV相間の線間電圧が比較的小さい場合、例えば、配電線1u,1v,1wの負荷側に流れる電流が比較的小さい場合は、上記所定時間内にOV相・OW相間,OW相・OU相間,OU相・OV相間の線間電圧の何れかがゼロクロス点を通過しないことがあり得るため、これを考慮する。
【0089】
以下では、上述した制御部31の動作を、それを示すフローチャートを用いて説明する。図9は、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWが正常に遮断されたか否かを判定する制御部31の処理手順を示すフローチャートである。図10は、線間電圧のゼロクロス点の通過を検知してフラグをセットする制御部31の処理手順を示すフローチャートである。図9の処理は、タップ切換が発生する毎に起動され、制御部31に含まれるROMに予め格納されている制御プログラムに従って、CPUにより実行される。図10の処理は、制御部31の初期化後に、交流電圧の周期より十分に短い周期で起動され、制御部31に含まれるFPGAにより実行される。CPUとFPGAとの処理分担は適当に変更してもよい。
【0090】
電圧ゼロクロスフラグは、CPU及びFPGAの両方からアクセス可能なメモリに記憶されており、例えば1バイト中にそれぞれ1ビットからなる3相分のフラグが含まれている。図9のステップS11からS22までの処理は、実施形態1の図6に示す同番号の処理と同一であるため、処理内容の図示とその説明を省略する。ステップS22の処理を終えた後、ステップS26に処理を移すのも実施形態1の場合と同様である。
【0091】
ステップS18にて全ての電流ゼロクロスフラグが1にセットされた場合(S18:YES)、又はステップS20にてフラグがセットされていない全ての相の線電流が電流閾値より大きくない場合(S20:NO)、CPUは、電圧ゼロクロスフラグを0に全クリアする(S23)。その後、CPUは、何れかの電圧ゼロクロスフラグが1にセットされたか否かを判定し(S24)、何れもセットされていない場合(S24:NO)、何れかがセットされるまで待機する。
【0092】
何れかの電圧ゼロクロスフラグが1にセットされた場合(S24:YES)、CPUは、切換先の切換スイッチをオンに駆動し(S25)、更に、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオフに駆動する(S26)。次いで、CPUは、電圧ゼロクロスフラグを0に全クリアし(S27)、所定時間(例えば17ms)の監視タイマをスタートさせる(S28)。
【0093】
その後、CPUは、全ての電圧ゼロクロスフラグが1にセットされたか否かを判定し(S29)、セットされていないフラグがある場合(S29:NO)、監視タイマがタイムアップしたか否かを判定する(S30)。監視タイマがタイムアップしていない場合(S30:NO)、CPUは、ステップS29に処理を移す。
【0094】
一方、監視タイマがタイムアップした場合(S30:YES)、CPUは、フラグがセットされていない相間(OV相・OW相間、OW相・OU相間又はOU相・OV相間)の線間電圧が電圧閾値より大きいか否かを判定する(S31)。各相間の線間電圧は、前述のとおり計測用変圧器PT3,PT4から取得した計測結果に基づいて検出又は算出される。フラグがセットされていない相間が複数あった場合は、フラグがセットされていない相間の何れかについて線間電圧が電圧閾値より大きいか否かを判定する。
【0095】
フラグがセットされていない何れかの相間の線間電圧が電圧閾値より大きい場合(S31:YES)、CPUは、異常フラグを1にセットする(S32:第2異常検知部に相当)。ステップS32の処理に加えて、切換先の切換スイッチをオフに駆動した後に、切換元の切換スイッチを元のオンの状態へ駆動するようにしてもよい。また、異常検知の原因となった切換スイッチ又は矯絡用スイッチを特定し、切換スイッチの異常の場合は、特定された切換スイッチを除く他の切換スイッチにて、後続するタップ切換を実行してもよい。
【0096】
ステップS32の処理を終えた場合、ステップ29にて全ての電圧ゼロクロスフラグが1にセットされた場合(S29:YES)又はステップS31にてフラグがセットされていない相間の線間電圧が電圧閾値より大きくない場合(S31:NO)、CPUは図9の処理を終了する。
【0097】
図10に移って、図10の処理が起動された場合、制御部31のFPGAは、計測用変圧器PT3,PT4から計測結果を取得することにより、OU相・OV相間の線間電圧VO_UVと、OV相・OW相間の線間電圧VO_VWとを検出する(S51)。次いで、FPGAは、前述のとおり「-(計測用変圧器PT3の計測結果+計測用変圧器PT4の計測結果)」により、OW相・OU相間の線間電圧VO_WUを算出する(S52)。
【0098】
その後、FPGAは、線間電圧VO_UVがゼロクロス点を通過したか否か、即ちゼロクロスしたか否かを判定し(S53)、ゼロクロスした場合(S53:YES)、OU相・OV相間の電圧ゼロクロスフラグを1にセットする(S54)。ステップS54の処理を終えた場合、又は線間電圧VO_UVがゼロクロスしていない場合(S53:NO)、FPGAは、線間電圧VO_VWがゼロクロスしたか否かを判定し(S55)、ゼロクロスした場合(S55:YES)、OV相・OW相間の電圧ゼロクロスフラグを1にセットする(S56)。
【0099】
ステップS56の処理を終えた場合、又は線間電圧VO_VWがゼロクロスしていない場合(S55:NO)、FPGAは、線間電圧VO_WUがゼロクロスしたか否かを判定し(S57)、ゼロクロスした場合(S57:YES)、OW相・OU相間の電圧ゼロクロスフラグを1にセットする(S58)。ステップS58の処理を終えた場合、又は線間電圧VO_WUがゼロクロスしていない場合(S57:NO)、FPGAは図10の処理を終了する。
【0100】
以上のように本実施形態2によれば、限流抵抗器R_UV及び矯絡用スイッチThS_UVの直列回路の両端電圧が計測用変圧器PT3で検出され、限流抵抗器R_VW及び矯絡用スイッチThS_VWの直列回路の両端電圧が計測用変圧器PT4で検出される。制御部31は、最初に検出された線間電圧のゼロクロス点にて、切換先の切換スイッチをオンに駆動すると共に、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオフに駆動する。従って、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWがオフに駆動されてから実際に遮断されるまでの時間が一定となり、動作を安定にすることができる。
【0101】
また、実施形態2によれば、制御部31は、最初に検出された線間電圧のゼロクロス点にて、切換先の切換スイッチをオンに駆動すると共に、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオフに駆動し、その後、3つの線間電圧の全てがゼロクロス点を通過するまで待機する。従って、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWがオフに駆動されて実際に遮断されたときに、タップ切換の完了を確認することができる。
【0102】
更に、実施形態2によれば、電圧の大きさが所定の電圧閾値より大きいにも関わらず所定時間以上ゼロクロス点を通過しない線間電圧があった場合に異常を検知する。異常を検知した場合は、例えばタップ切換を中断して切換元のタップに戻すことができる。
【0103】
(実施形態3)
実施形態1及び2は、調整変圧器2の二次巻線212,222,232について選択されたタップ同士がY結線される形態であるのに対し、実施形態3は、選択されたタップ同士がΔ結線される形態である。図11は、実施形態3に係る負荷時タップ切換器3bを含む電圧調整装置100bの構成例を示すブロック図である。
【0104】
電圧調整装置100bは、直列変圧器1と、調整変圧器2と、該調整変圧器2の二次巻線212,222,232及び直列変圧器1の一次巻線111,121,131の間に設けられたタップ切換器3bとを備える。タップ切換器3b及び調整変圧器2が、負荷時タップ切換変圧器200bを構成する。直列変圧器1の一次巻線111,121,131は、それぞれにおける端子u2,v2,w2が相互に接続されてY結線されている。端子u2,v2,w2は中性点として接地されている。
【0105】
調整変圧器2の二次巻線212は、タップt1~t4の何れか1つがタップ切換器3bと接続線3uとを介して直列変圧器1の一次側の端子u1に接続され、該1つと同一又は異なる他の1つがタップ切換器3bと接続線3vとを介して直列変圧器1の一次側の端子v1に接続される。二次巻線222は、タップt1~t4の何れか1つがタップ切換器3bと接続線3vとを介して端子v1に接続され、該1つと同一又は異なる他の1つがタップ切換器3bと接続線3wとを介して直列変圧器1の一次側の端子w1に接続される。二次巻線232は、タップt1~t4の何れか1つがタップ切換器3bと接続線3wとを介して端子w1に接続され、該1つと同一又は異なる他の1つがタップ切換器3bと接続線3uとを介して端子u1に接続される。即ち、調整変圧器2の二次巻線212,222は、タップ切換器3bを介してΔ結線される。
【0106】
タップ切換器3bは、調整変圧器2の二次巻線212のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_U,Th1_V,Th2_V,Th3_V,Th4_Vと、二次巻線222のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThA_V,ThB_V,ThC_V,ThD_V,Th1_W,Th2_W,Th3_W,Th4_Wと、二次巻線232のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThA_W,ThB_W,ThC_W,ThD_W,Th1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uとを有する。タップ切換器3bは、更に制御部31と、駆動部32とを有する。
【0107】
二次巻線212のタップt1は、切換スイッチThA_U及びTh1_Vの一端に接続され、タップt2は、切換スイッチThB_U及びTh2_Vの一端に接続され、タップt3は、切換スイッチThC_U及びTh3_Vの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_U及びTh4_Vの一端に接続されている。切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_Uの他端同士は、接続線3uに接続されている。切換スイッチTh1_V,Th2_V,Th3_V,Th4_Vの他端同士は、接続線3vに接続されている。二次巻線222のタップt1は、切換スイッチThA_V及びTh1_Wの一端に接続され、タップt2は、切換スイッチThB_V及びTh2_Wの一端に接続され、タップt3は、切換スイッチThC_V及びTh3_Wの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_V及びTh4_Wの一端に接続されている。切換スイッチThA_V,ThB_V,ThC_V,ThD_Vの他端同士は、接続線3vに接続されている。切換スイッチTh1_W,Th2_W,Th3_W,Th4_Wの他端同士は、接続線3wに接続されている。
【0108】
二次巻線232のタップt1は、切換スイッチThA_W及びTh1_Uの一端に接続され、タップt2は、切換スイッチThB_W及びTh2_Uの一端に接続され、タップt3は、切換スイッチThC_W及びTh3_Uの一端に接続され、タップt4は、切換スイッチThD_W及びTh4_Uの一端に接続されている。切換スイッチThA_W,ThB_W,ThC_W,ThD_Wの他端同士は、接続線3wに接続されている。切換スイッチTh1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uの他端同士は、接続線3uに接続されている。その他、実施形態1及び2に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
【0109】
本実施形態3にあっては、接続線3u,3v,3vにおけるOU相,OV相,OW相の線電流は、実施形態1の図5に示すものと同様である。また、二次巻線212,222,232のタップを切り換えるための切換スイッチに流れる電流は、互いに120度ずつ位相が異なっている点も実施形態1の場合と同様である。一方、実施形態1では、OU相,OV相,OW相それぞれの線電流が、二次巻線212,222,232のタップを切り換えるための切換スイッチに流れる電流と同位相であったのに対し、本実施形態2では、線電流と切換スイッチに流れる電流との位相関係が実施形態1の場合と異なっている。具体的には、Δ結線における線電流と相電流との位相関係より、OU相,OV相,OW相それぞれの線電流の位相が、二次巻線212,222,232のタップを切り換えるための切換スイッチに流れる電流の位相より30度だけ遅れている。
【0110】
換言すれば、例えば、OU相の線電流がゼロクロス点を通過する位相角よりも30度だけ位相が進んでいる位相角にて、二次巻線212のタップを切り換えるための切換スイッチに流れる電流がゼロクロス点を通過する。この位相角以降、位相が60度進む毎に、二次巻線232,222,212のタップを切り換えるための切換スイッチに流れる電流が順次ゼロクロス点を通過する。従って、OU相の線電流がゼロクロス点を通過した時点から、二次巻線232,222,212のタップを切り換えるための切換スイッチに流れる電流が全てゼロクロス点を通過するまでの位相角の遅れは、一定の150度(=30度+60度×2)となる。OV相及びOW相の線電流がゼロクロス点を通過する位相角を基準にしても結果は同様である。
【0111】
以上のことから、OU相,OV相,OW相の何れかの線電流のゼロクロス点にて、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオンに駆動すると共に、切換元の切換スイッチをオフに駆動してから、切換元の切換スイッチの全てが遮断されるまでの位相角の遅れは、150度に固定される。なお、任意の位相角にて矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオンに駆動すると共に、切換元の切換スイッチをオフに駆動した場合、切換元の切換スイッチの全てが遮断されるまでの位相角の遅れが、実施形態1の場合と同様に120度から180度の範囲内となるのは明らかである。従って、切換元の切換スイッチが正常に遮断されたか否かを判定する制御部31の処理手順を示すフローチャートは、実施形態1の図6及び図7に示すものと同様でよい。
【0112】
切換元の切換スイッチの全てが遮断された後は、OU相,OV相,OW相の線電流が流れない状態であるため、実施形態2の場合と同様に、変流器CT_U,CT_Wを用いた計測はできない。また、OU相・OV相の線間及びOV相・OW相の線間には、それぞれ直列変圧器1の一次巻線111,121,131を流れる電流同士を合成した電流により、限流抵抗器R_UV,R_VWに電圧降下が生じるのも実施形態2の場合と同様である。即ち、接続線3u,3v,3vにおけるOV相・OW相間,OW相・OU相間,OU相・OV相間の線間電圧は、実施形態2の図8に示すものと同様である。
【0113】
以上のことから、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWをオフに駆動すると共に、切換先の切換スイッチをオンに駆動してから、矯絡用スイッチThS_UV及びThS_VWが遮断されるまでの間に、120度から180度までの範囲内の位相差が生じるのは、実施形態2の場合と同様である。また、OV相・OW相間,OW相・OU相間,OU相・OV相間の何れかの線間電圧のゼロクロス点にて、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWがオフに駆動されてから実際に遮断されるまでの位相角の遅れが180度に固定されるのも実施形態2の場合と同様である。従って、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWが正常に遮断されたか否かを判定する制御部31の処理手順を示すフローチャートは、実施形態2の図9及び図10に示すものと同様でよい。
【0114】
以上のように本実施形態3によれば、調整変圧器2の二次巻線212,222,232それぞれが有するタップt1,t2,t3,t4を制御部31が8つの切換スイッチThY_U(Y=A,B,C,D)とThZ_V(Z=1,2,3,4),ThY_VとThZ_W,ThY_WとThZ_Uで切り換えて選択し、選択されたタップ同士がΔ結線されて3相(OU相,OV相,OW相)の交流電圧が出力される。タップを切り換える場合の制御部31の動作は、実施形態1及び2の場合と同様である。従って、本実施形態3によれば、実施形態1及び2の場合と同様の作用及び効果を奏する。
【0115】
(実施形態4)
実施形態3は、調整変圧器2がΔ-Δ結線される形態であるのに対し、実施形態4は、調整変圧器2cがV-V結線される形態である。図12は、実施形態4に係る負荷時タップ切換器3cを含む電圧調整装置100cの構成例を示すブロック図である。
【0116】
電圧調整装置100cは、直列変圧器1と、配電線1u,1v,1wに一次巻線211,221がV結線される調整変圧器2cとを備える。電圧調整装置100cは、更に、調整変圧器2cの二次巻線212,222及び直列変圧器1の一次巻線111,121,131の間に設けられたタップ切換器3cを備える。タップ切換器3c及び調整変圧器2cが、負荷時タップ切換変圧器200cを構成する。
【0117】
調整変圧器2cは、実施形態3に係る調整変圧器2から一次巻線231と、タップt1~t4を含む二次巻線232とを省いたものである。即ち、調整変圧器2cは、一次巻線211が配電線1u,1v間に、一次巻線221が配電線1v,1w間にそれぞれ接続されている。二次巻線212,222のそれぞれは、タップt1~t4の何れか1つがタップ切換器3cと接続線3u,3vとを介して直列変圧器1の一次側の端子u1,v1に接続され、該1つと同一又は異なる他の1つがタップ切換器3cと接続線3v,3wとを介して直列変圧器1の一次側の端子v1,w1に接続される。即ち、調整変圧器2cの二次巻線212,222は、タップ切換器3cを介してV結線される。
【0118】
タップ切換器3cは、実施形態3に係る調整変圧器2から8つの切換スイッチThA_W,ThB_W,ThC_W,ThD_W,Th1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_Uを省いたものである。即ち、タップ切換器3cは、調整変圧器2cの二次巻線212のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_U,Th1_V,Th2_V,Th3_V,Th4_Vと、二次巻線222のタップt1~t4を切り換えるための8つの切換スイッチThA_V,ThB_V,ThC_V,ThD_V,Th1_W,Th2_W,Th3_W,Th4_Wとを有するほか、制御部31と、駆動部32とを有する。その他、実施形態3に対応する箇所には同様の符号を付してその説明を省略する。
【0119】
本実施形態4にあっては、接続線3u,3v,3vにおけるOU相,OV相,OW相の線電流は、実施形態1の図5に示すものと同様である。また、OU相,OW相それぞれの線電流が、二次巻線212,222のタップを切り換えるための切換スイッチに流れる電流と同位相である点も実施形態1の場合と同様である。従って、切換元の切換スイッチが正常に遮断されたか否かを判定する制御部31の処理手順を示すフローチャートは、実施形態1の図6及び図7に示すものと同様でよい。
【0120】
切換元の切換スイッチの全てが遮断された後は、OU相,OV相,OW相の線電流が流れない状態であるため、実施形態2の場合と同様に、変流器CT_U,CT_Wを用いた計測はできない。また、OU相・OV相の線間及びOV相・OW相の線間には、それぞれ直列変圧器1の一次巻線111,121,131を流れる電流同士を合成した電流により、限流抵抗器R_UV,R_VWに電圧降下が生じるのも実施形態2の場合と同様である。即ち、接続線3u,3v,3vにおけるOV相・OW相間,OW相・OU相間,OU相・OV相間の線間電圧は、実施形態2の図8に示すものと同様である。従って、矯絡用スイッチThS_UV,ThS_VWが正常に遮断されたか否かを判定する制御部31の処理手順を示すフローチャートは、実施形態2の図9及び図10に示すものと同様でよい。
【0121】
以上のように本実施形態4によれば、調整変圧器2の二次巻線212,222それぞれが有するタップt1,t2,t3,t4を制御部31が8つの切換スイッチThY_U(Y=A,B,C,D)とThZ_V(Z=1,2,3,4),ThY_VとThZ_Wで切り換えて選択し、選択されたタップ同士がV結線されて3相(OU相,OV相,OW相)の交流電圧が出力される。タップを切り換える場合の制御部31の動作は、実施形態1及び2の場合と同様である。従って、本実施形態4によれば、実施形態1及び2の場合と同様の作用及び効果を奏する。
【0122】
なお、本願によれば、このような特徴的な構成を備えるタップ切換器3,3b、3cを実現することができるだけでなく、タップ切換器3,3b,3cそれぞれを含む負荷時タップ切換変圧器200,200b,200c、電圧調整装置100,100b,100c及びサイリスタ式電圧調整装置(TVR=Thyristor type Step Voltage Regulator )を実現することもできる。
【0123】
以上の実施形態1から4によれば、調整変圧器の二次巻線のタップ数が異なったり、調整変圧器の結線(Δ-Y結線、Δ-Δ結線又はV-V結線)が異なったりした場合であっても、タップ切換器が有する切換スイッチの短絡を防止するための基本的なハードウェア及びソフトウェアを共通化することができる。具体的には、タップ切換器の出力側の3相(OU相,OV相,OW相)に対して少なくとも2つの変流器CT_U,CT_W及び計測用変圧器PT3,PT4の接続先を同一にすることができ、制御部31の処理手順の内容を場合に応じて追加・削減する必要もない。
【0124】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、各実施形態で記載されている技術的特徴は、お互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0125】
1u,1v,1w 配電線、 100,100b,100c 電圧調整装置、 1 直列変圧器、 111,121,131 一次巻線、 112,122,132 二次巻線、 u1,u2,v1,v2,w1,w2 端子、 200,200b,200c 負荷時タップ切換変圧器、 2,2c 調整変圧器、 211,221,231 一次巻線、 212,222,232 二次巻線、 t1,t2,t3,t4 タップ、 3,3b,3c タップ切換器、 31 制御部、 32 駆動部、 Th1_U,Th2_U,Th3_U,Th4_U,ThA_U,ThB_U,ThC_U,ThD_U 切換スイッチ、 3u,3v,3w 接続線、 ThS_UV,ThS_VW 矯絡用スイッチ、 R_UV,R_VW 限流抵抗器、 MC_UV,MC_VW 電磁接触器、 PT1,PT2,PT3,PT4,PT5 計測用変圧器、 CT_U,CT_W 変流器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12