(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
E04H6/18 610
E04H6/18 601C
(21)【出願番号】P 2020054021
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】板垣 一彦
(72)【発明者】
【氏名】森 貴博
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-101362(JP,A)
【文献】特開2003-097077(JP,A)
【文献】特開2019-019528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降室内に乗り込まれた駐車車両を他の階に形成された駐車スペースへ搬送するリフト装置と、前記駐車スペースの床側に配置された駐車スペース側トレーガイド装置と、前記リフト装置における昇降台の昇降移動のために前記駐車スペースの前記床側に形成されたリフト開口部内の大きさで、かつ、前記リフト装置の前記昇降台に搭載され
る昇降部側トレーガイド装置とを備え、トレーの受け渡し方向に対応して延びた前記昇降部側トレーガイド装置と前記駐車スペース側トレーガイド装置との間で前記トレーを移動させて受け渡
す機械式駐車装置において、
前記トレーの前記受け渡し方向に延びた前記昇降部側トレーガイド装置の先端部
の両方に、
前記駐車スペース側トレーガイド装置に対して上面がほぼ平坦に連絡
されて前記トレーの移動面とされ、水平方向に回動可能
に設けられる回動支持連結部材と、
前記昇降部側トレーガイド装置に設けられ、前記回動支持連結部材の一方と他方とに作動連結されて同期して回動させる回転駆動装置と、
を有し、
前記回動支持連結部材は、
収納状態では前記リフト開口部内に位置し、また前記トレーの前記受け渡し方向に延びた回転状態ではその先端部が前記リフト開口部を越えて前記受け渡し方向に延びた前記駐車スペース側トレーガイド装置と対向するように構成し、
前記トレーは、前記昇降部側トレーガイド装置上を、少なくとも前記トレーの長手方向に移動可能とされる、
機械式駐車装置。
【請求項2】
前記リフト開口部の近傍における前記駐車スペースの前記床
の側に受け装置を固定して設け、前記受け装置は、前記駐車スペースの前記床
の側に固定した複数の支持脚部と、前記各支持脚部に対してレベル出しをして固定された連結受け部材を有して構成し、前記受け渡し方向に延びた前記回動支持連結部材の自由端側を同じ前記受け渡し方向に存在する前記連結受け部材で支えるようにした
、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフト装置を使用して駐車車両を駐車スペースへと搬送する方式の機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の機械式駐車装置として、特開2004-76266号公報(特許文献1)および特開2004-92129号公報(特許文献2)などが知られている。
特許文献1には、自動車を載せるトレーを水平方向に循環するトレー循環路を形成された複数の格納階層間又はこれら格納階層と自動車の入出庫階との間に設置され、トレーを昇降する機械式駐車装置のリフトにおいて、リフトの昇降路が各格納階層間に、トレー循環路上にこの循環路を中断して又はトレー循環路外に貫通形成され、リフトは、昇降ガイドの案内によりリフトの昇降路上を昇降する昇降部材と、昇降部材上に設置され、昇降部材上の所定の高さでトレーを支持するトレー支持部材と、昇降部材上に離脱可能に配置されて、各格納階層のリフトの昇降路上でトレー循環路上の中断部を又はトレー循環路外とトレー循環路との間を着脱可能に連絡する連絡部材とを備えたことを特徴とする機械式駐車装置のリフトが記載されている。
また特許文献2には、自動車を載せるトレーを水平方向に循環するトレー循環路を形成された複数の格納階層間又はこれら格納階層と自動車の入出庫階との間に設置され、トレーを昇降する機械式駐車装置のリフトにおいて、リフトの昇降路が各格納階層間の、トレー循環路上にこの循環路を中断して又はトレー循環路外に貫通形成され、リフトは、昇降ガイドの案内によりリフトの昇降路上を昇降する昇降部材と、昇降部材上に各階層へ受け渡し可能に搭載され、各格納階層でトレー循環路上の中断部を又はトレー循環路外とトレー循環路との間を着脱可能に連絡し、トレーを循環する連絡部材とを備えたことを特徴とする機械式駐車装置のリフトが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-76266号公報
【文献】特開2004-92129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の機械式駐車装置は、一般的な機械式駐車装置が駐車スペースの床側に対してリフト装置の昇降部が昇降方向に移動する構成であるため、昇降部側のトレーガイド装置と駐車スペースの床側のトレーガイド装置が同じ方向に延びた部分であっても途中で分断されている。このため、特に駐車車両を搭載した状態のトレーを受け渡しする際、その荷重によって昇降部側のトレーガイド装置側が撓んでしまい、結果として移動時に段差が形成され、同段差での衝突による騒音や振動が発生してしまう。
【0005】
本発明の目的は、リフト装置と駐車スペースとの間で、トレーを移動させたとき、トレーの受け渡し方向に延びた昇降部側トレーガイド装置と駐車スペース側トレーガイド装置の対向部に形成されてしまう段差によって生じる騒音や振動の発生を簡単な構成で防止あるいは抑制することができる機械式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る機械式駐車装置は、乗降室内に乗り込まれた駐車車両を他の階に形成された駐車スペースへ搬送するリフト装置と、前記駐車スペースの床側に配置された駐車スペース側トレーガイド装置と、前記リフト装置における昇降台の昇降移動のために前記駐車スペースの前記床側に形成されたリフト開口部内の大きさで、かつ、前記リフト装置の前記昇降台に搭載されて構成された昇降部側トレーガイド装置とを備え、トレーの受け渡し方向に対応して延びた前記昇降部側トレーガイド装置と前記駐車スペース側トレーガイド装置との間で前記トレーを移動させて受け渡す構成の機械式駐車装置において、前記トレーの前記受け渡し方向に延びた前記昇降部側トレーガイド装置の先端部に、回動可能な回動支持連結部材を連結し、前記回動支持連結部材は、格納状態では前記リフト開口部内に位置し、また前記トレーの前記受け渡し方向に延びた回転状態ではその先端部が前記リフト開口部を越えて同じ前記受け渡し方向に延びた前記駐車スペース側トレーガイド装置と対向するように構成し、同じ前記受け渡し方向に延びた前記昇降部側トレーガイド装置と前記回動支持連結部材の上面側をほぼ平坦な前記トレーの移動面として形成したことを特徴とする。
【0007】
第1態様に係る機械式駐車装置によれば、トレーの受け渡し方向に延びた昇降部側トレーガイド装置の先端部に回動可能な回動支持連結部材を連結しているため、昇降部側トレーガイド装置と同様に回動支持連結部材をしっかりと保持させることができるので、リフト装置と駐車スペースとの間で、トレーまたは駐車車両を搭載した状態のトレーを移動させても、昇降部側トレーガイド装置と駐車スペース側トレーガイド装置間に殆ど段差を生じさせることはなく、またトレーの構成まで変更することなく簡単な構成で、同部での騒音や振動の発生を防止あるいは抑制することができる。
【0008】
第2態様に係る機械式駐車装置は、上述の構成に加えて、前記リフト開口部の近傍における前記駐車スペースの前記床に受け装置を固定して設け、前記受け装置は、前記駐車スペースの前記床側に固定した複数の支持脚部と、前記各支持脚部に対してレベル出しをして固定された連結受け部材を有して構成し、前記受け渡し方向に延びた前記回動支持連結部材の自由端側を同じ前記受け渡し方向に存在する前記連結受け部材で支えるようにしたことを特徴とする。
【0009】
第2態様に係る機械式駐車装置によれば、回動支持連結部材の自由端側を連結受け部材によって一層しっかりと保持させることができるので、リフト装置と駐車スペースとの間でトレーを移動させても回動支持連結部材の自由端側に殆ど段差が生じることなく保持できるので、同部での騒音や振動の発生を一層確実に防止あるいは抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明による機械式駐車装置によれば、トレーの受け渡し方向に延びた昇降部側トレーガイド装置の先端部に回動可能な回動支持連結部材を連結しているため、昇降部側トレーガイド装置と同様に回動支持連結部材をしっかりと保持させることができるので、リフト装置と駐車スペースとの間で、トレーまたは駐車車両を搭載した状態のトレーを移動させても、昇降部側トレーガイド装置と駐車スペース側トレーガイド装置間に殆ど段差が生じることはなく、トレーの構成まで変更することなく簡単な構成で、同部での騒音や振動の発生を防止あるいは抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施例による機械式駐車装置の要部を示す平面図である。
【
図2】
図1に示した回動支持連結部材の近傍を受け渡し方向B側から見た拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施例による機械式駐車装置の要部を示す平面図である。
【0014】
機械式駐車装置において、駐車車両を乗り込ませる乗降室と、この乗降室が形成された階とは異なる階に形成された駐車スペースと、乗降室と駐車スペースとの間で駐車車両を移動するリフト装置を備えた構成が知られている。
図1は、この種の構成における機械式駐車装置のリフト装置近傍を示す平面図であり、リフト装置に搭載されている昇降部側トレーガイド装置1と、駐車スペースの床2側に構成された駐車スペース側トレーガイド装置3が対応した状態を示している。
【0015】
このとき、駐車スペースの床2側に形成されたリフト開口部4に昇降部側トレーガイド装置1が位置した状態で停止しており、昇降部側トレーガイド装置1と駐車スペース側トレーガイド装置3はほぼ同じ水平面上に位置している。このため、昇降部側トレーガイド装置1上に配置されているトレーまたは駐車車両が搭載された状態のトレーを昇降部側トレーガイド装置1によって案内しながら移動させて駐車スペース側トレーガイド装置3へと乗り換えさせたり、逆に、駐車スペースに配置されている特定のトレーまたは駐車車両が搭載された状態のトレーを駐車スペース側トレーガイド装置3によって案内しながら移動させて、昇降部側トレーガイド装置1へと乗り換えさせたりすることができる。
【0016】
本実施例では、トレーまたは駐車車両を搭載した状態のトレーを四方向のトレー受け渡し方向A~Dへと受け渡し可能な構成を示している。
【0017】
昇降部側トレーガイド装置1は、図示を省略した昇降台上に、長手方向に延びて所定間隔で配置された一対の昇降部側長手方向ガイドレール5A,5Bと、幅方向に延びて所定間隔で配置された一対の昇降部側幅方向ガイドレール6A,6Bが固定されており、各昇降部側ガイドレール5A~6Bは、駐車スペースの床2と接触することなく昇降方向に移動可能な各端部を有している。
【0018】
また昇降部側トレーガイド装置1は、図示を省略した昇降台上に、各昇降部側ガイドレール5A~6Bの各端部にそれぞれ設けられてその上端面を各昇降部側ガイドレール5A~6Bの上端面とほぼ同一水平面上で回動可能に連結した合計8個の回動支持連結部材7A~7Dと、各回動支持連結部材7A~7Dのうち同じ受け渡し方向A~Dとなる2個ずつの対で回動力を与える合計4個の回転駆動装置8A~8Dと、同じ受け渡し方向A~Dとなる各回動支持連結部材7A~7Dを共通の回転駆動装置8A~8D間を連結するリンク9A~9Dと、一対の昇降部側長手方向ガイドレール5A,5Bの両端部間にそれぞれ結合されて補強した補強部材10A,10Bを有している。
【0019】
より具体的に説明すると受け渡し方向Aでは、二個の回動支持連結部材7Aを一対として回動力を与える回転駆動装置8Aと、同じ受け渡し方向Aとなる両回動支持連結部材7Aと共通の回転駆動装置8A間をそれぞれリンク9Aによって連結している。また受け渡し方向Bでは、二個の回動支持連結部材7Bを一対として回動力を与える回転駆動装置8Bと、同じ受け渡し方向Bとなる両回動支持連結部材7Bと共通の回転駆動装置8B間をそれぞれリンク9Bによって連結している。他の受け渡し方向C,Dにおいても同様である。
【0020】
各回動支持連結部材7A~7Dは、それぞれの受け渡し方向A~Dと同じ軸方向に伸びた回転状態ではリフト開口部4を越えて駐車スペースの床2側に突出しており、回転状態からほぼ90度回動された収納状態ではリフト開口部4内に納められている。
【0021】
一対の昇降部側長手方向ガイドレール5A,5Bは、図示しないトレーの底面側やリフト装置側に設けられたトレー駆動装置によってトレーをその長手方向である受け渡し方向B,Dに移動させるときに使用される。また一対の昇降部側幅方向ガイドレール6A,6Bは、上述したトレー駆動装置によってトレーをその幅方向である受け渡し方向A,Cに移動させるときに使用される。
【0022】
ここでトレー駆動装置は周知の構成のものを使用できるので説明は省略するが、各昇降部側ガイドレール5A~6Bや後述する駐車スペース側ガイドレール14A~14Dの間隔などは、トレー側と協働するように対向幅が決定されている。
【0023】
またリフト開口部4の外周部となる駐車スペースの床2側には、回転状態の各回動支持連結部材7A~7Dの自由端側を受けて支える受け装置11が構成されている。受け装置11は、四隅で駐車スペースの床2に固定した支持脚部12A~12Dと、これらの各支持脚部12A~12Dに対してレベル出しをして所定の高さ位置に固定された連結受け部材13A~13Dを有して全体として四角形の枠状に構成されている。
【0024】
回転状態にされた各回動支持連結部材7A~7Dの自由端側は、受け装置11における各支持脚部12A~12Dに近い連結受け部材13A~13Dに搭載もしくは受ける状態で位置することになる。このため、リフト装置と駐車スペースとの間で、駐車車両を搭載した状態のトレーを移動させても、昇降部側トレーガイド装置1と駐車スペース側トレーガイド装置3間に殆ど撓みによる段差を生じさせることはなく、同部での衝突による騒音や振動や振動の発生を防止あるいは抑制することができる。
【0025】
さらに駐車スペース側トレーガイド装置3は、受け渡し方向A,Cで一対の昇降部側幅方向ガイドレール6A,6Bにおける両端の延長方向に延びて配置された駐車スペース側幅方向ガイドレール14A,14Cと、受け渡し方向B,Dで一対の昇降部側長手方向ガイドレール5A,5Bにおける両端の延長方向に延びて配置された駐車スペース側長手方向ガイドレール14B,14Dを有している。
【0026】
これらの駐車スペース側幅方向ガイドレール14A,14Cおよび駐車スペース側長手方向ガイドレール14B,14Dは、上述した受け装置11における各連結受け部材13A~13Dに搭載させて支持しても良いし、リフト装置側に比べて駐車スペース側の床2側には十分なスペース的な裕度があるため、別の支持装置によって支持させても良い。
【0027】
図2は、
図1に示した回動支持連結部材7Aを受け渡し方向A側から見た拡大側面図である。
【0028】
各回動支持連結部材7A~7Dは同一構成であるから、ここでは昇降部側長手方向ガイドレール5Aの端部に設けられた一個の回動支持連結部材7Aを代表して説明する。昇降部側長手方向ガイドレール5Aの端部には、回転軸15によって可回転的に回動支持連結部材7Aが連結されている。回動支持連結部材7Aの上面は、収納状態および回転状態においても、昇降部側長手方向ガイドレール5Aの上面とほぼ同じ水平面上に形成されていて変わらない。
【0029】
図示を省略したトレー駆動装置によって、駐車車両を搭載した状態のトレーを受け渡し方向Aに設けた一対の昇降部側幅方向ガイドレール6A,6Bに沿って移動させた後、駐車スペース側に構成された駐車スペース側幅方向ガイドレール14A側に移動させる場合、先ず、回転駆動装置8Aによって両回動支持連結部材7Aが回転軸15を中心にして回動される。すると、
図1に示したように両回動支持連結部材7Aは昇降部側幅方向ガイドレール6A,6Bと同じ軸方向に位置した回転状態となる。この回転状態の回動支持連結部材7Aによって、昇降部側幅方向ガイドレール6A,6Bと対を成す各駐車スペース側幅方向ガイドレール14A間には、ほぼ連続し、かつほぼ平坦な上面を有したトレーの移動面が形成される。
【0030】
また、上述したように両回動支持連結部材7Aの自由端側は、下部に位置した受け装置11における各支持脚部12A,12Dに近い連結受け部材13Dに搭載もしくは受けた状態で支えられた状態となる。
【0031】
しかも、昇降部側幅方向ガイドレール6A,6Bおよび駐車スペース側幅方向ガイドレール14Aは、元々トレーを案内するときに撓んだりすることがないように固定されたものである。従って、両回動支持連結部材7Aの昇降部側幅方向ガイドレール6A,6B側は、受け装置11によってしっかりと固定されており、トレー側の荷重によって撓んだりしない。
【0032】
さらに、例えば補強部材10A,10Bに回動支持連結部材7B,7Dを回動可能に連結した場合のように、トレー側の荷重によって補強部材10A,10Bが撓んで段差が生じてしまうこともない。
【0033】
このようにして、リフト装置と駐車スペースとの間で、駐車車両を搭載した状態のトレーを移動させても、昇降部側トレーガイド装置1と駐車スペース側トレーガイド装置3間に殆ど段差が生じさせることはない。またトレーの構成まで変更することなく簡単な構成で、新たに形成される可能性があった同段差での衝突による騒音や振動の発生を防止あるいは抑制することができる。
【0034】
尚、上述した説明では主に受け渡し方向Aについて説明したが、他の受け渡し方向B,C,Dの移動時にも同様の効果を得ることができる。
【0035】
また上述した実施例では、リフト装置と駐車スペースとの間で、駐車車両を搭載した状態のトレーを四方向の受け渡し方向A~Dに移動する構成とした機械式駐車装置について説明したが、トレーの受け渡し方向数は四方向に限定するものではなく、他の構成の機械式駐車装置にも本発明を適用することができる。
【0036】
以上説明したように本発明は、乗降室内に乗り込まれた駐車車両を他の階に形成された駐車スペースへ搬送するリフト装置と、駐車スペースの床2側に配置された駐車スペース側トレーガイド装置3と、リフト装置における昇降台の昇降移動のために駐車スペースの床2側に形成されたリフト開口部4内の大きさで、かつ、リフト装置の昇降台に搭載されて構成された昇降部側トレーガイド装置1とを備え、トレーの受け渡し方向Aに対応して延びた昇降部側トレーガイド装置1と駐車スペース側トレーガイド装置3との間でトレーを移動させて受け渡す構成の機械式駐車装置において、トレーの受け渡し方向Aに延びた昇降部側トレーガイド装置1の先端部に、回動可能な回動支持連結部材7Aを連結し、回動支持連結部材7Aは、格納状態ではリフト開口部4内に位置し、またトレーの受け渡し方向Aに延びた回転状態ではその先端部がリフト開口部4を越えて同じ受け渡し方向Aに延びた駐車スペース側トレーガイド装置3と対向するように構成し、同じ受け渡し方向Aに延びた昇降部側トレーガイド装置1と回動支持連結部材7Aの上面側をほぼ平坦なトレーの移動面として形成したことを特徴とする。
【0037】
このような構成によれば、トレーの受け渡し方向Aに延びた昇降部側トレーガイド装置1の先端部に回動可能な回動支持連結部材7Aを連結しているため、昇降部側トレーガイド装置1と同様に回動支持連結部材7Aをしっかりと保持させることができるので、リフト装置と駐車スペースとの間で、駐車車両を搭載した状態のトレーを移動させても、昇降部側トレーガイド装置1と駐車スペース側トレーガイド装置3間に殆ど段差が生じることはなく、トレーの構成まで変更することなく簡単な構成で、同部での騒音や振動の発生を防止あるいは抑制することができる。
【0038】
また本発明は、上述の構成に加えて、リフト開口部4の近傍における駐車スペースの床に受け装置11を固定して設け、受け装置11は、駐車スペースの床2側に固定した複数の支持脚部12A,12Dと、これらの各支持脚部12A,12Dに対してレベル出しをして固定された連結受け部材13Dを有して構成し、同じ受け渡し方向Aに延びた回動支持連結部材7Aの自由端側を同じ受け渡し方向Aに存在する連結受け部材13Dで支えるようにしたことを特徴とする。
【0039】
このような構成によれば、回動支持連結部材7Aの自由端側を連結受け部材13Dによって一層しっかりと保持させることができるので、リフト装置と駐車スペースとの間でトレーを移動させても回動支持連結部材7Aの自由端側に殆ど段差が生じることなく保持できるので、同部での騒音や振動の発生を一層確実に防止あるいは抑制することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 昇降部側トレーガイド装置
2 床
3 駐車スペース側トレーガイド装置
4 リフト開口部
7A 回動支持連結部材
11 受け装置
12A,12D 支持脚部
13D 連結受け部材
A 受け渡し方向