(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】共振改善のための多層アクチュエータ電極構成
(51)【国際特許分類】
H10N 30/87 20230101AFI20230816BHJP
G11B 21/21 20060101ALI20230816BHJP
G11B 5/60 20060101ALI20230816BHJP
H10N 30/20 20230101ALI20230816BHJP
H10N 30/50 20230101ALI20230816BHJP
【FI】
H10N30/87
G11B21/21 C
G11B5/60 P
H10N30/20
H10N30/50
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020116746
(22)【出願日】2020-07-07
【審査請求日】2022-07-25
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517151084
【氏名又は名称】マグネコンプ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】MAGNECOMPCORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ロン チャン
(72)【発明者】
【氏名】クエン チー イー
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド グラース
(72)【発明者】
【氏名】プリーチャー スダチュン
(72)【発明者】
【氏名】エカラッチ パンカエ
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-072979(JP,A)
【文献】特開2017-199449(JP,A)
【文献】特開2012-134336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 30/87
G11B 21/21
G11B 5/60
H10N 30/20
H10N 30/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電アクチュエータアセンブリであって、
頂面および底面を備える第1単一能動圧電層と、
頂面および前記第1単一能動圧電層の前記頂面上に配置された底面を備える第2単一能動圧電層と、
頂面および前記第2単一能動圧電層の前記頂面上に配置された底面を備える第3単一能動圧電層と、を備え、
前記第1単一能動圧電層および前記第2単一能動圧電層
は第1実効電極長
を有し、
前記第2単一能動圧電層および前記第3単一能動圧電層の第2実効電極長は、前記第1実効電極長よりも長いように構成されて
おり、
第1電極が、前記第1単一能動圧電層の前記底面の少なくとも一部に配置され、
前記圧電アクチュエータアセンブリの第1端部は、前記第1電極にてサスペンションアセンブリの第1接触パッドに対し接続されており、
前記圧電アクチュエータアセンブリの第2端部は、前記第1電極にて前記サスペンションアセンブリの第2接触パッドに対し接続されている、圧電アクチュエータアセンブリ。
【請求項2】
第2電極が、前記第1単一能動圧電層の少なくとも一部と前記第2単一能動圧電層との間に配置され、
前記第1電極と前記第2電極との共通の長さ部分によって、前記第1実効電極長が定められる、請求項1に記載の圧電アクチュエータアセンブリ。
【請求項3】
第3電極が、前記第2単一能動圧電層の少なくとも一部と前記第3単一能動圧電層との間に配置され、
第4電極が、前記第3単一能動圧電層の頂面の少なくとも一部に配置され、
前記第3電極と前記第4電極との共通の長さ部分によって、前記第2実効電極長が定められる、請求項1に記載の圧電アクチュエータアセンブリ。
【請求項4】
前記第2実効電極長は、前記第1実効電極長よりも0.02mm長い、請求項1に記載の圧電アクチュエータアセンブリ。
【請求項5】
前記第1実効電極長は0.59mmである、請求項1に記載の圧電アクチュエータアセンブリ。
【請求項6】
前記第2実効電極長は0.61mmである、請求項1に記載の圧電アクチュエータアセンブリ。
【請求項7】
サスペンションであって、
ロードビームに対し取り付けられているフレクシャと、
前記フレクシャに対し取り付けられている電気回路と、
前記電気回路に対し接続されている
圧電アクチュエータアセンブリであって、前
記圧電アクチュエータアセンブ
リは、
頂面および底面を備える第1単一能動圧電層と、
頂面および前記第1単一能動圧電層の前記頂面上に配置された底面を備える第2単一能動圧電層と、
頂面および前記第2単一能動圧電層の前記頂面上に配置された底面を備える第3単一能動圧電層と、を備え、
前記第1単一能動圧電層および前記第2単一能動圧電層
は第1実効電極長
を有し、
前記第2単一能動圧電層および前記第3単一能動圧電層の第2実効電極長は、前記第1実効電極長よりも長いように構成されて
おり、
第1電極が、前記第1単一能動圧電層の前記底面の少なくとも一部に配置され、
前記圧電アクチュエータアセンブリの第1端部は、前記第1電極にて第1接触パッドに対し接続されており、
前記圧電アクチュエータアセンブリの第2端部は、前記第1電極にて第2接触パッドに対し接続されている、
圧電アクチュエータアセンブリと、を備える、サスペンション。
【請求項8】
第2電極が、前記第1単一能動圧電層の少なくとも一部と前記第2単一能動圧電層との間に配置され、
前記第1電極と前記第2電極との共通の長さ部分によって、前記第1実効電極長が定められる、請求項7に記載のサスペンション。
【請求項9】
第3電極が、前記第2単一能動圧電層の少なくとも一部と前記第3単一能動圧電層との間に配置され、
第4電極が、前記第3単一能動圧電層の頂面の少なくとも一部に配置され、
前記第3電極と前記第4電極との共通の長さ部分によって、前記第2実効電極長が定められる、請求項7に記載のサスペンション。
【請求項10】
前記第2実効電極長は、前記第1実効電極長よりも0.02mm長い、請求項7に記載のサスペンション。
【請求項11】
前記第1実効電極長は0.59mmである、請求項7に記載のサスペンション。
【請求項12】
前記第2実効電極長は0.61mmである、請求項7に記載のサスペンション。
【請求項13】
前記第2実効電極長は、前記第1実効電極長よりも0.01mm~0.05mm長い、請求項1に記載の圧電アクチュエータアセンブリ。
【請求項14】
前記第2実効電極長は、前記第1実効電極長よりも0.01mm~0.05mm長い、請求項7に記載のサスペンション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、ディスクドライブ用のサスペンションデバイスの分野に関する。より詳細には、本開示は、サスペンションデバイス用の多層アクチュエータ構成の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なディスクドライブユニットは、磁気記憶媒体の1と0とのパターンを含む回転磁気ディスクを備える。この磁気記憶媒体の1と0とのパターンが、ディスクドライブに記憶されたデータを構成する。磁気ディスクは、駆動モータによって駆動される。ディスクドライブユニットはまた、磁気読取/書込ヘッドがロードビームの先端部に近接して取り付けられた、ディスクドライブサスペンションを備える。サスペンションまたはロードビームの「基」端部は、支持されている端部、すなわち、スエージ加工されているか他の方法によりアクチュエータアームに対し取り付けられているベースプレートに最も近い端部である。サスペンションまたはロードビームの「先」端部は、基端部の反対側にある端部であり、すなわち、「先」端部は片持ち支持された端部である。
【0003】
サスペンションはアクチュエータアームに対し結合されており、このアクチュエータアームがボイスコイルモータに対し結合されている。ボイスコイルモータは、ヘッドスライダがデータディスク上の正しいデータトラック上に位置するように、サスペンションを円弧状に動かす。ヘッドスライダはジンバルに搭載されているため、ディスク上の適切なデータトラックに追従するようにスライダがピッチおよびロールすることを可能とし、ディスクの振動、バンピングなどの慣性イベント、およびディスクの表面における不規則性などの変動について余裕を持つ。
【0004】
一段作動式ディスクドライブサスペンションと二段作動式(DSA)サスペンションとの両方が知られている。一段作動式サスペンションでは、ボイスコイルモータしかサスペンションを動かさない。
【0005】
DSAサスペンションでは、サスペンションにある小さいアクチュエータがヘッドスライダを動かして、ヘッドスライダを正しいデータトラック上に位置させる。アクチュエータは、ボイスコイルモータが行うよりも正確にヘッドスライダを位置決めし、ボイスコイルモータが提供するよりも高いサーボ帯域幅を提供する。アクチュエータは、特定のDSAサスペンション設計に応じて、サスペンションのさまざまな場所にあり得る。典型的には、左側および右側のアクチュエータは、プッシュプル方式により作用し、ロードビームまたはロードビームの先端部を回転させる。
【発明の概要】
【0006】
圧電アクチュエータアセンブリが記載される。圧電アクチュエータアセンブリは、第1、第2および第3能動圧電層を備える。第1層は、頂面および底面を備える。第2層は、頂面および第1層の頂面上に配置された底面を備える。第3層は、頂面および第2層の頂面上に配置された底面を備える。第1単一層および第2層によって、第1実効電極長が定められることが可能である。同様に、第2層および第3層によって、第1実効電極長よりも長いように構成されている第2実効電極長が定められることが可能である。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1電極が、第1単一能動圧電層の底面の少なくとも一部に配置される。第2電極が、第1単一能動圧電層の少なくとも一部と第2単一能動圧電層との間に配置される。第1電極と第2電極との共通の長さ部分によって、第1実効電極長が定められる。
【0008】
いくつかの実施形態では、第3電極が、第2層の少なくとも一部と第3層との間に配置される。第4電極が、第3層の頂面の少なくとも一部に配置される。第3電極と第4電極との共通の長さ部分によって、第2実効電極長が定められる。
【0009】
いくつかの実施形態では、第2実効電極長は、第1実効電極長よりも0.02mm長い。いくつかの実施形態では、第1実効電極長は0.59mmである。いくつかの実施形態では、第2実効電極長は0.61mmである。
【0010】
サスペンションが記載される。サスペンションは、ロードビームに対し取り付けられているフレクシャと、フレクシャに対し取り付けられている電気回路と、電気回路に対し接続されている多層圧電マイクロアクチュエータPZTとを備える。多層圧電マイクロアクチュエータPZTは、第1、第2および第3能動圧電層を備える。第1層は、頂面および底面を備える。第2層は、頂面および第1層の頂面上に配置された底面を備える。第3層は、頂面および第2層の頂面上に配置された底面を備える。第1単一層および第2層によって、第1実効電極長が定められることが可能である。同様に、第2および第3層によって、第1実効電極長よりも長いように(例えば、0.01mm~0.05mm長いように)構成された第2実効電極長が定められることが可能である。
【0011】
上記の概要は、本開示の各実施形態またはすべての態様を表すことを意図するものではない。むしろ、前述の概要は、本明細書において説明される新規の態様および特徴のうちのいくつかの一例を提供するに過ぎない。上記の特徴および利点、ならびに本開示の他の特徴および利点は、添付の図面および付属の請求項を併せたときに、本発明を実施するための代表的な実施形態およびモードに関する以下の詳細な説明から容易に明らかとなる。
【0012】
本開示の利点および特徴が得られる方法を記載するように、本開示の実施形態は、添付の図面に示される特定の実施例を参照して記載される。これらの図面は、本開示の実施形態の例示的な態様しか示しておらず、したがって、その範囲を限定するものとはみなされない。原理は、以下の図面を用いることによって、さらに具体的かつ詳細に記載および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】変形を受けるマイクロアクチュエータを示す図。
【
図2A】
図1のマイクロアクチュエータを有するサスペンションのねじり関連モードを示す図。
【
図2B】
図1のマイクロアクチュエータを有するサスペンションのロードビームねじりモードとジンバルフレクシャねじりモードとを示す。
【
図3】本開示の一実施形態に従うアクチュエータを備えるサスペンションを示す図。
【
図4】本開示の一実施形態に従う多層圧電マイクロアクチュエータ(PZT)の断面図。
【
図5】1ボルトの作動下における本開示の一実施形態に従う多層PZTの垂直プロファイルのグラフ表示。
【
図6】1ボルトの作動下における本開示の一実施形態に従う多層PZTの共振周波数(FRF)のグラフ表示。
【
図7】1ボルトの作動下における、既知の、多層PZTの共振周波数(FRF)のグラフ表示。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して記載され、同様の参照符号は、同様または同等の要素を示すように図面全体にわたって用いられる。図面は、縮尺通りに描かれておらず、例示的な説明として提供される。実施形態のいくつかの態様は、例示的な用途を参照して以下に記載されるが、これらは本開示の範囲を限定することを意図するものではない。実施形態の十分な理解を提供するように、多くの特定の詳細、関係、および方法が説明されることが理解される。
【0015】
本明細書に記載される実施形態は、現在のマイクロアクチュエータに伴う問題を克服する、多層マイクロアクチュエータを対象とする。例えば、左側および右側のマイクロアクチュエータは、プッシュプル方式により作用し、ロードビームまたはロードビームの先端部を回転させ、両方のマイクロアクチュエータが垂直方向に曲がる。
【0016】
図1は、マイクロアクチュエータ110および120の変形を示す。マイクロアクチュエータ110は押し出されて凸状に曲がり、一方、マイクロアクチュエータ120は引き戻されて凹状に曲がる。そうしたパドリング面外運動は、ロードビームねじりモードおよびジンバルフレクシャねじりモードなどのサスペンション全体のねじり関連モードを容易に励起させることが可能である。
【0017】
図2Aは、サスペンション2全体のねじり関連モードを示す。
図2Bは、サスペンション2全体のロードビームねじりモードとジンバルフレクシャねじりモードとを示す。これらのねじりモードの励起は、ヘッドスライダに側方方向の運動をさせ、読取/書込動作に対するオフトラックの問題を生じることがある。例えば、従来の多層PZTの共振周波数(FRF)は、補足の
図3に示されるように、+/-0.2mmのz-ht変化において、11kHzにて~3dBの高いT1FXモード(ジンバルフレクシャねじりモード)ピークを有する。そうした低周波数ピークは、T1FXモード周波数におけるノッチフィルタを配置するためのドライブサーボ設計を必要とし、次いで、その設計がドライブサーボ帯域幅に影響を与える。本開示は、この面外運動を低減するための多層アクチュエータの構成を提供し、現在の多層アクチュエータについてより良い性能特性を可能とする。
【0018】
しかしながら、当業者は、本発明が特定の詳細のうちの1つまたは複数を伴わずに、または他の方法を伴って実施されることが可能であることを容易に認識する。他の例では、周知の構造または動作は、実施形態を不明瞭にすることを避けるため、詳細に図示されない。本開示の実施形態は、いくつかの作用が異なる順序にておよび/または同時に他の作用またはイベントとともに生じてよいため、作用またはイベントの示される順序によって限定されるものではない。さらに、すべての示される作用またはイベントが、本発明に従う方法を実装するのに必要ではない。
【0019】
図3は、本開示の一実施形態に従うアクチュエータを備えるサスペンション10を示す。サスペンションの実施形態は、二段作動式(DSA)サスペンション、三段作動式サスペンション、およびサスペンションにおけるアクチュエータの他の構成が含まれるが、これらに限定されない。サスペンション10は、ロードビーム12に対し取り付けられているフレクシャ20を備える。さらに、フレクシャ20は、銅接触パッド24を備える電気回路22を備える。さらに、DSAサスペンション10は、ジンバルの近くに取付けられている2つの多層圧電マイクロアクチュエータ(PZT)14を備える。銅接触パッド24は、駆動電圧を多層PZT14に対し搬送するように構成されている。さらに、サスペンション10は、接地された銅接触パッド28を各多層PZT14について備える。
【0020】
ジンバルは、ディスク上の適切なデータトラックに追従するようにスライダがピッチおよびロールすることを可能とし、ディスクの振動、バンピングなどの慣性イベント、およびディスクの表面における不規則性などの変動についての余裕を持つ。多層PZT14は、フレキシブルコネクタを通じてジンバルに直接作用する。そうしたサスペンションは、ジンバルDSAサスペンション、または単にGSAサスペンションと呼ばれることがある。GSAサスペンションは、一種のDSAサスペンションである。多層PZT14の他の配置が、サスペンションを作動させるように用いられることが可能であり、そのサスペンションは、三段作動式サスペンションを含むがこれに限定されない。駆動電圧の下では、一方の多層PZT14が伸びることになり、他方は縮むことになるため、回転ディスク上にヘッドスライダ書込/読取ヘッドが位置するように、ジンバルがロードビームのディンプルの周りを回転する。
図3における多層PZT14は、断面A-A’により注釈が付され、以下において
図4を参照してより詳細に説明される。
【0021】
図4は、本開示の実施形態に従う多層マイクロアクチュエータ(PZT)14の断面図(A-A’)を示す。静電マイクロアクチュエータおよび他の種類のマイクロアクチュエータモータが提案されており用いられているが、しかしながら、多くの場合、圧電素子がマイクロアクチュエータモータとして用いられる。一般に用いられる圧電材料は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)であるが、他の圧電材料も用いられており知られている。以下の開示では、単純化のためマイクロアクチュエータである圧電デバイスが略記として単に“PZT”として参照されることがあり、圧電材料はチタン酸ジルコン酸鉛を必要としないことが認識される。したがって、本明細書において用いられるように、用語“PZT”は、任意の圧電材料または任意の圧電材料から形成される任意の圧電デバイスを参照し得る。
【0022】
多層PZT14は、
図3に示される構成以外の構成を有するサスペンションに配置されることが可能であることが理解される。多層PZT114は、第1PZT層131の底面の少なくとも一部に配置された第1電極131Aを備えることが可能である。第2電極132Aは、第1PZT層131の少なくとも一部と第2PZT層132との間に配置されることが可能である。第3電極133Aは、第2PZT層132の少なくとも一部と第3PZT層133との間に配置されることが可能である。最後に、第4電極134Aは、第3PZT層133の頂面の少なくとも一部に配置されることが可能である。第1電極131Aと第2電極132Aとの共通の長さ部分によって、実効電極長131Dが定められることが可能である。さらに、第3電極133Aと第4電極134Aとの共通の長さ部分によって、実効電極長133Dが定められることが可能である。
【0023】
第1PZT層131の実効電極長131Dは、0.59mmであることが可能である。いくつかの実施形態では、電極長は、任意の所望の長さを有するように構成されることが可能であることが理解される。第3PZT層133の実効電極長133Dは、いくつかの実施形態によれば、0mmと0.05mmとの間において増加することが可能である。この場合、第3PZT層133の実効電極長133Dは、0.02mm~0.61mm増加することが可能である。この場合、電極デッドゾーン133Cは、第3PZT層133の実効電極長133Dを増加させるように減少している。したがって、記載される実施形態は、作動電圧が印加されたときに多層PZT114の曲げを減少させることによって、z-ht変化におけるT1FXモードの利得を減少させるように構成される。
【0024】
図5は、1ボルトの作動下における本明細書に記載される実施形態に係る多層PZTの垂直プロファイルのグラフ表示である。
図5に示されるように、より短い電極デッドゾーン133Cは、ヒンジ端におけるPZTの曲げを約12.5%減少させる。例えば、T1FXモードにおける多層PZTの共振周波数(FRF)は、現在の多層マイクロアクチュエータと比較したとき、+/-0.20mmのz-ht変化において~2dB減少する。T1FX利得が低周波範囲にて改善すると、ドライブサーボ帯域幅にも利益がある。
【0025】
図6は、1ボルトの作動下における、本明細書に記載される実施形態に係る多層PZTのFRFを示す。
図7は、1ボルトの作動下における既知の多層PZTのFRFを示す。既知の多層PZTと比較すると、+/-0.20mmのz-ht変化におけるT1FXピークは、1dB未満にまで減少している。結果として、この低周波範囲に位置するためにノッチフィルタを必要とせず、高いサーボ帯域幅を達成することが可能である。
【0026】
本開示は、当業者が本開示を行うか用いることができるようにするように提供される。本開示に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであり、本明細書において定義される一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の変形形態に適用することが可能である。したがって、本開示は、本明細書において記載される実施例および設計に限定されることを意図するものではなく、本開示には、本明細書において開示される原理および新規の特徴と一致する最も広い範囲が与えられる。