(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】動作状態監視システム、訓練支援システム、動作状態監視方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
A61B5/11 230
A61B5/11 ZDM
(21)【出願番号】P 2020138185
(22)【出願日】2020-08-18
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513278127
【氏名又は名称】株式会社Moff
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠
(72)【発明者】
【氏名】宮川 透
(72)【発明者】
【氏名】中島 一誠
(72)【発明者】
【氏名】菅 敬介
(72)【発明者】
【氏名】今井田 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
(72)【発明者】
【氏名】大高 洋平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正樹
(72)【発明者】
【氏名】平野 明日香
(72)【発明者】
【氏名】吉田 太樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼萩 昭範
(72)【発明者】
【氏名】犬飼 法子
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-106768(JP,A)
【文献】特開2006-198073(JP,A)
【文献】特開2014-208257(JP,A)
【文献】特開2022-34450(JP,A)
【文献】特開2016-112108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の身体の対象部位の動作状態を監視する動作状態監視システムであって、
前記対象部位に取り付けられるセンサのセンシング情報を取得する取得部と、
ユーザによる、静止状態における前記センサの取り付け方向の入力を受け付ける取り付け方向入力部と、
前記センサに関して、前記取り付け方向の情報と、前記センシング情報に関連する情報と、を対応付けて表示部に表示させる制御処理部と
を備える動作状態監視システム。
【請求項2】
前記制御処理部は、前記表示部において、前記センサの取り付け位置を表すアイコン画像をクリックしたことに応じて前記取り付け方向の情報を表示させるように制御する
請求項1に記載の動作状態監視システム。
【請求項3】
前記センシング情報は、前記センサのクォータニオン情報を少なくとも含み、
前記制御処理部は、前記センシング情報を用いて、前記センサの各軸周りの回転角の情報を前記センシング情報に関連する情報として算出し、前記表示部に表示させ、
前記制御処理部は、少なくとも前記取り付け方向の情報に応じて、前記各軸周りの回転角の算出の順番を変更する
請求項1または2に記載の動作状態監視システム。
【請求項4】
前記センサの前記取り付け方向は、前記対象部位に応じて予め定められる方向に対する前記センサの取り付け方向である
請求項1
から3のいずれか一項に記載の動作状態監視システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の動作状態監視システムと、
前記センサを有する計測器と
を備える訓練支援システム。
【請求項6】
前記計測器は、前記センサの取り付け方向を変更する変更機構を有する
請求項5に記載の訓練支援システム。
【請求項7】
被験者の身体の対象部位の動作状態を監視する動作状態監視方法であって、
前記対象部位に取り付けられるセンサのセンシング情報を取得する取得段階と、
ユーザによる、静止状態における前記センサの取り付け方向の入力を受け付ける取り付け方向入力段階と、
前記センサに関して、前記取り付け方向の情報と、前記センシング情報に関連する情報と、を対応付けて表示部に表示させる制御処理段階と
を備える動作状態監視方法。
【請求項8】
被験者の身体の対象部位の動作状態を監視するための動作状態監視プログラムであって、
コンピュータに、
前記対象部位に取り付けられるセンサのセンシング情報を取得する取得処理と、
ユーザによる、静止状態における前記センサの取り付け方向の入力を受け付ける取り付け方向入力処理と、
前記センサに関して、前記取り付け方向の情報と、前記センシング情報に関連する情報と、を対応付けて表示部に表示させる制御処理と
を実行させる動作状態監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作状態監視システム、訓練支援システム、動作状態監視方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
リハビリテーション(リハビリ)訓練者または高齢者等の運動機能を測定する運動テストが知られている。例えば特許文献1には、被験者の身体の部位に取り付けられたセンサの計測データを用いて、運動テスト中の被験者の動作状態を検出する動作検出システムが開示されている。この動作検出システムでは、センサは帯状のバンドに接続され、被験者は、対象部位にバンドを装着することでセンサを対象部位に取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、センサを自由に取り付け、取り付けた方向毎に計測結果を区別して管理したいという要求がある。しかし上述の特許文献1に記載のシステムでは、バンドの軸方向に対するセンサの接続方向が固定されており、センサの取り付け方向を自由に設定することができない。したがって取り付け方向毎に計測結果を区別して管理することはできないという問題があった。
また、センサが衣服、接着面またはその他の接続具を介して被験者の身体の部位に取り付けられる場合も計測結果の管理の面で同様の問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、センサの取り付け方向に応じて計測結果を好適に管理できる動作状態監視システム、訓練支援システム、動作状態監視方法およびプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかる動作状態監視システムは、被験者の身体の対象部位の動作状態を監視する動作状態監視システムである。前記動作状態監視システムは、前記対象部位に取り付けられるセンサのセンシング情報を取得する取得部と、静止状態における前記センサの取り付け方向の入力を受け付ける取り付け方向入力部と、前記取り付け方向に対応付けて、前記センシング情報に関連する情報を出力する制御処理部とを備える。これにより、動作状態監視システムは、センサの取り付け方向に応じて計測結果を好適に管理できる。
【0007】
ここで前記センサの前記取り付け方向は、前記対象部位に応じて予め定められる方向に対する前記センサの取り付け方向であることが好ましい。
【0008】
また前記センサの前記取り付け方向は、前記対象部位に装着されるバンドの軸方向に対する前記センサの取り付け方向であることが好ましい。これによりセンサの取り付け方向を、バンドを基準に容易に特定することができる。
【0009】
また前記制御処理部は、前記センシング情報または前記センシング情報に関連する情報に対して前記取り付け方向に応じた演算処理を実行し、前記センサの前記取り付け方向に対応付けて、演算処理結果を出力することが好ましい。これにより、動作状態監視システムは、監視対象動作の途中で意図的にまたは意図せず取り付け方向が変わっても、その後の計測結果を変化後の取り付け方向に対応付けて管理できる。
【0010】
本発明の一態様にかかる訓練支援システムは、上記動作状態監視システムと、前記センサを有する計測器とを備える。これにより、訓練支援システムは、センサの取り付け方向に応じて計測結果を好適に管理できる。
【0011】
ここで前記計測器は、前記センサの取り付け方向を変更する変更機構を有することが好ましい。これにより、センサの取り付け方向を自由に設定することができ、利便性が向上する。またセンサによっては好適な方向に設定することで、センサのセンシング結果の精度が向上する。
【0012】
本発明の一態様にかかる動作状態監視方法は、被験者の身体の対象部位の動作状態を監視する動作状態監視方法である。前記動作状態監視方法は、前記対象部位に取り付けられるセンサのセンシング情報を取得する取得段階と、静止状態における前記センサの取り付け方向の入力を受け付ける取り付け方向入力段階と、前記取り付け方向に対応付けて、前記センシング情報に関連する情報を出力する制御処理段階とを備える。
【0013】
本発明の一態様にかかる動作状態監視プログラムは、被験者の身体の対象部位の動作状態を監視するための動作状態監視プログラムである。前記プログラムは、コンピュータに、前記対象部位に取り付けられるセンサのセンシング情報を取得する取得処理と、静止状態における前記センサの取り付け方向の入力を受け付ける取り付け方向入力処理と、前記取り付け方向に対応付けて、前記センシング情報に関連する情報を出力する制御処理とを実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、センサの取り付け方向に応じて計測結果を好適に管理できる動作状態監視システム、訓練支援システム、動作状態監視方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態1にかかる訓練支援システムの概略構成図である。
【
図2】実施形態1にかかる計測器のセンサの取り付けの一例を説明するための図である。
【
図3】実施形態1にかかる初期の基準方向を説明するための図である。
【
図4】実施形態1にかかる訓練支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】実施形態1にかかる動作状態監視装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態1にかかる表示部の、計測開始前の表示画面の一例を示す図である。
【
図7】実施形態1にかかる表示部の、計測終了時の表示画面の一例を示す図である。
【
図8】実施形態2にかかる演算処理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態にかかるコンピュータの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されている。
【0017】
<実施形態1>
まず
図1~7を用いて、本発明の実施形態1について説明する。
図1は、実施形態1にかかる訓練支援システム1の概略構成図である。訓練支援システム1は、リハビリ訓練者または高齢者等の被験者Pの運動機能を測定し、測定結果を解析、評価および管理することにより、訓練を支援するコンピュータシステムである。被験者Pは、センサを身体の部位に取り付けて、運動テストを行う。例えば運動テストは、指定された動作を被験者Pが行った場合の対象部位の動作状態を計測し、運動機能を測定する運動機能テストである。
【0018】
以下では、指定された動作を監視対象動作と呼ぶことがある。監視対象動作は、身体の部位に対応して定められ、一例として、肩屈伸、肩内外転、肩内外旋、頸部屈伸、頸部回旋、肘屈伸、股関節内外旋、前腕回内外または胸腰部側屈等が挙げられる。監視対象動作は、対象部位が左右のいずれか一方である場合には、左右で区別して定められてよい。また対象部位として、1つの監視対象動作に1または複数の部位が対応付けられてよく、異なる監視対象動作に同じ部位が対応付けられてよい。
【0019】
本図に示すように、訓練支援システム1は、計測器2と動作状態監視システム(以下、動作状態監視装置と呼ぶ)3とを備える。
【0020】
計測器2は、移動方向および移動量を計測する計測装置である。本実施形態1では、計測器2は、加速度センサおよび角速度センサを有し、自己の加速度および角速度を計測する。具体的には、計測器2は、3軸加速度センサおよび3軸角速度センサを含んでよい。この場合、計測器2は、XYZ軸の3軸方向の移動量および3軸周りの回転角を計測する。なお、計測軸は、3軸に限らず2軸以下であってもよい。また計測器2は、地磁気を検出して自己が向いている方角を計測する地磁気センサを有してもよい。
【0021】
計測器2は、動作状態監視装置3に通信可能に接続されている。本実施形態1では、計測器2および動作状態監視装置3の間の通信は、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)およびZigBee等の近距離無線通信である。しかしこれに限らず、通信は、無線LAN(Local Area Network)等のネットワークを介した無線通信であってもよい。また通信は、インターネット、LAN、WAN(Wide Area Network)またはこれらの組み合わせを含んで構成されるネットワークを介した有線通信であってもよい。
【0022】
計測器2は、センサ200と、センサ200の取り付け機構とを有する。そしてセンサ200は、取り付け機構を介して、被験者Pの身体の対象部位の取り付け位置20に取り付けられる。なお各種監視対象動作の計測に対応するために、複数のセンサ200の各々が、被験者Pの身体の部位の各々に紐づけられ、紐づけられた部位に取り付け可能になっている。本図では、取り付け可能な部位を取り付け位置20-1,2,…11で示しており、各々がセンサ200-1,2,…11に紐づけられている。例えば取り付け位置20-1,2,…11はそれぞれ、右上腕、右前腕、頭部、胸部(体幹)、腰部(骨盤)、左上腕、左前腕、右太腿、右下腿、左太腿、左下腿と呼ばれる。取り付け位置20とセンサ200との紐づけは、事前にセンサ200と動作状態監視装置3との間でペアリングがなされ、動作状態監視装置3のアプリケーション上で取り付け位置20の識別情報(ID)とセンサ200のIDとが対応付けられることで行われる。
【0023】
本実施形態1では、運動テストで使用する取り付け位置20は、ユーザが選択した監視対象動作に応じて、取り付け位置20-1~11から選択される。なお、このユーザは、動作状態監視装置3を使用するユーザであり、例えば被験者P自身または運動テストを実施するスタッフである。そして被験者Pまたはスタッフは、被験者Pの身体の、選択された取り付け位置20(本図では、20-1,2,6,7)に紐づけられたセンサ200(本図では、2-1,2,6,7)を取り付け、運動テストを開始させる。
なおセンサ200は、被験者Pの身体の取り付け位置20-1~11以外の位置に取り付け可能であってもよい。この場合、ユーザは、センサ200の向きと計測方向の特性を考慮して、センサ200を取り付ける必要がある。
【0024】
なお、各々が複数の取り付け位置20の各々に紐づけられた複数のセンサ200を用意するとしたが、用意される取り付け位置20の数は1であってもよく、また用意されるセンサ200の数は1であってもよい。
【0025】
センサ200は、運動テストが開始されたことに応じて、計測を開始し、センシング情報を動作状態監視装置3に送信する。センシング情報は、加速度情報、角速度情報またはクォータニオン情報を含んでよい。またセンシング情報は、これらの各計測軸方向(X,Y,Z軸方向)の成分を含んでよい。そしてセンサ200は、運動テストが終了したことに応じて、計測を停止する。
【0026】
動作状態監視装置3は、運動テスト中の被験者Pの身体の対象部位の動作状態を監視し、動作状態に関する情報を解析、評価および管理するコンピュータ装置である。具体的には、動作状態監視装置3は、パーソナルコンピュータ、ノート型コンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末またはその他データ入出力可能な通信端末装置であってよい。また動作状態監視装置3は、サーバ・コンピュータであってもよい。本実施形態1では、動作状態監視装置3を、タブレット端末として説明する。
【0027】
動作状態監視装置3は、運動テスト中および運動テスト前後にユーザによって使用される。動作状態監視装置3は、ユーザから監視対象動作の選択を受け付け、対象部位に応じた取り付け位置20をユーザに報知する。そして動作状態監視装置3は、運動テストが開始または終了したことに応じて、センサ200に計測開始または計測停止の要求を送信する。また動作状態監視装置3は、センサ200からセンシング情報を受信したことに応じて、計測結果としてセンシング関連情報を出力する。ここでセンシング関連情報は、センシング情報に関連する情報を示し、センシング情報自体を含んでよく、センシング情報に各種変換処理を施した情報であってもよい。また上述の動作状態に関する情報は、このセンシング関連情報に基づく情報であり、センシング関連情報自体を含んでもよい。
【0028】
なお、動作状態監視装置3は、ネットワークを介して外部サーバ(不図示)と通信可能に接続されていてよい。外部サーバは、コンピュータ装置であっても、インターネット上のクラウドサーバであってもよい。この場合、動作状態監視装置3は、自己が保持する被験者Pのセンシング関連情報または動作状態に関する情報を外部サーバに送信してよい。
【0029】
ここで
図2~3を用いて、実施形態1にかかる計測器2のセンサ200の取り付けについて説明する。
図2は、実施形態1にかかる計測器2のセンサ200の取り付けの一例を説明するための図である。
【0030】
図2に示すように計測器2は、センサ200と、取り付け機構(取り付け具)として取り付けパッド201および帯状のバンド202とを有する。センサ200は、取り付けパッド201を介して、対象部位に装着されたバンド202に接続される。これによりセンサ200は、対象部位の取り付け位置20に取り付けられる。なおセンサ200とバンド202との間の接続機構(接続具)は、取り付けパッド201に限らず、ホックまたはスナップ等の留め具あるいは面ファスナであってもよい。
【0031】
ここでセンサ200の取り付け方向について説明する。センサ200の取り付け方向は、基準方向Dに対するセンサ200の取り付け方向である。本実施形態1では、基準方向Dは、監視対象動作中に対象部位を動かしても取り付け方向が相対的に変化しない方向である。つまり、基準方向Dは、監視対象動作中にセンサ200の絶対的な方向に連動して変化する方向である。ここで「絶対的な方向」とは、重力方向または水平方向を基準とした方向であり、例えば、被験者Pに対する座標系(X
S,Y
S,Z
S)で定義される方向であってよい。X
S軸は、被験者Pに対して前後方向の水平軸であり、Y
S軸は、被験者Pに対して左右方向の水平軸であり、Z
S軸は、重力方向の鉛直軸である。
図2では、基準方向Dは、対象部位に装着されるバンド202の軸方向であると定義される。そして取り付け方向は、軸方向である基準方向Dに対するセンサ200の相対的な方向を示し、具体的には、基準方向Dとセンサの計測軸Aとがなす角度(取り付け角度と呼ぶ)θ
1に基づいて定められる。計測軸Aは、予め定められてよく、例えばセンサ座標系のX、YおよびZ軸のいずれかであってよい。例えば
図2に示すように、取り付け角度θ
1が0°である場合、計測軸Aが基準方向Dと平行になるようにセンサ200が取り付けられ、取り付け角度θ
1が90°である場合、計測軸Aが基準方向Dに直交するようにセンサ200が取り付けられる。なお、取り付け角度θ
1は、0°および90°に限らない。
【0032】
ここで本実施形態1では、基準方向Dは、対象部位に応じて定義されることができる。例えば対象部位にバンド202を装着する場合は、対象部位毎に一定の好ましい装着方向が存在する。例えば対象部位が腕である場合、バンド202は、装着しやすさや動きやすさの観点からその基準方向Dが腕の軸方向(つまり、腕の延在方向)に略平行になるように装着されることが好ましい。反対に、基準方向Dが腕の軸方向に略直交するように装着することは困難である。したがって基準方向Dとしてのバンド202の軸方向は、対象部位に応じて予め定義可能である。
【0033】
なお
図2では、バンド202を用いてセンサ200を対象部位に取り付けたが、バンド202は省略されてよい。このときセンサ200は、取り付けパッド201を介して衣服または地肌に取り付けられてよい。この場合も基準方向Dは、対象部位の軸方向等、対象部位に応じて予め定義される方向となる。
そして本実施形態1では、計測器2の取り付け機構は、センサ200の取り付け方向を変更する変更機構を含む。変更機構は、センサ200の取り付け方向の変更を可能とする機構であれば、どのような機構であってもよい。例えば、センサ200が、取り付けパッド201が繰り返し使用可能な接着面を有する場合には、自由に取り付け方向が変更される。また、センサ200がベルトや服との間の接続具を用いて対象部位に取り付けられる場合、センサ200が基準方向Dと略一致するように取り付けられた後、接続具と連動したつまみ等を用いて、その取り付け方向が変更されてよい。また複数の取り付け方向でセンサ200を挟持可能な形状を有する接続具を用いてセンサ200を取り付ける場合、その中から選択された1の取り付け方向でセンサ200が取り付けられてよい。
【0034】
なお本実施形態1では、基準方向Dは、初期、つまり静止状態において対象部位に応じて予め具体的に定められることができる。
図3は、実施形態1にかかる初期の基準方向Dを説明するための図である。本図に示すように、各部位に対応して、初期の基準方向Dの絶対的な方向が定められている。本図では、初期の基準方向Dの絶対的な方向は、Z
S軸との間でなす角度θ
0を用いて表現される。角度θ
0は、人間の平均的な骨格に基づいて定められてよい。本例では、上腕の初期の基準方向Dは、Z
S軸に対して外側を向いており、例えば右上腕の角度θ
0は、5°と定められてよい。また、前腕の初期の基準方向Dは、上腕よりもZ
S軸に対してさらに外側を向いており、例えば右前腕の角度θ
0は、10°と定められてよい。なお部位ごとの角度θ
0は、その被験者Pの年齢、性別、身長または体重等の属性情報に基づいて被験者Pごとに定められてもよい。このように初期の基準方向Dが対象部位に応じて変化する場合であっても、初期の基準方向Dが具体的に定められているため、少なくとも初期の取り付け方向を被験者Pに対して一義的な指標である絶対的な方向に変換可能となる。
【0035】
このように実施形態1にかかるセンサ200は、取り付け方向が変更可能に構成される。したがってユーザは、センサ200の取り付け方向を自由に設定することができるため、利便性が向上する。またセンサ200によっては好適な方向に設定することで、計測結果の精度が向上する。
【0036】
以下では、基準方向Dに対する取り付け方向を、単に「取り付け方向」と呼ぶ。
【0037】
図4は、実施形態1にかかる訓練支援システム1の構成の一例を示すブロック図である。上述の通り、訓練支援システム1は、計測器2および動作状態監視装置3を備え、計測器2はセンサ200を有する。本図では、センサ200は、用意されているセンサ200-1~11のうち、監視対象動作に基づいて選択された取り付け位置20に紐づけられているセンサ200である。センサ200は、予め動作状態監視装置3との間でペアリングがなされ、キャリブレーションが行われているものとする。なおセンサ200の数は、1に限らず、2以上であってもよい。
【0038】
動作状態監視装置3は、取り付け方向入力部30と、取得部31と、制御処理部32と、表示部33と、記憶部34とを備える。
【0039】
取り付け方向入力部30は、初期、つまり静止状態におけるセンサ200の取り付け方向の入力を受け付ける。具体的には、取り付け方向入力部30は、ユーザによる、初期のセンサ200の取り付け角度の入力を受け付ける。そして取り付け方向入力部30は、入力された取り付け方向の情報を制御処理部32に供給する。
【0040】
取得部31は、センサ200のセンシング情報を取得する。本実施形態1では、取得部31は、センサ200からセンシング情報を受信し、取得する。しかしこれに限らず、取得部31は、センシング情報を保持する外部コンピュータ(不図示)からセンシング情報を間接的に取得してもよい。取得部31は、取得したセンシング情報を制御処理部32に供給する。
【0041】
制御処理部32は、センサ200および動作状態監視装置3の各構成要素を制御する。また、制御処理部32は、センサ200の取り付け方向と、その取り付け方向でのセンシング関連情報とを対応付けるタグ付け処理を実行する。そして制御処理部32は、センサ200の取り付け方向に対応付けられたタグ付け処理後のセンシング関連情報を、出力部を介して出力する。また制御処理部32は、タグ付け処理後のセンシング関連情報を記憶部34に格納してよい。
【0042】
表示部33は、出力部の一例であり、制御処理部32から供給されたセンシング関連情報を表示するディスプレイである。本実施形態1では、表示部33は、取り付け方向入力部30とともに構成されるタッチパネルであってよい。なお出力部は、表示部33に代えてまたは加えて、センシング関連情報を音声で出力する音声出力部、所定のデータ形式で出力するデータ出力部、またはセンシング関連情報を外部サーバ等に送信する送信部を含んでもよい。
【0043】
記憶部34は、動作状態監視装置3の各種処理に必要な情報を記憶する記憶媒体である。記憶部34は、タグ付け処理後のセンシング関連情報を記憶してよいが、出力部が送信部を含む場合には、これは必須ではない。
【0044】
次に
図5を用いて、
図6~7を適宜参照しながら、実施形態1にかかる動作状態監視方法について説明する。
図5は、実施形態1にかかる動作状態監視装置3の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6は、実施形態1にかかる表示部33の、計測開始前の表示画面の一例を示す図である。
図7は、実施形態1にかかる表示部33の、計測終了時の表示画面の一例を示す図である。
【0045】
図5に示すステップは、監視対象動作がユーザによって選択され、監視対象動作に基づいて取り付け位置20が決定されたことから開始される。なお以下の例において、制御処理部32は、センシング情報をセンシング関連情報として扱うものとする。
【0046】
まず動作状態監視装置3の取り付け方向入力部30は、ユーザによるセンサ200の取り付け方向の入力を受け付ける(ステップS11)。ここでの取り付け方向は、センサ200が取り付けられ、かつ静止状態になった場合のセンサ200の取り付け方向を示す。そしてセンサ200が、監視対象動作に対応する取り付け位置20に取り付けられる。なお、ステップS11に示す処理は、センサ200の取り付け後に行われてもよい。次に制御処理部32は、被験者Pおよびセンサ200が静止状態となったことに応じて、センサ200の出力値を初期化する(ステップS12)。具体的には、制御処理部32は、計測直前の静止状態の場合のセンサ200の出力値を0に補正する。センサ200は、キャリブレーションを行った場合でも、ドリフト誤差等の出力誤差を0とすることができず、経過した時間に応じて誤差が拡大する。したがって本ステップにより、計測開始から終了までの出力誤差を最小化することができる。ただし出力誤差が軽微な場合には、本ステップは省略されてよい。そして制御処理部32は、センサ200による計測を開始するか否かを判定する(ステップS13)。制御処理部32は、センサ200による計測を開始する場合(ステップS13でYes)、処理をステップS14に進め、そうでない場合(ステップS13でNo)、ステップS13に示す処理を繰り返す。
【0047】
ここで
図6には、表示部33により表示される計測開始前の表示画像300(1)が示される。表示画像300(1)は、複数の表示領域302~306を含んでいる。
表示領域302には、センサ200の取り付け候補となる複数の取り付け位置20を表すアイコン画像が表示される。上記表示領域302では、選択された計測動作に対応する取り付け位置20(本図の「1」,「2」,「6」,「7」で示される位置)が強調表示されてよい。これによりユーザは取り付け位置20を容易に視認することができるため、運動テストを円滑に実施することができる。
【0048】
ここでユーザが表示領域302の取り付け位置20を表すアイコン画像をクリックすると、その取り付け位置20に紐づけられたセンサ200の取り付け方向をユーザが指定または変更できるように、入力用画像(不図示)が表示される。したがってユーザは、この入力用画像を介して各センサ200の取り付け方向を容易に入力できる。
【0049】
表示領域304には、各取り付け位置20-1,2,…11に紐づけられた各センサ200-1,2,…11の回転角が2次元的に表示される。ここで表示される回転角は、被験者Pの動作に連動したセンサ200の移動に応じて、動的に変化する。したがってユーザは、計測開始前に、表示領域304を介して電源がOFFになっているセンサ200または正常に動作していないセンサ200を特定することができる。
なおこれに代えて、表示領域304には、各取り付け位置20-1,2,…11に紐づけられた各センサ200-1,2,…11の取り付け方向が視覚的に表示されてもよい。この場合、表示領域304は、ユーザが取り付け方向を指定または変更できるように構成されてよい。したがってユーザは、表示領域304を介して各センサ200の取り付け方向を容易に入力し、入力結果を直感的に把握できる。
【0050】
表示領域305には、運動テストに複数のセンサ200を用いる場合、複数のセンサ200を一括でキャリブレーションさせる入力操作ボタンが表示されている。これによりユーザは、表示領域305を介して複数のセンサ200の各々に対してキャリブレーションを容易に要求できる。
【0051】
表示領域306には、運動テストを開始させる、すなわちセンサ200による計測を開始させる入力操作ボタンが表示されている。これによりユーザは、表示領域306を介してセンサ200による計測を開始するように容易に要求できる。
【0052】
そして
図5に示すステップS14において、制御処理部32は、取得部31を介して、センサ200からセンシング情報を取得する。そして制御処理部32は、センシング情報をセンシング関連情報として用い、センシング関連情報に、センサ200の取り付け方向の情報をタグとして付与することで、取り付け方向とセンシング関連情報とを対応付ける(ステップS15)。制御処理部32は、タグ付け処理後のセンシング関連情報を表示部33に供給し、表示させる(ステップS16)。そして制御処理部32は、センサ200による計測を終了するか否かを判定する(ステップS17)。制御処理部32は、計測を終了する場合(ステップS17でYes)、処理を終了し、そうでない場合(ステップS17でNo)、処理をステップS14に戻す。
【0053】
なお上述の例では、動作状態監視装置3は、センシング関連情報として、センシング情報を用いたが、これに代えてまたは加えて、各種変換処理が施されたセンシング情報を用いてもよい。この変換処理は、クォータニオン情報からXS,YSおよびZS軸周りの回転角への変換処理を含んでよい。XS軸周りの回転角は、ロール角を示し、YS軸周りの回転角は、ピッチ角を示し、ZS軸周りの回転角は、ヨー角を示す。制御処理部32は、クォータニオン情報を用いて、センサ座標系のX,YおよびZ軸周りの回転角を算出し、ヨー角、ロール角およびピッチ角に変換する。またこの変換処理は、グラフの正規化、規格化処理または合成処理を含んでよい。この場合、制御処理部32は、ステップS15に代えてまたは加えて、変換処理後のセンシング情報に、センサ200の取り付け方向の情報をタグとして付与し、取り付け方向と変換処理後のセンシング情報とを対応付けてよい。
【0054】
図7には、表示部33により表示される計測終了時の表示画像300(2)が示される。表示画像300(2)は、複数の表示領域302~312を含んでいる。表示画像300(2)の表示領域302および304は、
図6に示す表示画像300(1)の表示領域302および304と同様である。
【0055】
使用した各センサ200の取り付け方向は、表示領域302の取り付け位置20を表すアイコン画像近傍に表示されていてもよく、ユーザがアイコン画像をクリックしたことに応じて表示されてもよい。これによりユーザは、使用したセンサ200の取り付け方向を直感的に把握できる。
【0056】
表示領域308には、運動テストを終了させる、すなわちセンサ200による計測を停止させる入力操作ボタンが表示されている。これによりユーザは、表示領域308を介してセンサ200による計測を停止するように容易に要求できる。
【0057】
表示領域310には、使用した各センサ200のセンシング関連情報が表示されている。本図では、使用したセンサ200-1,2,6,7のうち、一部のセンサ200-1,6の出力に基づくXS,YSおよびZS軸方向の回転角が時系列で表示されている。したがって、表示領域310は、表示領域304と合わせて、使用したセンサ200の取り付け方向に対応付けられたセンシング関連情報を表示により出力することで、取り付け条件とその計測結果とを対応付けてユーザに把握させることができる。これによりユーザは、取り付け条件毎に計測結果を区別して分析、評価または利用することができる。
【0058】
表示領域312は、実施した監視対象動作ごとの対象部位の動作状態指標が表示されている。動作状態指標は、監視対象動作を実施した場合の、対象部位の動作状態を示す指標である。制御処理部32は、センサ200のセンシング関連情報に基づいて、対象部位の動作状態指標を算出する。例えば、監視対象動作が「右肘屈伸」であった場合、取り付け位置20-1,2のセンサ200-1,2のセンシング関連情報が使用される。この場合、制御処理部32は、センサ200-1,2のセンシング関連情報の差分に基づいて、動作状態指標を算出してよい。具体的には、制御処理部32は、センサ200-1,2のクォータニオン情報の差分に基づいて、動作状態指標として3次元回転角を算出する。この場合、Z軸→Y軸→X軸周りの順番で回転角を算出し、XS,YSおよびZS軸周りの回転角に変換する。なお回転角の算出順番は、監視対象動作に応じて予め定められていてよい。本図では、表示領域312には、実施した監視対象動作のうち、一部の監視対象動作における時系列の動作状態指標が表示されている。
【0059】
このように実施形態1によれば、動作状態監視装置3は、センサ200の取り付け方向と計測結果とを対応付けて出力する。したがって動作状態監視装置3は、センサ200の取り付け方向に応じて計測結果を好適に管理でき、利便性が向上する。
また動作状態監視装置3は、センサ200の初期の取り付け方向の入力を受け付けるため、被験者Pまたはスタッフの好みに合わせて取り付け時の取り付け方向を好適に設定し、計測結果との対応付けをすることが可能となる。
【0060】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2について説明する。実施形態2は、計測結果に対して取り付け方向に応じた演算処理が行われることに特徴を有する。実施形態2にかかる訓練支援システム1は、実施形態1にかかる訓練支援システム1と同様の構成および機能を有するため、説明を省略する。
【0061】
訓練支援システム1の動作状態監視装置3の制御処理部32は、センシング情報またはセンシング関連情報に対して取り付け方向に応じた演算処理を実行する。ここでの演算処理は、例えば、同じ監視対象動作で対象部位を同じように動かした場合でも取り付け方向によってセンシング関連情報が変化するとき、取り付け方向による影響を相殺・抑制する演算処理であってよい。特に、制御処理部32がクォータニオン情報を用いて、X軸、Y軸およびZ軸周りの回転角を算出し、XS軸、YS軸およびZS軸周りの回転角に変換する場合、4次元ベクトルデータを3次元データに変換する必要がある。この計算過程で、各軸周りの回転角を算出する順番により、得られる回転角が異なってしまい、結果を正しく比較することができなくなるという問題がある。このような影響を抑制するためには、回転角の算出順番を、予め定めておくことが好ましい。ここで回転角の好ましい算出順番は、センサ200の取り付け方向に依存するため、センサ200の取り付け方向に応じた算出順番を定めておくことが有効である。
【0062】
そこで実施形態2では、制御処理部32は、取り付け方向に応じた演算処理態様を定めた演算処理テーブル320を用いて演算処理を実行する。そして制御処理部32は、初期のセンサ200の取り付け方向に対応付けて、演算処理結果を出力部に出力させる。
【0063】
図8は、実施形態2にかかる演算処理テーブル320のデータ構造の一例を示す図である。本図に示すように、演算処理テーブル320は、取り付け角度θ
1と、回転角の算出順番とを関連付けるテーブルである。演算処理テーブル320は、例えば取り付け角度θ
1が0°である場合、X軸→Z軸→Y軸の順番で各軸周りの回転角が算出されるように規定する。また演算処理テーブル320は、取り付け角度θ
1が90°である場合、Y軸→Z軸→X軸の順番で各軸周りの回転角が算出されるように規定する。制御処理部32は、演算処理テーブル320を参照することで、取り付け方向に応じた好ましい演算処理を容易に実行することができる。
【0064】
なお演算処理テーブル320は、センサ200の取り付け方向に応じて回転角の算出順番を定めたものであったが、これに代えて、取り付け方向と、対象部位または監視対象動作とに応じて回転角の算出順番を定めてもよい。
また演算処理テーブル320は、回転角の算出順番に代えてまたは加えて、演算処理に用いられる演算パラメータを含んでもよい。この場合、演算パラメータは、取り付け角度θ1に応じて定められる定数であってもよく、取り付け方向θ1を変数とする予め定められた関数を含んでもよい。
【0065】
このように実施形態2によれば、制御処理部32は、センサ200の取り付け方向の如何に関わらず、複数の計測結果を比較および利用することが容易となる。なお実施形態2においても、実施形態1と同様の効果を奏する。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば他の実施形態として以下が挙げられる。
<他の実施形態1>
実施形態1では、基準方向Dは監視対象動作中にセンサ200の絶対的な方向に連動して変化する方向であり、センサ200の取り付け方向は監視対象動作中に対象部位を動かしても基準方向Dとの関係で相対的に変化しない方向であるとした。しかしこれに代えて、基準方向Dは監視対象動作中に変化しない方向であり、したがってセンサ200の取り付け方向は監視対象動作に伴って変化し得る絶対的な方向であってよい。ここでの絶対的な方向は、基準方向Dが監視対象動作の実施有無に関わらず、被験者Pに対する座標系(XS,YS,ZS)で定義される方向であると定められている場合の相対的な方向と同義である。
【0067】
なお取り付け方向として、基準方向DをZ
S軸とした絶対的な方向を採用する場合、
図3において、初期の基準方向Dは、部位に関わらずZ
S軸と略平行である、すなわち角度θ
0が一律で0°(±誤差)と定められてよい。
【0068】
このような実施形態であっても、制御処理部32は、動作状態監視装置3の制御処理部32は、基準方向Dに対するセンサ200の初期の取り付け方向に対応付けてセンシング関連情報を出力させる。したがって、実施形態1と同様の効果を奏する。
【0069】
<他の実施形態2>
実施形態1では、動作状態監視装置3の制御処理部32は、基準方向Dに対する相対的なセンサ200の取り付け方向に対応付けてセンシング関連情報を出力させた。しかし、制御処理部32は、ユーザから入力される相対的な取り付け方向から絶対的な方向に変換し、取り付け方向に代えてまたは加えて、絶対的な方向に対応付けてセンシング関連情報を出力させてもよい。
【0070】
例えば、制御処理部32は、入力されたセンサ200の初期の取り付け方向θ
1に
図3に示す初期の基準方向DとZ
S軸との間の角度θ
0を加算することで、初期における計測軸AとZ
S軸との間の取り付け角度θ
1’を算出することができる。そして制御処理部32は、初期における取り付け角度θ
1’を、初期におけるセンサ200の絶対的な方向を示す情報としてセンシング関連情報に対応付けて出力する。このようにすることで、ユーザは、より詳細な計測条件を考慮して計測結果を分析することができ、分析精度が向上する。
【0071】
<他の実施形態3>
実施形態2では、動作状態監視装置3の制御処理部32は、センシング情報またはセンシング関連情報に対して取り付け方向に応じた演算処理を実行するとした。しかしこれに代えてまたは加えて、制御処理部32は、センシング情報またはセンシング関連情報に対して上述したセンサ200の絶対的な方向に応じた演算処理を実行してもよい。この場合、演算処理テーブル320は、他の実施形態2で説明した取り付け角度θ1’と、取り付け角度θ1’に応じて定められる演算処理の演算パラメータとを関連付けてよい。これにより、制御処理部32は、センサ200の向きの如何に関わらず、計測結果を比較および利用することが容易となる。
【0072】
上述の実施形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、動作状態監視方法にかかる各処理を、プロセッサにコンピュータプログラム、例えば動作状態監視プログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0073】
上述の実施形態ではコンピュータは、パーソナルコンピュータやワードプロセッサ等を含むコンピュータシステムで構成される。しかしこれに限らず、コンピュータは、LANのサーバ、コンピュータ(パソコン)通信のホスト、インターネット上に接続されたコンピュータシステム等によって構成されることも可能である。また、ネットワーク上の各機器に機能分散させ、ネットワーク全体でコンピュータを構成することも可能である。
【0074】
図9は、上述の実施形態にかかるコンピュータ1900の概略構成図である。コンピュータ1900は、プロセッサ1010、ROM1020、RAM1030、入力装置1050、表示装置1100、記憶装置1200、通信制御装置1400、および入出力I/F1500を備え、これらがデータバス等のバスラインを介して接続される。
【0075】
プロセッサ1010は、ROM1020や記憶装置1200等の各種記憶部に記憶されたプログラムに従って、各種制御および演算を実現する。プロセッサ1010は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等が用いられてよい。
ROM1020は、プロセッサ1010が各種制御および演算を行うための各種プログラムやデータが予め格納されたリードオンリーメモリである。
【0076】
RAM1030は、プロセッサ1010にワーキングメモリとして使用されるランダムアクセスメモリである。このRAM1030には、上述の実施形態による各種処理を行うための各種エリアが確保可能になっている。
【0077】
入力装置1050は、キーボード、マウスおよびタッチパネル等のユーザからの入力を受け付ける入力装置である。
【0078】
表示装置1100は、プロセッサ1010の制御に従って、各種画面を表示するディスプレイである。表示装置1100は、液晶パネル、有機EL(Electroluminescence)および無機EL等が用いられてよい。表示装置1100は、入力装置1050を兼ねたタッチパネルであってよい。
【0079】
記憶装置1200は、データ格納部1210およびプログラム格納部1220を有する記憶媒体である。プログラム格納部1220は、上述の実施形態における各種処理を実現するためのプログラムを記憶する。データ格納部1210には、上述の実施形態にかかる各種データベースの各種データを記憶する。
記憶装置1200の記憶媒体は、非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)であってよい。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、記憶装置1200に使用される記憶媒体は、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)であってよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、各種プログラムをコンピュータに供給できる。
【0080】
そして、コンピュータ1900は、各種処理を実行する場合、記憶装置1200から該当プログラムをRAM1030に読み込み、実行する。ただしコンピュータ1900は、外部の記憶媒体からRAM1030に直接プログラムを読み込んで実行することも可能である。また、コンピュータによっては各種プログラム等を予めROM1020に記憶させておき、これをプロセッサ1010が実行してもよい。さらに、コンピュータ1900は、各種プログラムやデータを、通信制御装置1400を介して他の記憶媒体からダウンロードし、実行してもよい。
【0081】
通信制御装置1400は、コンピュータ1900と他の外部コンピュータとの間をネットワーク接続するための制御装置である。通信制御装置1400は、これらの外部コンピュータからコンピュータ1900にアクセスすることを可能とする。
【0082】
入出力I/F1500は、パラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続するためのインターフェースである。
【0083】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置および方法における各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのではない限り、任意の順序で実現しうる。特許請求の範囲、明細書および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0084】
1 訓練支援システム
2 計測器
3 動作状態監視装置(動作状態監視システム)
20 取り付け位置
30 取り付け方向入力部
31 取得部
32 制御処理部
33 表示部
34 記憶部
200 センサ
201 取り付けパッド
202 バンド
300 表示画像
302,304,305,306,308,310,312 表示領域
320 演算処理テーブル
1010 プロセッサ
1020 ROM
1030 RAM
1050 入力装置
1100 表示装置
1200 記憶装置
1210 データ格納部
1220 プログラム格納部
1400 通信制御装置
1500 入出力I/F
1900 コンピュータ
P 被験者