(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】表示装置、表示システム、サーバ、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20230816BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
H04L12/28 500A
H04Q9/00 311H
H04Q9/00 311G
H04Q9/00 361
(21)【出願番号】P 2020138519
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2022-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000214984
【氏名又は名称】TVS REGZA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】諸星 利弘
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-068603(JP,A)
【文献】特開2005-072839(JP,A)
【文献】特開2014-164523(JP,A)
【文献】特表2017-504987(JP,A)
【文献】特開2002-007240(JP,A)
【文献】特表2010-539596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
H04L 67/00
H04L 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己の状態を示す通知データを発信可能なイベント発生機器とネットワークを介して接続される表示装置であって、
ユーザに通知する優先度および表示すべき表示期限を含む優先度情報が前記通知データに付加されてなるイベントデータを取得するイベントデータ取得部と、
前記イベントデータを記憶するデータベースと、
前記データベースに記憶されたイベントデータから、最も優先度が高い優先度情報が付加された前記通知データを選択する表示管理部と、
前記選択された通知データ含む表示情報を生成する表示情報生成部と、
を備え、
前記表示管理部は、前記表示期限を経過した前記通知データの表示を停止し、該表示を停止した前記通知データを含む前記イベントデータを前記データベースから削除し、
前記表示管理部は、前記通知データの選択、前記通知データの表示の停止、前記イベントデータの削除を、前記データベースの全てのイベントデータが削除されるまで繰り返すこと、
を特徴とする表示装置。
【請求項2】
自己の状態を示す通知データを発信可能なイベント発生機器と、イベントキューサーバと、表示装置とがネットワークを介して接続される表示システムであって、
(1)前記イベントキューサーバは、
前記通知データを取得する通知データ取得部と、
前記取得した通知データをその到着順を示すキュー番号とともに蓄積してイベントキューとして管理するイベントキューデータベースと、
前記イベントキューデータベースに蓄積された前記イベントキューに含まれる前記通知データそれぞれに対して、ユーザに通知する優先度、表示すべき表示期限およびイベントキューとして保存される有効期限を含む優先度情報を付加する優先度付与部と、
前記イベントキューデータベースに蓄積された前記イベントキューに含まれる前記有効期限を監視し、前記通知データの到達から有効期限を経過した前記キュー番号に対応する前記イベントキューを削除するイベントキュー管理部と、
前記イベントキューデータベースに管理された前記イベントキューをイベントデータとして前記表示装置に提供するイベントデータ提供部と
を備え、
(2)前記表示装置は、
前記イベントキューサーバから前記イベントデータを取得するイベントデータ取得部と、
前記イベントデータを記憶する
イベントデータデータベースと、
前記イベントデータデータベースに記憶されたイベントデータから、最も優先度が高い優先度情報が付加された前記通知データを選択する表示管理部と、
前記選択された通知データ含む表示情報を生成する表示情報生成部と、
を備えたこと、
を特徴とする表示システム。
【請求項3】
前記表示管理部は、前記表示期限を経過した前記通知データの表示を停止し、該表示を停止した前記通知データを含む前記イベントデータを前記イベントデータデータベースから削除し、
前記表示管理部は、前記通知データの選択、前記通知データの表示の停止および前記イベントデータの削除を、前記イベント
データデータベースの全てのイベントデータが削除されるまで繰り返すこと
を特徴とする請求項2記載の表示システム。
【請求項4】
自己の状態を示す通知データを発信可能なイベント発生機器および表示装置とネットワークを介して接続されるサーバであって、
前記通知データを取得する通知データ取得部と、
前記取得した通知データをその到着順を示すキュー番号とともに蓄積してイベントキューとして管理するイベントキューデータベースと、
前記イベントキューデータベースに蓄積された前記イベントキューに含まれる前記通知データそれぞれに対して、ユーザに通知する優先度、表示すべき表示期限およびイベントキューとして保存される有効期限を含む優先度情報を付加する優先度付与部と、
前記イベントキューデータベースに蓄積された前記イベントキューに含まれる前記有効期限を監視し、前記通知データの到達から有効期限を経過した前記キュー番号に対応する前記イベントキューを削除するイベントキュー管理部と、
前記イベントキューデータベースに管理された前記イベントキューをイベントデータとして前記表示装置に提供するイベントデータ提供部と
を備えたサーバ。
【請求項5】
自己の状態を示す通知データを発信可能なイベント発生機器とネットワークを介して接続される表示装置としてコンピュータを機能させるコンピュータプログラムであって、
前記表示装置が、
ユーザに通知する優先度および表示すべき表示期限を含む優先度情報が前記通知データに付加されてなるイベントデータを取得するイベントデータ取得部と、
前記イベントデータを記憶するデータベースと、
前記データベースに記憶されたイベントデータから、最も優先度が高い優先度情報が付加された前記通知データを選択する表示管理部と、
前記選択された通知データ含む表示情報を生成する表示情報生成部と、
を備え、
前記表示管理部は、前記表示期限を経過した前記通知データの表示を停止し、該表示を停止した前記通知データを含む前記イベントデータを前記データベースから削除し、
前記表示管理部は、前記通知データの選択、前記通知データの表示の停止、前記イベントデータの削除を、前記データベースの全てのイベントデータが削除されるまで繰り返すこと、
を特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像を表示する表示装置、表示システム、表示装置にイベントデータを提供するサーバ、および表示装置としてコンピュータを機能させるコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
主として家庭内での家事等を効率良く実施するために、例えば冷蔵庫、洗濯機等の家電機器が普及している。また日常の娯楽に供するために、例えばテレビ装置、ビデオ機器等の家電機器が普及している。近年、これらの家電機器は、IoT(Internet of Thing)のコンセプトによりネットワークに接続され、当該家電機器毎の使用状況を遠隔地で確認したり、逆に遠隔地から家電機器を操作したりすることが可能になってきた。このような状況下において、家電機器毎の状態を当該家電機器から離れた遠隔地から確認する技術が望まれている。
【0003】
一方、コンピュータシステムなどにおいては、メールの着信やアクセスしたサイトからの通知などの情報の到着をユーザに伝える通知機能が実現されている。例えば、OSやアプリケーションは、メールの着信を検知するとユーザインタフェースを通じてユーザにメール着信を通知する。コンピュータシステムのOSは、当該OSのセキュリティ情報を提供可能となったとき、ユーザインタフェースを通じてユーザにセキュリティ情報について通知する。ブラウザアプリケーションは、サイトアクセス時にユーザが許可した場合、当該サイトから新着情報などの情報を受信してユーザインタフェースを通じてユーザに通知する。
【0004】
しかし、これらの通知機能は、OSやアプリケーションの機能として実現しているから、通知対象の数だけ実装が必要となる。すなわち、家庭内での利用を想定した多種多様な家電機器に実装するには技術的に煩雑であり実現が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来の表示装置、表示システム、サーバ、コンピュータプログラムでは、遠隔地の家電機器の状態等を確認するには技術的に煩雑であるという問題がある。本発明の実施形態は、かかる課題を解決するためになされたもので、簡易な実装で遠隔地の家電機器の状態確認を可能とする表示装置、表示システム、サーバ、コンピュータプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、実施形態に係る表示装置は、自己の状態を示す通知データを発信可能なイベント発生機器とネットワークを介して接続される表示装置であって、ユーザに通知する優先度を示す優先度情報が通知データに付加されてなるイベントデータを取得するイベントデータ取得部と、イベントデータを記憶するデータベースと、データベースに記憶されたイベントデータから、最も優先度が高い優先度情報が付加された通知データを選択する表示管理部と、選択された通知データ含む表示情報を生成する表示情報生成部と、を備える。
【0008】
また、実施形態に係る表示システムは、自己の状態を示す通知データを発信可能なイベント発生機器とネットワークを介して接続される表示システムであって、(1)通知データを取得する通知データ取得部と、取得した通知データを蓄積してイベントキューとして管理するイベントキューデータベースと、イベントキューに含まれる通知データそれぞれに対して、ユーザに通知する優先度を示す優先度情報を付加する優先度付与部と、イベントキューデータベースに管理された前記イベントキューをイベントデータとして提供するイベントデータ提供部とを備えたイベントキューサーバと、(2)イベントキューサーバからイベントデータを取得するイベントデータ取得部と、イベントデータを記憶するイベンドデータデータベースと、イベントデータデータベースに記憶されたイベントデータから、最も優先度が高い優先度情報が付加された通知データを選択する表示管理部と、選択された通知データ含む表示情報を生成する表示情報生成部と、を備えた表示装置と、を有する。
【0009】
実施形態に係るサーバは、自己の状態を示す通知データを発信可能なイベント発生機器とネットワークを介して接続されるサーバであって、通知データを取得する通知データ取得部と、取得した通知データを蓄積してイベントキューとして管理するイベントキューデータベースと、イベントキューに含まれる通知データそれぞれに対して、ユーザに通知する優先度を示す優先度情報を付加する優先度付与部と、イベントキューデータベースに管理されたイベントキューをイベントデータとして提供するイベントデータ提供部とを備える。
【0010】
実施形態に係るコンピュータプログラムは、自己の状態を示す通知データを発信可能なイベント発生機器とネットワークを介して接続される表示装置としてコンピュータを機能させるコンピュータプログラムであって、表示装置が、ユーザに通知する優先度を示す優先度情報が通知データに付加されてなるイベントデータを取得するイベントデータ取得部と、イベントデータを記憶するデータベースと、データベースに記憶されたイベントデータから、最も優先度が高い優先度情報が付加された通知データを選択する表示管理部と、選択された通知データ含む表示情報を生成する表示情報生成部と、を備えたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る家電機器ネットワークを示す構成図である。
【
図2】実施形態に係る家電機器ネットワークのブロック図である。
【
図3】実施形態に係る家電機器ネットワークに属する家電機器が発する通知データの内容の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る家電機器ネットワークに属するイベントキューサーバが生成するイベントキューの一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る家電機器ネットワークに属する表示装置が表示する画面表示の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る家電機器ネットワークに属するイベントキューサーバの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る家電機器ネットワークに属する表示装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(家電機器ネットワークの構成)
以下、図面を参照して、実施形態に係る家電機器ネットワークについて説明する。
図1に示すように、家電機器ネットワーク1は、イベント発生機器10、イベントキューサーバ20および通知表示装置30を有している。イベント発生機器10、イベントキューサーバ20および通知表示装置30は、ネットワーク5により互いに接続されている。イベント発生機器10、イベントキューサーバ20および通知表示装置30は、互いに地理的に離れた場所に配置されてもよい。
【0013】
イベント発生機器10は、ネットワークに接続可能な家電機器であり、自己の状態やユーザに通知すべき事項(イベント)を通知データとして発信する機能を持っている。イベント発生機器10としては、洗濯機11、エアコン12、冷蔵庫13、テレビ14、電子錠15などが例示される。
【0014】
イベントは、イベント発生機器毎に内容を共通化してもよいが、一般にはイベント発生器毎に独自の内容を有している。イベントの内容としては、例えば動作状態(電源のオンオフ状態等の動作情報)、作動状態(ドアの開閉状態、鍵の開閉状態、冷房や暖房などの動作モード等の作動情報)、エラー状態(機器停止、メンテナンス情報等のエラー情報)などが一例として挙げられる。すなわち、イベントは家電機器の種類によって内容や緊急度が異なっている。イベント発生機器10が発する通知データは、自己の識別情報、イベント内容、自己が属する機器のカテゴリなどを含んでいる。通知データは、イベント発生機器10がイベントキューサーバ20にプッシュ方式で伝送してもよいし、イベントキューサーバ20が一定時間間隔で読み出すポーリング方式で伝送してもよい。
【0015】
イベントキューサーバ20は、イベント発生機器10が発信した通知データを、イベントキューとして管理するサーバである。イベントキューは、イベント発生機器ごとに発生した通知データを、イベント発生順(あるいはイベントキューサーバへの到達順)にリスト化した情報である。イベントキューサーバ20は、イベント発生機器の通知データに対して、通知表示装置30に表示する優先順位等を付加して蓄積し、イベントキューとして通知表示装置30に提供する。
【0016】
通知表示装置30に通知イベントを表示すべきイベント発生機器は、イベントキューサーバ20が通知データを受信可能なイベント発生機器すべてでもよいし、あらかじめ登録されたイベント発生機器に限定してもよい。イベントキューサーバ20は、通知表示装置30と対応するイベント発生機器10とを紐づけて管理して、複数のユーザを対象にサービスを提供してもよい。
【0017】
イベントキューサーバ20は、管理しているイベントキューを定期的に更新し、有効期限切れとなっているイベントをキューより削除する等を行ったうえで、イベントデータとして通知表示装置30に提供する。イベントデータは、イベントキューサーバ20が通知表示装置30にプッシュ方式で伝送してもよいし、通知表示装置30が一定時間間隔で読み出すポーリング方式で伝送してもよい。
【0018】
通知表示装置30は、映像情報等をユーザに提供する機器である。通知表示装置30としては、テレビ装置などに放送信号等を中継するセットトップボックス(STB)31や、放送信号等を直接受信可能な表示装置32などが例示される。通知表示装置30は、ユーザに向けた放送信号を復調してユーザに映像情報を表示するとともに、イベント発生機器10が発した通知データをイベントデータとして取得し、映像情報に重畳してユーザに提供する機能を有する。
【0019】
図1に示す家電機器ネットワーク1では、イベント発生機器10が自己の状態を含む通知データを発信し、イベントキューサーバ20が通知データを蓄積して優先度情報等を付加したイベントキューを生成し、通知表示装置30がイベントキューサーバ20からイベントキューをイベントデータとして取得して映像情報と併せてユーザに提供する。すなわち、イベントキューサーバ20が優先度情報の付加された通知データをリスト化したイベントキューを生成しているが、これには限定されない。イベント発生機器10が発した通知データを通知表示装置30が直接取得してイベントキューを生成してもよい。また、イベントキューにおける優先度情報は、通知表示装置30が通知データに直接付加してもよいし、イベント発生機器10が自ら優先度情報等を付加した通知データを発信するように構成してもよい。
【0020】
この実施形態の家電機器ネットワーク、イベント発生機器、イベントキューサーバ、通知表示装置では、イベント発生機器の状態を示す通知データに優先度情報等を付加しているので、通知データを発するイベント発生機器が複数存在していても、優先度に応じた順序に従ってイベント発生機器の状態等をユーザに提供することができる。
【0021】
続いて、
図2を参照して、実施形態の家電機器ネットワーク1の構成を詳細に説明する。
図2に示す実施形態では、イベント発生機器10としてエアコン12と冷蔵庫13、通知表示装置30として表示装置32が示されている。エアコン12および冷蔵庫13は、ネットワーク5を介してイベントキューサーバ20および表示装置32と接続されている。
【0022】
(イベント発生機器10の構成)
図2に示すように、エアコン12は、状態検出部102、通知データ生成部112および通知データ送出部122を備えている。状態検出部102は、エアコン12の動作情報、作動情報、エラー情報等を検出するセンサである。エアコン12の場合、状態検出部102が検出する動作情報としては電源のオンオフ状態、作動情報としては設定温度情報やモード情報、エラー情報としては動作エラーの有無などが例示される。通知データ生成部112は、状態検出部102が検出した動作情報、作動情報、エラー情報等の少なくとも1以上に基づいて、動作状態、作動状態、エラー状態などを示す通知データを生成する。
【0023】
図3は、通知データ生成部112が生成する通知データの内容の一例である。
図3に示すように、エアコン12は、自己の識別情報d0と、メッセージd1と、エアコン12が属する家電機器カテゴリd2とを含んでいる。メッセージd1は、状態検出部102が検出した動作状態、作動状態、エラー状態等ユーザに提供される情報である。メッセージd1は、あらかじめ図示しない記憶部に定型文として記憶されてもよい。この場合、通知データ生成部112は、状態検出部102が検出した動作状態、作動状態、エラー状態等に基づいて、対応する定型メッセージを選択して通知データを作成する。また、メッセージd1は、あらかじめコード化されたメッセージでもよい。この場合、メッセージd1には当該コードのみが含まれることになる。家電機器カテゴリd2は、イベントキューサーバ20が通知データの優先順位を決定する参考情報として用いられる情報である。家電機器カテゴリd2は、例えばイベント発生機器10を分類して定義され、洗濯機11、エアコン12、冷蔵庫13、テレビ14、電子錠15などが例示される。すなわち、
図3に示す例では、家電機器カテゴリ「エアコン」に属する識別情報「13」の家電機器についてメッセージ「メンテナンスが完了しました。」とする内容の通知データを示している。
【0024】
冷蔵庫13もエアコン12と同様の構成を有している。すなわち、冷蔵庫13は、状態検出部103、通知データ生成部113および通知データ送出部123を備えている。状態検出部103、通知データ生成部113および通知データ送出部123は、それぞれ状態検出部102、通知データ生成部112および通知データ送出部122と共通する機能を有している。冷蔵庫13の場合、状態検出部103が検出する動作情報としては電源のオンオフ状態、作動情報としては庫内温度情報やメンテナンス情報、エラー情報としては動作エラーの有無などが例示される。
【0025】
(イベントキューサーバ20の構成)
図2に示すように、イベントキューサーバ20は、通知データ取得部200、イベントキュー管理部210、イベントキューデータベース(DB)220、イベントデータ提供部230、優先度情報データベース(DB)240および優先度付与部250を備えている。
【0026】
通知データ取得部200は、エアコン12や冷蔵庫13などのイベント発生機器から通知データを取得するインタフェースである。通知データ取得部200は、エアコン12や冷蔵庫13からプッシュ方式で送られる通知データを受け取ってもよいし、通知データ取得部200からエアコン12や冷蔵庫13に対してポーリング方式で読み出してもよい。
【0027】
イベントキュー管理部210は、通知データ取得部200が取得した通知データをイベントキューデータベース220に蓄積する。イベントキュー管理部210およびイベントキューデータベース220は、通知イベントをリスト化されたイベントキューとして管理する。
【0028】
イベントデータ提供部230は、イベントキューデータベース220にて管理されたエアコン12や冷蔵庫13などのイベントキューをイベントデータとして表示装置32に提供するインタフェースである。イベントデータ提供部230は、プッシュ方式でイベントキューデータベース220に保管されたイベントキューを表示装置32に提供してもよいし、表示装置32からの要求に応じてポーリング方式によりイベントキューを提供してもよい。
【0029】
優先度情報データベース240は、エアコン12や冷蔵庫13から送られる通知データそれぞれについて、表示装置32が表示する優先順位を規定する定義表や判定基準などを保存する。例えば、イベント発生機器10の中には発信するイベントデータが常に優先度が高い家電機器(例えば電子錠など)や、故障した場合に復旧に時間を要する家電機器カテゴリ(例えばエアコンなど)が存在する。優先度情報データベース240は、こうした通知データの優先順位を規定する定義ルールを格納する。例えば、外部に修理の依頼を要するイベントは優先度1、電子錠カテゴリに属するイベントは優先度2、のように定義される。優先度付与部250は、優先度情報データベース250に格納された定義ルールに基づいて、イベントキューデータベース220に蓄積されたイベントキューに対して、優先度等を示す優先度情報を付与する機能を有する。すなわち、イベントキューデータベース220に蓄積されるイベントキューは、通知データそれぞれに優先度情報が付された形で形成される。
【0030】
図4は、イベントキューデータベース220が蓄積するイベントキューの一例である。
図4に示すように、イベントキューは、キュー番号d3、優先度d4、表示期限d5、有効期限d6、識別情報d0、メッセージd1および家電機器カテゴリd2などの要素を含んでいる。
【0031】
キュー番号d3は、エアコン12や冷蔵庫13から通知イベントがイベントキューデータベース220に届いた順番に付される通知イベントの番号である。
図4では、上からキュー番号d3が101、102、103の順に通知データが到達したことになる。優先度d4は、通知データそれぞれに付された表示すべき優先度を示す情報である。
図4に示す例では、優先度が高い順に1,2,3・・のように数字で表している。表示期限d5は、対応する通知データに含まれるメッセージd1を表示すべき時間(例えば秒で表す)を示す情報である。有効期限d6は、通知データがイベントキューデータベース220に到着してからイベントキューとして保存されるべき時間(例えば秒で表す)を示す情報である。
図4に示す例では、キュー番号「101」として、識別情報「15」で家電機器カテゴリ「電子錠」のイベント発生機器からメッセージ「通常動作です。」を受け取ったこと、当該キュー番号「101」のイベントは、優先度「3」であり、表示期間は「5秒」、イベントキューに残すべき時間は到達から「300秒」であることが示されている。
【0032】
他のキュー番号に対応する通知データも同様である。
図4に示すイベントキューでは、イベントキューデータベース220に3番目に到達した識別情報「13」の家電機器カテゴリ「冷蔵庫」のイベントが優先度「1」となっている。これは、冷蔵庫13から通知データが、電子錠15から届いた通知データよりも遅くイベントキューデータベース220に届いていることを示す。一方、電子錠15の通知データの優先度は「3」であり冷蔵庫13からの通知データの優先度「1」よりも低い。すなわち、キュー番号「103」のイベントがキュー番号「101」等のイベントよりも優先度が高く、キュー番号「103」のイベントを他の通知データに優先してユーザに知らせるべきことを示している。
【0033】
(通知表示装置30の構成)
図2に示すように、表示装置32は、イベントデータ取得部300、状態検出部310、イベントデータデータベース320、表示管理部330、表示情報生成部340および表示部350を有している。
【0034】
イベントデータ取得部300は、イベントキューデータベース220からイベントデータを取得するインタフェースである。イベントデータ取得部300は、イベントキューデータベース220からプッシュ方式で送られるイベントデータを受信してもよいし、ポーリング方式で定期的にイベントキューデータベース220から最新のイベントデータを取得してもよい。受信したイベントデータはイベントデータデータベース320に保存される。
【0035】
状態検出部310は、自己の動作状態を検出するセンサである。表示装置32は、イベントキューデータベース220から受け取ったイベントデータに基づいて、表示装置32が情報を提供可能な状態にある場合にユーザにイベントデータを含む情報を提供する。例えば、状態検出部310は、表示装置32が電源オフ状態であるとか、メンテナンスモード状態である等を検出する。
【0036】
イベントデータデータベース320は、イベントデータ取得部300が取得したイベントデータを蓄積する。表示管理部330は、イベントデータデータベース320が蓄積したイベントデータについて、状態検出部310の検出結果に応じてユーザへの提供の有無を判定する演算ブロックである。
【0037】
表示情報生成部340は、表示装置32が表示する映像情報等に対して、イベントデータデータベース320に蓄積されたイベントデータを付加する。具体的には、表示情報生成部340は、映像情報において画面表示の特定の位置にメッセージをインポーズする等により、映像情報にイベントデータを付加する。
【0038】
表示部350は、表示装置32の視覚的インタフェースであり、例えば液晶表示装置に代表されるディスプレイである。表示部350は、映像情報や表示情報生成部340が付加したイベントデータ等に基づいて画像・映像表示を行う。
【0039】
図5は、表示部350がイベントデータを表示する様子の一例を示している。
図5に示すように、実施形態の表示部350は、ディスプレイ画面D0の所定の位置(
図5に示す例ではディスプレイ画面D0の右下端)に、イベントデータに含まれるメッセージd1を示すメッセージ表示D1、家電機器カテゴリd2を示すカテゴリ表示D2を表示している。
図5に示す例では、キュー番号d3が「103」のメッセージd1「冷蔵庫にエラーNO1が発生しています。」がメッセージ表示D1に表示され、対応する家電機器カテゴリd2の「冷蔵庫」がカテゴリ表示D2にアイコンとして表示されている。
【0040】
(イベントキューサーバの動作)
続いて、
図6を参照して、イベントキューサーバ20の動作を説明する。以下に説明する例では、イベント発生機器10としてエアコン12の通知データをユーザに提供するものとする。
【0041】
エアコン12の通知データ送出部122が、識別情報d0として「12」、メッセージd1として「メンテナンスが完了しました。」、家電機器カテゴリd2として「エアコン」を含む
図3に示すような通知データをイベントキューサーバ20に送ると、通知データ取得部200は、当該通知データを受信し、イベントキュー管理部210は、当該受信した通知データをイベントキューデータベース220に格納する(S400)。
【0042】
イベントキュー管理部210は、
図4に示すように、通知データ取得部200が取得したエアコン12からの通知データに新たなキュー番号として「104」を付与する(S402)。
【0043】
続いて、イベントキュー管理部210は、通知データ取得部200が取得したエアコン12からの通知データに優先度情報が含まれているか判定する(S404)。
【0044】
判定の結果通知データに優先度情報が含まれていない場合(S404のNo)、優先度付与部250は、通知データの優先度を判定する(S406)。優先度の判定の基準としては、優先度情報データベース240に格納された家電機器カテゴリd2と優先度とを対比したテーブルや、メッセージd1に含まれるキーワードと優先度とを対比したテーブルなどが例示される。
図3に示す例では、エアコン12からの通知データには優先度情報が含まれていないから、優先度付与部250は、優先度の判定を行う。
【0045】
優先度が判定されると、優先度付与部250は、イベントキューデータベース220に蓄積されたイベントキューに優先度情報を付加する(S408)。
図4に示す例では、キュー番号「104」の識別情報「12」のエアコンについて、優先度d4「2」を付加している。なお、優先度付与部250は、優先度d4に加えて、表示期限d5や有効期限d6を優先度情報としてイベントキューに付加してもよい。
図4に示す例では、優先度付与部250は、キュー番号「104」の識別情報「12」のエアコンについて、表示期限d5を「600秒」、有効期限d6を「3600秒」として付加している。表示期限や有効期限を決定する基準は、優先度情報データベース240に予め記憶しておくことができる。
【0046】
イベントキュー管理部210は、優先度情報が付加されたイベントキューを生成する(S410)。このとき、イベントキュー管理部210は、イベントキューに含まれる有効期限d6を監視しており、通知データ到達から有効期限d6を経過したキュー番号の通知データを削除する。
図4に示す例では、キュー番号d3が「101」のデータは、到達から3600秒経過した時点でイベントキューから削除されることになる。
【0047】
イベントキューが生成されると、イベントデータ提供部230は、イベントキューデータベース220に蓄積されたイベントキューをイベントデータとして表示装置32に提供する(S412)。
【0048】
イベントキュー管理部210による判定の結果、通知データに優先度情報が含まれている場合(S404のYes)、イベントキュー管理部210は、イベントキューを生成する(S410)。例えば、エアコン12が発する通知データに既に優先度情報が含まれている場合、優先度付与部250による優先度付加を省略し、既に含まれている優先度情報をそのままイベントキューに用いる。
【0049】
このように、この実施形態のイベントキューサーバ20、家電機器ネットワーク1は、イベント発生機器10から送られた通知データに優先度情報を付加するので、表示装置32が優先度情報を用いた表示制御を実現することができる。
【0050】
(通知表示装置の動作)
続いて、
図7を参照して、表示装置32の動作を説明する。以下に説明する例では、イベント発生機器10としてエアコン12の通知データが含まれた
図4に示すイベントデータがイベントキューサーバ20から提供されたものとする。
【0051】
イベントデータ取得部300は、イベントキューサーバ20から定期的にイベントデータを取得する(S500)。イベントデータの取得は、イベントキューサーバ20からプッシュ方式で送られるデータを受信して得てもよいし、イベントデータ取得部300が定期的にポーリング方式で取得して得てもよい。イベントデータ取得部300は、取得したイベントデータをイベントキューとしてイベントデータデータベース320に蓄積する。
【0052】
状態検出部310は、表示装置32の状態を検出して検出結果を表示管理部330に送る(S502)。表示管理部330は、表示装置32がユーザに情報提供可能であるかを判定する(S504)。
【0053】
判定の結果表示装置32が稼働中でない等、情報提供が不可能な場合(S504のNo)、イベントデータ取得部300は、次のイベントデータ受信を待機する(S500)。
【0054】
判定の結果表示装置32が稼働中である等、情報提供が可能な場合(S504のYes)、表示管理部330は、イベントデータデータベース320にイベントキューが保存されているか判定する(S506)。
【0055】
イベントデータデータベース320にイベントキューが存在する場合(S506のYes)、表示管理部330は、イベントデータデータベース320からイベントキューを読み出し、優先度情報のうち優先度が最も高いキュー番号のデータを読み出す(S508)。
図4に示す例では、キュー番号d3が「103」、識別情報d0が「13」、家電機器カテゴリd2が「冷蔵庫」に係る通知データの優先度d4が「1」であるので、表示管理部330は、キュー番号「103」のメッセージd1「冷蔵庫にエラーNO1が発生しています。」と家電機器カテゴリd2「エアコン」を提供すべき情報として選択する。
【0056】
表示情報生成部340は、映像情報等表示装置32が表示する情報に、表示管理部330が選択したメッセージd1および家電機器カテゴリd2の情報を付加して、表示部350が表示する表示情報を生成する(S510)。
図5に示す例では、表示情報生成部340は、ディスプレイ画面D0の所定位置にメッセージ「冷蔵庫にエラーNO1が発生しています。」と家電機器カテゴリd2「エアコン」に対応するアイコンデータが重畳された表示情報が生成されている。
【0057】
表示部350は、表示情報生成部340が生成した表示情報をディスプレイ画面D0に表示する(S512)。
【0058】
この実施形態の例では、表示装置32は、表示情報に含めることができるメッセージの数が制限され、キュー番号一つ分のメッセージしか表示することができない。従って、イベントキューに含まれる情報のうち優先度の最も高い情報(あるいは優先度が最も高く、かつキュー番号の値が最も小さい情報)のみが選択され、表示部350に表示される。表示管理部330は、イベントキューに含まれる表示期限d5を監視しており(S514)、表示部360によるメッセージd1の表示時間が表示期限d5に示される時間を経過するまでは(S514のNo)、表示部350は表示情報の表示を維持する(S512)。
【0059】
表示部350によるメッセージd1の表示時間が表示期限d5に示される時間を経過すると(S514のYes)、表示管理部330は、表示情報生成部330にメッセージd1および家電機器カテゴリd2の表示を停止させる(S516)。
【0060】
表示中のメッセージd1および家電機器カテゴリd2の表示が停止されると、表示管理部330は、表示を停止したキュー番号の情報を削除し、イベントキューにおける優先度の順序を変更する(S518)。
【0061】
表示管理部330は、イベントデータデータベース320にイベントキューが保存されているか判定し(S506)、すべてのキュー番号の情報が表示され削除されるまで処理を繰り返す(S508~S518)。
【0062】
イベントデータデータベース320にイベントキューが存在しない場合(S506のNo)、動作を終了する。
【0063】
このように、実施形態の通知表示装置30、家電ネットワーク1は、ユーザに提供すべき優先順位を示す優先度情報を付加されたイベントキューを用いてイベント発生機器10からの通知データをユーザに提供するので、複数のイベント発生機器から異なる優先度の通知データが発せられても、適切な順序でユーザに情報を提供することができる。
【0064】
上記説明した実施形態の表示装置32では、表示することができる表示情報に含めることができるメッセージの数が制限され、キュー番号一つ分のメッセージしか表示することができないものとして説明したが、これには限定されない。複数のメッセージを表示可能として複数のキュー番号に係るメッセージを表示可能としてもよい。この場合、表示管理部330は、優先度情報の優先度やキュー番号の値等に基づいて複数の通知データを選択する。
【0065】
上記説明した実施形態では、通知表示装置30がテレビなどに代表される表示装置32であるものとして説明したが、これには限定されない。通知表示装置30が、例えばセットトップボックス31であっても同様の構成で同様の効果を奏することができる。セットトップボックス31の場合、表示部350を省略し表示情報生成部340までの構成でよい。
【0066】
さらに、上記説明した実施形態ではハードウェア要素により実施形態を構成するものとして説明したが、これにも限定されない。コンピュータ装置を用いて実施形態を実現してもよい。この場合、上記説明した実施形態の機能を実現するコンピュータソフトウェアを用意し、コンピュータ装置にインストールし実行すればよい。
【0067】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1…家電機器ネットワーク、
5…ネットワーク、
10…イベント発生機器、
11…洗濯機、
12…エアコン、
13…冷蔵庫、
14…テレビ、
15…電子錠、
20…イベントキューサーバ
30…通知表示装置、
31…セットトップボックス、
32…表示装置、
102,103…状態検出部、
112,113…通知データ生成部、
122,123…通知データ送出部、
200…通知データ取得部、
210…イベントキュー管理部、
220…イベントキューデータベース、
230…イベントデータ提供部、
240…優先度情報データベース、
250…優先度付与部、
300…イベントデータ取得部、
310…状態検出部、
320…イベントデータデータベース
330…表示管理部、
340…表示情報生成部、
350…表示部。