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特許7332591可搬型流体試料採取装置、それを用いるためのシステム、及びその製造及び使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】可搬型流体試料採取装置、それを用いるためのシステム、及びその製造及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/02 20060101AFI20230816BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20230816BHJP
   G01N 33/497 20060101ALI20230816BHJP
   G01N 1/22 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
G01N1/02 W
G01N33/48 S
G01N33/497 A
G01N1/22 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020522944
(86)(22)【出願日】2018-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 US2018057219
(87)【国際公開番号】W WO2019084092
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-25
(31)【優先権主張番号】62/576,607
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/619,983
(32)【優先日】2018-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501014005
【氏名又は名称】シーエスピー テクノロジーズ,インコーポレイティド
【住所又は居所原語表記】960 West Veterans Boulevard, Auburn, Alabama 36832 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イーサン・ロス・パーデュー
(72)【発明者】
【氏名】アレクシア・ファウチ
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー・ピータース
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-510914(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0021122(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0133663(US,A1)
【文献】国際公開第2017/091134(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0262657(US,A1)
【文献】特表2002-513935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00-1/44
G01N 33/48
G01N 33/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型流体試料採取装置であって、
第2の部分に脱着自在に取り付け可能な第1の部分を含むハウジングであって、前記第1及び第2の部分は組み合わさってその内部にチャンバを形成するよう構成され、前記チャンバはその内部に生体試料を少なくとも一時的に収容又は保持するよう構成され、前記第1の部分及び前記第2の部分のうちの少なくとも一方は入口を含み、前記第1の部分及び前記第2の部分のうちの他方は出口を含む、ハウジングを備え、
更に、
a)前記第1の部分及び前記第2の部分のうちの一方は突出部を有する端部を含み、前記第1の部分及び前記第2の部分のうちの他方は溝を有する端部を含み、前記溝はその内部に前記突出部の少なくとも一部を受け入れるよう構成され、及び、
b)前記ハウジングの前記第1及び第2の部分のそれぞれの外側のヒートスタンプ記号であって、前記ハウジングの前記第1の部分が前記ハウジングの前記第2の部分から前もって分離されたことを示すように構成されたヒートスタンプ記号
を含み、
前記突出部はその自由端に球状部分を含み、前記溝はその内部にリッジを含み、前記球状部分は、前記ハウジングの前記第1及び第2の部分の偶発的な分離を最小限にするために前記リッジと係合するよう構成され、
前記ハウジングは、前記ハウジングの周囲に延在する複数の環状に離間したリブを含み、各リブは、前記ハウジングの長手方向軸と平行に延在し、各リブは、前記ハウジングの中央部分で前記ハウジングの周囲に延在する鍔部によって半分に分割されている、
装置。
【請求項2】
更に、
その一端におけるマウスピースとその対向する端部における出口とを含む捕集部分であって、前記出口は前記ハウジングの前記入口に脱着自在に取り付けられるよう構成され、更に、抽出ポートを含む捕集部分を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記突出部及び前記溝は前記ハウジングの周囲に延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ハウジングの前記第1の部分及び前記ハウジングの前記第2の部分は共にスナップ嵌めされるよう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記捕集部分は、第2の部分に着脱自在に結合されるよう構成される第1の部分を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記捕集部分の前記第1の部分及び前記捕集部分の前記第2の部分は共にスナップ嵌めされるよう構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
流体は、前記捕集部分の前記マウスピースを介して前記装置に流入し、前記入口を介して前記ハウジングに流入し、前記抽出ポートを介して前記捕集部分から流出するよう構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
更に、
前記ハウジングの内側に位置決めされ、前記ハウジングを通過する呼気の流れに対して横断するよう配置される透過性試料採取メンブレンを備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
分析のために被験者の呼気から試料を収集し、保持するためのシステムであって、
請求項2に記載の可搬型試料採取装置と、
バッグとアダプタとを備える体積測定ユニットであって、前記アダプタは前記バッグ内に配設される第1の端部と前記バッグの外側に突出する第2の端部とを有する管状要素を含み、前記第1の端部はT字状部材を含み、前記第2の端部は抽出ポートの開口端と流体連通して固定されて前記バッグへの前記呼気の一部の流れを容易にするよう構成される、体積測定ユニットとを備える、
システム。
【請求項10】
前記T字状部材はシャフト部分及び翼状部分を含み、前記シャフト部分は捕集部分の前記抽出ポートの少なくとも一部を取り囲み、前記シャフト部分の外面は、前記シャフト部分の長手方向軸と垂直に延在する少なくとも1つのリブを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記T字状部材は前記バッグの一部に固着される、請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年10月24日出願の米国仮特許出願第62/576,607号明細書、発明の名称「PORTABLE SAMPLING DEVICE AND SYSTEM FOR USING THE SAME」、及び2018年1月22日出願の米国仮特許出願第62/619,983号明細書、発明の名称「PORTABLE SAMPLING DEVICE,SYSTEM FOR USING SAME,AND METHOD OF MAKING AND USING SAME」に対する優先権を主張し、その両方を、それらの全てを引用して本明細書に組み込む。
【0002】
現在開示されている技術は、一般に、被験者の呼気から試料を収集するための、及び/又は呼気中の少なくとも1つの特定及び/又は違法薬物、物質、若しくは化合物の存在(すなわち、質的)を検出し、及び/又はその定量的量を特定するための可搬携帯型装置、試料採取システム、及び方法の分野に関する。特に、一実施形態において、現在開示されている技術はかかる装置の改善された構造に関する。
【背景技術】
【0003】
呼気は、例えば、アルコール検査において一般的に用いられており、先行技術は、現場での呼気検査を、赤外分光法を用いて法的に正当と認められる結果と共に行うことを可能にしている。加えて、システム及び方法は、被験者の医学的診断のための少なくとも1つのバイオマーカの存在若しくは量、又は被験者が摂取したある特定の薬物の存在を検出するために公知である。例えば、それらの全てを引用して本明細書に組み込む米国特許出願公開第2014/0366609号明細書及び米国特許出願公開第2015/0033824号明細書は、被験者の呼気を受け取り、収容するために構成された可搬型薬物試料採取装置を開示している。
【0004】
Sensabues ABは、ExaBreath(登録商標)又はEBと称する呼気ベースのバイオマトリックスプラットフォームを製造しているスウェーデンの会社である。EBは、被験者の血液中の不揮発性物質の検出と識別のために、呼気の収集を容易にするよう構成されている。EBは、例えば、アスリートのパフォーマンス向上物質及び薬物検査用の麻薬等の被験者の血液中の外因性物質の存在を検出するために用いられてもよい。検査方法はクロマトグラフ質量分析を含んでいる。
【0005】
1つのかかる先行技術の呼気収集装置は、被験者の気道内側流体から生じるミクロン以下のバイオエアロゾル粒子を捕捉及び保持する薄型静電ベースのエアフィルタを含んでいる。使用中、収集装置は、収集装置を通過する呼気の一部を受け取るようプラスチックバッグと流体連通して接続される。バッグは2つの機能を果たしている。第1に、バッグの膨張は、被験者が装置に適切に吐き出したことを示している。第2に、完全に膨らませると、バッグは、呼気の最小量がフィルタを通過して生体試料を十分に収集したことを示す。
【0006】
Sensabues ABのEBシステムの一実施形態をより良好に図示するため、図1は、組み立てられ、使用できる状態の米国特許出願公開第2014/0366609号明細書の図4Bによる可搬型試料採取装置41を示している。装置41は、ユーザの呼気から生体試料を受け取り、収容するために構成されている。図1に示すように、装置41は、入口を有するマウスピース部分401、選択的捕集部分402、及びアダプタ405を介してプラスチックバッグ(以下で検討する)への流体接続を提供するよう構成される抽出ポート404(図2B参照)を含んでいる。装置41は、更に、ハウジング406への入口407と、ハウジング406からの出口408とを含んでいる。
【0007】
図2A~2Eは、Sensabues ABによって提供されるユーザ指示によるEBシステムの画像を示している。EBシステムは、アダプタがその内部に緩く格納されている膨張式バッグを含んでいる(図2A)。図1の装置41は、図2Aのバッグと連結するよう構成されている。図2B及び2Cは、装置41の組み付け及びそれをバッグに固定することを示している。図2Bにおいて、マウスピースは、抽出ポート404の尖った又は鋭い端部を、バッグを通して且つその内部に緩く格納されるアダプタに直接刺すことによってバッグに固定される。次に、図2Cに示すように、ハウジング406がマウスピース部分401に固定され、それと流体連通している。図2Dは、マウスピース部分401に息を吐き出すユーザを示し、それにより、呼気から生体試料がハウジング406内に捕集され、含まれるようになる。迂回された呼気はポートを通過してバッグを膨張させる。所定数の呼気が装置41に行われると、ハウジング406はマウスピース部分401から分離され、包装され、検査室での分析のために発送される。
【0008】
先行技術の上で説明した装置は確かに有益であり、生物学的検査のための便利な手段を提供する一方で、その構造はある特定の点において最適ではない。1つには、ポートと共にバッグに穴を開け、バッグ内部の緩いアダプタにアクセスする必要は、一部のユーザにとって面倒である可能性があり、ポートとバッグとの間に信頼性の高いシールを提供しない恐れがある。更に、ハウジング406の球状構成は、ユーザにとって使用中に確実に掴持することが難しい恐れがある。加えて、先行技術は、ハウジングが、生体試料を収容した後、不適切にアクセスされたか、又は別の方法で不正変更を加えられたかどうかを示す開封明示機構を含んでいない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、現在開示されている技術は、先行技術の上記及び他の欠点を克服し、上で概略を説明した及び他の目的を満足させる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、現在開示されている技術は、分析のために被験者の呼気から試料を収集し、保持するためのシステムに向けられる。システムは、第2の部分に脱着自在に取り付け可能な第1の部分を有するハウジングを含む。第1の部分は入口を含み、第2の部分は出口を含む。
【0011】
別の態様において、現在開示されている技術は、分析のために被験者の呼気から試料を収集し、保持するためのシステムに向けられる。システムは、第1の部分及び第2の部分を有する捕集部分を含む。捕集部分は、その一端におけるマウスピースとその対向する端部における出口とを含む。出口は、ハウジングの入口に脱着自在に取り付けられるよう構成される。捕集部分は更に、抽出ポートを含む。
【0012】
別の態様において、現在開示されている技術は、分析のために被験者の呼気から試料を収集し、保持するためのシステムに向けられる。システムは、シャフト部分及び翼状部分を有する装備品を含む。シャフト部分は、捕集部分の抽出ポートの少なくとも一部を取り囲むよう構成することができる。シャフト部分の外面は、シャフト部分の長手方向軸と垂直に延在する少なくとも1つのリブを含む。
【0013】
別の態様において、現在開示されている技術は、分析のために被験者の呼気から試料を収集し、保持するためのシステムに向けられる。システムは、船形装備品の翼状部分を取り囲むバッグを含む。
【0014】
任意に、現在開示されている技術は、第2の部分に脱着自在に取り付け可能な第1の部分を含むハウジングを有する可搬型流体試料採取装置に向けられる。第1及び第2の部分は、組み合わさってその内部にチャンバを形成するよう構成することができる。チャンバは、その内部に生体試料を少なくとも一時的に保持するよう構成することができる。第1の部分及び第2の部分のうちの少なくとも一方は入口を含む。第1の部分及び第2の部分のうちの他方は出口を含む。任意に、装置は、a)第1の部分及び第2の部分のうちの少なくとも一方は突出部を有する端部を含むことができ、第1の部分及び第2の部分のうちの少なくとも一方の他方はその内部に突出部の少なくとも一部を受け入れるよう構成される溝を有する端部を含むことができ、又は、b)ハウジングの第1の部分がハウジングの第2の部分から前もって分離されたことを示すための開封明示手段のうちの少なくとも1つを備える。
【0015】
前述の概要、並びに現在開示されている技術の以下の詳細な説明は、同様の番号が全体を通して同様の構成要素を示す添付図面と併せて読解する場合により良好に理解されるであろう。現在開示されている技術を例示する目的のため、様々な例示的な実施形態を図面において示す。しかし、現在開示されている技術は図示する厳密な配置及び手段に制限されないことは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、先行技術のシステムの少なくとも一部の斜視図である。
図2A図2Aは、先行技術の各構成部品の斜視図である。
図2B-2E】図2B~2Eは、先行技術の各構成部品の斜視図である。
図3図3は、開示される概念の一態様による装置の任意の実施形態の等角図である。
図4図4は、現在開示されている技術の1つの任意の実施形態による装備品によってバッグに固定されるアダプタを有するバッグを示す。
図5A-5B】図5A及び5Bは、開示される概念の任意の態様による装置と併せて用いられてもよい任意の開封明示機構を示す。
図6図6は、開示される概念の一態様によるシステムの任意の実施形態の等角図である。
図7図7は、図6のシステムの別の等角図である。
図8図8は、図6のシステムの部分分解等角図である。
図9図9は、図6のシステムの装置の一部の断面図である。
図10図10は、図9の部分Aの一部分の拡大分解図である。
図11-12】図11及び12は、図6のシステムのためのアダプタの等角図である。
図13図13は、図11及び12のアダプタの正面図である。
図14図14は、図11及び12のアダプタの背面図である。
図15図15は、図11及び12のアダプタの左側面図である。
図16図16は、図11及び12のアダプタの右側面図である。
図17図17は、図11及び12のアダプタの上面図である。
図18図18は、図11及び12のアダプタの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
システム、装置、及び方法を実施例及び実施形態として本明細書中で説明する一方で、当業者は、現在開示されている技術のシステム、装置、及び方法が説明される実施形態又は図面に限定されないことを認識する。むしろ、現在開示されている技術は、添付特許請求の範囲の精神及び適用範囲内に含まれる変形、同等物、及び代替をカバーしている。本明細書中で用いられる見出しは、構成を目的とするだけのものであり、説明又は特許請求の範囲の適用範囲を限定するものではない。本明細書中で用いるように、単語「単一式」とは、構成部品が単一の一体型又はユニットとして作成又は形成されることを意味する。すなわち、個別に作成され、次いでユニットとして共に結合される部品を含む構成部品は、「単一式」構成部品又は本体ではない。本明細書中で用いるように、単語「~してもよい」とは、必須の意味(すなわち、必然であることを意味する)ではなく、許容的な意味(すなわち、それに対する可能性を有することを意味する)で用いられる。同様に、用語「include」、「including」、及び「includes」は、含むことを意味するが、それらに限定されない。本明細書中に特に記載のない限り、用語「a」、「an」、及び「the」は1つの要素に限定しないが、代わりに「少なくとも1つ」を意味するものと解釈すべきである。用語は、上記の単語、その派生語、及び同様の重要な単語を含む。
【0018】
図面の様々な図をここで詳細に参照すると、同様の符号は同様の部品を指しており、図3には、開示する概念の態様に従って、ユーザの呼気から生体試料を受け取り、収容するための装置141の任意の実施形態が示されている。図1における装置41と同様に、装置141は、入口を有するマウスピース部分101、選択的捕集部分、及びプラスチックバッグへの流体接続を提供するよう構成される抽出ポート104を含んでいる。装置141は、更に、ハウジング106への入口と、ハウジング106からの出口とを含んでいる。
【0019】
図3の装置141は、図1の装置41の特徴とは異なる少なくとも2つの特徴を含んでいる。第1に、ハウジング106は、ハウジング106の本体の周りに環状の連続表面107を提供する径方向に延在するフランジ表面を含んでいる。これは、図1の装置41に設けられた不連続フランジを有する球状体に対する改良である。改善された設計は、左右どちらの手による使用(例えば、把持)に便利な連続表面107を提供する。更に、これにより、ユーザが装置41内に息を吐き出す場合に、ハウジング106を把持し、保持することがはるかに容易になる。第2に、装置141の抽出ポート104は、その下端に船形装備品等の装備品を備えることができるバッグアダプタ105に嵌合されるか及び/又はそれを含んでいる。装備品は、アダプタ105の一部がバッグ内から延在し、バッグを通ってその外側に突出して、バッグとアダプタ105との間に堅牢で堅固な流体接続を容易にするように、バッグ内に封止されてバッグアダプタ105をバッグに確実に接続するよう構成される。
【0020】
一実施形態において、装備品はバッグの最初に開口した端部に組み付けられてもよい。バッグの開口端又は別の部分は、次いで、熱エネルギーを用いて装備品の周りに密封されてもよい。このステップは製造業者によって行うことができる。バッグの開放端の残りの部分は、また、バッグの内側への唯一の流体アクセスがアダプタの内腔を介して行われるように、熱融着されてもよい。任意に、雄型抽出ポート104とアダプタとの間の堅固な接続が、スリップ又はテーパ締まりばめによって設けられてもよい。この構成は、図2A~2Eの従来の設計よりもユーザにとって取り扱いが簡単で信頼性が高い。図2A~2Eにより、ユーザは、バッグに穴を開け、緩く保持されるアダプタを穴の地点まで手で案内してポートをアダプタ及びバッグに接続しなければならない。これは、行うのが難しい可能性があり、一度達成すると、結果として気密性の低い接続を生じる恐れがある。対照的に、図3及び4に示す概念は、ユーザにとって実装するのがはるかに容易であり、構成部品間のより堅牢なシールを提供する。すなわち、ユーザは部品をより容易に接続することができ、息を吐き出している間にバッグと装置の界面から漏れる空気の損失があったとしても、比較的最小限でなければならない。
【0021】
ここで図5A及び5Bを参照すると、装置241の別の実施形態は、ハウジング206上に設けられる任意の開封明示手段又は機能220を含むことができる。ハウジング206は、ハウジング内のチャンバ内部に呼気からの生体試料を捕集するか又は少なくとも一時的に保持するよう構成される。ハウジングは、互いに選択的に嵌合される2つの構成部品218、219のアセンブリを含んでいてもよい。一実施形態において、2つの構成部品218、219は、引き離すことに抵抗するよう構成される。例えば、開示される概念の1つの任意の態様において、2つの構成部品218、219は、個人がそれらを手動で分離することを困難にするような方法で共にスナップ嵌めされる。
【0022】
開示される概念の任意選択の態様において、開封明示機能220は、2つの構成部品間の界面を変形させるか及び/又は2つの構成部品間に延在するヒートスタンプ記号等を含むことができる。このようにして、構成部品が引き離された場合、それらを再度取り付けることは不可能であるか、又は構成部品が前もって引き離されたことが視覚的に明確に明らかであるかのいずれか一方である。これは、人が開封された試料を検査室に提供することを防ぐ。代替として、開封明示手段220は、ハウジング206の2つの構成部品218、219を横断して延在するステッカーの形態であることができる。ハウジング206が開封されると、ステッカーは破れたり裂けたりし、それによってハウジング206が開封されたことを示すことができる。用いられる特定の構造に関係なく、開封明示手段220は、ハウジング206の第1の部分がハウジング206の第2の部分から前もって分離されたことを示す。
【0023】
図6~10は、現在開示されている技術のシステムの別の実施形態を示している。システムは、捕集部分302に脱着自在に取り付け可能なハウジング306を有する装置341を含むことができる。ハウジング306は、入口307(捕集部分302が取り付け又は取り囲むことができる;図8を参照)と、捕集部分302に対向する端部における出口308(図6)とを含んでいる。捕集部分302は、マウスピース部分301、抽出ポート304、及び出口部分303を含むことができる。出口部分303は、ハウジング306の入口307に係合及び/又は取り付けるよう構成することができる。船形装備品等のアダプタ又は装備品305は、抽出ポート304に脱着自在に取り付けることができる。
【0024】
キャップユニット356は、プラスチックの可撓性接続ストリップ361を介して第2のキャップ360に取り付けられる第1のキャップ358を含むことができる。第1のキャップ358は、ハウジング306の入口307を取り囲むか及び/又はそれに纏着するような大きさ、形状、及び/又は構成とすることができ、第2のキャップ360は、ハウジング306の出口308に挿入されるか、或いは取り囲むか及び/又はそれに纏着するような大きさ、形状、及び/又は構成とすることができる。図6~8に示すような任意の実施形態において、第2のキャップ360は2つの正反対の突出部362a、362bを含むことができる。ハウジング306の出口308は、第2のキャップ360が出口308を閉鎖する場合に突出部362a、362bのうちの1つの少なくとも一部を受けるような大きさ、形状、及び/又は構成とする補完溝364a、364b(図6を参照)を含むことができる。言い換えれば、突出部362a、362bのそれぞれは、溝364a、364bの対応する1つに位置するよう構成される。
【0025】
図3に示す装置141の構成の利点と同様に、ハウジング306は、ハウジング306の周囲に、任意に等間隔で周囲に延在する複数の環状に離間するリブ352を有する。任意の実施形態において、各リブ352は、捕集部分302がハウジング306に適切に取り付けられる場合、ハウジング306及び捕集部分302の長手方向軸と平行に延在する。各リブ352は、ハウジング306の中央部又はその近傍で最も厚いか又は最も広くすることができ、ハウジング306の近位及び遠位端に向かって最も薄いか又は最も小さくすることができる。各リブ352は、ハウジング306の中央部分でハウジング306の全周に延在する鍔部354によって半分に分割することができる。
【0026】
図8に示すように、捕集部分302は2つの分離可能な構成部品から形成することができる。任意の実施形態において、2つの構成部品は共にスナップ嵌めすることができる。特に、捕集部分302は第1の部分366a及び第2の部分366bを含むことができる。第1の部分366aは捕集部分302の上半分を形成することができ、第2の部分366bは捕集部分302の下半分を形成することができる。捕集部分302のこの2部品設計は、2つの部品が一体成形ヒンジによって接続される設計よりも成形するのが有利に容易である。更に具体的に言うと、第1の部分366a、第2の部分366b、及び/又はアダプタ305は、有利には、1つの単体の材料から作製される一体型構成部品として成形することができる。従って、成形及び硬化された後、第1及び第2の部分366a、366b並びにアダプタ305は、比較的簡単な方法で分離され、共に組み立てることができる。
【0027】
図8~10を参照すると、ハウジング306は2つの分離可能な構成部品から形成することができる。任意の実施形態において、2つの構成部品は共にスナップ嵌めすることができる。特に、ハウジング306は第2の部分368bに脱着自在に取り付け可能な第1の部分368aを含むことができる。第1の部分368aはハウジング306の前半分を形成することができ、第2の部分368bはハウジング306の後半分を形成することができる。
【0028】
一実施形態において、図10に示すように、ハウジング306の第2の部分368bの前端は、突出部又はリップ370を含むことができる。ハウジング306の第1の部分368aの後端は溝372を含むことができる。代替として、リップは第1の部分上にあってもよく、溝は第2の部分上にあってもよい。溝372は、ハウジング306の全周でリップ370の少なくとも一部をその内部に受けるような大きさ、形状、及び/又は構成とすることができる。任意に、リップ370はその自由端に球状部分376を含むことができる。任意に、溝372はその内部にリッジ又は隆起部分378を含むことができる。一実施形態において、球状部分376は、リッジ378に接触(例えば、係合)して、ハウジング306の第1及び第2の部分368a、368bの偶発的な接続又は分離を防止する(又は少なくともその可能性を低減する)ことができる。
【0029】
図9に示すように、リップ370が溝372に完全に挿入されるか、及び/又はハウジング306の第1及び第2の部分368a、368bが取り付けられると、間隙又は間隔374がハウジング306の内側の第1及び第2の部分368a、368bの間に存在する可能性がある。この間隙374は、フィルタ又はメンブレン(図示せず)の外周の少なくとも一部を受けるような大きさ、形状、及び/又は構成とすることができる。フィルタは、略平坦又は平面であってもよく、ハウジング306の内部形状と一致するよう略円形の外周を有することができる。
【0030】
再度図6~8を参照すると、アダプタ305は、「T」字形を有し、シャフト部分380及び翼状部分382を含むことができる。翼状部分382は、2つの離間した翼382a、382bを含むことができ、そのそれぞれは翼状部分382の中央部分から離間してテーパが付けられている。通路384(図8を参照)は、シャフト部分380の一端から翼状部分382の対向する端部までアダプタ305を通って延在して、流体(例えば、空気)がそれを通過することを可能にすることができる。抽出部分304の少なくとも一部は、シャフト部分380によって画成又は取り囲まれる通路384の一部内に封止して嵌合することができる。シャフト部分380の外面は、1つ又は複数の離間した環状リブ386を含むことができる。
【0031】
操作中、バッグ(例えば、プラスチック製)は、翼状部分382全体及びシャフト部分380の少なくとも一部を取り囲む。従って、シャフト部分380の少なくとも一部はバッグの外側に延在している。任意の実施形態において、1つ又は複数のOリング(図示せず)が、バッグの少なくとも一部及びアダプタ305のシャフト部分380を取り囲むことができる。Oリングは、1つ又は複数のリブ386と接触してOリングを所望の位置又は場所に保持することを助けることができる。
【0032】
上述したように、図6~10に示す設計の別の利点は、先行技術における他の設計よりも装置341を成形することがより容易であることである。例えば、分離可能な構成部品は一体型構成部品よりも成形が容易である。
【0033】
一実施形態の操作において、システムの様々な分離可能な構成部品(図8を参照)をボックス内に見出すことができる。アスリート等のエンドユーザは、ボックスを開け、構成部品のうちの幾つか又は全てを組み立てることができる(例えば、図6及び7に示すように、組み立てられた装置を形成するため)。ユーザが装置に十分に息を吐くと(例えば、完全に膨張したバッグによって示す)、ユーザは装置を分解し(ことによるとハウジング306の2つの部分が取り付け又は接続されたままであることを除いて)、少なくともフィルタを検査室での検査に送付することができる。
【0034】
図11~18は、アダプタ305の異なる図を示している。
【0035】
任意に、現在開示されている技術は、更なるセンサに基づく分析のために、被験者の呼気からバイオマーカを備えるエアロゾルを収集するための携帯型流体(例えば、気体)試料採取装置を提供する。呼気からバイオマーカを採取することによって、装置は、疾患又は疾病の早期発見及び/又は診断、並びに疾患の進行及び/又は治療反応のモニタリングのための生命情報を提供することができる。呼気中のエアロゾルによって搬送される可能性のある幾つかの公知の不揮発性バイオマーカは、脂質、ペプチド、ヌクレオチド、プロスタノイド、タンパク質、DNA、及び/又はRNAを含んでいる。
【0036】
以下の例示的な実施形態は、現在開示されている技術の任意の態様を更に説明し、この発明を実施するための形態の一部である。これらの例示的な実施形態は、特許請求の範囲に略類似した形式で説明されている(それぞれ数字表示の後に文字Aが続く)が、それらは本願の技術的な特許請求の範囲ではない。以下の例示的な実施形態は、「請求項」の代わりに「実施形態」として互いを従属関係で称する。
【0037】
1A.可搬型流体試料採取装置であって、
入口、出口、及びそれらの間のチャンバを含むハウジングであって、チャンバ内部の呼気から生体試料を捕捉するか又は少なくとも一時的に保持するよう構成されるハウジング、を備え、
ハウジングは、例えばエンドユーザによりバッグに穴を空けることを必要とせずにバッグに流体接続するよう構成される、
装置。
【0038】
2A.更に、
ハウジングの入口に取り付け可能な捕集部分であって、抽出ポートを含む捕集部分と、
捕集部分の少なくとも一部に着脱自在に取り付け可能なアダプタと、を備える、
実施形態1Aに記載の装置。
【0039】
3A.アダプタは捕集部分の少なくとも一部を取り囲む、実施形態1A又は2Aに記載の装置。
【0040】
4A.アダプタはシャフト部分及び翼状部分を含む、実施形態1A~3Aのいずれか1つに記載の装置。
【0041】
5A.翼状部分は2つの翼を含み、そのそれぞれは翼状部分の中央部分から離間してテーパが付けられる、実施形態1A~4Aのいずれか1つに記載の装置。
【0042】
6A.アダプタはバッグに固着されていないか又はそうでなければ固定される、実施形態1A~5Aのいずれか1つに記載の装置。
【0043】
7A.アダプタは鋭利な先端又はスパイクを含まない、実施形態1A~6Aのいずれか1つに記載の装置。
【0044】
8A.チャンバはその内部にフィルタを含むよう構成される、実施形態1A~7Aのいずれか1つに記載の装置。
【0045】
9A.ハウジングは第2の部分に脱着自在に取り付け可能な第1の部分を含み、チャンバは、第1の部分が第2の部分に取り付けられる場合、フィルタをその内部に固定して保持するよう構成される、実施形態1A~7Aのいずれか1つに記載の装置。
【0046】
10A.更なるセンサに基づく分析のために被験者の呼気から試料の手持ちでの収集のための可搬型薬物試料採取装置であって、
脱着自在に取り付け可能な2つの成形構成部品を備える、
装置。
【0047】
11A.更に、
ハウジングの内側に位置決めされ、ハウジングを通過する呼気の流れに対して横断するよう配置される透過性試料採取メンブレンであって、メンブレンを通過する呼気からエアロゾルを収集するよう構成されるメンブレンを備える、
実施形態10Aに記載の装置。
【0048】
12A.メンブレンは、23g/m3~500g/m3の範囲の比重を有する不織布濾過媒体の少なくとも1つの層を備える、実施形態10A又は11Aに記載の装置。
【0049】
13A.特定の物質の消費について個人をスクリーニングする方法であって、
捕集部分の抽出部分の少なくとも一部をアダプタのシャフト部分の一部に挿入することであって、アダプタの翼状部分はバッグによって取り囲まれ、捕集部分は部材を含むハウジングに流体接続されることと、
個人に息を捕集部分に吹き込ませ、それによって、個人の少なくとも一部の呼気をバッグに導き、個人の少なくとも一部の呼気をメンブレンに通すことと、を含む、
方法。
【0050】
14A.1つ又は複数のOリングはアダプタのシャフト部分を取り囲む、実施形態13Aに記載の方法。
【0051】
15A.可搬型流体試料採取装置を用いる方法であって、
捕集部分をハウジングの第1の部分に取り付けることと、
アダプタの第1の部分をバッグで取り囲むことと、
アダプタの第2の部分を捕集部分の抽出ポートに流体接続することと、を含む、
方法。
【0052】
16A.更に、
捕集部分に息を吐き出すことを含む、
実施形態15Aに記載の方法。
【0053】
17A.更に、
呼吸が捕集部分に吐き出された後、捕集部分をハウジングから分離することを含む、
実施形態16Aに記載の方法。
【0054】
18A.捕集部分をハウジングの第1の部分に取り付ける前に、
ハウジングの第1の部分をハウジングの第2の部分に取り付けることであって、第1及び第2の部分は組み合わさってメンブレンを取り囲むことを含む、
実施形態15A~17Aのいずれか1つに記載の方法。
【0055】
19A.可搬型流体試料採取装置を体積測定ユニットに流体接続するよう構成されるアダプタであって、
バッグ内に配設される第1の端部とバッグの外側に突出する第2の端部とを有する管状要素であって、第1の端部は船形装備品を含み、第2の端部は可搬型流体試料採取装置の抽出ポートの開口端と流体連通して固定されて体積測定ユニットへの呼気の一部の流れを容易にするよう構成される、管状要素を備える、
アダプタ。
【0056】
20A.船形装備品はシャフト部分及び翼状部分を含み、シャフト部分は捕集部分の抽出ポートの少なくとも一部を取り囲み、シャフト部分の外面は、シャフト部分の長手方向軸と垂直に延在する少なくとも1つのリブを含む、実施形態19Aに記載のアダプタ。
【0057】
21A.体積測定ユニットはプラスチックバッグである、実施形態19A又は20Aに記載のアダプタ。
【0058】
現在開示されている技術を詳細に、その特定の実施例を参照して説明してきたが、様々な変更及び修正は、その精神及び適用範囲から逸脱することなく、そこにおいて行うことができることは、当業者には明らかであろう。従って、現在開示されている技術は、開示した特定の実施形態に限定されないが、添付特許請求の範囲によって定義されるような現在開示されている技術の精神及び適用範囲内の変更をカバーすることを目的とすることは言うまでもない。
図1
図2A
図2B-2E】
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18