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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】血液浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20230816BHJP
   A61M 60/104 20210101ALI20230816BHJP
   A61M 60/279 20210101ALI20230816BHJP
   A61M 60/37 20210101ALI20230816BHJP
【FI】
A61M1/16 140
A61M60/104
A61M60/279
A61M60/37
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020539466
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(86)【国際出願番号】 JP2019033425
(87)【国際公開番号】W WO2020045385
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2018158144
(32)【優先日】2018-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 喬剛
(72)【発明者】
【氏名】藤原 真人
(72)【発明者】
【氏名】二村 寛
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/099890(WO,A1)
【文献】特開昭61-119275(JP,A)
【文献】特開平06-030993(JP,A)
【文献】特開2007-097746(JP,A)
【文献】特開2004-313303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
A61M 1/14
A61M 60/104
A61M 60/279
A61M 60/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
除水容器を収容するケーシングを有し、前記装置本体に着脱自在に取り付けられるカセットと、を有する血液浄化装置であって、
前記装置本体には、前記除水容器の荷重を測定する荷重検出部が取り付けられ、
前記カセットに収容された前記除水容器の荷重を前記荷重検出部に伝達する荷重伝達機構を有し、
前記荷重伝達機構は、
前記カセットの前記除水容器を収容する部分の底板に設けられた孔を含み、
前記除水容器が前記荷重検出部の上に載置されること、
を特徴とする血液浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の血液浄化装置であって、
前記装置本体は、前記荷重検出部が取り付けられるベースを有し、
前記荷重検出部は、前記孔に挿通していること、
を特徴とする血液浄化装置。
【請求項3】
請求項に記載の血液浄化装置であって、
前記装置本体は、前記カセットを受けるカセット受座を有し、
前記荷重伝達機構は、前記孔と、前記カセットの前記孔に対応する位置の前記カセット受座に設けられた開口と、を含み、
前記荷重検出部は、前記孔と前記開口とに挿通していること、
を特徴とする血液浄化装置。
【請求項4】
請求項1に記載の血液浄化装置であって、
前記装置本体は、前記荷重検出部が取り付けられるベースを有し、
前記荷重伝達機構は、
前記孔と、前記孔に挿通し、前記ベースに取り付けられた前記荷重検出部と前記除水容器の底面との間に挟まれて、前記除水容器を前記カセットの底板から浮かせるスペーサを含み、
前記除水容器は前記スペーサを介して前記荷重検出部の上に載置されること、
を特徴とする血液浄化装置。
【請求項5】
請求項に記載の血液浄化装置であって、
前記装置本体は、前記カセットを受けるカセット受座を有し、
前記カセット受座は、前記ベースとの間に隙間を空けて取り付けられており、
前記荷重伝達機構は、
前記カセットの前記孔に対応する位置の前記カセット受座に設けられた開口、を更に含み、
前記スペーサは、前記孔と前記開口に挿通し、前記カセットが前記装置本体に取り付けられて前記カセットの底面が前記装置本体の前記カセット受座に接した際に、前記ベースに取り付けられた前記荷重検出部と前記除水容器の底面との間に挟まれて、前記除水容器を前記カセットの底板から浮かせること、
を特徴とする血液浄化装置。
【請求項6】
請求項1に記載の血液浄化装置であって、
前記装置本体は、前記カセットが前記装置本体に取り付けられた際に前記カセットの内部に一部又は全部が入り込むように加熱体が配置されていること、
を特徴とする血液浄化装置。
【請求項7】
請求項1に記載の血液浄化装置であって、
前記装置本体は、前記カセットが前記装置本体に取り付けられた際に前記カセットの近傍に位置するように加熱体が配置されていること、
を特徴とする血液浄化装置。
【請求項8】
装置本体と、
除水容器を収容するケーシングを有し、前記装置本体に着脱自在に取り付けられるカセットと、を有する血液浄化装置であって、
前記装置本体には、前記除水容器の荷重を測定する荷重検出部が取り付けられ、
前記カセットに収容された前記除水容器の荷重を前記荷重検出部に伝達する荷重伝達機構を有し、
前記荷重伝達機構は、
前記カセットの前記除水容器を収容する部分の天井板に設けられた開口と、
前記除水容器の上部に突出した被係合部と、
前記装置本体に取り付けられた前記荷重検出部に接続され、前記カセットが前記装置本体に取り付けられた際に前記開口を通して前記除水容器の被係合部に係合して前記除水容器を前記カセットの底板から浮かせる係合部と、を含み、
前記除水容器が前記係合部を介して前記荷重検出部から吊り下げられること、
を特徴とする血液浄化装置。
【請求項9】
装置本体と、
前記装置本体に着脱自在に取り付けられるカセットと、を有する血液浄化装置であって、
前記カセットは、除水容器とダイアライザと透析液再生カラムとを内部に収容するケーシングを有し、前記装置本体に着脱可能であり、
前記除水容器は、前記ケーシングと別体であり、
前記ケーシングは、前記除水容器を収容する部分の底板に設けられた孔、又は前記除水容器を収容する部分の天井板に設けられた開口を備え、
前記装置本体は、前記除水容器の荷重を測定する荷重検出部を備え、前記孔又は前記開口を通して前記荷重検出部に前記除水容器の荷重を伝達すること、
を特徴とする血液浄化装置。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1項に記載の血液浄化装置であって、
弾性を有するポンプチューブと、前記ポンプチューブを受けるチューブ受部材と、前記ポンプチューブの一部を前記チューブ受部材に押圧するチューブ押圧体と、前記チューブ押圧体を前記ポンプチューブの長手方向に移動させる駆動部と、を有し、前記ポンプチューブの内部の液体を押し出すポンプ部を含み、
前記カセットは、前記ポンプ部の少なくとも一部を含み、
前記装置本体は、前記ポンプ部の他の一部を含むこと、
を特徴とする血液浄化装置。
【請求項11】
請求項10に記載の血液浄化装置であって、
前記カセットは、前記ポンプ部の前記チューブ受部材と前記ポンプチューブとを含み、
前記装置本体は、前記チューブ押圧体と前記駆動部とを含み、
前記チューブ受部材は、前記カセットの前記ケーシングであり、
前記ポンプチューブは前記ケーシングの外面に取り付けられ、
前記チューブ押圧体は、複数のフィンガーであり、
前記カセットは、前記フィンガーと前記ケーシングの外面との間に前記ポンプチューブが位置するように前記装置本体に着脱可能であること、
を特徴とする血液浄化装置。
【請求項12】
請求項11に記載の血液浄化装置であって、
前記カセットは、前記ポンプ部の前記チューブ受部材と前記ポンプチューブと、前記チューブ押圧体とを含み、
前記装置本体は、前記駆動部を含み、
前記チューブ押圧体がロータであり、
前記ポンプチューブは、前記ロータの外周に沿った円弧部を含み、
前記チューブ受部材は、前記ポンプチューブの前記外周に沿った円弧部を含むステータであり、
前記カセットは、前記装置本体に取り付けられた際に前記ロータが前記駆動部に係合し、前記装置本体から取り外された際に前記ロータが前記駆動部から分離するように前記装置本体に着脱可能であること、
を特徴とする血液浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液浄化装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
血液浄化装置の取り扱いを簡便にするために、ダイアライザ、ポンプチューブ、血液回路等を収容したカセットを、ポンプロータと制御装置とが取り付けられた本体に着脱自在に取り付ける血液浄化装置が提案されている。この血液浄化装置では、カセットが本体に取り付けられると本体のポンプロータによってカセットのポンプチューブが順次押しつぶされて血液や透析液がダイアライザ等に圧送されるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、透析中に体内の過剰な水分を体外に除去する除水が行われる。除水量によって血液ポンプ、透析液ポンプの送液量を制御することが必要となることから、除水した水分をバッグに貯留して除水量を測定することが必要となる。このため、血液浄化装置の外側にバッグを配置してバッグの重量を測定することにより除水量を求めることが行われている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-97746号公報
【文献】特許第5657726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された従来技術の血液浄化装置では、接液部の一部をカセット内に収容しているものの、特許文献2に記載されたように除水容器等の他の接液部は別に血液浄化装置に取り付ける必要があり、血液浄化装置の取り扱いの簡便化の点では改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、血液浄化装置の取り扱いの簡便化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の血液浄化装置は、装置本体と、除水容器を収容するケーシングを有し、前記装置本体に着脱自在に取り付けられるカセットと、を有する血液浄化装置であって、前記装置本体には、前記除水容器の荷重を測定する荷重検出部が取り付けられ、前記カセットに収容された前記除水容器の荷重を前記荷重検出部に伝達する荷重伝達機構を有し、前記荷重伝達機構は、前記カセットの前記除水容器を収容する部分の底板に設けられた孔を含み、前記除水容器が前記荷重検出部の上に載置されること、を特徴とする。
【0008】
このように、除水容器をカセットに取り付けて一体として装置本体に着脱できるので血液浄化装置の取り扱いを簡便にすることができる。
【0010】
また、荷重検出部が収容されている装置本体でカセットに収容されている除水容器の重量の測定を行うことができるので、血液浄化装置の取り扱いを簡便にすることができる。
【0011】
本発明の血液浄化装置において、前記装置本体は、前記荷重検出部が取り付けられるベースを有し、前記荷重検出部は、前記孔に挿通していること、としてもよい。また、前記装置本体は、前記カセットを受けるカセット受座を有し、前記荷重伝達機構は、前記孔と、前記カセットの前記孔に対応する位置の前記カセット受座に設けられた開口と、を含み、前記荷重検出部は、前記孔と前記開口とに挿通していること、としてもよい。
【0012】
これにより、簡便な構成で荷重検出部が収容されている装置本体でカセットに収容されている除水容器の重量の測定を行うことができる。
【0013】
本発明の血液浄化装置において、前記装置本体は、前記荷重検出部が取り付けられるベースを有し、前記荷重伝達機構は、前記孔と、前記孔に挿通し、前記ベースに取り付けられた前記荷重検出部と前記除水容器の底面との間に挟まれて、前記除水容器を前記カセットの底板から浮かせるスペーサを含み、前記除水容器は前記スペーサを介して前記荷重検出部の上に載置されること、としてもよい。また、前記装置本体は、前記カセットを受けるカセット受座を有し、前記カセット受座は、前記ベースとの間に隙間を空けて取り付けられており、前記荷重伝達機構は、前記カセットの前記孔に対応する位置の前記カセット受座に設けられた開口、を更に含み、前記スペーサは、前記孔と前記開口に挿通し、前記カセットが前記装置本体に取り付けられて前記カセットの底面が前記装置本体の前記カセット受座に接した際に、前記ベースに取り付けられた前記荷重検出部と前記除水容器の底面との間に挟まれて、前記除水容器を前記カセットの底板から浮かせること、としてもよい。
【0014】
この構成により、簡便な構成で荷重検出部が収容されている装置本体でカセットに収容されている除水容器の重量の測定を行うことができる。
【0015】
本発明の血液浄化装置は、装置本体と、除水容器を収容するケーシングを有し、前記装置本体に着脱自在に取り付けられるカセットと、を有する血液浄化装置であって、前記装置本体には、前記除水容器の荷重を測定する荷重検出部が取り付けられ、前記カセットに収容された前記除水容器の荷重を前記荷重検出部に伝達する荷重伝達機構を有し、前記荷重伝達機構は、前記カセットの前記除水容器を収容する部分の天井板に設けられた開口と、前記除水容器の上部に突出した被係合部と、前記装置本体に取り付けられた前記荷重検出部に接続され、前記カセットが前記装置本体に取り付けられた際に前記開口を通して前記除水容器の被係合部に係合して前記除水容器を前記カセットの底板から浮かせる係合部と、を含み、前記除水容器が前記係合部を介して前記荷重検出部から吊り下げられること、を特徴とする。
【0016】
これにより、簡便な構成で荷重検出部が収容されている装置本体でカセットに収容されている除水容器の重量の測定を行うことができる。
【0017】
本発明の血液浄化装置において、前記装置本体は、前記カセットが前記装置本体に取り付けられた際に前記カセットの内部に一部又は全部が入り込むように加熱体が配置されてもよい。例えば、前記カセットが前記装置本体に取り付けられた際に前記カセットに収容された前記除水容器の下側となる領域に前記加熱体を配置し、前記加熱体の一部又は全部が下側から前記カセットの内部に入りこむようにしてもよい。また、前記除水容器の底部に凹部を設け、前記カセットが前記装置本体に取り付けられた際に前記加熱体が下側から前記凹部に入り込むように構成してもよい。また、前記加熱体が前記カセットの側面或いは上側から前記カセットの内部に入り込むようにしてもよい。
【0018】
また、本発明の血液浄化装置において、前記装置本体は、前記カセットが前記装置本体に取り付けられた際に前記カセットの近傍に位置するように加熱体が配置されてもよい。例えば、前記装置本体は、前記カセットが前記装置本体に取り付けられた際に前記カセットの下側の近傍に前記加熱体が位置するようにしてもよい。また、前記装置本体は、前記カセットが取り付けられた際に前記カセットの側面の近傍に前記加熱体が位置するようにしてもよい。また、前記装置本体は、前記カセットが取り付けられた際に、前記カセットの上側の近傍に前記加熱体が位置するようにしてもよい。
【0019】
この構成により、簡便な構成で荷重検出部が収容されている装置本体でカセットに収容されている除水容器の重量の測定を行うことができると共に、透析液を加温して患者への返血液の温度を維持することができる。
【0020】
本発明の血液浄化装置は、装置本体と、前記装置本体に着脱自在に取り付けられるカセットと、を有する血液浄化装置であって、前記カセットは、除水容器とダイアライザと透析液再生カラムとを内部に収容するケーシングを有し、前記装置本体に着脱可能であり、前記除水容器は、前記ケーシングと別体であり、前記ケーシングは、前記除水容器を収容する部分の底板に設けられた孔、又は前記除水容器を収容する部分の天井板に設けられた開口を備え、前記装置本体は、前記除水容器の荷重を測定する荷重検出部を備え、前記孔又は前記開口を通して前記荷重検出部に前記除水容器の荷重を伝達すること、を特徴とする。また、本発明の血液浄化装置において、弾性を有するポンプチューブと、前記ポンプチューブを受けるチューブ受部材と、前記ポンプチューブの一部を前記チューブ受部材に押圧するチューブ押圧体と、前記チューブ押圧体を前記ポンプチューブの長手方向に移動させる駆動部と、を有し、前記ポンプチューブの内部の液体を押し出すポンプ部を含み、前記カセットは、前記ポンプ部の少なくとも一部を含み、前記装置本体は、前記ポンプ部の他の一部を含むこと、としてもよい。ここで、前記カセットは、前記ポンプ部の前記チューブ受部材と前記ポンプチューブとを含み、前記装置本体は、前記チューブ押圧体と前記駆動部とを含み、前記チューブ受部材は、前記カセットの前記ケーシングであり、前記ポンプチューブは前記ケーシングの外面に取り付けられ、前記チューブ押圧体は、複数のフィンガーであり、前記カセットは、前記フィンガーと前記ケーシングの外面との間に前記ポンプチューブが位置するように前記装置本体に着脱可能であること、としてもよい。また、ここで、前記カセットは、前記ポンプ部の前記チューブ受部材と前記ポンプチューブと、前記チューブ押圧体とを含み、前記装置本体は、前記駆動部を含み、前記チューブ押圧体がロータであり、前記ポンプチューブは、前記ロータの外周に沿った円弧部を含み、前記チューブ受部材は、前記ポンプチューブの前記外周に沿った円弧部を含むステータであり、前記カセットは、前記装置本体に取り付けられた際に前記ロータが前記駆動部に係合し、前記装置本体から取り外された際に前記ロータが前記駆動部から分離するように前記装置本体に着脱可能であること、としてもよい。
【0021】
これにより、全ての接液部を一体として装置本体に着脱できるので血液浄化装置の取り扱いを簡便にすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、血液浄化装置の取り扱いの簡便化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】実施形態の血液浄化装置の斜視図である。
図2】実施形態の血液浄化装置の分解斜視図である。
図3】実施形態の血液浄化装置の立断面図である。
図4】実施形態の血液浄化装置の平断面図である。
図5図4に示すA-A断面図である。
図6】他の実施形態の血液浄化装置の荷重伝達機構を示す説明図である。
図7】他の実施形態の血液浄化装置の荷重伝達機構を示す説明図である。
図8図1に示す血液浄化装置の変形例における荷重伝達機構を示す断面図である。
図9図1に示す血液浄化措置の他の変形例を示す断面図である。
図10図1に示す血液浄化装置の他の変形例を示す断面図である。
図11図1に示す血液浄化装置の他の変形例を示す断面図である
図12図1に示す血液浄化装置の他の変形例を示す平断面図である。
図13図1に示す血液浄化装置の他の変形例を示す平断面図である。
図14図1に示す血液浄化装置の他の変形例を示す平断面図である。
図15図1に示す血液浄化装置の他の変形例を示す分解斜視図である。
図16図15に示す血液浄化装置の断面図である。
図17図7に示す血液浄化装置の変形例を示す断面図である。
図18図7に示す血液浄化装置の他の変形例を示す断面図である。
図19図7に示す血液浄化装置の他の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら実施形態の血液浄化装置100について説明する。図1に示すように、血液浄化装置100は、装置本体10と、装置本体10に着脱自在に取り付けられるカセット30とで構成される。カセット30は下部を装置本体10のカセット受座13にはめ込み、上部の爪部35を装置本体10の金具18で締めることによって装置本体10に取り付けられる。透析等に使用する際には、カセット30の血液入口ノズル51aと血液出口ノズル51bとをそれぞれ人体の血管に接続する。以下の説明では、装置本体10とカセット30との並び方向を前後方向、水平面で前後方向と直角方向を幅方向、垂直方向を上下方向として説明する。
【0025】
図2に示すように、カセット30のケーシング31には、ダイアライザ36と透析液再生カラム38と除水容器37が収容されており、ケーシング31の後板32の外面32aには弾性を有する複数のポンプチューブ41(41a~41c)が取り付けられている。ケーシング31は、ポンプチューブ41を受けるチューブ受部材を構成する。装置本体10は、図3に示すように、複数のフィンガー15を収容するフィンガーケーシング14と、フィンガー15の駆動部16と、駆動部16の駆動制御を行う制御部20と、これらを収容する筐体11とを含んでいる。フィンガー15は、ポンプチューブ41を径方向に圧縮しつつ圧縮位置をポンプチューブ41の長手方向に移動させることにより内部の液体を流動させるチューブ押圧体である。フィンガー15とフィンガーケーシング14とはポンプ部である蠕動ポンプを構成する。
【0026】
血液浄化装置100は、血液回路と透析液回路とを備えている。血液回路は、血液入口ノズル51aから流入した人体からの血液を血液出口ノズル51bから人体に戻す液体回路であり、血液ポンプのポンプチューブ41a、ダイアライザ36の血液側流路、ドリップチャンバと、これらを接続する接続管で構成される。また、透析液回路は、透析液をダイアライザ36に循環させる液体回路であり、ダイアライザ36の透析液側流路、透析液再生カラム38、除水容器37、透析液出口ポンプのポンプチューブ41b、透析液入口ポンプのポンプチューブ41cとこれらを接続する接続管で構成される。なお、透析液再生カラム38は透析液回路中のいずれの場所に設置されていても良い。
【0027】
血液浄化装置100は、血液を血液回路に流し、透析液を透析液回路に流してダイアライザ36で血液中の不要な老廃物や過剰な水分の除去を行うものである。血液回路と透析液回路とは接液部を構成する。図1図2に示すように、カセット30は、接液部を構成するダイアライザ36、透析液再生カラム38、除水容器37、ドリップチャンバ、ポンプチューブ41a~41c、血液入口ノズル51a,血液出口ノズル51b、およびこれらを接続する接続管が取り付けられているものである。
【0028】
なお、説明では、ポンプチューブ41a~41cはそれぞれ血液ポンプ、透析液出口ポンプ、透析液入口ポンプに対応するものとしたが、これに限らず、ポンプチューブ41a~41cは血液ポンプ、透析液出口ポンプ、透析液入口ポンプのいずれに含まれるものとしてもよい。
【0029】
図2に示すように、装置本体10の筐体11は、四角板のベース12と、L字形の左右の側板11aと、ベース12の前側に取り付けられた前板11bと、カセット受座13とを備えている。図3(a)に示すように、ベース12の中央にはリブ12aが取り付けられており、カセット受座13は、左右の側板11aの前方部分と前板11bとリブ12aの上に搭載されている。このように、カセット受座13はベース12との間に隙間を空けて取り付けられている。
【0030】
図2図3に示すように、カセット受座13は、左右の側板11aの前方部分と前板11bとリブ12aの上に取り付けられてカセット30の底板34が載る平板状の受け板13aと、受け板13aの幅方向の両端と前端に立設する縦フランジ13bとを含んでいる。縦フランジ13bの内側の面は、図5に示すようにカセット30を受け入れ易いように外側に向かって傾斜している。
【0031】
また、ベース12の上面には、血液ポンプ、透析液出口ポンプ、透析液入口ポンプを構成する各フィンガーケーシング14a~14cが取り付けられている。各フィンガーケーシング14a~14cには、各駆動部16a~16cが取り付けられている。
【0032】
図2図3(a)に示すように、カセット30のケーシング31は、底板34と、底板34の後端縁から上下方向に立設する後板32と、底板34の幅方向両端縁から上下方向に立設する側板31aと底板34の前端縁から上下方向に立設する前板31bと、を含んでいる。底板34と側板31aと前板31bと後板32とで囲まれる空間には、ダイアライザ36、透析液再生カラム38、除水容器37が収容されている。また、ダイアライザ36、透析液再生カラム38、除水容器37とを接続する接続管もカセット30の中に収容されている。
【0033】
後板32の装置本体側の平らな外面32aには、ポンプチューブ41a~41cが取り付けられている。ポンプチューブ41a~41cの両端は、血液回路、透析液回路に接続されている。ポンプチューブ41a~41cの後板32側の面は、後板32の平らな外面32aに沿って配置されている。
【0034】
図2に示すように、各フィンガーケーシング14a~14cの前方側の面には、各ポンプチューブ41a~41cが嵌りこむような上下方向に延びる溝が設けられているので、図2に示すように、カセット30の後板32を装置本体10の側に向けて装置本体10に組みつけると、図4に示すように、各ポンプチューブ41a~41cは、各フィンガーケーシング14a~14cの溝と後板32の平らな外面32aとの間に位置する。駆動部16a~16cによりフィンガー15a~15cが駆動されると、図3(b)に示すように、弾性を有する各ポンプチューブ41a~41cはそれぞれフィンガー15a~15cによって押圧される。
【0035】
図5は、図4に示すA-A断面であり、カセット30の除水容器37を収容する部分の断面図である。図5に示すように、カセット30の除水容器37を収容する部分の底板34には、孔34cが設けられている。また、カセット30の底板34の孔34cに対応する位置のカセット受座13には開口13cが設けられている。孔34cと開口13cとは1つの貫通孔を構成する。孔34cと開口13cとで構成される貫通孔にはスペーサ22が挿通しており、スペーサ22の下のベース12の上面には除水容器37の荷重を測定する荷重検出部21が取り付けられている。スペーサ22は、カセット30が装置本体10に取り付けられて底板34の下面34aがカセット受座13の上面13dに接した際に底板34の上面34bより突出して除水容器37の底面37aを底板34の上面34bから浮かせるような厚みとなっている。
【0036】
図5に一点鎖線で示すように、カセット30が装置本体10に取り付けられる前の状態では、除水容器37は、ケーシング31の底板34の上面34bで荷重が支持されている。カセット30を装置本体10の筐体11に取り付けていき、底板34の下面34aがカセット受座13の上面13dに近接すると、スペーサ22の上面は底板34の上面34bより突出してくる。そして、カセット30を装置本体10の筐体11に取り付けて底板34の下面34aがカセット受座13の上面13dに接した状態では、図5に実線で示すように、スペーサ22の上面は底板34の上面34bより突出して除水容器37の底面37aを底板34の上面34bから浮かせる。そして、スペーサ22は、荷重検出部21と除水容器37の底面37aとの間に挟み込まれて、除水容器37の荷重を荷重検出部21に伝達する。このように、除水容器37は荷重検出部21の上に載置され、装置本体10に取り付けられた荷重検出部21により、カセット30に収容された除水容器37の荷重を測定することができる。このように、荷重検出部21は、カセット30全体の重量ではなく、液体を収容する除水容器37の荷重を測定するので、除水容器37の荷重を正確に測定することができる。
【0037】
ここで、カセット30の底板34に設けられた孔34cと、カセット受座13に設けられた開口13cと、前記孔34cと開口13cに挿通するスペーサ22とは、除水容器37の荷重を荷重検出部21に伝達する荷重伝達機構を構成する。
【0038】
以上の説明では、荷重検出部21とスペーサ22を別体とをして説明したが、これに限らず、荷重検出部21が、カセット30の底板34に設けられた孔34cと、カセット受座13に設けられた開口13cと、に挿通し、カセット30を装置本体10の筐体11に取り付けた状態で荷重検出部21の上面が底板34の上面34bより突出し、除水容器37が荷重検出部21の上に直接載置されるように構成してもよい。
【0039】
また、カセット受座13を設けず、ベース12のカセット30の底板34に設けられた孔34cに対応する領域に凹部を設け、この凹部の中に荷重検出部21を取り付け、荷重検出部21が孔34cに挿通し、カセット30を装置本体10の筐体11に取り付けた状態で荷重検出部21の上面が底板34の上面34bより突出し、除水容器37が荷重検出部21の上に載置されるように構成してもよい。
【0040】
更に、上記の構成において、荷重検出部21の上にスペーサ22を重ね、カセット30を装置本体10の筐体11に取り付けた状態でスペーサ22の上面が底板34の上面34bより突出し、除水容器37がスペーサ22の上に載置されるように構成してもよい。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の血液浄化装置100は、血液回路、透析液回路を構成するダイアライザ36、除水容器37、透析液再生カラム38、各ポンプチューブ41a~41c及び各機器を接続する接続管をカセット30に一体に収容して装置本体10に着脱可能としている。このため、カセット30を装置本体10に取り付けて、血液入口ノズル51a,血液出口ノズル51bを人体の血管に挿入されている穿刺針に接続するのみで透析を行うことができ血液浄化装置100の取り扱いを簡便にすることができる。また、カセット30は、血液回路、透析液回路の接液部の使い捨て品を全て格納しているので、カセット30を使い捨てにすることで使い捨て品を一括して廃棄することができる。これによって血液浄化装置100の取り扱いを簡便にすることができる。
【0042】
また、本実施形態の血液浄化装置100では、ポンプ部のチューブ押圧体はフィンガー15であり、チューブ受部材はケーシング31であるとして説明し、ポンプチューブ41を径方向に押圧しつつ押圧位置をポンプチューブ41の長手方向に移動させることにより内部の液体を押し出す蠕動ポンプとして説明したが、これに限らず、しごき型のローラポンプでもよい。この場合、ポンプ部のチューブ押圧体はロータであり、ポンプチューブ41は、ロータの外周に沿った円弧部を含み、ポンプチューブ41は、ポンプチューブ41の外周に沿った円弧部を含むチューブ受部材であるステータに押圧される。ローラポンプを用いる場合、カセット30にステータとロータとポンプチューブとを取り付け、装置本体10に駆動部を取り付け、カセット30は、装置本体10に取り付けられた際にロータが駆動部に係合し、装置本体10から取り外された際にロータが駆動部から分離するように装置本体10に着脱可能としてもよい。
【0043】
また、しごき型のローラポンプを用いる場合、カセット30のケーシング31にロータの外周に沿った円弧部を含むポンプチューブ41と、ポンプチューブ41の外周に沿った円弧部を含むステータとを取り付け、装置本体10にロータと駆動部とを取り付け、カセット30は、ロータとステータとの間にポンプチューブ41が位置するように装置本体10に着脱可能であること、としてもよい。
【0044】
更に、本実施形態の血液浄化装置100では、カセット30を装置本体10の筐体11に取り付けた際に、使い捨てにするカセット30ではなく装置本体10に取り付けられた荷重検出部21により、カセット30に収容された除水容器37のみの荷重を測定することができるので、血液浄化装置100の取り扱いを簡便にすることができる。
【0045】
本実施形態の血液浄化装置100では、カセット30は装置本体10に金具18で取り付けることとして説明したが、これに限らず、例えば、締結部品を用いて取り付けてもよいし、レバーを回転させることによってカセット30を装置本体10に取り付けてもよい。また、カセット30には血液入口ノズル51aと血液出口ノズル51bとが取り付けられていることとして説明したが、これに限らず、例えば、血液回路の人体に向かう管の一部がカセット30から出るように構成してもよい。
【0046】
次に、図6図7を参照しながら、他の実施形態の血液浄化装置200、300について説明する。先に図1から図5を参照して説明した血液浄化装置100と同様の部位については説明を省略する。
【0047】
図6に示す血液浄化装置200は、カセット30の除水容器37を収容する部分の前カバー33の天井板に開口33aを設け、除水容器37の上部に突出した被係合部であるハンドル61を取り付け、装置本体10の筐体11に取り付けられた荷重検出部21に係合部であるフック62を接続したものである。カセット30を装置本体10の筐体11に取り付けると、フック62がハンドル61に係合して、除水容器37は荷重検出部21から吊り下げられて、除水容器37の底面37aがカセット30の底板34の上面34bから浮きあがる。これにより、除水容器37の荷重を装置本体10に取り付けられた荷重検出部21に伝達し、荷重検出部21で除水容器37の荷重を測定することができる。
【0048】
本実施形態の血液浄化装置200では、前カバー33の開口33a、ハンドル61、フック62は、除水容器37の荷重を荷重検出部21に伝達する荷重伝達機構を構成する。
【0049】
図7に示す血液浄化装置300は、血液浄化装置200のハンドル61を開口33aから上方向に突出する突出ハンドル63とし、フック62をアーム64とし、カセット30を装置本体10の筐体11の取り付けた際にカセット30の前カバー33の天井板から突出した突出ハンドル63にアーム64を係合させて除水容器37をカセット30の底板34の上面34bから浮かせる。そして、突出ハンドル63とアーム64とで除水容器37の荷重を装置本体10に取り付けられた荷重検出部21に伝達し、荷重検出部21で除水容器37の荷重を測定する。
【0050】
本実施形態の血液浄化装置300では、前カバー33の開口33a、突出ハンドル63、アーム64は、除水容器37の荷重を荷重検出部21に伝達する荷重伝達機構を構成する。
【0051】
以上説明した血液浄化装置200、300は、血液浄化装置100と同様の効果を奏する。
【0052】
次に図8を参照しながら図1~5を参照して説明した血液浄化装置100の変形例である血液浄化装置110について説明する。図8に示す血液浄化装置110は、図1図5を参照して説明した血液浄化装置100のカセット30が装置本体10に取り付けられた際にカセット30に収容された除水容器37の下側となる領域に配置されているスペーサ22を加熱体71としたものである。加熱体71は、カセット30が装置本体10に取り付けられた際に一部が下側からカセット30の中に入り込むように構成されている。他の構成は、血液浄化装置100と同一である。
【0053】
図8に示すように、加熱体71は、カセット30が装置本体10に取り付けられて底板34の下面34aがカセット受座13の上面13dに接した際に底板34の上面34bより突出して除水容器37の底面37aを底板34の上面34bから浮かせるような厚みとなっている。
【0054】
カセット30を装置本体10の筐体11に取り付けて底板34の下面34aがカセット受座13の上面13dに接すると、加熱体71の上面は底板34の上面34bより突出して除水容器37の底面37aを底板34の上面34bから浮かせる。そして、加熱体71は、荷重検出部21と除水容器37の底面37aとの間に挟み込まれて、除水容器37の荷重を荷重検出部21に伝達する。このように、除水容器37は荷重検出部21の上に載置され、装置本体10に取り付けられた荷重検出部21により、カセット30に収容された除水容器37の荷重を測定することができる。
【0055】
加熱体71は、除水容器37の底面37aに接触して除水容器37に収容されている液体を加温するものであり、例えば、シート状又は板状のヒータプレート等で構成されてもよい。また、除水容器37の底面37aに張り付けた金属板を高周波の電磁気で加熱する電磁加熱器、或いは、高周波誘導加熱器でもよい。このように、加熱体71で除水容器37に収容された液体を加温することにより、透析液を加温して患者への返血液の温度を維持することができる。
【0056】
次に図9を参照して血液浄化装置100の他の変形例である血液浄化装置120について説明する。図9に示す血液浄化装置120は、図1図5を参照して説明した血液浄化装置100で、除水容器37の下側の領域に配置されるスペーサ22の上に薄いシート状又は板状の加熱体72を乗せたものである。加熱体72は、カセット30が装置本体10に取り付けられた際に全部がカセット30の中に入り込むように構成されている。他の構成は、血液浄化装置100と同一である。
【0057】
図9に示すように、スペーサ22は、カセット30が装置本体10に取り付けられて底板34の下面34aがカセット受座13の上面13dに接した際に底板34の上面34bより突出する厚さとなっている。スペーサ22の上に載置された加熱体72は、薄いシート状又は板状のヒータプレート、又は、ペルチェ素子等で構成されてもよい。
【0058】
カセット30を装置本体10の筐体11に取り付けて底板34の下面34aがカセット受座13の上面13dに接すると、加熱体72は、スペーサ22と共に荷重検出部21と除水容器37の底面37aとの間に挟み込まれて、除水容器37の荷重を荷重検出部21に伝達する。これにより、装置本体10に取り付けられた荷重検出部21により、カセット30に収容された除水容器37の荷重を測定することができる。また、先に説明した血液浄化装置110と同様、加熱体72で除水容器37に収容された液体を加温することにより、透析液を加温して患者への返血液の温度を維持することができる。
【0059】
なお、加熱体72の厚みが図9に示す状態よりも厚く、加熱体72が孔34cの中に入り込んでいても、スペーサ22の厚さと加熱体72とり合計厚さが、カセット30の底板34の下面34aがカセット受座13の上面13dに接した際に底板34の上面34bより突出する厚みとなっていればよい。この場合には、カセット30が装置本体10に取り付けられた際に、加熱体72の一部がカセット30の内部に入り込む。
【0060】
次に図10を参照して血液浄化装置130について説明する。図10に示す血液浄化装置130は、図1図5を参照して説明した血液浄化装置100のスペーサ22を環状部材とし、内側に加熱体73を取り付けたものである。加熱体73は、カセット30が装置本体10に取り付けられた際にカセット30に収容された除水容器37の下側となる領域に位置する。加熱体73の上部は、カセット30が装置本体10に取り付けられた際に孔34cを貫通してカセット30の中に入り込む。加熱体73の高さは、スペーサ22の上面と同一の高さで除水容器37の荷重を受けて荷重検出部21に伝達するようにしてもよいし、スペーサ22の上面の高さよりも低くして、除水容器37の荷重を受けないように構成してもよい。なお、加熱体73は、孔34cを貫通していなくてもよい。孔34cを貫通していない場合には、加熱体73は、カセット30の中に入り込んでおらず、カセット30の下側の近傍に位置する。他の構成は、血液浄化装置100と同一である。
【0061】
環形状のスペーサ22は、先に説明した血液浄化装置100のスペーサ22と同様、除水容器37と荷重検出部21との間に挟まれて除水容器37の荷重を荷重検出部21に伝達する。また、加熱体73により除水容器37の中に収容された液体を加温することにより、透析液を加温して患者への返血液の温度を維持することができる。
【0062】
次に図11を参照しながら先に説明した血液浄化装置100の他の変形例である血液浄化装置140について説明する。図11に示すように、血液浄化装置140は、カセット受座13に設けた開口13cの下側のベース12の上にスペーサ22、荷重検出部21とは別に加熱体74を配置したものである。加熱体74は、カセット30が装置本体10に取り付けられた際に除水容器37の底面37aの下側に位置する。加熱体74の上部は、カセット30が装置本体10に取り付けられた際に孔34cを貫通してカセット30の中に入り込んでいるが、加熱体74の高さは、スペーサ22の上面の高さよりも低く、除水容器37の荷重を受けないように構成されている。なお、加熱体74は、孔34cを貫通していなくてもよい。孔34cを貫通していない場合には、加熱体74は、カセット30の中に入り込んでおらず、カセット30の下側の近傍に位置する。加熱体74は、例えば、電磁加熱器、或いは、高周波誘導加熱器でもよい。また、加熱体74をシート状又は板状のヒータプレート、或いはペルチェ素子等で構成し、開口13cの下側のベース12の上側に取り付けるようにしてもよい。なお、加熱体74は、カセット30が装置本体10に取り付けられた際にカセット30に収容された除水容器37の下側となる領域に配置されていればよく、開口13cの下側の領域ではなく、開口13cの周縁のカセット受座13の受け板13aの下側のベース12の上に取り付けられていてもよい。
【0063】
血液浄化装置140は、血液浄化装置110と同様、加熱体74で除水容器37に収容された液体を加温することにより、透析液を加温して患者への返血液の温度を維持することができる。
【0064】
次に図12を参照しながら先に説明した血液浄化装置100の他の変形例の血液浄化装置150について説明する。図12に示す血液浄化装置150は、装置本体10のカセット30が装置本体10に取り付けられた際にカセット30の側面の近傍に位置するように加熱体75が配置されたものである。他の構成は、血液浄化装置100と同一である。
【0065】
図12に示すように、血液浄化装置150では、フィンガーケーシング14a~14cを透析液再生カラム38が配置される方に寄せて取り付け、フィンガーケーシング14aと装置本体10の筐体11の側板11aとの間にスペースを設け、このスペースに加熱体75を取り付けたものである。加熱体75は、カセット30が装置本体10に取り付けられた際に、カセット30に収容された除水容器37とカセット30の後板32を挟んで前後方向に対向する位置となっている。
【0066】
加熱体75は非接触式加熱器で、カセット30の後板32を介して非接触で除水容器37或いは除水容器37に収容されている液体を加熱するものである。加熱体75は、例えば、電磁加熱器でもよいし、後板32に設けたスリットから光線を除水容器37に照射して除水容器37を加熱する光学式加熱器でもよい。血液浄化装置150は、血液浄化装置110,120,130と同様、加熱体75で除水容器37に収容された液体を加温することにより、透析液を加温して患者への返血液の温度を維持することができる。
【0067】
図13に示す血液浄化装置160は、図12を参照して説明した血液浄化装置150とは反対に、加熱体75が、カセット30が装置本体10に取り付けられた際に、カセット30に収容された透析液再生カラム38とカセット30の後板32を挟んで前後方向に対向する位置となっているものである。他の構成は、図12を参照して説明した血液浄化装置150と同一である。
【0068】
血液浄化装置160は、加熱体75で透析液再生カラム38に収容された液体を加温することにより、透析液を加温して患者への返血液の温度を維持することができる。
【0069】
図14に示す血液浄化装置170は、図12を参照して説明した血液浄化装置150のカセット30のケーシング31の装置本体10の側の後板32に開口32bを設け、開口32bを挟んで前後方向に対向する装置本体10の中に温風発生器76を配置したものである。
【0070】
血液浄化装置170は、開口32bからカセット30のケーシング31の内部に温風発生器76からの温風を流入させて、カセット30に収容されているダイアライザ36、除水容器37、透析液再生カラム38を加温することにより、透析液を加温して患者への返血液の温度を維持することができる。
【0071】
図15に示す血液浄化装置180は、除水容器37の底部に凹部37bを設け、カセット30が装置本体10に取り付けられた際に加熱体74aが凹部37bに入り込むように構成したものである。
【0072】
血液浄化装置180は、図11を参照して説明した血液浄化装置140の加熱体74を高さの高い加熱体74aとし、除水容器37の底部に凹部37bを設けたものである。カセット30を装置本体10のカセット受座13の受け板13aの上に取り付けると、図16に示すように、加熱体74aは、カセット30の内部に入り込むと共に、カセット30の中に収容された除水容器37の下側から凹部37bに入り込む。また、除水容器37の底面37aは、スペーサ22の上面に当たり、除水容器37の荷重は荷重検出部21で検出される。なお、加熱体74aの高さは、凹部37bの上部に接しない高さであり、除水容器37の荷重を伝達しない。
【0073】
血液浄化装置180は、加熱体74aが除水容器37の凹部37bに入り込むので、より効果的に除水容器37を加温することができる。なお、上記の実施形態では、加熱体74aがカセット30の下側からカセット30の内部に入り込むこととして説明したが、これに限らない。例えば、カセット30の後板32に開口を設け、加熱体74aを装置本体10の仕切り板11cに取り付けて、カセット30を装置本体10に取り付けた際にカセット30の後側から横方向に加熱体74aが入り込むようにしてもよい。また、加熱体74aを装置本体10の上部に取り付けると共にカセット30の天井板に開口を設け、カセット30を装置本体10に取り付けた際に加熱体74aがカセット30の上側からカセット30の内部に入り込むようにしてもよい。
【0074】
図17に示す血液浄化装置310は、図7を参照して説明した血液浄化装置300のように、カセット30を装置本体10に取り付けた際に除水容器37が荷重検出部21のアーム64から吊り下げられるように構成されている場合に、装置本体10の筐体11のカセット30の側の仕切り板11cからカセット30の上側となる位置に加熱体77を突出させて配置したものである。加熱体77は、カセット30が装置本体10に取り付けられた際にカセット30の上側の近傍に位置するよう配置されている。
【0075】
図18に示す血液浄化装置320は、カセット30が装置本体10に取り付けられた際にカセット30の下側の近傍に加熱体78が配置されるように、加熱体78をカセット受座13の受け板13aの下面に配置したものである。
【0076】
図19に示す血液浄化装置330は、装置本体10の筐体11の内部のカセット30の側の仕切り板11cに加熱体79を取り付けたものである。加熱体79は、カセット30が装置本体10に取り付けられた際にカセット30の側面の近傍に位置するように配置されている。
【0077】
図17図18を参照して説明した血液浄化装置310,320,330は、加熱体77,78,79でカセット30に収容されているダイアライザ36、除水容器37、透析液再生カラム38を加温することにより、透析液を加温して患者への返血液の温度を維持することができる。
【0078】
なお、本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲により規定されている本発明の技術的範囲ないし本質から逸脱することない全ての変更及び修正を包含するものである。
【符号の説明】
【0079】
10 装置本体、11 筐体、11a 側板、11b 前板、11c 仕切り板、12 ベース、12a リブ、13 カセット受座、13a 受け板、13b 縦フランジ、13c,33a 開口、13d,34b 上面、14,14a~14c フィンガーケーシング、15,15a~15c フィンガー、16,16a~16c 駆動部、18 金具、20 制御部、21 荷重検出部、22 スペーサ、30 カセット、31 ケーシング、31a 側板、31b 前板、32 後板、32a 外面、32b 開口、34 底板、34a 下面、34c 孔、35 爪部、36 ダイアライザ、37 除水容器、37a 底面、38 透析液再生カラム、41,41a~41c ポンプチューブ、51a 血液入口ノズル、51b 血液出口ノズル、61 ハンドル、62 フック、63 突出ハンドル、64 アーム、71~74,74a,75,77~79 加熱体、76 温風発生器、100,110,120,130,140,150,160,180,200,300,310,320,330 血液浄化装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
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図19