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特許7332620キャップ付加を伴うリキシセナチドの合成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】キャップ付加を伴うリキシセナチドの合成
(51)【国際特許分類】
   C07K 1/06 20060101AFI20230816BHJP
   C07K 14/575 20060101ALI20230816BHJP
   C07K 1/04 20060101ALN20230816BHJP
【FI】
C07K1/06 ZNA
C07K14/575
C07K1/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020555311
(86)(22)【出願日】2019-04-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2019059090
(87)【国際公開番号】W WO2019197469
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-03-14
(31)【優先権主張番号】18166551.4
(32)【優先日】2018-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ-アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・ヘンケル
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・メッツェンティン
(72)【発明者】
【氏名】マンフレート・ゲルケン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング・フィードラー
【審査官】山▲崎▼ 真奈
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0289241(US,A1)
【文献】国際公開第2017/162650(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0291682(US,A1)
【文献】米国特許第07431685(US,B2)
【文献】国際公開第00/012506(WO,A2)
【文献】特表2014-502607(JP,A)
【文献】特表2012-518636(JP,A)
【文献】特表2002-521319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め決定されたアミノ酸配列を含むポリペプチドの固相合成方法であって、該方法は、アミノ酸鎖へのアミノ酸ビルディングブロックのカップリングサイクルを含み、
前記アミノ酸ビルディングブロックは、保護されていないC末端カルボキシル基および保護されたN末端アミノ基を含み、
かつ、前記アミノ酸鎖は、保護されていないN末端アミノ基を含み、
少なくとも1つのカップリングサイクルは:
(a)アミノ酸鎖とアミノ酸ビルディングブロックとの間にアミド結合が形成されるように、アミノ酸ビルディングブロックのC末端をアミノ酸鎖の保護されていないN末端アミノ基にカップリングする工程、
(b)工程(a)において得られた生成物を、キャップ付加化合物を含むキャップ付加試薬と接触させ、キャップ付加化合物が、工程(a)においてビルディングブロックがカップリングされなかったアミノ酸鎖の保護されていないN末端アミノ基に結合する工程であって、ここで、キャップ付加化合物は無水酢酸である工程、および
(c)アミノ酸ビルディングブロックのN末端アミノ基を脱保護する工程
を含み、
キャップ付加試薬は、0.5~5%v/vの無水酢酸および0.2~2%v/vのジイソプロピルエチルアミンを含む、
前記方法。
【請求項2】
キャップ付加試薬は、1~3%v/vの無水酢酸を含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
キャップ付加試薬は、2%v/vの無水酢酸を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
キャップ付加試薬は、0.5~2%v/vのジイソプロピルエチルアミンを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
キャップ付加試薬は、1%v/vのジイソプロピルエチルアミンを含む、請求項4に記
載の方法。
【請求項6】
キャップ付加試薬は、1%v/vのジイソプロピルエチルアミンおよび2%v/vの無水酢酸を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
キャップ付加試薬はDMFを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
工程(b)は15~25℃の温度で行われる、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程(b)は5~15分間行われる、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
アミノ酸ビルディングブロックはα-アミノ酸を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
アミノ酸ビルディングブロックは、Arg、Glu、Gln、LeuおよびGlyから選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ポリペプチドは、GLP-1、エキセンジン-3、エキセンジン-4、および、以下からなる群から選択されるエキセンジン-4のアナログ:
H-desPro 36 -エキセンジン-4-Lys 6 -NH 2
H-des(Pro 36,37 )-エキセンジン-4-Lys 4 -NH 2
H-des(Pro 36,37 )-エキセンジン-4-Lys 5 -NH 2
desPro 36 [Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)、
desPro 36 [IsoAsp 28 ]エキセンジン-4(1~39)、
desPro 36 [Met(O) 14 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39),
desPro 36 [Met(O) 14 ,IsoAsp 28 ]エキセンジン-4(1~39)、
desPro 36 [Trp(O 2 25 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)、
desPro 36 [Trp(O 2 25 ,IsoAsp 28 ]エキセンジン-4(1~39)、
desPro 36 [Met(O) 14 Trp(O 2 25 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)、
desPro 36 [Met(O) 14 Trp(O 2 25 ,IsoAsp 28 ]エキセンジン-4(1~39)、
desPro 36 [Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-Lys 6 -NH 2
desPro 36 [IsoAsp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-Lys 6 -NH 2
desPro 36 [Met(O) 14 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-Lys 6 -NH 2
desPro 36 [Met(O) 14 ,IsoAsp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-Lys 6 -NH 2
desPro 36 [Trp(O 2 25 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-Lys 6 -NH 2
desPro 36 [Trp(O 2 25 ,IsoAsp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-Lys 6 -NH 2
desPro 36 [Met(O) 14 Trp(O 2 25 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-Lys 6 -NH 2
desPro 36 [Met(O) 14 Trp(O 2 25 ,IsoAsp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-Lys 6 -NH 2
H-(Lys) 6 -desPro 36 [Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-Lys 6 -NH 2
desAsp 28 Pro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 エキセンジン-4(1~39)-NH 2
H-(Lys) 6 -desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-NH 2
H-Asn-(Glu) 5 desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-NH 2
desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-(Lys) 6 -NH 2
H-(Lys) 6 -desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-(Lys) 6 -NH 2
H-Asn-(Glu) 5 -desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-(Lys) 6 -NH 2
H-(Lys) 6 -desPro 36 [Trp(O 2 25 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-Lys 6 -NH 2
H-desAsp 28 Pro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Trp(O 2 25 ]エキセンジン-4(1~39)-NH 2
H-(Lys) 6 -desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Trp(O 2 25 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-NH 2
H-Asn-(Glu) 5 -desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Trp(O 2 25 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-NH 2
desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Trp(O 2 25 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-(Lys) 6 -NH 2
H-(Lys) 6 -desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Trp(O 2 25 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-(Lys) 6 -NH 2
H-Asn-(Glu) 5 -desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Trp(O 2 25 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-(Lys) 6 -NH 2
H-(Lys) 6 -desPro 36 [Met(O) 14 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-Lys 6 -NH 2
desMet(O) 14 Asp 28 Pro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 エキセンジ
ン-4(1~39)-NH 2
H-(Lys) 6 -desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Met(O) 14 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-NH 2
H-Asn-(Glu) 5 -desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Met(O) 14 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-NH 2
desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Met(O) 14 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-(Lys) 6 -NH 2
H-(Lys) 6 -desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Met(O) 14 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-Lys 6 -NH 2
H-Asn-(Glu) 5 -desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Met(O) 14 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-(Lys) 6 -NH 2
H-(Lys) 6 -desPro 36 [Met(O) 14 、Trp(O 2 25 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-Lys 6 -NH 2
desAsp 28 Pro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Met(O) 14 、Trp(O 2 25 ]エキセンジン-4(1~39)-NH 2
H-(Lys) 6 -desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Met(O) 14 、Trp(O 2 25 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-NH 2
H-Asn-(Glu) 5 -desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Met(O) 14 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-NH 2
desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Met(O) 14 、Trp(O 2 25 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-(Lys) 6 -NH 2
H-(Lys) 6 -desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Met(O) 14 ,Trp(O 2 25 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-(Lys) 6 -NH 2
H-Asn-(Glu) 5 -desPro 36 ,Pro 37 ,Pro 38 [Met(O) 14 ,Trp(O 2 25 ,Asp 28 ]エキセンジン-4(1~39)-(Lys) 6 -NH 2
およびこれらの薬学的に許容される塩、
ら選択されるGLP-1アゴニストである、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ポリペプチドは、エキセンジン-4、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチドおよびセマグルチドから選択される、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
固相ポリペプチド合成における保護されていないアミノ基のアセチル化のための組成物の使用であって、前記組成物は、DMF中の0.5~5%v/vの無水酢酸および0.2~2%v/vのジイソプロピルエチルアミンをキャップ付加試薬として含む、前記使用。
【請求項15】
組成物は、DMF中の1%v/vのジイソプロピルエチルアミンおよび2%v/vの無水酢酸を含む、請求項14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め決定されたアミノ酸配列を含むポリペプチドの合成方法に関する。本発明による方法は、N末端が保護されたアミノ酸ビルディングブロックのC末端をアミノ酸鎖の保護されていないN末端アミノ基にカップリングするカップリングサイクルを含み、少なくとも1つのカップリングサイクルは、カップリング工程(a)、キャップ付加工程(b)、および脱保護工程(c)を含む。
【0002】
本発明はさらに、0.5~5%v/vの無水酢酸および0.2~2%v/vのジイソプロピルエチルアミンを含む組成物の他に、ポリペプチド合成における保護されていないアミノ基のアセチル化のためのキャップ付加試薬としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
固相ペプチド合成の確立された方法は、合成されるアミノ酸鎖の予め決定されたC末端アミノ酸の、リンカーを介したポリマー担体へのカップリングを教示する。カップリングのために使用されるアミノ酸は、N末端が保護されたアミノ基を有するアミノ酸ビルディングブロックであり、前記保護基は一時的に連結されたFmoc基である。カップリングの成功後、Fmoc保護基は切断され、次のFmoc保護されたアミノ酸ビルディングブロックが、先行するアミノ酸ビルディングブロックの遊離アミノ官能基とカップリングされる。所望のアミノ酸鎖が合成された場合、それは固相から切断される。図1は、記載したアプローチの概要を与える。
【0004】
カップリング反応は常に完全なわけではないので、残留遊離アミノ基を無水酢酸を用いてアセチル化することができる(図1を参照)。この反応はキャップ付加と呼ばれる。キャップ付加の目的は、恐らくは所望の最終生成物から分離することが難しい(N-1)不純物(すなわち、1つの位置においてアミノ酸ビルディングブロックを欠いた生成物)の出現を防止することである。
【0005】
文献において、ペプチドの固相合成用の多数のキャップ付加混合物が記載されている。非特許文献1は、グラミシジンAの合成のために塩化メチレン中の無水酢酸およびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)を使用する。最初に、塩化メチレン20ml中のDIPEA 1当量を加える。5分後、無水酢酸4当量を加える。総インキュベーション時間は20分である。非特許文献2は、キャップ付加処理のための30分のインキュベーション時間と組み合わせたDMF中のおおよそ9%の無水酢酸およびおおよそ16%のDIPEAの使用を教示する。非特許文献3は、キャップ付加処理用の無水酢酸、ピリジンおよび塩化メチレンの混合物を開示する。
【0006】
参照によって本明細書に組み入れる特許文献1に記載のリキシセナチド(AVE0010またはZP-10としても公知)の固相合成は、いかなるキャップ付加反応も伴わない、それぞれ同じ様式での個々のFmoc保護されたアミノ酸ビルディングブロックのカップリングを含む。
【0007】
リキシセナチドは、配列desPro36エキセンジン-4(1~39)-Lys-NHを有する。この物質は、特許文献1の配列番号93に開示されている(本出願の配列番号1および図2を参照)。エキセンジンは、血中グルコース濃度を低下させることができるペプチドの群である。エキセンジンは、GLP-1(7~36)の配列とある特定の類似性を有する(53%、非特許文献4)。エキセンジン-3およびエキセンジン-4は、エキセンジン受容体との相互作用によりモルモットの膵腺房細胞において細胞cAMP産生の増加を刺激する(非特許文献5)。エキセンジン-4とは対照的に、エキセンジン-3は、膵腺房細胞におけるアミラーゼ放出の増加をもたらす。エキセンジンはGLP-1アンタゴニストとして作用する。
【0008】
グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)は、グルコースまたは脂肪の経口摂取後のインスリン応答を増進する内分泌ホルモンである。GLP-1は、概しては、グルカゴン濃度を低下させ、胃内容排出を減速させ、(プロ)インスリン生合成を刺激し、インスリンへの感受性を増加させ、インスリン非依存性グリコーゲン生合成を刺激する(非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8)。ヒトGLP-1は37のアミノ酸残基を有する(非特許文献9、非特許文献10)。GLP-1の活性断片としては、GLP-1(7~36)およびGLP-1(7~37)が挙げられる。
【0009】
エキセンジン-3、エキセンジン-4およびエキセンジンアゴニストは胃内容排出および運動性を低減するので、糖尿病の治療および高血糖症の予防のためにそれらを使用できることが示唆された(特許文献2および特許文献3)。
【0010】
エキセンジンアナログは、天然エキセンジン-4配列のアミノ酸置換および/またはC末端切断により特徴付けることができる。そのようなエキセンジンアナログは、特許文献4、特許文献5および特許文献6に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】WO01/04156A1
【文献】米国特許第5,424,286号
【文献】WO98/0535A1
【文献】WO99/07404
【文献】WO99/25727
【文献】WO99/25728
【非特許文献】
【0012】
【文献】Fields et al.、PNAS 85、1384~1388頁、1988年
【文献】Eritja et al.、Tetrahetron 43、2675~2680頁、1987年
【文献】Echner et al.、Liebigs Ann. Chem. 1988年、1095~1097頁
【文献】Goke et al.、J. Biol. Chem. 268、19650~55頁
【文献】Raufman、1996年、Reg. Peptides 61:1~18頁
【文献】Holst(1999年)、Curr. Med. Chem. 6:1005頁
【文献】Nauck et al.(1997年)、Exp. Clin. Endocrinol. Diabetes 105:187頁
【文献】Lopez-Delgado et al.(1998年)、Endocrinology 139:2811頁
【文献】Heinrich et al.、Endocrinol. 115:2176頁(1984年)
【文献】Uttenthal et al.、J. Clin. Endocrinol. Metabol.(1985年)、61:472頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者らは、Fmoc保護されたアミノ酸ビルディングブロックを用いるリキシセナチドの一般的な固相合成の粗生成物は、他のアセチル化された誤った配列に対して増加した量のある特定のアセチル化された誤った配列を呈することを見出した。これらの予想外に顕著な不純物は、特に、Ac(20~44)、Ac(17~44)、Ac(13~44)、Ac(10~44)およびAc(4~44)である。
【0014】
本発明により解決される課題は、ペプチド合成において出現するアセチル化された誤った配列の量を低減し、したがって、ペプチド合成の収率を増進することである。特に、粗生成物中で増加した量を有するそれらのアセチル化された誤った配列の量は低減されるべきである。
【0015】
リキシセナチド固相合成のキャップ付加工程の間に、カップリングしたばかりのアミノ酸ビルディングブロックの一部からFmoc保護基が望ましくないことに切断されることが見出された。この望ましくない切断は、合成サイクルの間にある特定のアミノ酸位置におけるキャップ付加についてのみ検出された。これらの位置の5つは:
・Arg(20)のカップリング後のキャップ付加、
・Glu(17)のカップリング後のキャップ付加、
・Gln(13)のカップリング後のキャップ付加、
・Leu(10)のカップリング後のキャップ付加、
・Gly(4)のカップリング後のキャップ付加
である。
【0016】
本出願により解決されるさらなる問題は、そのため、望ましくないアセチル化された生成物がそのような増加した量でもはや存在しないキャップ付加条件を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
驚くべきことに、より穏やかなキャップ付加条件の適用は、粗生成物中のより低い副生成物濃度またはさらにはその完全な根絶に繋がることが見出された。そのクロマトグラフィーピークが意図する生成物のそれに近い、副生成物Ac(17~44)、Ac(13~44)、およびAc(10~44)を低減または完全に除去することにより、粗生成物からの意図する生成物の精製が強く促進される。より混合度の低い画分が出現するので、精製されたリキシセナチドの収率は増加する。そのピークが意図する生成物のピークからさらに離れている副生成物Ac(20~44)およびAc(4~44)の濃度もまた、穏やかなキャップ付加条件により最小化されるので、収率はさらに増加する。
【0018】
本発明の一態様は、予め決定されたアミノ酸配列を含むポリペプチドの合成方法であって、該方法は、アミノ酸鎖へのアミノ酸ビルディングブロックのカップリングサイクルを含み、前記アミノ酸ビルディングブロックは、保護されていないC末端カルボキシル基および保護されたN末端アミノ基を含み、かつ、前記アミノ酸鎖は、保護されていないN末端アミノ基を含み、少なくとも1つのカップリングサイクルは:
(a)アミノ酸鎖とアミノ酸ビルディングブロックとの間にアミド結合が形成されるように、アミノ酸ビルディングブロックのC末端をアミノ酸鎖の保護されていないN末端アミノ基にカップリングする工程、
(b)工程(a)において得られた生成物を、キャップ付加化合物を含むキャップ付加試薬と接触させ、キャップ付加化合物が、工程(a)においてビルディングブロックがカップリングされなかったアミノ酸鎖の保護されていないN末端アミノ基に結合する工程、および
(c)アミノ酸ビルディングブロックのN末端アミノ基を脱保護する工程
を含む、前記方法に関する。
【0019】
本発明において、「キャップ付加試薬」、「キャップ付加組成物」または「キャップ付加混合物」は交換可能に使用される。試薬は、工程(b)の前に製造することができ、またはキャップ付加試薬の成分は工程(b)の間に加えられる。
【0020】
工程(b)においてキャップ付加されるアミノ酸鎖は、さらなるアミノ酸ビルディングブロックにカップリングすることができないため、この分子の鎖伸長は終了される。
【0021】
ポリペプチドの合成の間に、アミノ酸ビルディングブロックのカップリングサイクルは、ポリペプチドのアミノ酸鎖がビルディングブロック毎に形成されるように行われる。カップリング工程のために、当該技術分野の現行技術、特に、Fmoc保護されたアミノ酸ビルディングブロックに基づく固相合成を使用することができる。ペプチドの固相合成のために好適な全ての種類の固相を使用することができる。特に、樹脂を含む固相を使用することができる。樹脂は、Rink樹脂(Rinkアミド樹脂)またはTentagel(登録商標)樹脂であり得る。好ましい態様では、固相樹脂はRink樹脂またはRinkアミド樹脂である。
【0022】
本発明による工程(a)、(b)および(c)を含むサイクルは、1回または数回繰り返すことができる。各アミノ酸ビルディングブロックがカップリングされるために1つのサイクルが行われる。各々のアミノ酸ビルディングブロックは、予め決定されたアミノ酸配列に依存して、各サイクルのために独立して選択される。本明細書に記載されるような全ての種類のアミノ酸ビルディングブロックを使用することができる。
【0023】
本発明による方法は、キャップ付加温度、キャップ付加試薬組成物または/およびキャップ付加期間などのキャップ付加工程の条件に関して同じまたは異なるカップリングサイクルを組み合わせることができる。一態様では、本発明による全てのカップリングサイクルは、同じキャップ付加条件下で行われる。別の態様では、少なくとも1つのキャップ付加工程は、例えば、改変されたキャップ付加温度、キャップ付加試薬組成物または/およびキャップ付加期間により、本発明による他のキャップ付加工程とは異なる。一態様では、本発明による方法は、1つより多くのキャップ付加工程の条件、例えば、ポリペプチド全体の合成にわたり2、3、4または5つの異なるキャップ付加工程の条件を含む。
【0024】
一態様では、本発明による方法は、キャップ付加工程(b)を含む少なくとも1つのカップリングサイクル、少なくとも2つのカップリングサイクル、少なくとも3つのカップリングサイクル、少なくとも4つのカップリングサイクル、または少なくとも5つのカップリングサイクルを含む。
【0025】
キャップ付加化合物は、好ましくは、無水酢酸(CAS 108-24-7)、無水酢酸のホモログ、塩化ベンゾイル(CAS 98-88-4)、N-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(CAS 13139-17-8)、クロロギ酸ベンジル(CAS 501-53-1)、クロロギ酸のエステル、1-アセチルイミダゾール(CAS 2466-76-4)、二炭酸ジ-tert-ブチル(CAS 24424-99-5)およびN-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(CAS 13139-12-3)からなる群から選択される。好ましい態様では、キャップ付加化合物は、無水酢酸および無水酢酸のホモログから選択され、好ましくは無水酢酸である。
【0026】
一態様では、キャップ付加試薬は、0.5~5%v/vの濃度の無水酢酸を含む。好ましい態様では、無水酢酸の濃度は、1~3%v/v、より好ましくは2%v/vである。
【0027】
別の態様では、キャップ付加試薬は、0.5~5%v/vの濃度の無水酢酸のホモログを含む。好ましい態様では、無水酢酸のホモログの濃度は、1~3%v/v、より好ましくは2%v/vである。
【0028】
別の態様では、キャップ付加試薬は、0.5~5%v/vの濃度の塩化ベンゾイルを含む。好ましい態様では、塩化ベンゾイルの濃度は、1~3%v/v、より好ましくは2%v/vである。
【0029】
別の態様では、キャップ付加試薬は、0.5~5%v/vの濃度のN-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミドを含む。好ましい態様では、N-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミドの濃度は、1~3%v/v、より好ましくは2%v/vである。
【0030】
別の態様では、キャップ付加試薬は、0.5~5%v/vの濃度のクロロギ酸ベンジルを含む。好ましい態様では、クロロギ酸ベンジルの濃度は、1~3%v/v、より好ましくは2%v/vである。
【0031】
別の態様では、キャップ付加試薬は、0.5~5%v/vの濃度のクロロギ酸のエステルを含む。好ましい態様では、クロロギ酸のエステルの濃度は、1~3%v/v、より好ましくは2%v/vである。
【0032】
別の態様では、キャップ付加試薬は、0.5~5%v/vの濃度の1-アセチルイミダゾールを含む。好ましい態様では、1-アセチルイミダゾールの濃度は、1~3%v/v、より好ましくは2%v/vである。
【0033】
別の態様では、キャップ付加試薬は、0.5~5%v/vの濃度の二炭酸ジ-tert-ブチルのエステルを含む。好ましい態様では、二炭酸ジ-tert-ブチルの濃度は、1~3%v/v、より好ましくは2%v/vである。
【0034】
別の態様では、キャップ付加試薬は、0.5~5%v/vの濃度のN-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)スクシンイミドのエステルを含む。好ましい態様では、N-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)スクシンイミドの濃度は、1~3%v/v、より好ましくは2%v/vである。
【0035】
キャップ付加試薬は、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、N-エチルジイソプロピルアミンまたはN,N-ジイソプロピルエチルアミンとも称される)を含むことができる。一態様では、キャップ付加試薬はジイソプロピルエチルアミンを含み、ジイソプロピルエチルアミンの濃度は0.2~2%v/vであり得、好ましくは0.5~2%v/vである。ジイソプロピルエチルアミンの好ましい濃度は1%v/vである。
【0036】
一態様では、キャップ付加試薬はジイソプロピルエチルアミンおよび無水酢酸を含み、ジイソプロピルエチルアミンの濃度は0.2~2%v/vであり得、好ましくは0.5~2%v/vであり、かつ、無水酢酸の濃度は0.5~5%v/vであり得、好ましくは1~3%v/vである。
【0037】
一態様では、キャップ付加組成物またはキャップ付加試薬は、約1%v/vの濃度のジイソプロピルエチルアミンおよび約2%v/vの濃度の無水酢酸を含む。
【0038】
本発明の方法において、アミノ酸ビルディングブロックのN末端アミノ基は、好ましくは塩基不安定性保護基、より好ましくはFmocである。
【0039】
キャップ付加工程において使用される溶媒は、好ましくは、極性非水性溶媒、例えば、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、メタノール、塩化メチレン、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン、またはこれらの混合物である。好ましい態様では、キャップ付加工程において使用される溶媒はDMFである。
【0040】
本発明において、「約」または「おおよそ」という用語は、±10%、±5%または±1%の範囲を意味する。
【0041】
本発明によるキャップ付加反応(b)は、室温で行うことができる。本発明による室温は、約15~25℃の温度、約20~23℃の範囲内の温度、約19~21℃の範囲内の温度または約20℃の温度に関する。
【0042】
本発明の方法において、工程(b)は、好ましくは、5~15分間、好ましくは10分間行われる。
【0043】
好ましい態様では、工程(b)は、2%v/vの無水酢酸および1%v/vのDIPEAを含むキャップ付加試薬を用いて10分間行われる。
【0044】
別の好ましい態様では、工程(b)は、リキシセナチドまたはエキセンジン-4配列の位置Arg(20)、Glu(17)、Gln(13)、Leu(10)または/およびGly(4)においてDMF中の2%v/vの無水酢酸および1%v/vのDIPEAを含むキャップ付加試薬を用いて10分間行われる。
【0045】
さらに別の好ましい態様では、工程(b)は、本明細書に記載されるように、室温でリキシセナチドまたはエキセンジン-4配列の位置Arg(20)、Glu(17)、Gln(13)、Leu(10)およびGly(4)においてDMF中の2%v/vの無水酢酸および1%v/vのDIPEAを含むキャップ付加試薬を用いて10分間行われる。
【0046】
一態様では、本発明による方法は、特に、リキシセナチドまたはエキセンジン-4配列のArg(20)、Glu(17)、Gln(13)、Leu(10)または/およびGly(4)とは異なる位置において、キャップ付加工程を有しない少なくとも1つのカップリングサイクル、少なくとも2つのカップリングサイクル、少なくとも3つのカップリングサイクル、少なくとも4つのカップリングサイクルまたは少なくとも5つのカップリングサイクルを含むことができる。
【0047】
別の態様では、本発明による方法は、特に、2%v/vの無水酢酸および1%v/vのジイソプロピルエチルアミンを含むキャップ付加試薬を用いる約10分間の、リキシセナチドまたはエキセンジン-4配列のアミノ酸ビルディングブロックArg(20)、Glu(17)、Gln(13)、Leu(10)または/およびGly(4)のカップリング後の工程(b)によるキャップ付加を含む。工程(b)は、工程(a)におけるArg、Glu、Gln、Leuまたは/およびGly残基、特に、リキシセナチドまたはエキセンジン-4配列のArg(20)、Glu(17)、Gln(13)、Leu(10)または/およびGly(4)のカップリング後に行うことができる。好ましくは、他のアミノ酸位置において、キャップ付加工程は行われず、または/かつ、キャップ付加は、DMF中の10%の無水酢酸および5%v/vのDIPEAを用いて20分間行われる。特に、キャップ付加は、本明細書に記載されるように、室温で行われる。
【0048】
本発明のさらに別の態様では、本発明による方法は、特に、2%v/vの無水酢酸および1%v/vのジイソプロピルエチルアミンを含むキャップ付加試薬を用いる約10分間の、リキシセナチドまたはエキセンジン-4配列の全てのアミノ酸ビルディングブロックのカップリング後の工程(b)によるキャップ付加を含む。工程(b)は、工程(a)におけるリキシセナチドまたはエキセンジン-4配列の全てのアミノ酸残基のカップリング後に行うことができる。単一のアミノ酸カップリング工程において、キャップ付加を省略することができる。工程(b)は、工程(a)におけるリキシセナチドまたはエキセンジン-4配列の少なくとも30または少なくとも35アミノ酸残基のカップリング後に行うことができる。
【0049】
一態様では、本発明による方法は、キャップ付加工程(b)を含まない少なくとも1つのカップリングサイクルおよび本明細書に記載されるようなキャップ付加工程(b)を含む少なくとも1つのカップリングサイクルを含むことができる。一態様では、本発明による方法は、キャップ付加工程(b)を含まない少なくとも1つのカップリングサイクル、少なくとも2つのカップリングサイクル、少なくとも3つのカップリングサイクル、少なくとも4つのカップリングサイクル、または少なくとも5つのカップリングサイクルおよび本明細書に記載されるようなキャップ付加工程(b)を含む少なくとも1つのカップリングサイクル、少なくとも2つのカップリングサイクル、少なくとも3つのカップリングサイクル、少なくとも4つのカップリングサイクル、または少なくとも5つのカップリングサイクルを含むことができる。特に、リキシセナチドまたはエキセンジン-4配列のArg(20)、Glu(17)、Gln(13)、Leu(10)または/およびGly(4)とは異なる位置において、キャップ付加は行われない。
【0050】
一態様では、本発明による方法は、工程(a)、(b’)および(c)を含む少なくとも1つのカップリングサイクル、少なくとも2つのカップリングサイクル、少なくとも3つのカップリングサイクル、少なくとも4つのカップリングサイクル、または少なくとも5つのカップリングサイクルを含むことができ、キャップ付加工程(b’)は、キャップ付加工程(b)とは異なる条件下で行われる。工程(b’)を含むカップリングサイクルは、リキシセナチドまたはエキセンジン-4配列のArg(20)、Glu(17)、Gln(13)、Leu(10)または/およびGly(4)とは異なるアミノ酸ビルディングブロックのカップリングのために特に適用される。一態様では、工程(b’)は、DMF中の約10%v/vの無水酢酸および約5%v/vのジイソプロピルエチルアミンを含むキャップ付加試薬を使用することができ、例えば、約20分間行われる。
【0051】
一態様では、本発明による方法は、本発明によるキャップ付加工程(b)を含む少なくとも1つのカップリングサイクルおよび本明細書に記載されるようなキャップ付加工程(b’)を含む少なくとも1つのカップリングサイクルを含むことができる。一態様では、本発明による方法は、本発明によるキャップ付加工程(b)を含む少なくとも1つのカップリングサイクル、少なくとも2つのカップリングサイクル、少なくとも3つのカップリングサイクル、少なくとも4つのカップリングサイクル、または少なくとも5つのカップリングサイクルおよび本明細書に記載されるようなキャップ付加工程(b’)を含む少なくとも1つのカップリングサイクル、少なくとも2つのカップリングサイクル、少なくとも3つのカップリングサイクル、少なくとも4つのカップリングサイクル、または少なくとも5つのカップリングサイクルを含むことができる。
【0052】
1つの単一のサイクルにおいて1つより多くのアミノ酸のカップリングを含む、本明細書に記載されるようなアミノ酸ビルディングブロックのカップリングのために、例えば、アミノ酸ビルディングブロックFmoc-Pro-Pro-OHおよびFmoc-His(Trt)-Gly-OHをそれぞれ使用することによるPro-ProまたはHis-Glyなどのジペプチドのカップリングのために、工程(b’)を含むカップリングサイクルが好ましくは使用される。
【0053】
工程(a)によるカップリング工程および工程(c)による脱保護工程を行う方法は当業者に公知である。ペプチド合成は、好ましくは、固相合成の形態で行われる。好ましい態様では、カップリングサイクルは、合成される配列のC末端からN末端へと行われる。アミノ酸ビルディングブロックによるC末端からN末端への固相ペプチド合成において適用される工程(a)および(c)のための反応条件は当業者に公知である。
【0054】
本発明によるアミノ酸ビルディングブロックは、ペプチド合成の1つのサイクルにおいて1つまたはそれ以上のアミノ酸により合成されるアミノ酸鎖を伸長させる化合物である。好ましい態様では、本発明によるアミノ酸ビルディングブロックは、1、2、3、または4つのアミノ酸により合成されるアミノ酸鎖を伸長させる。特に好ましい態様では、本発明によるアミノ酸ビルディングブロックは、1または2つのアミノ酸により合成されるアミノ酸鎖を伸長させる。
【0055】
本発明によるアミノ酸ビルディングブロックは、好ましくは、1つのアミノ酸(モノアミノ酸ビルディングブロック)または2、3、4もしくはより多くのアミノ酸を含むオリゴペプチドを含む。好ましい態様では、本発明によるアミノ酸ビルディングブロックは、1つのアミノ酸、または、例えばPro-ProもしくはHis-Glyなどの2つのアミノ酸を含むペプチドを含む。1つより多くのアミノ酸を含むアミノ酸ビルディングブロックのアミノ酸は、好ましくは、ペプチド結合により連結される。2つのアミノ酸を含む特に好ましいアミノ酸ビルディングブロックはFmoc-Pro-Pro-OHおよびFmoc-His(Trt)-Gly-OHである。
【0056】
リキシセナチドおよびエキセンジン-4の合成において位置1および2におけるHisおよびGly用のアミノ酸ビルディングブロックの代わりにFmoc-His(Trt)-Gly-OHを使用することにより望ましくないDesGly(2)-リキシセナチドの防止が可能となることが見出された。さらに、得られたリキシセナチドは、ラセミ化の結果としてもたらされるD-Hisの値の増進を示さなかった。
【0057】
Fmoc-His(Trt)-Gly-OHは、例えば、
i)Fmoc-His(Trt)-OHおよびH-Gly-OBzlトシレートを反応させる工程、および
ii)工程i)において得られた生成物のベンジル基を切断してFmoc-His(Trt)-Gly-OHを得る工程
を含む方法により形成させることができる。
【0058】
例示的な反応条件は実施例3に示される。
【0059】
本発明によるアミノ酸ビルディングブロックは、所望の位置においてのみアミノ酸鎖を選択的に伸長させるために好適な改変を含むことができる。アミノ酸ビルディングブロックの改変は、N末端、C末端または/およびアミノ酸の側鎖において行うことができる。
【0060】
アミノ酸ビルディングブロックのN末端アミノ官能基(すなわち、カップリングの成功後にアミノ酸鎖のN末端にあるアミノ基)を保護するために、ペプチドの合成、特にポリペプチドの固相合成のために一般的に使用される全ての種類の保護基を使用することができる。それらの種類の好適な一時的な保護基は当業者に公知である。好ましい態様では、アルカリ性環境中で不安定な保護基を使用することができる。好ましい態様では、アミノ酸ビルディングブロックのN末端アミノ基はFmoc保護基により保護される。
【0061】
アミノ酸ビルディングブロックのC末端カルボキシ基は、好ましくは、保護されないままである。
【0062】
本発明によるアミノ酸ビルディングブロックは、互いに独立して、D-アミノ酸およびグリシン、L-アミノ酸およびグリシンまたは/ならびにこれらの組合せを含むことができる。好ましい態様では、本発明によるアミノ酸ビルディングブロックのアミノ酸は、互いに独立してL-アミノ酸およびグリシンから選択される。好ましい態様では、アミノ酸は、α-アミノ酸から選択することができる。さらなる態様では、アミノ酸は、ポリペプチド中に天然に存在するアミノ酸などの天然に存在するアミノ酸から選択することができる。別の態様では、本発明によるアミノ酸ビルディングブロックは、Met(O)(メチオニンスルホキシドもしくはメチオニンスルホン)、Trp(O)(N-ホルミルキヌレニン)または/およびisoAsp(β-アスパラギン酸もしくはイソアスパラギン酸)などの人工アミノ酸を含むことができる。いっそうさらなる好ましい態様では、アミノ酸は、特にそれぞれD型またはそれぞれL型の、Ser、Thr、Trp、Lys、Ala、Asn、Asp、Val、Met、Phe、Ile、Pro、Arg、Glu、Gln、Leu、およびGlyから選択される。特に好ましい態様では、本発明によるアミノ酸ビルディングブロックは、特にそれぞれD型またはそれぞれL型の、Arg、Glu、Gln、Leu、およびGlyから選択されるアミノ酸を含む。
【0063】
特に、アミノ酸は、互いに独立して選択され、例えば、特にそれぞれD型またはそれぞれL型の、Ser、Thr、Trp、Lys、Ala、Asn、Asp、Val、Met、Phe、Ile、Pro、Arg、Glu、Gln、Leu、およびGlyから独立して選択される。
【0064】
一態様では、本発明によるアミノ酸ビルディングブロックの少なくとも1つの側鎖は、さらなる保護基により保護することができる。さらなる保護基は、好ましくは、N末端保護基に対して直交性である。前記側鎖のための好適な保護基は当業者に公知である。好適な保護基の例は、例えば、Trt、Boc、Bzl、Pdf、tBuおよびOtBuであり、これらは特定の側鎖の保護のために使用することができる。当業者は、いずれの側鎖がいずれの種類の保護基により保護される必要があるかを認識している。一態様では、実施例1.4に記載されるようなアミノ酸ビルディングブロックを使用することができる。アミノ酸ビルディングブロックが1つより多くの側鎖を含む場合、これらの側鎖の1つまたはそれ以上を、当業者に公知であるような好適な保護基から独立して選択される保護基により保護することができる。
【0065】
合成されるポリペプチドは、予め決定された配列を有するそれぞれ可能なペプチドであってもよい。好ましい態様では、合成されるポリペプチドはGLP-1アゴニストである。ポリペプチドはGLP-1アゴニストであり得、GLP-1アゴニストは、GLP-1ならびにそのアナログおよび誘導体、エキセンジン-3ならびにそのアナログおよび誘導体、エキセンジン-4ならびにそのアナログおよび誘導体からなる群から選択される。好ましい態様では、ポリペプチドは、エキセンジン-4およびリキシセナチドからなる群から選択される。最も好ましいのはリキシセナチドである。さらなる好ましい態様では、ポリペプチドは、アルビグルチド、デュラグルチドおよびセマグルチドから選択される。
【0066】
エキセンジン-3、エキセンジン-3のアナログおよび誘導体、エキセンジン-4ならびにエキセンジン-4のアナログおよび誘導体は、WO01/04156、WO98/30231、米国特許第5,424,286号、EP第99610043.4号およびWO2004/005342に記載されている。これらの文献を参照によって本明細書に組み入れる。これらの文献に記載のエキセンジン-3、エキセンジン-4ならびにこれらのアナログおよび誘導体は、本発明による方法により合成することができる一方、追加の改変を合成の完了後に行うことができる。
【0067】
リキシセナチド(配列番号1、図2)、エキセンジン-4(配列番号2、図2)およびエキセンジン-3(配列番号3、図2)は、高い程度の配列同一性を有する。リキシセナチドおよびエキセンジン-4の配列は位置1~37において同一である。エキセンジン-4の配列1~39は39の位置のうちの37(94%)においてエキセンジン-3と同一である(J. Biol. Chem. 267、1992年、7402~7405頁)。配列位置は、本明細書においてリキシセナチドまたはエキセンジン-4の配列に関して与えられる。これらの配列から開始して、当業者は、他の配列中の対応する位置を容易に決定することができる。
【0068】
エキセンジン-3または/ならびにエキセンジン-4のアナログおよび誘導体は、特に、改変されたアミノ酸配列を含む。一態様では、アミノ酸配列は、1つまたはそれ以上のアミノ酸(例えば、エキセンジン-4中のdesPro36、desPro37、desAsp28、desMet(O14)およびエキセンジン-3中の各々の位置)の欠失により改変される。一態様では、1つまたはそれ以上のアミノ酸を置換することができる一方(例えば、エキセンジン-4中のMet(O14)、Trp(O25、isoAsp28、Asp28、Pro38およびエキセンジン-3中の各々の位置)、天然に存在するまたは人工アミノ酸、例えば、Met(O)(メチオニンスルホキシドもしくはメチオニンスルホン)、Trp(O)(N-ホルミルキヌレニン)または/およびisoAsp(β-アスパラギン酸もしくはイソアスパラギン酸)などを導入することができる。人工アミノ酸は、合成サイクルにおいて各々のアミノ酸ビルディングブロックを使用することにより配列に容易に導入することができる。
【0069】
一態様では、ポリペプチドのC末端または/およびN末端は、例えば、-(Lys)-、-(Lys)-、-(Lys)-、-(Lys)-、-(Lys)-、-(Lys)-、および-Asn-(Glu)-などの配列の付加により、改変することができる。好ましい態様では、追加のアミノ酸配列は、例えば、-(Lys)-、-(Lys)-、-(Lys)-および-Asn-(Glu)-である。C末端カルボキシ基は、好ましくは、酸アミン基(-NH)である。場合により、C末端または/およびN末端の改変は、本発明による方法の合成サイクルの完了後に別々の工程において行われる。
【0070】
本発明による方法の合成サイクルの完了後、合成されたポリペプチドの薬学的に許容される塩を、場合により追加の工程において形成することができる。ポリペプチドの薬学的に許容される塩の形成方法は当業者に公知である。好ましい薬学的に許容される塩は、例えば、酢酸塩である。
【0071】
一態様では、GLP-1アゴニストは、好ましくは、エキセンジン-4、そのアナログおよび誘導体ならびにこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0072】
さらなる好ましいGLP-1アゴニストは、
H-desPro36-エキセンジン-4-Lys-NH
H-des(Pro36,37)-エキセンジン-4-Lys-NH
H-des(Pro36,37)-エキセンジン-4-Lys-NH、およびこれらの薬学的に許容される塩
からなる群から選択されるエキセンジン-4のアナログである。
【0073】
さらなる好ましいGLP-1アゴニストは、
desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1~39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン-4(1~39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1~39),
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン-4(1~39)、
desPro36[Trp(O25,Asp28]エキセンジン-2(1~39)、
desPro36[Trp(O25,IsoAsp28]エキセンジン-2(1~39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O25,Asp28]エキセンジン-4(1~39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O25,IsoAsp28]エキセンジン-4(1~39)、およびこれらの薬学的に許容される塩
からなる群から選択されるエキセンジン-4のアナログである。
【0074】
さらなる好ましいGLP-1アゴニストは、C末端において-Lys-NHペプチドでさらに改変された、上記のような群から選択されるエキセンジン-4のアナログである。
【0075】
さらなる好ましいGLP-1アゴニストは、
H-(Lys)-desPro36[Asp28]エキセンジン-4(1~39)-Lys-NH
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン-4(1~39)-NH
H-(Lys)-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1~39)-NH
H-Asn-(Glu)desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1~39)-NH
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1~39)-(Lys)-NH
H-(Lys)-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1~39)-(Lys)-NH
H-Asn-(Glu)-desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン-4(1~39)-(Lys)-NH
H-(Lys)-desPro36[Trp(O25,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-Lys-NH
H-desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O25]エキセンジン-4(1~39)-NH
H-(Lys)-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O25,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-NH
H-Asn-(Glu)-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O25,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-NH
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O25,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-(Lys)-NH
H-(Lys)-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O25,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-(Lys)-NH
H-Asn-(Glu)-desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O25,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-(Lys)-NH
H-(Lys)-desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-Lys-NH
desMet(O)14 Asp28 Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン-4(1~39)-NH
H-(Lys)-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-NH
H-Asn-(Glu)-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-NH
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-(Lys)-NH
H-(Lys)-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-Lys-NH
H-Asn-(Glu)-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-(Lys)-NH
H-(Lys)-desPro36[Met(O)14、Trp(O25,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-Lys-NH
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14、Trp(O25]エキセンジン-4(1~39)-NH
H-(Lys)-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14、Trp(O25,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-NH
H-Asn-(Glu)-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-NH
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14、Trp(O25,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-(Lys)-NH
H-(Lys)-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O25,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-(Lys)-NH
H-Asn-(Glu)-desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O25,Asp28]エキセンジン-4(1~39)-(Lys)-NH、およびこれらの薬学的に許容される塩
からなる群から選択されるエキセンジン-4のアナログである。
【0076】
さらなる態様では、好ましいGLP-1アゴニストは、GLP-1(特に、GLP-1(7~36)アミド、配列番号4)、Arg34,Lys26(Nε(γ-グルタミル(Nαヘキサデカノイル)))GLP-1(7~37)(リラグルチド)、アルビグルチド、デュラグルチド、セマグルチドおよびこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。特に、好ましいGLP-1アゴニストは、アルビグルチド、デュラグルチド、セマグルチドおよびこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。
【0077】
さらなる好ましいGLP-1アゴニストは、リキシセナチド(配列番号1)の他に、その薬学的に許容される塩である。
【0078】
一態様では、合成されるポリペプチドは、好ましくは、リキシセナチドまたはエキセンジン-4であり、アミノ酸ビルディングブロックArg(20)、Glu(17)、Gln(13)、Leu(10)または/およびGly(4)のカップリング後、工程(b)は、2%v/vの無水酢酸および1%v/vのジイソプロピルエチルアミンを含むキャップ付加試薬を用いて約10分間行われる。
【0079】
一態様では、本発明による方法は、固相合成の形態のポリペプチドの合成を含む。本発明による方法は、場合により:
(d)固相に連結したポリペプチドを切断する
さらなる工程を含む。
【0080】
工程(d)は、特に、アミノ酸鎖の合成が完了した時に行われる。工程(d)は、ポリペプチドが結合した固相を、トリフルオロ酢酸および1,2-エタンジチオールから本質的になる組成物と約23℃~約29℃の範囲内の温度で接触させることを含む、固相からの固相結合ポリペプチドの切断により行うことができる。
【0081】
切断は、約95~約99%v/vの量のトリフルオロ酢酸を含む組成物を用いて行うことができる。
【0082】
切断はまた、約1~約5%v/vの量の1,2-エタンジチオールを含む組成物を用いて行うことができる。
【0083】
好ましくは、切断は、約97%v/vの量のトリフルオロ酢酸および約3%v/vの量の1,2-エタンジチオールから本質的になる組成物を用いて行われる。
【0084】
切断は、組成物をポリペプチドが結合した固相と約25℃~約27℃の温度で接触させることにより行うことができる。
【0085】
好ましくは、切断は、組成物をポリペプチドが結合した固相と約26℃の温度で接触させることにより行われる。
【0086】
最も好ましくは、切断は、約97%v/vの量のトリフルオロ酢酸および約3%v/vの量の1,2-エタンジチオールから本質的になる組成物を用いて約26℃の温度で行われる。
【0087】
最も好ましくは、切断は、約97%v/vの量のトリフルオロ酢酸および約3%v/vの量の1,2-エタンジチオールから本質的になる組成物を用いて約26℃の温度で約4時間行われる。
【0088】
本発明の好ましい態様は、予め決定されたアミノ酸配列を含むポリペプチドの固相合成の方法であって、該方法は、アミノ酸鎖へのアミノ酸ビルディングブロックのカップリングサイクルを含み、
前記アミノ酸ビルディングブロックは、保護されていないC末端カルボキシル基および保護されたN末端アミノ基を含み、
かつ、前記アミノ酸鎖は、保護されていないN末端アミノ基を含み、
少なくとも1つのカップリングサイクルは:
(a)アミノ酸鎖とアミノ酸ビルディングブロックとの間にアミド結合が形成されるように、アミノ酸ビルディングブロックのC末端をアミノ酸鎖の保護されていないN末端アミノ基にカップリングする工程、
(b)工程(a)において得られた生成物を、無水酢酸を含むキャップ付加試薬と接触させ、無水酢酸が、工程(a)においてビルディングブロックがカップリングされなかったアミノ酸鎖の保護されていないN末端アミノ基に結合する工程、および
(c)アミノ酸ビルディングブロックのN末端アミノ基を脱保護する工程
を含み、
キャップ付加試薬は、0.5~5%v/vの無水酢酸および0.2~2%v/vのジイソプロピルエチルアミンを含む、
前記方法に関する。
【0089】
本発明のさらなる態様は、DMF中の0.5~5%v/vの無水酢酸および0.2~2%v/vのジイソプロピルエチルアミンを含む組成物に関する。好ましい態様では、本発明による組成物は、DMF中の1~3%v/vの無水酢酸および0~5~2%v/vのジイソプロピルエチルアミン、好ましくは、DMF中の約2%v/vの無水酢酸および約1%v/vのジイソプロピルエチルアミンを含む。
【0090】
本発明のさらに別の態様は、約1%v/vの濃度のジイソプロピルエチルアミンおよび約2%v/vの濃度の無水酢酸を含む組成物に関する。
【0091】
本発明のさらに別の態様は、0.5~5%v/vの濃度の無水酢酸のホモログを含む組成物に関する。好ましい態様では、無水酢酸ホモログの濃度は、1~3%v/v、より好ましくは約2%v/vである。組成物は、本明細書に記載されるようにDIPEAを含むことができる。
【0092】
本発明のさらに別の態様は、0.5~5%v/vの濃度の塩化ベンゾイルを含む組成物に関する。好ましい態様では、塩化ベンゾイルの濃度は、1~3%v/v、より好ましくは約2%v/vである。組成物は、本明細書に記載されるようにDIPEAを含むことができる。
【0093】
本発明のさらに別の態様は、0.5~5%v/vの濃度のN-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミドを含む組成物に関する。好ましい態様では、N-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミドの濃度は、1~3%v/v、より好ましくは約2%v/vである。組成物は、本明細書に記載されるようにDIPEAを含むことができる。
【0094】
本発明のさらに別の態様は、0.5~5%v/vの濃度のクロロギ酸ベンジルを含む組成物に関する。好ましい態様では、クロロギ酸ベンジルの濃度は、1~3%v/v、より好ましくは約2%v/vである。組成物は、本明細書に記載されるようにDIPEAを含むことができる。
【0095】
本発明のさらに別の態様は、0.5~5%v/vの濃度のクロロギ酸のエステルを含む組成物に関する。好ましい態様では、クロロギ酸のエステルの濃度は、1~3%v/v、より好ましくは約2%v/vである。組成物は、本明細書に記載されるようにDIPEAを含むことができる。
【0096】
本発明のさらに別の態様は、0.5~5%v/vの濃度の1-アセチルイミダゾールを含む組成物に関する。好ましい態様では、1-アセチルイミダゾールの濃度は、1~3%v/v、より好ましくは約2%v/vである。組成物は、本明細書に記載されるようにDIPEAを含むことができる。
【0097】
本発明のさらに別の態様は、0.5~5%v/vの濃度の二炭酸ジ-tert-ブチルを含む組成物に関する。好ましい態様では、二炭酸ジ-tert-ブチルの濃度は、1~3%v/v、より好ましくは約2%v/vである。組成物は、本明細書に記載されるようにDIPEAを含むことができる。
【0098】
本発明のさらに別の態様は、0.5~5%v/vの濃度のN-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)スクシンイミドを含むキャップ付加組成物に関する。好ましい態様では、N-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)スクシンイミドの濃度は、1~3%v/v、より好ましくは約2%v/vである。組成物は、本明細書に記載されるようにDIPEAを含むことができる。
【0099】
本発明による組成物は、ポリペプチドの合成、特に、本明細書に記載されるようなポリペプチドの合成における遊離アミノ基のキャップ付加のために使用することができる。さらに、本発明による組成物は、本明細書に記載されるような遊離炭素結合アミノ基のアセチル化のために使用することができる。
【0100】
好ましい態様では、本発明による組成物は、リキシセナチド、エキセンジン-3もしくはエキセンジン-4の位置Arg(20)、Glu(17)、Gln(13)、Leu(10)もしくは/およびGly(4)、またはさらなるGLP-1アナログの各々の位置のカップリング工程(a)の後に、例えば、10分の期間にわたり、本発明による方法の工程(b)において適用される。
【0101】
本発明のさらに別の態様は、ポリペプチド合成における保護されていないアミノ基のアセチル化のための、本明細書に記載されるような組成物の使用である。
【0102】
略語
Ac(N1~N2):位置N1~N2のポリペプチドのN末端がアセチル化された断片。
H(N1~N2)または(N1~N2):遊離のN末端アミノ官能基を含む位置N1~N2のポリペプチドの断片。
Fmoc(N1~N2):保護基がFmocである、保護されたN末端アミノ官能基を含む位置N1~N2のポリペプチドの断片。
(N-1)不純物:ある特定の位置においてビルディングブロックを欠いている、ペプチド合成の間の意図しないペプチドの出現に関する。意図する合成ポリペプチドが長さNを有する場合、不純物はN-1の長さを有する。(N-1)不純物の出現はキャップ付加により防止される。
Fmoc フルオレニルメトキシカルボニル
Boc tert-ブトキシカルボニル
Bzl ベンジル
Pbf 2,2,5,7,8-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル
tBu tert-ブチル
OtBu O-tert-ブチル
Trt トリチル
DIPE ジイソプロピルエーテル
【0103】
本発明は、以下の図面および実施例によりさらに特徴付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
図1】ペプチドの固相合成。
図2】リキシセナチド(配列番号1)、エキセンジン-4(配列番号2)、エキセンジン-3(配列番号3)およびGLP-1(GLP-1(7~36)アミド、配列番号4)の配列。
図3】リキシセナチドの合成の間のアセチル化された誤った配列の出現。Fmoc-Arg(20)-OHのカップリングおよびその後のキャップ付加/Fmocの切断。位置21(Leu)を合成から省略したことに留意すべきである。(1)Fmoc-(22~44)+Arg、(2)(22~44)+Arg、(3)Ac(22~44)+Arg、(4)Fmoc-(22~44)+Arg+Val。データは、アセチル化された断片がキャップ付加工程の間に既に形成されているが、誤った位置がアセチル化されている[Ac(22~24)+ArgがArgのキャップ付加の間に既に出現している]ことを示す。
図4】リキシセナチドの合成の間のアセチル化された誤った配列の出現。Fmoc-Gln(13)-OHのカップリングおよびその後のキャップ付加/Fmocの切断。(1)Ac(14~44)、(2)Fmoc(13~44)、(3)Ac(13~44)、(4)(13~44)、(5)(14~44)。データは、アセチル化された断片がキャップ付加工程の間に既に形成されているが、誤った位置がアセチル化されている(Ac(13~44))ことを示す。
図5】リキシセナチドの合成の間のアセチル化された誤った配列の出現。Fmoc-Lys(12)-OHのカップリングおよびその後のキャップ付加/Fmocの切断。(1)Ac(13~44)、(2)Fmoc(12~44)、(3)Ac(12~44)、(4)(12~44)。データは、アセチル化された断片がキャップ付加工程の間に既に形成されているが、誤った位置がアセチル化されている(Ac(12~44))ことを示す。
図6】HPLCクロマトグラフィーによるDMF中の10%の無水酢酸および5%v/vのDIPEAを用いた20分間のキャップ付加(A)と比較した本発明によるキャップ付加の方法(B)を使用したリキシセナチドの合成の比較。(C)(A)および(B)のHPLCクロマトグラムのオーバーラップ。
図7】リキシセナチド(未加工生成物)のHPLC。赤:望ましくないアセチル化された副生成物。
図8】キャップ付加カクテルおよび温度に依存したAc(36~44)の形成。
図9】キャップ付加カクテルおよび温度に依存したAc(23~44)の形成。
図10】キャップ付加カクテルおよび温度に依存したAc(21~44)の形成。
図11】キャップ付加カクテルおよび温度に依存したAc(19~44)の形成。
図12】キャップ付加カクテルおよび温度に依存したAc(18~44)の形成。
図13】キャップ付加カクテルおよび温度に依存したAc(15~44)の形成。
図14】キャップ付加カクテルおよび温度に依存したAc(12~44)の形成。
図15】キャップ付加カクテルおよび温度に依存したAc(8~44)の形成。
図16】キャップ付加カクテルおよび温度に依存したAc(6~44)の形成。
図17】15℃、室温(RT)および30℃でのリキシセナチド合成における9つの異なる位置でのキャップ付加におけるAc(X~44)含有量の比較。
図18】15℃、室温(RT)および30℃でのリキシセナチド合成における9つの異なる位置でのキャップ付加におけるAc[(X-1)~44]含有量の比較。
図19】異なるキャップ付加条件下でのリキシセナチド合成における9つの異なる位置での異なる条件下でのキャップ付加、またはキャップ付加なしでのAc(X~44)含有量の比較。
図20】異なるキャップ付加条件下でのリキシセナチド合成における9つの異なる位置での異なる条件下でのキャップ付加、またはキャップ付加なしでのAc[(X-1)~44]含有量の比較。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0105】
リキシセナチドの合成
活性物質リキシセナチドは、44アミノ酸から構成されるポリペプチドアミドであり、酢酸塩は対イオンとして機能する。
【0106】
1文字表記において、リキシセナチドのアミノ酸配列は以下の通りである:
H-G-E-G-T-F-T-S-D-L-S-K-Q-M-E-E-E-A-V-R-L-F-l-E-W-L-K-N-G-G-P-S-S-G-A-P-P-S-K-K-K-K-K-K-NH
【0107】
C末端、Lys-44から開始する直鎖固相合成によりペプチド鎖を構築した。
【0108】
合成の方法はFmoc固相ペプチド合成であり、ペプチドアミドを得るためにRinkアミド樹脂を使用した。反応はDMF中で室温で実行した。反応の間に、主にDMFを用いて、洗浄を繰り返し実行し、中間洗浄工程の1つはイソプロパノールを用いて実行した。
【0109】
ポリマー支持体上のリキシセナチドの合成は、以下の工程に分けることができる:
・Rink樹脂への第1のFmoc-アミノ酸(Fmoc-Lys(Boc)-OH)のカップリング
・未反応アミノ基のキャップ付加
・一時的な保護基Fmocの切断
・さらなるFmoc-アミノ酸またはFmoc-ジペプチドのカップリング
・未反応アミノ基のキャップ付加
・最終のFmocの切断
・樹脂からのリキシセナチドの切断および側鎖保護基の同時の除去
【0110】
合成サイクルを図1に示す。
【0111】
1.1 Rink樹脂への第1のFmoc-アミノ酸(Fmoc-Lys(Boc)-OH)のカップリング
合成を開始する前に、Rinkアミド樹脂をDMF中で膨潤させた。膨潤は、2~15時間実行した。その後に、DMF中の25%のピペリジンを使用して一時的な保護基FmocをRinkアミド樹脂から切断した。この切断は、5分および20分の切断時間で2回行った。Fmocの切断後、DMFを用いて繰り返しでおよびイソプロパノールを用いて1回、樹脂を洗浄した。
【0112】
樹脂をロードするために、第1のFmoc-アミノ酸、Fmoc-Lys(Boc)-OHのカップリングを過剰量の2.4当量において実行した。HOBt水和物、HBTUおよびDIPEAはカップリング試薬として働いた。カップリング時間は60~120分であった。
【0113】
Rink樹脂をFmoc-Lys(Boc)-OHと完全にロードするために、カップリング試薬HOBt水和物およびDICを用いてさらなるローディングを実行した。カップリング時間は6~18時間であった。工程1.1を実行しながら混合物を撹拌した。キャップ付加をその後に実行した。
【0114】
1.2 未反応アミノ基のキャップ付加
樹脂の不完全なローディングの帰結は、まだ未反応のアミノ基が樹脂上に見出されることである。無水酢酸/DIPEA/DMF(10:5:85)の混合物を加えることにより、これらを不活性化し、それゆえさらなるカップリングのために利用不可能とした。撹拌しながらキャップ付加混合物を樹脂上に20分間残留させた。残留する遊離アミノ基をアシル化した。その後に、DMFを用いて繰り返しでおよびイソプロパノールを用いて1回、樹脂を洗浄した。
【0115】
リキシセナチド合成の少なくとも5つの位置における本発明によるキャップ付加方法は実施例4および5に記載される。
【0116】
1.3.一時的な保護基Fmocの切断
DMF中の25%のピペリジンを使用して一時的な保護基Fmocを切断した。この切断は、5分および20分の切断時間で2回行った。Fmocの切断後、DMFを用いて繰り返しでおよびイソプロパノールを用いて1回、樹脂を洗浄した。
【0117】
1.4 さらなるFmoc-アミノ酸またはFmoc-ジペプチドのカップリング
次のFmoc-アミノ酸を樹脂上の脱保護されたアミノ基にカップリングした。カップリングは、異なる当量においてDMF中で実行した。カップリング時間は2時間~18時間であった。HOBt/DIC、そしてまたHBTU/DIPEAをカップリング試薬として使用した。
【0118】
以下の誘導体をFmoc-アミノ酸として使用した:
・Fmoc-Lys(Boc)-OH
・Fmoc-Ser(tBu)-OH
・Fmoc-Pro-OH
・Fmoc-Ala-OH×H
・Fmoc-Gly-OH
・Fmoc-Asn(Trt)-OH
・Fmoc-Leu-OH
・Fmoc-Trp(Boc)-OH
・Fmoc-Glu(OtBu)-OH×H
・Fmoc-Ile-OH
・Fmoc-Phe-OH
・Fmoc-Arg(Pbf)-OH
・Fmoc-Val-OH
・Fmoc-Met-OH
・Fmoc-Gln(Trt)-OH
・Fmoc-Asp(OtBu)-OH
・Fmoc-Thr(tBu)-OH
・Fmoc-His(Trt)-OH
【0119】
代替的に、Fmoc-ジペプチドを使用することも可能であった(本発明による方法):
・Fmoc-Pro-Pro-OH(CAS 129223-22-9)
・Fmoc-Ala-Pro-OH(CAS 186023-44-9)
・Fmoc-Ser(tBu)-Gly-OH(CAS 113247-80-6)
・Fmoc-Gly-Pro-OH(CAS 212651-48-4)
・Fmoc-Gly-Gly-OH(CAS 35665-38-4)
・Fmoc-Asn(Trt)-Gly-OH(Bachem B-3630より)
・Fmoc-Glu(OtBu)-Gly-OH(CAS 866044-63-5)
・Fmoc-His(Trt)-Gly-OH
【0120】
カップリングがカイザー試験にしたがって不完全であると見出された場合(E. Kaiser et al、Anal. Biochem. 34、1970年、595頁)、さらなるカップリングが可能であった。この目的のために、HBTU/DIPEA/HOBt水和物と共に、Fmoc-アミノ酸を再びカップリングさせた。
【0121】
1.5 未反応アミノ基のキャップ付加
要点1.2の記載を参照。
【0122】
1.6 最終のFmocの切断
最終のFmocの切断を要点1.3に記載したように実行した。ジイソプロピルエーテルを用いて樹脂を最後に再び洗浄し、減圧下で乾燥させた。
【0123】
1.7 樹脂からのリキシセナチドの切断および側鎖保護基の同時の除去
実施例6に記載したようにRink樹脂からのリキシセナチドの切断を実行した。
【0124】
1.8 ジペプチドの本発明の使用を用いたリキシセナチドの合成
HBTU/DIPEA/HOBt水和物を用いて樹脂への第1のFmoc-Lys(Boc)-OHのカップリングを実行した。Rinkアミド樹脂の遊離アミンへの第1のアミノ酸Fmoc-Lys(Boc)-OHのカップリング後、以下の処理工程を際限なしの繰り返しのサイクルで実行した(工程1.3~1.6も参照):
・Fmocの切断
・カップリング
・必要な場合、さらなるカップリング
・キャップ付加
・最終のアミノ酸単位のカップリング後、N末端Fmoc基を切断する。
【0125】
DIC/HOBtを用いて標準的なFmoc保護されたアミノ酸をカップリングし、過剰量のアミノ酸およびカップリング試薬は2~4当量であった。
【0126】
位置Pro(36)およびPro(37)において、2つのFmoc-Pro-OHアミノ酸誘導体の代わりにHBTU/DIPEAを用いてジペプチドFmoc-Pro-Pro-OHをカップリングした。
【0127】
位置Pro(31)において、HBTU/DIPEA/HOBt水和物を用いてカップリングを実行した。
【0128】
位置His(1)およびGly(2)において、アミノ酸誘導体Fmoc-His(Boc)-OHおよびFmoc-Gly-OHの代わりにジペプチドFmoc-His(Trt)-Gly-OHをカップリングした。
【0129】
カップリング後に、実施例4および5に記載されるように、AcO/DIPEAを用いて各場合においてキャップ付加を実行した。
【0130】
DMF中の25%のピペリジンを用いてFmocの切断を行い、各場合において連続的に最初に5分の反応時間、次に20~40分の反応時間とした。
【0131】
カップリングの完了はカイザー試験により確認した。
【0132】
最後のカップリングおよびFmoc基の最後の切断後、最初にDMFを用いて繰り返しで、次にイソプロパノールを用いておよび最後にジイソプロピルエーテルを用いて樹脂を洗浄し、その後に減圧下35℃で乾燥させた。
【0133】
1,2-エタンジチオールなどのスカベンジャーを用いて樹脂からの生ペプチドの切断をトリフルオロ酢酸中で実行した。
【0134】
固相としてC18 RPシリカゲルを用いて2工程HPLC処理において生ペプチドを精製した。第1の精製工程において、0.1%のTFAと共にアセトニトリル/水を含む緩衝系を使用し;第2の工程において、AcOHと共にアセトニトリル/水を含む緩衝系を使用した。プールした溶液の濃縮後、純粋なペプチドをフリーズドライにより得た。
【0135】
0.3mmol/gのローディングを伴うRinkアミド樹脂3500g(すなわち、1.05molバッチ)の使用は樹脂上のペプチド9970gを与えた。生ペプチド4636gをそこから得た。
【0136】
精製後、純粋なペプチド576gをそこから得た。MS:4855.5(モノアイソトピックモル質量);測定値4855.6。アミノ酸シークエンシング:正しい配列が見出された。アッセイ:89.0%(そのまま)。
【0137】
1.9 ジペプチドを使用しないリキシセナチドの合成
C末端、Lys-44から開始して、直鎖固相合成によりペプチド鎖を構築した。
【0138】
DIC/HOBtを用いて標準的なFmoc保護されたアミノ酸をカップリングし、過剰量のアミノ酸およびカップリング試薬は2~4当量であった。
【0139】
位置Pro(37)、Pro(36)、Pro(31)において、HBTU/DIPEA/HOBt水和物を用いてカップリングを実行した。
【0140】
各カップリングに続いてAcO/DIPEAを用いてキャップ付加を行った。DMF中の25%のピペリジンを用いてFmocの切断を行い、各場合において連続的に最初に5分の反応時間、次に20分の反応時間とした。
【0141】
カップリングの完了はカイザー試験により確認した。最後のカップリングおよびFmoc基の最後の切断後、最初にDMFを用いて繰り返しで、次にイソプロパノールを用いておよび最後にジイソプロピルエーテルを用いて樹脂を洗浄し、その後に減圧下35℃で乾燥させた。
【0142】
1,2-エタンジチオール、チオアニソール、フェノールおよび水などのスカベンジャーを用いて樹脂からの生ペプチドの切断をトリフルオロ酢酸中で実行した。
【0143】
固相としてC18 RPシリカゲルを用いて2工程HPLC処理において生ペプチドを精製した。プールした溶液の濃縮後、純粋なペプチドをフリーズドライにより得た。表1は、ジペプチドを使用した合成とジペプチドなしの合成との間のラセミ化D-His-リキシセナチドの含有量および純粋なペプチド中の何らかの不純物の含有量を比較する。
【0144】
【表1】
【0145】
データは、ジペプチドFmoc-His(Trt)-GIy-OHの使用は、ラセミ化から生じるD-Hisの上昇した値を含有しないリキシセナチドを与えることを示す。さらに、Fmoc-His(Trt)-GIy-OHを使用した場合、desGly(2)-リキシセナチドはもはや見出されない。さらには、鎖位置Pro(36)およびPro(37)の付近のN-1およびN+1ペプチド(例えば、desPro(36)-リキシセナチドまたはdiPro(36)リキシセナチド)は出現しなかった。
【実施例2】
【0146】
(本発明による)エキセンジン-4の合成、精製および特徴付け
活性物質エキセンジン-4は39アミノ酸から構成されるポリペプチドアミドであり、酢酸塩は対イオンとして機能する。
【0147】
1文字表記において、アミノ酸配列は以下の通りである:
H-G-E-G-T-F-T-S-D-L-S-K-Q-M-E-E-E-A-V-R-L-F-I-E-W-L-K-N-G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S-NH
MW 4186.66g/mol;MW(モノアイソトピック)=4184.03g/mol。
【0148】
上記の配列にしたがって、リキシセナチドの合成において詳細に記載したようにエキセンジン-4の合成を実行した。位置1および2において、Fmoc-His(Trt)-Gly-OHを用いて1サイクルでカップリングを実行した。位置37および38において、Fmoc-Pro-Pro-OHを用いて1サイクルでカップリングを実行した。他の位置において、Fmoc-アミノ酸(モノアミノ酸単位)を用いてカップリングを実行した。
【0149】
0.42mmol/gのローディングを伴うRinkアミド樹脂26.666g(すなわち、11.2mmolバッチ)の使用は樹脂上のペプチド74gを与えた。これから、樹脂上のペプチド65gを切断し、生ペプチド28gを得た。精製のために、これから、生ペプチド21.3gを使用し、純粋なペプチド4.01gを得た。MS:4184.03(モノアイソトピックモル質量):測定値4185.1[M+H]。純度98.25 FI%。
【0150】
ジペプチドの使用は、リキシセナチドについて得られた結果を裏付けた。ジペプチドFmoc-His(Trt)-GIy-OHの使用は、ラセミ化から生じるD-Hisの上昇した値を含有しないエキセンジン-4を与える。さらに、Fmoc-His(Trt)-GIy-OHを使用した場合、desGly(2)-エキセンジン-4はもはや見出されない。さらには、鎖位置Pro(36)およびPro(37)の付近のN-1およびN+1ペプチド(例えば、desPro(36)-エキセンジン-4またはdiPro(36)エキセンジン-4)は出現しなかった。
【実施例3】
【0151】
Fmoc-His(Trt)-Gly-OHの合成
3.1 Fmoc-His(Trt)-Gly-OBzl
【化1】
【0152】
酢酸エチル400ml中のH-Gly-OBzlトシレート32.7gおよびHBTU 29.37gと共にFmoc-His(Trt)-OH 40gを溶解した。その後、N-エチルモルホリン33.32mlを加えた。反応混合物を30℃で4時間撹拌した。その後、各回に8%の重炭酸ナトリウム溶液256gを用いて抽出を3回実行し、次に水250mlを用いて洗浄を1回実行した。結果として得られた酢酸エチル溶液の半分を蒸発させ、次の工程においてさらに処理した。
【0153】
3.2 Fmoc-His(Trt)-Gly-OH
【化2】
【0154】
5:2:2(w/w/w)のTHF/酢酸エチル/MeOH混合物が形成されるようにTHFおよびメタノールを酢酸エチル相に加えた。その後に、炭素触媒(5%)上のパラジウム10gを加え、この混合物を30℃および1.1barの水素圧力において2.5時間水素化した。その後、触媒を濾過し、結果として得られた溶液を沈殿物の形成が始まるまで蒸発させた。その後の撹拌を1時間実行し、溶液を室温で4日間静置した。生成物を濾過した後、2-ブタノン中80℃で4時間撹拌することにより抽出した。収率:Fmoc-His(Trt)-Gly-OH 32.9g(75%)。
【実施例4】
【0155】
リキシセナチドの合成の間のアセチル化された誤った配列
4.1 リキシセナチドの合成の間のアセチル化された誤った配列の含有量の決定
ある程度のアセチル化された誤った配列を粗リキシセナチド生成物のHPLCプロファイル中に見ることができる。これらは、通常、キャップ付加されている樹脂上の未反応アミノ基から生じる。キャップ付加により達成されるのは、(N-1)不純物が出現し得ないということであり、(N-1)不純物は所望の生成物からわずかにのみ異なり、それゆえ精製による除去が困難である。
【0156】
完了および選択された位置におけるカップリング速度論をエドマン分解によりモニターした。樹脂試料をリキシセナチドの合成から取り、Fmoc基をそれから切断した。この樹脂試料を次にエドマン分解に供し、このようにして(N-1)アミノ酸に対するカップリングされたアミノ酸の比を決定することができ、それからカップリング収率を直接的に推定することができた。エドマン分解の結果(表2)は高いカップリング値を示す。これらの値は非常に高いため、アセチル化された誤った配列の量を説明し得ない(表2中のHPLCデータ)。これは、これらの副生成物を形成する代替的な様式があるに違いないことを意味する。この状況の解明は以下のセクションに記載される。
【0157】
【表2】
【0158】
4.2 アセチル化された誤った配列の形成
アセチル化された誤った配列が形成される合成サイクル中の時点を調べるために、樹脂試料をカップリングサイクルにわたり採取し、ペプチドを切断し、LC-MSを使用して調べた。これらの調査は、Fmoc-Arg(20)-OHのカップリングおよびFmoc-Gln(13)-OHのカップリングの位置において実行した。
【0159】
リキシセナチド部分配列H(22~24)の固相結合ペプチドへのFmoc-Arg(20)-OHのカップリングにおいて、1時間、2時間、4時間、8時間および24時間のカップリング時点の後、ならびにキャップ付加、その後のFmocの切断およびバリン(19)のカップリングの後にも試料を採取した。図3に見ることができるように、誤った配列Ac(22~44)+Argはキャップ付加工程の間に初めて出現した(3.1%)。したがって、キャップ付加の間に、小部分のFmoc基は切断(損失)され、直ちにアシル化される。呼称Ac(22~24)+Argを説明するために、位置21(Leu)は合成から省略したことを留意すべきである。
【0160】
リキシセナチド合成の間のFmoc-Gln(13)-OHのカップリングについて同じ実験を実行した(図4)。この場合、誤った配列Ac(13~44)は、グルタミン(13)のカップリングおよびキャップ付加の後のFmocの切断の間に初めて観察された(4.6%)。Fmoc-Lys(12)-OHのカップリング後の合成の残りの経過中に、キャップ付加の間にAc(12~44)もまた形成された(4.1%)ことを見ることができる(図5を参照)。
【0161】
実験は、使用される混合物のキャップ付加能力が、潜在的な(N-1)不純物がもはやキャップ付加されないような顕著な程度まで低減されることなく、N個目のアミノ酸(カップリングされる最後のもの)のアセチル化された誤った配列の望ましくない形成が防止されるキャップ付加条件をサーチすることが必要であることを示す。
【0162】
4.3 キャップ付加条件におけるバリエーション
Fmoc-Arg(20)-OH、Fmoc-Leu(10)-OH、Fmoc-Gly(4)-OHおよびFmoc-Thr(5)-OHのカップリングを調べた。様々なキャップ付加条件を互いに比較した。
【0163】
キャップ付加条件をリキシセナチドの実験室合成において変化させた。望ましくないAc(N~44)および所望のAc([N-1]~44)の含有量に特に注目した。試験した条件は以下の通りである:
・20分間のDMF中の10%の無水酢酸/5%のDIPEA
・10分間のDMF中の10%の無水酢酸/5%のDIPEA
・20分間のDMF中の2%の無水酢酸/1%のDIPEA
・10分間のDMF中の2%の無水酢酸/1%のDIPEA。
【0164】
調査は、位置Arg(20)、Leu(10)、Thr(5)およびGly(4)において実行した。結果を表3~6にまとめている。
【0165】
データをまた、リキシセナチドのGMP合成の結果(表3~6における「GMPキャップ付加」)と比較した。キャップ付加条件は、DMF中の10%の無水酢酸/5%のDIPEAの条件に対応した。GMPバッチにおけるキャップ付加混合物との樹脂の接触時間はさらに7~8分長く、したがって27~28分であった。これは、キャップ付加混合物を排出するためにより長い時間を要したことから生じた。
【0166】
4.3.1 位置Arg(20)におけるカップリング
Fmoc-Arg(Pbf)-OHをLeu(21)にカップリングした。カップリングが起こらなかった鎖(生成物H(21~44))において、生成物Ac(21~44)をその後のキャップ付加により形成した。生成物Ac(20~44)およびH(20~44)の両方は、キャップ付加の間にFmoc基が望ましくなく切断される場合(H(20~44)の形成)およびアセチル化が起こる場合(Ac(20~44)の形成)に形成される。
【0167】
望ましくない生成物H(20~44)およびAc(20~44)の形成の程度はキャップ付加時間ならびに無水酢酸およびDIPEAの量の両方に依存することを表3において明確に見ることができる(Ac(20~44)%の列を参照)。最も高いパーセンテージ値はGMPキャップ付加において見ることができる。Ac(20~44)の最も低い含有量は、「10分間のDMF中の2%の無水酢酸/1%のDIPEA」の条件下で見出される。
【0168】
様々なキャップ付加混合物(およびそれゆえ元々の意図した使用)のキャップ付加能力はおおよそ同じであり(列Ac(21~44)を参照)、すなわち、全てのキャップ付加混合物はH(21~44)を変換する。「10分間のDMF中の2%の無水酢酸/1%のDIPEA」の混合物はまた、(N-1)不純物を回避するという所望の目的を達成する。
【0169】
【表3】
【0170】
4.3.2 位置Leu(10)、Gly(4)およびThr(5)におけるカップリング
Leu(10)についての結果を表4に与え、これは、位置Arg(20)について得られた結果を裏付ける。生成物H(11~44)の遊離アミノ基のキャップ付加の間に形成される望ましくない生成物Ac(10~44)およびH(10~44)の含有量は、「10分間の2%の無水酢酸、1%のDIPEA」の条件下で最も低い。キャップ付加能力は異なるキャップ付加混合物において同等である。
【0171】
【表4】
【0172】
Gly(4)のカップリングについても、望ましくない生成物Ac(4~44)の含有量はキャップ付加混合物および反応時間に依存している。キャップ付加能力は異なる混合物において同じである(表5)。
【0173】
【表5】
【0174】
位置Arg(20)、Leu(10)およびGly(4)に加えて、位置Thr(5)もまた調べた。3つの以前の位置とは対照的に、望ましくない生成物Ac(N~44)(位置5におけるAc(5~44))の含有量は様々なキャップ付加条件下でおおよそ同じである。しかしながら、異なる混合物のキャップ付加能力もまたここでは同等である(表6)。
【0175】
【表6】
【0176】
4.3.3 要約
位置Arg(20)、Leu(10)およびGly(4)において、穏やかなキャップ付加混合物(10分間のDMF中の2%の無水酢酸/1%のDIPEA)は、アシル化による(N-1)不純物を回避するという所望の効果を維持するために充分である。しかしながら、これらの3つの場合において、Ac(20~44)、Ac(10~44)およびAc(4~44)の各々の形成は、キャップ付加時間、そしてまたキャップ付加混合物に依存している。これは位置Thr(5)には当てはまらない。
【実施例5】
【0177】
リキシセナチドの合成
本実施例は、リキシセナチド(配列番号1を参照)の合成に関する。合成の開始時に、固相結合リンカーはFmoc保護基を有する。カップリングサイクルにおいてC末端(位置44)から開始してN末端へと個々のアミノ酸単位をカップリングさせた。カップリングサイクルは、
・Fmocの切断
・Fmoc保護されたアミノ酸単位のカップリングおよび
・キャップ付加
の工程からなる。
【0178】
位置Arg(20)、Glu(17)、Gln(13)、Leu(10)およびGly(4)において、本発明によるキャップ付加方法(10分間のDMF中の2%の無水酢酸/1%のDIPEA)を使用した。これらの位置について、カップリングサイクルについての指示は以下に記載される。他の位置において、20分間のDMF中の10%の無水酢酸/5%のDIPEAを用いてキャップ付加を実行した。このキャップ付加は、例として、位置Thr(5)において記載される。本発明によるキャップ付加方法は、より穏やかな条件を含む。
【0179】
バッチサイズはRink樹脂1050mmolであった。
【0180】
5.1 位置20におけるFmoc-Arg(Pbf)-OHのカップリング
5.1.1 Fmocの切断
DMF 7l、続いてDMF 16.6l中のピペリジン7.9lの混合物を反応器に加えた。この混合物を5分間撹拌し、次に吸引を用いて濾過した。この処理を繰り返し、撹拌を30分間実行し;次に吸引を用いる濾過を再び実行した。Fmocの切断後、以下の順序で樹脂を7回洗浄した:DMF(31.1l)、DMF(31.1l)、イソプロパノール(31.1l)、DMF(31.1l)、DMF(8l)、DMF(31.1l)、DMF(31.1l)。ここで反応器を各回に各々の洗浄溶媒で満たし、次に撹拌を3分間実行し、吸引を用いる濾過を再び実行した。
【0181】
5.1.2 Fmoc-Arg(Pbf)-OHのカップリング
DMF 21lを反応器に加えた。その後、FmocArg(Pbf)-OH 2.125kgを秤量して入れ、DMF 5.3lを加えた。完全な溶解後、この溶液を全て、続いてDMF 2.2l中のヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt水和物)502gの溶液を反応器に注いだ。最後に、N,N-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)413gを反応器に加えた。カップリング時間は6~18時間であった。カップリング後、溶媒を吸引により樹脂から濾過し、キャップ付加を直ちに続けた。
【0182】
5.1.3 キャップ付加(本発明による)
反応器をDMF 26.3lで満たした。同時に、DMF 1.2l、無水酢酸0.53lおよびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)0.26lを2l Schottボトル中で混合し、反応器中の樹脂に加えた。反応器を10分間撹拌し、次に吸引を用いる濾過を実行した。キャップ付加後、以下の順序で樹脂を5回洗浄した:DMF(24l)、イソプロパノール(31.1l)、DMF(8l)、DMF(31.5l)、DMF(31.5l)。ここで反応器を各回に各々の洗浄溶媒で満たし、次に撹拌を3分間実行し、吸引を用いる濾過を再び実行した。
【0183】
5.2.位置17におけるFmoc-Glu(OtBu)-OH水和物のカップリング
5.2.1 Fmocの切断
DMF 7l、続いてDMF 16.6l中のピペリジン7.9lの混合物を反応器に加えた。この混合物を5分間撹拌し、次に吸引を用いて濾過した。この処理を繰り返し、撹拌を30分間実行し;次に吸引を用いる濾過を再び実行した。Fmocの切断後、以下の順序で樹脂を7回洗浄した:DMF(31.1l)、DMF(31.1l)、イソプロパノール(31.1l)、DMF(31.1l)、DMF(8l)、DMF(31.1l)、DMF(31.1l)。ここで反応器を各回に各々の洗浄溶媒で満たし、次に撹拌を3分間実行し、吸引を用いる濾過を再び実行した。
【0184】
5.2.2 Fmoc-Glu(OtBu)-OH水和物のカップリング
DMF 21lを反応器に加えた。その後、FmocGlu(OtBu)-OH水和物1.453kgを秤量して入れ、DMF 5.3lを加えた。完全な溶解後、この溶液を全て、続いてDMF 2.2l中のヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt水和物)502gの溶液を反応器に注いだ。最後に、N,N-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)413gを反応器に加えた。カップリング時間は6~18時間であった。カップリング後、溶媒を吸引により樹脂から濾過し、キャップ付加を直ちに続けた。
【0185】
5.2.3 キャップ付加(本発明による)
反応器をDMF 26.3lで満たした。同時に、DMF 1.2l、無水酢酸0.53lおよびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)0.26lを2l Schottボトル中で混合し、反応器中の樹脂に加えた。反応器を10分間撹拌し、次に吸引を用いる濾過を実行した。キャップ付加後、以下の順序で樹脂を5回洗浄した:DMF(24l)、イソプロパノール(31.1l)、DMF(8l)、DMF(31.5l)、DMF(31.5l)。ここで反応器を各回に各々の洗浄溶媒で満たし、次に撹拌を3分間実行し、吸引を用いる濾過を再び実行した。
【0186】
5.3 位置13におけるFmoc-Gln(Trt)-OHのカップリング
5.3.1 Fmocの切断
DMF 7l、続いてDMF 16.6l中のピペリジン7.9lの混合物を反応器に加えた。この混合物を5分間撹拌し、次に吸引を用いて濾過した。この処理を繰り返し、撹拌を35分間実行し;次に吸引を用いる濾過を再び実行した。Fmocの切断後、以下の順序で樹脂を7回洗浄した:DMF(31.1l)、DMF(31.1l)、イソプロパノール(31.1l)、DMF(31.1l)、DMF(8l)、DMF(31.1l)、DMF(31.1l)。ここで反応器を各回に各々の洗浄溶媒で満たし、次に撹拌を3分間実行し、吸引を用いる濾過を再び実行した。
【0187】
5.3.2 Fmoc-Gln(Trt)-OHのカップリング
DMF 21lを反応器に加えた。その後、FmocGln(Trt)-OH 2.001kgを秤量して入れ、DMF 5.3lを加えた。完全な溶解後、この溶液を全て、続いてDMF 2.2l中のヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt水和物)502gの溶液を反応器に注いだ。最後に、N,N-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)413gを反応器に加えた。カップリング時間は6~18時間であった。カップリング後、溶媒を吸引により樹脂から濾過し、キャップ付加を直ちに続けた。
【0188】
5.3.3 キャップ付加(本発明による)
反応器をDMF 26.3lで満たした。同時に、DMF 1.2l、無水酢酸0.53lおよびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)0.26lを2l Schottボトル中で混合し、反応器中の樹脂に加えた。反応器を10分間撹拌し、次に吸引を用いる濾過を実行した。キャップ付加後、以下の順序で樹脂を5回洗浄した:DMF(24l)、イソプロパノール(31.1l)、DMF(8l)、DMF(31.5l)、DMF(31.5l)。ここで反応器を各回に各々の洗浄溶媒で満たし、次に撹拌を3分間実行し、吸引を用いる濾過を再び実行した。
【0189】
5.4 位置10におけるFmoc-Leu-OHのカップリング
5.4.1 Fmocの切断
DMF 7l、続いてDMF 16.6l中のピペリジン7.9lの混合物を反応器に加えた。この混合物を5分間撹拌し、次に吸引を用いて濾過した。この処理を繰り返し、撹拌を35分間実行し;次に吸引を用いる濾過を再び実行した。Fmocの切断後、以下の順序で樹脂を7回洗浄した:DMF(31.1l)、DMF(31.1l)、イソプロパノール(31.1l)、DMF(31.1l)、DMF(8l)、DMF(31.1l)、DMF(31.1l)。ここで反応器を各回に各々の洗浄溶媒で満たし、次に撹拌を3分間実行し、吸引を用いる濾過を再び実行した。
【0190】
5.4.2 Fmoc-Leu-OHのカップリング
DMF 21lを反応器に加えた。その後、Fmoc-Leu-OH 1.158kgを秤量して入れ、DMF 5.3lを加えた。完全な溶解後、この溶液を全て、続いてDMF 2.2l中のヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt水和物)502gの溶液を反応器に注いだ。最後に、N,N-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)413gを反応器に加えた。カップリング時間は6~18時間であった。カップリング後、溶媒を吸引により樹脂から濾過し、キャップ付加を直ちに続けた。
【0191】
5.4.3 キャップ付加(本発明による)
反応器をDMF 26.3lで満たした。同時に、DMF 1.2l、無水酢酸0.53lおよびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)0.26lを2l Schottボトル中で混合し、反応器中の樹脂に加えた。反応器を10分間撹拌し、次に吸引を用いる濾過を実行した。キャップ付加後、以下の順序で樹脂を5回洗浄した:DMF(24l)、イソプロパノール(31.1l)、DMF(8l)、DMF(31.5l)、DMF(31.5l)。ここで反応器を各回に各々の洗浄溶媒で満たし、次に撹拌を3分間実行し、吸引を用いる濾過を再び実行した。
【0192】
5.5 位置4におけるFmoc-Gly-OHのカップリング
5.5.1 Fmocの切断
DMF 7l、続いてDMF 16.6l中のピペリジン7.9lの混合物を反応器に加えた。この混合物を5分間撹拌し、次に吸引を用いて濾過した。この処理を繰り返し、撹拌を35分間実行し;次に吸引を用いる濾過を再び実行した。Fmocの切断後、以下の順序で樹脂を7回洗浄した:DMF(31.1l)、DMF(31.1l)、イソプロパノール(31.1l)、DMF(31.1l)、DMF(8l)、DMF(31.1l)、DMF(31.1l)。ここで反応器を各回に各々の洗浄溶媒で満たし、次に撹拌を3分間実行し、吸引を用いる濾過を再び実行した。
【0193】
5.5.2 Fmoc-Gly-OHのカップリング
DMF 21lを反応器に加えた。その後、Fmoc-Gly-OH 1.217kgを秤量して入れ、DMF 5.3lを加えた。完全な溶解後、この溶液を全て、続いてDMF 2.2l中のヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt水和物)627gの溶液を反応器に注いだ。最後に、N,N-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)517gを反応器に加えた。カップリング時間は6~18時間であった。カップリング後、溶媒を吸引により樹脂から濾過し、キャップ付加を直ちに続けた。
【0194】
5.5.3 キャップ付加(本発明による)
反応器をDMF 26.3lで満たした。同時に、DMF 1.2l、無水酢酸0.53lおよびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)0.26lを2l Schottボトル中で混合し、反応器中の樹脂に加えた。反応器を10分間撹拌し、次に吸引を用いる濾過を実行した。キャップ付加後、以下の順序で樹脂を5回洗浄した:DMF(24l)、イソプロパノール(31.1l)、DMF(8l)、DMF(31.5l)、DMF(31.5l)。ここで反応器を各回に各々の洗浄溶媒で満たし、次に撹拌を3分間実行し、吸引を用いる濾過を再び実行した。
【0195】
5.6 位置5におけるFmoc-Thr(tBu)-OHのカップリング
5.6.1 Fmocの切断
DMF 7l、続いてDMF 16.6l中のピペリジン7.9lの混合物を反応器に加えた。この混合物を5分間撹拌し、次に吸引を用いて濾過した。この処理を繰り返し、撹拌を35分間実行し;次に吸引を用いる濾過を再び実行した。Fmocの切断後、以下の順序で樹脂を7回洗浄した:DMF(31.1l)、DMF(31.1l)、イソプロパノール(31.1l)、DMF(31.1l)、DMF(8l)、DMF(31.1l)、DMF(31.1l)。ここで反応器を各回に各々の洗浄溶媒で満たし、次に撹拌を3分間実行し、吸引を用いる濾過を再び実行した。
【0196】
5.6.2 Fmoc-Thr(tBu)-OHのカップリング
DMF 21lを反応器に加えた。その後、FmocThr(tBu)-OH 1.628kgを秤量して入れ、DMF 5.3lを加えた。完全な溶解後、この溶液を全て、続いてDMF 2.2l中のヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt水和物)627gの溶液を反応器に注いだ。最後に、N,N-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)517gを反応器に加えた。カップリング時間は6~18時間であった。カップリング後、溶媒を吸引により樹脂から濾過し、キャップ付加を直ちに続けた。
【0197】
5.6.3 キャップ付加
反応器をDMF 10.5lで満たした。同時に、DMF 15.8l、無水酢酸3.2lおよびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)1.6lを混合容器中で混合し、反応器中の樹脂に加えた。反応器を20分間撹拌し、次に吸引を用いる濾過を実行した。キャップ付加後、以下の順序で樹脂を5回洗浄した:DMF(24l)、イソプロパノール(31.1l)、DMF(8l)、DMF(31.5l)、DMF(31.5l)。ここで反応器を各回に各々の洗浄溶媒で満たし、次に撹拌を3分間実行し、吸引を用いる濾過を再び実行した。
【0198】
5.7 結果
位置Arg(20)、Glu(17)、Gln(13)、Leu(10)およびGly(4)における発明によるキャップ付加方法、ならびに5.6.3に記載されるような他のカップリングにおけるキャップ付加を用いたリキシセナチド合成の粗生成物のHPLCクロマトグラムを図6に示す。不純物アセチル(20~44)、アセチル(17~44)、アセチル(13~44)、アセチル(10~44)およびアセチル(4~44)/アセチル(6~44)を有するピークを指し示す。
【0199】
5.8 比較
5.6.3に記載されるような全てのカップリングのキャップ付加工程を実行したところ、望ましくない誤った配列Ac(20~44)、Ac(17~44)、Ac(13~44)、Ac(10~44)およびAc(4~44)/Ac(6~44)の形成の増加に繋がった。この試験からの粗リキシセナチドのHPLCクロマトグラムを図6Aに示す。
【0200】
図6Bは、位置Arg(20)、Glu(17)、Gln(13)、Leu(10)およびGly(4)において本発明によるキャップ付加方法を用いて合成された粗リキシセナチドのHPLCクロマトグラムを示す。
【0201】
図6Cは、図6AおよびBからのHPLCクロマトグラムの重ね合わせを示す。バッチ操作での本発明によるキャップ付加方法を使用したリキシセナチドの合成は、誤った配列Ac(20~44)、Ac(17~44)、Ac(13~44)、Ac(10~44)およびAc(4~44)/Ac(6~44)の明白な低減に繋がったことが明らかである。
【0202】
より穏やかなキャップ付加混合物(10分間のDMF中の2%の無水酢酸/1%のDIPEA)を使用することにより、リキシセナチドの粗生成物中のAc(20~44)、Ac(17~44)、Ac(13~44)、Ac(10~44)およびAc(4~44)というアセチル化された誤った配列のレベルを低減することまたはそれらを粗生成物から除去することが可能であった。本発明によるキャップ付加により製造されたリキシセナチド粗生成物は、特にかなり低減された量で、アセチル化された副生成物Ac(17~44)、Ac(13~44)およびAc(10~44)を含むので、リキシセナチドの精製が単純化された。結果として、リキシセナチドの第1の分取クロマトグラフィーの実行後の画分のプールは、仕様基準を満たすより多くの画分を与え、そのため廃棄される必要はなかった。これは、収率の向上に繋がった。
【実施例6】
【0203】
リキシセナチドの合成における9つの特定の位置におけるキャップ付加
実施例5において議論したように、位置Arg(20)、Glu(17)、Gln(13)、Leu(10)または/およびGly(4)でのリキシセナチドの合成における「穏やか」なキャップ付加条件の使用は、望ましくない副生成物のプロファイルを向上させることができた。
【0204】
この実施例は、アセチル化されたおよびアセチル化されていない副生成物の形成に対するキャップ付加条件の影響を記載する。温度(15℃、室温[20℃~23℃]、30℃)、キャップ付加期間およびキャップ付加組成物の成分のバリエーションを行った:
・キャップ付加なし
・穏やかなキャップ付加条件:2%の無水酢酸および1%のDIPEA(ジイソプロピルエチルアミン)を用いる10分のキャップ付加
・「通常」のキャップ付加条件:10%の無水酢酸および5%のDIPEAを用いる20分のキャップ付加
・10%の無水酢酸および5%のDIPEAを用いる40分のキャップ付加
【0205】
本発明のキャップ付加条件は、「穏やかな条件」である。これらの条件を実施例5において使用した。これらの条件は有利であることが見出された。
【0206】
この実施例において選択された9つの位置において、アセチル化された配列が(N-1)位置のキャップ付加において得られた(図7)。追加的に、アミノ酸ビルディングブロックにおけるFmoc基の望ましくない除去がキャップ付加工程の間に起こることがある。保護されていないアミノ基は、キャップ付加試薬またはキャップ付加組成物によりアセチル化されることがある。これに関して、向上したキャップ付加条件はFmoc基の望ましくない切断を回避し得る。
【0207】
6.1 ジペプチドビルディングブロックPro-Proのカップリング後(36~44)の位置36/35におけるキャップ付加
ペプチドFmoc-(36~44)-AVE0010を固相合成により製造した。樹脂を4つの部分に分割して乾燥させた。室温(20℃~23℃)で上記の4つのキャップ付加手順の1つを各部分に行った。試料を乾燥させ、ペプチドを樹脂から切断した。この手順を繰り返し、キャップ付加を15℃または30℃で行った。
【0208】
計12のペプチド試料を得た。LCMSを用いて12のペプチド試料を分析した。分子量をTIC(総イオン電流)から決定した。以下の化合物の分子量を決定した:
【0209】
【表7】
【0210】
【表8】
【0211】
結果を図8に記載する。化合物(36~44)、(38~44)およびAc(38~44)は見出されなかったか、または小量で見出された。望ましくない生成物Ac(36~44)の量は、ほとんどの場合、キャップ付加カクテルの強度およびキャップ付加期間と共に増加する。この生成物の量は温度と共に増加する。
【0212】
6.2 ビルディングIleのカップリング後(23~44)の位置23におけるキャップ付加
Fmoc(23~44)の合成をセクション6.1に記載したように行った。15℃/30℃および室温での実験を異なるバッチで行った。
【0213】
【表9】
【0214】
結果を図9に記載する。RTおよび30℃でのキャップ付加試薬に依存して、望ましくない化合物Ac(23~44)の含有量は増加する。20℃での「通常」のキャップ付加は0.26%のAc(23~44)を結果としてもたらす。キャップ付加の延長(20分の代わりに40分)はAc(23~44)含有量に負の影響力を有する。
【0215】
所望の生成物Ac(24~44)の形成はキャップ付加組成物から独立している。
【0216】
6.3 ビルディングブロックLeuのカップリング後(21~44)の位置21におけるキャップ付加
Fmoc(21~44)の合成をセクション6.1に記載したように行った。15℃/30℃および室温での実験を異なるバッチで行った。
【0217】
【表10】
【0218】
結果を図10に記載する。望ましくない化合物Ac(21~44)の含有量は、15℃、RTおよび30℃において「40分、10%のAc2O、5%のDIPEA」で最大である。化合物Ac(21~44)の含有量は温度と共に増加する。
【0219】
所望の化合物Ac(22~44)の形成はキャップ付加組成物から独立している。キャップ付加なしでさえ、この化合物が形成される。
【0220】
6.4 ビルディングブロックValのカップリング後(19~44)の位置19におけるキャップ付加
Fmoc(19~44)の合成をセクション6.1に記載したように行った。15℃/30℃および室温での実験を異なるバッチで行った。
【0221】
【表11】
【0222】
結果を図11に記載する。化合物Ac(19~44)の含有量は、15℃、RTおよび30℃において「40分、10%のAc2O、5%のDIPEA」で最大である。化合物Ac(19~44)の含有量は温度と共に増加する。
【0223】
所望の化合物Ac(20~44)の形成はキャップ付加組成物の強度と共に増加する。望ましくない化合物(20~44)の含有量はキャップ付加組成物の強度の増加と共に減少する。
【0224】
6.5 ビルディングブロックAlaのカップリング後(18~44)の位置18におけるキャップ付加
Fmoc(18~44)の合成をセクション6.1に記載したように行った。15℃/30℃および室温での実験を異なるバッチで行った。
【0225】
【表12】
【0226】
結果を図12に記載する。望ましくない化合物Ac(18~44)の含有量は、15℃および30℃において「40分、10%のAc2O、5%のDIPEA」で最大である。化合物Ac(18~44)の含有量は15℃から30℃への温度の増加と共に増加する。
【0227】
所望の化合物Ac(19~44)の形成はキャップ付加組成物の強度と共に15℃および30℃において増加する。
【0228】
6.6 ビルディングブロックGluのカップリング後(15~44)の位置15におけるキャップ付加
Fmoc(15~44)の合成をセクション6.1に記載したように行った。15℃/30℃および室温での実験を異なるバッチで行った。
【0229】
【表13】
【0230】
結果を図13に記載する。望ましくない化合物Ac(15~44)の含有量は、15℃、RTおよび30℃において「40分、10%のAc2O、5%のDIPEA」で最大である。化合物Ac(15~44)の含有量は温度と共に増加する。
【0231】
所望の化合物Ac(16~44)の形成はキャップ付加組成物から独立している。キャップ付加なしでさえ、この化合物が形成される。
【0232】
6.7 ビルディングブロックLysのカップリング後(12~44)の位置12におけるキャップ付加
Fmoc(12~44)の合成をセクション6.1に記載したように行った。15℃/30℃および室温での実験を異なるバッチで行った。
【0233】
【表14】
【0234】
結果を図14に記載する。望ましくない化合物Ac(12~44)の含有量は、15℃、RTおよび30℃において「40分、10%のAc2O、5%のDIPEA」で最大である。化合物Ac(12~44)の含有量は温度と共に増加する。
【0235】
所望の化合物Ac(13~44)の形成はキャップ付加組成物から独立している。キャップ付加なしでさえ、この化合物が形成される。
【0236】
6.8 ビルディングブロックSerのカップリング後(8~44)の位置8におけるキャップ付加
Fmoc(8~44)の合成をセクション6.1に記載したように行った。15℃、RTおよび30℃での実験を同じバッチで行った。
【0237】
【表15】
【0238】
結果を図15に記載する。望ましくない化合物Ac(8~44)の含有量は、15℃、RTおよび30℃において「40分、10%のAc2O、5%のDIPEA」で最大である。化合物Ac(8~44)の含有量は温度と共に増加する。
【0239】
6.9 ビルディングブロックPheのカップリング後(6~44)の位置6におけるキャップ付加
Fmoc(6~44)の合成をセクション6.1に記載したように行った。15℃、RTおよび30℃での実験を同じバッチで行った。
【0240】
【表16】
【0241】
結果を図16に記載する。望ましくない化合物Ac(6~44)の含有量は、15℃、RTおよび30℃において「40分、10%のAc2O、5%のDIPEA」で最大である。化合物Ac(6~44)の含有量は温度と共に増加する。
【0242】
所望の化合物Ac(7~44)の形成はキャップ付加組成物から独立している。キャップ付加なしでさえ、この化合物が形成される。
【0243】
温度は、所望の化合物Ac(7~44)の形成に対してわずかな影響のみを有する。望ましくない化合物Ac(7~44)の含有量はキャップ付加組成物の強度の増加と共に減少する。
【0244】
6.10 要約
Ac(X~44)化合物の望ましくない形成は、キャップ付加期間、キャップ付加組成物およびキャップ付加温度に強く依存する。キャップ付加期間の増加、キャップ付加温度の増加、ならびにキャップ付加組成物中の無水酢酸およびDIPEAの含有量の増加と共に、望ましくないAc(X~44)化合物の含有量は増加する。
【0245】
6.11 温度に依存する、「通常」の条件下でのキャップ付加
図17および18は、この実施例に記載されるような、「通常」の条件「20分、10%のAc2O、5%のDIPEA」の下でのリキシセナチドの合成における9つの位置での異なる温度でのキャップ付加において得られたデータを要約する。
【0246】
図17は、反応温度に依存した、Ac(X~44)のGMPキャップ付加の比較を示す。15℃および30℃について与えた値は、「室温」値(灰色区画)からの正および負の偏差である。
【0247】
望ましくない生成物Ac(X~44)の形成は、9つの位置のうちの5つにおいて≦0.5%、3つの位置において0.5%~1%、1つの位置のみにおいて>1%である。大きい増加が30℃において観察され、15℃においてAc(X~44)の形成はわずかに減少する。
【0248】
これは、15℃~室温(20~23℃であり得る)で異なる位置においてGMPキャップ付加「20分、10%のAc2O、5%のDIPEA」を行うことができることを意味する。
【0249】
図18は、反応温度に依存した、Ac[(X-1)~44]のGMPキャップ付加の比較を示す。15℃および30℃について与えた値は、「室温」値(灰色区画)からの正および負の偏差である。
【0250】
RTでのAc[(X-1)~44]化合物の所望の形成に関して、15℃での偏差は+0.23~-0.25%である。30℃での偏差は+0.29~-0.33%である。所望のキャップ付加生成物Ac[(X-1)~44]の形成は、そのため、Ac(X~44)の望ましくない形成よりも温度に依存しない。
【0251】
15℃および30℃において、室温でのキャップ付加を考慮して所望の化合物Ac[(X-1)~44]の含有量の負の偏差が観察される。これは、「通常」の条件を用いるキャップ付加は室温で行うべきであることを意味する。
【0252】
6.12 室温での異なるキャップ付加組成物を用いたキャップ付加
図19および20は、この実施例に記載されるような、リキシセナチドの合成における9つの位置での室温での異なるキャップ付加組成物を用いたキャップ付加において得られたデータを要約する。
【0253】
図19は、室温でのキャップ付加組成物に依存したAc(X~44)含有量の比較を示す。「キャップ付加なし」、「穏やか」および「40分」の条件について与えた値は、「通常のキャップ付加」の値(灰色区画)からの正および負の偏差である。
【0254】
「20分、10%のAc2O、5%のDIPEA」および「40分、10%のAc2O、5%のDIPEA」の下での望ましくない生成物Ac(X~44)の形成は最大である。「通常」の条件(40分、10%のAc2O、5%のDIPEA)下のAc(X~44)の形成は0.2%~1.12%である。強い減少が穏やかなキャップ付加条件において観察される。
【0255】
図20は、室温でのキャップ付加組成物に依存したAc[(X-1)~44]含有量の比較を示す。「キャップ付加なし」、「穏やか」および「40分」について与えた値は、「通常のキャップ付加」の値(灰色区画)からの正および負の偏差である。
【0256】
「キャップ付加なし」、「穏やか」および「40分」の条件における所望の生成物Ac[(X-1)~44]の形成は、「通常」の条件を考慮して-0.14%~+0.16%である。
【0257】
特に、本発明の「穏やか」な条件(10分、2%のAc2O、1%のDIPEA)下で、リキシセナチドの合成において充分なキャップ付加を達成することができる。
【0258】
要約すると、穏やかなキャップ付加条件、特に、溶媒中の2%のAc2Oおよび1%のDIPEAを用いた10分間のキャップ付加は、本明細書に記載されるように、リキシセナチドの固相合成において有利である。
【0259】
ある特定のアミノ酸位置においてカップリング後のキャップ付加を省略した場合、小量で存在する不完全なアミノ酸配列を含む望ましくない副生成物は、精製処理の間に除去することが困難であり得る。
【実施例7】
【0260】
固相からのリキシセナチドの切断
この実施例は、固相からのリキシセナチドの本発明による切断に関する。ペプチドリキシセナチドが結合した固相(Rink樹脂)を用意した。アミノ酸単位の段階的なカップリングにより樹脂上でペプチドを合成した。
【0261】
比較用試験として、先行技術(King et al.、Int. J. Peptide Protein Res. 1990年、36:255~266頁)による切断を実行した。
【0262】
本発明による切断方法は、以下の変更により先行技術の方法から区別される:
・20℃~26℃の反応温度
・使用される切断混合物に対する樹脂の比の増加と組み合わせた、5つの成分から2つの成分への切断混合物中の成分の数の低減。
【0263】
【表17】
【0264】
本発明による切断を使用することにより、先行技術による切断と比較して、粗リキシセナチドの収率をおおよそ5%増加させることが可能であり(20%から25%へ)、不純物プロファイルはわずかにのみ変化した。
【0265】
この実施例の方法は、パイロットプラントおよび製造スケールへのスケールアップのために好適である。
【0266】
表18は、比較用の方法(表17を参照)において得られた結果を要約する。リキシセナチド-樹脂(1~44)の3つの異なるバッチ2E002、2B008および2B006を使用した。平均および標準偏差を各バッチについて別々に算出した。異なる切断条件間の比較は、リキシセナチド-樹脂(1~44)の同じバッチを使用した試験において為されるべきである。異なるバッチにおいて、固相合成が収率に影響力を有する可能性がある。指し示されなければ、リキシセナチド-樹脂(1~44)10gを出発材料として使用した。
【0267】
【表18】
【0268】
7.1 20℃~35℃の切断温度に依存した切断収率
リキシセナチド-樹脂(1~44)からの切断を標準条件(比較用の方法、表17を参照)下で4時間行った。
【0269】
【表19】
【0270】
結果:標準条件下での切断後のリキシセナチドの収率は、約26℃の最適条件までの温度の増加と共に増加する。驚くべきことに、23℃から26℃への温度の増加は収率の有意な増加を結果としてもたらす。
【0271】
7.2 切断期間に依存した切断収率
リキシセナチド-樹脂(1~44)からの切断を20℃での標準条件(比較用の方法、表17を参照)下で行った。
【0272】
【表20】
【0273】
結果:リキシセナチドの収率は切断期間の増加と共に増加する。最大収率は約8時間の切断後に到達される。
【0274】
7.3 12時間の切断期間での温度に依存した切断収率
リキシセナチド-樹脂(1~44)からの切断を標準条件(比較用の方法、表17を参照)下で4時間行った。
【0275】
【表21】
【0276】
結果:反応温度を増加させた場合に収率は12時間の切断期間において増加する。実施例7.1において4時間の切断について記載されるように、最大収率は26℃において得られる。試験70586-044(4時間、26℃、実施例7)および70586-045(12時間、26℃)は類似した収率を結果としてもたらす(14.8%対14.0%)。
【0277】
7.4 20℃までの切断温度に依存した切断収率
リキシセナチド-樹脂(1~44)からの切断を標準条件(比較用の方法、表17を参照)下で4時間行った。
【0278】
【表22】
【0279】
結果:20℃より低い温度での切断は、予期されたように、20℃での4時間の切断(標準条件、比較用の方法、表17)により得られた収率に達するためにより長い切断期間を必要とする。
【0280】
7.5 改変された切断カクテル
標準的な方法は、5つの成分:フェノール、チオアニソール、1,2-エタンジチオール、水およびTFAを含有する切断カクテルを使用する。実施例の対象は、チオアニソール、フェノールおよび水の1~3つを省略した簡略された切断カクテルである。リキシセナチド-樹脂(1~44)からのリキシセナチド切断の収率を決定した。「改変なし」のカクテルは、表17「比較用の方法」において記載される。
【0281】
【表23】
【0282】
結果:1つまたはそれ以上の成分の省略は、試験71002-010(チオアニソールの省略)を除いて、収率の増加を結果としてもたらす。
【0283】
簡略化された切断混合物(切断カクテル)はいくつかの利点を有する:
(a)分析および品質管理の簡略化、
(b)コストの低減、
(c)製造方法の取扱いの促進。
【0284】
7.6 切断カクテル中のTFAおよび1,2-エタンジチオールの含有量
試験71002-042から開始して、切断収率に対するTFA:1,2-エタンジチオール比の影響を調べた:
【0285】
【表24】
【0286】
結果:1,2-エタンジチオール含有量の増加は、リキシセナチド収率の有意な減少を結果としてもたらす。8.25:0.25のTFA:1,2-エタンジチオール比は、最大収率を有する比であることが見出された(バッチ2E002)。この発見は、バッチ2B008を使用する実験により確認された。
【0287】
7.7 切断カクテルの体積
切断カクテルの体積(およびそのため濃縮)の影響を調べた。
【0288】
【表25】
【0289】
結果:30%までの低減は切断収率に影響を有しない。より大きい体積低減は収率の低減に繋がる。
【0290】
7.8 切断前の共溶媒(トルオールまたはCHCl)を用いた「樹脂上のペプチド」の膨潤
この実験の根拠は、樹脂からのリキシセナチドの切断は、5~8℃までの温度の増加を結果としてもたらすことがあり、それが望ましくない副生成物の形成に繋がることがあり、安定性およびそのため切断収率に負の影響力を潜在的に有するという発見である。有機溶媒中の「樹脂上のペプチド」の膨潤は、発熱を低減する可能性があり、そのため収率を増加させる可能性がある。
【0291】
【表26】
【0292】
結果:有機共溶媒を用いた膨潤は切断収率を増加させない。
【0293】
7.9 共溶媒の存在下での濃縮
TFAより高い沸点を有し、リキシセナチドが不溶性である共溶媒の存在は、樹脂からの切断後の収率を増加させる可能性があり、その理由は、濾液からのTFAの蒸留の間に、共溶媒の存在がリキシセナチドの沈殿に繋がる可能性があり、したがって、Kingのカクテル中での切断の間にリキシセナチドの分解を防止し得るからである。
【0294】
【表27】
【0295】
結果:樹脂からのリキシセナチドの切断後の濾液の蒸留におけるトルオールの存在は収率のわずかな増加に繋がる。
【0296】
7.10 本発明の最適化された切断手順
この実施例において得られた上記の結果に基づいて、以下のような最適化された切断条件を選択し、試験した:
(a)26℃の反応温度、
(b)TFAおよび1,2-エタンジチオールからなる切断カクテル。カクテルは、約97%のTFAおよび約3%の1,2-エタンジチオールを含有した。「樹脂上のペプチド」1g当たり8.25mlの量のTFAおよび「樹脂上のペプチド」1g当たり0.25mlの量の1,2-エタンジチオールを使用した。
【0297】
標準的な比較用カクテルと比較してこのカクテルの切断収率をバッチ2E002および2B008において試験した。
【0298】
【表28】
【0299】
結果:両方のバッチにおいて、収率は約5%増加し、本発明の方法による固相からのペプチド切断の有意な向上を指し示した。
【0300】
7.11 第2(その後)の切断
切断後、比較用カクテル(Kingのカクテル)または本発明の切断カクテルを使用して、第2(その後)の切断を行った(表17を参照)。
【0301】
第1の切断を行い、濾液を得た。TFAをTFA湿潤樹脂に加えた。1時間の撹拌後、樹脂を濾過した。濾液を合わせ、濃縮した。
【0302】
リキシセナチド収率に対する第2の、その後の切断の効果を調べた。
【0303】
【表29】
【0304】
結果:その後の切断は、約0.7%のみの収率の増加を結果としてもたらす。この増加は、出発材料(TFA)のためのコストの顕著な増加、およびペプチド製造物からTFAを除去するための追加の努力と関連付けられる。第1および第2の切断工程の濾液の組合せにより、TFAの量は顕著に増加することを考慮しなければならない。
【0305】
収率の小さい増加を考慮して、第2の切断の省略はコストの低減に繋がり、製造処理の間の取扱いが促進されることが結論される。TFAの量が低減され、それにより、TFAの除去が促進される。
【0306】
7.12 分析
2つのバッチ、71001-016(比較用バッチ、標準的な方法によるKingのカクテルを用いた切断)、および71001-013(本発明によるリキシセナチドの切断)を製造した。
【0307】
【表30】
【0308】
結果:バッチはほぼ同一の純度を示した。本発明にしたがって製造されたバッチの含有量はわずかに減少した。本発明のバッチにおいて、出力重量は増加し、収率の増加を結果としてもたらす。
【0309】
7.13 要約
本発明の切断方法は以下の利点を有する:
(a)コストの低減および製造能力の増加を結果としてもたらす、リキシセナチド収率の約5%の増加、
(b)2つの成分のみが切断カクテル中に存在するため(比較用のKingのカクテルにおける5つの成分を考慮して)、分析的品質管理が向上し、コストが低減される、
(c)第2の切断の省略はコストの低減に繋がり、製造処理の間の取扱いが促進される。TFAの量が低減され、それにより、TFAの除去が促進される。
【0310】
以下の態様もまた本発明の対象である:
1.予め決定されたアミノ酸配列を含むポリペプチドの合成方法であって、該方法は、アミノ酸鎖へのアミノ酸ビルディングブロックのカップリングサイクルを含み、
前記アミノ酸ビルディングブロックは、保護されていないC末端カルボキシル基および保護されたN末端アミノ基を含み、
かつ、前記アミノ酸鎖は、保護されていないN末端アミノ基を含み、
少なくとも1つのカップリングサイクルは:
(a)アミノ酸鎖とアミノ酸ビルディングブロックとの間にアミド結合が形成されるように、アミノ酸ビルディングブロックのC末端をアミノ酸鎖の保護されていないN末端アミノ基にカップリングする工程、
(b)工程(a)において得られた生成物を、キャップ付加化合物を含むキャップ付加試薬と接触させ、キャップ付加化合物が、工程(a)においてビルディングブロックがカップリングされなかったアミノ酸鎖の保護されていないN末端アミノ基に結合する工程、および
(c)アミノ酸ビルディングブロックのN末端アミノ基を脱保護する工程
を含む、前記方法。
2.キャップ付加化合物は、無水酢酸(CAS 108-24-7)、無水酢酸のホモログ、塩化ベンゾイル(CAS 98-88-4)、N-(ベンジルオキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(CAS 13139-17-8)、クロロギ酸ベンジル(CAS 501-53-1)、クロロギ酸のエステル、1-アセチルイミダゾール(CAS 2466-76-4)、二炭酸ジ-tert-ブチル(CAS 24424-99-5)およびN-(tert-ブトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(CAS 13139-12-3)からなる群から選択される、項目1の方法。
3.キャップ付加試薬は0.5~5%v/vの無水酢酸を含む、項目1または2の方法。
4.キャップ付加試薬は1~3%v/vの無水酢酸を含む、項目1~3のいずれか1つの方法。
5.キャップ付加試薬は2%v/vの無水酢酸を含む、項目1~4のいずれか1つの方法。
6.キャップ付加試薬は0.2~2%v/vのジイソプロピルエチルアミンを含む、項目1~5のいずれか1つの方法。
7.キャップ付加試薬は0.5~2%v/vのジイソプロピルエチルアミンを含む、項目1~6のいずれか1つの方法。
8.キャップ付加試薬は1%v/vのジイソプロピルエチルアミンを含む、項目1~7のいずれか1つの方法。
9.キャップ付加試薬は1%v/vのジイソプロピルエチルアミンおよび2%v/vの無水酢酸を含む、項目1~8のいずれか1つの方法。
10.キャップ付加試薬はDMFを含む、項目1~9のいずれか1つの方法。
11.工程(b)は15~25℃の温度で行われる、項目1~10のいずれか1つの方法。
12.工程(b)は5~15分間行われる、項目1~11のいずれか1つの方法。
13.アミノ酸ビルディングブロックはα-アミノ酸を含む、項目1~12のいずれか1つの方法。
14.アミノ酸ビルディングブロックは、Ser、Thr、Trp、Lys、Ala、Asn、Asp、Val、Met、Phe、Ile、Pro、Arg、Glu、Gln、LeuおよびGlyから選択される、項目1~13のいずれか1つの方法。
15.アミノ酸ビルディングブロックは、Arg、Glu、Gln、LeuおよびGlyから選択される、項目1~14のいずれか1つの方法。
16.アミノ酸ビルディングブロックの側鎖は、アミノ酸ビルディングブロックのN末端保護基に対して直交性の保護基を含む、項目1~15のいずれか1つの方法。
17.固相合成を含む、項目1~16のいずれか1つの方法。
18.アミノ酸ビルディングブロックにおけるN末端アミノ基は塩基不安定性保護基により保護される、項目1~17のいずれか1つの方法。
19.アミノ酸ビルディングブロックにおけるN末端アミノ基はFmocにより保護される、項目1~18のいずれか1つの方法。
20.ポリペプチドはGLP-1アゴニストである、項目1~19のいずれか1つの方法。
21.ポリペプチドは、GLP-1、そのアナログおよび誘導体、エキセンジン-3、そのアナログおよび誘導体、ならびにエキセンジン-4、そのアナログおよび誘導体から選択される、項目1~20のいずれか1つの方法。
22.ポリペプチドは、エキセンジン-4およびリキシセナチドから選択される項目1~21のいずれか1つの方法。
23.ポリペプチドはリキシセナチドである、項目1~22のいずれか1つの方法。
24.ポリペプチドは、アルビグルチド、デュラグルチドおよびセマグルチドから選択される、項目1~21のいずれか1つの方法。
25.ポリペプチドはリキシセナチドまたはエキセンジン-4であり、アミノ酸ビルディングブロックArg(20)、Glu(17)、Gln(13)、Leu(10)または/およびGly(4)のカップリング後、工程(b)は、2%v/vの無水酢酸および1%v/vのジイソプロピルエチルアミンを含むキャップ付加試薬を用いて約10分間行われる、項目1の方法。
26.組成物であって、DMF中の0.5~5%v/vの無水酢酸および0.2~2%v/vのジイソプロピルエチルアミンを含むことを特徴とする、前記組成物。
27.1%v/vのジイソプロピルエチルアミンおよび2%v/vの無水酢酸を含む、項目26の組成物。
28.ポリペプチド合成における保護されていないアミノ基のアセチル化のための、項目26または27の組成物の使用。
29.ポリペプチドはリキシセナチドである、項目28の組成物の使用。
図1
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【配列表】
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