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特許7332634GaN-オン-シリコン・デバイスの中の寄生容量低減
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-29
(54)【発明の名称】GaN-オン-シリコン・デバイスの中の寄生容量低減
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20230816BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20230816BHJP
   H01L 21/762 20060101ALI20230816BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
H01L29/78 301B
H01L21/76 D
H01L21/20
H01L29/78 301R
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2020568260
(86)(22)【出願日】2019-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 US2019035575
(87)【国際公開番号】W WO2019236702
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-03-29
(31)【優先権主張番号】16/000,287
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518066415
【氏名又は名称】マコム テクノロジー ソリューションズ ホールディングス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MACOM TECHNOLOGY SOLUTIONS HOLDINGS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クエバ、ゲイブリエル、アール.
(72)【発明者】
【氏名】ボールズ、ティモシー、イー.
(72)【発明者】
【氏名】ストルブル、ウェイン、マック
【審査官】鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-164900(JP,A)
【文献】特開2015-060893(JP,A)
【文献】特開2015-065233(JP,A)
【文献】特開2012-054559(JP,A)
【文献】特開2014-072360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/18-21/20
H01L 21/336
H01L 21/34-21/36
H01L 21/70
H01L 21/74-21/764
H01L 21/84
H01L 29/76
H01L 29/772
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造体を作製するための方法であって、前記方法は、
1つまたは複数のデバイス・エリアおよび1つまたは複数の相互接続エリアをシリコン基板の上に画定するステップと;
前記シリコン基板の前記相互接続エリアの中にトレンチを形成するステップと;
前記トレンチの中の前記シリコン基板を酸化し、二酸化ケイ素領域を形成するステップと;
前記シリコン基板の表面および前記二酸化ケイ素領域の上にIII族窒化物材料層を形成するステップと;
前記III族窒化物材料層の前記デバイス・エリアの中にデバイスを形成するステップと;
前記相互接続エリアの中に相互接続部を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
1つまたは複数の相互接続エリアを画定する前記ステップは、前記シリコン基板の上にマスク層を形成するステップと、前記1つまたは複数の相互接続エリアの中の前記マスク層を除去することによって前記マスク層をパターニングするステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記トレンチの中の前記シリコン基板を酸化した後に、パターニングされた前記マスク層を前記シリコン基板から引き剥がすステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記マスク層は、窒化ケイ素を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記マスク層は、低圧化学蒸着によって形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記トレンチは、エッチングによって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記シリコン基板を酸化させるステップは、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)プロセスによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記二酸化ケイ素領域の上部表面は、前記シリコン基板の上部表面と同一平面上にある、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記III族窒化物材料層を形成する前に、前記シリコン基板の表面および前記二酸化ケイ素領域を平坦化するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記III族窒化物材料層を形成する前記ステップは、窒化ガリウム層のエピタキシャル成長を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
デバイスを形成するステップは、窒化ガリウム・デバイスを形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
相互接続部を形成するステップは、相互接続ラインおよび/またはボンド・パッドを形成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記相互接続部を形成する前に、前記相互接続エリアの中の前記III族窒化物材料層を除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、前記シリコン基板の裏表面の上に金属層を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、前記金属層を形成する前に、前記シリコン基板を薄化するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
半導体構造体であって、前記半導体構造体は、
1つまたは複数のデバイス・エリアおよび1つまたは複数の相互接続エリアを有するシリコン基板であって、前記1つまたは複数の相互接続エリアのうちの相互接続エリアは、前記シリコン基板の中の二酸化ケイ素領域によって画定されており、前記二酸化ケイ素領域は、前記半導体構造体の中の第1のデバイス・エリアと前記半導体構造体の中の第2のデバイス・エリアとの間に位置決めされている、シリコン基板と
記シリコン基板の表表面にあるIII族窒化物材料層であって、前記III族窒化物材料層は、前記第1のデバイス・エリアの中の前記シリコン基板の上方に、前記相互接続エリアの中の前記二酸化ケイ素領域の上方に、および、前記第2のデバイス・エリアの中の前記シリコン基板の上方に延在している、III族窒化物材料層と
前記デバイス・エリアの中の1つまたは複数のデバイスであって、前記1つまたは複数のデバイスは、前記第1のデバイス・エリアの中の前記III族窒化物材料層の中に第1のデバイスを含み、前記第2のデバイス・エリアの中の前記III族窒化物材料層の中に第2のデバイスを含む、1つまたは複数のデバイスと
前記相互接続エリアの中の1つまたは複数の相互接続部であって、前記1つまたは複数の相互接続部のうちの相互接続部は、金属相互接続ラインを含み、前記金属相互接続ラインは、前記第1のデバイス・エリアから、前記相互接続エリアおよび前記二酸化ケイ素領域の上方に、そして、前記第2のデバイス・エリアへ、金属の連続的な導電性経路を提供する、1つまたは複数の相互接続部と
シリコン基板の裏表面にある金属層
を含む、半導体構造体。
【請求項17】
前記二酸化ケイ素領域の上部表面は、前記シリコン基板の上部表面と同一平面上にある、請求項16に記載の半導体構造体。
【請求項18】
前記III族窒化物材料層は、前記デバイス・エリアの中に単結晶窒化ガリウムを含む、請求項16に記載の半導体構造体。
【請求項19】
前記デバイスは、窒化ガリウム・デバイスを含む、請求項16に記載の半導体構造体。
【請求項20】
前記相互接続部は、相互接続ラインおよび/またはボンド・パッドを含む、請求項16に記載の半導体構造体。
【請求項21】
記シリコン基板の裏表面ある前記金属層は、グランド平面としての役割を果たす、請求項16に記載の半導体構造体。
【請求項22】
半導体構造体を作製するための方法であって、前記方法は、
1つまたは複数のデバイス・エリアおよび1つまたは複数の相互接続エリアを基板の上に画定するステップと;
前記基板の前記相互接続エリアの中にトレンチを形成するステップと;
前記基板の誘電率よりも低い誘電率を有する前記トレンチの中の材料を形成するステップと
前記基板の表面および前記トレンチの中の前記材料の上にIII族窒化物材料層を形成するステップと;
前記III族窒化物材料層の前記デバイス・エリアの中にデバイスを形成するステップと;
前記相互接続エリアの中に相互接続部を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項23】
前記方法は、前記基板の裏表面の上に金属層を形成するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記III族窒化物材料層を形成するステップは、前記基板の表表面および前記トレンチの中の前記材料の上に窒化ガリウム層を形成するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記トレンチの中の前記材料は、二酸化ケイ素を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記基板は、シリコン基板を含み、前記トレンチの中の前記材料を形成するステップは、二酸化ケイ素を形成するための前記シリコン基板の熱酸化を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
デバイスを形成するステップは、窒化ガリウム・デバイスを形成するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
半導体構造体であって、前記半導体構造体は、
1つまたは複数のデバイス・エリアおよび1つまたは複数の相互接続エリアを有する基板であって、前記1つまたは複数の相互接続エリアのうちの相互接続エリアは、前記基板の誘電率よりも低い誘電率を有する材料を含む前記基板の中の領域によって画定されており、前記領域は、前記半導体構造体の中の第1のデバイス・エリアと前記半導体構造体の中の第2のデバイス・エリアとの間に位置決めされている、基板と
記基板の表表面にあるIII族窒化物材料層であって、前記III族窒化物材料層は、前記第1のデバイス・エリアの中の前記基板の上方に、前記相互接続エリアの中の前記材料の上方に、および、前記第2のデバイス・エリアの中の前記基板の上方に延在している、III族窒化物材料層と
前記第1のデバイス・エリアから、前記相互接続エリアの上方に、そして、前記第2のデバイス・エリアへ、金属の連続的な導電性経路を提供する相互接続部と
を含む、半導体構造体。
【請求項29】
前記半導体構造体は、前記基板の裏表面に金属層をさらに含む請求項28に記載の半導体構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示されている技術は、窒化ガリウム(GaN)-オン-シリコン半導体デバイスに関し、より具体的には、GaN-オン-シリコン半導体デバイスの中の寄生容量の低減に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム・トランジスターは、高い温度および高い電圧において動作することができるため、高周波電力増幅器に関して使用されている。そのようなデバイスは、たとえば、電子レンジ、磁気共鳴イメージングなどのような医療用途、携帯電話システムの基地局、および無線通信において使用され得る。
【0003】
窒化ガリウム・トランジスターは、シリコン基板の上に製作され得る。GaN-オン-シリコン・デバイスは、シリコン基板と、シリコン基板の上に形成されたGaN層とを含むことが可能である。
【0004】
1つまたは複数の窒化ガリウム・トランジスターおよび1つまたは複数の相互接続部が、GaN層の上部表面の上に形成されている。相互接続部は、相互接続ラインおよびボンド・パッドを含むことが可能である。シリコン基板の底部表面は、グランド平面を提供するために金属化され得る。
【0005】
窒化ガリウム・トランジスターは優れた性能を示すが、改善された半導体構造体および製作の方法に対する必要性が存在している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、GaN-オン-シリコン構造体のRF性能が、基板の表側にある相互接続部とグランド(たとえば、基板の裏側にあるグランド平面など)との間の寄生容量によって部分的に制限されるということを発見した。そのような寄生容量は、高い周波数におけるデバイスの性能を劣化させる可能性がある。
【0007】
したがって、基板の表側にある相互接続部とグランドとの間の寄生容量の影響が少なくとも部分的に克服されている、半導体構造体および方法に対する必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示されている技術は、相互接続部とグランドとの間の基板の少なくとも一部分が、基板の誘電率よりも低い誘電率を有する材料と交換されている、半導体構造体を作製するための半導体構造体および方法を提供する。結果として、表側相互接続部とグランドとの間の静電容量は、表側相互接続部とグランドとの間のスペースのすべてまたはほとんどが基板材料になっている構造体と比較して低減される。
【0009】
いくつかの実施形態では、基板は、シリコンであることが可能であり、低誘電率材料は、二酸化ケイ素であることが可能である。二酸化ケイ素は、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)プロセスを使用して形成され得る。表側相互接続部とグランドとの間の静電容量は、表側相互接続部とグランドとの間の材料の誘電率の関数であるので、誘電率の低減が、寄生容量を低減させる。
【0010】
実施形態によれば、半導体構造体を作製するための方法は、1つまたは複数のデバイス・エリアおよび1つまたは複数の相互接続エリアをシリコン基板の上に画定するステップと、シリコン基板の相互接続エリアの中にトレンチを形成するステップと、トレンチの中のシリコン基板を酸化し、二酸化ケイ素領域を形成するステップと、シリコン基板の表面の上にIII族窒化物材料層を形成するステップと、窒化ガリウム層のデバイス・エリアの中にデバイスを形成するステップと、相互接続エリアの中に相互接続部を形成するステップとを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の相互接続エリアを画定するステップは、シリコン基板の上にマスク層を形成するステップと、1つまたは複数の相互接続エリアの中のマスク層を除去することによってマスク層をパターニングするステップとを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、方法は、トレンチの中のシリコン基板を酸化した後に、パターニングされたマスク層をシリコン基板から引き剥がすステップをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、マスク層は、窒化ケイ素を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、マスク層は、低圧化学蒸着によって形成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、トレンチは、エッチングによって形成される。
【0016】
いくつかの実施形態では、シリコン基板を酸化させるステップは、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)プロセスによって実施される。
【0017】
いくつかの実施形態では、二酸化ケイ素領域の上部表面は、シリコン基板の上部表面と同一平面上にある。
【0018】
いくつかの実施形態では、方法は、III族窒化物材料層を形成する前に、基板の表面および二酸化ケイ素領域を平坦化するステップをさらに含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、III族窒化物材料層を形成するステップは、窒化ガリウム層のエピタキシャル成長を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、デバイスを形成するステップは、窒化ガリウム・デバイスを形成するステップを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、相互接続部を形成するステップは、相互接続ラインおよび/またはボンド・パッドを形成するステップを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、方法は、相互接続部を形成する前に、相互接続エリアの中のIII族窒化物材料層を除去するステップをさらに含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、方法は、シリコン基板の裏表面の上に金属層を形成するステップをさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、方法は、金属層を形成する前に、シリコン基板を薄化するステップをさらに含む。
【0025】
実施形態によれば、半導体構造体は、1つまたは複数のデバイス・エリアおよび1つまたは複数の相互接続エリアを有するシリコン基板と、少なくともデバイス・エリアの中にシリコン基板の表側にあるIII族窒化物材料層と、デバイス・エリアの中の1つまたは複数のデバイスと、相互接続エリアの中の1つまたは複数の相互接続部と、相互接続部と基板の裏側にある金属層との間の、基板の相互接続エリアの中の二酸化ケイ素領域とを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、二酸化ケイ素領域の上部表面は、シリコン基板の上部表面と同一平面上にある。
【0027】
いくつかの実施形態では、III族窒化物材料層は、デバイス・エリアの中に単結晶窒化ガリウムを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、デバイスは、窒化ガリウム・デバイスを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、相互接続部は、相互接続ラインおよび/またはボンド・パッドを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、半導体構造体は、シリコン基板の裏側に金属層をさらに含む。
【0031】
実施形態によれば、半導体構造体を作製するための方法は、1つまたは複数のデバイス・エリアおよび1つまたは複数の相互接続エリアを基板の上に画定するステップと、基板の相互接続エリアの中にトレンチを形成するステップと、基板の誘電率よりも低い誘電率を有する材料をトレンチの中に形成するステップとを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、方法は、基板の裏表面の上に金属層を形成するステップをさらに含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、方法は、基板の表表面の上にIII族窒化物材料層を形成するステップをさらに含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、低誘電率材料は、二酸化ケイ素を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、基板は、シリコン基板を含み、低誘電率材料を形成するステップは、二酸化ケイ素を形成するためのシリコン基板の熱酸化を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、方法は、デバイス・エリアの中にデバイスを形成するステップと、相互接続エリアの中に相互接続部を形成するステップとをさらに含む。
【0037】
実施形態によれば、半導体構造体は、1つまたは複数のデバイス・エリアおよび1つまたは複数の相互接続エリアを有する基板と、少なくともデバイス・エリアの中に基板の表側にあるIII族窒化物材料層と、基板の誘電率よりも低い誘電率を有する、基板の相互接続エリアの中の材料とを含む。
【0038】
開示されている技術は、添付の図面を参照して理解され得り、添付の図面は、参照により本明細書に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】実施形態による半導体構造体の簡略断面図である。
図2】実施形態による半導体構造体を作製するためのプロセスを図示する図である。
図3】実施形態による半導体構造体を作製するためのプロセスを図示する図である。
図4】実施形態による半導体構造体を作製するためのプロセスを図示する図である。
図5】実施形態による半導体構造体を作製するためのプロセスを図示する図である。
図6】実施形態による半導体構造体を作製するためのプロセスを図示する図である。
図7】実施形態による半導体構造体を作製するためのプロセスを図示する図である。
図8】実施形態による半導体構造体を作製するためのプロセスを図示する図である。
図9】実施形態による半導体構造体を作製するためのプロセスを図示する図である。
図10】実施形態による半導体構造体を作製するためのプロセスを図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
実施形態による半導体構造体10の簡略断面図が、図1に示されている。半導体構造体10は、基板(たとえば、シリコン基板20など)と、III族窒化物材料層(たとえば、窒化ガリウム層22など)と、パッシベーション/カプセル化層24と、1つまたは複数のデバイス30および32(図1に概略的に示されている)と、1つまたは複数の相互接続部40、42、および44とを含む。デバイス30および32は、シリコン基板20の1つまたは複数のデバイス・エリア50の中に位置付けされており、相互接続部40、42、および44は、シリコン基板20の1つまたは複数の相互接続エリア52の中に位置付けされている。デバイス30および32は、たとえば、窒化ガリウム・トランジスターを含むことが可能であり、相互接続部40、42、および44は、たとえば、1つまたは複数の金属相互接続ライン、および/または、1つまたは複数の金属ボンド・パッドを含むことが可能である。相互接続部は、基板の上のデバイスを相互接続することが可能であり、および/または、外部接続部を提供することが可能である。金属層60は、シリコン基板20の裏側に形成され得り、グランド平面としての役割を果たすことが可能である。
【0041】
さらに図1に示されているように、半導体構造体10は、シリコン基板20の中に形成された低誘電率材料領域70、72、および74を含む。低誘電率材料領域70、72、および74において、シリコン基板20のシリコンは、シリコン基板の誘電率よりも低い誘電率を有する材料と交換されている。図1の実施形態において、低誘電率材料は、二酸化ケイ素であり、領域70、72、および74は、二酸化ケイ素領域70、72、および74と称されることとなる。シリコンは、11.65の誘電率を有しており、二酸化ケイ素は、3.9の誘電率を有している。二酸化ケイ素領域70、72、および74は、それぞれ、相互接続部40、42、および44の下にある。結果として、二酸化ケイ素領域70、72、および74は、それぞれの相互接続部とシリコン基板20の裏側にある金属層60との間に位置付けされている。
【0042】
寄生容量
相互接続部42と金属層60との間の寄生容量は、図1の中に寄生キャパシター80として表されている。相互接続部42は、寄生キャパシターの第1のプレートを形成しており、金属層60は、寄生キャパシターの第2のプレートを形成しており、相互接続部42と金属層60との間の構造体の層は、寄生キャパシターの誘電体を形成している。また、寄生キャパシターは、相互接続部40および44のそれぞれと金属層60との間に形成されている。寄生キャパシターは、半導体構造体の性能を劣化させる。寄生容量は、相互接続部40、42、44および金属層60のエリアにわたる分配効果であるということが理解されることとなる。知られているように、平行平板キャパシターの静電容量は、平行平板間の誘電材料の誘電率に比例する。したがって、寄生容量は、シリコンの誘電率よりも低い誘電率を有する誘電材料をキャパシターのプレート間に提供することによって低減され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、半導体構造体は、基板の裏表面の上に金属層を含まない。しかし、そのような実施形態では、半導体構造体は、使用時に接地され得り、半導体構造体がその裏表面の上に金属層を含むかどうかにかかわらず、寄生容量が相互接続部とグランドとの間に存在する。
【0044】
図1を参照すると、相互接続部42と金属層60との間の領域は、二酸化ケイ素領域72によって部分的に充填されている。相互接続部42と金属層60との間に二酸化ケイ素領域72を提供することによって、寄生キャパシターの誘電材料の誘電率が、誘電材料としてシリコンと比較して低減され、それによって、寄生容量を低減させる。他の実施形態では、低誘電率材料は、低誘電率を有しており、その後に形成されるIII族窒化物材料のエピタキシャル成長温度に耐え抜く、材料であることが可能である。
【0045】
二酸化ケイ素領域70、72、および74は、半導体構造体10の上の相互接続部のうちのいくつかまたはすべての下にあることが可能である。さらに、二酸化ケイ素領域70、72、および74のそれぞれは、寄生容量の最大の低減を実現するために、それぞれの相互接続部のうち実用な限り多くの下にあるべきである。
【0046】
基板
上記に説明されているように、基板は、シリコンを含むことが可能である(すなわち、基板は、任意の形態の元素シリコンを含有する)。いくつかの実施形態は、基板に関係しており、基板の少なくとも一部分は、シリコンから作製されている。特定の実施形態は、基板に関係しており、基板の少なくとも一部分(または、基板のすべて)は、バルク・シリコンから作製されている。本明細書で使用されているように、バルク・シリコンは、任意の形態のドープされているまたはドープされていない元素状Siを指す。バルク・シリコンを含有する基板は、酸化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素などとは対照的に、たとえば、少なくとも、ドープされているまたはドープされていないシリコンの層を含むことが可能である。さまざまな実施形態において使用され得るシリコンを含む基板の例は、それに限定されないが、バルク・シリコン・ウエハー、シリコン・オン・インシュレーター基板、および、シリコンの合金から作製された基板(たとえば、シリコンゲルマニウムおよび炭化ケイ素基板)を含むことが可能である。いくつかの実施形態では、基板は、シリコン基板を含む。本明細書で使用されているように、シリコン基板は、シリコン表面を含む任意の基板を指す。適切なシリコン基板の例は、完全にシリコンから構成される基板(たとえば、バルク・シリコン・ウエハー)、シリコン・オン・インシュレーター(SOI)基板、およびシリコン・オン・サファイヤ(SOS)基板を含む。また、適切なシリコン基板は、別の材料(たとえば、ダイヤモンドもしくは他の結晶学的形態の炭素、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、または他の結晶性材料もしくは多結晶性材料など)に結合されたシリコン・ウエハーを有する複合基板を含む。異なる結晶学的配向を有するシリコン基板が使用され得るが、特定の実施形態(必ずしもすべての実施形態であるわけではない)では、単結晶シリコン基板が好適である場合がある。いくつかの実施形態では、シリコン(111)基板が使用されている。特定の実施形態では、シリコン(100)または(110)基板が使用されている。本明細書で使用されているように、炭化ケイ素基板は、炭化ケイ素表面を含む任意の基板を指す。適切な炭化ケイ素基板の例は、完全に炭化ケイ素から構成される基板(たとえば、バルク炭化ケイ素ウエハー)、および炭化ケイ素複合ウエハー(たとえば、炭化ケイ素層と炭化ケイ素でない材料の第2の層とを含むウエハー)などを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、基板は、さまざまな適切な厚さのうちのいずれかを有することが可能である。いくつかの実施形態によれば、基板は、150マイクロメートル未満の、加工および任意のウエハー薄化の後の最終的な厚さを有している。特定の実施形態によれば、基板は、100マイクロメートル未満の、50マイクロメートル未満の、または、それ以下の最終的な厚さを有している。特定の実施形態によれば、基板の最終的な厚さは、たとえば、成功的な高収率の半導体製作の必要に応じて、最終的なデバイスおよびヘテロエピタキシャル仕様(たとえば、ウエハー・ワープおよびボウ)に基づいて選択され得る。いくつかの実施形態では、基板の厚さは、大量のウエハー・シリコン製造において使用されるウエハー直径に特有のsemiスペックの厚さであることが可能である。
【0048】
III族窒化物材料
本明細書で使用されているように、「III族窒化物材料」という用語は、任意の第III族元素窒化物化合物を指す。III族窒化物材料の非限定的な例は、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)、および窒化タリウム(TIN)、ならびに、第III族元素および第V族元素を含む任意の合金(たとえば、AlGa(1-x)N、AlInGa(1-x-y)N、InGa(1-y)N、AlIn(1-x)N、GaAs(1-a-b)、およびAlInGa(1-x-y)As(1-a-b)など)を含む。典型的に、存在するときには、ヒ素および/またはリンは、低濃度(たとえば、5重量パーセント未満)になっている。III族窒化物材料は、ドープされたn型もしくはp型であることが可能であり、または、真性のものであることが可能である。III族窒化物材料は、任意の極性を有することが可能であり、それは、Ga極性の、N極性の、半極性の、または非極性の結晶配向を含むが、それに限定されない。また、III族窒化物材料は、ウルツ鉱、亜鉛ブレンド、または、混合ポリタイプのいずれかを含むことが可能であり、また、単結晶性の、多結晶性の、またはアモルファス構造体を含むことが可能である。
【0049】
いくつかの実施形態では、III族窒化物材料領域は、窒化ガリウム材料を含む。本明細書で使用されているように、「窒化ガリウム材料」という語句は、窒化ガリウム(GaN)およびその合金のいずれか、たとえば、なかでも、アルミニウム窒化ガリウム(AlGa(1-x)N)、窒化インジウム・ガリウム(InGa(1-y)N)、窒化アルミニウム・インジウム・ガリウム(AlInGa(1-x-y)N)、窒化ガリウム・ヒ素・リン(GaAs(1-a-b))、窒化アルミニウム・インジウム・ガリウム・ヒ素・リン(AlInGa(1-x-y)As(1-a-b))を指す。特定の実施形態では、III族窒化物材料領域は、GaNを含む。いくつかの実施形態によれば、III族窒化物材料領域は、エピタキシャルIII族窒化物材料領域である。特定の実施形態では、III族窒化物材料領域は、ヘテロ接合、2次元電子ガス(2DEG)領域、または2次元ホール・ガス(2DHG)を含む。いくつかの実施形態では、III族窒化物材料領域は、ドープされたホモ接合および/またはドープされたヘテロ接合を含む。
【0050】
プロセス
実施形態による半導体構造体を作製するためのプロセスが、図2図10を参照して説明されており、図2図10は、プロセスのステップを図示している。本明細書で説明されている1つまたは複数のステップは省略され得るということ、および、追加的なステップが全体的なプロセスの中に含まれ得るということが理解されることとなる。いくつかの実施形態では、プロセスのステップは、本明細書で説明されている順序とは異なる順序で実施され得る。
【0051】
図2を参照すると、プロセスは、シリコン基板20から始まる。シリコン基板20は、p型またはn型であることが可能であり、任意の適切な導電性を有することが可能である。シリコン基板20は、500μmから1000μmの範囲の中の厚さを有することが可能であるが、これは、限定ではない。1つの例では、シリコン基板は、625μm、100mm直径、0.02Ω-cmのホウ素がドープされたシリコンであることが可能である。シリコン基板20は、表側28および裏側26を有するものとして表されている。基板の他の例は、限定することなく、675μm、150mm直径、0.02Ω-cmのシリコン;725μm、200mm直径、0.02Ω-cmのシリコン;および、775μm、300mm直径、0.02Ω-cmのシリコンを含む。
【0052】
図3を参照すると、窒化ケイ素マスキング層110などのようなマスキング層が、シリコン基板20の上部表面の上に形成されている。窒化ケイ素マスキング層110は、低圧化学蒸着(LPCVD)によって形成され得り、2000Åから4000Åの厚さを有することが可能であるが、これは、限定ではない。他の適切なマスキング層は、プラズマ強化(PECVD)窒化ケイ素(>550C堆積温度/ゼロ捕捉水素)、スパッタされた窒化ケイ素、窒化ケイ素の原子層堆積(ALD)、または、追加されたLPCVD窒化ケイ素層を伴うかもしくは伴わないこれらのフィルムの層状の組み合わせを含む。シリコン基板に付着しており、標準的なフォトリソグラフィー・プロセスによってパターニングされ得り、シリコン酸化温度に耐え抜くことができる、任意の非酸化材料が用いられ得る。
【0053】
図4を参照すると、窒化ケイ素マスキング層110が、従来のパターニング技法を使用してパターニングされている。たとえば、除去されることとなる窒化ケイ素層110のエリアを画定するマスクが、窒化ケイ素層110の上方に設置され、エッチング・ステップが実施される。パターニング・マスクが、窒化ケイ素マスキング層の表面に一時的に適用される感光性有機ポリマー(フォトレジスト)を用いる典型的なフォトリソグラフィー・プロセスによって形成される。フォトレジスト・パターンは、標準的なドライ・エッチング・プラズマ、RIE(反応性イオン・エッチング)、またはICP(誘導結合プラズマ)技法を介して、窒化ケイ素マスキング層に転写される。次いで、一時的なパターニング・フォトレジストが、乾式化学プロセスまたは湿式化学プロセスを介して除去される。
【0054】
パターニングの後、窒化ケイ素層110は、デバイス・エリア50の中に残り、相互接続エリア52の中で除去され、シリコン基板20を露出させる。デバイス・エリア50は、必ずしも、デバイスによって占有されるエリアとマッチしているとは限らないということ、および、相互接続エリア52は、必ずしも、相互接続部によって占有されるエリアとマッチしているとは限らないということが理解されることとなる。その代わりに、相互接続エリア52は、シリコン基板20が低誘電率材料と少なくとも部分的に交換されているエリアを画定しており、デバイス・エリア50は、シリコン基板20が低誘電率材料と交換されていないエリアを画定している。相互接続部は、デバイスに接続するために、相互接続エリアからデバイス・エリアの中へ延在することが可能である。
【0055】
図5を参照すると、エッチング・ステップが、パターニングされた窒化ケイ素層110によって部分的にカバーされた基板20の上で実施される。エッチング・プロセスは、窒化ケイ素層110によってカバーされていないシリコン基板の部分を除去する。とりわけ、エッチング・プロセスは、相互接続エリア52の中の基板20のシリコンを除去し、トレンチ130、132、および134を形成する。トレンチ130、132、および134は、その後に形成される酸化物領域の所望の厚さに基づいて、制御された深さ136を有するように形成されている。トレンチ130、132、および134の深さ136は、トレンチ形成の後のおよび酸化の前の、デバイス・エリア50の中のシリコン基板20の上部表面からトレンチ130、132、および134の中のシリコン基板20の表面138への深さとして定義され得る。トレンチの深さは、最終的な構造体の中の基板20の厚さに依存し、基板厚さの0.5%から10%になっていることが可能である。1つの例では、トレンチ130、132、および134の深さ136は、約10ミクロンの深さを有する酸化物領域を形成するために約5ミクロンであることが可能である。この例は限定するものではないということが理解されることとなる。窒化ケイ素層110の部分120および122の下のデバイス・エリア50は、エッチング・プロセスによって影響を受けない。
【0056】
図6を参照すると、熱酸化ステップが、窒化ケイ素層110の部分120および122によってマスクされた基板20の上で実施される。熱酸化ステップは、シリコン基板20がトレンチ130、132、および134の中で酸化されることを引き起こし、一方、窒化ケイ素層110の部分120および122によってマスクされたデバイス・エリア50は、影響を受けない。とりわけ、トレンチ130、132、および134の中のシリコンは酸化され、二酸化ケイ素を形成する。二酸化ケイ素がトレンチ130、132、および134を充填し、二酸化ケイ素領域70、72、および74をそれぞれ形成するまで、熱酸化ステップは継続される。二酸化ケイ素領域70、72、および74の上部表面がデバイス・エリア50の中のシリコン基板20の上部表面と実質的に同一平面上になるまで、熱酸化ステップは実施される。熱酸化ステップは、LOCOSプロセスの一部であることが可能である。
【0057】
シリコンの熱酸化の後、二酸化ケイ素領域は、トレンチ形成の後におよび酸化の前に、トレンチ表面138の上方および下方に延在している。とりわけ、二酸化ケイ素厚さのおおよそ54%(厚さ140として示されている)が、酸化の前のトレンチ表面138の上方にあり、二酸化ケイ素厚さのおおよそ46%(厚さ142として示されている)が、酸化の前のトレンチ表面138の下方にある。トレンチ深さおよび熱酸化パラメーターの適当な選択によって、トレンチの深さのほぼ2倍であり、デバイス・エリア50の中のシリコン基板20の上部表面とほぼ同一平面上にある、二酸化ケイ素領域70、72、および74が形成され得る。
【0058】
大気圧力に関して、典型的な酸化温度は、摂氏1000度から摂氏1200度の範囲にある。酸化種は、水素および酸素を組み合わせて飽和蒸気環境を作り出すことによって形成される。時間は、所望の二酸化ケイ素厚さを成長させるための可変パラメーターとして使用される。HiPOX(高圧酸化)システムの使用は、所望の二酸化ケイ素厚さを作り出すために必要とされる温度および時間の両方を低減させることが可能である。このHiPOXプロセスにおいて、水素および酸素が再び組み合わせられ、蒸気を作り出すが、それは、大幅に増加した圧力になっており、典型的に大気の10倍から25倍の範囲にある。
【0059】
図7を参照すると、窒化ケイ素層110は、エッチングによってシリコン基板20の表面から剥がされている。窒化ケイ素マスキング層は、典型的に摂氏120度から摂氏200度の間の範囲の中の上昇した温度において、リン酸を介して除去される。代替的に、窒化ケイ素フィルムは、シリコン表面への化学的機械的研磨によって除去され得る。窒化ケイ素層110の除去の後に、シリコン基板20の表面は、デバイス・エリア50の中で露出されており、二酸化ケイ素は、相互接続エリア52の中で露出されている。好ましくは、表面の平面性は、デバイス・エリア50の中のシリコンと相互接続エリア52の中の二酸化ケイ素との間の境界を横切って維持されいている。いくつかの実施形態では、シリコン基板の表面は、平坦な表面を確保するために研磨され得る。
【0060】
図8を参照すると、エピタキシャル成長ステップが実施される。とりわけ、窒化ガリウム層22または他のIII族窒化物材料層が、エピタキシャル成長によってシリコン基板20の上部表面の上に形成されている。窒化ガリウム層22は、0.8μmから6μmの範囲の中の厚さを有することが可能であるが、これは、限定ではない。図8に示されているように、窒化ガリウム層22は、デバイス・エリア50の中に単結晶窒化ガリウム152を含むことが可能であり、相互接続エリア52の中に多結晶性窒化ガリウム154を含むことが可能である。単結晶窒化ガリウム152は、シリコン基板20の上に形成しており、多結晶性窒化ガリウム154は、二酸化ケイ素領域70、72、および74の上に形成している。次いで、パッシベーション/カプセル化層24は、窒化ガリウム層22の上に形成されている。いくつかの実施形態では、相互接続エリア52の中の多結晶性窒化ガリウム154は、相互接続部40、42、および44の製作の前に除去され得る。
【0061】
図9を参照すると、デバイス30および32が、デバイス・エリア50の中に製作されており、相互接続部40、42および44が、相互接続エリア52の中に製作されている。デバイス30および32は、パッシベーション/カプセル化層24の中に開口部をエッチングすることによって、ならびに、たとえば、ソース構造体、ゲート構造体、およびドレイン構造体を形成することによって形成される。相互接続部40、42、44は、パッシベーション/カプセル化層24の上部表面の上に堆積されており、デバイス30および32のうちの1つまたは複数に電気的に接続されている。デバイス30および32への接続は示されておらず、図面の平面の外で起こる可能性がある。
【0062】
たとえば、窒化ガリウム・トランジスターなどのような1つまたは複数のデバイスが、それぞれのデバイス・エリア50の中に形成され得る。加えて、1つまたは複数の相互接続部が、それぞれの相互接続エリア52の中に形成され得る。相互接続部は、デバイスおよび/もしくはボンド・パッドを相互接続するために使用される相互接続ライン、外部接続ワイヤーのボンディングのためのボンド・パッド、または、その両方であることが可能である。相互接続ラインおよびボンド・パッドは、少なくとも1つのパターニングされた金属層として製作され得る。アクティブ・デバイス30および32ならびに相互接続部40、42、および44は、公知の技法にしたがって製作され得る。
【0063】
図10を参照すると、シリコン基板20は、裏側を薄化することによって厚さを低減されている。シリコン・ウエハーの上のGaNが、キャリア基板の上に表側を下にして装着され、それは、キャリア・ウエハーに一時的な結合を提供するためにワックスまたは他の有機ポリマーを使用して、薄化プロセスが実施されるときにアクティブ・デバイス・ウエハーを支持するための頑丈なハンドルを提供する。キャリア材料は、サファイヤ、ガラス、シリコン、または炭化ケイ素であることが可能である。実際の薄化は、不要なシリコンの大部分を除去するために典型的な半導体ダイヤモンド・ホイール研削プロセスを用いることによって達成される。次いで、シリコンの研削の後に、残留研削損傷を除去するためにコロイド状シリカを利用する化学的機械的研磨が続く。基板20は、50μmから100μmの範囲の中の最終的な厚さまで厚さが低減され得るが、これは、限定ではない。
シリコン基板20の薄化の後に、金属層60が、薄化された基板の裏表面の上に形成される。金属層60は、1μmから6μmの範囲の中の厚さを有することが可能であり、半導体デバイスのためのグランド平面としての役割を果たすことが可能である。
【0064】
完成した半導体構造体10において、相互接続部40、42、および44のそれぞれは、多結晶性窒化ガリウム154、二酸化ケイ素領域70、72、および74、ならびにシリコン基板20によって、相互接続エリア52の中の金属層60から分離され得る。シリコン基板20が、相互接続エリア52において、シリコンよりも低い誘電率を有する二酸化ケイ素によって部分的に交換されているので、相互接続部40、42、および44のそれぞれと金属層60との間の材料の全体的な誘電率が低減される。そして、誘電率の低減は、相互接続部40、42、および44と金属層60との間の寄生容量を低減させ、それによって、(とりわけ、高い周波数における)性能を改善する。二酸化ケイ素領域70、72、および74の有益な効果は、シリコン基板20の合計厚さに対してこれらの領域の厚さを増加させることによって、および/または、相互接続部40、42、および44の下にある二酸化ケイ素領域70、72、および74の面積を増加させることによって、増加され得るということが理解されることとなる。
【0065】
本明細書で説明されている実施形態において、相互接続部の下にあるシリコン基板20の部分は、二酸化ケイ素と交換されており、二酸化ケイ素は、下側シリコンよりも低い誘電率を有している。他の実施形態では、相互接続エリア52の中のシリコンは、寄生容量の低減を実現するために、他の材料と交換され得り、他の材料は、シリコンよりも低い誘電率を有しており、その後に形成されるIII族窒化物材料のエピタキシャル成長温度に耐え抜くことが可能である。さらなる実施形態では、基板20は、たとえば、炭化ケイ素などのような、シリコン以外の材料であることが可能である。
【0066】
追加の実施形態において、デバイス・エリア50の中のデバイスは、任意の適切なアクティブ回路コンポーネントおよび/またはパッシブ回路コンポーネントであることが可能であり、それぞれのデバイス・エリア50は、同じまたは異なるタイプの1つまたは複数の回路コンポーネントを含むことが可能である。いくつかの実施形態では、半導体構造体は、単一のデバイス・エリア50および単一の相互接続エリア52を含む。デバイス・エリア50の数および相互接続エリア52の数は、限定ではない。
【0067】
半導体構造体は、III族窒化物材料層を含むものとして説明されてきた。いくつかの実施形態では、半導体構造体は、III族窒化物材料層に加えてを1つまたは複数の層を含み、それは、拡散バリア層、核形成層、および/またはバッファー層を含むが、それに限定されない。
【0068】
半導体構造体を使用するデバイス
本明細書で説明されている半導体構造体は、特定の実施形態によれば、さまざまな半導体デバイスの基礎を形成することが可能である。適切なデバイスは、それに限定されないが、トランジスター(たとえば、電界効果トランジスター(FET);エンハンスメント・モードまたはデプレッション・モードのいずれか)、ショットキー・ダイオード、ならびに、発光ダイオード(LED)およびレーザー・ダイオードを含む発光デバイスのような、ディスクリート・デバイスを含む。同様に、適切なデバイスは、また、集積回路(たとえば、モノリシック・マイクロ波集積回路(MMIC)、(たとえば、フロント・エンド・モジュール(FEM)の組み立てのための)2つ以上のディスクリート・デバイスの組み合わせを含む。特定の実施形態(必ずしもすべての実施形態であるわけではない)によれば、高い周波数において(たとえば、特定のパワー・マネージメント用途に関して100MHz以上の周波数において、特定のRF用途に関して1GHz以上の周波数において)動作するデバイスの中の構造体を使用するということが、とりわけ有利である可能性がある。より高い周波数において動作するIII族窒化物デバイスを使用する用途の非限定的な例は、ソースから負荷へ電力を切り換えるか、整流するか、モニタリングするか、または制御するために使用されるパワー・マネージメント・ディスクリートおよび集積回路(たとえば、降圧コンバーター、ブースト・コンバーター、ハーフ・ブリッジ、Hブリッジ、フル・ブリッジ、3相ブリッジ、および多相ブリッジ)を含む。RF用途の他の非限定的な例は、無線通信および有線通信、RFエネルギー、RFプラズマ照明、ワイヤレス充電、RF誘導およびマイクロ波加熱、RFスパーク・プラグ、ISM、医療用デバイス、レーダー、ならびに、電子戦闘および対策デバイスに関連付けられる送信機能および受信機能のために使用されるディスクリートおよび集積回路を含む。特定の実施形態では、ソースから負荷への電力送達をモニタリングするか、切り換えるか、または制御するために使用されるRFデバイスおよびスイッチング・デバイスの両方を組み合わせるチップの上の集積回路および/または複数のダイスが存在することが可能である。
【0069】
特定の実施形態によれば、デバイスは、典型的に、少なくとも部分的に、III族窒化物材料領域の中に(たとえば、III族窒化物材料デバイス領域の1つまたは複数の層の中に、たとえば、1つまたは複数の窒化ガリウム材料層などの中に)形成されているアクティブ領域を有している。いくつかの実施形態によれば、デバイスは、さまざまな他の機能的な層および/または特徴(たとえば、電極、誘電体領域、フィールド・プレート層など)を含む。
【0070】
特定の実施形態によれば、半導体構造体は、トランジスター(たとえば、電界効果トランジスター(FET))を含む。トランジスターは、特定の実施形態によれば、ソース電極およびドレイン電極を含むことが可能である。ソース電極およびドレイン電極は、互いに電子的に隔離され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、ソース電極およびドレイン電極は、誘電材料によって空間的に分離されている。いくつかの実施形態では、トランジスターは、ゲート電極をさらに含む。ゲート電極は、ショットキー・ゲートまたは絶縁されたゲート電極であることが可能である。特定の実施形態によれば、使用の間に、ゲート電極における電圧の印加は、ソース電極とドレイン電極との間に少なくとも部分的に位置決めされている電界を生成および/または修正することが可能であり、電子がソース電極からドレイン電極へ移送されるようになっている。本明細書で説明されている実施形態のうちの特定のものに関連して使用され得る適切なトランジスター(たとえば、FET)は、デプレッション・モード(ノーマリー・オン)トランジスターおよびエンハンスメント・モード(ノーマリー・オフ)トランジスターを含む。
【0071】
いくつかの実施形態が本明細書で説明および図示されてきたが、本明細書で説明されている機能を実施するための、ならびに/または、結果および/もしくは利点のうちの1つまたは複数取得するための、さまざまな他の手段および/または構造体、ならびに、そのような変形例および/または修正例のそれぞれが、本技術の範囲内にあると見なされるということを当業者は容易に想像することとなる。より一般的には、本明細書で説明されているすべてのパラメーター、寸法、材料、および構成は、例示的なものであることを意味しているということ、ならびに、実際のパラメーター、寸法、材料、および/または構成は、本技術の教示が使用される1つまたは複数の特定の用途に依存することとなるということを当業者は容易に認識することとなる。当業者は、単に日常的な実験を使用して、本明細書で説明されている技術の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するかまたは確認することができることとなる。したがって、先述の実施形態は単なる例として提示されているに過ぎないということ、ならびに、添付の特許請求の範囲およびその均等の範囲内において、本技術は、具体的に説明および特許請求されているもの以外の方法で実施され得るということが理解されるべきである。本技術は、本明細書で説明されているそれぞれの個々の特徴、システム、物品、材料、および/または方法に関係している。加えて、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、および/または方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、および/または方法が相互に矛盾していない場合には、本技術の範囲内に含まれる。
【0072】
本明細書で定義および使用されているようなすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文献の中の定義、および/または、定義される用語の通常の意味を支配するように理解されるべきである。
【0073】
本明細書および特許請求の範囲の中で使用されているような不定冠詞「a」および「an」は、反対のことが明示的に示されていない限り、「少なくとも1つの」を意味するように理解されるべきである。本明細書および特許請求の範囲の中で使用されているような「および/または」という語句は、そのように結合されたエレメント(すなわち、いくつかのケースでは結合的に存在し、他のケースでは分離的に存在するエレメント)のうちの「いずれかまたは両方」を意味するように理解されるべきである。他のエレメントは、随意的に、反対のことが明示的に示されていない限り、具体的に識別されているそれらのエレメントに関係するかまたは関係しないかにかかわらず、「および/または」節によって具体的に識別されているエレメント以外に存在することが可能である。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む(comprising)」などのような開放型の言語とともに使用されるときには、1つの実施形態では、Bを伴わないA(随意的に、B以外のエレメントを含む)を指すことが可能であり;別の実施形態では、Aを伴わないB(随意的に、A以外のエレメントを含む)を指すことが可能であり;さらなる別の実施形態では、AおよびBの両方(随意的に、他のエレメントを含む)などを指すことが可能である。
【0074】
本明細書で使用されているように本明細書および特許請求の範囲の中で、「または」は、上記に定義されているような「および/または」を同じ意味を有するように理解されるべきである。たとえば、リストの中の項目を分離しているときには、「または」または「および/または」は、包含的であるとして解釈されるものとする(すなわち、複数のまたはリストのエレメント、ならびに、随意的に、追加的な列挙されていない項目の少なくとも1つ(2つ以上も含む)を含む)。反対であることを明示的に示されている用語だけは(たとえば、「のうちの1つだけ」もしくは「のうちの正確に1つ」、または、特許請求の範囲の中で使用されるときには、「からなる(consisting of)」など)、複数のまたはリストのエレメントのうちの正確に1つのエレメントを含むことを指すこととなる。一般的に、本明細書で使用されているような「または」という用語は、「いずれか」、「の一方」、「の1つのみ」、または「の正確に1つ」などのような、排他性の用語によって先行されているときには、排他的な二者択一を示すものとしてだけ解釈されるものとする(すなわち、「一方または他方、しかし、両方ではない」)。「本質的に~からなる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲の中で使用されるときには、特許法の分野において使用されるようなその通常の意味を有するものとする。
【0075】
本明細書および特許請求の範囲の中で使用されているように、1つまたは複数のエレメントのリストを参照した「少なくとも1つの」という語句は、エレメントのリストの中のエレメントの任意の1つまたは複数から選択される少なくとも1つのエレメントを意味するように理解されるべきであり、必ずしも、エレメントのリストの中に具体的に列挙されているそれぞれのおよびすべてのエレメントの少なくとも1つを含むわけではなく、また、必ずしも、エレメントのリストの中のエレメントの任意の組み合わせを除外するわけではない。また、この定義は、具体的に識別されているそれらのエレメントに関係しているかまたは関係していないかにかかわらず、「少なくとも1つの」という語句が言及しているエレメントのリストの中に具体的に識別されているエレメント以外のエレメントが随意的に存在することができるということを許容している。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同等には、「AまたはBの少なくとも1つ」、または、同等には、「Aおよび/またはBの少なくとも1つの」)は、1つの実施形態では、Bが存在しない状態で(および、随意的に、B以外のエレメントを含む)、少なくとも1つのA(随意的に、2つ以上のAを含む)ことを指すことが可能であり;別の実施形態では、Aが存在しない状態で(および、随意的に、A以外のエレメントを含む)、少なくとも1つのB(随意的に、2つ以上のBを含む)ことを指すことが可能であり;さらなる別の実施形態では、少なくとも1つのA(随意的に、2つ以上のAを含む)および少なくとも1つのB(随意的に、2つ以上のBを含む)(および、随意的に、他のエレメントを含む)などを指すことが可能である。
【0076】
特許請求の範囲において、および、上記の明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」、および「保持する(holding)」などのようなすべての移行句は、開放型であると理解されるべきであり、すなわち、「含むが、それに限定されない」を意味するように理解されるべきである。「からなる(consisting of)」および「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という移行句だけは、米国特許庁の特許審査手続きのマニュアルの章2111.03に記載されているように、それぞれ、閉鎖型のまたは半閉鎖型の移行句であるものとする。
【0077】
本明細書で説明されている技法のいくつかの実施形態を詳細に説明してきたので、さまざまな修正例および改善例が、当業者に容易に考え付くこととなる。そのような修正例および改善例は、本開示の精神および範囲の中にあることを意図している。したがって、先述の説明は、単なる例としてのものに過ぎず、限定するものとして意図されていない。本技法は、以下の特許請求の範囲およびその均等物によって定義されるようにのみ限定されている。
図1
図2
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図7
図8
図9
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