(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】自動車のエネルギー貯蔵装置用の蓄電セル及び自動車用のエネルギー貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6571 20140101AFI20230816BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20230816BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20230816BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20230816BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20230816BHJP
【FI】
H01M10/6571
H01M10/058
H01M10/615
H01M10/625
H01M50/533
(21)【出願番号】P 2020572956
(86)(22)【出願日】2019-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2019063249
(87)【国際公開番号】W WO2020001869
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】102018210660.6
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ハンマーシュミット・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ニュルンベルガー・ジーモン
(72)【発明者】
【氏名】バウアー・クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット・ヤン・フィリップ
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/194378(WO,A1)
【文献】特開2002-050884(JP,A)
【文献】特開2002-025523(JP,A)
【文献】特開2004-063397(JP,A)
【文献】特開2011-243531(JP,A)
【文献】特開2002-289160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/058
H01M10/42-10/667
H01M50/20-50/298
H01M50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電手段(6)が電気エネルギーを貯蔵するために収容されている1つのセルハウジング(2)と、このセルハウジング(2)の外側に配置された少なくとも1つの端子(7)を介してこれらの蓄電手段(6)によって貯蔵された電気エネルギーがこれらの蓄電手段(6)から提供可能である当該端子(7)と、前記セルハウジング(2)内に配置された、蓄電セル(1)を加熱するための少なくとも1つの電気加熱要素(9)とを有する自動車のエネルギー貯蔵装置用の蓄電セル(1)において、
-前記セルハウジング(2)が、結合領域(V)を有し、この結合領域(V)内では、前記加熱要素(9)が、前記セルハウジング(2)内でこのセルハウジング(2)に電気接続されていて、
-少なくとも1つの結合装置(12)が設けられていて、当該結合装置(12)は、
・第1材料から形成され且つ前記セルハウジング(2)の外側でこのセルハウジング(2)に電気接続されている1つの第1結合部(15)と、この第1結合部(15)に電気接続されていて且つ前記第1材料とは異なる第2材料から形成された第2結合部(16)とを有する少なくとも1つの結合要素(14)と、
・前記第2結合部(16)に電気接続されている少なくとも1つの切替要素(17)とを備え、前記第2結合部(16)が、当該切替要素(17)によって前記端子(7)に電気接続可能であり、前記端子(7)から分離可能であ
り、
前記第1結合部(15)が、前記セルハウジング(2)と前記第2結合部(16)との間に配置され、この第1結合部(15)とこの第2結合部(16)とが、少なくとも部分的に重なるように、それぞれの前記結合要素(14)が、湾曲されている又はアーチ形の1つの移行領域(UB)を有することを特徴とする蓄電セル(1)。
【請求項2】
前記切替要素(17)は、第1方向(22)において前記セルハウジング(2)に面しない前記第1結合部(15)の側面(S)上に配置されていて、
前記第1結合部(15)の少なくとも1つの部分領域(T)が、前記第1方向(22)に対して傾斜して又は直角に延在する第2方向(24,25)において前記切替要素(17)よりも大きく、
前記第1結合部(15)が、前記部分領域(T)内で前記セルハウジング(2)に機械的に且つ電気的に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電セル(1)。
【請求項3】
前記第1結合部(15)は、前記部分領域(T)内で前記セルハウジング(2)に溶接されていて、これにより前記セルハウジングに電気的に且つ機械的に結合されていることを特徴とする請求項2に記載の蓄電セル(1)。
【請求項4】
前記結合部(15)は、前記側面(S)から前記セルハウジング(2)に溶接されていることを特徴とする請求項3に記載の蓄電セル(1)。
【請求項5】
前記結合装置(12)は、第2結合要素(18)を有し、この第2結合要素(18)は、第3材料から形成され且つ前記切替要素(17)に電気接続されている1つの第3結合部(19)と、この第3結合部(19)に電気接続されていて且つ前記第3材料とは異なる第4材料から形成され、前記セルハウジング(2)の外側で前記端子(7)に電気接続されている第4結合部(20)とを有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の蓄電セル(1)。
【請求項6】
前記第1材料は、前記第4材料に相当することを特徴とする請求項5に記載の蓄電セル(1)。
【請求項7】
前記第2材料は、前記第3材料に相当することを特徴とする請求項5又は6に記載の蓄電セル(1)。
【請求項8】
前記切替要素(17)は、プリント回路基板(28)を有し、このプリント回路基板(28)に特に電気接続されている前記切替要素(17)の少なくとも1つのスイッチ(29)が、このプリント回路基板(28)上に配置されていて、
前記プリント回路基板(28)は、前記第2結合部(16)に電気接続されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の蓄電セル(1)。
【請求項9】
前記プリント回路基板(28)は、前記第3結合部(19)に電気接続されていることを特徴とする請求項5~7のいずれか1項を引用する請求項8に記載の蓄電セル(1)。
【請求項10】
弾性変形可能で且つ前記プリント回路基板(28)に電気接続されている少なくとも1つの導電体(32)が設けられていて、このプリント回路基板(28)は、当該導電体(32)を介して少なくとも1つの別の部品に電気接続可能であり、
前記プリント回路基板(28)は、前記導電体(32)よりも曲がりにくいことを特徴とする請求項8又は9に記載の蓄電セル(1)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の少なくとも1つの蓄電セル(1)を有する自動車用のエネルギー貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による自動車のエネルギー貯蔵装置用に電気エネルギーを貯蔵するための蓄電セルに関する。さらに、本発明は、電気エネルギーを貯蔵するために構成された自動車用のエネルギー貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願公開第102013221747号明細書は、特にリチウムイオンバッテリーセルとして構成された、陰極とセパレータと陽極とを有するバッテリーセルを開示する。当該バッテリーセルは、コイル状に存在し、セルコイルフィルム(Zellwickelfolie)によって包囲されている。この場合、この場合、当該セルコイルフィルムが組み込まれた加熱部を有することが提唱されている。
【0003】
さらに、ハウジングと加熱装置とを有するバッテリーセルが、独国特許出願公開第102013021258号明細書から公知である。この場合、当該加熱装置が、少なくとも1つの扁平な支持要素内及び/又はその上に配置された少なくとも1つの電気加熱要素を有する当該支持要素を備えることが提唱されている。さらに、当該少なくとも1つの扁平な支持要素は、当該ハウジングの少なくとも1つの内壁上に配置されている。さらに、国際公開第2017/194373号パンフレットは、加熱可能なバッテリーを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第102013221747号明細書
【文献】独国特許出願公開第102013021258号明細書
【文献】国際公開第2017/194373号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、蓄電セル及びエネルギー貯蔵装置の必要スペースが、非常に小さいフレーム内に確保され得るように、冒頭で述べた種類の蓄電セル及びエネルギー貯蔵装置をさらに改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この課題は、請求項1に記載の特徴を有する蓄電セル及び請求項11に記載の特徴を有するエネルギー貯蔵装置によって解決される。本発明の好適な構成は、従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明の第1の観点は、自動車、好ましくは乗用自動車として構成された特に自動車のエネルギー貯蔵用の蓄電セルに関する。当該蓄電セルは、例えばバッテリーセルとして構成されている。その結果、当該エネルギー貯蔵装置は、例えばバッテリーセルとして構成され得る。特に、セル又はシングルセルとも呼ばれる蓄電セルは、リチウムイオンセルとして構成され得る。その結果、当該エネルギー貯蔵装置は、例えばリチウムイオンバッテリーとして構成され得る。特に、当該エネルギー貯蔵装置は、高電圧コンポーネントとして又は高電圧蓄電池として構成されている。この場合、当該エネルギー貯蔵装置は、高電圧バッテリー(HVバッテリー)として構成され得る。当該エネルギー貯蔵装置が、高電圧蓄電池として構成されている場合、当該エネルギー貯蔵装置が提供するか又は有する電圧、特に駆動電圧は、50ボルトよりも大きい。例えば非常に大きい電力を、自動車の電気駆動のために実現できるようにするため、電圧、特に駆動電圧は、特に数百ボルトである。特に、完成された状態にあるエネルギー貯蔵装置は、互いに電気接続されている複数の蓄電セルを有する。この場合、それぞれの蓄電セルに対して先行する実施形態及び後続する実施形態が、別の蓄電セルに適用されてもよく、別の蓄電セルが、それぞれの蓄電セルに対して先行する構成及び後続する実施形態に適用されてもよい。
【0008】
蓄電セルは、電気エネルギー又は電力を貯蔵するためにセルハウジング及び蓄電手段を有する。当該蓄電手段は、当該セルハウジング内に収容されている。したがって、電気エネルギーが、当該蓄電セルによって又は当該蓄電セル内に貯蔵され得る。その結果、電気エネルギーが、エネルギー貯蔵装置によって又はエネルギー貯蔵装置内に貯蔵され得る。当該蓄電手段は、例えば、異なる極性の少なくとも2つの電極と、例えば、例えば液体の電解質とを有する。これらの電極は、少なくとも部分的に、特に少なくともほぼ全体的に又は完全に当該電解質内に浸漬又は収容されている。これらの電極のうちの第1電極は、例えば陽極である。この場合、第2電極は、例えば陰極である。当該蓄電手段は、例えばこれらの電極間に配置されているセパレータをさらに有する。これらの電極は、当該セパレータによって互いに電気絶縁されている。これらの電極は、例えば電極積層体を形成し得るか、又は、これらの電極は、巻き付けられて、ゼリーロールとも呼ばれる電極コイル(Elektrodenwickel)に形成される。この場合、当該セパレータは、これらの電極間に配置され得る。その結果、当該セパレータは、例えばこれらの電極と一緒に巻付けられて、当該電極コイルに形成されている。
【0009】
蓄電セルは、セルハウジングの外側に配置され、例えば当該セルハウジングに対して電気絶縁されているターミナル(Terminal)とも呼ばれる端子を有する。当該蓄電手段は、当該端子を介して当該蓄電手段によって貯蔵された電気エネルギーを提供できる。換言すれば、当該蓄電手段によって貯蔵された電気エネルギーが、例えば当該端子を介して取り出され得る、すなわち当該蓄電手段から放電され得る。例えば、当該端子は、複数の電極のうちの1つの電極に接続されている。この場合、特に当該電極は、当該セルハウジング内で当該1つの電極に電気接続されている。
【0010】
さらに、蓄電セルは、この蓄電セルを加熱又は暖房するために当該セルハウジング内に配置された少なくとも1つの電気加熱要素を有する。換言すれば、当該加熱要素は、電気的に稼働可能である。その結果、当該加熱要素を使用することで、当該蓄電セルは、電気エネルギーを利用して暖房され得る。さらに、電気エネルギーが、当該端子を介して蓄電手段に供給され得ることが考えられる。その結果、当該端子を介して当該蓄電手段に供給される電気エネルギーが、当該蓄電手段内に蓄電可能である。当該電気加熱要素によって、特に当該電気加熱要素によって引き起こし可能な、当該蓄電セルの加熱又は暖房によって、非常に低い周囲温度又は外部温度の場合でも、当該蓄電セルは、十分に高い温度を有することが可能である。その結果、当該蓄電セルは、その中に貯蔵されたエネルギーを非常に良好に提供できる。又はその結果、電気エネルギーが、非常に良好に当該蓄電セル内に貯蔵され得るか又は当該蓄電セル内に蓄電され得る。
【0011】
蓄電セル、すなわちエネルギー貯蔵装置の必要スペースの全体を非常に小さいフレーム内に確保できるようにし、この場合、それにもかかわらず当該蓄電セルの有益な加熱を省スペースで実現できるようにするため、本発明によれば、セルハウジングが、結合領域を有し、この結合領域内では、加熱要素が、当該セルハウジング内でこのセルハウジングに電気接続されていることが提唱されている。換言すれば、加熱要素が、セルハウジング内の結合領域に電気接続されている。その結果、当該加熱要素は、当該セルハウジング内でこのセルハウジングに電気接続されている。当該加熱要素は、例えば少なくとも1つの端子要素を有する。当該蓄電セルを加熱するため、電気エネルギーが、当該端子要素を介して当該加熱要素に供給され得る。この場合、例えばセルハウジング内で、当該端子要素は、当該結合領域に電気接続されている、すなわち当該セルハウジングに電気接続されている。その結果、当該蓄電セルを加熱するため、電気エネルギーが、当該セルハウジングを介して例えば当該加熱要素に供給され得て、当該加熱要素が稼働され得る。当該加熱要素の端子要素が、当該セルハウジング内で当該結合領域に、すなわち当該セルハウジングに電気接続されているので、当該端子要素又は当該加熱要素が、当該セルハウジングからこのセルハウジングの周囲に引き出される必要があることが回避され得る。その結果、当該蓄電セルの必要スペースが、非常に小さいフレーム内に確保され得る。この場合、電解質が、当該セルハウジングに対して電気絶縁されていると、非常に有益であることが分かっている。このため、電気絶縁体が、例えば当該セルハウジング内に配置されている。当該電解質は、この電気絶縁体によって当該セルハウジングに対して電気絶縁されている。当該電気絶縁体は、例えば当該セルハウジング上に、特に当該電解質又は蓄電手段に面した内周の被覆面上に被覆、特に塗布されている。その結果、当該セルハウジングの当該内周の被覆面が、電気絶縁体を有する。
【0012】
この場合に設置スペースにとって非常に有益な方式で電気エネルギーを加熱要素に提供できるようにするため、本発明の蓄電セルは、少なくとも1つの結合装置をさらに有する。当該結合装置は、特にセルハウジングの完全に外側に配置されている少なくとも1つの結合要素を含む。当該結合要素は、第1材料から形成され且つ当該セルハウジングの外側で当該セルハウジングに電気接続されている第1結合部を有する。当該結合要素は、当該セルハウジングの特に完全に外側に収容されている。その結果、当該セルハウジングの特に外側に配置された第1結合部が、当該セルハウジングに電気接続されている。したがって、当該第1結合部は、当該セルハウジングの外側で当該セルハウジングに電気接続されている。特に、当該第1結合部が、当該セルハウジングの外側の結合領域内で当該セルハウジングに電気接続されていることが提唱されている。その結果、例えば当該第1結合部は、当該結合領域に電気接続されている、すなわち当該セルハウジングに電気接続されている。こうして、当該セルハウジング内に配置された加熱要素が、当該セルハウジングを介して当該第1結合部に電気接続されている。
【0013】
さらに、結合要素は、第1結合部に少なくとも電気接続されている第2結合部を有する。当該第2結合部は、当該第1結合部とは違う第2材料から形成されている。当該第1材料は、例えば金属の材料である。代わりに又はさらに、当該第2材料は、金属の材料である。当該セルハウジングは、例えば或る材料から形成されている。この場合、当該材料は、当該第1材料に相当するか、又は、当該第1材料は、当該材料に相当することが提唱され得る。当該第1材料及び/又は当該材料は、例えば軽金属、特にアルミニウムのような金属の材料でもよい。当該第2材料は、例えば銅でもよい。これらの結合部は、互いに電気接続されているので、電気エネルギー又は電流が、これらの結合部のうちの1つの結合部からそれぞれの別の結合部へ流れ得るか、又は、それぞれの別の結合部からこれらの結合部のうちの1つの結合部に流れ得る。このとき、特に、これらの結合部は、互いに機械的に結合されている、すなわち互いに接合して保持されている。その結果、当該結合要素は、例えば結合された又は結合されている構造ユニット又は構成要素である。
【0014】
設置スペースにとって非常に有益な方式で且つ適切に加熱要素を起動及び停止できるようにするため、結合装置は、特にセルハウジングの外側で第2結合部に電気接続されている少なくとも1つの切替要素をさらに有する。当該切替要素は、特に当該セルハウジングの完全に外側に配置されている。当該第2結合部は、当該切替要素によって蓄電セルの端子に電気接続可能であり且つ当該端子から分離可能である。当該切替要素は、例えば少なくとも1つの接続状態と少なくとも1つの分離状態との間で切り替え可能である。当該接続状態では、当該第2結合部は、当該切替要素を介して当該端子に電気接続されている。その結果、蓄電手段から提供され、特に当該端子に又は当該端子に向かって流れる電気エネルギーが、当該端子から当該切替要素を介して当該第2結合部に伝送され得るか又は伝送される。次いで、当該電気エネルギーは、当該第2結合部から第1結合部に伝送され、この第1結合部から当該セルハウジングを介して当該加熱要素又は当該端子要素に伝送され、次いで加熱要素に伝送される。その結果、当該蓄電手段によって貯蔵され、当該蓄電手段から供給された電気エネルギーが、当該加熱要素に供給され得るか又は供給される。これにより、当該加熱要素が稼働される。これにより、蓄電セルが、当該加熱要素によって加熱される。以上により、当該切替要素の接続状態では、当該第2結合部と当該端子との間の接続が、当該切替要素を介して完了していることが認識可能である。その結果、当該加熱要素と当該端子との間の接続が、当該切替要素を介して完了している。
【0015】
しかしながら、分離状態では、切替要素が開かれているので、上記の加熱要素と端子との間の電気接続が、切替要素によって遮断されているか又は開かれている。したがって、蓄電手段によって貯蔵された電気エネルギーが、加熱要素に供給されない。その結果、例えば当該分離状態では、当該加熱要素は停止されている。したがって、蓄電セルが、当該加熱要素によって加熱されない。したがって、当該加熱要素は、当該切替要素によって非常に適切に且つ設置スペースにとって非常に有益な方式で停止され得て且つ起動され得る。その結果、当該蓄電セルは、適切に加熱され得る。別の利点は、結合要素が、互いに異なる材料から形成された複数の結合部を有することによって、当該結合要素は、セルハウジングと当該切替要素との双方に少なくとも電気的に、特に機械的に非常に有益に結合され得ることである。特に、当該セルハウジングと第1結合部との簡単な溶接の観点から、第1材料と材料とが互いに適合するように、当該第1材料及び当該材料が選択される。さらに、第2結合部と当該切替要素との簡単な結合、特に溶接の観点から、当該第2結合部が、当該切替要素に適合するように、例えば第2材料が選択され得る。
【0016】
本発明の蓄電セルは、非常に高い集積度と、短い電流誘導路の実現と、切替要素の非常に良好な熱結合の実現とを可能にする。その結果、例えば当該切替要素の過度な温度上昇が回避され得る。さらに、加熱要素が、例えばセルごとに制御可能である。これは、例えばそれぞれの加熱要素が別の蓄電セルのそれぞれの別の加熱要素から独立して起動又は停止され得ることを意味する。当該それぞれの加熱要素のこのようなそれぞれの制御は、例えば制御チップによって制御される。当該制御チップは、例えば、それぞれの蓄電セルの中心温度を検出でき、特に取得できる。したがって、当該蓄電セルが当該加熱要素によって加熱される正確な加熱時間が、正確に調整され得る、特に制御又は調整され得る。こうして、複数の蓄電セルのいわゆるバランシングが実行可能である。当該複数の蓄電セル間の温度差及び/又は充電の違いが、互いに相殺され得る。その結果、少なくともほぼ均一な温度分布が、エネルギー貯蔵装置内の全体で保証され得る。さらに、当該切替要素は、セル内部の加熱部として構成された加熱要素の非常に良好な制御を可能にする。この場合、切替要素を当該蓄電セル又はセルターミナルとも呼ばれる端子に組み込むことが回避され得る。
【0017】
必要スペースを非常に小さく確保できるようにするため、結合装置及び端子が、蓄電セル又はセルハウジングの同じ側面上に配置されていることが提唱され得る。
【0018】
本発明の特に好適な実施の形態の場合、切替要素は、第1方向にセルハウジングに面しない第1結合部の側面上に配置されている。したがって、例えば第1結合部の少なくとも一部が、当該第1方向とは反対の方向に当該切替要素と当該セルハウジングとの間に配置されている。この場合、当該第1結合部の少なくとも1つの部分領域が、当該第1方向に対して傾斜して又は直角に延在する第2方向において当該切替要素よりも大きい。特に、当該第2方向に一致する延在方向に沿った当該第1結合部の少なくとも当該部分領域が、当該切替要素よりも幅広であることが提唱され得る。この場合、当該第1結合部は、当該部分領域内で当該セルハウジングに、特に当該セルハウジングの結合領域に機械的に且つ電気的に結合されている。こうして、当該第1結合部、すなわち当該結合要素の全体が、非常に簡単に、設置スペースにとって有益に、低コストに、機械的に且つ電気的に当該
セルハウジングに結合され得る。
【0019】
この場合、第1結合部が、部分領域内でセルハウジングに溶接されていて、これにより電気的に且つ機械的に当該セルハウジングに結合されていると、非常に有益であることが分かっている。特に、当該第1結合部は、当該部分領域内で当該セルハウジングの結合領域に溶接され得て、これにより当該セルハウジングの当該結合領域に電気的に且つ機械的に結合され得る。これにより、設置スペースにとって非常に有益に且つ低コストに当該結合要素を当該セルハウジングに機械的に且つ電気的に結合することが保証され得る。
【0020】
蓄電セル、すなわちエネルギー貯蔵装置の必要スペース及びコストを非常に小さく確保できるようにするため、本発明の別の構成では、第1結合部が、側面からセルハウジングに、特に結合領域に溶接されていることが提唱されている。当該側面は、例えば当該蓄電セルの設置位置では自動車の垂直方向に上方に向いている。この場合、自動車の完成された状態では、当該蓄電セルは、当該蓄電セルは、その設置位置を占有する。こうして、当該第1結合部、すなわち当該結合要素を自動車の垂直方向に上向きに、非常に簡単に且つ低コストに当該セルハウジングに溶接することが可能である。
【0021】
別の実施の形態は、当該結合装置は、第2結合要素を有し、この第2結合要素は、第3材料から形成され且つ当該切替要素に電気接続されている1つの第3結合部と、この第3結合部に電気接続されていて且つ当該第3材料とは異なる第4材料から形成され、当該セルハウジングの外側で当該端子に電気接続されている第4結合部とを有することを特徴とする。特に、第2結合部は、当該セルハウジングの完全に外側に配置されている。当該第4結合部は、当該セルハウジングの外側で端子に電気接続されている。特に、当該第3結合部と当該第4結合部とは、互いに機械的に結合されていて、これにより互いに接して保持されている。その結果、特に第2結合要素も、結合された又は連続する簡単に取り扱い可能な構造ユニットである。さらに、特に、第4結合部が、端子に機械的に結合されていて、及び/又は、第4結合部が、切替要素に機械的に結合されていることが提唱されている。さらに、特に、第2結合部が、切替要素に機械的に結合されていることが提唱されている。当該第2接続要素を使用することで、セルハウジングの外側での、当該切替要素と当該端子との設置スペースにとって非常に有益で且つ非常に簡単な電気接続が保証され得る。これにより、特に、簡単な電気結合及び/又は機械結合及び/又は固着結合、特にはんだ付け及び/又は溶接の観点から、当該第3材料が、当該切替要素に適合されていることが可能である。さらに、簡単な溶接の観点から、当該第4材料が、当該端子に適合されているように、当該第4材料が選択され得る。その結果、当該結合要素は、非常に簡単に且つ設置スペースにとって有益に少なくとも電気的に、特にさらに機械的に、当該切替要素と当該端子との双方に結合され得る。
【0022】
第3材料は、銅でもよい。代わりに又はさらに、第4材料は、例えばアルミニウムのような軽金属でもよい。特に、当該第3材料は、金属の材料であることが可能である。代わりに又はさらに、当該第4材料は、金属の材料である。それぞれの第1材料、第2材料、第3材料及び第4材料は、特に導電性の材料又は導電可能な材料である。
【0023】
必要スペース及びコストを非常に小さいフレーム内に確保できるようにするため、本発明の別の構成では、第1材料が、第4材料に相当することが提唱されている。
【0024】
別の実施の形態は、第2材料が、第3材料に相当することを特徴とする。これにより、コスト及び必要スペースが、非常に小さいフレーム内に確保され得る。
【0025】
本発明の別の構成では、切替要素は、特に曲がりにくいプリント回路基板を有する。当該プリント回路基板は、特に変形しなく又は剛性である。当該切替要素の少なくとも1つのスイッチが、当該プリント回路基板上に配置されている。この場合、当該スイッチは、当該プリント回路基板に電気接続されている。特に、当該スイッチは、当該プリント回路基板に保持されている。当該スイッチは、例えば接続状態と分離状態との間で切り替え、特に移動され得る。特に、当該スイッチは、MOSFETとして構成されている。その結果、当該スイッチは、非常に有益に且つ適切に開閉され得る。この場合、当該プリント回路基板は、特にセルハウジングの外側で第2結合部に電気接続されている。これにより、電力が、当該プリント回路基板と当該第2結合部との間で非常に有益に伝送され得る。その結果、電力が、端子から当該プリント回路基板を介して加熱要素に非常に有益に伝送され得る。この場合、当該第2結合部は、電気的に、特にさらに機械的に当該プリント回路基板に結合されている。この場合、特に当該第2結合部は、当該プリント回路基板に固着結合されている、特にはんだ付けされている。
【0026】
別の実施の形態は、プリント回路基板は、特にセルハウジングの外側で第3結合部に電気接続されていることを特徴とする。これにより、非常に有益な電力の伝送が保証され得る。特に、当該第3結合部は、電気的に、特に機械的に当該プリント回路基板に結合されている。この場合、当該第3結合部は、当該プリント回路基板にはんだ付けされ得る。
【0027】
エネルギー貯蔵装置の全体の構造を設置スペースにとって非常に有益に且つ低コストに実現できるようにするため、本発明の別の構成では、蓄電セルが、弾性変形可能で、少なくとも電気的に、特にさらに機械的にプリント回路基板に結合されている少なくとも1つの導電体を有することが提唱されている。当該プリント回路基板は、当該導電体を介して少なくとも1つの別の構成要素に電気接続可能である。この場合、当該プリント回路基板は、当該導電体よりも剛性であるか又は曲がりにくい。これは、当該導電体が当該導電体に作用する力によって弾性変形可能であることを意味する。この場合、この力は、依然として当該プリント回路基板を変形させない、特に弾性変形させない。当該プリント回路基板は、当該導電体よりも遥かに剛性であるか又は曲がりにくく、当該導電体に比べて弾性変形され得ないので、当該プリント回路基板と当該導電体とは、いわゆるリジッドフレキシブル基板を形成する。当該導電体は、当該プリント回路基板に比べて遥かに容易に又は遥かに小さい力で弾性変形され得る。その結果、当該導電体は、当該プリント回路基板と当該構成要素との間の非常に有益な結合を可能にする。例えばエネルギー貯蔵装置の稼働中に、熱による複数の相対移動が、当該プリント回路基板と当該構成要素との間で発生すると、当該導電体は、これらの相対移動によって弾性に、すなわち破壊なしに変形され得る。その結果、当該導電体は、これらの相対移動を一緒に実行するか又は可能にする。その結果、当該構成要素と当該プリント回路基板とは、これらの相対移動中でも、当該導電体を介して互いに電気接続を維持する。
【0028】
別の構成要素は、エネルギー貯蔵装置の別の蓄電セルの切替要素のプリント回路基板である。その結果、閉ループ制御される状態で、電気エネルギーを当該構成要素に接続されているエネルギー貯蔵装置から加熱要素に供給するため、例えば、電気エネルギーが、導電体を介して当該別の蓄電セルの加熱要素に非常に有益に供給され得る、及び/又は、当該別の構成要素のプリント回路基板又は切替要素が制御され得る。
【0029】
例えば、少なくとも1つの空間方向に沿って延在する間隔が、構成要素とプリント回路基板との間に設けられているように、当該構成要素は、当該プリント回路基板から離間して配置されている。この場合、導電体は、特に当該間隔よりも大きい長さを有する。その結果、当該導電体が弾性変形されることによって、当該導電体は、破壊なしに、例えば当該間隔の熱による複数の変化を一緒に実行できる。このため、当該導電体は、例えば少なくとも長手領域内にジグザグ形及び/又は波形の延在部を有する。当該延在部は、当該間隔の拡大時に伸ばされるか又は偏向され、当該間隔の縮小時に圧縮される。これにより、当該構成要素と当該プリント回路基板とが、互いに電気接続を維持される一方で、当該構成要素と当該プリント回路基板とは、例えば熱に起因して互いに相対移動する。
【0030】
本発明の第2の観点は、自動車用のエネルギー貯蔵装置に関する。本発明のエネルギー貯蔵装置は、本発明の少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置又は特に互いに電気接続されている本発明の複数の蓄電セルを有する。本発明の第1の観点の利点及び好適な構成は、本発明の第2の観点の利点及び好適な構成とみなされ、本発明の第2の観点の利点及び好適な構成は、本発明の第1の観点の利点及び好適な構成とみなされる。
【0031】
以下に、本発明のさらなる詳細を添付図面による好適な実施の形態から説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】自動車のエネルギー貯蔵装置用に電気エネルギーを貯蔵するための本発明の蓄電セルの概略分解図である。
【
図5】それぞれの蓄電セルの結合装置の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図面には、同じ要素又は機能的に同じ要素は、同じ符号を付記されている。
【0034】
図1は、自動車、例えば乗用自動車として構成された特に自動車のエネルギー貯蔵用の蓄電セル1を概略分解図で示す。当該自動車は、完成された状態では少なくとも1つの電気機械を有する。当該自動車は、当該電気機器によって電気駆動され得る。当該自動車の電気駆動のため、エネルギー貯蔵装置内に貯蔵されている電気エネルギー又は電力が、当該電気機械に供給される。この場合、当該エネルギー貯蔵装置は、例えば複数の蓄電セルを有する。これらの蓄電セルは、蓄電セル1のように構成されている。すなわち、蓄電セル1は、当該エネルギー貯蔵装置のこれらの蓄電セルのうちの1つの蓄電セルである。当該エネルギー貯蔵装置のこれらの蓄電セルは、互いに電気接続されている。その結果、非常に大きい電力を自動車の電気駆動のために実現できるように、当該エネルギー貯蔵装置は、非常に大きい電圧、特に電気駆動電圧を提供できる。特に、当該エネルギー貯蔵装置の電圧は、数百ボルトである。
【0035】
蓄電セル1は、簡単にハウジングとも呼ばれるセルハウジング2を有する。セルハウジング2は、カンとも呼ばれる第1ハウジング部材3と、キャップとも呼ばれる第2ハウジング部材4とを有する。ハウジング部材3及び4は、例えば、互いに別々に形成され且つ互いに結合されている部品である。ハウジング部材4は、蓋とも呼ばれる。セルハウジング2が、完全に製造された状態では、セルハウジング2は、収容室5を形成する。
図1では非常に概略的に示された蓄電手段6が、電気エネルギーを貯蔵するために収容室5内に収容されている。蓄電手段6は、例えば、液状の電解質で少なくとも部分的に浸漬されている、異なる電極の少なくとも複数の電極又は丁度2つの電極と、特に当該液状の電解質とを有する。さらに、蓄電手段6は、これらの電極間に配置されているセパレータを有し得る。これにより、これらの電極は、当該セパレータによって互いに電気絶縁されている。これらの電極のうちの第1電極は、例えば陽極である。この場合、第2電極は、陰極である。
【0036】
さらに、蓄電セル1は、ターミナルとも呼ばれ、少なくとも部分的にセルハウジング2の外側に配置されている端子7及び端子8を有する。この場合、端子7及び端子8は、ハウジング部材4に保持されていて、例えばセルハウジング2から電気絶縁されている。例えば、陽極が、セルハウジング2内で端子7に電気接続されている一方で、陰極は、セルハウジング2内で端子8に電気接続されている。したがって、例えば、端子7は、蓄電セル1のプラス電極を形成する一方で、端子8は、蓄電セル1のマイナス電極を形成する。蓄電手段6は、この蓄電手段6によって貯蔵された電気エネルギーを端子7及び端子8を介して提供できる。これにより、蓄電手段6によって貯蔵された電気エネルギーが、例えば電気機械に供給され得る。
【0037】
さらに、蓄電セル1は、収容室5内に、したがってセルハウジング2内に配置された電気加熱要素9を有する。蓄電セル1は、電気エネルギーを使用して電気加熱要素9によって加熱、すなわち暖房され得る。複数の電気加熱要素9が、セルハウジング2内配置され得ることが、
図1から認識可能である。さらに、破断隔膜10が、ハウジング部材4に設けられている。例えば発熱による事故時に、収容室5が、破断隔膜10によって適切に排気され得る。これにより、蓄電セル1の制御できない爆発が確実に回避され得る。当該蓄電セル1の例では、エネルギー貯蔵装置の複数の蓄電セル1がそれぞれ、電気加熱要素9のような少なくとも1つの電気加熱要素を有し得ることが認識可能である。
【0038】
蓄電セル1、すなわちエネルギー貯蔵装置の必要スペースの全体を非常に小さいフレーム内に確保できるようにするため、セルハウジング2、特にハウジング部材4は、結合領域Vを有する。加熱要素9は、セルハウジング2内でこのセルハウジング2の結合領域Vに結合されている。このため、例えば、加熱要素9は、接続要素11を有する。接続要素11は、少なくとも電気的に、そして特に機械的に結合領域V、すなわちセルハウジング2に結合されている。これにより、例えば、電気エネルギーが、セルハウジング2を介して接続要素11に供給され得る。したがって、当該電気エネルギーは、セルハウジング2を介して、接続要素11を経由して加熱要素9に供給され得る。加熱要素9は、この加熱要素9に供給されたこの電気エネルギーによって稼働され得る。その結果、蓄電セル1が、加熱要素9に供給された当該電気エネルギーによって加熱され得る。電気エネルギーが、電気加熱要素9に供給されると、電気加熱要素9が起動される。結果として、蓄電セル1が、電気加熱要素9によって加熱される。電気エネルギーが、加熱要素9に供給されないと、加熱要素9が停止される。その結果、加熱要素9によって引き起こされる蓄電セル1の加熱が停止する。
【0039】
例えば、接続要素11が、結合領域V、すなわちセルハウジング2に溶接されている。これにより、接続要素11と加熱要素9とが、電気的に、そして特に機械的にセルハウジング2、特にハウジング部材4に結合されている。
【0040】
さらに、蓄電セル1は、少なくとも1つ又は特に丁度1つの結合装置12を有する。結合装置12は、特に完全にセルハウジング2の外側に配置されていて、したがってこのセルハウジング2の周囲13に配置されている。結合装置12は、第1結合要素14を有する。この第1結合要素14は、第1材料から形成され且つセルハウジング2の外側でこのセルハウジング2に電気接続されている第1結合部15と、この第1結合部15に電気接続されていて且つ機械接続されていて且つ当該第1材料とは異なる第2材料から形成された第2結合部16とを有する。図示された実施の形態の場合、当該第1材料は、アルミニウムである一方で、当該第2材料は、銅である。さらに、結合装置12は、第2結合部16に電気接続されている、特に機械接続もされている少なくとも1つの切替要素17又は丁度1つの切替要素17を有する。切替要素17を使用することで、第2結合部16と加熱要素9とが、端子7に電気接続可能であり、端子7から分離可能である。結合部15が、結合領域Vに電気接続されているか又はセルハウジング2に電気接続されているので、結合部15と結合要素14とが、全体としてセルハウジング2を介して接続要素11と加熱要素9とに電気接続されている。
【0041】
さらに、結合装置12は、第2結合要素18を有する。この第2結合要素18は、第3材料から形成され且つ切替要素17に電気接続されている、特に機械接続もされている第3結合部19と、この第3結合部19に電気接続されていて、特に機械接続もされていて、当該第3材料とは異なる第4材料から形成され、セルハウジング2の外側で端子7に電気接続されている第4結合部20とを有する。特に第3材料は銅であり、特に第4材料はアルミニウムである。
【0042】
さらに、結合部15は、セルハウジング2、特にハウジング部材4に機械接続されている。特に、結合部20は、端子7に機械接続されている。以上により、蓄電手段6によって貯蔵され、端子7を介してこの蓄電手段6から提供される電気エネルギーが、セルハウジング2と結合要素14と切替要素17と結合要素18とを経由して接続要素11と加熱要素9とに供給され、当該接続要素11と加熱要素9とが、当該電気エネルギー11によって稼働され得ることが認識可能である。この場合、結合要素14は、湾曲されている又はアーチ形の移行領域UBを有する。その結果、結合部15と結合部16とは、
図2中に二重矢印21によって示された方向に沿って少なくとも部分的に重なる。したがって、結合部15は、二重矢印21によって示された方向に沿ってセルハウジング2と結合部16との間に配置されている。
【0043】
さらに、切替要素17及び結合部16は、セルハウジング2に面しない第1結合部15の側面S上に矢印22によって示された第1方向に配置されていることが提唱されている。
図3から認識可能であるように、
図3に二重矢印23によって示され且つ矢印22によって示された第1方向に対してほぼ直角に延在する第2方向に沿った第1結合部15の少なくとも1つの部分領域Tが、切替要素17よりも幅広であり且つ結合部16よりも幅広である。このため、少なくとも部分領域Tは、当該第1方向に対して直角に延在し且つ
図3に矢印24によって示された第3方向と、当該第1方向に対して直角に延在し且つ
図3に矢印25によって示された当該第3方向とは反対である第4方向とにおいて切替要素17及び結合部16よりも大きい。この場合、部分領域T内の第1結合部15は、セルハウジング2、特に結合領域Vに機械的に且つ電気的に結合されている。換言すれば、部分領域Tが、側面Sからセルハウジング2に簡単に溶接され得て、これにより電気的に且つ機械的にセルハウジング2に結合され得るように、この部分領域Tは、矢印22によって示された第1方向に切替要素17及び結合部16に面しないように配置されている。これに関しては、それぞれの溶接継目26及び27が、
図3に示されている。結合部15が、これらの溶接継目26及び27に沿ってセルハウジング2に溶接されている。
【0044】
切替要素17が、プリント回路基板28を有することが、
図4及び5から非常に良好に認識可能である。プリント回路基板28に電気接続されていて、例えばMOSFETとして構成された切替要素17の2つのスイッチ29及び30が、このプリント回路基板28上に配置されている。この場合、スイッチ29及び30は、プリント回路基板28に保持されている。少なくとも1つのフォトカプラ31又は丁度1つのフォトカプラ31が、それぞれのスイッチ29又は30に割り当てられている。当該割り当てられたそれぞれのスイッチ29又は30は、そのフォトカプラ31によって切り替えられ得る。フォトカプラ31も、プリント回路基板28に保持されている。この場合、プリント回路基板28は、少なくとも電気的に、特に機械的に結合部16及び19に結合されている。
【0045】
さらに、蓄電セル1は、弾性変形可能で且つプリント回路基板28に電気接続されている少なくとも1つの導電体32を有する。当該導電体32は、プリント回路基板28よりもフレキシブルである。換言すれば、プリント回路基板28は、導電体32よりも曲がりにくく形成されている。プリント回路基板28は、導電体32を介してエネルギー貯蔵装置の少なくとも1つの別の部品に電気接続可能であるか又は接続されている。これらの別の部品は、-
図4及び5から認識可能であるように-当該エネルギー貯蔵装置の複数の蓄電セルのうちの別の1つの蓄電セルの1つの切替要素の少なくとも1つのプリント回路基板である。その結果、例えば、当該エネルギー貯蔵装置の複数の蓄電セルの複数の切替要素の複数のプリント回路基板が、導電体32を介して非常に有益に互いに電気接続され得る。例えば、熱に起因した相対移動が、これらの蓄電セル間で発生すると、これらの蓄電セル間の間隔が変化する。導電体32が、当該相対移動によって弾性に、すなわち破損なしに変形されることによって、当該弾性に変形可能な導電体32は、導電性を伴って当該相対移動を実行できる。これにより、これらの蓄電セルの複数のプリント回路基板は、これらの蓄電セルの相対移動にもかかわらず導電体32を介して少なくとも電気的に互いに接続され続け得る。
【0046】
側面Sは、例えば蓄電セル1を自動車の直立方向に取り付けた姿勢では上方に向いている。その結果、結合部15が、切替要素17よりも幅広であることによって、結合部15は、上から簡単にセルハウジング2に溶接され得る。
【0047】
エネルギー貯蔵装置の完成された状態では、複数の蓄電セルが、特にこれらの蓄電セルの端子を介して互いに電気接続されている。このため、電池接触システムとも呼ばれる電池接続システム(ZKS)が設けられている。これらの蓄電セルが、この電池接続システムを介して互いに電気接続されている。特に、それぞれの蓄電セルのそれぞれの端子が、当該電池接続システムを介して互いに電気接続されている。この場合、それぞれの結合装置12が、二重矢印21によって示された方向に沿って当該電池接続システムの下側に、すなわち当該電池接続システムとそれぞれのセルハウジング2との間に配置されている。換言すれば、それぞれの結合装置12は、当該電池接続システムに埋設され得る。その結果、結合装置12は、当該電池接続システムを損傷させず、又は当該電池接続システムの取り付けを妨害しない。したがって、当該エネルギー貯蔵装置は、オプションとして結合装置12を備え得るか、又は、結合装置12は、簡単に省略され得る。両場合で、電池接続システムは、同様に取り付けされ得る。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る:
1.
複数の蓄電手段(6)が電気エネルギーを貯蔵するために収容されている1つのセルハウジング(2)と、このセルハウジング(2)の外側に配置された少なくとも1つの端子(7)を介してこれらの蓄電手段(6)によって貯蔵された電気エネルギーがこれらの蓄電手段(6)から提供可能である当該端子(7)と、前記セルハウジング(2)内に配置された、蓄電セル(1)を加熱するための少なくとも1つの電気加熱要素(9)とを有する自動車のエネルギー貯蔵装置用の蓄電セル(1)において、
-前記セルハウジング(2)が、結合領域(V)を有し、この結合領域(V)内では、前記加熱要素(9)が、前記セルハウジング(2)内でこのセルハウジング(2)に電気接続されていて、
-少なくとも1つの結合装置(12)が設けられていて、当該結合装置(12)は、
・第1材料から形成され且つ前記セルハウジング(2)の外側でこのセルハウジング(2)に電気接続されている1つの第1結合部(15)と、この第1結合部(15)に電気接続されていて且つ前記第1材料とは異なる第2材料から形成された第2結合部(16)とを有する少なくとも1つの結合要素(14)と、
・前記第2結合部(16)に電気接続されている少なくとも1つの切替要素(17)とを備え、前記第2結合部(16)が、当該切替要素(17)によって前記端子(7)に電気接続可能であり、前記端子(7)から分離可能である蓄電セル(1)。
2.
前記切替要素(17)は、第1方向(22)において前記セルハウジング(2)に面しない前記第1結合部(15)の側面(S)上に配置されていて、
前記第1結合部(15)の少なくとも1つの部分領域(T)が、前記第1方向(22)に対して傾斜して又は直角に延在する第2方向(24,25)において前記切替要素(17)よりも大きく、
前記第1結合部(15)が、前記部分領域(T)内で前記セルハウジング(2)に機械的に且つ電気的に結合されている上記1に記載の蓄電セル(1)。
3.
前記第1結合部(15)は、前記部分領域(T)内で前記セルハウジング(2)に溶接されていて、これにより前記セルハウジングに電気的に且つ機械的に結合されている上記2に記載の蓄電セル(1)。
4.
前記結合部(15)は、前記側面(S)から前記セルハウジング(2)に溶接されている上記3に記載の蓄電セル(1)。
5.
前記結合装置(12)は、第2結合要素(18)を有し、この第2結合要素(18)は、第3材料から形成され且つ前記切替要素(17)に電気接続されている1つの第3結合部(19)と、この第3結合部(19)に電気接続されていて且つ前記第3材料とは異なる第4材料から形成され、前記セルハウジング(2)の外側で前記端子(7)に電気接続されている第4結合部(20)とを有する上記1~4のいずれか1つに記載の蓄電セル(1)。
6.
前記第1材料は、前記第4材料に相当する上記5に記載の蓄電セル(1)。
7.
前記第2材料は、前記第3材料に相当する上記5又は6に記載の蓄電セル(1)。
8.
前記切替要素(17)は、プリント回路基板(28)を有し、このプリント回路基板(28)に特に電気接続されている前記切替要素(17)の少なくとも1つのスイッチ(29)が、このプリント回路基板(28)上に配置されていて、
前記プリント回路基板(28)は、前記第2結合部(16)に電気接続されている上記1~7のいずれか1つに記載の蓄電セル(1)。
9.
前記プリント回路基板(28)は、前記第3結合部(19)に電気接続されている上記5~7のいずれか1つを引用する請求項8に記載の蓄電セル(1)。
10.
弾性変形可能で且つ前記プリント回路基板(28)に電気接続されている少なくとも1つの導電体(32)が設けられていて、このプリント回路基板(28)は、当該導電体(32)を介して少なくとも1つの別の部品に電気接続可能であり、
前記プリント回路基板(28)は、前記導電体(32)よりも曲がりにくい上記8又は9に記載の蓄電セル(1)。
11.
請求項1~10のいずれか1つに記載の少なくとも1つの蓄電セル(1)を有する自動車用のエネルギー貯蔵装置。
【符号の説明】
【0048】
1 蓄電セル
2 セルハウジング
3 ハウジング部材
4 ハウジング部材
5 収容室
6 蓄電手段
7 端子
8 端子
9 加熱要素
10 破断隔膜
11 接続要素
12 結合装置
13 周囲
14 結合要素
15 第1結合部
16 第2結合部
17 切替要素
18 第2結合要素
19 第3結合部
20 第4結合部
21 二重矢印
22 矢印
23 二重矢印
24 矢印
25 矢印
26 溶接継目
27 溶接継目
28 プリント回路基板
29 スイッチ
30 スイッチ
31 フォトカプラ
32 導電体
S 側面
T 部分領域
UB 移行領域
V 結合領域