(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】システム、情報処理装置、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01H 17/00 20060101AFI20230816BHJP
A01K 29/00 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
G01H17/00 Z
A01K29/00 A
(21)【出願番号】P 2021001797
(22)【出願日】2021-01-08
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 淳
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-050908(JP,A)
【文献】特開2016-211984(JP,A)
【文献】特開2007-263609(JP,A)
【文献】特開2004-198383(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0329663(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0049545(US,A1)
【文献】特開2015-089342(JP,A)
【文献】特開2006-075090(JP,A)
【文献】特開2007-037454(JP,A)
【文献】堂腰 顕 他,高感度低周波圧力センサを利用した乳牛の反芻自動計測装置の開発,日本畜産学会報,2014年,第85巻,第2号,163~169頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 17/00
A01K 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物を収容する施設に取り付けられた検出装置から検出された前記施設で発生した振動の情報を周波数領域の情報に変換する変換手段と、
変換された前記周波数領域の情報から得られる振幅の情報から、当該振幅の情報から得られる所定の統計値を除去する除去手段と、
除去された前記振幅の情報から算出される特徴量と、前記動物の動作別の参照の特徴量との類似度に基づいて、前記動物の動作を判定する動作判定手段と、
を備え、
前記特徴量は、メル周波数ケプストラム係数である、
システム。
【請求項2】
前記動作判定手段は、
除去された前記振幅の情報から算出される特徴量と、前記動物の動作別の参照の特徴量と、の間の距離を前記類似度として算出する距離算出手段と、
前記動物の動作のうち、算出された前記距離が小さい動作を特定する、特定手段と、
を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
除去された前記振幅の情報を対数変換することにより、電力の情報を算出する電力対数変換手段と、
前記電力の情報をメル周波数領域の電力の情報に変換するフィルタバンク手段と、
前記メル周波数領域の電力の情報を離散コサイン変換することにより、前記特徴量を算出する離散コサイン変換手段と、
を備え、
前記動作判定手段は、算出された前記特徴量と、前記参照の特徴量と、の前記類似度に基づいて、前記動物の動作を判定する、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
判定された前記動物の動作を出力する、動作出力手段、
を備える請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
所定の時間における、判定された前記動物の動作を判定結果として記憶する判定結果記憶手段と、
前記所定の時間において、判定された前記動物の動作のうち、当該動物の動作と判定された頻度に基づいて、前記動物の動作に対応する前記動物の状態を特定する状態特定手段と、
を備える請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
変換された前記周波数領域の情報から絶対値を算出することにより、前記振幅の情報を算出する絶対値処理手段、
を備え、
前記除去手段は、算出された前記振幅の情報から、前記所定の統計値を除去する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
動物を収容する施設に取り付けられた検出装置から検出された前記施設で発生した振動の情報を周波数領域の情報に変換する変換手段と、
変換された前記周波数領域の情報から得られる振幅の情報から、当該振幅の情報から得られる所定の統計値を除去する、不要成分除去手段と、
除去された前記振幅の情報から算出される特徴量と、前記動物の動作別の参照の特徴量とに基づいて、前記動物の動作を判定する動作判定手段と、
を備え
、
前記特徴量は、メル周波数ケプストラム係数である、
情報処理装置。
【請求項8】
動物を収容する施設に取り付けられた検出装置から検出された前記施設で発生した振動の情報を周波数領域の情報に変換し、
変換された前記周波数領域の情報から得られる振幅の情報から、当該振幅の情報から得られる所定の統計値を除去し、
除去された前記振幅の情報から算出される、メル周波数ケプストラム係数である特徴量と、前記動物の動作別の参照の特徴量とに基づいて、前記動物の動作を判定する、
方法。
【請求項9】
動物を収容する施設に取り付けられた検出装置から検出された前記施設で発生した振動の情報を周波数領域の情報に変換し、
変換された前記周波数領域の情報から得られる振幅の情報から、当該振幅の情報から得られる所定の統計値を除去し、
除去された前記振幅の情報から算出される、メル周波数ケプストラム係数である特徴量と、前記動物の動作別の参照の特徴量とに基づいて、前記動物の動作を判定する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
牛、豚、馬などの畜産動物が興奮等によって振動、歩行状況が変化する。特許文献1に記載の技術では、牛、豚などの畜産動物に予め装着型の振動計が取り付けられ、集中計算装置が、振動計から得られる振動数値情報を数値化して解析することによって、発情、分娩日時を予測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-325077号公報
【文献】特開2006-262848号公報
【文献】特開2011-045284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、振動を検出する装置を畜産動物に直接取り付けると、その装置のメンテナンス作業に手間がかかる。例えば、メンテナンス作業では、振動を検出する装置に付着した汚れを除去しなければならない。一方、畜産動物に振動を検出する装置を取り付けないと、畜産動物以外の振動が検出される場合があり、動物の状態の判定精度が低いという問題点がある。
【0005】
本発明の目的の一例は、振動を検出する装置を直接畜産動物に取り付けることなく、動物の状態の判定精度の向上を図るシステムなどを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様におけるシステムは、動物を収容する施設に取り付けられた検出装置から検出された前記施設で発生した振動の情報を周波数領域の情報に変換する変換手段と、変換された前記周波数領域の情報から得られる振幅の情報から、当該振幅の情報から得られる所定の統計値を除去する除去手段と、除去された前記振幅の情報から算出される特徴量と、前記動物の動作別の参照の特徴量との類似度に基づいて、前記動物の動作を判定する動作判定手段と、を備える。
【0007】
本発明の一態様における情報処理装置は、動物を収容する施設に取り付けられた検出装置から検出された前記施設で発生した振動の情報を周波数領域の情報に変換する変換手段と、変換された前記周波数領域の情報から得られる振幅の情報から、当該振幅の情報から得られる所定の統計値を除去する、不要成分除去手段と、除去された前記振幅の情報から算出される特徴量と、前記動物の動作別の参照の特徴量とに基づいて、前記動物の動作を判定する動作判定手段と、を備える。
【0008】
本発明の一態様における方法は、動物を収容する施設に取り付けられた検出装置から検出された前記施設で発生した振動の情報を周波数領域の情報に変換し、変換された前記周波数領域の情報から得られる振幅の情報から、当該振幅の情報から得られる所定の統計値を除去し、除去された前記振幅の情報から算出される特徴量と、前記動物の動作別の参照の特徴量とに基づいて、前記動物の動作を判定する。
【0009】
本発明の一態様におけるプログラムは、動物を収容する施設に取り付けられた検出装置から検出された前記施設で発生した振動の情報を周波数領域の情報に変換し、変換された前記周波数領域の情報から得られる振幅の情報から、当該振幅の情報から得られる所定の統計値を除去し、除去された前記振幅の情報から算出される特徴量と、前記動物の動作別の参照の特徴量とに基づいて、前記動物の動作を判定する、処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、振動を検出する装置を直接畜産動物に取り付けることなく、動物の状態の判定精度の向上を図る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施の形態1にかかるシステムの一構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1にかかるシステムの一動作例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施の形態2にかかるシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、算出部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、振動信号を区間振動信号長によって切り出す例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、区間振動出力周期の例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、動作判定部の詳細な構成例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2にかかる情報処理装置の一動作例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、特徴量の算出処理の具体的な処理手順の一例を示すフローチャート(その1)である。
【
図10】
図10は、特徴量の算出処理の具体的な処理手順の一例を示すフローチャート(その2)である。
【
図11】
図11は、動作判定処理の具体的な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、状態特定処理の具体的な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施の形態2にかかるシステムの構成の変形例1を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、実施の形態2にかかるシステムの構成の変形例2を示すブロック図である。
【
図15】
図15は、実施の形態2にかかるシステムの構成の変形例3を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、情報処理装置のハードウェア構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照して、本発明にかかるシステム、情報処理装置、方法、およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態は、開示の技術を限定するものではない。
【0013】
ここで、本実施の形態で用いる記号について説明する。[ | ]は、データの連結を示す。例えば、[A|B]は、データAとデータBとの連結を示す。より具体的に、A=[a1,a2,a3]、B=[b1,b2]の場合、[A|B]=[a1,a2,a3,b1,b2]である。
【0014】
sqrt( )は( )内のデータ(数値)の平方根を示す。例えば、sqrt(a)はaの平方根を示す。
【0015】
| |は、| |内のデータの絶対値を示す。例えば、|A|はAの絶対値を示す。
【0016】
log( )は( )内の対数変換を示す。例えば、log(A)は、Aの対数変換を示す。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかるシステムの一構成例を示すブロック図である。システム1は、施設内にいる動物の動作を特定する。施設は、例えば、動物を収容可能である。動物は、例えば、畜産動物である。動物は、牛、豚、馬などが挙げられる。動物の動作とは、足踏み、乗駕、摂食、摂水などが挙げられる。例えば、雌牛は、発情期に発情行動(動作)をとる。雌牛は、発情期に、他の牛への乗駕、立位時間が長くなる。もしくは、雌牛は、発情期に、足踏みの頻度が高くなる。このように、システム1は、動物の動作を特定することにより、健康状態、発情状態などの動物の状態を解析することできる。
【0018】
図1において、システム1は、変換部101と、除去部102と、動作判定部103と、を有する。変換部101は、検出装置から検出された施設で発生した振動の情報を周波数領域の情報に変換する。検出装置は、例えば、振動センサなどが挙げられる。より具体的に、変換部101は、振動の情報に対して、フーリエ変換を行うことにより、振動の情報を周波数領域の情報に変換する。なお、周波数領域の情報への変換方法は、特に限定されない。
【0019】
つぎに、除去部102は、例えば、変換された周波数領域の情報から得られる振幅の情報(以下、振幅情報と呼ぶ。)から、当該振幅情報から得られる所定の統計値を除去する。ここでの振幅情報とは、例えば、周波数領域の情報の絶対値である。また、所定の統計値としては、例えば、平均値、中央値、最頻値などが挙げられ、特に限定されない。ここでは、所定の統計値として平均値を例に挙げて説明する。除去部102は、振幅情報から、平均値を除去する。所定の平均値は、例えば、複数の時間区間における周波数領域の情報の平均値である。具体的に、例えば、所定の平均値は、周波数領域の情報において連続する複数の時間区間の平均値であってもよい。もしくは、所定の平均値は、周波数領域の情報において間欠する複数の時間区間の平均値であってもよい。これにより、振幅情報から、定常的に存在する雑音振動についての周波数領域の振幅情報が取り除かれた振幅情報が得られる。定常的に存在する雑音振動とは、例えば、発電機等の内燃機の振動、温度調整のためのファンの振動などである。
【0020】
動作判定部103は、除去された振幅の情報から算出される特徴量と、動物の動作別の参照の特徴量との類似度に基づいて、動物の動作を判定する。特徴量の種類は、特に限定されないが、メル周波数領域におけるメル周波数ケプストラム係数などが挙げられる。
【0021】
ここで、メル周波数領域について説明する。メル周波数領域とは、周波数領域の情報を人間の聴覚の特性に基づいた尺度の単位で表現される周波数領域である。メル周波数領域は、音声認識などの音声分析技術で用いられている。例えば、人間の聴覚は、高い周波数よりも低い周波数の違いを聞き分けることができる。メル周波数領域とは、人間の聴覚の特性に基づいて、次数を削減した周波数領域である。例えば、咀嚼、歩行などの牛の動作には、低い周波数の振動が多い。このため、メル周波数ケプストラム係数を用いることにより、システム1は、より少ない計算量で、より精度よく動作を特定することができる。
【0022】
動物の動作別の参照の特徴量とは、動物の動作ごとに予め用意された情報である。類似度は、特に限定されない。例えば、類似度は、例えば、ユークリッド距離などのベクトル上の距離などであってもよい。例えば、距離の場合、距離が短いほど、類似度が高く、距離が長いほど、類似度は低い。動物の動作の参照の特徴量が1つの場合、動作判定部103は、類似度が所定の類似度より高いか否かによって、その動作であるか否かを判定してもよい。複数の参照の特徴量がある場合、動作判定部103は、類似度が高い動作を動物の動作と判定してもよい。
【0023】
図2は、実施の形態1にかかるシステム1の一動作例を示すフローチャートである。変換部101は、振動の情報を周波数領域の情報に変換する(ステップS101)。ステップS101において、例えば、変換部101は、振動の情報をフーリエ変換することにより、周波数領域の情報を得る。除去部102は、周波数領域の情報から得られる振幅の情報から、振幅の情報の統計値を除去する(ステップS102)。つぎに、動作判定部103は、動物の動作を判定する(ステップS103)。ステップS103において、動作判定部103は、除去された振幅の情報から算出される特徴量と、動物の動作別の参照の特徴量との類似度に基づいて、類似度が高い動作を動物の動作であると判定する。ステップS103のつぎに、情報処理装置は、フローの動作を終了する。
【0024】
つぎに、実施の形態1の効果について説明する。動物を収容する施設に、振動を検出する検出装置を設置すると、検出装置は、施設内に存在する定常的に存在する雑音の振動を検出する。雑音の振動は、例えば、定常的に存在する雑音振動である。前述のように、定常的に存在する雑音振動とは、例えば、発電機等の内燃機の振動、温度調整のためのファンの振動などである。システム1は、振動情報から得られる周波数領域の振幅情報から、振幅情報の所定の統計値を除去した後に、除去後の振幅情報から得られる特徴量と、動作別の特徴量との類似度に基づいて、動物の動作を判定する。動物の動作による振動は、定常的でないため、振動情報において特徴的な周波数領域となる。一方、定常的に存在する振動は、振動情報において、平均的な周波数領域となる。このように、システム1は、振幅情報の所定の統計値を除去することにより、定常的に存在する雑音の振動を除去することができる。したがって、システム1は、定常的に存在する雑音の振動を除去した後に、動物の動作を判定する。これにより、システム1は、振動を検出する検出装置を直接畜産動物に取り付けることなく、畜産動物の動作の判定精度を向上させることができる。さらに、システム1は、動物の動作から動物の状態を判定する判定精度の向上を図ることができる。動物の状態とは、発情、分娩などの状態である。ひいては、システム1は、畜産動物の状態を判定しつつ、不安定な状態の畜産動物に作業員が接触するまたは近づくことによる事故を低減させることができる。また、情報処理装置は、施設に設置されればよく、検出装置が動物に取り付けられなくてよい。このため、検出装置が畜産動物の糞尿などによって汚れる可能性が低くなり。検出装置などのメンテナンス作業に関する衛生面の改善を図ることができる。
【0025】
システム1は、単一の装置によって実現されてもよいし、複数の装置によって実現されてもよい。例えば、単一の装置(例えば、情報処理装置)によって実現される場合、情報処理装置は、
図1に示す変換部101と、除去部102と、動作判定部103と、を有する。
【0026】
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2について図面を参照して詳細に説明する。実施の形態2では、動物の動作を判定するための特徴量を算出する例、さらに、動物の動作から動物の状態を特定する例を説明する。以下、本実施の形態2の説明が不明確にならない範囲で、前述の説明と重複する内容については説明を省略する。
【0027】
図3は、実施の形態2にかかるシステムの構成例を示すブロック図である。システム2は、実施の形態1で説明したシステム1の機能を基本構成として含む。システム2は、情報処理装置20を有する。情報処理装置20は、施設内にいる動物の状態を特定する。施設は、前述の通り、畜産施設である。情報処理装置20は、例えば、施設内に配置される。
【0028】
情報処理装置20は、検出装置201と、増幅器202と、AD(Analog Digital)変換器203と、算出部204と、動作判定部205と、状態特定部206と、を有する。さらに、情報処理装置20は、動作出力部207と、状態出力部208と、記憶部209と、を有する。
【0029】
図3において、情報処理装置20は、各機能部をすべて含む構成としているが、これに限らない。各機能部は、複数の情報処理装置20によって実現されてもよい。
【0030】
記憶部209は、例えば、情報処理装置20の各部の処理に用いるデータを記憶する。記憶部209は、例えば、情報処理装置20の各部の処理結果を記憶する。記憶部209としては、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)が挙げられる。記憶部209は、これらの組み合わせであってもよい。
【0031】
記憶部209は、参照特徴量記憶部2021と、動作記憶部2022と、状態記憶部2023と、を有する。図示した一部のデータは、情報処理装置20が通信ネットワークを介して接続されたストレージ装置他の装置に記憶されていてもよい。
【0032】
参照特徴量記憶部2021は、振動のパターンを記憶する。ここで、振動のパターンとは振動の種類に応じた参照の周波数ケプストラム係数である。振動の種類は、動物の動作別に分けられる。動物の動作は、例えば、足踏み、乗駕、摂食、摂水などがある。さらに、各動物の動作が、より詳細に分類されてもよい。例えば、各動物の動作において複数の参照の周波数ケプストラム係数が用意されてもよい。例えば、足踏みの参照の周波数ケプストラム係数が4パターン、乗駕の参照の周波数ケプストラム係数が5パターン、摂食の参照の周波数ケプストラム係数が4パターン、摂水の参照の周波数ケプストラム係数が2パターンある場合、振動のパターンの数は、15である。さらに、参照特徴量記憶部2021は、振動のパターンごとに、振動のパターン(参照の周波数ケプストラム係数)と、振動のパターンが属する動物の動作と、動物の状態と、を関連付けて記憶する。ここで、動物は、状態に応じて、行動が異なる。例えば、前述のように、牛は発情状態になると、足踏みの頻度が高くなる。動物の動作に関連付けられる動物の状態とは、その動作の頻度が高くなったときに想定される動物の状態である。
【0033】
動作記憶部2022は、例えば、時系列で動物の動作の判定結果を記憶する判定結果記憶部である。状態記憶部2023は、状態の特定結果を記憶する。
【0034】
また、記憶部209の一部の記憶内容は、情報処理装置20と通信ネットワークを介して接続されたストレージ装置などに記憶されてもよい。
【0035】
検出装置201は、施設内の振動を検出する。検出装置201は、例えば、振動センサである。検出装置201は、動物の動作による振動の情報を電気信号である振動信号に変換する。検出装置201は、動物に取り付けずに、畜産施設に取り付けた状態である。本実施の形態2では、畜産施設に取り付けた検出装置201から得られる振動の情報を使って畜産動物の状態を特定する。
【0036】
増幅器202は、検出装置201から出力される振動に関する電気信号を増幅させる。検出装置201から出力される電気信号が大きい場合、増幅器202は、電気信号を増幅しなくてもよい。電気信号が増幅器202によって増幅されない場合、検出装置201から出力される電気信号は、AD変換器203に出力されてもよい。このように、検出装置201から出力される電気信号が大きい場合、情報処理装置20は、増幅器202を有していなくてもよい。
【0037】
AD変換器203は、電気信号である振動信号を、所定のサンプリング周期によって、離散信号である振動信号(振動情報)に変換するAD変換を行う。
【0038】
算出部204は、振動情報から得られる周波数領域の振幅情報から、振幅情報の所定の統計値を除去した後に、除去後の振幅情報から特徴量を算出する。算出部204は、実施の形態1で説明した変換部101と、除去部102と、の機能を少なくとも含む。算出部204の詳細な機能部と、実施の形態1で説明した変換部101と、除去部102と、の対応関係は後述する。そして、動作判定部205は、特徴量と、参照特徴量と、の類似度に基づいて、施設内の動物の動作を特定する。動作判定部205は、実施の形態1で説明した動作判定部103の機能を含む。状態特定部206は、動物の動作から動物の状態を特定する。算出部204と、動作判定部205と、について、それぞれ
図4,5を用いて詳細なブロック図を説明する。まず、算出部204について説明する。
【0039】
図4は、算出部204の詳細な構成例を示すブロック図である。算出部204は、切り出し部2031と、窓関数処理部2032と、フーリエ変換部2033と、絶対値処理部2034と、を有する。また、算出部204は、不要成分算出部2035と、不要成分除去部2036と、電力対数変換部2037と、フィルタバンク部2038と、離散コサイン変換部2039と、を有する。ここで、フーリエ変換部2033は、例えば、実施の形態1で説明した変換部101の機能を基本構成として含む。また、不要成分除去部2036は、実施の形態1で説明した除去部102の機能を基本構成として含む。
【0040】
切り出し部2031は、例えば、振動信号である振動情報を、一定の時間長で区切る。一定の時間長は、区間振動信号長とも呼ぶ。
【0041】
図5は、振動信号を区間振動信号長によって切り出す例を示す説明図である。
図5において、横軸は、時間の経過を示す。切り出し部2031は、振動信号を、区間振動信号長ごとに切り出す。
図5において、区間振動信号長をLで表す。区間振動信号長Lごとに区切った後の振動信号を、区間振動信号と呼ぶ。区間振動信号は、Sによって表される。S(t)は、時刻tにおける区間振動信号である。
【0042】
図6は、区間振動出力周期の例を示す説明図である。
図6において、横軸は、時間の経過を示す。
図6において、区間振動信号の出力周期を区間振動信号出力周期と呼ぶ。
図6に示すように、区間振動信号出力周期は、区間振動信号長Lよりも短いため、各区間振動信号は、重複する部分がある。
【0043】
図4の説明に戻って、窓関数処理部2032は、区間振動信号S(t)に窓関数処理を行うことにより、窓関数処理後の区間振動信号を算出する。区間振動信号S(t)に窓関数処理を行うとは、区間振動信号S(t)と窓関数とを掛け合わせることである。窓関数の種類は特に限定されない。例えば、矩形窓、ガウス窓、ハミング窓など既存の窓関数が用いられれば良い。例えば、区間振動信号S(t)の窓関数処理後の時刻tにおける区間振動信号をSW(t)と表す。
【0044】
ここで、所定のサンプリング周期によって離散信号となる振動信号のうち、時刻tの振動信号をsc(t)とする。tsは、-∞≦ts≦∞の範囲の整数とし、所定のサンプリング周期で1ずつ増加する時刻を表す数値とする。ここで、時刻tの区間振動信号をS(t)と表す。窓関数をWと表す。区間振動信号の要素数をTとすると、区間振動信号S(t)と、窓関数Wとは、以下のように表される。
【0045】
S(t)=[sc(ts),sc(ts-1),・・・,sc(ts-(T-1))]
=[s(t)(1),s(t)(2),・・・,s(t)(T)]
W=[w(1),w(2),・・・,w(T)]
【0046】
区間振動信号S(t)と窓関数Wとを掛け合わせた例と、窓関数処理の結果である時刻tの区間振動信号SW(t)とは、要素数をTとして以下のように表される。なお、*は掛け算を示す。
【0047】
SW(t)=[s(t)(1)*w(1),s(t)(2)*w(2),・・・,s(t)(T)*w(T)]
=[sw(t)(1),sw(t)(2),・・・,sw(t)(T)]
【0048】
フーリエ変換部2033は、実施の形態1で説明した変換部101の機能を基本機能として有する。フーリエ変換部2033は、振動情報を周波数領域の情報に変換する。なお、振動情報は、時間領域の情報である。このため、フーリエ変換部2033は、この時間領域の情報を、周波数領域の情報に変換する。周波数領域の情報は、スペクトルとも呼ばれる。具体的に、フーリエ変換部2033は、振動情報である区間振動信号SW(t)を周波数領域の情報に変換する。時刻tの周波数領域の情報は、F(t)と表す。F(t)は、要素数をFとして、以下のように表される。
【0049】
F(t)=[f(t)(1),f(t)(2),・・・,f(t)(F)]
絶対値処理部2034は、変換された周波数領域の情報から絶対値を算出することにより、振幅情報を算出する。具体的に、絶対値処理部2034は、周波数領域の情報F(t)のうち、複素数で表されている情報の絶対値を算出する。ここで、時刻tの周波数領域の振幅情報FA(t)は、要素数をFとすると、以下のように表される。
【0050】
FA(t)=[|f(t)(1)|,|f(t)(2)|,・・・,|f(t)(F)|]
=[fa(t)(1),fa(t)(2),・・・,fa(t)(F)]
【0051】
不要成分算出部2035は、振幅情報FA(t)に含まれる不要成分を算出する。不要成分は、例えば、FN(t)と表す。不要成分とは、例えば、定常的に存在する雑音の振動の情報から得られる振幅情報である。実施の形態1で説明したように、定常的に存在する雑音振動とは、例えば、発電機等の内燃機の振動、温度調整のためのファンの振動などである。より具体的に、不要成分算出部2035は、振幅情報FA(t)から、振幅情報の所定の統計値を算出する。所定の統計値は、複数の時間区間における振幅情報の統計値である。統計値の種類は、実施の形態1で説明した通り、平均値、中央値、最頻値など、特に限定されない。ここでは、統計値として平均値を例に挙げて説明する。
【0052】
tは現在の時刻、t-kを過去の時刻、k=1,2,・・・,Nの区間が連続する条件の場合、不要成分FN(t)は、要素数をFとし、以下のように表される。
【0053】
FN(t)=1/N{{FA(t-1)}+1/N{FA(t-2)}+・・・+1/N{FA(t-N)}}
=[1/N{fa(t-1)(1)+fa(t-2)(1)+・・・+fa(t-N)(1)},1/N{fa(t-1)(2)+fa(t-2)(2)+・・・+fa(t-N)(2)},・・・,1/N{fa(t-1)(F)+fa(t-2)(F)+・・・+fa(t-N)(F)}]
=[fn(t)(1),fn(t)(2),・・・,fn(t)(F)]
【0054】
このように、不要成分算出部2035は、周波数領域の振幅情報FA(t)(t-k)のN区間分の平均値を算出する。なお、不要成分算出部2035は、所定の統計値として、連続する時間区間の振動信号から平均値を算出しているが、これに限られない。例えば、k=1,3,・・・,2N-1とし、不要成分算出部2035は、間欠する時間区間の平均値を算出する。なお、Nは、2以上の整数である。
【0055】
不要成分除去部2036は、実施の形態1で説明した除去部102の機能を基本機能として含む。不要成分除去部2036は、変換された周波数領域の情報から得られる振幅の情報から、当該振幅の情報から得られる所定の統計値を除去する。
【0056】
より具体的に、不要成分除去部2036は、振幅情報FA(t)から不要成分FN(t)を除去することにより、時刻tの振幅情報FT(t)を算出する。時刻tの振幅情報FT(t)は、以下のように表される。
【0057】
FT(t)=FA(t)-FN(t)
=[fa(t)(1)-fn(t)(1), fa(t)(2)-fn(t)(2),…, fa(t)(F)-fn(t)(F)]
=[ft(t)(1), ft(t)(2),…, ft(t)(F)]
【0058】
また、不要成分除去部2036は、目的信号FT(t)の各要素の導出において、fa(t)(F)-fn(t)(F)<0となる場合、ft(t)(F)=0とする。
【0059】
不要成分除去部2036は、現在時刻tの周波数領域の振幅情報FA(t)から、不要成分算出部2035によって算出された不要成分FN(t)を減算することにより、雑音振動を取り除いた振幅情報FT(t)を求めることができる。
【0060】
電力対数変換部2037は、振幅情報FT(t)に対して、電力変換に関する対数変換を行うことにより、電力情報FP(t)を算出する。時刻tの電力情報FP(t)は、以下のように表される。
【0061】
FP(t)=[lоg(|ft(t)(1)|2),lоg(|ft(t)(2)|2),・・・,lоg(|ft(t)(F)|2)]
=[fp(t)(1),fp(t)(2),・・・,fp(t)(F)]
【0062】
フィルタバンク部2038は、周波数領域の電力情報FP(t)をメル周波数領域の電力情報MFP(t)に変換する。メル周波数領域とは、前述の通り、周波数領域の情報を人間の聴覚に基づいた尺度の単位で表現される周波数領域である。
【0063】
具体的に、フィルタバンク部2038は、周波数領域の電力情報FP(t)を複数の成分に分割して、分割した複数の成分から、メル周波数領域における電力情報を抽出する。ここで、時刻tのメル周波数領域の電力情報をMFP(t)と表す。MFP(t)の要素数をMFとし、MPF(t)は、以下のように表される。
【0064】
MFP(t)=[mpf(t)(1),mpf(t)(2),・・・,mpf(t)(MF)]
【0065】
つぎに、離散コサイン変換部2039は、例えば、メル周波数領域で表される電力情報MFP(t)を離散コサイン変換することにより、メル周波数ケプストラム係数を算出する。時刻tのメル周波数ケプストラム係数をMFCC(t)と表す。メル周波数ケプストラム係数MFCC(t)は、要素数をMFとし、以下のように表される。
【0066】
MFCC(t)=[mfcc(t)(1),mfcc(t)(2),・・・,mfcc(t)(MF)]
【0067】
離散コサイン変換は、波形の分析に用いられる周波数変換手法である。メル周波数領域で表される電力情報MFP(t)からメル周波数ケプストラム係数を算出する方法として、離散コサイン変換の代わりに、高速フーリエ変換が用いられてもよい。具体的に、高速フーリエ変換を用いる場合、高速フーリエ変換部(図示しない)が、メル周波数領域で表される電力情報MFP(t)を高速フーリエ変換する。そして、第2の絶対値処理部(図示しない)が、高速フーリエ変換の変換結果の各周波数要素の絶対値を算出することにより、振幅情報を得る。
【0068】
つぎに、
図3に示す動作判定部205について説明する。動作判定部205は、実施の形態1で説明した動作判定部103の機能を基本機能として含む。上述のように、動作判定部205は、特徴量と、参照特徴量と、の類似度に基づいて、施設内の動物の動作を特定する。時刻tの特徴量とは、上述したメル周波数ケプストラム係数MFCC(t)である。動物の動作別の参照特徴量は、参照特徴量記憶部2021に予め記憶されてある。
【0069】
図7は、動作判定部205の詳細な構成例を示すブロック図である。動作判定部205は、マスク部2041と、距離算出部2042と、動作特定部2043と、を有する。
【0070】
マスク部2041は、メル周波数ケプストラム係数MFCC(t)と参照の周波数ケプストラム係数との各ケプストラム領域の要素のうち、使用しない次元の要素(係数)を取り除く。いずれの次元の要素を使用しないかは、特に限定されない。いずれの次元の要素を使用しないかは、利用者によって、指定可能であってもよい。参照の周波数ケプストラム係数をRMFCC(p)と表す。参照の周波数ケプストラム係数RMFCC(p)は、要素数をMF、参照の周波数ケプストラム係数の選択変数をp、推定対象となる振動のパターン数をPとし、以下のように表される。
【0071】
RMFCC(p)=[rmfcc(p)(1),rmfcc(p)(2),・・・,rmfcc(p)(MF)]
p=1,2,・・・,P
【0072】
前述のように、足踏みの参照の周波数ケプストラム係数が4パターン、乗駕の参照特徴量が5パターン、摂食の参照の周波数ケプストラム係数が4パターン、摂水の参照の周波数ケプストラム係数が2パターンある場合、P=15である。メル周波数ケプストラム係数MFCC(t)から、使用しない次元の要素(係数)を取り除いた時刻tのメル周波数ケプストラム係数(特徴量)をFV(t)と表す。特徴量FV(t)は、要素数をLとし、以下のように表される。
【0073】
FV(t)={fv(t)(1),fv(t)(2),・・・,fv(t)(L)}
また、参照のメル周波数ケプストラム係数RMFCC(p)から、使用しない次元の要素(係数)を取り除いた参照のメル周波数ケプストラム係数(参照特徴量)をRFV(p)と表す。参照特徴量RFV(p)は、選択変数をp、振動のパターン数をP、要素数をLとし、以下のように表される。
【0074】
RFV(p)={rfv(p)(1),rfv(p)(2),・・・,rfv(p)(L)}
例えば、要素数が5である場合、メル周波数ケプストラム係数MFCC(t)と、参照のメル周波数ケプストラム係数RMFCC(p)とは以下のように表される。
【0075】
MFCC(t)=[mfcc(1),mfcc(2),mfcc(3),mfcc(4),mfcc(5)]
RMFCC(p)=[rmfcc(p)(1),rmfcc(p)(2),rmfcc(p)(3),rmfcc(p)(4),rmfcc(p)(5)]
【0076】
例えば、3次の要素と4次の要素を使用しない場合、マスク部2041によってこれらの要素を除去した後の、特徴量FV(t)と参照特徴量RFV(p)とは、以下のようになる。
【0077】
FV(t)=[mfcc(1),mfcc(2),mfcc(5)]
=[fv(1),fv(2),fv(5)]
RFV(p)=[rmfcc(p)(1),rmfcc(p)(2),rmfcc(p)(5)]
=[rfv(p)(1),rfv(p)(2),rfv(p)(5)]
もしくは、3次の要素と4次の要素を使用しない場合、マスク部2041は、これらの要素を0としてもよい。
【0078】
FV(t)=[mfcc(1),mfcc(2),0,0,mfcc(5)]
=[fv(1),fv(2),fv(3),fv(4),fv(5)]
RFV(p)=[rmfcc(p)(1),rmfcc(p)(2),0,0,rmfcc(p)(5)]
=[rfv(p)(1),rfv(p)(2),rfv(p)(3),rfv(p)(4),rfv(p)(5)]
【0079】
なお、使用しない要素がない場合、MFCC(t)はFV(t)と同じであり、RMFCC(p)は、RFV(p)同じである。
【0080】
距離算出部2042は、振動のパターンごとに、時刻tの特徴量FV(t)と参照特徴量RFV(p)の距離を類似度として算出する。距離とは、例えば、ベクトルの距離である。各振動のパターンにおけるユークリッド距離をd(t)(p)と表す。時刻tにおける各振動のパターンのユークリッド距離を要素として含む要素群をD(t)と表す。なお、Pは、振動のパターンの数である。ユークリッド距離の算出例は以下の通りである。
【0081】
FV(t)=[fv(t)(1),fv(t)(2),fv(t)(3),fv(t)(4),fv(t)(5)]
RFV(p)=[rfv(p)(1),rfv(p)(2),・・・,rfv(p)(L)]
d(t)(p)=sqrt({rfv(p)(1)-fv(t)(1)}2+{rfv(p)(2)-fv(t)(2)}2+・・・+{rfv(p)(L)-fv(t)(L)}2
D(t)=[d(t)(1),d(t)(2),・・・,d(t)(P)]
【0082】
動作特定部2043は、距離群D(t)のうちの最小値dminである振動のパターンが属する動作の種類を、動物の動作として特定する。もしくは、動作特定部2043は、距離群D(t)のうちの最小値dminが、閾値以下の場合に、最小値の距離である振動のパターンが属する動作の種類を、動物の動作として特定してもよい。特定された動作の結果は、M(t)とする。動作特定部2043は、距離群D(t)のうちの最小値dminが、閾値より大きい場合に、動作の検出なしと特定してもよい。閾値は、利用者等によって予め定められる。
【0083】
また、区間振動出力周期が振動波形に対して短い場合、動作特定部2043は、1回とカウントするべき振動の動作に対して、連続する区間振動信号に対する動作を、動物の動作として特定してしまう。出力部は、時刻t(現在時刻)から所定時間経過するまでの時刻に関する動作の判定結果を検出無しとして出力してもよい。所定時間は、特に限定されない。所定時間は、利用者によって指定されてもよい。例えば、所定時間は、0.5[秒]などであってもよい。より具体的に、出力部は、例えば、時刻tの動作の判定結果を出力後、所定時間経過するまでに判定された動作の判定結果をすべて検出なしとして出力してもよい。
【0084】
動作出力部207は、特定された動物の動作を出力する。出力方法は、特に限定されない。例えば、動作出力部207は、出力装置に対する動物の動作の出力を制御してもよい。具体的に、動作出力部207は、表示装置への動物の動作の表示の制御であってもよい。また、
図3に示すように、動作出力部207は、例えば、通知部2001と、登録部2002と、を有する。通知部2001は、例えば、特定された動物の動作を通知してもよい。通知方法は、電子メッセージ、電子メールなどによる通知であってもよい。もしくは、通知部2001は、例えば、ランプ、スピーカなどの出力装置によって動物の動作を通知してもよい。登録部2002は、時系列に動作の結果M(t)を動作記憶部2022に記憶させてもよい。また、具体的に、登録部2002は、時刻tと、動作の結果M(t)と、を対応付けて動作記憶部2022に記憶させる。
【0085】
つぎに、状態特定部206は、所定期間における動作別に判定された頻度に基づいて、動物の状態を特定する。所定期間は、特に限定されない。所定期間は、例えば、予め定められていればよい。また、所定期間は、動物の種類、特定したい動物の状態などに応じて種々変更可能である。動物は、状態に応じて、行動が異なる。例えば、前述のように、雌牛は発情状態になると、足踏みの頻度が高くなる。例えば、雌牛は、発情状態になると、他の牛への乗駕、立位時間が長くなる。足踏みの頻度を例に挙げると、状態特定部206は、所定期間において、足踏みと判定された頻度が高くなれば、動物の状態として発情状態を特定する。
【0086】
より詳細に説明すると、状態特定部206は、動作記憶部2022を参照して、所定期間における動作別に、判定された回数を検出する。状態特定部206は、参照特徴量記憶部2021を参照して、所定期間における、判定された回数が第2閾値以上の動作に関連付けられた状態を特定する。第2閾値は、例えば、動作別に設けられてもよい。
【0087】
そして、状態出力部208は、特定された動物の状態を出力する。出力方法は、特に限定されない。例えば、動作出力部207は、出力装置に対する動物の状態の出力を制御してもよい。状態出力部208は、例えば、通知部2011と、登録部2012と、表示制御部2013と、を有する。表示制御部2013は、表示装置への動物の動状態の表示を制御してもよい。表示装置は、情報処理装置20が有していてもよいし、情報処理装置20と通信ネットワークを介して接続されたものであってもよい。登録部2012は、状態記憶部2023に動物の状態を登録する。
【0088】
通知部2011は、例えば、特定された動物の状態を通知してもよい。通知方法は、電子メッセージ、電子メールなどによる通知であってもよい。もしくは、通知部2011は、例えば、ランプ、スピーカなどの出力装置によって動物の状態を通知してもよい。情報処理装置20が、ランプ、スピーカなどの出力装置を有していてもよい。また、出力装置は、情報処理装置20と通信ネットワークを介して接続されたものであってもよい。例えば、発情の状態にある場合などの緊急の場合に、通知部2011は、緊急であることを報知してもよい。
【0089】
図8は、実施の形態2にかかる情報処理装置20の一動作例を示すフローチャートである。検出装置201が、施設の振動信号を検出する(ステップS201)。つぎに、増幅器202は、振動信号を増幅する(ステップS202)AD変換器203が、電気信号である振動信号を、所定のサンプリング周期によって、離散信号である振動信号に変換するAD変換を行う(ステップS203)。
【0090】
算出部204は、特徴量の算出処理を行う(ステップS204)。そして、動作判定部205は、動作判定処理を行う(ステップS205)。状態特定部206は、状態特定処理を行う(ステップS206)。ステップS206のつぎに、情報処理装置20は、フローの動作を終了する。
【0091】
図9および
図10は、特徴量の算出処理の具体的な処理手順の一例を示すフローチャートである。切り出し部2031は、振動信号から区間振動信号長Lによって、区間振動信号S(t)を切り出す(ステップS211)。窓関数処理部2032は、時間区間ごとの区間振動信号S(t)に対して、窓関数Wによって、窓関数処理を行うことにより、区間振動信号SW(t)を算出する(ステップS212)。
【0092】
フーリエ変換部2033は、振動の情報である区間振動信号SW(t)に対して、フーリエ変換を行うことにより、周波数領域の情報F(t)を算出する(ステップS213)。つぎに、絶対値処理部2034は、周波数領域の情報F(t)に対して、絶対値をとることにより、振幅情報FA(t)を算出する(ステップS214)。不要成分算出部2035は、振幅情報FA(t)の平均値を、不要成分の情報FN(t)として算出する(ステップS215)。不要成分除去部2036は、振幅情報FA(t)から不要成分の情報FN(t)を削除する(ステップS216)。これにより、ステップS216において、不要成分除去部2036は、動物以外に起因する定常的な振動を除去した振幅情報FT(t)を得ることができる。
【0093】
電力対数変換部2037は、振幅情報FT(t)に対して、電力変換に関する対数変換を行うことにより、電力情報FP(t)を算出する(ステップS217)。フィルタバンク部2038は、周波数領域の電力情報FP(t)をメル周波数領域の電力情報MFP(t)に変換する(ステップS218)。
【0094】
つぎに、離散コサイン変換部2039は、例えば、メル周波数領域で表される電力情報MFP(t)を離散コサイン変換することにより、メル周波数ケプストラム係数MFCC(t)を算出する(ステップS219)。ステップS219のつぎに、算出部204は、算出処理を終了する。
【0095】
図11は、動作判定処理の具体的な処理手順の一例を示すフローチャートである。マスク部2041は、メル周波数ケプストラム係数MFCC(t)から、使用しない係数を取り除くことにより、特徴量FV(t)を算出する(ステップS221)。使用しない係数とは、使用しない次元の要素である。
【0096】
マスク部2041は、参照のメル周波数ケプストラム係数RMFCC(p)から、使用しない係数を取り除くことにより、参照特徴量RFV(p)を算出する(ステップS222)。
【0097】
距離算出部2042は、特徴量FV(t)と参照特徴量RFV(p)との間のベクトルの距離d(t)(p)を算出することにより、距離群D(t)を求める(ステップS223)。
【0098】
動作特定部2043は、距離群D(t)のうちの最小値dminが、閾値以下の場合に、最小値の距離であるパターンが属する動作の種類を、動物の動作として特定してもよい。そこで、動作特定部2043は、距離群D(t)のうちの最小値dminを特定する(ステップS224)。動作特定部2043は、最小値dminが閾値以下であるかを判断する(ステップS225)。
【0099】
最小値dminが閾値以下である場合(ステップS225:Yes)、登録部2002は、最小値dminの振動のパターンが属する動作を時刻tの判定結果として、動作記憶部2022に登録する(ステップS226)。最小値dminが閾値以下でない場合(ステップS225:No)、動作出力部207の登録部2002は、動作なしを時刻tの判定結果として動作記憶部2022に登録する(ステップS227)。
【0100】
ステップS226とステップS227において、動作出力部207の登録部2002は、判定結果と、時刻tと、を関連付けて動作記憶部2022に登録する。また、ステップS226とステップS227において、動作出力部207の登録部2002は、時系列で判定結果を動作記憶部2022に登録してもよい。ステップS226とステップS227のつぎに、動作判定部205は、フローの動作を終了する。
【0101】
なお、ステップS226もしくはステップS227において、動作出力部207の通知部2001が、判定結果を他の装置などに通知してもよい。
【0102】
図12は、状態特定処理の具体的な処理手順の一例を示すフローチャートである。状態特定部206は、所定期間における動作別に判定された回数を検出する(ステップS231)。状態特定部206は、参照特徴量記憶部2021から、判定された回数が第2閾値以上の動作に紐づく動物の状態を特定する(ステップS232)。
【0103】
状態出力部208の通知部2011は、動物の状態を通知する(ステップS233)。また、ステップS233において、通知部2011は、特定された動物の状態が所定の状態である場合に、所定の状態であることを通知してもよい。所定の状態は特に限定されない。所定の状態は複数通りあってもよい。例えば、通知部2011は、発情状態の場合に発情状態であることを通知し、通知部2011は、発情状態でない場合に、通知しないなどとしてもよい。これにより、動物の状態が緊急性の高い状態の場合に、通知部2011は動物の状態を通知できる。また、ステップS233において、登録部2012は、状態記憶部2023に、時系列に動物の状態を登録してもよい。また、ステップS233において、表示制御部2013は、動物の状態を表示装置に表示させてもよい。
【0104】
ステップS233のつぎに、状態特定部206は、フローの動作を終了する。
【0105】
つぎに、実施の形態2の効果を説明する。情報処理装置20は、除去された振幅の情報から算出される特徴量と、動作別の参照の特徴量と、の間の距離を類似度として算出する。そして、情報処理装置20は、距離が小さい動物の動作を特定する。これにより、情報処理装置20は、類似度を容易に求めることができる。
【0106】
また、実施の形態2における特徴量は、メル周波数ケプストラム係数である。前述の通り、例えば、咀嚼、歩行などの牛の動作には、低い周波数の振動が多い。このため、低い周波数の解析に向いたメル周波数ケプストラム係数を用いることにより、情報処理装置20は、少ない計算量で、より精度よく動作を特定することができる。具体的に、情報処理装置20は、振幅の情報を対数変換して得られる電力の情報をメル周波数領域の電力の情報に変換した後に、メル周波数領域の電力の情報を離散コサイン変換する。これにより、情報処理装置20は、メル周波数ケプストラム係数を得られる。
【0107】
例えば、前述のように、牛は、発情状態になると、他の牛への乗駕、立位時間が長くなる、もしくは足踏みの頻度が高くなるなどの行動をとる。そこで、情報処理装置20は、所定の時間において、動作別に判定された頻度に基づいて、動作に対応する動物の状態を特定する。これにより、情報処理装置20は、動作の頻度から、動作に対応する動物の状態を特定することができる。したがって、情報処理装置20は、動物の状態を精度よく特定することができる。
【0108】
実施の形態2については上述した例に限られず、種々変更可能である。また、前述のように、システム2は、複数の情報処理装置20によって実現されてもよい。ここで、実施の形態2における変形例について説明する。
【0109】
<変形例1>
図13は、実施の形態2にかかるシステム2の構成の変形例1を示すブロック図である。システム2は、情報処理装置20-1と、情報処理装置20-2と、を有する。情報処理装置20-1と、情報処理装置20‐2とは、通信ネットワークを介して接続される。通信ネットワークは、特に、限定されない。例えば、情報処理装置20-1は、施設のうち畜産動物の近くに配置する。一方、情報処理装置20-2は、例えば、携帯端末装置である。携帯端末装置は、スマートフォン、携帯電話、タブレット型の端末装置など特に限定されない。携帯端末装置は、ディスプレイ、スピーカなどの出力装置を有する。
【0110】
情報処理装置20-1は、検出装置201と、増幅器202と、AD変換器203と、算出部204と、動作判定部205と、状態特定部206と、動作出力部207と、状態出力部208と、記憶部209-1と、を有する。一方、情報処理装置20-2は、状態出力部208-2と、記憶部209-2と、を有する。
【0111】
このように、変形例1では、情報処理装置20-2が、携帯端末装置であるため、畜産事業者が、施設から離れた場所にいても、通知を受け取ることができる。したがって、畜産事業者は、動物の状態に応じた対応を即時に行うことができる。
【0112】
<変形例2>
図14は、実施の形態2にかかるシステム2の構成の変形例2を示すブロック図である。システム2は、情報処理装置20-1と、情報処理装置20-2と、を有する。情報処理装置20-1と、情報処理装置20‐2とは、通信ネットワークを介して接続される。通信ネットワークは、特に、限定されない。通信ネットワークは、有線もしくは無線の近距離無線通信のネットワークであってもよい。近距離無線通信は、例えば、Wi-fi(登録商標)、Bluetооth(登録商標)が挙げられる。もしくは、通信ネットワークは、電気通信事業者が提供する有線もしくは無線の回線であってもよい。
【0113】
情報処理装置20-1は、検出装置201と、増幅器202と、AD変換器203と、算出部204と、動作判定部205と、動作出力部207と、記憶部209-1と、を有する。一方、情報処理装置20-2は、状態特定部206と、状態出力部208と、記憶部209-2と、を有する。
【0114】
まず、通信ネットワークが近距離無線通信のネットワークである場合を例に挙げて説明する。例えば、情報処理装置20-1は、施設内の畜産動物の近くに設置される。一方、情報処理装置20-2は、施設から離れた場所に設置される。離れた場所とは、小規模な畜産事業者の場合、自宅の宅内などである。離れた場所とは、大規模の畜産事業者の場合、管理事務所などの畜産動物の施設から離れた場所である。このように、情報処理装置20-2が畜産動物の施設から離れた場所に設置されることにより、畜産事業者は、情報処理装置20-2を介して、遠隔で動物の状態の通知を受けることができる。また、畜産事業者が、遠隔地から畜産動物の近くに駆け付けることができる。もしくは、畜産事業者が、獣医や薬品の手配などを即時に対応することができる。
【0115】
つぎに、通信ネットワークが、電気通信事業者が提供する回線のネットワークである場合を例に挙げて説明する。例えば、情報処理装置20-1は、施設内の畜産動物の近くに設置される。一方、情報処理装置20-2は、施設から離れた場所に設置される。離れた場所とは、畜産動物を飼育する畜産事業者から委託された畜産動物の管理業者である。このように、情報処理装置20-2が畜産動物の施設から離れた場所に設置されることにより、畜産動物の管理業者は、情報処理装置20-2を介して、遠隔で動物の状態の通知を受けることができる。また、畜産動物の管理業者は、情報処理装置20-2から得られる情報を基に、適切なタイミングで、畜産事業者に獣医の派遣や薬品の手配などのサービスを提供することができる。
【0116】
<変形例3>
図15は、実施の形態2にかかるシステム2の構成の変形例3を示すブロック図である。システム2は、情報処理装置20-1と、情報処理装置20-2と、情報処理装置20-3と、情報処理装置20-4と、を有する。情報処理装置20-1と、情報処理装置20‐2とは、第1の通信ネットワークを介して接続される。情報処理装置20-2と、情報処理装置20-3とは、第2の通信ネットワークを介して接続される。情報処理装置20-2と、情報処理装置20-4とは、第3の通信ネットワークを介して接続される。第1の通信ネットワークと、第2の通信ネットワークと、第3の通信ネットワークとは、特に限定されない。
【0117】
第1の通信ネットワークと、第2の通信ネットワークと、第3の通信ネットワークとは、電気通信事業者が提供する有線もしくは無線の回線であってもよい。第1の通信ネットワークと、第2の通信ネットワークと、第3の通信ネットワークとは、すべて異なっていてもよいし、少なくともいずれか2つが同じであってもよい。
【0118】
情報処理装置20-1は、検出装置201と、増幅器202と、AD変換器203と、算出部204と、動作判定部205と、動作出力部207と、記憶部209-1と、を有する。情報処理装置20-2は、状態特定部206と、状態出力部208と、記憶部209-2と、を有する。情報処理装置20-3は、状態出力部208-3を有する。情報処理装置20-4は、状態出力部208-4を有する。
【0119】
例えば、情報処理装置20-1は、施設内の畜産動物の近くに設置される。
【0120】
また、情報処理装置20-2と、情報処理装置20-4とは、施設から離れた場所に設置される。離れた場所とは、畜産事業者が畜産動物の管理を委託する畜産動物の状態管理事業者がいる場所である。畜産動物の状態管理事業者とは、例えば、多数の畜産事業者から委託を受けて畜産動物の状態を管理する業者である。畜産動物の管理業者は、常時、委託された畜産動物の状態を監視する。畜産動物の管理業者は、情報処理装置20-4から得られる情報を基に、適切なタイミングで、畜産事業者に獣医の派遣や薬品の手配などのサービスを提供することができる。
【0121】
情報処理装置20-3は、施設の近くの場所に設置される。施設の近くの場所とは、畜産事業者の自宅、もしくは畜産事業者の管理事務所である。
【0122】
変形例3によれば、畜産事業者と畜産動物管理事業者とが畜産動物の状態の情報を共有することができる。また、畜産動物の管理業者が遠隔で畜産動物の状態を監視することにより、上述のサービスを提供する。このように、システム2は、動物の状態を精度よく判定することにより、管理業者が、畜産事業者の代理の業務を容易に行うことができる。したがって、畜産事業者の業務の軽減を図ることができる。
【0123】
以上で、各実施の形態の説明を終了する。つぎに、情報処理装置のハードウェア構成について説明する。
図16は、情報処理装置のハードウェア構成例を示す説明図である。情報処理装置30は、例えば、実施の形態2にかかる情報処理装置20がコンピュータで実現された例である。
【0124】
情報処理装置30は、プロセッサ301と、ROM302と、RAM303と、記憶装置304と、通信インターフェース305と、出力装置306と、入力装置307と、振動センサ308と、信号増幅器309と、AD変換器310と、を有する。各構成部は、バス311を介してそれぞれ接続される。
【0125】
プロセッサ301は、情報処理装置30の全体を制御する。プロセッサ301としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)301、DSP(Digital Signal Processor)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。プロセッサ301は、OS(Operating System)を動作させて情報処理装置30の全体を制御してもよい。プロセッサ301は、複数のコアを有していてもよい。
【0126】
情報処理装置30は、記憶部として、ROM302、RAM303および記憶装置304などを有する。記憶装置304は、例えば、フラッシュメモリなどの半導体メモリ、HDD、SSDなどが挙げられる。例えば、記憶装置304はOSのプログラム、アプリケーションプログラム、本実施の形態1,2にかかるプログラムなどの各種プログラムを記憶する。または、ROM302は、アプリケーションプログラムを記憶する。また、ROM302は、本実施の形態1,2にかかるプログラムを記憶してもよい。そして、RAM303は、プロセッサ301のワークエリアとして使用される。
【0127】
また、プロセッサ301は、記憶装置304、ROM302などに記憶されたプログラムをロードする。そして、プロセッサ301は、プログラムにコーディングされている各処理を実行する。また、プロセッサ301は、通信ネットワーク312を介して各種プログラムをダウンロードしてもよい。また、プロセッサ301は、情報処理装置30の一部または全部として機能する。そして、プロセッサ301は、プログラムに基づいて図示したフローチャートにおける処理または命令を実行してもよい。
【0128】
通信インターフェース305は、無線、または有線の通信回線を通じて、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などの通信ネットワーク312に接続される。また、通信ネットワーク312は、有線もしくは無線の近距離無線通信のネットワークであってもよい。これにより、情報処理装置30は、通信ネットワーク312を介して、外部の装置または外部のコンピュータに接続される。通信インターフェース305は、通信ネットワーク312と情報処理装置30の内部とのインターフェースを司る。そして、通信インターフェース305は、外部の装置や外部のコンピュータからのデータの入出力を制御する。
【0129】
また、通信インターフェース305は、無線、または有線の通信回線を通じて、外部の装置または外部のコンピュータに接続される。通信インターフェース305は、外部の装置や外部のコンピュータからのデータの入出力を制御する。
【0130】
また、出力装置306は、データを出力する。出力装置306の出力方法は、特に限定されない。出力装置306としては、スピーカ、表示装置、ランプ、印刷装置などが挙げられる。入力装置307は、利用者の入力を受け付ける。入力装置307としては、マウス、キーボードなどが挙げられる。また、情報処理装置30は、出力装置306と入力装置307との両方の機能を備えた入出力装置を有していてもよい。入出力装置は、例えば、タッチパネルディスプレイである。
【0131】
振動センサ308は、振動を検出する検出装置である。振動センサ308は、動物の動作による振動の情報を電気信号である振動信号に変換する。振動センサ308は、例えば、施設に取り付けられる。信号増幅器309は、検出された振動信号を増幅する増幅部である。振動センサ308と、信号増幅器309とは、外付けであってもよい。AD変換器310は、実施の形態2で説明したAD変換器203である。AD変換器310は、増幅された振動の電気信号を、所定のサンプリング周期によって振動の離散信号に変換する。
【0132】
ただし、
図16に示す情報処理装置30のハードウェア構成は一例である。情報処理装置30には、
図16に示す以外の構成要素が追加されてもよい。もしくは、情報処理装置30は、一部の構成要素を含まなくてもよい。例えば、情報処理装置30は、ドライブ装置などを有してもよい。そして、プロセッサ301は、ドライブ装置などに装着された記録媒体からRAM303にプログラム、もしくはデータを読み出してもよい。記録媒体としては、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリなどが挙げられる。
【0133】
例えば、変形例で説明したように、複数の情報処理装置によって実現される場合、各情報処理装置は、各情報処理装置が有する機能部を実現するために必要なハードウェアを備えていればよい。
【0134】
以上で、ハードウェア構成の説明を終了する。また、情報処理装置の実現方法には、様々な変形例がある。例えば、情報処理装置は、構成要素ごとにそれぞれ異なるコンピュータとプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。また、各装置が備える複数の構成要素が、一つのコンピュータとプログラムとの任意の組み合わせにより実現されてもよい。
【0135】
また、情報処理装置の各構成要素の一部または全部は、特定用途向けの回路で実現されてもよい。また、情報処理装置の一部または全部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)のようなプロセッサなどを含む汎用の回路によって実現されてもよい。また、情報処理装置の一部または全部は、特定用途向けの回路や汎用の回路などの組み合わせによって実現されてもよい。また、これらの回路は、単一の集積回路であってもよい。または、これらの回路は、複数の集積回路に分割されてもよい。そして、複数の集積回路は、バスなどを介して接続されることにより構成されてもよい。
【0136】
また、各装置の各構成要素の一部または全部が複数のコンピュータや回路などにより実現される場合、複数のコンピュータや回路などは、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。
【0137】
各実施の形態で説明した情報処理方法は、情報処理装置などの1または複数の装置が実行することにより実現される。また、情報処理方法は、予め用意されたプログラムを制御装置などの1または複数のコンピュータが実行することにより実現される。各実施の形態で説明したプログラムは、HDD、SSD、フレキシブルディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、USBメモリなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録される。そして、本プログラムは、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、プログラムは、通信ネットワーク312を介して配布されてもよい。
【0138】
以上説明した、各実施の形態におけるシステムの各構成要素は、
図16に示すコンピュータのシステムのように、その機能をハードウェア的に実現されてもよい。または、各構成要素は、プログラム制御に基づくコンピュータ、ファームウェアで実現されてもよい。
【0139】
以上、各実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。各本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が把握し得る様々な変更を適用した実施の形態を含み得る。本発明は、本明細書に記載された事項を必要に応じて適宜に組み合わせ、または置換した実施の形態を含み得る。例えば、特定の実施の形態を用いて説明された事項は、矛盾を生じない範囲において、他の実施の形態に対しても適用され得る。例えば、複数の動作をフローチャートの形式で順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の動作を実行する順番を限定するものではない。このため、各実施の形態を実施するときには、その複数の動作の順番を内容的に支障しない範囲で変更することができる。
【0140】
上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されることができる。ただし、上記の実施の形態の一部または全部は、以下に限られない。
【0141】
(付記1)
動物を収容する施設に取り付けられた検出装置から検出された前記施設で発生した振動の情報を周波数領域の情報に変換する変換手段と、
変換された前記周波数領域の情報から得られる振幅の情報から、当該振幅の情報から得られる所定の統計値を除去する除去手段と、
除去された前記振幅の情報から算出される特徴量と、前記動物の動作別の参照の特徴量との類似度に基づいて、前記動物の動作を判定する動作判定手段と、
を備えるシステム。
【0142】
(付記2)
前記動作判定手段は、
除去された前記振幅の情報から算出される特徴量と、前記動物の動作別の参照の特徴量と、の間の距離を前記類似度として算出する距離算出手段と、
前記動物の動作のうち、算出された前記距離が小さい動作を特定する、特定手段と、
を備える付記1に記載のシステム。
【0143】
(付記3)
前記特徴量は、メル周波数ケプストラム係数である、
付記1または2に記載のシステム。
【0144】
(付記4)
除去された前記振幅の情報を対数変換することにより、電力の情報を算出する電力対数変換手段と、
前記電力の情報をメル周波数領域の電力の情報に変換するフィルタバンク手段と、
前記メル周波数領域の電力の情報を離散コサイン変換することにより、前記特徴量を算出する離散コサイン変換手段と、
を備え、
前記動作判定手段は、算出された前記特徴量と、前記参照の特徴量と、の前記類似度に基づいて、前記動物の動作を判定する、
付記3に記載のシステム。
【0145】
(付記5)
判定された前記動物の動作を出力する、動作出力手段、
を備える付記1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【0146】
(付記6)
所定の時間における、判定された前記動物の動作を判定結果として記憶する判定結果記憶手段と、
前記所定の時間において、判定された前記動物の動作のうち、当該動物の動作と判定された頻度に基づいて、前記動物の動作に対応する前記動物の状態を特定する状態特定手段と、
を備える付記1乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【0147】
(付記7)
前記動物の動作別に、前記動物の動作と、前記動物の状態と、を対応付けて記憶する状態記憶手段と、
前記状態特定手段は、前記所定の時間において、判定された前記動物の動作のうち、当該動作と判定された回数を前記頻度として、当該回数が閾値以上の動作に対応する前記動物の状態を特定する、
付記6に記載のシステム。
【0148】
(付記8)
特定された前記動物の状態を出力する、状態出力手段、
を備える付記6または7に記載のシステム。
【0149】
(付記9)
変換された前記周波数領域の情報から絶対値を算出することにより、前記振幅の情報を算出する絶対値処理手段、
を備え、
前記除去手段は、算出された前記振幅の情報から、前記所定の統計値を除去する、
付記1乃至8いずれか1項に記載のシステム。
【0150】
(付記10)
動物を収容する施設に取り付けられた検出装置から検出された前記施設で発生した振動の情報を周波数領域の情報に変換する変換手段と、
変換された前記周波数領域の情報から得られる振幅の情報から、当該振幅の情報から得られる所定の統計値を除去する、不要成分除去手段と、
除去された前記振幅の情報から算出される特徴量と、前記動物の動作別の参照の特徴量とに基づいて、前記動物の動作を判定する動作判定手段と、
を備える情報処理装置。
【0151】
(付記11)
動物を収容する施設に取り付けられた検出装置から検出された前記施設で発生した振動の情報を周波数領域の情報に変換し、
変換された前記周波数領域の情報から得られる振幅の情報から、当該振幅の情報から得られる所定の統計値を除去し、
除去された前記振幅の情報から算出される特徴量と、前記動物の動作別の参照の特徴量とに基づいて、前記動物の動作を判定する、
方法。
【0152】
(付記12)
動物を収容する施設に取り付けられた検出装置から検出された前記施設で発生した振動の情報を周波数領域の情報に変換し、
変換された前記周波数領域の情報から得られる振幅の情報から、当該振幅の情報から得られる所定の統計値を除去し、
除去された前記振幅の情報から算出される特徴量と、前記動物の動作別の参照の特徴量とに基づいて、前記動物の動作を判定する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0153】
1,2 システム
20 情報処理装置
101 変換部
102 除去部
103 動作判定部
201 検出装置
202 増幅器
203 変換器
204 算出部
205 動作判定部
206 状態特定部
207 動作出力部
208 状態出力部
209 記憶部
2021 参照特徴量記憶部
2022 動作記憶部
2023 状態記憶部
2031 切り出し部
2032 窓関数処理部
2033 フーリエ変換部
2034 絶対値処理部
2035 不要成分算出部
2036 不要成分除去部
2037 電力対数変換部
2038 フィルタバンク部
2039 離散コサイン変換部
2041 マスク部
2042 距離算出部
2043 動作特定部