(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】キャニスタ
(51)【国際特許分類】
F02M 25/08 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
F02M25/08 311C
F02M25/08 311J
(21)【出願番号】P 2021044109
(22)【出願日】2021-03-17
【審査請求日】2022-03-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】細井 雅仁
【審査官】楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-112357(JP,A)
【文献】特開2016-037915(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0110440(US,A1)
【文献】特開2012-007501(JP,A)
【文献】特開2021-017839(JP,A)
【文献】特開2018-096254(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の燃料タンクで発生した蒸発燃料を吸着及び脱離するキャニスタであって、
端部が開口し、活性炭を充填可能な筒状のハウジングと、
抑制部と、
を備え、
前記抑制部は、前記ハウジングにおける前記活性炭が充填された領域を構成する充填部分と、前記ハウジングにおける前記活性炭が充填されていない領域を構成する非充填部分と、の境界の部分である境界部の外周方向の膨張を、前記充填部分の軸方向に関する中央の部分である中央部の外周方向への膨張よりも抑制し、
前記抑制部は、前記境界部と略平行に配置され、
前記抑制部の全体は、前記ハウジングの端部から間隔を空けた位置に配置され、かつ、前記中央部から間隔を空けた位置に配置され
、
前記抑制部は、複数のリブを備える、キャニスタ。
【請求項2】
請求項1に記載のキャニスタであって、
前記抑制部は、前記ハウジングに形成され、前記抑制部の周囲よりも前記ハウジングの厚みが厚い、キャニスタ。
【請求項3】
請求項
1又は請求項2に記載のキャニスタであって、
前記複数のリブは、前記境界部を挟んで配置される、キャニスタ。
【請求項4】
請求項1から請求項
3までのいずれか1項に記載のキャニスタであって、
前記抑制部は、前記ハウジングの外周の4分の3以上に配置される、キャニスタ。
【請求項5】
請求項1から請求項
4までのいずれか1項に記載のキャニスタであって、
前記ハウジングの内部を移動可能であり、蒸発燃料の通過を許可するとともに前記活性炭の通過を制限するフィルタを備え、
前記境界部の位置は、前記フィルタの配置される位置である、キャニスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、キャニスタに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の燃料タンクには、燃料タンクで蒸発した燃料の大気放出を防ぐキャニスタが接続される。キャニスタは、蒸発燃料を活性炭に吸着させると共に、吸引した空気により活性炭から燃料を脱離してパージを行い、エンジンの内燃室に供給する。
【0003】
キャニスタに用いられる活性炭は、ペレット状や粒状に形成されてキャニスタの充填室内に充填される。特許文献1には、活性炭の粉面に上方トレイと下方トレイとを配置し、活性炭が充填室から漏れるのを抑制する燃料蒸気貯蔵缶が開示されている。具体的には、上方トレイのフランジが下方トレイの縁材内に入れ子式に配置され、上方トレイのフランジと下方トレイの縁材とのギャップが活性炭よりも小さくなるように設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成であっても活性炭が漏れるおそれがある。そのため、より良好に活性炭が充填室から漏れるのを抑制できる技術が求められている。
本開示の一局面は、活性炭が充填室から漏れるのを抑制する新たな構成を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両の燃料タンクで発生した蒸発燃料を吸着及び離脱するキャニスタであって、ハウジングと、抑制部と、を備える。ハウジングは、活性炭を充填可能な筒状である。抑制部は、ハウジングにおける活性炭が充填された領域を構成する充填部分と、ハウジングにおける活性炭が充填されていない領域を構成する非充填部分と、の境界の部分である境界部の外周方向の膨張を、充填部分の軸方向に関する中央の部分である中央部の外周方向への膨張よりも抑制する。
【0007】
このような構成によれば、境界部の外周方向の膨張が抑制部により抑制される。よって、境界部において活性炭を押さえ込む部品との間に隙間ができにくいため、活性炭がその隙間を通過して充填室から漏れてしまうのを抑制することができる。
【0008】
上述したキャニスタにおいて、抑制部は、ハウジングに形成され、抑制部の周囲よりもハウジングの厚みが厚く構成された部分であってもよい。
このような構成によれば、抑制部の周囲よりも抑制部の剛性が高くなることにより、境界部の外周方向の膨張が抑制される。よって、活性炭が充填室から漏れるのを抑制することができる。
【0009】
上述したキャニスタにおいて、抑制部は、複数のリブを備えてもよい。
このような構成によれば、抑制部の剛性を高くすることが可能となるため、境界部の外周方向の膨張が抑制される。よって、活性炭が充填室から漏れるのを抑制することができる。
【0010】
上述したキャニスタにおいて、複数のリブは、境界部を挟んで配置されてもよい。
このような構成によれば、境界部の位置、すなわち、最も活性炭が漏れやすく膨張するのを抑制したい位置の膨張が抑制される。よって、活性炭が充填室から漏れるのを抑制することができる。
【0011】
上述したキャニスタにおいて、抑制部は、境界部と略平行に配置されてもよい。
このような構成によれば、最も活性炭が漏れやすく膨張するのを抑制したい位置の膨張が抑制される。よって、活性炭が充填室から漏れるのを抑制することができる。
【0012】
上述したキャニスタにおいて、抑制部は、ハウジングの外周の4分の3以上に配置されてもよい。
このような構成によれば、抑制部の重量を減らしつつ、活性炭が充填室から漏れるのを抑制することができる。
【0013】
上述したキャニスタにおいて、ハウジングの内部を移動可能であり、蒸発燃料の通過を許可するとともに活性炭の通過を制限するフィルタを備えてもよい。また境界部の位置は、フィルタの配置される位置であってもよい。
【0014】
このような構成によれば、フィルタと境界部との間から活性炭が漏れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態のキャニスタの模式的な断面図である。
【
図2】第1実施形態のリブの断面図であって、
図2Aは略四角形状の図であり、
図2Bは略R形状の図であり、
図2Cは略台形形状の図である。
【
図3】変形例のキャニスタの断面図であって、抑制部として補強部材が用いられるキャニスタの模式的な断面図である。
【
図4】変形例の抑制部の断面図であって、抑制部の厚みが周囲よりも厚いことを説明するための図である。
【
図5】変形例のキャニスタの断面図であって、充填部分の側にのみ抑制部が配置されたキャニスタの模式的な断面図である。
【
図6】変形例のキャニスタの断面図であって、非充填部分の側にのみ抑制部が配置されたキャニスタの模式的な断面図である。
【
図7】変形例のキャニスタの断面図であって、副室を備えるキャニスタの模式的な断面図である。
【
図8】変形例のキャニスタの斜視図であって、副室を備えるキャニスタの模式図な斜視図であって、抑制部が外周の約4分の3に配置されたときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示すキャニスタ1は、車両の燃料タンクで発生した蒸発燃料を吸着及び脱離する。キャニスタ1は、ハウジング10と、抑制部20と、を備える。
【0017】
ハウジング10は、活性炭8を充填可能な筒状のケースであって、合成樹脂製のケースである。なお、ハウジング10の材質はこれに限定されるものではない。以下、活性炭8を充填するためのハウジング10によって形成された空間を充填室3とも言う。本実施形態の活性炭8は小さな粒状形状である。活性炭8の形状は、比較的小さい塊状であって充填室3に隙間を形成しつつ充填できる形状である限りにおいて特に限定されない。活性炭8は例えばペレット状であってもよい。
【0018】
ハウジング10は、チャージポート2Aと、大気ポート2Bと、パージポート2Cと、を備える。チャージポート2Aは、配管を介して車両の燃料タンクに接続される。チャージポート2Aは、燃料タンクで発生した蒸発燃料を充填室3内に取り込むように構成されている。大気ポート2Bは、配管を通してドレンフィルター等に接続され、大気に開放される。大気ポート2Bは、蒸発燃料を取り除いた気体を大気中に放出する。また、大気ポート2Bは、外部空気(つまりパージ空気)を取り込むことで、充填室3で吸着した蒸発燃料を脱離(つまりパージ)する。パージポート2Cは、パージ弁を介して車両のエンジンの内燃室に接続される。パージポート2Cは、充填室3内の蒸発燃料を充填室3から排出し、エンジンに供給するように構成されている。大気ポート2Bは、充填室3を挟んでチャージポート2A及びパージポート2Cと対向する位置に配置されている。なお、各ポートの配置は、上記の位置に限定されない。
【0019】
以下の説明において、大気ポート2Bが位置する方向を右方向、チャージポート2A及びパージポート2Cが位置する方向を左方向とし、これらに直交する方向を前後方向及び上下方向とする。これらの方向の定義はキャニスタ1の形状を説明するために便宜上用いるものであり、キャニスタ1の構成や使用態様を限定するものではない。左右方向は、10の筒状形状の軸方向である。
【0020】
ハウジング10の左方向の端部には第1底壁3Aが設けられ、右方向端部には第2底壁3Bが設けられている。第1底壁3Aには、チャージポート2A及びパージポート2Cが接続されている。第2底壁3Bには、大気ポート2Bが接続されている。
【0021】
第1底壁3Aの内側には、第1フィルタ5Aが配置されている。また、第2底壁3Bの内側には、第2フィルタ5Bが配置されている。活性炭8は、第1フィルタ5Aと第2フィルタ5Bとの間の空間に充填される。
【0022】
第1フィルタ5A及び第2フィルタ5Bは、それぞれ、活性炭8を通過させない一方で、蒸発燃料が通過可能に構成されている。なお、第2フィルタ5Bは、その外縁がハウジング10の内周面と接触するか、あるいは、極めて小さいクリアランスを形成するような形状である。また、第2フィルタ5Bと第2底壁3Bとの間には、グリッド7を介して第2フィルタ5Bを左方向に付勢する弾性体6が配置されている。つまり、弾性体6は、フィルタ5Bを、ハウジング10における活性炭8が充填されていない領域から充填された領域に向かって付勢する。弾性体6は一例としてバネである。第2フィルタ5Bは、ハウジング10の軸方向に移動可能である。グリッド7は格子状であって、蒸発燃料が通過可能に構成されている。活性炭8は、弾性体6により付勢された第2フィルタ5Bからの加圧力を受けて充填室3で隙間無く詰め込まれる。第2フィルタ5Bは、車両の振動により活性炭8がすり減って活性炭8の粉面が移動したときに追従して移動する。このように弾性体6により活性炭8を加圧することで、活性炭8の間の隙間の発生を抑制し、隙間の存在による活性炭8の移動やそれに伴う破損を抑制できる。その結果、通気圧損の過剰な増加や通気の偏りの発生を低減でき、キャニスタ1の機能低下を抑制できる。
【0023】
なお、第2フィルタ5Bが、ハウジング10の内部を移動可能であり、蒸発燃料の通過を許可するとともに活性炭8の通過を制限するフィルタの一例である。
【0024】
ハウジング10には、ハウジング10における活性炭8が充填された領域を構成する充填部分11と、ハウジング10における活性炭8が充填されていない領域を構成する非充填部分12とが含まれる。本実施形態においては、第1フィルタ5Aと第2フィルタ5Bとの間に対応する部分が充填部分11であり、第2フィルタ5Bと第2底壁3Bとの間に対応する部分が非充填部分12である。
【0025】
抑制部20は、充填部分11と非充填部分12との境界の部分である境界部13の外周方向の膨張を、充填部分11の軸方向における中央の部分である中央部14の外周方向への膨張よりも抑制する。境界部13は、充填室3内の活性炭8の粉面の位置に対応している。また境界部13は、第2フィルタ5Bの左側面に隣接する、活性炭8の粉面の位置近傍である。境界部13の位置は、第2フィルタ5Bの配置される位置であるとも言える。このような境界部13は、活性炭8の形状や充填量によって定まる。言い換えると、活性炭8の充填量は、粉面が抑制部20の位置となるように設定される。充填部分11は、より詳細には、充填室3のうち、第1フィルタ5Aと第2フィルタ5Bの間の部分を構成する。つまり、左右方向に関して、中央部14の位置から第1フィルタ5Aまでの距離と第2フィルタ5Bまでの距離は等しい。
【0026】
本実施形態では、抑制部20として、2つのリブ21を備える。2つのリブ21は、境界部13を挟んで配置される。また、2つのリブ21は、ハウジング10の外周を1周囲むように、境界部13と略平行に配置される。
【0027】
2つのリブ21は、ハウジング10と一体として形成される。
図2Aに示されるように、2つのリブ21は、断面が略四角形状である。もちろんリブ21の断面の形状はこれに限定されることはなく、例えば断面は、
図2B及び
図2Cに示されるように、断面が半円形状や略台形形状であってもよいし、それ以外の様々な形状であってもよい。また、ハウジング10の外周の位置に応じて断面が変化してもよい。
【0028】
ハウジング10は、上述した2つのリブ21により、境界部13の剛性がその周囲よりも高くなる。一方、充填部分11における中央部14は、リブ21が形成されていないので、境界部13と比較して剛性が低くなる。
【0029】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)抑制部20は、境界部13の剛性を高めることができるため、境界部13の外周方向の膨張が抑制される。充填室3に充填された活性炭8は、粒状であるため、弾性体6による左方向の加圧力はハウジング10の周壁面にも伝わることとなる。ここで、抑制部20は境界部13の外周方向の膨張を抑制するように働く。また、仮にハウジング10の周壁面が膨張するとしても、境界部13よりも剛性の低い中央部14が先に膨張する。そのため、境界部13と第2フィルタ5Bとの間に隙間が生じにくくなり、活性炭8が充填室3から漏れるのを抑制することができる。
【0030】
(1b)抑制部20は、複数のリブ21を備える。このような構成によれば、複数のリブ21をバランスよく配置することで、膨張を抑制したい位置を調節することができる。
(1c)複数のリブ21は、境界部13を挟んで配置される。このような構成によれば、最も活性炭8が漏れやすく膨張するのを抑制したい位置である境界部13の膨張が抑制される。よって、活性炭8が充填室3から漏れるのを抑制することができる。
【0031】
(1d)抑制部20は、境界部13と略平行に配置される。このような構成によれば、抑制部20は、境界部13に長く沿って配置される。よって、最も活性炭8が漏れやすく膨張するのを抑制したい位置である境界部13に沿って膨張が抑制される。したがって、活性炭8が充填室3から漏れるのを抑制することができる。
【0032】
(1e)キャニスタ1は、ハウジング10の内部を移動可能であり、蒸発燃料の通過を許可するとともに活性炭8の通過を制限する第2フィルタ5Bを備える。また、境界部13の位置は、第2フィルタ5Bの配置される位置である。このような構成によれば、第2フィルタ5Bと境界部13との間から活性炭8が漏れることを抑制できる。なお、第2フィルタ5Bは蒸発燃料の通過を許可しない構成であってもよい。この場合には、大気ポート2Bを、蒸発燃料が第2フィルタ5Bを通過しなくてもよい位置に配置してもよい。例えば、大気ポート2Bがハウジング10の下方に設置され、略L字状の流路が形成されていてもよい。
【0033】
(1f)キャニスタ1は、第2フィルタ5Bを、ハウジング10における活性炭8が充填されていない領域から充填された領域に向かって付勢する弾性体6を備える。このような構成によれば、活性炭8の隙間を低減できる。また、弾性体6により付勢されることで第2フィルタ5Bと境界部13との間における隙間の発生を抑制できる。なお、弾性体6はバネでなくてもよい。また、キャニスタ1は、弾性体6を備えていなくてもよい。
【0034】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0035】
(2a)上記実施形態では、抑制部20として、ハウジング10と一体として形成された複数のリブ21を例示した。しかし抑制部20は、ハウジング10と一体として形成されていなくてもよい。例えば、
図3に示されるように、抑制部20として、ハウジング10の外周面に装着される後付けの補強部材22が用いられてもよい。補強部材22は、ハウジング10の外周全周を挟み込むように取り付けられてもよいし、一部のみに取り付けられてもよい。
【0036】
(2b)上記実施形態では、抑制部20として、2つのリブ21が用いられた。しかし抑制部20の構成はこれに限定されるものではない。例えば、抑制部20として、1つのリブ21が用いられてもよいし、3つ以上のリブ21が用いられてもよい。
【0037】
また、抑制部20としてリブ21が用いられなくてもよい。例えば、
図4に示されるように、リブ21に代えて、抑制部20の周囲よりもハウジング10の厚みが厚い肉厚部23がハウジング10に一体として形成されていてもよい。肉厚部23は、表面に対して複数のリブ21よりもなだらかに隆起していて、複数のリブ21よりも高さが低くなっていてもよい。また、当該肉厚部23は、複数のリブ21よりも、左右方向の幅が広くなっていてもよい。このような構成によれば、抑制部20の周囲よりも抑制部20の設けられた位置の剛性が高くなることにより、境界部13の外周方向の膨張が抑制される。よって、活性炭8が充填室3から漏れるのを抑制することができる。
【0038】
(2c)上記実施形態では、複数のリブ21は、境界部13を挟んで配置された。しかし、複数のリブ21が配置される位置はこれに限定されるものではない。例えば、複数のリブ21は、
図5に示されるように、境界部13の近傍における充填部分12の側のみに配置されてもよいし、
図6に示されるように、境界部13の近傍における非充填部分12の側のみに配置されてもよい。
【0039】
(2d)上記実施形態では、複数のリブ21は、境界部13と略平行に配置された。しかし、複数のリブ21が配置される方向はこれに限定されるものではない。例えば、複数のリブ21は、境界部13の近傍において、境界部13と直交する向き、つまりハウジング10の長さ方向に長さを有するように配置されてもよい。
【0040】
(2e)キャニスタ1は、
図7に示されるように、副室30を備えていてもよい。副室30も、車両の燃料タンクで発生した蒸発燃料を吸着及び脱離する。副室30は、大気ポート2Bを備える。なお、チャージポート2A及びパージポート2Cを備える側を主室40と呼ぶ。チャージポート2Aからの蒸発燃料の流入時において、主室40に流入した蒸発燃料は、第2フィルタ5Bと第2底壁3Bとの間の空間で折り返すことにより、蒸発燃料の流入方向とは逆の方向に向かうように副室30へ流入する。そのため、副室30を備えるキャニスタ1によって形成される流路は、略U字状である。抑制部20は、副室30も含めて、ハウジング10の外周を1周囲んで配置されてもよい。なお、主室40及び副室30に充填される活性炭8の粉面の位置は異なっていてもよい。その場合、例えば、抑制部20として、複数のリブ21が、主室40と副室30とで異なる位置に配置されていてもよい。
【0041】
(2f)上記実施形態では、複数のリブ21は、ハウジング10の外周を1周囲んで配置された。しかし、複数のリブ21の長さはこれに限定されるものではない。例えば、
図5に示されるように、ハウジング10の外周全周ではなく、外周の一部に配置されていてもよい。例えば、外周の4分の3以上に配置されてもよい。このような構成によれば、抑制部20の重量を減らしつつ、活性炭8が充填室3から漏れるのを抑制することができる。
図8に示すキャニスタ1は、主室50と副室51とを備える。主室50は、略直方体の形状である。副室51は、主室50よりも断面積が小さい円筒形の形状である。このようなキャニスタ1の場合、副室30側は剛性が高く膨張しにくいため、抑制部20を備えていなくても、活性炭8が充填室3から漏れにくい。
【0042】
(2g)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…キャニスタ、2A…チャージポート、2B…大気ポート、2C…パージポート、3…充填室、3A…第1底壁、3B…第2底壁、5A…第1フィルタ、5B…第2フィルタ、6…弾性体、7…グリッド、8…活性炭、10…ハウジング、13…境界部、14…中央部、20…抑制部、21…リブ、22…補強部材、23…肉厚部、30,51…副室、40,50…主室。