(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】負荷に電力供給するためのバッテリー・サブモジュールを選択するための、最小セル電圧を使用するモジュール間バッテリー平衡化
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20230816BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20230816BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/00 302B
H02J7/02 H
(21)【出願番号】P 2021504254
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(86)【国際出願番号】 US2019028715
(87)【国際公開番号】W WO2020023090
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-01-24
(32)【優先日】2018-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520504231
【氏名又は名称】ウィスク アエロ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファーマン、スコット
(72)【発明者】
【氏名】オム、ルイス、ロメオ
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-282459(JP,A)
【文献】特開2015-080334(JP,A)
【文献】特開2014-197533(JP,A)
【文献】特開2013-048512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/42-10/48
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、
前記プロセッサと結合されたメモリと
を備えるシステムであって、前記メモリは、実行されたとき、前記プロセッサに
複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、そのバッテリー・サブモジュール中のセルに関連する電圧を受けることであって、前記複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールが複数のセルを含む、電圧を受けることと、
前記受けられた電圧に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のバッテリー・サブモジュールから1つのバッテリー・サブモジュールを選択することと、
前記選択されたバッテリー・サブモジュールから電力を引き出し、前記複数のバッテリー・サブモジュール中の他のどのバッテリー・サブモジュールによっても電力供給されない、1つ又は複数の負荷のセットが、前記選択されたバッテリー・サブモジュールから少なくとも一時的に電力を引き出さないように、1つ又は複数の負荷の前記セットを構成することと
を行わせる命令を前記プロセッサに与えるように構成され、
1つ又は複数の負荷の前記セットを構成することが、前記選択されたバッテリー・サブモジュールから電力を引き出す負荷の前記セットを、選択されていないバッテリー・サブモジュールから電力を引き出すように構成することを含む、システム。
【請求項2】
前記バッテリー・サブモジュールを選択することが、
電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつ任意のバッテリー・サブモジュールを識別するために、複数の最小セル電圧を前記電圧しきい値と比較することと、
前記電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつ任意の前記識別されたバッテリー・サブモジュールを選択することと
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記バッテリー・サブモジュールを選択することが、
電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつ任意のバッテリー・サブモジュールを識別するために、複数の最小セル電圧を前記電圧しきい値と比較することと、
前記最小セル電圧の1つ又は複数の最大値を取得するために、前記複数の最小セル電圧から1つ又は複数の最大値を選択することと、
前記電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつ前記任意の識別されたバッテリー・サブモジュール、並びに前記最小セル電圧の前記最大値のうちの1つに対応しないバッテリー・サブモジュールを選択することと
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記バッテリー・サブモジュールを選択することが、
電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつ任意のバッテリー・サブモジュールを識別するために、複数の最小セル電圧を前記電圧しきい値と比較することと、
前記電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつバッテリー・サブモジュールがないことを決定したことに応答して、
最大セル電圧の1つ又は複数の最大値を取得するために、複数の最大セル電圧から1つ又は複数の最大値を選択することと、
前記最大セル電圧の前記最大値のうちの1つに対応しないバッテリー・サブモジュールを選択することと
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記メモリは、実行されたとき、前記プロセッサに、
前記複数のバッテリー・サブモジュール中のバッテリー・サブモジュール間の不平衡の程度に関連する不平衡メトリックを決定することと、
前記不平衡メトリックが不平衡しきい値を超えるかどうかを決定することと、
前記不平衡メトリックが前記不平衡しきい値を超えることを決定したことに応答して、
前記複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、そのバッテリー・サブモジュール中の前記セルに関連する前記電圧を受けること、
前記バッテリー・サブモジュールを選択すること、及び
1つ又は複数の負荷の前記セットを構成すること
を含む、充電前平衡化を実行することと、
前記複数のバッテリー・サブモジュールを充電することと、
前記不平衡メトリックが前記不平衡しきい値を超えないことを決定したことに応答して、前記複数のバッテリー・サブモジュールを充電することと
を行わせる命令を前記プロセッサに与えるようにさらに構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記メモリは、実行されたとき、前記プロセッサに、
前記複数のバッテリー・サブモジュール中のバッテリー・サブモジュール間の不平衡の程度に関連する不平衡メトリックを決定することと、
前記不平衡メトリックが不平衡しきい値を超えるかどうかを決定することと、
前記不平衡メトリックが前記不平衡しきい値を超えることを決定したことに応答して、
前記複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、そのバッテリー・サブモジュール中の前記セルに関連する前記電圧を受けること、
前記バッテリー・サブモジュールを選択すること、及び
1つ又は複数の負荷の前記セットを構成すること
を含む、充電前平衡化を実行することと、
前記複数のバッテリー・サブモジュールを充電することと、
前記複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、そのバッテリー・サブモジュール中の前記セルに関連する前記電圧を受けること、
前記バッテリー・サブモジュールを選択すること、及び
1つ又は複数の負荷の前記セットを構成すること、
を含む、充電後平衡化を実行することと、
前記不平衡メトリックが前記不平衡しきい値を超えないことを決定したことに応答して、
前記複数のバッテリー・サブモジュールを充電することと、
前記複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、そのバッテリー・サブモジュール中の前記セルに関連する前記電圧を受けること、
前記バッテリー・サブモジュールを選択すること、及び
1つ又は複数の負荷の前記セットを構成すること
を含む、充電後平衡化を実行することと
を行わせる命令を前記プロセッサに与えるようにさらに構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数のバッテリー・サブモジュールと、1つ又は複数の負荷の前記セットとをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、そのバッテリー・サブモジュール中のセルに関連する電圧を受けることであって、前記複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールが複数のセルを含む、電圧を受けることと、
前記受けられた電圧に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のバッテリー・サブモジュールから1つのバッテリー・サブモジュールを選択することと、
前記選択されたバッテリー・サブモジュールから電力を引き出し、前記複数のバッテリー・サブモジュール中の他のどのバッテリー・サブモジュールによっても電力供給されない、1つ又は複数の負荷のセットが、前記選択されたバッテリー・サブモジュールから少なくとも一時的に電力を引き出さないように、1つ又は複数の負荷の前記セットを構成することと
を含み、1つ又は複数の負荷の前記セットを構成することが、前記選択されたバッテリー・サブモジュールから電力を引き出す負荷の前記セットを、選択されていないバッテリー・サブモジュールから電力を引き出すように構成することを含む、方法。
【請求項9】
前記バッテリー・サブモジュールを選択することが、
電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつ任意のバッテリー・サブモジュールを識別するために、複数の最小セル電圧を前記電圧しきい値と比較することと、
前記電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつ任意の前記識別されたバッテリー・サブモジュールを選択することと
を含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記バッテリー・サブモジュールを選択することが、
電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつ任意のバッテリー・サブモジュールを識別するために、複数の最小セル電圧を前記電圧しきい値と比較することと、
前記最小セル電圧の1つ又は複数の最大値を取得するために、前記複数の最小セル電圧から1つ又は複数の最大値を選択することと、
前記電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつ前記任意の識別されたバッテリー・サブモジュール、並びに前記最小セル電圧の前記最大値のうちの1つに対応しないバッテリー・サブモジュールを選択することと
を含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記バッテリー・サブモジュールを選択することが、
電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつ任意のバッテリー・サブモジュールを識別するために、複数の最小セル電圧を前記電圧しきい値と比較することと、
前記電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつバッテリー・サブモジュールがないことを決定したことに応答して、
最大セル電圧の1つ又は複数の最大値を取得するために、複数の最大セル電圧から1つ又は複数の最大値を選択することと、
前記最大セル電圧の前記最大値のうちの1つに対応しないバッテリー・サブモジュールを選択することと
を含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
前記複数のバッテリー・サブモジュール中のバッテリー・サブモジュール間の不平衡の程度に関連する不平衡メトリックを決定することと、
前記不平衡メトリックが不平衡しきい値を超えるかどうかを決定することと、
前記不平衡メトリックが前記不平衡しきい値を超えることを決定したことに応答して、
前記複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、そのバッテリー・サブモジュール中の前記セルに関連する前記電圧を受けること、
前記バッテリー・サブモジュールを選択すること、
1つ又は複数の負荷の前記セットを構成すること
を含む、充電前平衡化を実行することと、
前記複数のバッテリー・サブモジュールを充電することと、
前記不平衡メトリックが前記不平衡しきい値を超えないことを決定したことに応答して、前記複数のバッテリー・サブモジュールを充電することと
をさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項13】
前記複数のバッテリー・サブモジュール中のバッテリー・サブモジュール間の不平衡の程度に関連する不平衡メトリックを決定することと、
前記不平衡メトリックが不平衡しきい値を超えるかどうかを決定することと、
前記不平衡メトリックが前記不平衡しきい値を超えることを決定したことに応答して、
前記複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、そのバッテリー・サブモジュール中の前記セルに関連する前記電圧を受けること、
前記バッテリー・サブモジュールを選択すること、及び
1つ又は複数の負荷の前記セットを構成すること
を含む、充電前平衡化を実行することと、
前記複数のバッテリー・サブモジュールを充電することと、
前記複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、そのバッテリー・サブモジュール中の前記セルに関連する前記電圧を受けること、
前記バッテリー・サブモジュールを選択すること、及び
1つ又は複数の負荷の前記セットを構成すること
を含む、充電後平衡化を実行することと、
前記不平衡メトリックが前記不平衡しきい値を超えないことを決定したことに応答して、
前記複数のバッテリー・サブモジュールを充電することと、
前記複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、そのバッテリー・サブモジュール中の前記セルに関連する前記電圧を受けること、
前記バッテリー・サブモジュールを選択すること、及び
1つ又は複数の負荷の前記セットを構成すること
を含む、充電後平衡化を実行することと
をさらに含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項14】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサにより実行されたとき、前記プロセッサに
複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、そのバッテリー・サブモジュール中のセルに関連する電圧を受けることであって、前記複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールが複数のセルを含む、電圧を受けることと、
前記受けられた電圧に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のバッテリー・サブモジュールから1つのバッテリー・サブモジュールを選択することと、
前記選択されたバッテリー・サブモジュールから電力を引き出し、前記複数のバッテリー・サブモジュール中の他のどのバッテリー・サブモジュールによっても電力供給されない、1つ又は複数の負荷のセットが、前記選択されたバッテリー・サブモジュールから少なくとも一時的に電力を引き出さないように、1つ又は複数の負荷の前記セットを構成することと
を行わせる命令を記憶し、1つ又は複数の負荷の前記セットを構成することが、前記選択されたバッテリー・サブモジュールから電力を引き出す負荷の前記セットを、選択されていないバッテリー・サブモジュールから電力を引き出すように構成することを含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
全電動式である新しいタイプの航空機が開発されている。バッテリーがどのように設計される傾向があるか(たとえば、航空機のバッテリーは、米国運輸省道路交通安全局と比較して、単一障害点(single point of failure)及び冗長性の程度についてより大きい関心を有することがある連邦航空局を満足させなければならない)及び/又は輸送手段がどのように使用されるかの差により、電気自動車に関して以前にはあらわにならなかったが、全電動航空機が開発されることに際してあらわになっているいくつかのバッテリーに関係する問題があり得る。全電動航空機(又は他の輸送手段)におけるそのようなバッテリーに関係する問題を検出し、緩和し、及び/又は回避するための新しい技法が望ましいであろう。
【0002】
以下の詳細な説明及び添付の図面において、本発明の様々な実施例が開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】モジュール間平衡化(inter-module balancing)のためのプロセスの一実施例を示すフローチャートである。
【
図2】各バッテリー・サブモジュールが、互いに直列に接続されたセルを含む、互いに直列に接続されたバッテリー・サブモジュールを含むバッテリー・システムの一実施例を示すダイヤグラムである。
【
図3A】ふたがされてないバッテリー・サブモジュールの一実施例を示すダイヤグラムである。
【
図3B】ふたがされたバッテリー・サブモジュールの一実施例を示すダイヤグラムである。
【
図4】電子機器をオフにすることを含む、モジュール間平衡化のためのプロセスの一実施例を示すフローチャートである。
【
図5】選択されていないバッテリー・サブモジュールから電力を引き出すように、電子機器のセットを構成することを含む、モジュール間平衡化のためのプロセスの一実施例を示すフローチャートである。
【
図6】バッテリー・システム中のバッテリー・サブモジュールにおけるセル電圧の一実施例を示すダイヤグラムである。
【
図7】電圧しきい値を使用してバッテリー・サブモジュールを選択するためのプロセスの一実施例を示すフローチャートである。
【
図8】電圧しきい値と最小セル電圧の最大値とを使用してバッテリー・サブモジュールを選択するためのプロセスの一実施例を示すフローチャートである。
【
図9】電圧しきい値と最大セル電圧の最大値とを使用してバッテリー・サブモジュールを選択するためのプロセスの一実施例を示すフローチャートである。
【
図10A】充電の前と後の両方に平衡化が実行される一実施例を示すダイヤグラムである。
【
図10B】充電の後にのみ平衡化が実行される一実施例を示すダイヤグラムである。
【
図11】充電プロセスに対していつ平衡化を実行するかを決定するためのプロセスの一実施例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明は、プロセス、装置、システム、組成物、コンピュータ可読記憶媒体上で実施されるコンピュータ・プログラム製品、並びに/又はプロセッサに結合されたメモリに記憶された命令及び/若しくはプロセッサに結合されたメモリによって与えられる命令を実行するように構成されたプロセッサなどのプロセッサを含む、多数の方法で実装され得る。本明細書において、これらの実装形態、又は本発明が取り得る任意の他の形態は技法と呼ばれることがある。一般に、開示されたプロセスのステップの順序は本発明の範囲内で変更され得る。別段に記載されていない限り、タスクを実行するように構成されているものとして説明されるプロセッサ又はメモリなどの構成要素は、所与の時間にタスクを実行するように一時的に構成された一般的な構成要素、又はタスクを実行するために製造された特定の構成要素として実装され得る。本明細書で使用する際、「プロセッサ」という用語は、コンピュータ・プログラム命令などのデータを処理するように構成された1つ又は複数のデバイス、回路、及び/又は処理コアを指す。
【0005】
本発明の原理を示す添付図とともに、本発明の1つ又は複数の実施例の詳細な説明が以下で与えられる。本発明はそのような実施例に関連して説明されるが、本発明はいずれかの実施例に限定されない。本発明の範囲は特許請求の範囲のみによって限定され、本発明は多数の代替、改変及び等価物を包含する。本発明の完全な理解を与えるために、以下の説明では多数の具体的な詳細を記載する。これらの詳細は例の目的で与えられており、本発明はこれらの具体的な詳細のいくつか又はすべてなしに特許請求の範囲に従って実施され得る。明快さのために、本発明が不必要に不明瞭にされないように、本発明に関する技術分野で知られている技術材料について詳細に説明していない。
【0006】
バッテリー・システム中のバッテリー・サブモジュールを平衡化するための技法の様々な実施例について本明細書で説明する。いくつかの実施例では、平衡化は、(たとえば、互いに直列に接続された)複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、そのバッテリー・サブモジュール中のセルに関連する電圧を受けることによって実行され、複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールは(たとえば、互いに直列に接続された)複数のセルを含む。バッテリー・サブモジュールは、受けられた電圧に少なくとも部分的に基づいて、複数のバッテリー・サブモジュールから選択される。選択されたバッテリー・サブモジュールから電力を引き出し、複数のバッテリー・サブモジュール中の他のバッテリー・サブモジュールによって電力供給されない、1つ又は複数の負荷(たとえば、電子機器又は他の電力消費物)のセットは、1つ又は複数の負荷のセットが、選択されたバッテリー・サブモジュールから少なくとも一時的に電力を引き出さないように構成される。
【0007】
いくつかの適用例では、この技法は、主要な負荷(たとえば、全電動航空機におけるリフトファン)がバッテリー・システムから電力を引き出していない間、対応する電子機器にスタンバイ電力又は待機電力を(たとえば、少なくとも一時的に)供給しないバッテリー・サブモジュールはどれかを選択するために使用される。長い目で見ると、このプロセスが実行された場合、バッテリー・サブモジュールは、(たとえば、より平衡化されたバッテリー・サブモジュールほど、性能について優れる場合)プロセスが実行されなかった場合よりも平衡化され、及び/又はバッテリー・サブモジュールに対する永久的損傷が回避され得る。
【0008】
図1は、モジュール間平衡化のためのプロセスの一実施例を示すフローチャートである。いくつかの実施例では、プロセスは、互いに直列に接続された複数のサブモジュールをもつバッテリー・システムによって及び/又はそのバッテリー・システム上で実行され、各バッテリー・サブモジュールが、今度は、互いに直列に接続された複数のセルを含む。
【0009】
100において、複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、そのバッテリー・サブモジュール中のセルに関連する電圧が受けられ、複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールは複数のセルを含む。一実例では、バッテリー・システムは全電動航空機に電力供給するために使用される。様々な理由で、航空機に電力供給するバッテリー・システムは、互いに直列に接続された複数のバッテリー・サブモジュールからなり得る。たとえば、バッテリー・システム全体を形成するために、互いに直列に接続された複数のバッテリー・サブモジュールを有することによって、バッテリー・サブモジュールは、必要に応じて又は必要とされる場合、容易に交換され得、(たとえば、リフトファンによって必要とされる数百ボルト程度の)比較的高い電圧、並びに(たとえば、アビオニクス及び/又は電子機器によって必要とされる数ボルト程度の)より低い電圧が同時に利用可能になる。対照的に、これらの望ましい特性及び/又は特徴は、バッテリー・システムが(より)モノリシックのバッテリーを備えるときには存在しない。(互いに直列に接続された)バッテリー・サブモジュールを含み、そのバッテリー・サブモジュールが、今度は(同じく互いに直列に接続された)セルを含む、例示的なバッテリー・システムについて、以下でより詳細に説明する。
【0010】
102において、バッテリー・サブモジュールは、受けられた電圧に少なくとも部分的に基づいて、複数のバッテリー・サブモジュールから選択される。たとえば、選択されたバッテリー・サブモジュールは、そのバッテリー・サブモジュールが、選択されたバッテリー・サブモジュールで動作している1つ又は複数の負荷(たとえば、電子機器、モーター、ソレノイドなど)に電力を供給することを継続することが望ましくないので、選択されていることがある。いくつかの実施例では、2つ以上のバッテリー・サブモジュールが選択される。選択がどのように実行され得るかのいくつかの例について、以下でより詳細に説明する。
【0011】
104において、選択されたバッテリー・サブモジュールから電力を引き出し、複数のバッテリー・サブモジュール中の他のどのバッテリー・サブモジュールによっても電力供給されない、1つ又は複数の負荷のセットは、1つ又は複数の負荷のそのセットが、選択されたバッテリー・サブモジュールから少なくとも一時的に電力を引き出さないように構成される。以下でより詳細に説明するように、いくつかの実施例では、負荷は、それらの電子機器が、選択された及び/又は関連付けられたバッテリー・サブモジュールからもはや(たとえば待機)電力を引き出さないようにオフにされる電子機器を含む。代替的に、選択されたバッテリー・サブモジュールに関連付けられた電子機器は、それらの電子機器が、選択された1つのバッテリー・サブモジュール以外の何らかの他のバッテリー・サブモジュールから電力を引き出すように構成され得る。
【0012】
概念的に及び/又は概して、上記のプロセスは、たとえば、航空機(又は他の負荷)がかなりの量の電力を消費していない何らかの休止状態又は静止状態中に、(すべてとは限らないが)いくつかのバッテリー・サブモジュールに、関連付けられた負荷に電力を与えることを選択的に許可することによって、様々なサブモジュール及び/又はセル中の電圧レベルを平衡化することを試みる。このことは、選択されたサブモジュール及び/又は選択されたセル中の電圧レベルが保存され得るように、(たとえば、より良く装備された、及び/又は電力を与えるためのより良い状態にある)サブモジュール及び/又はセル中の電圧レベルを引き下げる。
【0013】
なぜ平衡化が重要及び/又は有用であるかの一実例では、(たとえば、
図1のプロセスに従って)平衡化が実行されなかった場合、バッテリー・システムが約20日間放置された場合にはバッテリー・システム中のいくつかのバッテリー・サブモジュールは永久的に故障する。バッテリー・システムが航空機中で使用される場合、このことは完全に起こり得る。たとえば、パイロットが、充電ステーションがないどこか遠隔地に航空機を飛行させ、そこで航空機が約20日間使われないまま置かれ、バッテリーがその時間中に充電されないことがあり得る。又は航空機は、長い時間期間にわたって格納庫に置かれたままにされ得、したがって、人間の介入を必要とする保守はかなり不都合になるであろう。
【0014】
バッテリー・サブモジュールを平衡化させた状態に保つことの別の利益は、直列のサブモジュールを備えるバッテリーについて、バッテリーの容量が最小容量セルによって決定されることにより、バッテリー・サブモジュールを平衡化させた状態に保つことがバッテリーの容量を増加させることである。これは、バッテリーの最小容量を下回ってそのバッテリーを放電することがバッテリーを損傷させるためである。同じ趣旨で、平衡状態において、セルは、均一で、不平衡状態に対してより高い電圧になるので、サブモジュールを平衡化させた状態に保つことは、バッテリーが充電するために要する時間を低減する。最後に、平衡化したバッテリーを維持することにより、バッテリーの全体的な寿命を増加させることができる。電圧が低下したセルは、それらの隣のセルよりも急速に劣化し得、サブモジュールの構成セルのうちの1つが劣化の臨界点に到達したとき、そのサブモジュールは交換されなければならない。さらに、サブモジュールが並列に放電されることを可能にする実施例では、異なる電圧のサブモジュールは異なる電流を負荷に与え、過剰の電流を与えなければならないサブモジュールは、加速された劣化を受ける。
図1のプロセスは、必要に応じて又は必要な場合、反復され得る。たとえば、選択されていないバッテリー・サブモジュールが電力を与えると、それらのセル及び/又はバッテリー・サブモジュール中に蓄えられた電圧レベルは低下し、異なる電圧レベル、したがって、不平衡の異なる程度及び/又は状態が生じる。一実例では、ステップ102において選択されたバッテリー・サブモジュールは、ステップ104中に(例として)15分間電力を供給せず、その後に
図1のプロセスが、更新された電圧を用いて反復される。結果として、異なるバッテリー・サブモジュールの対応する電子機器に少なくとも一時的にもはや電力を供給しないように、ステップ102において、それらの異なるバッテリー・サブモジュールが選択され得る。
【0015】
いくつかの実施例では、主要な負荷(たとえば、全電動航空機におけるリフトファン)が電力を引き出していないとき、上記で説明した例示的な平衡化プロセスが実行される。たとえば、バッテリー・システム上の主要な負荷による引出しは極めて急速に変化し得、したがって、主要な負荷が電力を引き出しているときにバッテリー・システムがどのような状態にあるかを正確に決定するために十分に速くバッテリー・システムをサンプリングすることは困難であり、及び/又は費用がかかり得る。この理由で、主要な負荷がオフであるときに平衡化を実行することがより簡単及び/又は容易であり得る。
【0016】
いくつかの実施例では、上記で説明した例示的な平衡化プロセスは、バッテリー・システムの充電が実行される前及び/又は実行された後に実行される。たとえば、前記バッテリー・システムの充電が行われる前に(たとえば、
図1のプロセスに従って)バッテリー・システムを平衡化することは、(たとえば、充電プロセス中に望ましくないことであり得る)バッテリー・サブモジュール間の(より)大きい不平衡(もしあれば)を修復するか、又はさもなければ低減することによって、充電プロセス自体に役立ち得る。バッテリー・システムが充電された後に(たとえば、
図1のプロセスに従って)平衡化が実行される場合、バッテリー・サブモジュール間の(より)小さい不平衡が修復されるか、又はさもなければ低減され得る。
【0017】
図1のプロセスを実行する、例示的なバッテリー・システムについて説明することは役立ち得る。以下の図は、1つのそのような例示的なバッテリー・システムについて説明する。
【0018】
図2は、各バッテリー・サブモジュールが、互いに直列に接続されたセルを含む、互いに直列に接続されたバッテリー・サブモジュールを含むバッテリー・システムの一実施例を示すダイヤグラムである。この例では、バッテリー・システムは全電動航空機に電力供給するために使用される。
【0019】
この例では、M個のバッテリー・サブモジュール、すなわち、第1のバッテリー・サブモジュール(200a)と、第2のバッテリー・サブモジュール(200b)と、M番目のバッテリー・サブモジュール(200c)とがあり、バッテリー・サブモジュールは互いに直列に接続されている。これにより、航空機のリフトファンなど、高電圧負荷(202)に電力供給する(たとえば数百ボルト程度の)高電圧電源を生成する。
【0020】
各バッテリー・サブモジュールは、今度は、互いに直列に接続されたN個のセルを含む。たとえば、第1のバッテリー・サブモジュール(200a)は、第1のセル(204a)と、第2のセル(204b)と、(N-1)番目のセル(204c)と、N番目のセル(204d)とを含む。この例における各バッテリー・サブモジュールの両端間の電圧は数十ボルト程度である。この例では、バッテリー・サブモジュール当たり36個のバッテリー・サブモジュールと12個のセルとがある。以下の図は、例示的なバッテリー・サブモジュールを示す。
【0021】
図3Aは、ふたがされていないバッテリー・サブモジュールの一実施例を示すダイヤグラムである。示されている実例では、バッテリー・サブモジュールは、(たとえば難燃性の)絶縁材の層(302)と交互配置されたセルの層(300)を含む。この実例では、セルは、圧力(たとえば、約0.21~0.35kgf/cm
2(3~5PSI))が加えられたときに、より良く機能するポーチセルである。より詳細には、ポーチセルのサイクル寿命は、そのポーチセルに圧力を加えることによって延長され得る。したがって、バッテリー・サブモジュールは、含まれているポーチセルに圧力を加える金属缶(304)に入れられる。
【0022】
セルの各々は、セルから上方に延びる2つのタブ(306)、すなわち、正のタブと負のタブとを有する。タブは、セルが互いに電気的に直列に接続されるように、互いに接続される。たとえば
図2を参照されたい。
【0023】
図3Bは、ふたがされたバッテリー・サブモジュールの一実施例を示すダイヤグラムである。この例では、ふた(350)は、単一の正の接続部と単一の負の接続部とのみが露出されるように、バッテリー・サブモジュールに取り付けられている。バッテリー・システムが航空機中に含まれる、上記で説明した実例では、各バッテリー・サブモジュールは、必要に応じて又は必要とされる場合、単一のバッテリー・サブモジュールがスワップ・アウトされ、交換され得るように、航空機内で互いに物理的及び電気的に接続され得る。
【0024】
図2に戻ると、各バッテリー・サブモジュール(200a~200c)は、各バッテリー・サブモジュール(200a~200c)に関連付けられ、(たとえば、航空機が飛行しておらず、高電圧負荷(202)が電力を消費していないときでも)そのバッテリー・サブモジュールによって電力供給される、電子機器のセット(206a~206c)を有する。たとえば、電子機器の第1のセット(206a)は第1のバッテリー・サブモジュール(200a)によって電力供給され、電子機器の第2のセット(206b)は第2のバッテリー・サブモジュール(200b)によって電力供給され、電子機器のM番目のセット(206c)はM番目のバッテリー・サブモジュール(200c)によって電力供給される。簡潔さのために及び図の読みやすさを保つために、(たとえば、バッテリー・サブモジュールによって生成された電圧を、電子機器によって予想された電圧レベルにステップ・ダウンする)電圧変換器は、本明細書に図示されていないが、必要に応じて又は必要とされる場合、使用され得る。
【0025】
この例における電子機器(206a~206c)は、関連付けられたバッテリー・サブモジュール内のセルに関連付けられたメトリクス及び/若しくは測定値を時間とともに監視並びに/又は記録する、バッテリー管理システム(BMS:battery management system)を含む。いくつかの実施例では、バッテリー管理システムは、関連付けられたバッテリー・サブモジュール中のセルの各々の電圧を時間とともに監視及び/又は追跡する。電子機器コントローラ(208)は、以下でより詳細に説明する方法で様々な電子機器(206a~206c)を制御する。
【0026】
このタイプのバッテリー構成は、自動車適用例と比較して航空機適用例により良く適合し得る。たとえば、連邦航空局は、冗長性及び/又は潜在的単一障害点に関して、極めて厳しい要件を有することがある。複数のバッテリー・サブモジュールを、図示されていないバックアップ接続と直列に構成することによって、バッテリー・サブモジュールのうちの1つが故障した場合でも、バッテリー・システム全体は依然として動作し、高電圧負荷(202)のための高電圧信号を出力することができる。対照的に、バッテリーが故障した場合、航空機は墜落するであろうが、自動車は単に惰性で進み、路肩に停めることができるので、米国運輸省道路交通安全局は、冗長性及び/又は潜在的単一障害点に関してそれほど注意を払わないことがある。これらの理由及び他の理由で、電気自動車のためのバッテリー・システムは(たとえば、航空機のためのバッテリー・システムと比較して、バッテリー・サブモジュールが比較的少ない、及び/又はバッテリー・サブモジュール当たりセルが比較的少ない)よりモノリシックになる傾向がある。
【0027】
様々なセル間及び様々なバッテリー・サブモジュール間のわずかな差により、セル及びバッテリー・サブモジュールの両端間の電圧はすべて同じであるとは限らない。さらに、本明細書に示されている構成により、高電圧負荷(202)がオフであり、電子機器(206a~206c)がオンである間(たとえば、航空機がパワーダウンされたとき)、(たとえば、
図1においてその1つの実例が説明されている、モジュール間平衡化が実行されない場合)より少ない電荷を有するバッテリー・サブモジュールが、より多い電荷を有するバッテリー・サブモジュールよりも大きい電力を供給するために使用される。例えを使うと、金持ち(サブモジュール)は金持ちのままであり、貧乏(サブモジュール)は貧乏のままである。このことに対処するために、(たとえばBMSコントローラを含む)電子機器コントローラ208は
図1の平衡化プロセスを実行する。
【0028】
この例示的なシステムの文脈では、電子機器コントローラ(208)が
図1のプロセスを実行することを決定したとき、
図1のステップ100が開始される。上記で説明したように、平衡化は充電の前及び/又は後に実行され得るが、(たとえば、簡潔のために、及び/又は費用がかかるサンプリング機器を避けるために)高電圧負荷がバッテリー・システムから電力を引き出しているときには平衡化は実行されない。
【0029】
図1のプロセスが開始すると、電子機器コントローラ(208)は、関連付けられたバッテリー・サブモジュール中のセルに関連する1つ又は複数の電圧を送り返すために電子機器の各セット(206a~206c)に信号を送る。たとえば、電子機器コントローラに送り返される電圧は、そのバッテリー・サブモジュール中のすべてのセルのうちの最小(たとえば、最も低い)電圧であり得、本明細書では(たとえば、所与のバッテリー・サブモジュールについて)最小セル電圧と呼ぶこともある。いくつかの他の実施例では、いくつかの他のタイプのセル電圧が(たとえば、最大セル電圧又はメジアン若しくは平均セル電圧として)最小セル電圧に加えて及び/又は最小セル電圧の代わりに電子機器コントローラに送られる。電子機器(206a~206c)から受けられた電圧を使用して、電子機器コントローラは電子機器の少なくとも1つのセットを選択する。一実例では、(たとえば、バッテリー・サブモジュールから電力を引き出すことを継続することにより、最小セル電圧をもつセルがあるしきい値及び/又は回復不能なセル電圧レベルを下回った場合、そのバッテリー・サブモジュールを永久的に損傷し得るので)、(たとえば、コントローラが最小セル電圧のうちの最小値をピックする)大域的最小セル電圧をもつ電子機器が選択される。これは、
図1におけるステップ102の1つの実例である。
【0030】
この実例では、電子機器の各セット(206a~206c)と電子機器コントローラ(208)との間に2つの経路がある。一方の経路は通信及び/又は制御用であり、他方の経路は電力供給用である。後者は、所与のバッテリー・サブモジュール及び/又は電子機器のセットから電子機器コントローラへの電力を中断するためのスイッチを組み込んでいる。制御及び/又は通信経路は(たとえば、コントローラが、セル電圧を問い合わせることと、電圧測定値に応答して上述のスイッチの状態を制御することとを可能にするために)常に接続されており、利用可能である。
【0031】
電子機器コントローラは、次いで、選択された電子機器が、その電子機器の関連付けられたバッテリー・サブモジュールから(たとえば、モノが「オフにされている」場合でも、一般にあるレベルの待機電力消費があるので、可能な程度まで)電力を引き出さないように、その選択された電子機器を構成する。いくつかの実施例では、電子機器コントローラは、この目標を達成するために、選択された電子機器をオフにする。代替的に、いくつかの他の実施例における電子コントローラは、所与のバッテリー・サブモジュールからの電力が上流の電子機器コントローラ(208)に送られないように、選択された電子機器(及び/又は任意の他の構成要素)を構成する。たとえば、電子機器206aが電力最小化モードにあり、コントローラ(208)に電力を与えていない場合でも、コントローラ(208)は、その電子機器の電圧などについて、バッテリー管理システム206aに依然として問い合わせることができる。このことは、電子機器をアクセス可能な状態に保つことが望ましい適用例において望ましいことがある。たとえば、上記で説明したように、バッテリー管理システムは、関連付けられたバッテリー・サブモジュール及び/若しくは内部のセルに関連付けられた、メトリクスを追跡並びに/又は監視する。たとえば、別のバッテリー・サブモジュールから電力を得ることによって、そのようなメトリクス及び/又は測定値を追跡し続けることが望ましいことがある。これらは、
図1におけるステップ104がどのように実行され得るかのいくつかの実例である。
【0032】
平衡化を行わないと、バッテリー・サブモジュールのうちの1つ又は複数が早ければ約20日以内に修復不能なほどに損傷し得る。たとえば、セルの電圧レベルがある電圧レベルを下回っているのに、電力がそのセルから引き出され続けた場合、セルは修復不能なほどに損傷し、結果として、バッテリー・サブモジュール全体を交換することが必要になる。
【0033】
以下の図は、上記で説明した実例のうちのいくつかをフローチャートでより一般的に及び/又は形式的に記載する。
【0034】
図4は、電子機器をオフにすることを含む、モジュール間平衡化のためのプロセスの一実施例を示すフローチャートである。
図4は
図1に関係しており、便宜のために、関係するステップは、同様の又は同じ参照番号を使用して示されている。
【0035】
100において、複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、そのバッテリー・サブモジュール中のセルに関連する電圧が受けられ、複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールは複数のセルを含む。たとえば、
図2における電子機器コントローラ(208)は電子機器(206a~206c)の各々からの少なくとも1つの電圧を受け、各受けられた電圧は、対応する又は関連付けられたバッテリー・サブモジュール(200a~200c)中の1つのセルに関連付けられる。
【0036】
102において、バッテリー・サブモジュールは、受けられた電圧に少なくとも部分的に基づいて複数のバッテリー・サブモジュールから選択される。選択がどのように実行され得るかのいくつかの実例について、以下でより詳細に説明する。いくつかの実施例では、複数のバッテリー・サブモジュールが選択される。
【0037】
104aにおいて、選択されたバッテリー・サブモジュールから電力を引き出し、複数のバッテリー・サブモジュール中の他のどのバッテリー・サブモジュールによっても電力供給されない、1つ又は複数の負荷のセットは、選択されたバッテリー・サブモジュールから電力を引き出す負荷のセットをオフにするように構成することを含めて、1つ又は複数の負荷のそのセットが、選択されたバッテリー・サブモジュールから少なくとも一時的に電力を引き出さないように構成される。たとえば、
図2における第1のバッテリー・サブモジュール(200a)が選択された場合、負荷コントローラ208は、負荷の第1のセット206aがオフになり、第1のバッテリー・サブモジュール(200a)から電力を引き出さないように、負荷の第1のセット206aを構成し得る。
【0038】
図5は、選択されていないバッテリー・サブモジュールから電力を引き出すように電子機器のセットを構成することを含む、モジュール間平衡化のためのプロセスの一実施例を示すフローチャートである。
図5は
図1に関係しており、便宜のために、関係するステップは、同様の又は同じ参照番号を使用して示されている。
【0039】
100において、複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、そのバッテリー・サブモジュール中のセルに関連する電圧が受けられ、複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールは複数のセルを含む。
【0040】
102において、バッテリー・サブモジュールは、受けられた電圧に少なくとも部分的に基づいて複数のバッテリー・サブモジュールから選択される。上記で説明したように、いくつかの実施例では、(たとえば、複数のバッテリー・サブモジュールが電力を供給し続けた場合、それらの複数のバッテリー・サブモジュールは、電力を供給するために不十分な状態になり、及び/又は修復不能なほどに損傷し得、したがって、選択されるので)複数のバッテリー・サブモジュールが選択される。
【0041】
104bにおいて、選択されたバッテリー・サブモジュールから電力を引き出し、複数のバッテリー・サブモジュール中の他のどのバッテリー・サブモジュールによっても電力供給されない、1つ又は複数の負荷のセットは、選択されたバッテリー・サブモジュールから電力を引き出す負荷のセットを、選択されていないバッテリー・サブモジュールから電力を引き出すように構成することを含めて、1つ又は複数の負荷のそのセットが、選択されたバッテリー・サブモジュールから少なくとも一時的に電力を引き出さないように構成される。
【0042】
いくつかの適用例では、電子機器をオフにすることは望ましくない。
図2の実例では、電子機器は、バッテリー・サブモジュール及び/若しくはセルの健全性並びに/又は他のメトリクスを追跡及び/又は監視する、バッテリー管理システムを含み、その情報を常に追跡することが重要であり、及び/又は望ましい。たとえば、航空機の場合、航空機は、平日にパワーダウンされ、週末にのみ飛行させられることがある。不良のバッテリー・サブモジュールが識別され得、及び/又は必要に応じて若しくは必要とされる場合に航空機が飛行することを許可されないように、バッテリー管理システムは1週間にわたって動作すべきである。
【0043】
上記で説明したように、いくつかの実施例では、バッテリー・サブモジュールは、そのバッテリー・サブモジュール中のセルが、修復不能な損傷が起こる(及びたとえば、バッテリー・サブモジュール全体が交換されなければならない)電圧レベルまで引き下げられることを防ぐために、複数のバッテリー・サブモジュールから選択される。以下の図は、いくつかの例示的なセル電圧と、それらのセル電圧を使用してバッテリー・サブモジュールを選択するための例示的な技法とについて説明する。
【0044】
図6は、バッテリー・システム中のバッテリー・サブモジュールにおけるセル電圧の一実施例を示すダイヤグラムである。この実例では、
図2の実例に一致するように、M個のバッテリー・サブモジュールと、バッテリー・サブモジュール当たりN個のセルとがある。示されているグラフにおいて、x軸は(バッテリー・サブモジュール番号と、そのバッテリー・サブモジュール内のセル番号とによって定義された)セル・インデックスを示し、y軸は、対応するセルのセル電圧を示す。グループ600は、第1のバッテリー・サブモジュール中のセルについてのセル電圧を示し、グループ602は、第2のバッテリー・サブモジュール中のセルについてのセル電圧を示し、グループ604は、M番目のバッテリー・サブモジュール中のセルについてのセル電圧を示す。
【0045】
簡潔さ及び説明の容易さのために、V
threshold(606)によって表される電圧レベルがあり、その電圧レベルを下回ると、電力(たとえば、航空機がパワーダウンされたときのスタンバイ電力又は待機電力)がセルから引き出され続けた場合、そのセルは永久的に損傷すると仮定する。たとえば、セル2、1(610)及びセル2、N(612)は、それらのセルの両方が第2のバッテリー・サブモジュール(602)中にあり、V
threshold(606)以下である。電力がそのバッテリー・サブモジュールからさらに引き出されないことを保証するために、(たとえば、
図1のステップ102において)第2のバッテリー・サブモジュールが選択されるであろうし、電子機器の対応するセット(たとえば、
図2における206b)は、それらの電子機器の対応するセットが第2のバッテリー・サブモジュール(たとえば、
図2における200b)からもはや電力を引き出さないように構成されるであろう。
【0046】
しばらく
図2に戻ると、電子機器コントローラ(208)は、所与のバッテリー・サブモジュール中のすべてのセルについてのセル電圧を受けなければならない代わりに、バッテリー・サブモジュール当たりいくつかのセルのみについてのセル電圧を受けることができれば望ましいであろう。このことは、たとえば、電子機器コントローラ(208)と下位レベル電子機器(206a~206c)との間で交換されるトラフィック又は通信の量を低減するであろう。
【0047】
一実例では、各バッテリー・サブモジュールからの最小セル電圧は、選択を行っている電子機器コントローラ又は他のブロックに送られる。たとえば、それぞれの電子機器コントローラ(たとえばバッテリー管理システム)は、この選択を行い、電子機器コントローラ(たとえばBMSコントローラ)に最小セル電圧のみをアップロードし得る。
図6では、このことは、第1のバッテリー・サブモジュール(600)中の最小セル電圧である、セル1、(N-1)についてのセル電圧(620)を選択し、そのような電子機器コントローラに送ることを意味するであろう。第2のバッテリー・サブモジュール(602)について、最小セル電圧はセル2、1についてのセル電圧(610)であり、そのセル電圧が選択され、電子機器コントローラに送られるであろう。M番目のバッテリー・サブモジュール(604)について、最小セル電圧はセルM、Nについてのセル電圧(622)であり、そのセル電圧が選択され、電子機器コントローラに送られるであろう。
【0048】
いくつかの実施例では、バッテリー・サブモジュールは、しきい値電圧を使用して、
図1のステップ102において選択される。たとえば、いずれかのバッテリー・サブモジュールがV
threshold(606)を下回る最小セル電圧を有する場合、そのバッテリー・サブモジュールの対応する電子機器がそのバッテリー・サブモジュールから電力を引き出し続けないように、そのバッテリー・サブモジュールが選択される。
図6に示された例示的なセル電圧の場合、第2のバッテリー・サブモジュール(602)のみが選択されるであろう。したがって、対応する電子機器は(たとえば、電子機器の第2のセットをオフにすること、又はある他のバッテリー・サブモジュールから電力を与えることのいずれかによって)第2のバッテリー・サブモジュールから少なくとも一時的に電力を引き出さないように構成されるであろう。
【0049】
いくつかの実施例では、上記のステップは最初に実行される(たとえば、各バッテリー・サブモジュールからの最小セル電圧が、Vthreshold(606)など、ある電圧しきい値と比較される)。次いで、Vthresholdを上回っていたバッテリー・サブモジュールのプールから、(残っている)最小セル電圧のn個の最大値をもつn個のバッテリー・サブモジュールが(少なくとも一時的に)電力を与えるために使用されるが、それ以外のバッテリー・サブモジュール(Vthresholdを下回る最小セル電圧をもつバッテリー・サブモジュールを含む)は(少なくとも一時的に)電力を与えない。このことはn個のバッテリー・サブモジュールを引き下げ、それにより、それらのバッテリー・サブモジュールが他のバッテリー・サブモジュールに対してより平衡化される。
【0050】
図6では、たとえば、M番目のバッテリー・サブモジュール(604)は、残りのバッテリー・サブモジュールと比較して、一般に、はるかに高いセル電圧を有する。M番目のバッテリー・サブモジュール(604)のセル電圧を引き下げることによって、このことは、第2のバッテリー・サブモジュール(602)、すなわちローエンド・アウトライア(low-end outlier)に修復不能なほどに損傷を与えることなしに、M番目のバッテリー・サブモジュール(604)、すなわちハイエンド・アウトライア(high-end outlier)を引き下げることに役立ち得る。別の言葉で言えば、第1の検査又はテスト(たとえば、最小セル電圧をV
thresholdと比較すること)は、何も故障していないか又は壊れていないことを保証し、第2の検査又はテスト(たとえば、最小セル電圧のn個の最大値をもつn個のバッテリー・サブモジュールから電力を引き出すこと)は性能指向の選択である(たとえば、その選択はいくつかの他の選択技法よりも良く平衡化を行い、平衡化されたバッテリー・サブモジュールの性能は良好になる)。
【0051】
いくつかの実施例では、Vthreshold(606)を下回る最小セル電圧をもつバッテリー・サブモジュールがない。いくつかのそのような実施例では、各バッテリー・サブモジュールからの最大セル電圧が得られ、最大セル電圧のm個の最大値をもつm個のバッテリー・サブモジュールは(少なくとも一時的に)電力を与えるが、残りのバッテリー・サブモジュールは(少なくとも一時的に)電力を与えない。この状況では、そのバッテリー・サブモジュールが電力を供給し続けた場合に永久的に損傷する危険があるバッテリー・サブモジュールがなく、したがって、各セルからの最大セル電圧を使用することは、サブモジュールを平衡化するためのさらに良い(たとえば、最小セル電圧の最大値を使用するよりもさらに良い)方法である。この種類の平衡化の文脈では、より低い電圧のサブモジュールよりもより高い電圧のサブモジュールから電力を引き出すことが常に有益である。
【0052】
これらの実例について、以下のフローチャートにおいてより一般的に及び/又は形式的に説明する。様々な適用例及び/又は実施例において、適切な技法が実行され得る。
【0053】
図7は、電圧しきい値を使用してバッテリー・サブモジュールを選択するためのプロセスの一実施例を示すフローチャートである。いくつかの実施例では、バッテリー・サブモジュールは、本明細書で説明する例示的なプロセスを使用して
図1のステップ102において選択される。この実例では、
図1のステップ100において電圧を受けることは、互いに直列に接続された複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、複数の最小セル電圧が受けられるように最小セル電圧を受けることを含む。
【0054】
700において、電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつ任意のバッテリー・サブモジュールを識別するために、複数の最小セル電圧が電圧しきい値と比較される。たとえば、
図6では、セル1、(N-1)についての最小セル電圧(620)、セル2、1についての最小セル電圧(610)、及びセルM、Nについての最小セル電圧(622)がV
threshold(606)と比較される。その実例では、電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつ唯一のセルは、セル2、1(610)である。
【0055】
702において、電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつ任意の前記識別されたバッテリー・サブモジュールが選択される。
図6からの実例を継続すると、第2のバッテリー・サブモジュール(602)が選択されるであろう。したがって、対応する電子機器は、それらの対応する電子機器が少なくとも一時的に第2のバッテリー・サブモジュール(602)から電力を引き出さないように構成されるであろう。第2のバッテリー・サブモジュール(602)は脆弱であり、そのバッテリー・サブモジュール(602)が電力を引き出し続けた場合、永久的に損傷し得る。
【0056】
設計目的及び/又は制約に応じて、選択を行うための適切な技法が使用され得る。たとえば、
図7のプロセスは比較的単純である。いくつかの適用例では、他のより複雑なプロセスによって提供される性能改善がごくわずかである場合、選択を行うために
図7のプロセスが使用される。
【0057】
図8は、電圧しきい値と最小セル電圧の最大値とを使用してバッテリー・サブモジュールを選択するためのプロセスの一実施例を示すフローチャートである。いくつかの実施例では、バッテリー・サブモジュールは、本明細書で説明する例示的なプロセスを使用して
図1のステップ102において選択される。この実例では、
図1のステップ100において電圧を受けることは、互いに直列に接続された複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、複数の最小セル電圧が受けられるように最小セル電圧を受けることを含む。
【0058】
800において、電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつ任意のバッテリー・サブモジュールを識別するために、複数の最小セル電圧が電圧しきい値と比較される。たとえば、第2のバッテリー・サブモジュール(602)が、電圧しきい値(606)を超えない最小セル電圧(610)を有する、
図6を参照されたい。
【0059】
802において、最小セル電圧の1つ又は複数の最大値を取得するために、複数の最小セル電圧から1つ又は複数の最大値が選択される。たとえば、
図6では、最小セル電圧は、セル1、(N-1)についての電圧(620)と、セル2、1についての電圧(610)と、セルM、Nについての電圧(622)とを含み、それらの電圧のうちの最大値はセルM、Nについての電圧(622)である。簡潔さ及び説明の容易さのために、ステップ802のこの実例において、及びその後ステップ804において、ただ1つの最大値が選択されると仮定する。
【0060】
804において、電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつ前記任意の識別されたバッテリー・サブモジュール、並びに最小セル電圧の最大値のうちの1つに対応しないバッテリー・サブモジュールが選択される。たとえば、第2のバッテリー・サブモジュール(602)は、電圧しきい値(606)を超えない最小セル電圧(610)を有するので、そのバッテリー・サブモジュール(602)が選択されるであろう。また、第1のバッテリー・サブモジュール(600)は最小セル電圧の最大値に対応しておらず、したがって、第1のバッテリー・サブモジュールも選択されるであろう。言い換えれば、第1のバッテリー・サブモジュール(600)及び第2のバッテリー・サブモジュール(602)は(少なくとも一時的に)電力を与える必要はないであろうが、M番目のバッテリー・サブモジュール(604)は(たとえば当該の時間期間中に)電力を与えるであろう。M番目のバッテリー・サブモジュール(604)は、他のバッテリー・サブモジュールと比較して、より高いセル電圧を有する傾向があるので、直観的に、このことは道理にかなっている。
【0061】
いくつかの適用例では、
図8のプロセスは、(たとえば
図9に従って)各バッテリー・サブモジュールについて追加のセル電圧を取得する必要がないが、
図7と比較して、より良い及び/又はより速い平衡化を可能にするので、
図8のプロセスが
図7のプロセスの代わりに使用される。
【0062】
図9は、電圧しきい値と最大セル電圧の最大値とを使用してバッテリー・サブモジュールを選択するためのプロセスの一実施例を示すフローチャートである。いくつかの実施例では、バッテリー・サブモジュールは、本明細書で説明する例示的なプロセスを使用して
図1のステップ102において選択される。この実例では、
図1のステップ100において電圧を受けることは、互いに直列に接続された複数のバッテリー・サブモジュール中の各バッテリー・サブモジュールについて、複数の最小セル電圧と複数の最大セル電圧とを受けられるように、最小セル電圧と最大セル電圧とを受けることを含む。
【0063】
900において、電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつ任意のバッテリー・サブモジュールを識別するために、複数の最小セル電圧が電圧しきい値と比較される。たとえば
図6を参照されたい。
【0064】
902において、電圧しきい値を超えない最小セル電圧をもつバッテリー・サブモジュールがあるかどうかが決定される。たとえば、
図6に示されたセル電圧の場合、セル2、1についての最小セル電圧(610)が電圧しきい値(606)を超えないので、この決定は「はい」であろう。この実例では、プロセスは、次いで、
図8におけるステップ802に進むであろう。
【0065】
しかしながら、(たとえば、すべての最小セル電圧が電圧しきい値を超えているので)ステップ902における決定が「いいえ」である場合、904において最大セル電圧の1つ又は複数の最大値を取得するために、複数の最大セル電圧から1つ又は複数の最大値が選択される。たとえば、
図6における複数の最大セル電圧は、セル1、2についてのセル電圧(630)と、セル2、(N-1)についてのセル電圧(632)と、セルM、1についてのセル電圧(634)とを含む。ただ1つの最大値が選択される場合、最大セル電圧の最大値はセルM、1についてのセル電圧(634)であろう。
【0066】
906において、最大セル電圧の最大値のうちの1つに対応しないバッテリー・サブモジュールが選択される。言い換えれば、最大セル電圧の最大値に対応するバッテリー・サブモジュールは、ある時間期間の間(少なくとも一時的に)電力を与える。上記からの実例を続けると、M番目のバッテリー・サブモジュールは(少なくとも一時的に)電力を与えるであろうが、それ以外のバッテリー・サブモジュールは(少なくとも一時的に)電力を与えないであろう。
【0067】
いくつかの適用例では、この技法は、最良の及び/又はより速い平衡化を可能にするが、より多くの情報が(ローカル)電子機器(たとえばバッテリー管理システム)と電子機器コントローラ(たとえばBMSコントローラ)との間で交換されることを必要とする、最小セル電圧と最大セル電圧の両方の使用を必要とする。特定の適用例の特定の設計目標及び/又は制限に応じて、適切な技法が選択され得る。たとえば、性能が重要であり、より多くの及び/又は追加の交換が、許容できるトレードオフである場合、
図9のプロセスが使用され得る。
【0068】
上記で説明したように、いくつかの実施例では、平衡化は充電の前及び/又は後に実行される。以下の図は、充電の前と後の両方に、並びに充電の後にのみ平衡化が実行される、いくつかの例示的なシナリオについて説明する。
【0069】
図10Aは、充電の前と後の両方に平衡化が実行される一実施例を示すダイヤグラムである。示されている実例では、バッテリー・システムは、時間0において様々なバッテリー・サブモジュール間、及び/又はそれらのバッテリー・サブモジュールの下にあるセル間の大きい不平衡を有する。たとえば、BMSコントローラが、バッテリー・システム中の不平衡の程度又は量を表す不平衡メトリック(imbalance metric)を計算し、そのメトリックが比較的高い、及び/又はある不平衡しきい値を上回っていると仮定する。上記で説明したように、バッテリー・システムが充電前に(たとえば十分に)平衡化されることが重要である。したがって、この実例では、1000において平衡化の第1のパスが(たとえば、上記で説明した平衡化技法のいずれかに従って)実行される。たとえば、いくつかのバッテリー・サブモジュールはシステム中の様々な電子機器に電力を与えるが、他のバッテリー・サブモジュールは、ある事前定義された量の時間の間、及び/又はある所望の不平衡メトリックに達するまで電力を与えない。
【0070】
次いで、1000において平衡化の第1のパス又は反復が実行された後に、1002においてバッテリー・システムが充電される。
【0071】
充電(1002)が完了した後に、バッテリー・システム中に(たとえば、第1の平衡化パスの終了から持ち越された)ある程度の不平衡が依然としてあり得、及び/又は追加の不平衡が充電プロセスによってもたらされていることがある。したがって、(たとえば、上記で説明した技法のいずれかによる)平衡化の第2のパス又は反復が、ただし今回はバッテリー・システム中のより小さい及び/又は軽微な不平衡に対処するために、1004において実行される。
【0072】
図10Bは、充電の後にのみ平衡化が実行される一実施例を示すダイヤグラムである。この例では、バッテリー・システムは、プロセス全体が開始するとき、バッテリー・サブモジュール(及び/若しくは下にあるセル)間の比較的小さい量又は程度の不平衡を有する。別の言葉で言えば、時間0において、バッテリー・サブモジュールは、充電がすぐ(たとえば、最初に平衡化プロセスを実行する必要なしに)実行され得るように十分に平衡化されている。前述のように、BMSコントローラは、バッテリー・システムが充電を進めるために十分に平衡化されていると結論付けるために、不平衡メトリックを決定し、その不平衡メトリックをあるしきい値と比較していることがある。したがって、充電(1050)は時間=0においてすぐ実行される。充電が完了した後、その時間にバッテリー・システム中に存在する比較的小さい及び/又は軽微な不平衡に対処するために、(たとえば、上記で説明した技法のいずれかに従って)平衡化(1052)が実行される。
【0073】
(簡潔さのために本明細書に図示されていない)第3の可能なシナリオは、充電の前に平衡化を実行するが、充電の後には実行しないことである。
【0074】
以下の図は、上記の実例について、フローチャートにおいてより一般的に及び/又は形式的に説明する。
【0075】
図11は、充電プロセスに対していつ平衡化を実行するかを決定するためのプロセスの一実施例を示すフローチャートである。いくつかの実施例では、プロセスは
図2におけるBMSコントローラ208によって実行される。
【0076】
1100において、複数のバッテリー・サブモジュール中のバッテリー・サブモジュール間の不平衡の程度に関連する不平衡メトリックが決定される。不平衡メトリックの一実例は、本明細書でRANGE(SOC)と呼ぶ、1つのバッテリー内の最大セル充電状態と最小セル充電状態との間の差である。この実例における別のメトリックは、本明細書でmaxImbalanceと呼ぶ、1回の充電の継続時間にわたって処理され得る不平衡の量である。直截的に、RANGE(SOC)>maxImbalanceである場合、充電の前に平衡化を行うことが有益であろう。充電の前に平衡化が行われなかった場合、バッテリーは、最大電圧セルが(このしきい値を上回るとセルを損傷するであろう)最大セル電圧しきい値に達するまで充電されるであろう。この時点で、バッテリーは依然として不平衡であろうし、すべての高電圧セルは、それらの高電圧セルが最小電圧セルと同じ電圧に到達するまで消耗される必要があるであろう。この後に、現在平衡化されているバッテリーが最大セル電圧に到達するまで、別の充電が実行されるであろう。
【0077】
航空機が極めて長い時間期間の間充電装置に取り付けられたままにされる場合、このことは実際に問題にならない。この場合、バッテリーは、トリクル充電され、バッテリー自体が平衡化している状態で満充電に保たれ得る。しかしながら、航空機が充電装置上で費やす時間を最小にする必要がある高スループット環境(たとえばエアタクシー又は共同利用適用例)では、(たとえば、その時間中にバッテリーを充電装置に接続する必要がないので)バッテリーを事前平衡化することが有益である。
【0078】
maxImbalanceは実際に可変値であり、固定値でないことに留意されたい。航空機が完全に放電された場合、充電するのに公称で1.25時間かかり得る。平衡化は、充電と平衡化とが、設定されたレートで起こる間に行われ得るので、論理に従うと、必要とされる平衡化が1.25時間未満相当である場合、充電は、ダウンタイムの不安なしに進行するか又は他の方法で行われるべきである。さもなければ、充電装置上の時間を最小にすることが望まれる場合、あらかじめ平衡化を行うことが有益であろう。0.5時間相当の充電のみが必要とされる(すなわち、飛行機が部分的にのみ放電されていた)場合、しきい値は相応してより小さくなる。
【0079】
1102において、不平衡メトリックが不平衡しきい値を超えているかどうかが決定される。この実例では、より大きい値をもつ不平衡メトリックは、バッテリー・システムにおける不平衡のより大きい程度又は量に対応し、より小さい値をもつ不平衡メトリックは、バッテリー・システムにおける不平衡のより小さい程度又は量に対応する。別の言葉で言えば、不平衡しきい値は、バッテリー・システムがすぐに充電を開始するために十分に充電されているかどうか、又は何らかの平衡化が最初に実行される必要があるかどうかを決定するために使用される。
【0080】
1102において不平衡メトリックが不平衡しきい値を超えている(たとえば、バッテリー・システムが充電のために十分に平衡化されていない)場合、1104において充電前(pre-charging)平衡化が実行される。たとえば、上記(たとえば
図1)で説明した平衡化技法のいずれかが使用され得る。1104において充電前平衡化が実行された後、1106において複数のバッテリー・サブモジュールが充電される。
【0081】
1102において不平衡メトリックが不平衡しきい値を超えていない(たとえば、バッテリー・システムが充電のために十分に平衡化されている)場合、(たとえば、ステップ1104において最初に平衡化を実行することなしに)1106において複数のバッテリー・サブモジュールが充電される。
【0082】
いくつかの実施例では、ステップ1106においてバッテリー・サブモジュールが充電された後、1108において(たとえば、
図1など、上記で説明した平衡化技法のいずれかを使用して)充電後(post-charging)平衡化が実行される。代替的に、1108における充電後平衡化のステップは(たとえば、充電の後のバッテリー・システムにおける不平衡の程度又は量が平衡化の反復を正当化しないので)スキップされ得る。
【0083】
理解の明快さの目的で上記の実施例について多少詳細に説明したが、本発明は、与えられた詳細に限定されない。本発明を実装する多くの代替方法がある。開示された実施例は例示的なものであり、限定的なものではない。