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特許7332681超音波センサからデジタルセンサ信号を提供するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】超音波センサからデジタルセンサ信号を提供するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/54 20060101AFI20230816BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20230816BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
G01S7/54
G01S15/931
G08C19/00 S
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021507015
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2019064748
(87)【国際公開番号】W WO2020030328
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】102018119533.8
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ、ティン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フランソワ、バリアント
(72)【発明者】
【氏名】アント、ミヒャエル
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第102017108348(DE,B3)
【文献】特開2008-211644(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03171553(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01631091(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/64
G01S 13/00 - 17/95
G08G 1/00 - 99/00
G08C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号送信のための超音波センサ(16)から信号受信機(28)にデジタルセンサ信号(DS)を提供する方法であって、前記超音波センサ(16)からの、好ましくはデジタルの、出力信号(OS)が処理されて信号送信のための前記デジタルセンサ信号を形成し、
前記処理は、
- 前記出力信号(OS)の連続する値の信号変化(SC)を決定するステップと、
- 前記超音波センサ(16)及び前記信号受信機(28)に知られているスケーリングスキームによって指定される可変スケール因子(SF)によって、この信号変化(SC)をスケーリングするステップと、
- スケーリングされた前記信号変化(SC)を前記デジタルセンサ信号(DS)として出力するステップと、
を含み、
前記スケール因子(SF)のサイズは、前記スケール因子(SF)のサイズが前記スケーリングスキームに従って予め定められる帯域幅に適応される間に少なくとも2倍増加されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記信号受信機(28)への前記信号送信は予め定められる帯域幅を有し、前記スケール因子(SF)のサイズは、前記スケーリングスキームによってこの予め定められる帯域幅に適応されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記出力信号(OS)の値の連続シーケンスにおける2つの連続する値に関する前記スケール因子(SF)のサイズは、前記連続シーケンスにおいて予め考慮される最後の2つの値のスケーリングされた前記信号変化が少なくとも予め定められる範囲にある帯域幅の部分を用いる場合、前記スケーリングスキームに従って前記予め定められる帯域幅に適応されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記出力信号(OS)の前記信号変化(SC)は減算によって決定されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記信号送信は、バスシステムを介したデータ送信であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記データ送信は、DSI3バスプロトコルに従ったデータ送信であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
信号送信のための超音波センサ(16)から信号受信機(28)にデジタルセンサ信号(DS)を提供するための装置(32)であって、前記装置(32)は、前記超音波センサ(16)からの、好ましくはデジタルの、出力信号(OS)を処理して信号送信のための前記デジタルセンサ信号(DS)を形成するように構成され、
前記装置(32)は、前記出力信号の連続する値の信号変化(SC)を決定し、前記超音波センサ(16)及び前記信号受信機(28)に知られているスケーリングスキームによって指定される可変スケール因子(SF)により、この信号変化(SC)をスケーリングし、スケーリングされた前記信号変化(SC)を前記デジタルセンサ信号(DS)として出力するように構成され、
前記スケール因子(SF)のサイズは、前記スケール因子(SF)のサイズが前記スケーリングスキームに従って予め定められる帯域幅に適応される間に少なくとも2倍増加されることを特徴とする装置(32)。
【請求項8】
超音波センサ(16)と、信号送信に関して前記超音波センサ(16)の下流に接続される請求項7に記載の装置(32)と、を備え、
前記スケール因子(SF)のサイズは、前記スケール因子(SF)のサイズが前記スケーリングスキームに従って予め定められる帯域幅に適応される間に少なくとも2倍増加される、超音波センサデバイス。
【請求項9】
少なくとも1つの超音波センサ(16)と、信号受信機(28)と、特に制御ユニット(26)と、請求項7に記載の少なくとも1つの装置(32)とを備え、
前記スケール因子(SF)のサイズは、前記スケール因子(SF)のサイズが前記スケーリングスキームに従って予め定められる帯域幅に適応される間に少なくとも2倍増加される、動力車両(10)のための超音波センサシステム(14)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号送信用の超音波センサから信号受信機にデジタルセンサ信号を提供する方法に関し、超音波センサからの、好ましくはデジタルの、出力信号が処理されて、信号送信用のデジタルセンサ信号を形成する。
【0002】
発明はまた、信号送信のための超音波センサから信号受信機にデジタルセンサ信号を提供するための対応する装置、超音波センサ及びそのような装置を備えた対応する超音波センサデバイス、及び対応する超音波センサシステムに関する。
【発明の概要】
【0003】
文献DE10 2008 044058 B4は、信号を送信するための超音波センサから、LIN通信(LIN:ローカル相互接続ネットワーク)を介し、このセンサの制御ユニットにデジタルセンサ信号を提供するための方法及びシステムを説明する。この場合において、システムはセンサからの出力信号を処理して、LIN通信を介した信号送信用のデジタルセンサ信号を形成する。
【0004】
信号送信という用語は、一般に情報及びデータの送信を表す。動力車両において超音波センサとこのセンサを担当する制御ユニット(英語:ECU:電子制御ユニット)との間のデータの送信は、現在、標準化された送信プロトコルを、例えばLIN用のバスプロトコルを、使用して実行される。
【0005】
これのために使用される送信システムは、データレートの点で制限される。超音波センサ自体は、高サンプリングレートと高量子化を有するアナログ-デジタルコンバーターの助けを借りて、測定信号として超音波信号を受信した際の膜振動に関する詳細な情報を持つが、今日のシステムにおいて、実際の測定データの非常に損失の多いイメージのみが、制御ユニットにおいて利用可能である。
【0006】
超音波センサと制御ユニットと間の送信のデータレートは、常に使用されるサンプリングレートと量子化から生じる。超音波センサからの出力信号又はロー信号と以下で呼ばれる測定信号のサンプリングレートが低すぎる(それにおいてサンプリングレートを下げると必要なデータレートも低下する)場合、情報の損失のために、エイリアシング又は大幅に低下した解像度などのエラーが生じる。通常は5未満の低ビット数を有する従来の量子化は、高い量子化ノイズを生じさせ、そのことは、最悪の場合、データが有意義に使用されることを妨げうる。量子化ノイズの改善は、ある状況下で非線形特性によって達成されうる。ただし、このアプローチは、量子化ビットから生じる可能性のある量子化状態の数によっても厳しく制限される。
【0007】
したがって、上記の先行技術に基づいて、発明は、限られた送信帯域幅によってもセンサ信号が可能な限り正確に送信されることを可能にする方策を特定するという目的に基づいている。
【0008】
この目的は、独立請求項の特徴によって発明に従って達成される。発明の有利な改良が、従属請求項において特定されている。
【0009】
信号送信用の超音波センサから信号受信機にデジタルセンサ信号を提供するための発明による方法において、超音波センサからの、好ましくはデジタルの、出力信号が処理されて、信号送信用のデジタルセンサ信号を形成し、処理が以下のステップを含むように提供される:
(i)出力信号の連続する値の信号変化を決定し、(ii)超音波センサ及び信号受信機に知られているスケーリングスキームによって特定される可変スケール因子によってこの信号変化をスケーリングし、及び(iii)スケーリングされた信号変化をデジタルセンサ信号として出力する。言い換えると、出力信号の、すなわち信号振幅の、値を(再)スケーリングする代わりに、出力信号の連続する値の信号変化が検出されてスケーリングされる。
【0010】
信号送信に利用可能な十分に高い帯域幅があり、結果として生じる信号変化のダイナミックレンジが事前にわかっている場合、スケーリングは1回だけ定義される必要がある。しかしながら、そのような状況は一般的には存在しない。
【0011】
発明の1つの好ましい実施形態によれば、信号受信機への信号送信は、事前に定められた帯域幅(ビット数)を有し、スケーリングスキームは、スケール因子のサイズをこの事前に定められた帯域幅に適応させる。送信中の帯域幅は明らかに信号変化のダイナミクスには小さすぎるため、通常は繰り返される(再)スケーリングが必要である。冒頭で述べたように、ビット数は通常5未満である。ビット数が3の場合、帯域幅の1/8の解像度しか達成できない。ここで送信される信号の変化が比較的高いダイナミクスを持つという事実を、スケール因子を変えることによって、つまり再スケーリングによって、考慮に入れる必要がある。
【0012】
また信号送信中にスケール因子が信号受信機に追加で付随して送信される必要がないように、可変スケール因子は、超音波センサ及び信号受信機の両方に等しく知られているスケーリングスキームに従って定められる。
【0013】
スケール因子は、特に、信号変化が事前に定められた帯域幅でおそらく正しく送信されることができるように適応される。ここで2つの因子が特に関係がある;(i)適応が必要であるとみなされるときの基準及び(ii)適応の「ステップサイズ」。
【0014】
発明の更なる好ましい実施形態は、連続シーケンスにおいて最後の2つの事前に考慮された値のスケーリングされた信号変化が、少なくとも事前に定められた範囲にある帯域幅の部分を使う場合に、スケーリングスキームに従って事前に定められた帯域幅に適応される値の連続シーケンスにおける2つの連続する値に関するスケール因子のサイズを提供する。通常、2つのそのような範囲が提供される。スケーリングされた信号の変化が第1の範囲にある場合、それはスケールアップされ、つまり、以前よりも高いスケール因子が使用される;スケーリングされた信号の変化が第2の範囲にある場合、それはスケールダウンされ、つまり、以前よりも低いスケール因子が使用される。第1の範囲は帯域幅の0~x倍の範囲であり、第2の範囲は帯域幅のy~1倍の範囲であり、ここで0.1<x<0.33及び0.66<y<0.9である。例えば、帯域幅の20%未満(x=0.2)が使用される場合にはスケール因子を大きくすることによってスケールアップが実行され、帯域幅の80%よりも大きいところ(y=0.8)が使用される場合にはスケール因子を小さくすることによってスケールダウンが実行されるように提供が行われる。
【0015】
ここで、スケーリングスキームに従ったスケール因子の適応は、最後のスケーリングされた信号変化SCのみに、すなわち、決定されてその後スキームに従ってスケーリングされた最後の信号変化のみに、依存する。デジタルセンサ信号を作り出すための装置と信号受信機との両方がスケーリングスキームを知っているので、信号を符号化/復号化するために、スキーム自体の他に、それらの両方について更なる情報は必要とされない。
【0016】
したがって、スケーリングスキームは、最後に事前に処理されてスケーリングされた信号変化値からのみスケール因子が生じるスケーリングスキームである。
【0017】
特に、スケール因子のサイズが、適応中に、少なくとも2倍増減されるようになっている。スケール因子のサイズは、好ましくは、適応中に、1桁分の全体の範囲で、すなわち10倍の範囲で、増加又は減少される。言い換えれば、適応は非常にダイナミックであり、その結果、超音波センサからの出力信号が、非常に低い帯域幅でも正しく送信されることができる。
【0018】
発明の更なる好ましい実施形態は、減算によって決定される出力信号の信号変化を提供する。そのような減算は、減算モジュールによって簡単な方法で実行されることができる。
【0019】
発明のさらに別の好ましい実施形態は、信号送信が、BUSシステムを介した、特にLINバスシステムを介した、データ送信であることを提供する。ローカル相互接続ネットワーク(LIN)は、LINバスとしても知られ、センサ及びアクチュエータをネットワーク化するためのシリアル通信システム、つまりフィールドバスである。LINバスは、特に、CANバスシステム(CAN:コントローラーエリアネットワーク)の帯域幅と汎用性が必要とされない場合に、使用される。典型的なアプリケーションの例は、動力車両セクター内のネットワーク形成である。
【0020】
データ送信は、有利には、DSI3バスプロトコルに従ったデータ送信である。分散システムインターフェース(DSI)は、複数の分散システム、センサ、及びアクチュエータを中央制御ユニットに接続するために使用されるバスプロトコルである。それは、唯一でなければ、このアプリケーションのために予定されたプロトコルの1つである。
【0021】
信号送信用の超音波センサから信号受信機にデジタルセンサ信号を提供するための発明による装置において、その装置は、超音波センサからの、好ましくはデジタルの、出力信号を処理して、信号送信のためのデジタルセンサ信号を形成するように構成され、当該装置は、(i)出力信号の連続する値の信号変化を決定し、(ii)超音波センサ及び信号受信機に知られているスケーリングスキームによって指定される可変スケール因子によってこの信号変化をスケーリングし、(iii)スケーリングされた信号変化をデジタルセンサ信号として出力する、ように構成されるようになっている。
【0022】
方法の説明に関連して上記の発明の実施形態は、それに応じて装置にも適用される。
【0023】
発明による装置の1つの好ましい実施形態は、上記の方法を実行するように構成される装置を提供する。
【0024】
超音波センサを備えた発明による超音波センサデバイスの場合、前記デバイスが、信号送信に関して超音波センサの下流に接続される超音波センサからデジタルセンサ信号を生成するための前述の装置も有するようになっている。
【0025】
少なくとも1つの超音波センサ及び信号受信機、特に制御ユニット、を有する動力車両のための発明による超音波センサシステムにおいて、この超音波センサシステムが、超音波センサからデジタルセンサ信号を作り出すための少なくとも1つの上述の装置も有するようになっている。
【0026】
発明は、好ましい実施形態を用いて、添付の図面を参照して以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面において:
図1図1は、発明の一実施形態による超音波センサ装置を有する運転者支援システムを有する動力車両を示す。
図2図2は、発明の一実施形態による超音波センサからデジタルセンサ信号を生成するための装置の等価回路図を示す。
図3図3は、元のセンサ出力信号と送信後に再構成された信号との比較を時間依存表現で示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、ここでは乗用車として具現化された動力車両10の平面図を示す。動力車両10は運転者支援システム12を備え、当該運転者支援システム12は、動力車両10を運転する際に運転者を支援するのに役立つ。特に、運転者支援システム12は、駐車支援システムとして具現化されることができ、それによって、動力車両10を駐車スペースに駐車する際に及び/又は駐車スペースを出る際に、運転者が支援されることができる。
【0029】
そして運転者支援システム12は、超音波センサシステム14を備える。超音波センサシステム14は、少なくとも1つの超音波センサ16を有する。本典型的実施形態において、超音波センサ装置14は、12個の超音波センサ16を備える。これに関連して、6つの超音波センサ16は、動力車両10の前方領域18に配置され、6つの超音波センサ16は、動力車両10の後方領域20に配置される。超音波センサ16は、特に、動力車両10のバンパーに取り付けられることができる。これに関連して、超音波センサ16は、バンパーにおける対応の窪み又は貫通開口部における少なくともある領域に配置されることができる。バンパーの背後に隠されるように配置されるようなやり方で超音波センサ16が配置されるようにも設けられうる。基本的に、超音波センサ16はまた、動力車両10の更なるパネリング構成要素上に配置されることができる。例えば、超音波センサ10は、動力車両10のドア上に配置されることができ又は当該ドアの背後に隠されることができる。
【0030】
動力車両10を包囲する領域24における少なくとも1つのオブジェクト22を表すセンサ信号は、それぞれの超音波センサ16を使用して得られうることができる。ここでは、オブジェクト22が周囲領域24において概略的に示される。センサ信号を検出するために、超音波信号は、超音波センサ16の各々によって発せられうる。この後、オブジェクト22によって反射された超音波信号が再び受信されることができる。そして超音波センサ16とオブジェクト22との間の距離が、超音波信号の発射とオブジェクト22によって反射された超音波信号の受信との間の通過時間に基づいて、決定されることができる。異なる超音波センサ16を用いて決定されるそれぞれの距離が考慮されるようにも設けられうる。したがって、動力車両10とオブジェクト22との間の相対位置は、三辺測量によって決定されることができる。超音波センサ16のうちの1つによって発せられた超音波信号が、別の超音波センサ16によって受信されるようにも設けられうる。これは、クロス測定とも呼ばれる。
【0031】
さらに、超音波センサシステム14は、信号受信機28として電子制御ユニット26を備え、当該制御ユニットは、データライン30又はバスシステム(ライン30は図2に示される)を介し、データ送信のための超音波センサ16に接続される。それぞれの超音波センサ16で検出されたセンサ信号は、データライン30を介して、信号受信機28としての制御ユニット26に送信されることができる。センサ信号に基づいて、制御ユニット26は、オブジェクト22が周辺領域24に位置しているかどうかを確認することができ、その位置においてオブジェクト22が周囲領域24に位置しているかどうかを確認することができる。そして、この情報は、動力車両10の運転者に出力を出力するために、運転者支援システム12によって用いられうる。さらに、運転者支援システム12が、少なくとも1つの検知されたオブジェクト22に応じて動力車両10を自律的に又は少なくとも半自律的に操縦するために、ステアリングシステム、ブレーキシステム及び/又は駆動エンジンに介入するように設けられうる。
【0032】
図2は、超音波センサ16からのデジタルセンサ信号DSを、以下で出力信号(又はロー信号)OSと呼ばれる超音波センサ16からのオリジナルの測定信号から提供するための装置32を示す。そしてデジタルセンサ信号DSは、例えば、LINバス(LIN:ローカル相互接続ネットワーク)データライン30を介し、信号受信機28としての制御ユニット26に送信される。この目的のために、装置32は、超音波センサ16からの出力信号OSを処理して、制限された伝送速度での信号送信のためのデジタルセンサ信号DSを形成する。この場合、出力信号OSの連続する値(又は振幅)の信号変化SCは、減算器34及び出力信号OSの前の値を保持する保持要素(ここには示されていない)によって決定され、その結果、減算器34は、出力信号OSの前の値と現在の値との間の差、すなわち、出力信号OSの信号変化SCを決定するために使用される。そして、この信号変化SCは、スケーラー36によってそれに応じてスケーリングされ、デジタルセンサ信号DSとしての送信のために使用可能とされる。スケーラー36は、量子化ステップサイズが拡大縮小可能/調整可能である一種の量子化器である。
【0033】
(ここで実行される信号変化SCのスケーリングの代わりに)信号OSの振幅値のスケーリングは、特に超音波エコーの場合、周囲エコーの出力信号RSが通常大幅に低くなりつつ、送信中に膜が振動する際に高振幅の偏位が生成されるという不利益な点がある。
【0034】
信号変化SCは、可変スケール因子SFを介してスケーリングされ、当該可変スケール因子SFは、超音波センサ16及び信号受信機28に知られているスケーリングスキームによって指定される。このスケーリングスキームは、デジタルセンサ信号DSを作成するための装置32のデータメモリ38及び制御ユニット26のデータメモリ40の両方において、スケーリング適応プロトコルとして格納される。
【0035】
スケーリングスキームによれば、連続シーケンスにおける最後の2つの前もって考慮された値のスケーリングされた信号変化が、帯域幅の上限又は下限で少なくとも1つの事前に定められた範囲にある帯域幅の部分を使用する場合、値の連続シーケンスにおける2つの連続する値のスケール因子SFのサイズが、事前に定められた帯域幅に適応される。その帯域幅のごく一部のみが現在使用されている場合、例えば20%未満の場合、スケールアップが実行される;その帯域幅の大部分が現在使用されている場合、例えば80%を超える場合、スケールダウンが実行される。
【0036】
図3は、元のセンサ出力信号OSと、送信されたデジタルセンサ信号DSから再構成された信号RSとの比較を時間依存表現で示す。換言すれば、元のセンサ出力信号OS及び送信されたデジタルセンサ信号DSから再構成された信号RSが各々グラフとしてここでは示され、それぞれの信号振幅Aが時間tにわたってプロットされている。ここに示されている再構成された信号RSは、DSIバス操作を介して送信されたデジタルセンサ信号DSから生じ、サンプリング周波数は最初に2で除算され、次に説明された方法に従ってDSI3で符号化及び復号化される。
【0037】
この比較は、このようにして再構成された信号RSが、わずか3ビットであっても、元のセンサ出力信号OSにどれだけよく従うかを示す。
【0038】
ここで説明される手順の特性及び有利な効果が、以下に簡単に再び説明され、すなわち:
センサの電子機器は、特定の周波数で振動振幅をサンプリングする(図3のグラフOS)。振動振幅のサンプリングの代わりに、振動振幅の2つの連続するサンプル間の差、つまり(デジタルセンサ信号DSとしての)信号変化SC、が送信される。
【0039】
すべての差分値、つまりすべての信号変化SC、は、固定されたビット数(例では:3ビット)に符号化される。
【0040】
差分値(信号変化SC)の3ビットへのスケーリングは柔軟であるが、各サイド(送信機としての超音波センサデバイス16、32及び受信機としての制御ユニット26)によって知られているプロトコル、スケーリングスキームに従う。
【0041】
スケーリング適応プロトコル又はスケーリングスキームに従った適応は、最後に送信された3ビットのスケーリングされた信号変化SCにのみ依存する。スケーリング適応プロトコル又はスケーリングスキームも受信機に知られているので、それ以上の情報を送信する必要はない。
【0042】
スケーリング適応プロトコルは、入力として、最後の3ビットの差分値と最後のいわゆるスケール因子SF(「スケーリングレベル」、それは以下では単にnと呼ばれ、そのケースにおいてスケーリング適応プロトコル又はスケーリングスキームは送信機及び受信機においてローカルに保存される)を受け取り、出力として、新しい適応されたスケール因子SFを与える。上記の3ビットを使用すると、次のような結果になり、例えば:
・値0及び7(最も強い増加/最も強い減少):n=n+step_up(例えばstep_up=4);
・値3、4、及び5(増加がほとんどないかまったくない/減少がほとんどないかまったくない):n=n-step_down(例えばstep_down=2);
・nは1からmax_scaling_levelまでの間に制限される(例えばmax_scaling_level=12);
・各スケーリングレベルは、ここではf(n)と呼ばれる振幅値を含む(nはスケール因子である)。
【0043】
・差分値の3ビットへの線形変換が用いられ、主因子はf(n)であり、例えば:
・値3~3ビット(011)は、-f(n)/2と+f(n)/2との間の差分値を与える(つまり、ほぼ、全く差がない);
・値7は、4*f(n)-f(n)/2より大きい差分値(表現できる最大の差、3ビットまでの値は飽和に達する)を与える;
・値0は、-3*f(n)+f(n)/2未満の差分値(表現できる最小の差、3ビットまでの値は飽和に達する)を与える;等々。
【0044】
・fの例:f(n)=scale_factor*n3/2(例えばscaling_factor=4)。
【0045】
1からmax_scaling_levelまでの間のすべてのnに関する値f(n)は、符号化/復号化中のランタイムを節約するために、事前に(例えば初期化中に)計算される。このfに関する変形の例は、nが増加した場合にスケーリングのすばやい増大も可能にする。
【0046】
・符号化中に、受信機28によって復号されるであろう値が並行して計算され、それによって差が次のサンプルで計算される。これにより、符号化/復号化プロセス全体の一般的な精度が向上し、復号化中に可能性のある遅いドリフト(drifting)を許容する。
【0047】
・復号化中、最初の値は0であると仮定される。ほとんどの場合、この仮定は実際には適切である。これは、開始値も最初に送信する必要がないことを意味する。送信されたデジタル信号DSの第1の送信値は、すでに第1の差分値でありうるものであり、すなわち0と振幅の第2のサンプルとの間の差分値でありうる。
【符号の説明】
【0048】
動力車両 10
運転者支援システム 12
超音波センサシステム 14
超音波センサ 16
前方領域 18
後方領域 20
オブジェクト 22
周辺領域24
制御ユニット 26
信号受信機 28
データライン 30
デジタルセンサ信号を生成するための装置 32
減算器 34
スケーラー 36
データメモリ 38
データメモリ 40
振幅 A
送信用デジタルセンサ信号 DS
センサからの出力信号 OS
信号受信機で再構成された信号 RS
信号変化(出力信号) SC
スケール因子 SF
時間 t
図1
図2
図3