(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】絶縁バスバーアセンブリを含む電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/593 20210101AFI20230816BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230816BHJP
H01M 10/617 20140101ALI20230816BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20230816BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20230816BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20230816BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20230816BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20230816BHJP
H01M 50/514 20210101ALI20230816BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20230816BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20230816BHJP
H01M 50/213 20210101ALN20230816BHJP
【FI】
H01M50/593
H01M10/613
H01M10/617
H01M10/6556
H01M10/6568
H01M50/296
H01M50/503
H01M50/505
H01M50/514
H01M50/588
H01M50/591 101
H01M50/213
(21)【出願番号】P 2021561617
(86)(22)【出願日】2020-03-29
(86)【国際出願番号】 US2020025595
(87)【国際公開番号】W WO2020214383
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-12-14
(32)【優先日】2019-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(73)【特許権者】
【識別番号】518397733
【氏名又は名称】ニコラ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NIKOLA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】4141 East Broadway Road, Phoenix, Arizona 85040, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】フリック,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ノートン,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ボタドラ,メフル
(72)【発明者】
【氏名】デービス,ロバート・デーン
(72)【発明者】
【氏名】リンク,ケビン・ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ヒートン,アンソニー・アルバート
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-085914(JP,A)
【文献】特開2018-116775(JP,A)
【文献】特開2015-053205(JP,A)
【文献】特開2017-212065(JP,A)
【文献】国際公開第2018/061737(WO,A1)
【文献】特開2017-174512(JP,A)
【文献】特開2013-134828(JP,A)
【文献】国際公開第2013/132704(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/20
H01M 10/613
H01M 10/617
H01M 10/6568
H01M 10/6556
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール端子と、電気化学セルと、少なくとも前記セルのサブセットを前記モジュール端子に電気接続するバスバーとを備える電池モジュールであって、
各セルが、セル端子を含む第1の端部と、前記第1の端部とは反対の位置にある第2の端部とを備え、各セルの前記第1の端部が、各セルに共通の第1の平面内に配置され、各セルの前記第1の端部が、第1の直径を有し、
前記バスバーが、
剛性の導電性基板であり、前記第1の平面に平行の第2の平面内に位置するアルファ部分を含み、前記アルファ部分が、1次接続貫通孔を含み、各1次接続貫通孔が、第2の直径を有し、前記セルのうちの固有の1つの前記第1の端部と位置合わせされる、基板と、
前記基板と前記セルとの間に位置するように前記基板の表面に配置された絶縁層であり、電気的および熱的に絶縁性を有し、2次接続貫通孔を含み、各2次接続貫通孔が、第3の直径を有し、前記1次接続貫通孔のうちの対応する1つと同心円状であり、前記第3の直径が前記第2の直径より小さい、絶縁層と、
前記アルファ部分と前記セル端子との間に延び、前記アルファ部分と前記セル端子との間に電気接続を提供する電気コネクタとを備
え、
前記基板が、第3の平面内に位置するベータ部分を含み、前記第3の平面が、前記第2の平面に直交し、それによって前記基板がL字形を有する、電池モジュール。
【請求項2】
モジュール端子と、電気化学セルと、少なくとも前記セルのサブセットを前記モジュール端子に電気接続するバスバーとを備える電池モジュールであって、
各セルが、セル端子を含む第1の端部と、前記第1の端部とは反対の位置にある第2の端部とを備え、各セルの前記第1の端部が、各セルに共通の第1の平面内に配置され、各セルの前記第1の端部が、第1の直径を有し、
前記バスバーが、
剛性の導電性基板であり、前記第1の平面に平行の第2の平面内に位置するアルファ部分を含み、前記アルファ部分が、1次接続貫通孔を含み、各1次接続貫通孔が、第2の直径を有し、前記セルのうちの固有の1つの前記第1の端部と位置合わせされる、基板と、
前記基板と前記セルとの間に位置するように前記基板の表面に配置された絶縁層であり、電気的および熱的に絶縁性を有し、2次接続貫通孔を含み、各2次接続貫通孔が、第3の直径を有し、前記1次接続貫通孔のうちの対応する1つと同心円状であり、前記第3の直径が前記第2の直径より小さい、絶縁層と、
前記アルファ部分と前記セル端子との間に延び、前記アルファ部分と前記セル端子との間に電気接続を提供する電気コネクタとを備え、
前記アルファ部分が、前記第2の直径の多くとも2分の1の第4の直径を有する1次流れ貫通孔を備え、前記絶縁層が、前記1次流れ貫通孔のうちの対応する1つと同心円状の2次流れ貫通孔を備える、請電池モジュール。
【請求項3】
前記絶縁層が、前記アルファ部分に対向する第1の側と、前記セルに対向する第2の側とを有するシートを備え、前記第1の側および前記第2の側が、接着材コーティングを備える、請求項1
または2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記絶縁層の第1の側が、接着材を介して前記アルファ部分に固定され、前記絶縁層の第2の側が、接着材を介して各セルの前記第1の端部に固定される、請求項1
または2に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記絶縁層が、少なくとも摂氏800度に対して耐熱性を有し、UL94試験法に基づいて少なくともV-0の可燃性分類を有する、請求項1
または2に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記ベータ部分の厚さが、前記アルファ部分の厚さより大きい、請求項
1に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記2次流れ貫通孔が、前記1次流れ貫通孔と同じ直径を有する、請求項
2に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記1次流れ貫通孔および前記2次流れ貫通孔が、隣接するセル間の間隙と位置合わせされる、請求項
2に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記絶縁層が、前記基板に固定された薄いフィルムである、請求項1
または2に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記絶縁層が、セラミックで被覆された紙シートである、請求項1
または2に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記絶縁層が、前記基板の表面に設けられたコーティングである、請求項1
または2に記載の電池モジュール。
【請求項12】
前記コーティングが、焼結プロセスを介して施される、請求項
11に記載の電池モジュール。
【請求項13】
前記コーティングが、蒸着プロセスを介して施される、請求項
11に記載の電池モジュール。
【請求項14】
前記モジュール端子が、前記ベータ部分と同じ平面内に位置するように、前記ベータ部分の1つの縁部から突出する、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項15】
前記電気コネクタがワイヤボンドである、請求項1
または2に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電池パックは、携帯型の電子機器から再生可能電力システムおよび環境に優しい車両に及ぶ様々な技術に電力を提供する。たとえば、ハイブリッド電気自動車は、燃料効率を増大させるために、内燃機関とともに、電池パックおよび電気モータを使用する。電池パックは、複数の電池モジュールから形成することができ、各電池モジュールは、いくつかの電気化学セルを含む。電池モジュール内では、セルを直列または並列に電気接続することができる。同様に、電池モジュールは、電池パック内で直列または並列に電気接続することができる。
【0003】
非常に多種多様な用途および設置状況の空間要件に対処するために、異なるセルタイプが現れており、車両で使用される最も一般的なタイプとしては、円筒型セル、角型セル、およびパウチセルが挙げられる。たとえば、円筒型セルは、容易な製造性および安定性のために広く使用されている。しかし、湾曲した形状のため、円筒型セルは、いくつかの他のセルタイプに比べて、電池モジュールの充填効率が低くなる可能性がある。加えて、円筒型セルの各端部で電気接続が必要とされるため、効率的な空間管理を有する電池モジュールを提供するという追加の課題が存在する。さらに、セルの両端部の各々に集電装置が配置されるとき、冷却液への浸漬によるセルの冷却も課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いくつかの従来の電池モジュールでは、セルを所望の構成で保持し、かつセルの冷却を提供するために、セルの支持構造が設けられる。しかし、そのようなセルの支持構造は、複雑になることがあり、電池モジュールの充填効率をさらに低減させるのに十分な大きさを有することがある。簡単に使用および製造することができ、電池モジュール内に円筒型セルの安定して整った配置を有し、電池モジュール内の空間の最小体積を占有しながらセルの冷却を提供する電力の生成および貯蔵デバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの態様では、電池モジュールは、モジュール端子と、電気化学セルと、少なくともセルのサブセットをモジュール端子に電気接続するバスバーとを含む。各セルは、セル端子を有する第1の端部と、第1の端部とは反対の位置にある第2の端部とを含む。各セルの第1の端部は、各セルに共通の第1の平面内に配置される。各セルの第1の端部は、第1の直径を有する。バスバーは、剛性の導電性基板を含む。基板は、第1の平面に平行の第2の平面内に位置するアルファ部分を有する。アルファ部分は、1次接続貫通孔を含み、各1次接続貫通孔は、第2の直径を有し、セルのうちの固有の1つの第1の端部と位置合わせされる。バスバーは、基板とセルとの間に位置するように基板の表面に配置された絶縁層を含む。絶縁層は、電気的および熱的に絶縁性を有する。絶縁層は、2次接続貫通孔を含み、各2次接続貫通孔は、第3の直径を有し、1次貫通孔のうちの対応する1つと同心円状である。加えて、第3の直径は第2の直径より小さい。バスバーは、アルファ部分とセル端子との間に延びてアルファ部分とセル端子との間に電気接続を提供する電気コネクタを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、絶縁層は、アルファ部分に対向する第1の側と、セルに対向する第2の側とを有するシートを備え、第1の側および第2の側は、接着材コーティングを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、絶縁層の第1の側は、接着材を介してアルファ部分に固定され、絶縁層の第2の側は、接着材を介して各セルの第1の端部に固定される。
いくつかの実施形態では、絶縁層は、少なくとも摂氏800度に対して耐熱性を有し、UL94試験法に基づいて少なくともV-0の可燃性分類を有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、基板は、第3の平面内に位置するベータ部分を含み、第3の平面は、第2の平面に直交し、それによって基板はL字形を有する。
いくつかの実施形態では、ベータ部分の厚さは、アルファ部分の厚さより大きい。
【0009】
いくつかの実施形態では、アルファ部分は、第2の直径の多くとも2分の1の第4の直径を有する1次流れ貫通孔を備え、絶縁層は、1次流れ貫通孔のうちの対応する1つと同心円状の2次流れ貫通孔を備える。
【0010】
いくつかの実施形態では、2次流れ貫通孔は、1次流れ貫通孔と同じ直径を有する。
いくつかの実施形態では、1次流れ貫通孔および2次流れ貫通孔は、隣接するセル間の間隙と位置合わせされる。
【0011】
いくつかの実施形態では、絶縁層は、基板に固定された薄いフィルムである。他の実施形態では、絶縁層は、セラミックで被覆された紙シートである。さらに他の実施形態では、絶縁層は、基板の表面に設けられたコーティングである。コーティングは、焼結プロセスを介して施すことができ、または蒸着プロセスを介して施すことができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、モジュール端子は、ベータ部分と同じ平面内に位置するように、ベータ部分の1つの縁部から突出する。
いくつかの実施形態では、電気コネクタはワイヤボンドである。
【0013】
いくつかの態様では、バスバーは、電気化学セル間に電気接続を提供する。バスバーは、剛性の導電性基板を含む。基板は、1次接続貫通孔を含み、各1次接続貫通孔は、第1の直径を有し、セルのうちの固有の1つの第1の端部と位置合わせされる。バスバーは、基板とセルとの間に位置するように基板の表面に配置された絶縁層を含む。絶縁層は、電気的および熱的に絶縁性を有し、2次接続貫通孔を含む。各2次接続貫通孔は、第2の直径を有し、1次接続貫通孔のうちの対応する1つと同心円状である。加えて、第2の直径は第1の直径より小さい。
【0014】
いくつかの実施形態では、絶縁層の第1の側は、接着材を介してアルファ部分に固定され、絶縁層の第2の側は、接着材を介して各セルの第1の端部に固定される。
いくつかの実施形態では、アルファ部分は、第2の直径の多くとも2分の1の第4の直径を有する1次流れ貫通孔を備え、絶縁層は、1次流れ貫通孔のうちの対応する1つと同心円状の2次流れ貫通孔を備える。いくつかの実施形態では、2次流れ貫通孔は、1次流れ貫通孔と同じ直径を有する。
【0015】
各電池モジュールは、電池モジュール内にセル端子相互接続を提供するバスバーアセンブリを含む。各バスバーアセンブリは、基板と、基板のセル対向面に取り付けられた絶縁層とを含む。絶縁層は、電気的および熱的に絶縁性を有し、難燃性も有する。いくつかの実施形態では、絶縁層の各表面は、感圧接着材を含み、それによって絶縁層は、基板およびセルの端部の両方に取り付けられる。絶縁層は、セルがモジュール内で膨張および収縮するときの短絡を防止することができる。加えて、絶縁層は難燃性を有し、したがってセルの熱暴走が生じた場合に、その電気的および熱的な分離特性を保持することができる。
【0016】
電池モジュール内で、各セルの正の端子は、第1の電気コネクタを介して1つのバスバーアセンブリに接続され、そのセルの負の端子は、第2の電気コネクタを介して別のバスバーアセンブリに接続される。いくつかの実施形態では、第1および第2の電気コネクタは、第1の電気コネクタの導体許容電流が第2の電気コネクタの導体許容電流より小さくなるように構成される。第1の電気コネクタの導体許容電流が第2の電気コネクタの導体許容電流より小さい第1および第2の電気コネクタを提供することによって、セルの正の端子への電気接続がセルの負の端子への電気接続の前に切れ、それによって電池モジュールの内部電気回路を開くように、各セルがそれぞれのバスバーアセンブリに電気接続される。電池モジュール40の内部電気回路が開いていることで、セルの内部短絡が電池モジュールのセルの直接的なセル間の短絡を招くという不測のシナリオを防止するのを助けることができる。
【0017】
電池パックは、いくつかの電池モジュールを含み、電池モジュールは、カセットと呼ばれるサブアセンブリとしてともに束にされる。カセットは、電池パックハウジング内に配置され、電池パックハウジングの内部空間は、誘電性、不燃性、および化学的不活性を有する工業用流体で満たされる。電池モジュールは、工業用流体への浸漬により受動的に冷却することができるが、電池パックは、工業用流体がセル表面にわたって能動的に駆動される熱管理システムを含む。これは、各カセットに流体を送達し、入口プレナムアセンブリを使用して、カセット内の電池モジュールへ流体分散させ、出口プレナムアセンブリを使用して、セルによって加熱された流体を収集し、加熱された流体をセルから除去することによって実現される。セルの受動的冷却および能動的冷却の両方を提供することによって、セルの機能が改善され、セルの耐久性が増大する。
【0018】
電池パックは工業用流体で満たされていることから、電池モジュールおよびカセットは、能動的な冷却を容易にするために、流体を封止する特徴を含まない。その結果、電池モジュール、カセット、および熱管理システムの構成要素は、いくつかの従来の電池パックの能動的な熱管理システムに比べて簡略化され、したがってより容易かつ安価に製造することができる。
【0019】
熱管理システムは、各電池モジュールへ送達される冷却流体の流体流量を個別に設定することができ、電池パックのうち、他の区域より高温であることが検出された区域内で、冷却流体の流量を増大させることが可能になるように構成することができることが有利である。この手法によって、電池パックの各電池モジュールの動作温度を個別に制御することができ、全体的な電池パック温度を均衡にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】電池パックハウジング内のカセットの配置を示すために蓋およびいくつかの付属構造が省略された、
図1の電池パックの斜視図である。
【
図4】カセット内に配置された電池モジュールを示すために流体入口プレナムアセンブリおよび出口プレナムアセンブリが省略された、カセットの斜視図である。
【
図5】電池モジュールが省略された、カセットハウジングの斜視図である。
【
図7】
図6の線7-7に沿って見た、電池モジュールの断面図である。
【
図10】電池モジュール内のセルの配置の概略図である。
【
図11】4半分にしたセルの配置を示す、電池モジュール内のセルのアレイの側面図である。
【
図14】電池モジュールの第1の側から見た、分離されたバスバーアセンブリの斜視図である。
【
図15】第1~3のバスバーアセンブリの斜視図である。
【
図16】第2のバスバーアセンブリの斜視図である。
【
図17】第1のバスバーアセンブリの斜視図である。
【
図18】第3のバスバーアセンブリの斜視図である。
【
図19】第4および第5のバスバーアセンブリの斜視図である。
【
図20】電池モジュールの第2の側から見た、分離されたバスバーアセンブリの斜視図である。
【
図21】
図15の矢印Aの方向に見た、第1~3のバスバーアセンブリの端面図である。
【
図22】第1のバスバーアセンブリの斜視図である。
【
図23】第1のバスバーアセンブリの分解図である。
【
図24】第5のバスバーアセンブリの斜視図である。
【
図25】第5のバスバーアセンブリの分解図である。
【
図26】
図29に破線で示す、電池モジュールの詳細断面図である。
【
図27】負のセル端子と対応するバスバーとの間の電気接続を示す、電池モジュールの一部分の詳細図である。
【
図28】正のセル端子と対応するバスバーとの間の電気接続を示す電池モジュールの一部分の詳細図である。
【
図29】スペーサが省略された、電池モジュールの断面図である。
【
図30】スペーサを含む、電池モジュールの断面図である。
【
図33】
図30に破線で示す、電池モジュールの詳細断面図である。
【
図35】カセットの電池モジュールおよび障壁の分解図である。
【
図36】熱管理システムを示すために蓋および付属構造が省略され、ポンプが概略的に示されている、電池パックハウジングの上面図である。
【
図37】熱管理システムの分離された流体送達部分の斜視図である。
【
図38】流体送達部分と2つのカセットとの間の接続を示す、熱管理システムの分離された流体送達部分の斜視図である。
【
図39】熱管理システムの分離された流体戻り部分の斜視図である。
【
図40】流体戻り部分と2つのカセットとの間の接続を示す、熱管理システムの分離された流体戻り部分の斜視図である。
【
図41】カセットハウジングが省略され、入口プレナムアセンブリを示す、カセットの斜視分解図である。
【
図42】入口プレナムアセンブリを示す、カセットの一部分の斜視図である。
【
図43】入口プレナムアセンブリの入口開口に接続されたマニホルド部分を含む入口プレナムアセンブリを示す、カセットの一部分の斜視図である。
【
図44】
図42の線44-44に沿って見た、入口プレナムアセンブリの断面図である。
【
図45】
図42の線45-45に沿って見た、入口プレナムアセンブリの断面図である。
【
図46】
図42の線46-46に沿って見た、入口プレナムアセンブリの断面図である。
【
図47】入口プレナムアセンブリのモジュール対向面の斜視図である。
【
図48】
図47の入口プレナムアセンブリの分解斜視図である。
【
図49】カセットハウジングが省略され、出口プレナムアセンブリを示す、カセットの斜視分解図である。
【
図50】出口プレナムアセンブリを示す、カセットの一部分の斜視図である。
【
図51】出口プレナムアセンブリの出口開口に接続された流体戻り分岐ラインを含む出口プレナムアセンブリを示す、カセットの一部分の斜視図である。
【
図53】出口プレナムアセンブリのモジュール対向面の斜視図である。
【
図54】
図53の出口プレナムアセンブリの分解斜視図である。
【
図55】分離された圧力管理システムの側面図である。
【
図56】電池パックハウジングの蓋および容器部分の相対位置を示す、圧力管理システムの分解側面図である。
【
図57】分離された圧力管理システムの端面図である。
【
図59】
図58の線59-59に沿って見た、第1のブラッダの断面図である。
【
図60】第2および第3のブラッダならびに保護シェルの分解斜視図である。
【
図61】1次取付け具およびベントブロックの詳細を示す、電池パックの一部分の断面図である。
【
図63】1次取付け具およびベントブロックの詳細を示す、電池パックの一部分の追加の断面図である。
【
図64】1次取付け具およびベントブロックの詳細を示す、電池パックの一部分の追加の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1~
図7を参照すると、電池パック1が、車両のパワートレインに電力を提供するように構成され、したがって比較的高圧で動作することができる。本明細書では、高圧という用語は、100Vより大きい電圧を指す。たとえば、いくつかの実施形態では、電池パック1は400Vで動作することができ、他の実施形態では、電池パック1は800Vで動作することができる。電池パック1は、電池モジュール40を収容するために使用された電池パックハウジング2を含み、各電池モジュール40は、電気化学セル200を含む。電池パックハウジング2は、容器4および蓋6を含み、蓋6は、容器4の開端を閉鎖し、流体不透過性シール8を介して容器の開端に接続される。電池パックハウジング2は、低いプロファイルを有する。本明細書では、「低いプロファイル」という用語は、長さlIpおよび幅wpに比べて小さい高さhpを有することを指す。電池パックハウジング2において、高さhpは、蓋6と容器4の底部との間の距離に対応する。
【0022】
電池パックハウジング2は、工業用流体で満たされており(たとえば、完全に充填される、あふれるまで充填される)、工業用流体の漏れおよび/または蒸発を防止するように封止される。工業用流体は、誘電体、不燃性、および化学的不活性を有する。たとえば、流体は、米国ミネソタ州、3M社製のNovec(商標)7200などのエトキシノナフルオロブタンとすることができる。電池パック1は、以下で詳細に論じるように、満杯の電池パック1内の各電池モジュール40のセル200に能動的な冷却を提供する熱管理システム500を含む。加えて、電池パック1は、以下で詳細に論じるように、閉鎖され、流体で充填され、かつ封止された電池パックハウジング2が、環境温度および圧力の変動に対応することを可能にする圧力管理システム300を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、電池パック1は、12個以上の電池モジュール40を含むことができる。図示の実施形態では、電池パック1は、24個の電池モジュール40を含む。取扱いおよび組立てを簡単にするために、電池モジュール40は、サブアセンブリとして配置され、各サブアセンブリは、3つの電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)を収容する。電池モジュール40のサブアセンブリは、「カセット」20と呼ばれる。サブアセンブリの3つの電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)は、カセットハウジング22内に支持される。図示の実施形態では、電池パックハウジング2は、8つのカセット20を受け取って支持しており、これらのカセット20は、電池パックの容器4内で2次元アレイとして配置される。
【0024】
所与のカセット20の各電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)は、所与のカセット20の他の電池モジュールに電気接続することができる。同様に、電池パック1内の各カセット20は、電池パック1の他のカセット20に電気接続される。電気接続は、特有の応用例による必要に応じて、並列、直列、または並列および直列の組合せとすることができる。
【0025】
図8を参照すると、電池パック1の電池モジュール40はすべて実質的に同一である。この理由で、1つの電池モジュール40のみについて詳細に説明し、共通の参照番号によって共通の要素を参照する。電池モジュール40は、電気化学セル200のアレイ202を含む。以下で詳細に論じるように、セル200は、フレーム50によって電池モジュール40内に支持されており、フレーム50は、セル200を2次元のアレイ202として保持する。以下で詳細に論じるように、フレーム50は、スペーサ80内に配置されており、スペーサ80は、冷却材として働く工業用流体を、セル200の露出部分の上に誘導する流体通路を提供する。フレーム50およびスペーサ80は、正の端子42および負の端子44を含む電池モジュールハウジング46を提供するように協働する。以下で詳細に論じるように、セル200は、高電流に簡単かつ確実に対応するように構成されたバスバー130を使用して、互いに電気接続され、またそれぞれ正の電池モジュール端子42または負の電池モジュール端子44に電気接続される。
【0026】
図9~
図10および
図13を参照すると、セル200は、円筒型のリチウムイオンセルである。各セル200は、円筒形のセルハウジング203を含み、セルハウジング203は、容器部分204と、容器部分204の開端を閉鎖する蓋部分205とを有する。蓋部分205は、セル200の第1の端部207に配置されており、電気絶縁ガスケット206によって容器部分204に封止される。容器部分204は、セルハウジング203の第2の端部208に配置された閉端を含み、第2の端部208は、蓋部分205を含む第1のセル端207とは反対の位置にある。容器部分204は、セルハウジング側壁210を含み、セルハウジング側壁210は、閉端208から突出しており、閉端208に直交する。容器部分204は、第1のセル端207と第2のセル端208との間に延びるセルの長手方向軸212に沿って細長い。すなわち、長手方向軸212は、セルハウジング側壁210に平行に延びる。各セル200は、セル直径d1を含めて、同じ形状および寸法を有する。
【0027】
電極アセンブリ226が、電解液とともにセルハウジング203内に封止されて、電力生成および貯蔵ユニットを形成する。電極アセンブリ226は、正極218、第1のセパレータ222、負極220、および第2のセパレータ224の積層配置を含み、積層配置が丸められて、「ジェリーロール」を提供する。電極のうちの一方、たとえば正極218は、セル200の正の端子214として働く蓋部分205に電気接続される。加えて、他方の電極、たとえば負極220は、セル200の負の端子216として働く容器部分204に電気接続される。
【0028】
湾曲した形状のため、円筒型セル200は、いくつかの他のセルタイプに比べて、電池モジュール内で低い充填効率を有する可能性がある。円筒型セル200の充填効率を最大にするために、セル200は、電池モジュール40内で、「最密」構成で貯蔵される。本明細書では、「最密」という用語は、セル200が何列にも横並びで配置された構成を指す。加えて、セル200を端面図で見たとき(
図9)、列は交互に、その列に平行の方向に相対的にずれており、したがって1つの列のセル200の中心228が、隣接する列のセル200の中心228間の中間に位置する。加えて、各セル200は、その列内で隣接するセル(すなわち、200(1)、200(2))に直接接触し、また隣接する列の隣接するセル(すなわち、200(3)、200(4)、200(5)、200(6))に直接接触する。場合により、このセル構成は、「六方パッキング」構成とも呼ばれる。図示の実施形態では、アレイ202は、8列のセル200を含み、各列に38個のセルを含む。他の実施形態では、アレイ202は、特有の応用例による必要に応じて、より大きいもしくはより小さい数の列を含むことができ、かつ/または各列により大きいもしくはより小さい数のセル200を含むことができる。アレイ202内のセル200は、セル200を側面図で見たとき、各セル200の端部207または208が、セルアレイ202の各セル200に共通の第1の平面P1(
図13)内に配置されるように位置合わせされる。
【0029】
図11を参照すると、アレイ202内で、セル200は、4半分Q1、Q2、Q3、Q4にグループ化され、所与の4半分内のすべてのセル200が、同じ向きを有し、したがって所与の4半分の同じ側に同じ極性の端子が配置される。加えて、セル端207、208に対向する方向にアレイ202を見たとき、隣接する4半分内のセル200は、反対の極性を有する。たとえば、
図10に見られるように、アレイ202の一方の側が示されており、それによってセル200が端面図で見える。
図10で、第1の4半分Q1および第2の4半分Q2が横に並び、第3の4半分Q3および第4の4半分Q4に重なっており、第3の4半分Q3および第4の4半分Q4も横に並んでいる。第1の4半分Q1および第4の4半分Q4のセル200が、同じ向きを有し、たとえばセル200の第2の端部208(したがって、負の端子216)が見える向きを有する。加えて、第2の4半分Q2および第3の4半分Q3のセル200が、同じ向きを有し、たとえばセル200の第1の端部207(したがって、正の端子214)が見える向きを有する。セル200を4半分Q1、Q2、Q3、Q4にグループ化することによって、バスバー130を介してアレイ202のセル200間の電気接続を提供することが簡略化される。
【0030】
図12および
図13を参照すると、フレーム50は、セル200を最密配置で保持する。フレーム50は、カバー板52と、ベース板54と、カバー板52の第1の端部をベース板54の第1の端部に接合する第1のエンドキャップ56と、カバー板52の第2の端部をベース板54の第2の端部に接合する第2のエンドキャップ58とを含む。加えて、フレーム50は、カバー板52をベース板54に接合する中心壁60を含み、中心壁60は、第1のエンドキャップ56と第2のエンドキャップ58との間の概ね中間に配置される。第1のエンドキャップ56および第2のエンドキャップ58ならびに中心壁60は、カバー板52およびベース板54に直交する。カバー板52、ベース板54、第1のエンドキャップ56および第2のエンドキャップ58、ならびに中心壁60は、セル200の長さlcに対応する幅wfを有する薄い板であり、セル200の長さlcは、第1の端部207(たとえば、蓋部分205)と閉鎖された第2の端部208との間の距離である。カバー板52およびベース板54は、セルアレイ202の長さlaに対応する長さを有し、長さlaは、セル200の1列の寸法に対応する。加えて、第1のエンドキャップ56および第2のエンドキャップ58ならびに中心壁60は、セルアレイ202の高さhaに対応するように寸法設定される。
【0031】
フレーム50は、セルアレイ202の周囲を取り囲み、アレイ202の各セルの側壁210に重なる。言い換えれば、セル200は、各セル200のセル長手方向軸212が、カバー板52、ベース板54、第1のエンドキャップ56および第2のエンドキャップ58、ならびに中心壁60の各々に平行になるように向けられる。その結果、第1のセル端207および第2の端208の各々、したがって各セル200の正のセル端子214および負のセル端子216が、フレーム50の各々の開いている側72、74で露出される。
【0032】
カバー板52、ベース板54、第1のエンドキャップ56および第2のエンドキャップ58、ならびに中心壁60のセル対向面62、64、66、68、70は、アレイ202の最も外側のセル200のセル側壁210の円筒形の形状に対応するような輪郭である。たとえば、セル対向面62、64、66、68、70は、アレイ202の最も外側のセルを受け取って支持する波状の輪郭を有することができる。いくつかの実施形態では、セル200を所望の最密構成でさらに固定および保持するために、接着材を使用して、所与のセル200のセルハウジング203を隣接する各セル200のセルハウジング203に締結することができる。
【0033】
第1のエンドキャップ56および第2のエンドキャップ58の各々の外向き面は、第1のエンドキャップ56および第2のエンドキャップ58の幅方向(たとえば、セル200の長手方向軸212に平行の方向)に延びる第1の溝76を含むことができる。第1の溝76は、以下でさらに論じるように、保持バー28を受け取って支持する湾曲した凹面を有する。第1のエンドキャップ56および第2のエンドキャップ58の各々の外向き面は、第1のエンドキャップ56および第2のエンドキャップ58の高さ方向(たとえば、セル200の長手方向軸212に直交する方向)に延びる第2の溝78を含むことができる。第2の溝78は、ワイヤリングハーネス(図示せず)を受け取って支持する湾曲した凹面を有する。
【0034】
図8および
図14~
図21を参照すると、バスバー130は、電池モジュール40内にセル端子相互接続を提供する。バスバー130は、5つのバスバーアセンブリ130(1)、130(2)、130(3)、130(4)、130(5)を含み、バスバーアセンブリ130(1)、130(2)、130(3)、130(4)、130(5)は、所与の4半分Q1、Q2、Q3、Q4のセル200を並列に電気接続し、4半分Q1、Q2、Q3、Q4と電池モジュール40の端子42、44との間に直列電気接続を提供するように協働する。たとえば、第1のバスバーアセンブリ130(1)は、セルアレイ202の第1のサブセットのセル200の負の端子216間に並列電気接続を提供し、第1のサブセットのセル200は、第1の4半分Q1内のセル200に対応する。加えて、第1のバスバーアセンブリ130(1)は、第1の4半分Q1のセル200を電池モジュールの負の端子44に直列接続する。
【0035】
第2のバスバーアセンブリ130(2)は、セルアレイ202の第2のサブセットのセル200の正の端子214間に並列電気接続を提供し、第2のサブセットのセル200は、第2の4半分Q2内のセル200に対応する。加えて、第2のバスバーアセンブリ130(2)は、第2の4半分Q2のセル200を電池モジュールの正の端子42に直列接続する。
【0036】
第3のバスバーアセンブリ130(3)は、セルアレイ202の第3のサブセットのセル200の正の端子214間に並列電気接続を提供し、第3のサブセットのセル200は、第3の4半分Q3内のセル200に対応する。加えて、第3のバスバーアセンブリ130(3)は、セルアレイ202の第4のサブセットのセル200の負の端子216間に並列電気接続を提供し、第4のサブセットのセル200は、第4の4半分Q4内のセル200に対応する。さらに、第3のバスバーアセンブリ130(3)は、第3の4半分Q3のセル200を第4の4半分Q4のセル200に直列接続する。
【0037】
第4のバスバーアセンブリ130(4)は、セルアレイ202の第1のサブセットのセル200の正の端子214間に、たとえば第1の4半分Q1内のセル200に、並列電気接続を提供する。加えて、第4のバスバーアセンブリ130(4)は、セルアレイ202の第3のサブセットのセル200の負の端子216間に、たとえば第3の4半分Q3内のセル200に、並列電気接続を提供する。さらに、第4のバスバーアセンブリ130(4)は、第1の4半分Q1のセル200を第3の4半分Q3のセルに直列接続する。
【0038】
第5のバスバーアセンブリ130(5)は、セルアレイ202の第2のサブセットのセル200の負の端子216間に、たとえば第2の4半分Q2内のセル200に、並列電気接続を提供する。加えて、第5のバスバーアセンブリ130(5)は、セルアレイ202の第4のサブセットのセル200の正の端子214間に、たとえば第4の4半分Q4内のセル200に、並列電気接続を提供する。さらに、第5のバスバーアセンブリ130(5)は、第2の4半分Q2のセル200を第4の4半分Q4のセルに直列接続する。
【0039】
5つのバスバーアセンブリ130(1)、130(2)、130(3)、130(4)、130(5)の各々は、導電性基板138と、基板138のセル端子対向側132に配置された絶縁層180と、基板138とそれぞれの各セル端子214または216との間に電気接続を提供する電気コネクタ160とを含む。
【0040】
基板138は、剛性で導電性の薄板である。基板138は、セル120に対向する第1の側132と、第1の側132とは反対の位置にある第2の側134と、周縁136とを含む。各基板138は、周縁136から突出する少なくとも1つのタブ148を含む。タブ148は、基板の第1の側132の方へ折り曲げられており、したがって基板の第1の側132に直交して延びる。タブ148は、電圧および温度センサリードを基板138に電気接続することを可能にする。加えて、タブ148内の開口を介して、電圧および温度センサリードを基板138とともにフレームエンドキャップ56、58に固定するために、締結具(図示せず)が使用される。
【0041】
各基板138は、基板138と所与の4半分のセル200との間に並列電気接続が形成される領域に対応するアルファ部分140と、たとえば隣接するアルファ領域間またはアルファ領域とモジュール端子42、44との間に直列電気接続を提供する領域に対応するベータ部分150とを含む。アルファ部分140の周縁132は、セルアレイ202のプロファイルに対応するように曲線を描く。
【0042】
第1のバスバーアセンブリ130(1)、第2のバスバーアセンブリ130(2)、および第3のバスバーアセンブリ130(3)は、セルアレイ202の第1の側のセル200間に電気接続を提供し、第1のバスバーアセンブリ130(1)、第2のバスバーアセンブリ130(2)、および第3のバスバーアセンブリ130(3)の基板138は、略L字形である。「L」の第1の脚部は、セルアレイの第1の側に重なる(たとえば、セル端子214または216を含むセルの端部に重なる)。「L」の第1の脚部は、基板138のアルファ部分140に対応する。加えて、「L」の第2の脚部は、第1の脚部に直交し、フレーム50の一部分に重なる(たとえば、セル200の側壁に重なる)。「L」の第2の脚部は、基板138のベータ部分150に対応する。
【0043】
アルファ部分140は、セル200の端部が位置合わせされた第1の平面P1に平行の第2の平面P2に位置する。アルファ部分140は、1次接続貫通孔142を含む。1次接続貫通孔142は、4半分の各セル200に設けられ、各1次接続貫通孔142は、対応するセル200の端部と位置合わせされ、したがってセル端子214または216を露出させる。1次接続貫通孔142は円形であり、セル200の直径d1より小さい直径d2を有する。1次接続貫通孔142は、セルの端部を露出させ、したがってワイヤボンドなどの電気コネクタ160を使用して、露出したセル端子214または216とアルファ部分140との間に電気接続を形成することができる。アルファ部分はまた、隣接するセル200の側壁210間の小さい間隙と位置合わせされた1次流れ貫通孔144を含む。セル200の六方パッキング配置を反映して、各1次接続貫通孔142の円周に、6つの1次流れ貫通孔144が配置される。1次流れ貫通孔144は、間隙の小さいサイズに対応するように、小さい直径d3を有し、1次接続貫通孔142より直径が小さい。たとえば、図示の実施形態では、1次流れ貫通孔144の直径d3は、接続貫通孔142の直径d2の約10パーセント~25パーセントである。
【0044】
ベータ部分150は、第2の平面P2に直交する第3の平面P3内に位置する。第1のバスバーアセンブリ130(1)および第2のバスバーアセンブリ130(2)の基板138内で、ベータ部分150は、フレームカバー板52に重なる。第1のバスバーアセンブリ130(1)のベータ部分150は、電池モジュールの負の端子44に電気接続され、第2のバスバーアセンブリ130(2)のベータ部分150は、電池モジュールの正の端子42に電気接続される。いくつかの実施形態では、第1のバスバーアセンブリ130(1)および第2のバスバーアセンブリ130(2)のベータ部分150は、それぞれの端子42、44と一体形成することができ、他の実施形態では、第1のバスバーアセンブリ130(1)および第2のバスバーアセンブリ130(2)のベータ部分150は、それぞれの端子に、たとえば溶接によって接合することができる。図示の実施形態では、負の電池モジュール端子44は、第1のバスバーアセンブリ130(1)のベータ部分150の一方の縁部から一体的に突出し、正の電池モジュール端子42は、第2のバスバーアセンブリ130(2)のベータ部分150の一方の縁部から一体的に突出する。その結果、電池モジュール端子42、44は、第1のバスバーアセンブリ130(1)および第2のバスバーアセンブリ130(2)のベータ部分150と同じ平面内に位置する。第3のバスバーアセンブリ130(3)の基板138内で、ベータ部分150は、フレームベース板54に重なり、第3の4半分Q3と第4の4半分Q4との間に直列電気接続を提供する。
【0045】
第1のバスバーアセンブリ130(1)、第2のバスバーアセンブリ130(2)、および第3のバスバーアセンブリ130(3)の基板138内で、ベータ部分150は、アルファ部分140の厚さtaより大きい厚さtbを有し、基板の厚さは、第1の側132と第2の側134との間の距離に対応する(
図21)。ベータ部分150の厚さが大きければ大きいほど、この領域内で高電流に対応する。加えて、第1のバスバーアセンブリ130(1)、第2のバスバーアセンブリ130(2)、および第3のバスバーアセンブリ130(3)のベータ部分150は、細長い開口152を含むことができる。開口152は、フレームのカバー板52およびベース板54の外向き面から突出するタブ55を受け取り、それによって開口152は、フレーム50に対するバスバーアセンブリ130(1)、130(2)、130(3)の正しい位置合わせおよび向きを可能にし、バスバーアセンブリ130(1)、130(2)、130(3)をフレーム50に対して正しい位置合わせで保持する働きをする。
【0046】
第4のバスバーアセンブリ130(4)および第5のバスバーアセンブリ130(5)は、セルアレイ202の第2の側のセル200間に電気接続を提供する。第4のバスバーアセンブリ130(4)および第5のバスバーアセンブリ130(5)の基板138は、略平面であり、セルアレイの第2の側に重なり、2つのアルファ部分140を含み、ベータ部分150が、アルファ部分140間に配置され、アルファ部分140と同一平面にある。第4のバスバーアセンブリ130(4)および第5のバスバーアセンブリ130(5)の基板138は、均一の厚さを有する。第4のバスバーアセンブリ130(4)および第5のバスバーアセンブリ130(5)は、同じ平面P5内に横並びの配置で配置される。第4のバスバーアセンブリ130(4)および第5のバスバーアセンブリ130(5)は、平面P5内で隔置される。平面P5は、平面P1およびP2に平行である。
【0047】
図22~
図26および
図29を参照すると、絶縁層180は、基板138のセル端子対向側132に配置され、5つのバスバーアセンブリ130(1)、130(2)、130(3)、130(4)、130(5)のアルファ部分140と、セル端子214、216との間に位置する。絶縁層180は、電気的および熱的に絶縁性を有する。たとえば、いくつかの実施形態では、絶縁層は、2.6kVの誘電破壊電圧を有することができ、0.17W/mKの熱伝導率を有することができ、それによって少なくとも摂氏800度の温度に故障なく対応することができる。加えて、絶縁層180は、難燃障壁を提供する。たとえば、いくつかの実施形態では、絶縁層180は、UL94試験法(たとえば、米国のUnderwriters Laboratoriesによって公開されたプラスチック可燃性規格)を使用して分類したとき、V-0、5VAの難燃性等級を有する。
【0048】
絶縁層180は、2次接続貫通孔188を含む。2次接続貫通孔188は、4半分の各セル200に設けられ、各2次接続貫通孔188は、対応する1次接続貫通孔142と位置合わせされ、それによってセルの端部を露出させ、したがって電気コネクタ160を使用して、露出したセル端子214または216とアルファ部分140との間に電気接続を形成することができる。2次接続貫通孔188は円形であり、セル200の直径d1および1次接続貫通孔142の直径d2より小さい直径d4を有する。2次接続貫通孔188は、1次接続貫通孔142より直径が小さいことから、1次接続貫通孔142の近傍で基板138とセル端子214、216との間の短絡の可能性を低減させる絶縁性の境界または縁辺が、各1次接続貫通孔142内に設けられる。絶縁層180はまた、1次流れ貫通孔144と位置合わせされた2次流れ貫通孔190を含み、1次流れ貫通孔144と同じ直径d3を有する。
【0049】
いくつかの実施形態では、絶縁層180は、アルファ部分140に対向する第1の側182と、セルアレイ202に対向する第2の側184とを有する薄いシートの形態とすることができる。絶縁層180を形成するために使用されるシートは、紙シート、セラミックシート、セラミックで被覆された紙シート、フィルム、または他の好適な薄い材料とすることができる。シートを形成する絶縁層180の第1の側182は、絶縁層180をアルファ部分140に固定する接着材コーティングを含むことができる。加えて、絶縁層180の第2の側184は、絶縁層を露出したセル端に固定する接着材コーティングを含むことができる。たとえば、絶縁層180の第1の側182および第2の側184は、感圧接着材コーティングを含むことができる。他の実施形態では、絶縁層180は、基板138のアルファ部分140のセル対向側132に設けられた(たとえば、接着された)コーティングとすることができる。コーティングは、焼結プロセスまたは蒸着プロセスなどの任意の適当な方法によって、表面に施すことができる。
【0050】
図27~
図28を参照すると、各セル端子214、216に対して、電気コネクタ160が、セル端子214、216と、対応するバスバーアセンブリ130(1)、130(2)、130(3)、130(4)、130(5)(たとえば、セル端子に対向するバスバーアセンブリ)のアルファ部分140との間に延び、これらの間に電気接続を提供する。たとえば、電気コネクタ160は、ワイヤボンドとすることができるが、このタイプの電気コネクタに限定されるものではない。本明細書では、「ワイヤボンド」という用語は、高純度の金、アルミニウム、または銅から構成された細いワイヤの形態であり、ワイヤボンディングプロセスを介して、一方の端部が基板138に取り付けられ、他方の端部が端子214、216に取り付けられた電気コネクタを指す。特有の応用例による必要に応じてワイヤボンドの代わりに、他の好適な電気コネクタを使用することができる。たとえば、別の好適な電気コネクタは、セル端子214、216と、対応するバスバーアセンブリ130(1)、130(2)、130(3)、130(4)、130(5)のアルファ部分140との間の直接溶接を含むことができる。
【0051】
電池モジュール40内で、各セル200の正の端子214は、第1の電気コネクタ160(1)を介して、1つのバスバーアセンブリ130のアルファ部分140に接続され(
図28)、そのセル200の負の端子は、第2の電気コネクタ160(2)を介して、別のバスバーアセンブリのアルファ部分140に接続される(
図27)。図示の実施形態では、第1の電気コネクタ160(1)の導体許容電流は、第2の電気コネクタ160(2)の導体許容電流とは異なり、たとえば電気コネクタ160(1)、160(2)の導体許容電流は非対称である。特に、第1の電気コネクタ160(1)の導体許容電流は、第2の電気コネクタ160(2)の導体許容電流より小さい。第1の電気コネクタ160(1)の導体許容電流が第2の電気コネクタ160(2)の導体許容電流より小さい第1の電気コネクタ160(1)および第2の電気コネクタ160(2)を提供することによって、セルの正の端子214への電気接続がセルの負の端子216への電気接続の前に切れ、それによって電池モジュール40の内部電気回路を開くように、各セルがそれぞれのバスバーアセンブリ130に電気接続される。
【0052】
図示の実施形態では、第1の電気コネクタ160(1)および第2の電気コネクタ160(2)の導体許容電流の差は、第1の電気コネクタ160(1)として単一のワイヤボンドを提供し、第2の電気コネクタ160(2)として2つのワイヤボンド(たとえば、2重ワイヤボンド)を提供することによって実現され、各ワイヤボンドは、同じ導体許容電流を有する。
【0053】
他の実施形態では、第1の電気コネクタ160(1)および第2の電気コネクタ160(2)の導体許容電流の差は、第1の電気コネクタ160(1)として単一の第1のワイヤボンドを提供し、第2の電気コネクタ160(2)として単一の第2のワイヤボンドを提供することによって実現することができ、第1のワイヤボンドは、第2のワイヤボンドより小さい導体許容電流を有する。これは、たとえば、第2のワイヤボンドより小さい直径を有する第1のワイヤボンドを提供することによって実施することができる。
【0054】
さらに他の実施形態では、第1の電気コネクタ160(1)および第2の電気コネクタ160(2)の導体許容電流の差は、第1の電気コネクタ160(1)として単一の第1のワイヤボンドを提供し、第2の電気コネクタ160(2)として基板138と負の端子216との間に直接溶接を提供することによって実現することができる。
【0055】
さらに他の実施形態では、第1の電気コネクタ160(1)および第2の電気コネクタ160(2)の導体許容電流の差は、第1の電気コネクタ160(1)として第1の導電性ストリップまたはリードを提供し、第2の電気コネクタ160(2)として第2の導電性ストリップまたはリードを提供することによって実現することができ、第1の導電性ストリップは、ヒューズを含む。これは、たとえば、第1の導電性ストリップに、ストリップの残り部分より小さい電流で切れるネック部分を設けることによって実施することができる。
【0056】
図8および
図30~
図33を参照すると、セル200のアレイ202が支持されたフレーム50、ならびにセル端207、208およびフレーム50のカバー板52およびベース板54に重なるバスバー130が、スペーサ80内に配置される。スペーサ80は、細長く方形の薄壁管であり、開いている第1のスペーサ端82と、第1のスペーサ端82とは反対の位置にある、開いている第2のスペーサ端84と、第1のスペーサ端82と第2のスペーサ端84との間に延びるスペーサ側壁85とを含む。
【0057】
スペーサ側壁85は、第1のスペーサ端82または第2のスペーサ端84に対向してみたとき、方形の形状を有し、したがって4つの壁部分86、90、94、96を含む。特に、スペーサ側壁85は、第1の壁部分86と、第1の壁部分86から隔置され、第1の壁部分86に平行の第2の壁部分90と、第1の壁部分86に直交し、第1の壁部分86を第2の壁部分90に接合する第3の壁部分94と、第3の壁部分94から隔置され、第3の壁部分94に平行の第4の壁部分96とを含む。第4の壁部分96は、第1の壁部分86を第2の壁部分90に接合する。
【0058】
第1の壁部分86、第2の壁部分90、第3の壁部分94、および第4の壁部分96は、スペーサの内部空間104を画定するように協働する。フレーム50は、スペーサの内部空間104内に配置され、スペーサ80の第1の壁部分86が、セルアレイ202の第1の側で、第1のバスバーアセンブリ130(1)、第2のバスバーアセンブリ130(2)、および第3のバスバーアセンブリ130(3)のアルファ部分140に重なる。加えて、スペーサ80の第2の壁部分90は、セルアレイ202の第2の側で、第4のバスバーアセンブリ130(4)および第5のバスバーアセンブリ130(5)のアルファ部分140に重なる。その結果、第1のセル端207の各々および第2のセル端208の各々が、第1の壁部分86または第2の壁部分90に対向する。加えて、フレームの第1のエンドキャップ56および第2のエンドキャップ58が、開いている第1のスペーサ端82および第2のスペーサ端84に配置される。
【0059】
第1の壁部分86の内面88および第2の壁部分90の内面92は各々、第1のスペーサ端82から第2のスペーサ端84へ延びる線形の溝98を含む。以下でさらに論じるように、溝98は、電池モジュール40内で流体通路として働き、電池パック1を満たすために使用されたものと同じ工業用流体が、溝98を通って能動的に圧送される。第1の壁部分86および第2の壁部分90の各々に設けられる溝98の数は、セルアレイ202内のセル200の列の数に対応する。各溝98は、セルアレイ202の列と位置合わせされ、セルアレイ202に対向して開いており、それによってセル端207、208および電気コネクタ160が、溝98を通過する工業用流体の冷却作用に露出される。言い換えれば、各溝98は、スペーサ80とセルアレイ202との間を流れる冷却流体通路102を提供する。この目的で、溝98は、セル200を所望の温度で維持するのに十分な流れの冷却流体に対応するような形状および寸法である。加えて、溝98は、セル200から通気されるガスの流れに対応する形状および寸法とすることができる。図示の実施形態では、各溝98は、スペーサ80を断面図で見たときに方形の形状を有しており、ランド100が、隣接する溝98間に配置され、隣接する溝98を分離する。
【0060】
流体は、第1のスペーサ端82から各溝98に入り、第2のスペーサ端84から溝98を出ることができる。溝98内の工業用流体は、電気コネクタ160を含む正および負のセル端子を流れる。いくつかの実施形態では、電気コネクタ160は、流れ方向と位置合わせされ(たとえば、溝98の長さ方向に平行に向けられ)、それによって流体通路102内の電気コネクタ160の存在による流体圧力の損失が最小になる。
【0061】
電池パック1が工業用流体で満たされていることから、フレーム50およびスペーサ80を含む電池モジュール40の構成要素は、互いにまたは電池モジュール40の他の構成要素に対して流体封止されない。流体は、溝85によって画定された流体通路102を通って誘導されるが、隣接するセル200の側壁210間を含めて、電池モジュール40の全体に流れること、ならびにバスバーアセンブリ130の1次流れ貫通孔144および2次流れ貫通孔190を通って流れることは防止されない。
【0062】
フレーム50およびスペーサ80は、ポリマーなどの誘電体材料から形成される。スペーサ80は、単体構造(図示せず)として製造することができ、またはフレーム50との組立てを容易にするために、2つのU字形の半体80(1)、80(2)として製造することもできる。
【0063】
図4~
図5および
図34~
図35を参照すると、先に論じたように、各カセット20は、カセットハウジング22内に支持された3つの電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)を含む。カセットハウジング22は、剛性のU字形の上部24と、剛性のU字形の下部26とを含み、これらの部分は、開端23を有する管状のカセットハウジング22を形成するように協働する。いくつかの実施形態では、上部24および下部26は、鋼から形成される。
【0064】
3つの電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)は、カセットハウジング22内に横並びで配置され、隣接する各電池モジュール40間に障壁110が配置される。特に、第1の障壁110(1)が、第1の電池モジュール40(1)の第1の壁部分86と第2の電池モジュール40(2)の第2の壁部分90との間に配置され、第2の障壁110(2)が、第2の電池モジュール40(2)の第1の壁部分86と第3の電池モジュール40(3)の第2の壁部分90との間に配置される。この構成では、1つの電池モジュール40のセル200のセル端207、208が、隣接する電池モジュール40のセル200のセル端207、208に対向する。隣接するモジュール40(1)、40(2)、40(3)のそれぞれの壁部分89、90間に障壁110を配置することによって、障壁110は、セルの通気および/またはモジュール40のうちの1つのセル200の熱暴走が生じた場合に、熱的および機械的なシールドとして働くことができる。この目的で、障壁110は、ガスを通さない剛性の薄い金属板であり、摂氏1000度より大きい融解温度を有する。図示の実施形態では、障壁110は薄い鋼板である。
【0065】
円筒形の保持バー28(
図5)によって、電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)がカセットハウジングの開端23から出ることが防止される。保持バー28は、フレームの第1のエンドキャップ56および第2のエンドキャップ58の第1の溝76と協働し、障壁110(1)、110(2)の周囲に沿って開口118を通過して、電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)をカセットハウジング22内で保持する。
【0066】
3つの電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)は、電池モジュール端子42、44がカセットハウジング22から外方へ突出するように、カセットハウジング22内に配置される。加えて、カセットハウジング22の各開端23では、3つの突出する電池モジュール端子42、44の極性が交互になる。
【0067】
図36~
図40を参照すると、電池パック1は、電池パックハウジング2内に配置された各電池モジュール40へ工業用流体を能動的に誘導する熱管理システム500を含む。熱管理システム500は、流体ポンプ680と、流体ポンプ680から加圧流体を受け取ってカセット20へ送達する流体送達ライン682と、カセット20から流体を収集して流体ポンプ680へ戻す流体戻りライン692とを含む。図示の実施形態では、流体ポンプ680は、電池パックハウジング2の外側に位置するが、他の実施形態では、流体ポンプ680を電池パックハウジング2内に配置することもできる。
【0068】
電池パックハウジング2内で、流体送達ライン682は、4つの送達分岐ライン684(1)、684(2)、684(3)、684(4)に分割される。各送達分岐ライン684(1)、684(2)、684(3)、684(4)は、2つの隣接するカセット20へ流体を送達する。この目的で、各送達分岐ライン684(1)、684(2)、684(3)、684(4)は、隣接するカセット20のうちの第1のカセットの入口プレナムアセンブリ502へ流体を誘導する第1のマニホルド部分685(1)と、隣接するカセット20のうちの第2のカセットの入口プレナムアセンブリ502へ流体を誘導する第2のマニホルド部分685(2)とを含む。各カセット20の入口プレナムアセンブリ502は実質的に同一であり、入口プレナムアセンブリ502について、以下で詳細に説明する。第1のマニホルド部分685(1)および第2のマニホルド部分685(2)の各々は管であり、入口端686と、反対の位置にある出口端687と、3つの送達ポート688とを有する。第1のマニホルド部分685(2)の入口端686は、流体送達ライン682の対応する分岐ライン684に接続され、第1のマニホルド部分685(1)の出口端687は、第2のマニホルド部分685(2)の入口端686に接続される。第2のマニホルド部分685(2)の出口端687は、キャップが被せられる(たとえば、塞がれる)。3つの送達ポート688は各々、対応する入口プレナムアセンブリ502の入口開口522に接続され、並行して入口プレナムアセンブリ502に流体を提供する。
【0069】
各送達ポート688は、オリフィスバランサ690を含むことができる(
図44~
図46)。オリフィスバランサ690は、送達ポート688内に配置された環形であり、オリフィスバランサ690の内面692の寸法が、送達ポート688を通る流量を決定する。オリフィスバランサ690の寸法の適当な選択によって、送達ポート688を通る流体流量を制御および調整することができる。
【0070】
各カセット20は、出口開口622および出口ライン626を有する出口プレナムアセンブリ582を含む。各カセット20の出口プレナムアセンブリ582は実質的に同一であり、出口プレナムアセンブリ582について、以下で詳細に説明する。各カセット20からの出口ライン626は、流体戻りライン692に合流する2つの戻り分岐ライン694のうちの1つに接合される。
【0071】
図41~
図48を参照すると、入口プレナムアセンブリ502は、カセットハウジング22の2つの開端23のうちの1つを閉鎖し、カセット20内に配置された各電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)へ流体を誘導する。入口プレナムアセンブリ502は、入口プレナム504と、入口プレナム504と各電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)との間に配置された入口流ダイバータ540とを含む。
【0072】
入口プレナムアセンブリ502は、カセット20の各電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)へ流体を同時に分散させる。この目的で、入口プレナム504および入口流ダイバータ540は、次に説明するように、各電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)のスペーサ80内に設けられた流体通路102の方へ流体を同時に誘導するように協働する特徴を有する。
【0073】
入口プレナム504は、フレーム50のエンドキャップ56、58に平行の端板506と、端板506のモジュール対向面508から突出するリム514とを備える。リム514は、端板506の周縁512の一部分に沿って延びる。図示の実施形態では、端板506は、方形のプロファイルを有し、リム514は、端板506の3つの辺に沿って延びる。使用の際、リム514は、カセットハウジング22に重なる。加えて、入口プレナム504は、端板506のモジュール対向面508から突出する1対のレール518を含む。レール518は、フレームの第1の壁部分86および第2の壁部分90に平行に線形に延びる。レール518は、各障壁110と位置合わせされ、したがって入口流ダイバータ540から分流された流体を受け取って流体通路102の方へ誘導するように構成される。
【0074】
入口プレナムの端板506は、3つの流体入口開口522を含み、流体入口開口522は、マニホルド部分685の流体送達ポート688に接続されており、流体送達ライン682から流体を受け取る。流体入口開口522は、線形の列で配置され、隣接する各流体入口開口522間に、レール518が配置される。各流体入口開口522は、カセット20の3つの電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)のうちの1つの電池モジュール40に対向する。加えて、各流体入口開口522は、以下でさらに論じるように、それぞれの電池モジュール40のフレーム50のエンドキャップ56、68の中心に位置し、入口流ダイバータ540の表面と位置合わせされる。
【0075】
各流体入口開口522は、端板506の外向き面516から外方へ突出するネック付きボス524によって取り囲まれる。ボス524は、送達ポート688内に受け取られて送達ポート688との機械的接続を形成するような形状および寸法である。たとえば、ボス524は、送達ポート688とのプレス嵌め接続を有することができる。オリフィスバランサ690(
図44~
図46)が、送達ポート688内に配置され、送達ポート688の内面とネック付きボス524の末端526との間に挟まれる。先に論じたように、オリフィスバランサ690は、入口プレナムアセンブリ502が、電池モジュールのうちの1つ(たとえば、第1の電池モジュール40(1))へ、第1の流体流量で流体を提供し、電池モジュールのうちの別の1つ(たとえば、第2の電池モジュール40(2))へ、第2の流体流量で流体を提供することを可能にし、第1の流体流量は、第2の流体流量とは異なる。これは、送達ポート688内に適当なサイズのオリフィスバランサを提供することによって実現される。
【0076】
入口プレナムの端板506は、端板の外向き面516から外方へ突出するスナップ嵌めクリップ528を含む。クリップ528は、第1のマニホルド部分685(1)および第2のマニホルド部分685(2)のうちの1つを受け取って支持する。
【0077】
カセット20の各電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)に、入口流ダイバータ540が設けられ、入口プレナムの端板506と、それぞれの電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)のフレームのエンドキャップ56、58との間に配置される。入口流ダイバータ540は、起伏のある剛性の板であり、流体入口開口522から出た流体を受け取り、それぞれの電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)の流体通路120の方へその流体を分流するように構成される。入口流ダイバータ540は、入口流ダイバータ540の周縁546に隣接する第1の平面部分548と、第1の部分548によって取り囲まれた半球形の(たとえば、膨らんでいる)第2の部分550とを含む。第1の部分548は、端板506に平行である。第2の部分550は、端板506の方へ突出し、流体入口開口522と位置合わせされる。図示の実施形態では、入口流ダイバータ540の第1の部分548は、端板506とともに、それぞれの電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)のフレーム50のエンドキャップ56、58に固定される。図示の実施形態では、ねじ522などの締結具が、流れダイバータ540および端板506をフレーム50に固定するために使用され、端板506内の締結具開口が、スタンドオフ530によって取り囲まれており、スタンドオフ530は、端板506と流れダイバータ504との間に間隔を提供する。入口流ダイバータ540は、流体通路120の方へ流体を分流しながら、それぞれのフレームのエンドキャップ56、58の外向き面に設けられた第1の溝76および第2の溝78から離れる方へ流体を分流する。
【0078】
図49~
図54を参照すると、出口プレナムアセンブリ582は、カセットハウジング22の2つの開端のうちの他方を閉鎖する。すなわち、出口プレナムアセンブリ582および入口プレナムアセンブリ502は、カセットハウジング22の両端部に配置される。出口プレナムアセンブリ582は、電池モジュールのスペーサ80の溝98(たとえば、流体通路102)から排出された流体を収集する。出口プレナムアセンブリ582は、出口プレナム584と、各電池モジュール40(1)、40(2)、40(3)と出口プレナム584との間に配置された出口流ダイバータ640とを含む。出口プレナム584は、入口プレナム504に類似している。この理由で、共通の参照番号を使用して共通の要素を参照し、共通の要素の説明は繰り返さない。出口プレナム584は、入口開口522、ネック付きボス524、およびレール518が省略されるという点で、入口プレナム504とは異なる。加えて、出口プレナムは、単一の出口開口622を含み、出口開口622は、リム514の外向き面に配置され、出口プレナム584内の空間と流体連通する。出口流ダイバータ640は、入口流ダイバータ540と同一である。この場合も、共通の参照番号を使用して共通の要素を参照する。出口プレナムアセンブリ582は、スペーサ80の流体チャネル120の各々を出た流体を出口プレナム584内で収集し、出口開口622へ誘導することを可能にする。出口開口622は、出口ライン626および戻り分岐ライン694を介して、流体戻りライン692に接続される。
【0079】
図55~
図60を参照すると、電池パック1は、封止された電池パックハウジング2内の圧力の受動的な管理を提供する圧力管理システム300を含む。圧力管理システム300は、たとえば工業用流体が大きい膨張係数を有し、温度および/または高度の変化の影響を受けやすいときに有利であり得る。圧力管理システム300は、電池パックハウジング2内に配置された少なくとも1つの可撓性で膨張性の圧力補償デバイス330と、電池パックハウジング2の外面に配置されたベントブロック302と、圧力補償デバイス330とベントブロック302との間に流体連通を提供する取付け具380、480とを含む。
【0080】
図示の実施形態では、圧力補償デバイス330は、1組の独立した直列接続された可撓性で膨張性のブラッダ340である。ブラッダ340は、たとえば電池パックハウジング2を取り囲む圧力および温度の状態による、封止された電池パックハウジング2内の工業用流体の体積の変化に対応するように膨張または収縮するという点で、肺のように機能する。ブラッダ340は、1次取付け具380および2次取付け具480を介して直列接続された1組の3つの別個のブラッダ340(1)、340(2)、340(3)である。第1のブラッダ340(1)は、1次取付け具380を介して、ベントブロック302に接続されて、ベントブロック302と流体連通し、同じ1次取付け具380を介して、第2のブラッダ340(2)に接続されて、第2のブラッダ340(2)と流体連通する。第2のブラッダ340(2)はまた、2次取付け具480を介して、第3のブラッダ340(3)に接続されて、第3のブラッダ340(3)と流体連通する。
【0081】
各ブラッダ340(1)、340(2)、340(3)は、閉鎖されたバッグであり、ブラッダ340が膨張および収縮することを可能にするのに十分な可撓性を有する、ガスおよび湿気を通さない材料から形成される。加えて、各ブラッダ340(1)、340(2)、340(3)は、電池パックハウジング2の内面、カセットハウジング22の外面、および電池パックハウジング2内に配置された他の付属構造を含めて、電池パック1内の隣接する構造の形状に対して概ね共形となるのに十分な可撓性を有する。
【0082】
図示の実施形態では、各ブラッダ340(1)、340(2)、340(3)は、金属フィルム層およびポリマー層を有する積層シートから形成される。一例では、積層シートは、金属フィルムの外層、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの中間層、およびポリプロピレンフィルムの内層を含む3つの層を有することができる。別の例では、積層シートは、PETフィルムの外層、金属箔の中間層、およびポリプロピレンフィルムの内層を含む3つの層を有することができる。
【0083】
ブラッダ340の数および各ブラッダ340のサイズは、特有の応用例の要件に依存する。図示の実施形態では、ブラッダ340(1)、340(2)、340(3)は各々、固有の形状およびサイズを有し、カセット20も収容する電池パック1内で利用可能な空間内に嵌るような形状および寸法である。カセット20は、電池パックの容器4内で単一の層に配置され、2つのグループに分離される。カセット20の2つのグループは、間隙9(
図2、
図36)によって分離されており、間隙9は、熱管理システムの流体送達ライン682および流体戻りライン692、ならびに他の付属構造およびデバイス(図示せず)を受け取る。ブラッダ340(1)、340(2)、340(3)は、以下で詳細に論じるように、電池パックハウジング2内でカセット20の周りに配置される。
【0084】
第1のブラッダ340(1)は、第2のブラッダ340(2)および第3のブラッダ340(3)より大きく、カセット20と蓋6との間に配置される。第1のブラッダ340(1)は、たとえば、第1の積層シート341を第2の積層シート342に重ねて、封止ライン348(1)に沿って第1のシート341および第2のシート342の周囲を封止し、閉鎖された第1の内部空間358(1)を形成することによって形成することができる。周縁356(1)は、たとえば熱の印加を介して封止することができる。第1のブラッダ340(1)は、8つのカセット20の各々に重なるのに十分な長さおよび幅を有し、非常に低いプロファイルを有する。言い換えれば、第1のブラッダ340(1)の高さh1は、その長さl1および/または幅w1に対して非常に小さく、各ブラッダ340の高さhは、電池パックハウジング2の高さhpに平行である。たとえば、第1のブラッダ340(1)が膨張していないとき、第1のブラッダ340(1)の高さh1は、第1のブラッダ340(1)を形成するために使用される材料の2つのシート341、342の厚さにほぼ対応することができる。
【0085】
第1のブラッダ340(1)は、第1のシート341内で第1のブラッダ340(1)の封止ライン348(1)から隔置された場所に形成された第1の開口351を含む。第1の開口351は、1次取付け具380の第1の部分440を受け取るような形状および寸法であり、第1のシート341は、第1の開口351で1次取付け具380の第1の部分440に封止される。
【0086】
第1のブラッダ340(1)は、第2のシート342内で第1のブラッダ340(1)の封止ライン348(1)から隔置された場所に形成された第2の開口352を含む。第2の開口352は、高さh1に平行の方向に、第1の開口351と位置合わせされる。加えて、第2の開口352は、1次取付け具380の第2の部分442を受け取るような形状および寸法であり、第2のシート342は、第2の開口352で1次取付け具380の第2の部分442に封止される。
【0087】
加えて、第1のブラッダ340(1)は、ブラッダ周縁356から隔置された場所に、1対の封止された貫通開口358を含む。貫通開口358は、電池パック1の付属構成要素が第1のブラッダ340(1)を通過することを可能にする。たとえば、図示の実施形態では、貫通開口358は、管が第1のブラッダ340(1)を通過することを可能にする。図示の実施形態では、貫通開口358は、第1の開口351および第2の開口352の近傍に配置され、第1の開口351および第2の開口の両側の各々に、1つの貫通開口358が配置される。
【0088】
第2のブラッダ340(2)は、カセット20の2つのグループ間の間隙9内に配置されており、電池パック1が
図1に示されている向きに対して、第1のブラッダ340(1)の下に位置する。第2のブラッダ340(2)は、不規則な形状、第1のブラッダ341(1)と比較すると比較的高いプロファイル、および第2のブラッダ340(2)が位置する間隙の幅に対応する幅を有する。第2のブラッダ340(2)は、たとえば、第3の積層シート343を第4の積層シート344に重ねて、封止ライン348(2)に沿って第3のシート343および第4のシート344の周縁356(2)を封止し、閉鎖された第2の内部空間358(2)を形成することによって形成することができる。周縁356(2)は、たとえば熱の印加を介して封止することができる。第2のブラッダ340(2)は、第3のシート343内で第2のブラッダ340(2)の封止ライン348(2)から隔置された場所に形成された第3の開口353を含む。第3の開口353は、1次取付け具380の第3の部分446を受け取るような形状および寸法であり、第3のシート343は、第3の開口353で1次取付け具380の第3の部分446に封止される。
【0089】
加えて、第2のブラッダ340(2)は、第3のシート343内で第2のブラッダ340(2)の封止ライン348(2)から隔置された場所に形成された第4の開口354を含む。第4の開口354は、第3の開口353に対して第2のブラッダ340(2)の反対の位置にある端部にある。第4の開口354は、2次取付け具480の一端481を受け取るような形状および寸法であり、第3のシートは、第4の開口354で2次取付け具480の一端に封止される。
【0090】
第3のブラッダ340(3)は、カセット20の2つのグループ間の間隙9内に配置されており、間隙9内の第2のブラッダ340(2)に隣接している(たとえば、端部と端部が接続される)。第2のブラッダ340(2)と同様に、第3のブラッダ340(3)は、第1のブラッダ340(1)の下に位置する。第3のブラッダ340(3)は、略方形の形状を有し、第3のブラッダ340(3)が位置する間隙の幅に対応する幅を含む。第3のブラッダ340(3)は、第2のブラッダ340(2)より高さが小さい。第3のブラッダ340(3)は、たとえば、第5の積層シート345を第6の積層シート346に重ねて、封止ライン348(3)に沿って第5のシート345および第6のシート346の周縁356(3)を封止し、閉鎖された第3の内部空間358(3)を形成することによって形成することができる。周縁356(3)は、たとえば熱の印加を介して封止することができる。第3のブラッダ340(3)は、単一の開口、たとえば第5の開口355を含み、第5の開口355は、第5のシート345内で第3のブラッダ340(3)の封止ライン348(3)から隔置された場所に形成される。第5の開口355は、2次取付け具480の反対側の端部482を受け取るような形状および寸法であり、第5のシート345は、第5の開口355で2次取付け具480の反対側の端部482に封止される。
【0091】
図61~
図64を参照すると、ベントブロック302は、圧力補償デバイス330の内部空間358(1)、358(2)、358(3)と流体連通しており、内部空間が、電池パックハウジング2を取り囲む雰囲気と連通することを可能にする。ベントブロック302は、電池パックの蓋6の外面に配置された方形の構造である。ベントブロック302は、蓋対向端304と、蓋対向端304とは反対の位置にある外向き端306と、蓋対向端304と外向き端306との間に延びる4つの側面308、310、312、314とを含む。ベントブロック302は、蓋対向端304で開いている長手方向孔318を含む。長手方向孔318は、ベントブロック302内で終端する。以下でさらに論じるように、長手方向孔318はねじ付きであり、第1の取付け具380の第1の端部381の対応するねじに係合する。
【0092】
ベントブロック302は、第1の横断方向孔322を含み、第1の横断方向孔322は、長手方向孔318に直交して、長手方向孔318と交差する。第1の横断方向孔322は、ベントブロック302の反対の位置にある第1の側面308および第3の側面312で開いている。ベントブロックの第1の側面308にある第1の横断方向孔322の開口324は、一方向弁336によって閉鎖される。閉鎖されたとき、一方向弁336は、空気および液体を通さない。一方向弁336は、所定の圧力で開き、流体(たとえば、空気)を圧力管理システム300から解放することを可能にする。一例では、一方向弁は、アンブレラバルブとすることができる。ベントブロックの第3の側面312にある第1の横断方向孔322の開口326は、第1の流体不透過プラグ333によって閉鎖される。
【0093】
ベントブロック302は、第2の横断方向孔328を含み、第2の横断方向孔328は、長手方向孔318および第1の横断方向孔322の両方に直交し、長手方向孔318および第1の横断方向孔322の両方と交差する。第2の横断方向孔328は、ベントブロック302の反対の位置にある第2の側面310および第4の側面314で開いている。ベントブロックの第2の側310にある第2の横断方向孔328の開口332は、ブリーザ膜338によって閉鎖される。ブリーザ膜338は、空気の通過は可能にするが、液体の通過は防止する。一例では、ブリーザ膜338は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜とすることができる。ベントブロックの第4の側面314にある第2の横断方向孔328の開口334は、第2の流体不透過プラグ335によって閉鎖される。
【0094】
長手方向孔318ならびに第1の横断方向孔322および第2の横断方向孔328は、ベントブロック302内に内部空間316をともに画定する。
略カップ形状を有するキャップ339が、ベントブロックの外向き端306および側面308、310、312、314に重なる。キャップ339は、締結具を介して、ベントブロックの外向き端306に固定される。キャップ339は、良好な通気を確保しながら、一方向弁336およびブリーザ膜338を破片および/または損傷から遮蔽するように、ベントブロックの側面308、310、312、314から隔置される。
【0095】
図65および
図66も参照すると、1次取付け具380は、ベントブロック302の内部空間316と、第1のブラッダ340(1)によって画定される第1の内部空間358(1)との間に、流体連通を提供する。加えて、1次取付け具380は、第1の内部空間358(1)と、第2のブラッダ340(2)によって画定される第2の内部空間358(2)との間に、流体連通を提供する。2次取付け具480は、第2の内部空間358(2)と、第3のブラッダ340(3)によって画定される第3の内部空間358(3)との間に、流体連通を提供する。1次取付け具380および2次取付け具480について、次に詳細に説明する。
【0096】
1次取付け具380は、ベントブロックの内部空間316と、第1のブラッダ340(1)の内部空間358(1)と、第2のブラッダ340(2)の内部空間358(2)との間に、流体連通を提供する。1次取付け具380は、細長い管であり、ベントブロック302に接続された、開いている第1の端部381と、第1の端部381とは反対の位置にあり、第2のブラッダ340(2)内に配置された、開いている第2の端部382とを含む。1次取付け具の第1の端部381は、おねじを有し、ベントブロックの長手方向孔318の対応するねじに係合する。1次取付け具380は、第1の端部381と第2の端部382との間に延びる側壁387を含む。側壁387の内面は、長手方向流体通路388を提供する。長手方向流体通路388は、1次取付け具380の第1の端部381と第2の端部382との間に延び、したがってベントブロック302の内部空間316と第2の内部空間358(2)との間に流体連通を提供する。1次取付け具380は、第1の横断方向流体通路400を含み、第1の横断方向流体通路400は、長手方向流体通路388に直交し、長手方向流体通路388と交差し、第1の側壁開口452(1)で側壁387の両側に開いている。加えて、1次取付け具380は、第2の横断方向流体通路450を含み、第2の横断方向流体通路450は、長手方向流体通路388および第1の横断方向流体通路400に直交する。第2の横断方向流体通路450は、長手方向流体通路388および第1の横断方向流体通路400と交差し、第2の側壁開口452(2)で側壁387の両側に開いている。使用の際、1次取付け具380は、第1のブラッダ340(1)を通って延び、第1の側壁開口452(1)および第2の側壁開口452(2)が、第1の内部空間358(1)内に配置される。第1の横断方向流体通路400および第2の横断方向流体通路450は、ベントブロック302の内部空間316と、第1の内部空間358(1)との間に、流体連通を提供する。
【0097】
1次取付け具380は、第1の部分440を含み、第1の部分440は、第1の側壁開口452(1)および第2の側壁開口452(2)と、1次取付け具380の第1の端部381との間に配置される。第1の部分440は、1次取付け具380がブラッダの第1の開口351に流体封止される場所に対応する。第1の部分440は、第1の内部空間358(1)内に配置され、第1のシート341の内面に対向する第1のフランジ402と、第1の開口351を通って突出する第1のねじ部分403(ねじは図示せず)とを含む。加えて、第1の部分440は、流体を通さないシールによって第1のシート341を第1のフランジ402に固定する第1の封止アセンブリ404を含む。第1の封止アセンブリ404は、弾性の平ワッシャ状のガスケット406、平ワッシャ408、およびナット410を含む。ガスケット406は、第1のシート341と第1のフランジ402との間に配置される。ナット410は、第1のねじ部分403に係合し、平ワッシャ408を第1のシート341の外向き面に固定し、それによって第1のシート341およびガスケット406が、第1のフランジ402とナット410との間に締め付けられる。
【0098】
第1の部分440は、1次取付け具の第1の端部381の直径より大きい直径を有し、それによって2つの直径間の遷移部にショルダ384が設けられる。使用の際、1次取付け具380は、電池パックハウジング2内に配置され、第1の端部381は、パックハウジングの蓋6の開口を通って突出する。第1の端部381は、ベントブロックの長手方向孔318内に受け取られて、そのねじに係合し、それによりショルダ384が、介在するガスケットを介して蓋6の内面に係合する。したがって、1次取付け具380およびベントブロック302は、1次取付け具380およびベントブロック302を電池パックハウジング2に固定するように協働する。
【0099】
加えて、1次取付け具380は、第2の部分442を含み、第2の部分442は、第1の側壁開口452(1)および第2の側壁開口452(2)と、1次取付け具380の第2の端部382との間に配置される。第2の部分442は、1次取付け具380がブラッダの第2の開口352に流体封止される場所に対応する。第2の部分442は、第1の内部空間358(1)内に配置され、第2のシート342の内面に対向する第2のフランジ412と、第2の開口352を通って突出する第2のねじ部分413(ねじは図示せず)とを含む。加えて、第2の部分442は、流体を通さないシールによって第2のシート342を第2のフランジ412に固定する第2の封止アセンブリ414を含む。第2の封止アセンブリ414は、第1の封止アセンブリ404に実質的に類似しており、共通の参照番号によって共通の要素を参照する。第2の封止アセンブリ414内で、ガスケット406は、第2のシート342と第2のフランジ412との間に配置される。加えて、ナット410は、第2のねじ部分413に係合し、平ワッシャ408を第2のシート342の外向き面に固定し、したがって第2のシート342およびガスケット406が、第2のフランジ402とナット410との間に締め付けられる。
【0100】
1次取付け具は、第3の部分466を含み、第3の部分466は、第2の部分442と1次取付け具の第2の端部382との間に配置される。第3の部分466は、第2の部分442と1次取付け具の第2の端部382との間に延びるシャンク468と、シャンク468を取り囲むカラー463とを含む。シャンク468は、おねじを含まず、1対のOリングシール461、462を含む(
図61、
図64)。各シール461、462は、シャンク468の表面に対して外方へ突出するように、円周溝467、469内に配置される。シール461、462は、長手方向に隔置される。カラー463は、めねじを含まない内面464を有しており、シール461、462が圧縮されるスリップ嵌め接続を介して、シャンク468に係合する。その結果、カラー463とシャンク468との間の接続も流体を通さない。カラー463は、ねじ付き外面(ねじは図示せず)を有する。加えて、カラー463は、1次取付け具の第2の端部382に重なる遠位端465を有する。カラーの遠位端465は、第3のフランジ422を含む。第3のフランジ422は、第2の内部空間358(2)内に配置され、第3のシート343の内面に対向し、カラー463のねじ部分は、第3の開口353(たとえば、第2のブラッダ340(2)の近位端にある開口)を通って突出する。加えて、第3の部分466は、流体を通さないシールによって、第3のシート343を第3のフランジ422に固定する第3の封止アセンブリ424を含む。第3の封止アセンブリ424は、第1の封止アセンブリ404に実質的に類似しており、共通の参照番号によって共通の要素を参照する。第3の封止アセンブリ424では、ガスケット406は、第3のシート343と第3のフランジ422との間に配置される。加えて、ナット410は、カラー463のねじ付き外面に係合し、平ワッシャ408を第3のシート343の外向き面に固定し、それによって第3のシート343およびガスケット406が、第3のフランジ422とナット410との間に締め付けられる。この構成では、1次取付け具の第2の端部382が、第2のブラッダ340(2)の内部空間382内に配置され、それによって第2のブラッダ340(2)の内部空間382が、長手方向流体通路388を介してベントブロック302と流体連通する。
【0101】
図55、
図56、および
図60を参照すると、2次取付け具480は、第4の開口354と第5の開口355との間に延びる可撓管を備え、第4の開口354は、第2のブラッダ340(2)の遠位端にある開口であり、第5の開口355は、第3のブラッダ340(3)の近位端にある開口である。2次取付け具480の両端部481、482の各々は、低プロファイルのコネクタ483を含み、コネクタ483は、第4開口354および第5の開口355の各々に設けられた嵌合する低プロファイルのコネクタ484に機械的に接続する。コネクタ483、484は、機械的に係合され、流体を通さない接続を提供する。
【0102】
先に論じたように、ブラッダ340(1)、340(2)、340(3)は可撓性を有し、電池パックハウジング2を取り囲む圧力および温度の状態による流体体積の変化に対応するように膨張または収縮する。膨張または収縮中、ブラッダ340(1)、340(2)、340(3)は、電池パックハウジング2の内面、カセット20、および電池パックハウジング2内に配置された他の付属構成要素に対して動く。いくつかの実施形態では、ブラッダ340(1)、340(2)、340(3)は、電池パックハウジング2内で膨張および収縮するときにブラッダ340(1)、340(2)、340(3)を損傷する可能性を低減させる流体透過性の保護構造を備える。たとえば、電池パック1は、第1のブラッダ340(1)とカセット20との間に配置された保護メッシュシート830(
図56)を含むことができる。別の例では、電池パック1は、ブラッダ340(1)、340(2)、340(3)のうちの1つまたは複数を密閉する支持シェル800(
図60)を含むことができる。図示の実施形態では、支持シェル800は、第2のブラッダ340(2)および第3のブラッダ340(3)を保護するために使用される。
【0103】
各支持シェル800は、第1の半シェル801と、第1の半シェル801から分離可能な第2の半シェル802とを含む。断面図では、第1の半シェル801および第2の半シェル802の各々が、略U字形である。第1の半シェル801および第2の半シェル802は、互いの方へ開いており、第2の半シェル802の開端803が、第1の半シェル801の開端804内に部分的に配置される。その結果、第1の半シェル801および第2の半シェル802は、分割された中空の構造を形成するように協働し、そのような構造では、第1の半シェル801が第2の半シェル802に対して自由に可動である。すなわち、第2の半シェル802は、第1の半シェル801内に部分的に配置されるが、第1の半シェル801および第2の半シェル802は、緩く係合されただけであり、互いに固定されていない。その結果、支持シェル800は、流体透過性を有し、電池パックハウジング2を満たす工業用流体にブラッダ340(2)、340(3)を完全に露出することが容易になる。
【0104】
第1の半シェル801および第2の半シェル802は、取付け具380、480が通過することを可能にする開口または切抜き806を含む。
図示の実施形態では、圧力補償デバイス330は、1組の直列接続されたブラッダ340である。しかし、圧力補償デバイス330は、1組の直列接続されたブラッダ340であることに限定されない。たとえば、いくつかの実施形態では、圧力補償デバイス330は、単一のブラッダとすることができる。用いられるブラッダの数、ならびに用いられるブラッダの形状および寸法は、特有の応用例の要件によって決定される。加えて、圧力補償デバイス330は、可撓性で膨張性のブラッダ340に限定されるものではない。他の実施形態では、ブラッダ340は、1つまたは複数のピストンまたは他の適当なデバイスに置き換えることができる。
【0105】
電池パック1について、比較的高電圧の電力を車両のパワートレインに提供するように構成されたものとして上述したが、電池パック1は、高電圧の応用例に限定されるものではない。たとえば、電池パック1は、たとえば電池モジュールの数および/またはモジュール内のセルの数を低減させることによって、低電圧の応用例を用いることもできる。別の例では、電池パック1は、環境制御デバイスなど、車両以外のデバイスに電力を提供するために用いることができる。
【0106】
正極218について、蓋部分205に電気接続されるものとして本明細書に説明し、負極220について、容器部分204に電気接続されるものとして本明細書に説明したが、セル200は、別法として、正極218が容器部分204に電気接続され、負極220が蓋部分205に電気接続されるように構成することができることが理解されよう。
【0107】
上述した電池モジュール40では、各セル200の正の端子214は、第1の電気コネクタ160(1)を介して、1つのバスバーアセンブリのアルファ部分140に接続され、そのセル200の負の端子216は、第2の電気コネクタ160(2)を介して、別のバスバーアセンブリのアルファ部分140に接続される。電池モジュール40では、セル200は、セルの正の端子214がセルの蓋部分205に対応し、セルの負の端子216がセルの容器部分204に対応するように構成される。しかし、セル200は、この構成に限定されるものではないことが理解されよう。たとえば、いくつかの実施形態では、代替実施形態のセルは、セルの正の端子214がセルの容器部分204に対応し、セルの負の端子216がセルの蓋部分205に対応するように構成される。代替実施形態のセルを含む電池モジュールでは、第1の電気接続160(1)および第2の電気接続160(2)は、第1の電気コネクタ160(1)の導体許容電流が第2の電気コネクタ160(2)の導体許容電流より大きくなるように構成することができる。
【0108】
上述した実施形態では、電気コネクタ160(1)、160(2)の導体許容電流は非対称であるが、電池モジュール40は、この構成に限定されるものではない。たとえば、他の実施形態では、第1の電気コネクタ160(1)の導体許容電流は、第2の電気コネクタ160(2)の導体許容電流と同じであり、たとえば電気コネクタ160(1)、160(2)の導体許容電流は対称である。
【0109】
電池モジュールおよび集電装置の選択的な例示的実施形態について、ある程度詳細に上記で説明した。電池モジュールおよび集電装置を明確にするために必要であると考えられる構造のみについて、本明細書に説明したことを理解されたい。他の従来の構造、ならびに電池モジュールおよび集電装置の付属および補助の構成要素も、当業者に知られており、当業者であれば理解されるものと想定する。さらに、電池モジュールおよび集電装置の実施例について、上記で説明したが、電池モジュールおよび集電装置は、上述した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載のデバイスから逸脱することなく、様々な設計上の変形形態を実施することができる。