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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】ビーム選択システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/18 20090101AFI20230816BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20230816BHJP
   H04W 72/1273 20230101ALI20230816BHJP
   H04B 7/08 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
H04W52/18
H04W16/28
H04W72/1273
H04B7/08 802
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021565732
(86)(22)【出願日】2019-05-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2019063691
(87)【国際公開番号】W WO2020228965
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2021-12-27
(31)【優先権主張番号】16/409,076
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【弁理士】
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100150670
【弁理士】
【氏名又は名称】小梶 晴美
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン, アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】アスリー, フレードリク
(72)【発明者】
【氏名】ペッテション, スヴェン
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0351630(US,A1)
【文献】国際公開第2019/049107(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ機器(UE)によって実施される方法であって、
第1のTRPビームを使用して送信され、第1のUEビームおよび前記UEの第1のアンテナ構成を使用して受信された参照信号(RS)の受信に基づいて、第1の電力値を生成することと、
第2のTRPビームを使用して送信され、前記第1のUEビームおよび前記第1のアンテナ構成を使用して受信されたRSの受信に基づいて、第2の電力値を生成することと、
前記第1の電力値が前記第1のTRPビームに関連付けられた情報に関連付けられるように、前記第1の電力値を記憶することと、
前記第2の電力値が前記第2のTRPビームに関連付けられた情報に関連付けられるように、前記第2の電力値を記憶することと、
前記UEへのデータの送信をスケジュールするためのダウンリンク制御情報(DCI)を受信することであって、前記DCIは、前記第1の電力値および前記第2の電力値が関連付けられた情報を含む、ダウンリンク制御情報(DCI)を受信することと、
前記DCIを受信した後に、前記DCI中の前記情報を使用して前記第1の電力値および前記第2の電力値を取り出すことと、
第1の値を計算することであって、前記計算への入力として前記第1の電力値および前記第2の電力値を使用する、第1の値を計算することと、
記スケジュールされたデータの送信を受信するために使用するためのUEビームを選択するためのプロセスにおいて、前記計算された第1の値を使用することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1のTRPビームを使用して送信された前記RSが、ビーム管理プロシージャの一部として前記第1のTRPビームを使用して前記UEに送信されたRSのバーストのうちの1つであり、
前記第2のTRPビームを使用して送信された前記RSが、前記ビーム管理プロシージャの一部として前記第2のTRPビームを使用して前記UEに送信されたRSのバーストのうちの1つである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記DCIを受信するより前に、
前記第1のTRPビームを使用して送信され、第2のUEビームおよび前記UEの第2のアンテナ構成を使用して受信されたRSの受信に基づいて、第3の電力値を生成するステップと、
前記第2のTRPビームを使用して送信され、前記第2のUEビームおよび前記第2のアンテナ構成を使用して受信されたRSの受信に基づいて、第4の電力値を生成するステップと
前記第3の電力値が前記第1のTRPビームに関連付けられた情報に関連付けられるように、前記第3の電力値を記憶するステップと、
前記第4の電力値が前記第2のTRPビームに関連付けられた情報に関連付けられるように、前記第4の電力値を記憶するステップと
を実施することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記DCIを受信した後に、さらなる、
前記DCI中の前記情報を使用して前記第3の電力値および前記第4の電力値を取り出すステップと、
第2の値を計算するステップであって、前記計算への入力として前記第3の電力値および前記第4の電力値を使用する、第2の値を計算するステップと、
記スケジュールされたデータの送信を受信するために使用するためのUEビームを選択するための前記プロセスにおいて、前記計算された第1の値および前記計算された第2の値を使用するステップと
を実施することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スケジュールされたデータの送信を受信するために使用するためのUEビームを選択するための前記プロセスにおいて、前記計算された第1の値および前記計算された第2の値を使用することが、第1のスループット値(TP1)を計算することを含み、
TP1=T1+T2であり、
T1が、前記計算された第1の値であり、
T2が、前記計算された第2の値であり、
T1が、前記第1の電力値と前記第2の電力値との間の差の関数であり、
T2が、前記第3の電力値と前記第4の電力値との間の差の関数である、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
T1=10*log2(P_TRP_B2_UE_B1-P_TRP_B1_UE_B1-N)であり、
T2=10*log2(P_TRP_B1_UE_B2-P_TRP_B2_UE_B2-N)であり、
P_TRP_B1_UE_B1が、前記第1の電力値であり、
P_TRP_B2_UE_B1が、前記第2の電力値であり、
P_TRP_B1_UE_B2が、前記第3の電力値であり、
P_TRP_B2_UE_B2が、前記第4の電力値であり、
Nがノイズ値である、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記DCIを受信するより前に、
前記第1のTRPビームを使用して送信され、第3のUEビームおよび前記UEの前記第1のアンテナ構成を使用して受信されたRSの受信に基づいて、第5の電力値を生成するステップと、
前記第2のTRPビームを使用して送信され、前記第3のUEビームおよび前記第1のアンテナ構成を使用して受信されたRSの受信に基づいて、第6の電力値を生成するステップと
前記第5の電力値が前記第1のTRPビームに関連付けられた情報に関連付けられるように、前記第5の電力値を記憶するステップと、
前記第6の電力値が前記第2のTRPビームに関連付けられた情報に関連付けられるように、前記第6の電力値を記憶するステップと
を実施することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記DCIを受信した後に、さらなる、
前記DCI中の前記情報を使用して前記第5の電力値および前記第6の電力値を取り出すステップと、
第3の値を計算するステップであって、前記計算への入力として前記第5の電力値および前記第6の電力値を使用する、第3の値を計算するステップと、
記スケジュールされたデータの送信を受信するために使用するためのUEビームを選択するための前記プロセスにおいて、前記計算された第1の値、前記計算された第2の値、および前記計算された第3の値を使用するステップと
を実施することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
記スケジュールされたデータの送信を受信するために使用するためのUEビームを選択するための前記プロセスにおいて、前記計算された第1の値、前記計算された第2の値、および前記計算された第3の値を使用することは、
第1のスループット値(TP1)を計算することであって、ここで、TP1=T1+T2である、第1のスループット値(TP1)を計算することと、
第2のスループット値(TP2)を計算することであって、ここで、TP2=T3+T2である、第2のスループット値(TP2)を計算することと、
TP1がTP2よりも大きいかどうかを決定することと、
TP1がTP2よりも大きいと決定したことの結果として、前記スケジュールされたデータの送信を受信するための前記第1のUEビームおよび前記第2のUEビームを選択することと
を含み、
T1が、前記計算された第1の値であり、
T2が、前記計算された第2の値であり、
T3が、前記計算された第3の値である、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
T1が、前記第1の電力値と前記第2の電力値との間の差の関数であり、
T2が、前記第3の電力値と前記第4の電力値との間の差の関数であり、
T3が、前記第5の電力値と前記第6の電力値との間の差の関数である、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のTRPビームを使用して送信される前記RS信号が、前記第1のTRPビームを使用して送信される前記RS信号を送信する同じTRPから送信される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ユーザ機器(UE)の処理回路によって実施されたとき、前記UEに、請求項1に記載の方法を実施させる命令を備える、コンピュータプログラム。
【請求項13】
ユーザ機器(UE)であって、前記UEは、
第1のTRPビームを使用して送信され、第1のUEビームおよび前記UEの第1のアンテナ構成を使用して受信された参照信号(RS)の受信に基づいて、第1の電力値を生成することと、
第2のTRPビームを使用して送信され、前記第1のUEビームおよび前記第1のアンテナ構成を使用して受信されたRSの受信に基づいて、第2の電力値を生成することと、
前記第1の電力値が前記第1のTRPビームに関連付けられた情報に関連付けられるように、前記第1の電力値を記憶することと、
前記第2の電力値が前記第2のTRPビームに関連付けられた情報に関連付けられるように、前記第2の電力値を記憶することと、
前記UEへのデータの送信をスケジュールするためのダウンリンク制御情報(DCI)を受信することであって、前記DCIは、前記第1の電力値および前記第2の電力値が関連付けられた情報を含む、ダウンリンク制御情報(DCI)を受信することと、
前記DCIを受信した後に、前記DCI中の前記情報を使用して前記第1の電力値および前記第2の電力値を取り出すことと、
第1の値を計算することであって、前記計算への入力として前記第1の電力値および前記第2の電力値を使用する、第1の値を計算することと、
記スケジュールされたデータの送信を受信するために使用するためのUEビームを選択するためのプロセスにおいて、前記計算された第1の値を使用することと
を行うように適応された、ユーザ機器(UE)。
【請求項14】
前記第1のTRPビームを使用して送信された前記RSが、ビーム管理プロシージャの一部として前記第1のTRPビームを使用して前記UEに送信されたRSのバーストのうちの1つであり、
前記第2のTRPビームを使用して送信された前記RSが、前記ビーム管理プロシージャの一部として前記第2のTRPビームを使用して前記UEに送信されたRSのバーストのうちの1つである、
請求項13に記載のUE。
【請求項15】
前記UEが、
前記DCIを受信するより前に、前記第1のTRPビームを使用して送信され、第2のUEビームおよび前記UEの第2のアンテナ構成を使用して受信されたRSの受信に基づいて、第3の電力値を生成することと、
前記DCIを受信するより前に、前記第2のTRPビームを使用して送信され、前記第2のUEビームおよび前記第2のアンテナ構成を使用して受信されたRSの受信に基づいて、第4の電力値を生成することと、
前記第3の電力値が前記第1のTRPビームに関連付けられた情報に関連付けられるように、前記第3の電力値を記憶するステップと、
前記第4の電力値が前記第2のTRPビームに関連付けられた情報に関連付けられるように、前記第4の電力値を記憶するステップと、
前記DCIを受信した後に、
前記DCI中の前記情報を使用して前記第3の電力値および前記第4の電力値を取り出すステップと、
第2の値を計算するステップであって、前記計算への入力として前記第3の電力値および前記第4の電力値を使用する、第2の値を計算するステップと、
記スケジュールされたデータの送信を受信するために使用するためのUEビームを選択するための前記プロセスにおいて、前記計算された第1の値および前記計算された第2の値を使用するステップと
を実施することと
を行うようにさらに適応された、請求項13に記載のUE。
【請求項16】
記スケジュールされたデータの送信を受信するために使用するためのUEビームを選択するための前記プロセスにおいて、前記計算された第1の値および前記計算された第2の値を使用することが、第1のスループット値(TP1)を計算することを含み、
TP1=T1+T2であり、
T1が、前記計算された第1の値であり、
T2が、前記計算された第2の値であり、
T1が、前記第1の電力値と前記第2の電力値との間の差の関数であり、
T2が、前記第3の電力値と前記第4の電力値との間の差の関数である、
請求項15に記載のUE。
【請求項17】
前記UEが、
前記DCIを受信するより前に、前記第1のTRPビームを使用して送信され、第3のUEビームおよび前記UEの前記第1のアンテナ構成を使用して受信されたRSの受信に基づいて、第5の電力値を生成することと、
前記DCIを受信するより前に、前記第2のTRPビームを使用して送信され、前記第3のUEビームおよび前記第1のアンテナ構成を使用して受信されたRSの受信に基づいて、第6の電力値を生成することと
前記第5の電力値が前記第1のTRPビームに関連付けられた情報に関連付けられるように、前記第5の電力値を記憶することと、
前記第6の電力値が前記第2のTRPビームに関連付けられた情報に関連付けられるように、前記第6の電力値を記憶することと、
を行うようにさらに適応された、請求項15に記載のUE。
【請求項18】
前記UEが、
前記DCIを受信した後に、前記DCI中の前記情報を使用して前記第5の電力値および前記第6の電力値を取り出すことと、
第3の値を計算することであって、前記計算への入力として、前記取り出された第5の電力値および前記取り出された第6の電力値を使用する、第3の値を計算することと、
記スケジュールされたデータの送信を受信するために使用するためのUEビームを選択するための前記プロセスにおいて、前記計算された第1の値、前記計算された第2の値、および前記計算された第3の値を使用することと
を行うようにさらに適応された、請求項17に記載のUE。
【請求項19】
記スケジュールされたデータの送信を受信するために使用するためのUEビームを選択するための前記プロセスにおいて、前記計算された第1の値、前記計算された第2の値、および前記計算された第3の値を使用することは、
第1のスループット値(TP1)を計算することであって、ここで、TP1=T1+T2である、第1のスループット値(TP1)を計算することと、
第2のスループット値(TP2)を計算することであって、ここで、TP2=T3+T2である、第2のスループット値(TP2)を計算することと、
TP1がTP2よりも大きいかどうかを決定することと、
TP1がTP2よりも大きいと決定したことの結果として、前記スケジュールされたデータの送信を受信するための前記第1のUEビームおよび前記第2のUEビームを選択することと
を含み、
T1が、前記計算された第1の値であり、
T2が、前記計算された第2の値であり、
T3が、前記計算された第3の値である、
請求項18に記載のUE。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
送信/受信ポイント(TRP)からの送信を受信する際に使用するためのUEビームを選択することに関係する実施形態が開示される。
【背景技術】
【0002】
高い伝搬損失を補償するために、より高い周波数において、狭いビームの送信および受信方式が一般に必要とされる。所与の通信リンクについて、送信/受信ポイント(TRP)(すなわち、基地局などのアクセスポイント、またはアンテナ構成と無線ユニットとを備えるアクセスポイントの構成要素)と、ユーザ機器(UE)(すなわち、TRPとの無線通信が可能な、スマートフォン、センサー、器具、テーブルなどのような通信デバイス)の両方において、ビームが適用され得る。TRPにおいて適用されるビームと、UEによって適用されるビームとからなるビームのペアは、本開示では「ビームペアリンク(BPL)」と呼ばれる。
【0003】
図1を参照すると、TRP104ビーム112(たとえば、TRP送信(TX)ビーム)および/またはUE102ビーム116(たとえば、UE受信(RX)ビーム)を発見および維持するために、ビーム管理プロシージャが採用される。図1の例では、1つのBPL(すなわち、TRPビーム112とUEビーム116とからなるビームペア)が、ネットワークによって発見され、維持されている。BPLは、主に、ビーム管理のために使用されるダウンリンク(DL)参照信号(RS)、たとえば、CSI-RS(チャネル状態情報RS)またはSSB(同期信号ブロック)上での測定を使用して、ネットワークによって発見され、監視されることが予想される。ビーム管理のためのCSI-RSは、周期的に、半永続的に、または非周期的に(イベントトリガ型)送信され得、ビーム管理のためのCSI-RSは、複数のUE間で共有されるか、またはUE固有であるかのいずれかであり得る。好適なTRP TXビームを見つけるために、TRP104は、異なるTRP TXビームにおいてCSI-RSを送信し、そのビーム上で、UE102は、RSRP測定を実施し、N個の最良のTRP TXビームを折り返し報告する(ここで、Nはネットワークによって設定され得る)。さらに、所与のTRP TXビーム上でのCSI-RS送信は、UEが好適なUEビームを評価することを可能にするために繰り返され得る(UE RXビームトレーニング)。
【0004】
ビーム管理のために使用されるCSI-RSリソースが、1つまたは2つのCSI-RSポートからなることができることが、3GPPにおいて合意された。TRPが二重偏波アンテナ(たとえば、図2Aに示されているパネル)を有する場合、ビーム管理のための新無線(New Radio:NR)における1つの可能な作業仮定は、各CSI-RSリソースを、2つのポート、偏波ごとに1つのポートで設定することであり、すなわち、各TRP TXビームは、2つの偏波にわたって送信される。この場合、UEは、両方の偏波にわたる平均RSRPを測定し、(1つまたは複数の)最良のTRP TXビームを折り返し報告することができる。
【0005】
基本的に、TRPとUEの両方において、ビームフォーミングの3つの異なる実装形態、すなわち、1)アナログビームフォーミング、2)デジタルビームフォーミング、および3)ハイブリッドビームフォーミングがある。各実装形態は、その良い点および悪い点を有する。デジタルビームフォーミングは、最もフレキシブルなソリューションであるが、多数の必要とされる無線機およびベースバンドチェーンにより、最もコストもかかる。アナログビームフォーミングは、最もフレキシブルでないが、低減された数の無線機およびベースバンドチェーンにより、製造するのがより安価である。ハイブリッドビームフォーミングは、アナログビームフォーミングとデジタルビームフォーミングとの間の妥協点である。新無線(NR)アクセス技術のために3GPPにおいて研究することが合意されたビームフォーミングアンテナアーキテクチャの1つのタイプは、TRPとUEの両方における、アンテナパネルの概念である。アンテナパネル(または略して「パネル」)は、一般に、偏波ごとに1つの送信/受信ユニット(TX/RU)をもつ、単一偏波または二重偏波アンテナエレメントのアンテナアレイである。位相シフタをもつアナログ配信ネットワークが、各パネルのビームをステアリングするために使用される。図2Aは、2次元二重偏波パネルの一例を示し、図2Bは、1次元二重偏波パネルの一例を示し、ここで、各パネルは、偏波ごとに1つのTXRUに接続される。
【0006】
P2およびP3ビーム掃引
TRP104とUE102との間のBPLの決定(すなわち、好適なTRPビームおよびUEビームを見つけること)は、(たとえば、初期アクセス中のSSBに基づいて、P1掃引から潜在的な粗い推定方向が見つけられた後に)P2ビーム掃引で開始することが予想される。P2ビーム掃引が、図3Aに示されている。P2ビーム掃引は、TRP104が、異なるTRP TX指向性ビーム(directional beam)303においてCSI-RSを送信することと、UE102が、(固定UE RXビーム301を使用して)TRPビーム303のセットにおける指向性ビーム(または略して「ビーム」)の各々についてRSRPを測定し、(1つまたは複数の)最も高いRSRPに対応する(1つまたは複数の)CSI-RSリソースインデックス((1つまたは複数の)CRI)をTRP104に返送することとを含むプロセスであり、ここで、各CRIは、TRP TXビーム303のうちの1つに対応する。そのようなP2ビーム掃引中に、各UEアンテナパネルについて、UE102は、TRP104とUE102との間のできるだけ多くの伝搬経路が、P2ビーム掃引によってキャプチャされるように、ワイドビーム301(別名、無指向性ビームまたは全指向性ビーム)(たとえば、UEが生成することが可能である最も広いビーム)を適用することが予想される。P2ビーム掃引に続いて、TRPは、P3ビーム掃引を行うことが予想され、これは、図3Bに示されている。P3ビーム掃引は、TRP104が、(一般に)(この例ではTRP TXビーム312である)P2プロシージャから、最良の報告されたTRP TX指向性ビームにおいて、CSI-RSのバーストを送信することを含むプロセスであり、これは、UE102が、異なるUE RX指向性ビーム305にわたって掃引し、CSI-RS上で測定を実施し、好ましいUE RX指向性ビーム(たとえば、UE RXビーム314)を選択することができることを意味する。UEが候補UE RXビームをどのように決定するかは、UE実装形態次第である。
【0007】
UEは、カバレッジを改善し、空間多重化の次数を増加させるために、好ましくは異なる方向を向く、2つまたはそれ以上のパネルを使用することが予想される。そのような実装形態の一例が、図4に示されており、ここで、2つの1次元パネルが、UE402において、異なる方向に位置する。アンテナエレメント(またはパネル)は、二重偏波または単一偏波のいずれかであり得る。
【0008】
高利得ビームフォーミングの場合、各ビームは、小さいエリア内で最適であるにすぎず、最適なビーム外のリンクバジェットは急速に劣化する。したがって、高性能を維持するために、頻繁なおよび高速のビーム切替えが必要とされ得る。そのようなビーム切替えをサポートするために、ビーム指示フレームワークがNRにおいて指定されている。たとえば、ダウンリンクデータ送信(すなわち、物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)上での送信)の場合、ダウンリンク制御情報(DCI)は、どのTRP TXビームが使用されるかをUEに知らせる送信設定インジケータ(TCI)へのポインタを含んでおり、その結果、UEは相応にそのRXを調節することができる。これは、UEがPDSCHを受信することができる前に、UEがRXビームフォーミング重みを決定および適用する必要がある、アナログRXビームフォーミングの場合に有益である。
【0009】
TRP504が、UE502にデータを送信するために、異なる方向を向く2つのTRPビームを使用することを望む場合(図5参照)、または異なる位置に位置する2つのTRPが同時に1つのUEに送信するべきである場合(すなわち、同時マルチTRP送信)、UEは、2つのパネルをもつ単一のTRP502について、図5に示されているように、2つの異なる方向からデータを受信する必要があり得る。これをハンドリングするために、単一のDCIメッセージが、2つの異なるTCI状態を示し、したがって、2つの異なるTRP TXビームを示すポインタを含んでいることがあることが、Rel-16において合意された。
【発明の概要】
【0010】
いくつかの課題が存在する。たとえば、従来のP3ビーム掃引の場合、UEは、(UEパネルごとに)1つのUE RXビームを決定し、そのビームは、次いで、TCI状態に関連付けられ得る(あるTCI状態のための空間QCLソース参照信号としてP3ビーム掃引におけるCSI-RSを使用することによって可能にされる)。これは、1つのUE RXビームが、一般に、最も高いRSRPに関連付けられたビームに基づいて、UEパネルごとに決定されることを意味する。しかしながら、ネットワークが2つ以上のビームをUEと通信する(たとえば、TRPが図5に示されているように2つのパネルを有するか、または2つのTRPが同時にUEと通信する)とき、これは、上位レイヤ空間多重化の場合、著しいストリーム間干渉(inter-stream interference)により、ユーザスループットを最大にすることに関して準最適であり得る。
【0011】
この問題を克服するために、一実施形態では、第1のTCI状態に関連付けられた第1のP3掃引(P3_1)中に、および第2のTCI状態に関連付けられた第2のP3掃引(P3_2)中に、UEは、各UEパネルのための各UE RXビームのためのRSRPを記憶する。次いで、UEが、2つのこれらの2つのTCI状態をポイントするDCIを通してダウンリンク(DL)送信のためにスケジュールされるとき、単に、最も高いRSRPに基づいてそれぞれのパネルのためのUE RXビームを選択する代わりに、UEは、UE RXビームを選択するとき、仮説的ストリーム間干渉をも考慮に入れる(これは、2つのTCI状態の各々について各UEパネルのための各UE RXビームについてRSRP値が記憶されているので可能である)。これの利点は、UEが、ストリーム間干渉を考慮に入れて、UE RXビームを選択することができ、これが、ユーザスループットを増加させることができることである。
【0012】
したがって、一態様では、UEによって実施される方法が提供される。一実施形態では、本方法は、UEが、第1のTRPビームを使用して送信され、第1のUEビームおよびUEの第1のアンテナ構成を使用して受信された参照信号(RS)の受信に基づいて、第1の電力値を生成することと、第2のTRPビームを使用して送信され、第1のUEビームおよび第1のアンテナ構成を使用して受信されたRSの受信に基づいて、第2の電力値を生成することとを含む。本方法は、UEが、UEへのデータの送信をスケジュールするためのダウンリンク制御情報(DCI)を受信することであって、DCIは、第1の電力値および第2の電力値が関連付けられた情報を含む、UEがダウンリンク制御情報(DCI)を受信することをも含む。本方法は、UEが、DCIを受信した後に、DCI中の情報を使用して第1の電力値および第2の電力値を取り出すことをも含む。本方法は、UEが第1の値を計算することであって、計算への入力として第1の電力値および第2の電力値を使用する、UEが第1の値を計算することをも含む。また、本方法は、UEが、データのスケジュール送信を受信するために使用するためのUEビームを選択するためのプロセスにおいて、計算された第1の値を使用することをも含む。
【0013】
別の態様では、コンピュータ命令が提供され、そのコンピュータ命令は、UEの処理回路によって実施されたとき、UEに、上記で説明された方法を実施させる。いくつかの実施形態では、コンピュータ命令は、非一時的コンピュータ可読媒体に記憶される。
【0014】
別の態様では、上記で説明された方法を実施するように適応されたUEが提供される。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1のTXビームを使用して送信されたRSは、ビーム管理プロシージャの一部として第1のTXビームを使用してUEに送信されたRSのバーストのうちの1つであり、第2のTXビームを使用して送信されたRSは、前記ビーム管理プロシージャの一部として第2のTXビームを使用してUEに送信されたRSのバーストのうちの1つである。
【0016】
いくつかの実施形態では、本方法は、DCIを受信するより前に、UEが、第1のTRPビームを使用して送信され、第2のUEビームおよびUEの第2のアンテナ構成を使用して受信されたRSの受信に基づいて、第3の電力値を生成するステップと、第2のTRPビームを使用して送信され、第2のUEビームおよび第2のアンテナ構成を使用して受信されたRSの受信に基づいて、第4の電力値を生成するステップとを実施することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、DCIを受信した後に、UEが、さらなる、DCI中の情報を使用して第3の電力値および第4の電力値を取り出すステップと、第2の値を計算するステップであって、計算への入力として第3の電力値および第4の電力値を使用する、第2の値を計算するステップと、データのスケジュール送信を受信するために使用するためのUEビームを選択するためのプロセスにおいて、計算された第1の値および計算された第2の値を使用するステップとを実施することをさらに含む。いくつかの実施形態では、データのスケジュール送信を受信するために使用するためのUEビームを選択するためのプロセスにおいて、計算された第1の値および計算された第2の値を使用することは、UEが第1のスループット値(TP1)を計算することを含み、TP1=T1+T2であり、T1は、第1の計算された値であり、T2は、第2の計算された値であり、T1は、第1の電力値と第2の電力値との間の差の関数であり、T2は、第3の電力値と第4の電力値との間の差の関数である。いくつかの実施形態では、T1=10*log2(P_TRP_B2_UE_B1-P_TRP_B1_UE_B1-N)であり、T2=10*log2(P_TRP_B1_UE_B2-P_TRP_B2_UE_B2-N)であり、P_TRP_B1_UE_B1は、第1の電力値であり、P_TRP_B2_UE_B1は、第2の電力値であり、P_TRP_B1_UE_B2は、第3の電力値であり、P_TRP_B2_UE_B2は、第4の電力値であり、Nはノイズ値である。
【0017】
いくつかの実施形態では、本方法は、DCIを受信するより前に、UEが、第1のTRPビームを使用して送信され、第3のUEビームおよびUEの第1のアンテナ構成を使用して受信されたRSの受信に基づいて、第5の電力値を生成するステップと、第2のTRPビームを使用して送信され、第3のUEビームおよび第1のアンテナ構成を使用して受信されたRSの受信に基づいて、第6の電力値を生成するステップとを実施することをさらに含む。いくつかの実施形態では、本方法は、DCIを受信した後に、UEが、さらなる、DCI中の情報を使用して第5の電力値および第6の電力値を取り出すステップと、第3の値を計算するステップであって、計算への入力として第5の電力値および第6の電力値を使用する、第3の値を計算するステップと、データのスケジュール送信を受信するために使用するためのUEビームを選択するためのプロセスにおいて、計算された第1の値、計算された第2の値、および計算された第3の値を使用するステップとを実施することをさらに含む。いくつかの実施形態では、データのスケジュール送信を受信するために使用するためのUEビームを選択するためのプロセスにおいて、計算された第1の値、計算された第2の値、および計算された第3の値を使用することは、第1のスループット値(TP1)を計算することであって、ここで、TP1=T1+T2である、第1のスループット値(TP1)を計算することと、第2のスループット値(TP2)を計算することであって、ここで、TP2=T3+T2である、第2のスループット値(TP2)を計算することと、TP1がTP2よりも大きいかどうかを決定することと、TP1がTP2よりも大きいと決定したことの結果として、データのスケジュール送信を受信するための第1のビームおよび第2のビームを選択することとを含み、T1は、第1の計算された値であり、T2は、第2の計算された値であり、T3は、第3の計算された値である。いくつかの実施形態では、T1は、第1の電力値と第2の電力値との間の差の関数であり、T2は、第3の電力値と第4の電力値との間の差の関数であり、T3は、第5の電力値と第6の電力値との間の差の関数である。
【0018】
いくつかの実施形態では、本方法は、UEが、第1の電力値が、第1のTRPビームに関連付けられた情報に関連付けられるように、第1の電力値を記憶することと、UEが、第2の電力値が、第2のTRPビームに関連付けられた情報に関連付けられるように、第2の電力値を記憶することとをさらに含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、第2のTRPビームを使用して送信されるRS信号は、第1のTRPビームを使用して送信されるRS信号を送信する同じTRPから送信される。
【0020】
本明細書に組み込まれ、明細書の一部をなす添付の図面は、様々な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ビームペアリンク(BPL)を示す図である。
図2A】2次元二重偏波パネルの一例を示す図である。
図2B】1次元二重偏波パネルの一例を示す図である。
図3A】P2ビーム掃引を示す図である。
図3B】P3ビーム掃引を示す図である。
図4】2つのアンテナ構成をもつUEを示す図である。
図5】UEにデータを送信するために2つのビームを使用するTRPを示す図である。
図6】ストリーム間干渉の一例を示す図である。
図7】一実施形態による、ビーム管理プロシージャを示す図である。
図8】一実施形態による、プロセスを示すメッセージフロー図である。
図9】一実施形態による、プロセスを示すフローチャートである。
図10】一実施形態による、UEのブロック図である。
図11】一実施形態による、UEのモジュラーブロック図である。
図12】中間ネットワークを介してホストコンピュータに接続された通信ネットワークを概略的に示す図である。
図13】部分的無線接続上でホストコンピュータが基地局を介してユーザ機器と通信することの一般化されたブロック図である。
図14】ホストコンピュータと基地局とユーザ機器とを含む通信システムにおいて実装される方法を示すフローチャートである。
図15】ホストコンピュータと基地局とユーザ機器とを含む通信システムにおいて実装される方法を示すフローチャートである。
図16】ホストコンピュータと基地局とユーザ機器とを含む通信システムにおいて実装される方法を示すフローチャートである。
図17】ホストコンピュータと基地局とユーザ機器とを含む通信システムにおいて実装される方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図6は、ストリーム間干渉を示す。2つのP3掃引を実施したことの結果として、UE602は、UEビームb2およびb5が最も高いRSRP値を生成したので、ビームTRP b1およびTRP b2を使用してTRP604によって送信されたデータを受信するためにUEビームb2およびb5を使用することを選択する場合、ダウンリンクスループットは、UEが受けるストリーム間干渉により、悪影響を及ぼされ得る。これを克服するために、UEは、DL送信を受信するためにどのUEビームを使用すべきかを選択するとき、このストリーム間干渉を考慮に入れるべきである。
【0023】
図7は、一実施形態を示す。TRP704が、2つのP3掃引(P3_1およびP3_2)、すなわち、TRPビームTRP B1のための1つとTRP B2のための1つとを実施するようにUE702をトリガする。図7は、単一のTRP704がTRP B1およびTRP B2を使用することを示すが、1つのTRPが、第1のP3掃引を実施するために1つのTRPビームを使用し得、別のTRPが、他の掃引を実施するために第2のTRPビームを使用し得ることが企図される。各P3ビーム掃引について、および各UEアンテナ構成721、722(たとえば、パネル)について、UEは、アンテナ構成721、722のための候補UE RXビームにわたって掃引する。2つのP3掃引の各々のための対応するRSRP値は、下記の表において見つけられ得る。
【0024】
2つのP3掃引が実施された後に、TRP794は、2つのTCI状態を(直接または間接的に)ポイントするDCIメッセージを送信することによって、今度のPDSCH送信についてUE702に知らせ、ここで、1つのTCI状態は、P3_1において使用されるCSI-RSに対応する、空間的に擬似コロケートされた(QCL:quasi co-located)RSを有し(すなわち、TCI状態はTRP B1に対応する)、第2のTCI状態は、P3_2において使用されるCSI-RSに対応する空間的にQCL RSを有する(すなわち、TRP B2に対応する)。従来の場合には、UE702は、今度のPDSCH送信について、UE RXビーム、UEパネル721のためのUE B5およびUEパネル722のためのUE B2を、それらが最も高いRSRPを有するので、選択するであろう。しかしながら、UE B2はTRP B1からも高い受信電力を受けるので、ストリーム間干渉がUE B2にとって厳しく、これは、スループットに対する悪影響を有する。わかるように、TRP B2は、UE B2についてのTRP B1よりも5dB高いRSRPを有するにすぎず、これは、この場合、UE B2において受信されるストリームのための得られるSINRが、最大で5dBであることを意味し、これは、ストリームが伝達することができるデータレートを著しく低減し得る。
【0025】
この問題を克服するために、UE702は、P3ビーム掃引に関連付けられた各TCI状態のための各UE RXビームのためのすべてのRSRP値を記憶する。すなわち、たとえば、UE702は、上記に示された表中の情報を記憶する。したがって、TRPが、TRP B1およびTRP B2に対応する2つのTCI状態についてのPDSCH送信を示すとき、UEは、TCI状態のうちの1つからの受信されたRSRPに基づくだけでなく、2つのTCI状態間のRSRPの差をも考慮して、UE RXビームペア(すなわち、UEパネルごとに1つのビーム)を選択し、なぜなら、さもなければ、ストリーム間干渉がユーザスループットを劣化させるリスクがあるからである。
【0026】
たとえば、一実施形態では、UEは、TRP B1およびTRP B2についてのRSRPと、各UE RXビームグループについてのノイズとに基づいて、スループット値(たとえば、推定SINR)を計算する。図7の例示的なUE702では、UEが、2つのパネル721および722と、パネルごとに3つのビームとを有するので、9つのUE RXビームグループ(UE B1&UE B4、UE B1&UE B5、UE B1&UE B6、UE B2&UE B4、UE B2&UE B4、UE B2&UE B4、UE B3&UE B4、UE B3&UE B4、UE B3&UE B4)がある。また、各グループは、UEが2つのパネルのみを有するので、ペアである。UEが、3つのパネルと、パネルごとに3つのUEビームとを有する場合、3つのビームの3×3×3=27個のグループがあるであろう。一実施形態では、スループット値は、スループット値が電力値にのみ基づくので、概算推定であるが、スループット値は、依然として、従来の方法と比較して、好適なUE RXビーム組合せのより良い指示を与える。UE702は、最良のビームグループ、すなわち、最も高いスループット値を生成したビームグループ(たとえば、ビームペア)を選択するために、計算されたスループット値を使用する。
【0027】
UEがUEビームグループのためのスループット値を計算するための様々なやり方がある。一例では、各UEビームグループについて、UEは、グループ中の各UEビームについて計算されたスループット値に基づいて、少なくとも1つの総スループット値(T)を算出する。たとえば、UEビームグループが2つのビーム(B1およびB2)からなると仮定すると、一実施形態では、T=T_B1+T_B2であり、ここで、T_B1は、B1のためのスループット値であり、T_B2は、B2のためのスループット値である。
【0028】
一実施形態では、T_Bi(i=1またはi=2)は、i)(TRP_B1と示される)第1のTRP TXビームを使用して送信され、ビームBiを使用して受信された参照信号に関連付けられた第1の電力値(たとえば、RSRP値)(この第1の電力値はP_TRP_B1_UE_Biと示される)と、ii)(TRP_B2と示される)第2のTRP TXビームを使用して送信され、ビームBiを使用して受信された参照信号に関連付けられた第2の電力値(この第2の電力値はP_TRP_B2_UE_Biと示される)との関数である。たとえば、T_Bi=10*log2(P_TRP_B2_UE_Bi-P_TRP_B1_UE_Bi-N)であるか、またはT_Bi=10*log2(P_TRP_B1_UE_Bi-P_TRP_B2_UE_Bi-N)であり、Nはノイズ値である。T_Biのための式が示すように、ビームBiに関して、第1のTRP TXビームによって送信された信号は、受信されるべき信号と見なされ、第2のTRP TXビームによって送信された信号は、干渉と見なされ、またはその逆も同様である。
【0029】
具体的な例として、ビームUE B1およびUE B4と、上記の表中の値とを使用して、P_TRP_B1_UE_B1=-130であり、P_TRP_B2_UE_B1=-80であり、P_TRP_B1_UE_B4=-85であり、P_TRP_B2_UE_B4=-125であり、このビームペアのためのTの1つの値は、10*log2(-80-(-130))+10*log2(-85-(-125))であり、このビームペアのためのTの別の値は、10*log2(-130-(-80))+10*log2(-125-(-85))である。示されたこの例では、Nは0にセットされた。
【0030】
図8は、一実施形態による、メッセージフローおよび処理ステップを示す。第1のステップにおいて、TRPは、第1のTRP TXビームを使用して第1のP3ビーム掃引を実施する。このP3掃引は、第1のTCI状態に関連付けられる。すなわち、第1のP3ビーム掃引は、第1のTCI状態のための空間QCLのためのソースRSとして使用されるCSI-RSリソースを使用する。UEは、次いで、各UEパネルについて、異なるUE RXビームにわたって掃引し、それにより、各UEビームについてのRSRP測定を生成し、次いで、これらのRSRP値を、それらが第1のTCI状態(TCI_State_1)に関連付けられるように記憶する。これは、上記の表に示されている。
【0031】
次のステップにおいて、TRPは、第2のTRP TXビームについて第2のP3ビーム掃引を実施する。P3ビーム掃引は、第2のTCI状態のための空間QCLのためのソースRSとして使用されるCSI-RSリソースを使用する。UEは、再び、各UEパネルについて異なるUE RXビームにわたって掃引し、各場合についてのRSRPを、それらが第2のTCI状態に関連付けられるように記憶する。すなわち、UEは、上記に示された表のようなデータ構造を生成し得る。
【0032】
次のステップにおいて、TRPは、PDSCH送信をスケジュールし、第1のTCI状態および第2のTCI状態を(直接または間接的に)ポイントするDCIをUEに対して送信する。UEは、次いで、各TCI状態のためのRSRP値を考慮に入れることによって、好適なUEビームペア(すなわち、各それぞれのUEパネル721、722のための好適なUE RXビーム)を決定する。これを行うための1つのやり方は、上記で説明されたように、各UEパネルについて、より弱いTCI状態に関連付けられたRSRPを、最も強いTCI状態に関連付けられたUE Rxビームにおけるストリーム間干渉と見なすことである。このようにして、UEは、各UE RXビームペアのための推定スループット値(たとえば、SINR)を評価し、次いで、ユーザスループットを最大にするであろうUE RXビームペアを選択することができる。このUE RXビームペアは、TCI状態のうちの1つに対応する第1のパネルのためのUE RXビームと、他のTCI状態に対応する第2のパネルのためのUE RXビームとを含む。すなわち、第1のTRP TXビームは、UEパネルのうちの1つの第1のUE RXビームに関連付けられ、第2のTRP TXビームは、他のパネルの第2のUE RXビームに関連付けられ、それにより、ランク>1の空間多重化を可能にし、すなわち、データの第1のブロックは、第1のTRP TXを使用して送信され得、これは、大部分が第1のUE RXビームを使用して受信され、データの第2の異なるブロックは、第2のTRP TXビームを使用して送信され得、これは、大部分が第2のUE RXビームを使用して受信される。したがって、第1のUE RXビームに関して、第2のデータブロックの送信は干渉として現れ、第2のUE RXビームに関して、第1のデータブロックの送信は干渉として現れる。
【0033】
図9は、一実施形態による、プロセス900を示すフローチャートである。プロセス900は、ステップs902から始まり得る。
【0034】
ステップs902は、UE702が、第1のTRPビーム(たとえば、TRP B1)を使用して送信され、第1のUEビーム(UE B1)および第1のアンテナ構成(たとえば、パネル721)を使用して受信されたRS(たとえば、CSI-RS)を、UE702が受信することに基づいて、第1の電力値(たとえば、RSRP)を生成することを含む。この第1の電力値は、P_TRP_B1_UE_B1と示され得る。
【0035】
ステップs904は、UE702が、第2のTRPビーム(たとえば、TRP B2)を使用して送信され、第1のUEビームおよび第1のアンテナ構成を使用して受信されたRSを、UE702が受信することに基づいて、第2の電力値を生成することを含む。この第2の電力値は、P_TRP_B2_UE_B1と示され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、ステップs902を実施した後に、UE702はステップs906を実施し、ステップs904を実施した後に、UE702はステップs908を実施する。ステップs906は、UE702が、第1の電力値が、第1のTRPビームに関連付けられた情報(たとえば、第1のTCI)にリンクされるように、第1の電力値を記憶することを含み、ステップs908は、UE702が、第2の電力値が、第2のTRPビームに関連付けられた情報(たとえば、第2のTCI)にリンクされるように、第2の電力値を記憶することを含む。
【0037】
ステップs910は、UE702が、UEへのデータの送信をスケジュールするためのダウンリンク制御情報(DCI)を受信することであって、DCIは、第1の電力値および第2の電力値が(直接または間接的に)関連付けられた情報(たとえば、第1のTCIおよび第2のTCI)を含む、UE702がダウンリンク制御情報(DCI)を受信することを含む。
【0038】
ステップs912は、UE702が、DCI中の情報を使用して第1の電力値および第2の電力値を取り出すことを含む。
【0039】
ステップs914は、UE702が、計算への入力として第1の電力値および第2の電力値を使用して、第1の値を計算することを含む。たとえば、UE702は、T_B1=10*log2(P_TRP_B2_UE_B1-P_TRP_B1_UE_B1-N)を計算し、および/または、UE702は、T_B1=10*log2(P_TRP_B1_UE_B1-P_TRP_B2_UE_B1-N)を計算し、Nはノイズ値であり、P_TRP_B1_UE_B1は、第1の電力値であり、P_TRP_B2_UE_B1は、第2の電力値である。
【0040】
ステップs916は、UE702が、データのスケジュール送信を受信するために使用するためのUEビームを選択するためのプロセスにおいて、計算された第1の値を使用することを含む。たとえば、上記で説明されたように、UE702は、第1のスループット値TP1を計算するためにTB_1を使用し、ここで、TP1=T_B1+T_B2であり、次いで、最も高いスループット値を生成したビームペアを決定するために、TP1を他の計算されたスループット値と比較し得る。
【0041】
図10は、いくつかの実施形態による、UE702のブロック図である。図10に示されているように、UE702は、1つまたは複数のプロセッサ(P)1055(たとえば、1つまたは複数の汎用マイクロプロセッサ、および/または、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など、1つまたは複数の他のプロセッサなど)を含み得る処理回路(PC)702と、(たとえば、アンテナパネル721とアンテナパネル722とを備える)1つまたは複数のアンテナを備えるアンテナ構成1049に結合され、UE702がデータを送信し、データを受信する(たとえば、無線でデータを送信/受信する)ことを可能にするための送信機(Tx)1045および受信機(Rx)1047を備える通信回路1048と、1つまたは複数の不揮発性記憶デバイスおよび/または1つまたは複数の揮発性記憶デバイスを含み得るローカル記憶ユニット(別名「データ記憶システム」)1008とを備え得る。PC702がプログラマブルプロセッサを含む実施形態では、コンピュータプログラム製品(CPP)1041が提供され得る。CPP1041はコンピュータ可読媒体(CRM)1042を含み、CRM1042は、コンピュータ可読命令(CRI)1044を備えるコンピュータプログラム(CP)1043を記憶する。CRM1042は、磁気媒体(たとえば、ハードディスク)、光媒体、メモリデバイス(たとえば、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)など、非一時的コンピュータ可読媒体であり得る。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラム1043のCRI1044は、PC702によって実行されたとき、CRIが、UE702に、本明細書で説明されるステップ(たとえば、フローチャートを参照しながら本明細書で説明されるステップ)を実施させるように設定される。他の実施形態では、UE702は、コードの必要なしに本明細書で説明されるステップを実施するように設定され得る。すなわち、たとえば、PC702は、単に1つまたは複数のASICからなり得る。したがって、本明細書で説明される実施形態の特徴は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実装され得る。
【0042】
図11は、いくつかの他の実施形態による、UE702の概略ブロック図である。いくつかの実施形態におけるUE702は、1つまたは複数のモジュールを含み、その各々はソフトウェアで実装される。(1つまたは複数の)モジュールは、本明細書で説明される機能(たとえば、たとえば図7に関する、本明細書のステップ)を提供する。一実施形態では、モジュールは、第1のTRPビームを使用して送信され、第1のUEビームおよびUEの第1のアンテナ構成を使用して受信された参照信号(RS)の受信に基づいて、第1の電力値を生成することと、第2のTRPビームを使用して送信され、第1のUEビームおよび第1のアンテナ構成を使用して受信されたRSの受信に基づいて、第2の電力値を生成することとを行うように適応されたRS処理モジュール1102と、UEへのデータの送信をスケジュールするためのダウンリンク制御情報(DCI)を受信および処理することであって、DCIは、第1の電力値および第2の電力値が関連付けられた情報(たとえば、TCI)を含む、ダウンリンク制御情報(DCI)を受信および処理することを行うように適応されたDCI処理モジュール1104と、受信されたDCI中の情報を使用して第1の電力値および第2の電力値を取り出すように適応された取出しモジュール1106と、第1の値を計算することであって、計算への入力として第1の電力値および第2の電力値を使用する、第1の値を計算することを行うように適応されたスループット計算モジュール1108と、データのスケジュール送信を受信するために使用するためのUEビームを選択するためのプロセスにおいて、計算された第1の値を使用するように適応されたビーム選択モジュール1110とを含む。
【0043】
図12は、いくつかの実施形態による、中間ネットワークを介してホストコンピュータに接続された通信ネットワークを示す。図12を参照すると、一実施形態によれば、通信システムが、無線アクセスネットワークなどのアクセスネットワーク1211とコアネットワーク1214とを備える、3GPPタイプセルラネットワークなどの通信ネットワーク1210を含む。アクセスネットワーク1211は、NB、eNB、gNBまたは他のタイプの無線アクセスポイントなど、複数のAP(以下、基地局)1212a、1212b、1212cを備え、各々が、対応するカバレッジエリア1213a、1213b、1213cを規定する。各基地局1212a、1212b、1212cは、有線接続または無線接続1215上でコアネットワーク1214に接続可能である。カバレッジエリア1213c中に位置する第1のUE1291が、対応する基地局1212cに無線で接続するか、または対応する基地局1212Cによってページングされるように設定される。カバレッジエリア1213a中の第2のUE1292が、対応する基地局1212aに無線で接続可能である。この例では複数のUE1291、1292が示されているが、開示される実施形態は、唯一のUEがカバレッジエリア中にある状況、または唯一のUEが対応する基地局1212に接続している状況に等しく適用可能である。
【0044】
通信ネットワーク1210は、それ自体、ホストコンピュータ1230に接続され、ホストコンピュータ1230は、スタンドアロンサーバ、クラウド実装サーバ、分散サーバのハードウェアおよび/またはソフトウェアにおいて、あるいはサーバファーム中の処理リソースとして具現され得る。ホストコンピュータ1230は、サービスプロバイダの所有または制御下にあり得、あるいはサービスプロバイダによってまたはサービスプロバイダに代わって動作され得る。通信ネットワーク1210とホストコンピュータ1230との間の接続1221および1222は、コアネットワーク1214からホストコンピュータ1230に直接延び得るか、または随意の中間ネットワーク1220を介して進み得る。中間ネットワーク1220は、パブリックネットワーク、プライベートネットワーク、またはホストされたネットワークのうちの1つ、またはそれらのうちの2つ以上の組合せであり得、中間ネットワーク1220は、もしあれば、バックボーンネットワークまたはインターネットであり得、特に、中間ネットワーク1220は、2つまたはそれ以上のサブネットワーク(図示せず)を備え得る。
【0045】
図12の通信システムは全体として、接続されたUE1291、1292とホストコンピュータ1230との間のコネクティビティを可能にする。コネクティビティは、オーバーザトップ(OTT)接続1250として説明され得る。ホストコンピュータ1230および接続されたUE1291、1292は、アクセスネットワーク1211、コアネットワーク1214、任意の中間ネットワーク1220、および考えられるさらなるインフラストラクチャ(図示せず)を媒介として使用して、OTT接続1250を介して、データおよび/またはシグナリングを通信するように設定される。OTT接続1250は、OTT接続1250が通過する、参加する通信デバイスが、アップリンクおよびダウンリンク通信のルーティングに気づいていないという意味で、透過的であり得る。たとえば、基地局1212は、接続されたUE1291にフォワーディング(たとえば、ハンドオーバ)されるべき、ホストコンピュータ1230から発生したデータを伴う着信ダウンリンク通信の過去のルーティングについて、知らされないことがあるかまたは知らされる必要がない。同様に、基地局1212は、UE1291から発生してホストコンピュータ1230に向かう発信アップリンク通信の将来のルーティングに気づいている必要がない。
【0046】
次に、一実施形態による、前の段落において説明されたUE、基地局およびホストコンピュータの例示的な実装形態が、図13を参照しながら説明され、図13は、いくつかの実施形態による、部分的無線接続上で基地局を介してユーザ機器と通信するホストコンピュータを示す。通信システム1300では、ホストコンピュータ1310が、通信システム1300の異なる通信デバイスのインターフェースとの有線接続または無線接続をセットアップおよび維持するように設定された通信インターフェース1316を含む、ハードウェア1315を備える。ホストコンピュータ1310は、記憶能力および/または処理能力を有し得る、処理回路1318をさらに備える。特に、処理回路1318は、命令を実行するように適応された、1つまたは複数のプログラマブルプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらの組合せ(図示せず)を備え得る。ホストコンピュータ1310は、ホストコンピュータ1310に記憶されるかまたはホストコンピュータ1310によってアクセス可能であり、処理回路1318によって実行可能である、ソフトウェア1311をさらに備える。ソフトウェア1311はホストアプリケーション1312を含む。ホストアプリケーション1312は、UE1330およびホストコンピュータ1310において終端するOTT接続1350を介して接続するUE1330など、リモートユーザにサービスを提供するように動作可能であり得る。リモートユーザにサービスを提供する際に、ホストアプリケーション1312は、OTT接続1350を使用して送信されるユーザデータを提供し得る。
【0047】
通信システム1300は、通信システム中に提供される基地局1320をさらに含み、基地局1320は、基地局1320がホストコンピュータ1310およびUE1330と通信することを可能にするハードウェア1325を備える。ハードウェア1325は、通信システム1300の異なる通信デバイスのインターフェースとの有線接続または無線接続をセットアップおよび維持するための通信インターフェース1326、ならびに基地局1320によってサーブされるカバレッジエリア(図13に図示せず)中に位置するUE1330との少なくとも無線接続1370をセットアップおよび維持するための無線インターフェース1327を含み得る。通信インターフェース1326は、ホストコンピュータ1310への接続1360を容易にするように設定され得る。接続1360は直接であり得るか、あるいは、接続1360は、通信システムのコアネットワーク(図13に図示せず)を、および/または通信システムの外部の1つまたは複数の中間ネットワークを通過し得る。図示の実施形態では、基地局1320のハードウェア1325は、処理回路1328をさらに含み、処理回路1328は、命令を実行するように適応された、1つまたは複数のプログラマブルプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらの組合せ(図示せず)を備え得る。基地局1320は、内部的に記憶されるかまたは外部接続を介してアクセス可能なソフトウェア1321をさらに有する。
【0048】
通信システム1300は、すでに言及されたUE1330をさらに含む。UE1330のハードウェア1335は、UE1330が現在位置するカバレッジエリアをサーブする基地局との無線接続1370をセットアップおよび維持するように設定された、無線インターフェース1337を含み得る。UE1330のハードウェア1335は、処理回路1338をさらに含み、処理回路1338は、命令を実行するように適応された、1つまたは複数のプログラマブルプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらの組合せ(図示せず)を備え得る。UE1330は、UE1330に記憶されるかまたはUE1330によってアクセス可能であり、処理回路1338によって実行可能である、ソフトウェア1331をさらに備える。ソフトウェア1331はクライアントアプリケーション1332を含む。クライアントアプリケーション1332は、ホストコンピュータ1310のサポートのもとに、UE1330を介して人間のまたは人間でないユーザにサービスを提供するように動作可能であり得る。ホストコンピュータ1310では、実行しているホストアプリケーション1312は、UE1330およびホストコンピュータ1310において終端するOTT接続1350を介して、実行しているクライアントアプリケーション1332と通信し得る。ユーザにサービスを提供する際に、クライアントアプリケーション1332は、ホストアプリケーション1312から要求データを受信し、要求データに応答してユーザデータを提供し得る。OTT接続1350は、要求データとユーザデータの両方を転送し得る。クライアントアプリケーション1332は、クライアントアプリケーション1332が提供するユーザデータを生成するためにユーザと対話し得る。
【0049】
図13に示されているホストコンピュータ1310、基地局1320およびUE1330は、それぞれ、図12のホストコンピュータ1230、基地局1212a、1212b、1212cのうちの1つ、およびUE1291、1292のうちの1つと同様または同等であり得ることに留意されたい。つまり、これらのエンティティの内部の働きは、図13に示されているようなものであり得、別個に、周囲のネットワークトポロジーは、図12のものであり得る。
【0050】
図13では、OTT接続1350は、仲介デバイスとこれらのデバイスを介したメッセージの正確なルーティングとへの明示的言及なしに、基地局1320を介したホストコンピュータ1310とUE1330との間の通信を示すために抽象的に描かれている。ネットワークインフラストラクチャが、ルーティングを決定し得、ネットワークインフラストラクチャは、UE1330からまたはホストコンピュータ1310を動作させるサービスプロバイダから、またはその両方からルーティングを隠すように設定され得る。OTT接続1350がアクティブである間、ネットワークインフラストラクチャは、さらに、ネットワークインフラストラクチャが(たとえば、ネットワークの負荷分散考慮または再設定に基づいて)ルーティングを動的に変更する判断を行い得る。
【0051】
UE1330と基地局1320との間の無線接続1370は、本開示全体にわたって説明される実施形態の教示に従う。様々な実施形態のうちの1つまたは複数は、無線接続1370が最後のセグメントを形成するOTT接続1350を使用して、UE1330に提供されるOTTサービスの性能を改善する。より正確には、これらの実施形態の教示は、データレート、レイテンシ、ブロック誤り率(BLER)、オーバーヘッド、および電力消費量のうちの1つまたは複数を改善し、それにより、低減されたユーザ待ち時間、より良い応答性、延長されたバッテリー寿命などの利益を提供し得る。
【0052】
1つまたは複数の実施形態が改善する、データレート、レイテンシおよび他のファクタを監視する目的での、測定プロシージャが提供され得る。測定結果の変動に応答して、ホストコンピュータ1310とUE1330との間のOTT接続1350を再設定するための随意のネットワーク機能がさらにあり得る。測定プロシージャおよび/またはOTT接続1350を再設定するためのネットワーク機能は、ホストコンピュータ1310のソフトウェア1311およびハードウェア1315でまたはUE1330のソフトウェア1331およびハードウェア1335で、またはその両方で実装され得る。実施形態では、OTT接続1350が通過する通信デバイスにおいて、またはその通信デバイスに関連して、センサー(図示せず)が展開され得、センサーは、上記で例示された監視された量の値を供給すること、またはソフトウェア1311、1331が監視された量を算出または推定し得る他の物理量の値を供給することによって、測定プロシージャに参加し得る。OTT接続1350の再設定は、メッセージフォーマット、再送信セッティング、好ましいルーティングなどを含み得、再設定は、基地局1320に影響を及ぼす必要がなく、再設定は、基地局1320に知られていないかまたは知覚不可能であり得る。そのようなプロシージャおよび機能は、当技術分野において知られ、実践され得る。いくつかの実施形態では、測定は、スループット、伝搬時間、レイテンシなどのホストコンピュータ1310の測定を容易にするプロプライエタリUEシグナリングを伴い得る。測定は、ソフトウェア1311および1331が、ソフトウェア1311および1331が伝搬時間、エラーなどを監視する間にOTT接続1350を使用して、メッセージ、特に空のまたは「ダミー」メッセージが送信されることを引き起こすことにおいて、実装され得る。
【0053】
図14は、一実施形態による、通信システムにおいて実装される方法を示すフローチャートである。通信システムは、図12および図13を参照しながら説明されたものであり得る、ホストコンピュータと基地局とUEとを含む。ステップS1410において、ホストコンピュータはユーザデータを提供する。ステップS1410の(随意であり得る)サブステップS1411において、ホストコンピュータは、ホストアプリケーションを実行することによって、ユーザデータを提供する。ステップS1420において、ホストコンピュータは、UEにユーザデータを搬送する送信を始動する。(随意であり得る)ステップS1430において、基地局は、本開示全体にわたって説明される実施形態の教示に従って、ホストコンピュータが始動した送信において搬送されたユーザデータをUEに送信する。(また、随意であり得る)ステップS1440において、UEは、ホストコンピュータによって実行されるホストアプリケーションに関連付けられたクライアントアプリケーションを実行する。
【0054】
図15は、一実施形態による、通信システムにおいて実装される方法を示すフローチャートである。通信システムは、図12および図13を参照しながら説明されたものであり得る、ホストコンピュータと基地局とUEとを含む。本開示の簡単のために、図15への図面参照のみがこのセクションに含まれる。方法のステップS1510において、ホストコンピュータはユーザデータを提供する。随意のサブステップ(図示せず)において、ホストコンピュータは、ホストアプリケーションを実行することによって、ユーザデータを提供する。ステップS1520において、ホストコンピュータは、UEにユーザデータを搬送する送信を始動する。送信は、本開示全体にわたって説明される実施形態の教示に従って、基地局を介して進み得る。(随意であり得る)ステップS1530において、UEは、送信において搬送されたユーザデータを受信する。
【0055】
図16は、一実施形態による、通信システムにおいて実装される方法を示すフローチャートである。通信システムは、図12および図13を参照しながら説明されたものであり得る、ホストコンピュータと基地局とUEとを含む。本開示の簡単のために、図16への図面参照のみがこのセクションに含まれる。(随意であり得る)ステップS1610において、UEは、ホストコンピュータによって提供された入力データを受信する。追加または代替として、ステップS1620において、UEはユーザデータを提供する。ステップS1620の(随意であり得る)サブステップS1621において、UEは、クライアントアプリケーションを実行することによって、ユーザデータを提供する。ステップS1610の(随意であり得る)サブステップS1611において、UEは、ホストコンピュータによって提供された受信された入力データに反応してユーザデータを提供する、クライアントアプリケーションを実行する。ユーザデータを提供する際に、実行されたクライアントアプリケーションは、ユーザから受信されたユーザ入力をさらに考慮し得る。ユーザデータが提供された特定の様式にかかわらず、UEは、(随意であり得る)サブステップS1630において、ホストコンピュータへのユーザデータの送信を始動する。方法のステップS1640において、ホストコンピュータは、本開示全体にわたって説明される実施形態の教示に従って、UEから送信されたユーザデータを受信する。
【0056】
図17は、一実施形態による、通信システムにおいて実装される方法を示すフローチャートである。通信システムは、図12および図13を参照しながら説明されたものであり得る、ホストコンピュータと基地局とUEとを含む。本開示の簡単のために、図17への図面参照のみがこのセクションに含まれる。(随意であり得る)ステップS1710において、本開示全体にわたって説明される実施形態の教示に従って、基地局は、UEからユーザデータを受信する。(随意であり得る)ステップS1720において、基地局は、ホストコンピュータへの、受信されたユーザデータの送信を始動する。(随意であり得る)ステップS1730において、ホストコンピュータは、基地局によって始動された送信において搬送されたユーザデータを受信する。
【0057】
本明細書で開示される任意の適切なステップ、方法、特徴、機能、または利益は、1つまたは複数の仮想装置の1つまたは複数の機能ユニットまたはモジュールを通して実施され得る。各仮想装置は、いくつかのこれらの機能ユニットを備え得る。これらの機能ユニットは、1つまたは複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含み得る、処理回路、ならびに、デジタル信号プロセッサ(DSP)、専用デジタル論理などを含み得る、他のデジタルハードウェアを介して実装され得る。処理回路は、読取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、キャッシュメモリ、フラッシュメモリデバイス、光記憶デバイスなど、1つまたはいくつかのタイプのメモリを含み得る、メモリに記憶されたプログラムコードを実行するように設定され得る。メモリに記憶されたプログラムコードは、1つまたは複数の通信および/またはデータ通信プロトコルを実行するためのプログラム命令、ならびに本明細書で説明される技法のうちの1つまたは複数を行うための命令を含む。いくつかの実装形態では、処理回路は、それぞれの機能ユニットに、本開示の1つまたは複数の実施形態による、対応する機能を実施させるために使用され得る。
【0058】
本開示の様々な実施形態が本明細書で説明されたが、それらの実施形態は、限定ではなく、例として提示されたにすぎないことを理解されたい。したがって、本開示の広さおよび範囲は、上記で説明された例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきでない。概して、本明細書で使用されるすべての用語は、異なる意味が、明確に与えられ、および/またはその用語が使用されるコンテキストから暗示されない限り、関連のある技術分野における、それらの用語の通常の意味に従って解釈されるべきである。1つの(a/an)/その(the)エレメント、装置、構成要素、手段、ステップなどへのすべての言及は、別段明示的に述べられていない限り、そのエレメント、装置、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも1つの事例に言及しているものとしてオープンに解釈されるべきである。本明細書で別段に示されていない限り、またはコンテキストによって明確に否定されていない限り、上記で説明されたエレメントのそれらのすべての考えられる変形形態における任意の組合せが、本開示によって包含される。
【0059】
さらに、上記で説明され、図面に示されたプロセスは、ステップのシーケンスとして示されたが、これは、説明のためにのみ行われた。したがって、いくつかのステップが追加され得、いくつかのステップが省略され得、ステップの順序が並べ替えられ得、いくつかのステップが並行して実施され得ることが企図される。すなわち、本明細書で開示されるいずれの方法のステップも、ステップが、別のステップに後続するかまたは先行するものとして明示的に説明されない限り、および/あるいはステップが別のステップに後続するかまたは先行しなければならないことが暗黙的である場合、開示される厳密な順序で実施される必要はない。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図17