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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】浄水器
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20230101AFI20230816BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20230816BHJP
   F16L 17/035 20060101ALN20230816BHJP
【FI】
C02F1/00 B
F16J15/10 L
F16L17/035
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022084794
(22)【出願日】2022-05-24
(62)【分割の表示】P 2018020502の分割
【原出願日】2018-02-07
(65)【公開番号】P2022126653
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2022-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】504346204
【氏名又は名称】三菱ケミカル・クリンスイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】河合 由修
(72)【発明者】
【氏名】木村 昇三
【審査官】高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-304983(JP,A)
【文献】特開2014-005065(JP,A)
【文献】特開2006-299666(JP,A)
【文献】特開2011-237367(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0118617(KR,A)
【文献】特開2014-039932(JP,A)
【文献】特開2011-212415(JP,A)
【文献】特開2010-115612(JP,A)
【文献】特開2004-230358(JP,A)
【文献】特開2009-125661(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0023406(US,A1)
【文献】国際公開第2014/050860(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
1/44
1/42
1/28
B01D 61/00 - 71/82
F16J 15/00 - 15/14
F16L 17/00 - 19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水貯留槽と、浄水貯留槽と、原水貯留槽内に供給された原水を浄化して、浄水貯留槽に供給するための浄水カートリッジを脱着する筒状のパッキンと、を備え、
前記浄水カートリッジは、前記原水貯留槽、及び、前記浄水貯留槽のうちのいずれか一方に、前記パッキンが取り付けられた状態で取り付けられるものであり、
前記パッキンは、前記浄水カートリッジを脱着する筒状構造体と、
前記筒状構造体の一方の開口部から他方の開口部に向かう方向に交差する方向に延伸する板状の構造体と、を備え、
前記板状の構造体は、前記筒状構造体の側壁の周囲を囲うように設けられており、前記板状の構造体の延伸方向に広がる面と前記筒状構造体における板状の構造体側の開口面が同一面上にあり、前記筒状構造体の一方の開口部から他方の開口部に向かう方向に撓む材質で形成されており、
前記浄水カートリッジの外周面に設けられた凹部と嵌合する凸部が前記筒状構造体の内周面に設けられている、浄水器。
【請求項2】
前記浄水カートリッジが、前記原水貯留槽、及び、前記浄水貯留槽のうちのいずれか一方に取り付けられた時、前記板状の構造体が前記原水貯留槽側を向く面を有し、かつ前記板状の構造体において前記原水貯留槽側を向く面と反対側の面が前記原水貯留槽または前記浄水貯留槽の内壁に沿って撓み水密化することを特徴とする、請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
前記板状の構造体よりも延伸する長さが短い突起構造体を、さらに備え、
前記突起構造体は、前記筒状構造体の側壁の周囲を囲うように設けられており、前記筒状構造体の一方の開口部から他方の開口部に向かう方向に撓む材質で形成されている、請求項1又は2に記載の浄水器。
【請求項4】
原水の浄化を行なうときに、前記原水貯留槽と前記浄水貯留槽とは、前記原水貯留槽が鉛直方向上側になるように接続されるものであり、
前記浄水カートリッジには、前記原水を前記浄水カートリッジ内に導入するための原水入口が設けられており、
前記板状の構造体の延伸方向に広がる面のうち、前記浄水カートリッジに取り付け時に、少なくとも前記原水貯留槽側を向く面の最下面に、前記原水入口の一部が位置する、請求項1~3のいずれか一項に記載の浄水器。
【請求項5】
前記原水貯留槽と前記浄水貯留槽との間にパッキンが設けられ、該パッキンに、前記原水貯留槽と前記浄水貯留槽との間に空気の逃げ道を確保するための凸凹構造が設けられている、請求項1~4のいずれか一項に記載の浄水器。
【請求項6】
前記凸凹構造が、リブである、請求項5に記載の浄水器。
【請求項7】
原水貯留槽及び浄水貯留槽のうち少なくとも一方の材質がガラスである、請求項1~6のいずれか一項に記載の浄水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパッキンとして使用可能な構造体、及び、浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、保管時の省スペース化を目的とした浄水器が記載されている。当該浄水器は、原水容器と本体容器とからなり、本体容器は、原水容器を取り外して蓋を装着させることで密閉可能であることが記載されている。
【0003】
特許文献2には、空気抜き路を不要とすることで部材コストの削減を図った浄水器が記載されている。
【0004】
特許文献3には、フィルタカートリッジを通る流れの量を減少させ調整することを容易にすることを目的としたフィルタカートリッジが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-132605号公報
【文献】特開2016-10800号公報
【文献】特表2008-500157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のカートリッジの突起を原水容器の底部に載せる浄水器では、原水容器に当該突起を設置するフラット面が必要である等、意匠が制限される。また、カートリッジを原水容器に取り付けるために、平パッキンを用いる場合も、やはり、平パッキンを設置するフラット面が必要である等、意匠が制限される。
【0007】
また、平パッキン又はОリングをカートリッジに取り付けて浄水器に搭載する場合、水密化のために原水容器と浄水を貯留する本体容器とに厳密な寸法公差が必要とされる。そのため、工業的な大量生産ではなく、手作りで浄水器を製造する場合、平パッキン又はОリング等を用いることができないことも考えられる。
【0008】
また、カートリッジを取り付ける際に押圧することで、取り付けられる側の容器に負荷がかかる。例えば、Оリングの場合はOリングの径方向に力がかかり、平パッキンの場合はつぶし代を確保するために押圧するため負荷がかかる。そのため、容器の材料として、ガラスなどの割れ易い材料を採用し難い。
【0009】
本発明の一態様は、このような事情に鑑みて成されたものであり、柱状構造体を容器に取り付ける際に用いる構造体であって、取り付けられる側の容器の形状及び材質の選択度の自由度を高くする構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る構造体は、柱状構造体を脱着する筒状構造体と、前記筒状構造体の一方の開口部から他方の開口部に向かう方向に交差する方向に延伸する板状の構造体と、を備え、前記板状の構造体は、前記筒状構造体の側壁の周囲を囲うように設けられており、前記筒状構造体の一方の開口部から他方の開口部に向かう方向に撓む材質で形成されている。
【0011】
また、本発明の一態様に係る浄水器は、原水貯留槽と、浄水貯留槽と、原水貯留槽内に供給された原水を浄化して、浄水貯留槽に供給するための浄水カートリッジを脱着する筒状のパッキンと、を備え、前記浄水カートリッジは、前記パッキンが取り付けられた状態で、前記原水貯留槽、及び、前記浄水貯留槽のうちのいずれか一方に取り付けるものであり、前記パッキンは、前記浄水カートリッジを脱着する筒状構造体と、前記筒状構造体の一方の開口部から他方の開口部に向かう方向に交差する方向に延伸する板状の構造体と、を備え、前記板状の構造体は、前記筒状構造体の側壁の周囲を囲うように設けられており、前記筒状構造体の一方の開口部から他方の開口部に向かう方向に撓む材質で形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、柱状構造体を容器に取り付ける際に用いる構造体であって、取り付けられる側の容器の形状及び材質の選択度の自由度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】浄水器1の構造を模式的に示す図である。
図2】パッキン5の構造を示す図である。
図3】浄水カートリッジ4を原水貯留槽2に取り付けるときのパッキン5の形状の変化を示す図である。
図4】パッキン60の外周面の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<浄水器>
本発明に係る浄水器の一態様について、図1を用いて説明する。図1は浄水器1の構造を模式的に示す図である。本実施形態に係る浄水器1は、原水貯留槽2、浄水貯留槽3、浄水カートリッジ4、パッキン5及びパッキン60を備えている。パッキン5は本発明に係る構造体の一態様である。また、浄水カートリッジ4は本発明における柱状構造体の一態様である。
【0015】
〔原水貯留槽〕
原水貯留槽2は、原水を貯留するための槽である。浄水器1の使用者は浄化する対象の原水を原水貯留槽2内に供給する。原水貯留槽2には浄水カートリッジ4に原水を供給する部位である原水供給部21が設けられている。また、原水供給部21には、浄水カートリッジ4が取り付けられる。原水の浄化を行なうときは、図1に示すように原水供給部21が鉛直方向下向きになる。使用者は、原水供給部21とは鉛直方向反対側に設けられた開口部22から原水を原水貯留槽2に供給することができる。本発明において、原水貯留槽2に原水を供給する態様は、本実施形態の態様には限定されない。例えば、原水貯留槽に前述の開口部22を設けずに原水供給部から原水を供給する態様でもよい。なお、本実施の態様では浄水カートリッジ4は原水供給部21に取り付けられるが、本発明は、浄水カートリッジ4を原水貯留槽に取り付ける態様に限定されない。浄水カートリッジは浄水貯留槽に取り付けられてもよい。
【0016】
原水貯留槽2の大きさ、形状、材質は、特に限定されず、浄水カートリッジ、パッキン等の大きさ、使用目的等に応じて適宜選択することができる。本発明の一態様によれば、パッキンの撓む構造から、より少ない負荷で浄水カートリッジを容器に取り付けることができ、また、取り付けられる部位をフラットな面にする必要がない。よって、大きさ、形状、材質等の設計の自由度が高い。例えば、材質としては、ガラス、陶磁器等も採用可能である。当然、浄水器の材質として従来公知の樹脂等も採用可能である。
【0017】
原水貯留槽2の原水供給部21側は、浄水貯留槽3の浄水受け部31に取り付けることができる構造となっている。
【0018】
〔浄水貯留槽〕
浄水貯留槽3は浄水カートリッジ4によって浄化された水を格納するための槽である。浄水貯留槽3の浄水を受け入れる部位である浄水受け部31は、その内側に、原水貯留槽2の原水供給部21側の先端から一部の領域が入り込んで嵌合する形状となっている。これにより、浄水貯留槽3を鉛直方向下側に、原水貯留槽2を鉛直方向上側に配置した状態で接続することができる。
【0019】
浄水貯留槽3の大きさ、形状、材質は、特に限定されず、浄水カートリッジ、パッキン等の大きさ、使用目的等に応じて適宜選択することができる。また、本実施形態では浄水カートリッジ4を原水貯留槽2に取り付ける態様について説明しているが、本発明の一態様においては、浄水貯留槽に浄水カートリッジを取り付けてもよい。浄水貯留槽に浄水カートリッジを取り付ける態様においても、パッキンの撓む構造から、より少ない負荷で浄水カートリッジを容器に取り付けることができ、また、取り付けられる部位をフラットな面にする必要がない。よって、大きさ、形状、材質等の設計の自由度が高い。例えば、材質としては、ガラス、陶磁器等も採用可能である。当然、浄水器の材質として従来公知の樹脂等も採用可能である。
【0020】
原水貯留槽2と浄水貯留槽3との間にはパッキン60が設置される。パッキン60は原水貯留槽2と浄水貯留槽3との間に設置されることで、原水貯留槽2と浄水貯留槽3とが互いに衝突することによる損傷を防ぐためのものである。例えば、原水貯留槽2の外側にパッキン60を取り付けた上で、浄水貯留槽3に接続してもよく、浄水貯留槽3の外側にパッキン60を取り付けた上で、原水貯留槽2に接続してもよい。また、パッキン60の構造を図4を用いて説明する。図4はパッキン60の外周面の構造を示す図である。パッキン60の外周面にはリブ61が4箇所設けられている。これにより、内径の大きい浄水貯留槽を使用した場合も、水密とならず浄水が可能である。この構成からも容器の意匠の自由度を高くすることができる。なお、原水貯留槽と浄水貯留槽との間に設置されるパッキンは、リブを設ける形態に限定されず、浄水が浄水貯留槽に貯まる際の空気の逃げ道が確保できればよい。例えば、当該パッキンの外周面に凸凹構造が設けられていることが好ましい。
【0021】
〔浄水カートリッジ〕
浄水カートリッジ4は原水を浄化するための装置である。浄水カートリッジ4は、筐体41を備えている。筐体41内にはろ材(図示せず)が格納されている。また、筐体41には原水入口42、浄水出口43が設けられている。原水入口42は原水を浄水カートリッジ4内に導入するための開口部である。浄水出口43はろ材を通過した水を浄水カートリッジ4外に出すための開口部である。浄水出口43から出た浄水は浄水貯留槽3に供給される。
【0022】
ろ材として、水の浄化のためのろ材として従来公知のものを採用すればよく、例えば、吸着剤、中空糸膜が挙げられる。
【0023】
吸着剤としては、例えば、粉末状吸着剤、この粉末吸着剤を造粒した粒状吸着剤、繊維状吸着剤などが挙げられる。具体的に吸着剤としては、粉末状吸着剤、この粉末吸着剤を造粒した粒状吸着剤、繊維状吸着剤などが挙げられる。このような吸着剤としては、例えば、天然物系吸着剤(天然ゼオライト、銀ゼオライト、酸性白土等)、合成物系吸着剤(合成ゼオライト、細菌吸着ポリマー、ヒドロキシアパタイト、モレキュラーシーブ、シリカゲル、シリカアルミナゲル系吸着剤、多孔質ガラス、ケイ酸チタニウム等)などの無機質吸着剤;粉末状活性炭、粒状活性炭、繊維状活性炭、ブロック状活性炭、押出成形活性炭、成形活性炭、分子吸着樹脂、合成物系粒状活性炭、合成物系繊維状活性炭、イオン交換樹脂(カチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂)、イオン交換繊維、キレート樹脂、キレート繊維、高吸収性樹脂、高吸水性繊維、吸油性樹脂、吸油剤などの有機系吸着剤等、公知のものが挙げられる。中でも、抗菌性のある銀添着活性炭を有することが望ましい。特に粒状の吸着剤を用いる場合、その粒度分布は200~1700μmが好ましい。この範囲であれば、ろ材の通水抵抗が十分小さく、流速が良好であり、また、十分な表面積であることから良好な除去性能が実現する。
【0024】
中空糸膜としては、種々の多孔質かつ管状の中空糸膜が使用でき、例えば、セルロース系、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン)系、ポリビニルアルコール系、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリエーテル系、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)系、ポリスルフォン系、ポリアクリロニトリル系、ポリ四弗化エチレン系、ポリビニリデンフロライド(PVDF)系、ポリカーボネイト系、ポリエステル系、ポリアミド系、芳香族ポリアミド系、等の各種材料からなるものが使用できる。中でも、中空糸膜の取扱性や加工特性等を考慮すると、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系の中空糸膜が好ましい。
【0025】
浄水カートリッジ4の内周面には凹部44が設けられている。これはパッキン5の凸部53と嵌合する構造である。これにより浄水カートリッジ4を原水貯留槽2に取り付けた際に、水密性をより高めることができる。また、浄水カートリッジ4と原水貯留槽2との位置ずれ、浄水カートリッジ4の落下を防止することもできる。浄水カートリッジ4側にOリング等のずれ防止のための部材を設けなくてよいので、部材コストの低減にもなる。
【0026】
〔パッキン〕
パッキン5の構造について図2も用いて説明する。図2はパッキン5の構造を示す図である。
【0027】
図2に示すように、パッキン5は浄水カートリッジ4を脱着する筒状構造体である。パッキン5には、その筒状構造体の一方の開口部5aから他方の開口部5bに向かう方向Xに交差する方向に延伸する、板状であり且つ円輪状の構造体である円輪部51(板状の構造体)と、当該方向に延伸する長さが円輪部51よりも短い円輪状の突起部52(突起構造体)とが設けられている。円輪部51、突起部52は共に筒状構造体の側壁の周囲を囲うように設けられており、筒状構造体の方向Xに撓む材質で形成されている。板状の構造体、突起構造体の形状は円輪状に限定されず、外周の輪郭が矩形、楕円等の様々な形状の輪状であり得る。また内周の輪郭は浄水カートリッジの形状に応じて適宜定めればよい。突起部52の数は限定されないが、例えば1~5個、より好ましくは1~3個である。また、パッキン5における筒状の本体部分と円輪部51、突起部52は一体成型されていてもよく、当該本体部分に別途製造した円輪部51、突起部52を取り付けてもよい。
【0028】
ここで、浄水カートリッジ4を原水貯留槽2に取り付けるときのパッキン5の形状の変化について図3を用いて説明する。図3は、浄水カートリッジ4を原水貯留槽2に取り付けるときのパッキン5の形状の変化を示す図である。
【0029】
まず、浄水カートリッジ4を原水貯留槽2に取り付けるときには、原水貯留槽2の開口部22から、パッキン5を取り付けた浄水カートリッジ4を入れる。図3の(a)に示すように、浄水カートリッジ4が原水貯留槽2に取り付けられる前は、円輪部51及び突起部52は方向Xに垂直な方向に延伸した形状を保っている。
【0030】
円輪部51の弾性は、特に限定されないが、例えばゴム硬度10~90度であり、より好ましくはゴム硬度20~50度である。これらの範囲であれば、取り付けられる側の容器の形状に沿って良好に撓む。
【0031】
突起部52の弾性は、特に限定されないが、例えばゴム硬度10~90度であり、より好ましくはゴム硬度20~50度である。これらの範囲であれば、取り付けられる側の容器の形状に沿って良好に撓む。
【0032】
円輪部51、突起部52の径、厚みは特に限定されず、原水貯留槽2及び浄水貯留槽3の意匠に応じて適宜定めればよい。
【0033】
パッキン5の内周面には凸部53が2カ所設けられている。浄水カートリッジ4の内周面の凹部44と嵌合する構造である。これによる利点は上述の通り、浄水カートリッジ4を原水貯留槽2に取り付けた際の水密性の向上、浄水カートリッジ4と原水貯留槽2との位置ずれ、浄水カートリッジ4の落下の防止、部材コストの低減である。
【0034】
パッキン5の材質としては、前述の弾性を実現する材料を適宜選択すればよく、例えばニトリルゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムが挙げられ、中でも耐熱・耐寒性、難燃性、化学的安定性よりシリコーンゴムがより好ましい。
【0035】
次に、図3の(b)に示すように、鉛直方向下向きに浄水カートリッジ4を押し進める。そうすると、円輪部51は、原水貯留槽2の内壁の形状に沿って、X方向上向きに撓み、当該内壁に付着する。これにより水密化される。また、円輪部51が前記内壁の形状に沿って撓みながら固定されることで、少ない応力で原水貯留槽2に固定することができる。よって、原水貯留槽2に必要な耐久性を少なくすることができる。また、パッキン5を付着させる箇所の形状として、様々な形状を採用することができる。
【0036】
また、図3の(b)に示すように突起部52は、原水貯留槽2の内壁の形状に沿って、X方向上向きに撓む。円輪部51に加えて突起部52でも水密化を図ることができるので、例えば原水貯留槽2の口が楕円状であっても水密性をより高くすることができる。また、原水貯留槽2に応力がかかる箇所を増やすことができるので、原水貯留槽2にかかる応力が分散する。よって、原水貯留槽2に求められる耐久性をより抑えることができる。
【0037】
また、図3の(b)に示すように、パッキン5が浄水カートリッジ4に固定されているとき、円輪部51の延伸方向に広がる面のうち、浄水カートリッジ4に取り付け時に原水貯留槽2側を向く面Pと、鉛直方向の同じ高さに原水入口42の開口部の一部が位置する。これにより、当該面上の原水が残存することなく原水入口42に導入される。古い原水が長期間残存することを防ぐことができるので、衛生面で好ましい。なお、本発明の一態様において、板状の構造体の延伸方向に広がる面のうち、浄水カートリッジに取り付け時に原水貯留槽の原水を貯留する側を向く面の高さは、板状の構造体が傾斜して取り付けられる場合、傾斜の最も低い位置と考えてもよい。そのような構成であれば、当該面上の原水がパッキン上に残存することを防ぐことができる。また、本発明の一態様において、板状の構造体の延伸方向に広がる面と、筒状構造体における板状の構造体側の開口面とは、同一面上であってもよい。
【0038】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0039】
<付記事項>
以上のように本発明の一態様に係る構造体は、柱状構造体を脱着する筒状構造体と、前記筒状構造体の一方の開口部から他方の開口部に向かう方向に交差する方向に延伸する板状の構造体と、を備え、前記板状の構造体は、前記筒状構造体の側壁の周囲を囲うように設けられており、前記筒状構造体の一方の開口部から他方の開口部に向かう方向に撓む材質で形成されている。
また、前記板状の構造体よりも延伸する長さが短い突起構造体を、さらに備え、前記突起構造体は、前記筒状構造体の側壁の周囲を囲うように設けられており、前記筒状構造体の一方の開口部から他方の開口部に向かう方向に撓む材質で形成されていることがより好ましい。
また、前記板状の構造体の弾性がゴム硬度10~90度であることがより好ましい。
また、前記突起構造体の弾性がゴム硬度10~90度であることがより好ましい。
また、本発明の一態様に係る浄水器は、原水貯留槽と、浄水貯留槽と、原水貯留槽内に供給された原水を浄化して、浄水貯留槽に供給するための浄水カートリッジを脱着する筒状のパッキンと、を備え、前記浄水カートリッジは、前記原水貯留槽、及び、前記浄水貯留槽のうちのいずれか一方に、前記パッキンが取り付けられた状態で取り付けられるものであり、前記パッキンは、前記浄水カートリッジを脱着する筒状構造体と、前記筒状構造体の一方の開口部から他方の開口部に向かう方向に交差する方向に延伸する板状の構造体と、を備え、前記板状の構造体は、前記筒状構造体の側壁の周囲を囲うように設けられており、前記筒状構造体の一方の開口部から他方の開口部に向かう方向に撓む材質で形成されている。
また、前記板状の構造体よりも延伸する長さが短い突起構造体を、さらに備え、前記突起構造体は、前記筒状構造体の側壁の周囲を囲うように設けられており、前記筒状構造体の一方の開口部から他方の開口部に向かう方向に撓む材質で形成されていることがより好ましい。
また、原水の浄化を行なうときに、前記原水貯留槽と前記浄水貯留槽とは、前記原水貯留槽が鉛直方向上側になるように接続されるものであり、前記浄水カートリッジには、前記原水を前記浄水カートリッジ内に導入するための原水入口が設けられており、前記板状の構造体の延伸方向に広がる面のうち、前記浄水カートリッジに取り付け時に前記原水貯留槽側を向く面と鉛直方向の同じ高さに、前記原水入口の一部が位置することがより好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の一態様に係る構造体は、例えば、液体用の容器に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 浄水器
2 原水貯留槽
3 浄水貯留槽
4 浄水カートリッジ(柱状構造体)
5 パッキン(構造体)
42 原水入口
51 円輪部(板状の構造体)
52 突起部(突起構造体)
図1
図2
図3
図4