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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】測定装置、検査装置、表面実装機
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/25 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
G01B11/25 H
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022514948
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 JP2020016720
(87)【国際公開番号】W WO2021210128
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田端 伸章
【審査官】續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-281665(JP,A)
【文献】特開2005-249684(JP,A)
【文献】特開2020-038074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定装置であって、
対象物に明度が周期的に変化する縞パターン光を投影するプロジェクタと、
対象物に投影された縞パターン光を撮影するカメラと、
演算装置と、を備え、
前記プロジェクタは、第1周期<第2周期<第3周期として、前記第1周期を有する第1縞パターン光と、前記第2周期を有する第2縞パターン光と、前記第3周期を有する第3縞パターン光と、を対象物にそれぞれ投影し、
前記カメラは、対象物に対して投影された前記第1縞パターン光と、前記第2縞パターン光と、前記第3縞パターン光と、をそれぞれ撮影し、
前記演算装置は、
前記カメラにより撮影した前記第1縞パターン光の画像、前記第2縞パターン光の画像及び前記第3縞パターン光の画像について、それぞれ位相シフト法による輝度の位相解析を行い、得られた位相解析結果に基づいて、対象物の高さを算出し、
前記演算装置は、
対象物の高さの算出精度が高精度である場合、前記第1縞パターン光を撮影した画像についての輝度の位相解析から得られた第1位相値と、前記第2縞パターン光を撮影した画像についての輝度の位相解析から得られた第2位相値と、前記第3縞パターン光を撮影した画像についての輝度の位相解析から得られた第3位相値とを用いて、対象物の高さを算出し、
対象物の高さの算出精度が低精度である場合、前記第2縞パターン光を撮影した画像についての輝度の位相解析から得られた第2位相値と、前記第3縞パターン光を撮影した画像についての輝度の位相解析から得られた第3位相値とを用いて、対象物の高さ算出する、測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記演算装置は、対象物の高さの算出精度が高精度である場合、
前記第2位相値と前記第3位相値の位相差を参照して、前記第1位相値を位相接続し、
位相接続後の前記第1位相値に基づいて、対象物の高さを算出する、測定装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の測定装置であって、
前記演算装置は、対象物の高さの算出精度が低精度である場合、
前記第2位相値及び前記第3位相値の位相差を参照して、前記第2位相値又は前記第3位相値を位相接続し、
位相接続後の前記第2位相値又は前記第3位相値に基づいて、対象物の高さを算出する、測定装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の測定装置であって、
前記第1周期をT1、前記第2周期をT2、前記第3周期をT3として、
2×T1≦T2、T2<T3<1.5×T2である、測定装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のうちいずれか一項に記載の測定装置であって、
前記演算装置は、前記第2縞パターン光を撮影した画像と前記第3縞パターン光を撮影した画像の解析結果から、対象物の高さの算出精度を、高精度にするか低精度にするか、判断する、測定装置。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の測定装置であって、
前記演算装置は、
低精度を選択し、前記第2位相値及び前記第3位相値を用いて対象物の高さを算出し、算出した対象物の高さが高さ閾値以下の場合、
更に高精度を選択し、前記第1位相値、前記第2位相値及び前記第3位相値を用いて対象物の高さを算出する、測定装置。
【請求項7】
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の測定装置であって、
前記演算装置は、前記第2位相値と前記第3位相値の位相差を用いて、前記第2位相値又は前記第3位相値を位相接続し、
位相接続後の前記第2位相値又は前記第3位相値が位相閾値以下の場合、高精度を選択し、前記第1位相値、前記第2位相値及び前記第3位相値を用いて、対象物の高さを算出し、
位相接続後の前記第2位相値又は前記第3位相値が位相閾値より大きい場合、低精度を選択し、前記第2位相値及び前記第3位相値を用いて、対象物の高さを算出する、測定装置。
【請求項8】
請求項1~請求項5のうちいずれか一項に記載の測定装置であって、
前記演算装置は、前記位相解析に加えて、前記カメラにより撮影した前記第1縞パターン光の画像、前記第2縞パターン光の画像及び前記第3縞パターン光の画像について、輝度のパワーを解析し、
前記第1縞パターン光を撮影した画像の輝度のパワーが輝度閾値以上である場合、高精度を選択し、前記第1位相値、前記第2位相値及び前記第3位相値を用いて、対象物の高さを算出する、測定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の測定装置であって、
前記演算装置は、前記第1縞パターン光を撮影した画像の輝度のパワーが輝度閾値未満である場合、前記第2縞パターン光と前記第3縞パターン光を撮影した2つの画像の輝度のパワーを輝度閾値と比較し、前記2つの画像の輝度のパワーが輝度閾値以上である場合、
低精度を選択し、前記第2位相値及び前記第3位相値を用いて、対象物の高さを算出する、測定装置。
【請求項10】
請求項1~請求項9のうちいずれか一項に記載の測定装置を備えた表面実装機。
【請求項11】
請求項1~請求項9のうちいずれか一項に記載の測定装置を備えた検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、位相シフト法を用いて、対象物の高さを測定する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対象物の高さを測定する方法の一つに位相シフト法がある。位相シフト法は、輝度値が周期的に変化する縞パターン光を、対象物に対して位相をずらして複数回投影して、複数の画像を取得する。得られた複数の画像から、画素の輝度値の位相を推定して、対象物の高さを測定するものである。下記特許文献1、2には、位相シフト法を用いた3次元測定装置について開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5780659号公報
【0004】
【文献】特開2018-146476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
位相シフト法は、対象物に縞パターン光を投影し、得られた画像から輝度の位相値を推定して高さを算出する。対象物に投影する縞パターン光の周期が短いほど、分解能が高くなることから高さの算出精度が高い。一方、周期が長い程、カメラのピント面を基準とした有効深度は深い。
【0006】
分解能と有効深度は、いわゆるトレードオフの関係である。そのため、1種類の縞パターン光を用いた場合、分解能を優先して、高さの算出精度を高くすると、有効深度が浅くなる。また、有効深度を優先すると、分解能が低下して、高さの算出精度が低下する。
【0007】
本明細書で開示される技術は、上記の課題に鑑みて創作されたものであって、位相シフト法を用いた対象物の高さ測定装置において、周期の異なる3種類の縞パターン光を用いることにより、高精度かつ高深度な測定を行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
測定装置であって、対象物に明度が周期的に変化する縞パターン光を投影するプロジェクタと、対象物に投影された縞パターン光を撮影するカメラと、演算装置と、を備え、前記プロジェクタは、第1周期<第2周期<第3周期として、前記第1周期を有する第1縞パターン光と、前記第2周期を有する第2縞パターン光と、前記第3周期を有する第3縞パターン光と、を対象物にそれぞれ投影し、前記カメラは、対象物に対して投影された前記第1縞パターン光と、前記第2縞パターン光と、前記第3縞パターン光と、をそれぞれ撮影し、前記演算装置は、前記カメラにより撮影した前記第1縞パターン光の画像、前記第2縞パターン光の画像及び前記第3縞パターン光の画像について、それぞれ位相シフト法による輝度の位相解析を行い、得られた位相解析結果に基づいて、対象物の高さを算出する。
【0009】
本構成では、対象物の高さの算出に、周期の異なる3種類の縞パターン光を使用する。分解能と有効深度はトレードオフの関係にあり、第1周期(短周期)の縞パターン光により、有効深度は浅くても、分解能を高くすることが出来る。そのため、対象物の高さを、高精度に算出できる。また、第2周期(中周期)と第3周期(長周期)の縞パターン光により、分解能は低くても、有効深度を深くすることが出来る。
【0010】
測定装置の一実施態様として、前記演算装置は、対象物の高さの算出精度が高精度である場合、前記第1縞パターン光を撮影した画像についての輝度の位相解析から得られた第1位相値と、前記第2縞パターン光を撮影した画像についての輝度の位相解析から得られた第2位相値と、前記第3縞パターン光を撮影した画像についての輝度の位相解析から得られた第3位相値とを用いて、対象物の高さを算出してもよい。また、対象物の高さの算出精度が低精度である場合、前記第2縞パターン光を撮影した画像についての輝度の位相解析から得られた第2位相値と、前記第3縞パターン光を撮影した画像についての輝度の位相解析から得られた第3位相値と、を用いて、対象物の高さ算出してもよい。
【0011】
本構成では、第1位相値と第2位相値と第3位相値を用いることで、対象物の高さを、高精度(深度が浅い)に算出することが出来る。また、第2位相値と第3位相値を用いることで、対象物の高さを低精度(深度が深い)で算出することが出来る。
【0012】
測定装置の一実施態様として、前記演算装置は、対象物の高さの算出精度が高精度である場合、前記第2位相値と前記第3位相値の位相差を参照して、前記第1位相値を位相接続し、位相接続後の前記第1位相値に基づいて、対象物の高さを算出する。
【0013】
この構成では、第2位相値と第3位相値の位相差による周期の長い位相変化を参照して第1位相値を位相接続する。参照する位相が長周期である程、高い位相次数まで特定できる。よって、第1縞パターン光の有効深度を超えない範囲で、高精度による高さの算出について、算出可能範囲を拡げることが出来る。
【0014】
測定装置の一実施態様として、前記演算装置は、対象物の高さの算出精度が低精度である場合、前記第2位相値及び前記第3位相値の位相差を参照して、前記第2位相値又は前記第3位相値を位相接続し、位相接続後の前記第2位相値又は前記第3位相値に基づいて、対象物の高さを算出してもよい。
【0015】
この構成では、第2位相値と第3位相値の位相差による周期の長い位相変化を参照して第2位相値又は第3位相値を位相接続する。参照する位相が長周期である程、高い位相次数まで特定できる。よって、第2縞パターン光又は第3縞パターン光の有効深度を超えない範囲で、低精度による高さの算出について、算出可能範囲を拡げることが出来る。
【0016】
前記第1周期をT1、前記第2周期をT2、前記第3周期をT3として、2×T1≦T2、T2<T3<1.5×T2でもよい。
【0017】
この構成では、第2周期に対する第3周期の比率は1~1.5倍であり、第2位相値と第3位相値の位相差から周期の長い位相変化を得ることが出来る。そのため、位相接続に使用する参照用の位相として好適である。
【0018】
前記演算装置は、前記第2周期の縞パターン光と前記第3周期の縞パターン光を撮影した画像の解析結果から、対象物の高さの算出精度を、高精度にするか低精度にするか、判断してもよい。
【0019】
この構成では、対象物に投影した縞パターン光の解析結果を利用して、対象物の高さの算出精度を選択することが出来る。
【0020】
前記演算装置は、低精度を選択し、前記第2位相値及び前記第3位相値を用いて対象物の高さを算出し、算出した対象物の高さが高さ閾値以下の場合、更に高精度を選択し、前記第1位相値、前記第2位相値及び前記第3位相値を用いて対象物の高さを算出してもよい。
【0021】
この構成では、算出した対象物の高さが高さ閾値以下の場合(対象物がピント面に近い範囲にある場合)は、高さを高精度に算出することが出来る。
【0022】
前記演算装置は、前記第2位相値と前記第3位相値の位相差を用いて、前記第2位相値又は前記第3位相値を位相接続し、位相接続後の前記第2位相値又は前記第3位相値が位相閾値以下の場合、高精度を選択し、前記第1位相値、前記第2位相値及び前記第3位相値を用いて、対象物の高さを算出してもよい。
位相接続後の前記第2位相値又は前記第3位相値が位相閾値より大きい場合、低精度を選択し、前記第2位相値及び前記第3位相値を用いて、対象物の高さを算出してもよい。
【0023】
この構成では、第2位相値又は第3位相値が位相閾値以下の場合(対象物がピント面に近い範囲にある場合)、高さを高精度に算出することが出来る。また、第2位相値又は第3位相値が位相閾値より大きい場合(対象物がピント面から離れている場合)、高さを低精度に算出することが出来る。
【0024】
前記演算装置は、前記解析処理において、位相解析に加えて、前記カメラにより撮影した前記第1縞パターン光の画像、前記第2縞パターン光の画像及び前記第3縞パターン光の画像について、輝度のパワーを解析し、前記第1周期の縞パターン光を撮影した画像の輝度のパワーが輝度閾値以上である場合、前記算出処理において、前記高精度算出処理を実行してもよい。
【0025】
この構成では、第1周期の縞パターン光を撮影した画像の輝度のパワーが閾値を超える範囲(第1周期の縞パターンについて位相解析を行うために必要なコントラストが得られる範囲)では、対象物の高さを高精度に算出することが出来る。
【0026】
前記演算装置は、前記第1周期の縞パターン光を撮影した画像の輝度のパワーが輝度閾値未満である場合、前記第2周期の縞パターン光と前記第3周期の縞パターン光を撮影した2つの画像の輝度のパワーを輝度閾値と比較し、前記2つの画像の輝度のパワーが輝度閾値以上である場合、前記算出処理において、前記低精度算出処理を実行してもよい。
【0027】
この構成では、第2周期又は第3周期の縞パターン光を撮影した画像の輝度のパワーが閾値を超える範囲(第2周期、第3周期の縞パターンについて位相解析を行うために必要なコントラストが得られる範囲)では、対象物の高さを低精度に算出することが出来る。
【0028】
測定装置は、プリント基板に電子部品を搭載する表面実装機に使用することが出来る。また、プリント基板の検査装置に使用することが出来る。また、他の用途、装置にも使用することが出来る。
【発明の効果】
【0029】
本明細書で開示される技術によれば、位相シフト法を用いた対象物の高さ測定装置において、周期の異なる3種類の縞パターン光を用いることにより、高精度かつ高深度な測定を可能とすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】測定装置のブロック図
図2】縞パターンを示す図
図3】画像を示す図
図4】輝度とシフト量の関係を示す図
図5】輝度と位相の関係を示す図
図6】位相接続法の説明図
図7】分解能と有効深度の関係を示す図
図8】波と位相値を示す図
図9】算出シーケンスを示す図
図10】表面実装機の平面図
図11】ヘッドユニットの支持構造を示す図
図12】算出シーケンスを示す図
図13】算出シーケンスを示す図
図14】検査装置の正面図
【発明を実施するための形態】
【0031】
<実施形態1>
1.測定装置1の説明
図1に示すように、測定装置1は、プロジェクタ2と、カメラ3と、データ処理装置4を備える。
【0032】
測定装置1は、対象物Mに対して測定を行う。測定装置1は、プロジェクタ2が、対象物Mの上方にあって、対象物Mに対して検出光を斜め上方から投影することができるように配置される。検出光は、図2に示すように、明度が周期的に変化する縞パターン光Lである。縞パターン光Lは、一例として、明度が正弦波状に変化する正弦波パターン光である。図2の「正弦波」は、縞パターン光Lの明度の変化を示している。
【0033】
カメラ3は、対象物Mの上方にあって、撮像面を下に向けた状態で配置されている。カメラ3は、対象物Mに投影された縞パターン光Lを撮影する。
【0034】
データ処理装置4は、画像処理部5と、メモリ6と、演算装置7を備える。画像処理部5は、カメラ3から画像Gのデータが入力される。画像処理部5は、画像Gのデータをデータ処理して、各画素Psの輝度Iを演算する(図3参照)。
【0035】
演算装置7は、画像処理部5から入力される画素Psの輝度Iのデータから、輝度Iの位相値φを求め、求めた位相値φに基づいて、対象物Mの高さHを算出する。高さHは、基準面FからのZ方向の距離である。演算装置7は、位相値φの演算に、位相シフト法を用いる。
【0036】
2.位相シフト法の測定原理
位相シフト法は、対象物Mに対する縞パターン光Lの投影と撮影を、縞パターン光Lの位相を複数回シフトして行い、得られた各画像Gの輝度Iから位相値φを推定する方法である。
【0037】
縞パターン光Lを撮影した画像Gの画素Psの輝度I(x、y)は、数1式で表すことが出来る。ただし、縞パターン光は正弦波であり、x、yは、画素Psの位置(座標)である。
【0038】
【数1】
【0039】
尚、数1において、aは輝度振幅、φは縞の位相値、bは背景輝度である。
縞パターン光Lのシフト量αを0、π/2、π、(3/2)πと変化させた場合、位相をそれぞれシフトした各縞パターン光Lの画素Psの輝度I0~I3は、以下の数2式で表すことが出来る。尚、縞パターン光Lをシフトする方向は、波の繰り返し方向、つまり、図2の場合、X方向である。
【0040】
【数2】
【0041】
数式2より、測定対象の縞パターン光(α=0)の輝度I0の位相値φは、以下の数3式で表すことが出来る。また、輝度I0のパワーPは、以下の数式4で表すことが出来る(図4、5を参照)。
【0042】
【数3】
【0043】
【数4】
【0044】
輝度I0の位相値φは、対象物Mの高さHと相関性があることから、画素Psの位相値φを推定することで、対象物Mの高さH(φ)を推定することが出来る。例えば、位相値φと対象物Mの高さHのデータを予め実験的に求め、参照テーブを作成し、メモリ6に保存する。参照デーブルを使用して、対象物Mの高さH(φ)を求めることが出来る。
【0045】
尚、上記では、シフト量αを0、π/2、π、(3/2)πと変化させたが、位相値φの推定は、少なくとも異なる3位相あればよく、シフト量αは0、2π/3、4π/3でもよい。
【0046】
3.位相接続
位相値φが-πからπの範囲で値を取る場合、H(φ)の値は、H(-π)からH(π)の範囲に制限される。高さHの算出可能範囲を拡げる手法の一つに、位相接続法がある。位相接続法は、参照用の位相を用いて、位相値φの位相次数kを特定する方法である。
【0047】
図6は、計測用の縞パターン光として高周波の縞である周期T1の光を用い、参照用の縞パターン光として低周波の縞である周期T2(T1<T2)の光を用いて、位相接続を行った場合を示している。φaは計測用縞パターン光(T1)の位相値、φbは参照用縞パターン光(T2)の位相値である。
【0048】
図6の例では、参照用の位相値φbと対応するのは、5周期目の位相値φaであることから、位相値φaの位相次数kは「5」である。
【0049】
【数5】
【0050】
上記の通り、参照用の位相を用いることで、位相値φの位相次数kを特定し、位相値φaを、-πからπの範囲よりも、拡大することが出来る。そのため、H(φ)の算出可能範囲を拡大することが出来る。
【0051】
4.分解能と有効深度
図7は、位相シフト法による高さ算出について、分解能と有効深度との関係を示す。分解能は、算出可能な最小ピッチである。有効深度Dは、有効なコントラスト画像Gが得られるZ方向の範囲(基準面Fからの距離)である。基準面Fはカメラ3の焦点が一致する面(ピント面)である。Z方向は、高さ方向(図1の上下方向)である。
【0052】
Eは分解能と有効深度の関係を示す特性曲線である。Eaは周期Taの縞パターン光の特性曲線、Ebは周期Tbの縞パターン光の特性曲線、Ecは周期Tcの縞パターン光の特性曲線である。Da~Dcは各有効深度である。尚、周期の大小関係は、Ta<Tb<Tcである。
【0053】
分解能は周期Tが短いほど高く、有効深度Dは周期Tが長いほど広い。分解能と有効深度は、トレードオフの関係があることから、両立させることが課題となっている。
【0054】
測定装置1は、プロジェクタ2から、対象物Mに対して、周期Tの異なる3つの縞パターン光L1~L3を投影する(図8参照)。
【0055】
短周期の縞パターン光L1により、有効深度Dは浅くても、分解能が高く、高さHを高精度に算出することが出来る。また、中周期と長周期の縞パターン光L2、L3により、分解能は低く低精度でも、有効深度Dを深くすることが出来る。そのため、高精度かつ高深度な測定を行うことが出来、高さHの算出精度と有効深度を両立させることが出来る。
【0056】
以下、対象物Mの高さ算出方法を、図9を参照して、詳しく説明する。
図9に示す算出シーケンスは、S10、S20、S30、S40、S90の5つのステップから構成されている。
【0057】
S10では、撮影処理が実行される。具体的には、プロジェクタ2から縞パターン光Lを対象物Mに投影し、対象物Mに投影した縞パターン光Lを、カメラ3で撮影する処理が実行される。縞パターン光は、L1~L3の3種があり、縞パターン光を順番に切り換えつつ、撮影が行われる。
【0058】
尚、測定装置1は、輝度Iの位相演算に位相シフト法を用いる。そのため、各縞パターンL1~L3について、シフト量α=π/2として位相をずらして、4回の撮影が行われる。
【0059】
図8に示すように、3種の縞パターン光L1~L3は、周期T1~T3が異なっている。周期Tの大小関係は、T1<T2<T3であり、第1縞パターン光L1の第1周期T1が最も短い。第2縞パターン光L2の第2周期T2と第3縞パターン光L3の第3周期T3の差は僅かであり、2つの縞パターン光L2、L3を合成することで、長周期の縞パターン光L23を生成することが出来る、尚、波長λの大小関係は、λ1<λ2<λ3である。
【0060】
S20では、画像処理部5及び演算装置7により、撮影した画像Gの解析処理が行われる。具体的には、画像処理部5にて、撮影した画像Gから一画素Psを抽出し、輝度値Iが演算される。そして、演算装置7にて、輝度Iの位相値φが、位相シフト法を用いて、推定される。
【0061】
S30では、演算装置7により、全画像Gについて位相値φの演算が完了したか判断される。S10で撮影した画像Gのうち、未解析の画像Gがあれば、S10に戻り、残りの画像Gから同じ位置の画素Psを抽出して画像Gの解析が行われる。
【0062】
S20の処理が、繰り返されることにより、S10にて撮影した各縞パターン光L1~L3の各画像Gについて、同一位置の画素Psを対象に、3つの位相値φ1~φ3が演算される。
【0063】
第1位相値φ1は、第1縞パターン光L1の輝度Iの位相値である。第2位相値φ2は、第2縞パターン光L2の輝度Iの位相値である。第3位相値φ3は、第3縞パターン光L3の輝度Iの位相値である。
【0064】
全画像Gについて解析処理が終了する、S30でYES判定され、S40に移行する。
【0065】
S40では、演算装置7により、算出処理が実行される。算出処理は、S20で行った位相解析結果に基づいて、対象物Mの高さHを算出する処理である。算出処理は、S41~S45の5つのステップを含む。
【0066】
S41では、演算装置7により、3つの位相値φ1~φ3のうち、第2位相値φ2と第3位相値φ3を用いて、第2位相値φ2を位相接続する処理が実行される。
【0067】
具体的には、図8に示すように、第2位相値φ2と第3位相値φ3から位相差Δをまず求める。位相差Δ=φ2-φ3である。
【0068】
そして、演算した位相差Δを参照して、第2位相値φ2を位相接続する。2つの周期T2、T3の差が小さいほど、得られる周期Tは長いので、第2位相値φ2の位相次数kを高次数まで求めことが可能である。そのため、高さH(φ)の算出可能範囲を拡げることが出来る。
【0069】
周期Tの異なる2つの波の合成波は、単一波よりも、波形の崩れがなく、精度の高い正弦波が得られるので、測定精度が高いと言うメリットがある。
【0070】
次にS42では、演算装置7により、低精度算出処理が実行される。具体的には、位相接続後の第2位相値φ'2に基づいて、対象物Mの高さH(φ)を算出する処理が実行される。そして、対象物Mの高さH(φ)は、算出結果として、メモリ6に記憶される。H(φ)は、第1位相値φ1に比べて、分解能の低い第2位相値φ2に基づいて算出されるため、H(φ)の算出精度は、H(φ)の算出精度よりも、低精度である。
【0071】
次にS43では、演算装置7により、対象物Mの高さH(φ)を、高さ閾値Hoと比較する処理が行われる。高さ閾値Hoは、対象物Mが第1縞パターン光L1の有効深度D1内に収まっているか否かの判断用である。図1にて、「E」は有効深度外を示している。
【0072】
対象物Mの高さH(φ)が高さ閾値Ho以下の場合(有効深度内の場合)、S44に移行する。S44では、演算装置7により、S41で位相接続をした第2位相値φ'2を用いて、第1位相値φ1を位相接続する処理が実行される。その後、S45に移行する。
【0073】
S45では、演算装置7により、高精度算出処理が実行される。具体的には、位相接続後の第1位相値φ'1に基づいて、対象物Mの高さH(φ)を算出する処理が実行される。
【0074】
S45の高精度算出処理が実行された場合、メモリ6に記憶された推定結果は、S42で算出したH(φ)から、S45で算出した高さH(φ)に上書きされる。上書きは、書き換える意味である。H(φ)は、第2位相値φ2及び第3位相値φ3に比べて、分解能の高い第1位相値φ1に基づいて算出されるため、H(φ)の算出精度は、H(φ)の算出精度よりも、高精度である。
【0075】
一方、対象物Mの高さH(φ)が、高さ閾値Hoよりも大きい場合(有効深度外の場合)、S44、S45の処理は実行されず、S42で算出した値が、算出結果として、残される。
【0076】
S90では、演算装置7により、全画素Psについて解析が終了したか、判定する処理が行われる。解析が終了していない画素Psがあれば、S20に移行し、次の画素Psを抽出して解析処理が実行される。
【0077】
このような処理が、各画素Psについて行われ、対象物Mについて各対象点の高さH(φ)が算出される。そして、全対象点(全画素Ps)について、演算が完了すると、S90でYES判定され、一連の処理は終了する。
【0078】
以上説明したように、算出処理S40は、高精度算出処理S45と低精度算出処理S42を含んでいる。ピント面Fに近い一部の範囲(深度の浅い範囲)では、高精度算出処理S35を実行することで、高精度な高さH(φ)が得られる。また、ピント面Fから離れた範囲(深度の深い範囲)でも、低精度算出処理S42の算出結果を用いることで、低精度な高さH(φ)が得られる。以上により、ピント面Fから離れた範囲(深度の深い範囲)に含まれる対象物Mの高さH(φ)の算出を可能としつつ、ピント面Fに近い一部の範囲(深度の浅い範囲)では、対象物の高さH(φ)を、高精度に算出することが出来る。
【0079】
また、S44で第1位相値φ1の位相接続を行う。そのため、第1縞パターン光L1の有効深度D1の範囲内において、H(φ)の算出可能範囲を拡大することが出来る。
【0080】
また、S41で第2位相値φ2の位相接続を行う。そのため、第2縞パターン光L2の有効深度D2の範囲内において、H(φ)の算出可能範囲を拡大することが出来る。
【0081】
図10は、測定装置1を備えた表面実装機11の平面図である。表面実装機11は、測定装置1と、基台31と、搬送コンベア32と、ヘッドユニット33と、駆動部34と、フィーダ35を備える。搬送コンベア32は、作業対象のプリント基板Wを、基台31上においてX方向に搬送する。
【0082】
駆動部34は、ヘッドユニット33を、基台31上において、平面方向(XY方向)に移動させる装置である。
【0083】
駆動部34としては、モータを駆動源とする2軸や3軸のボール螺子機構などを例示することが出来る。フィーダ35は、プリント基板Wに実装する電子部品Bを供給する装置である。
【0084】
図11に示すように、ヘッドユニット33は、支持部材38に対してスライド可能に支持されており、複数本の実装ヘッド40を備えている。
【0085】
実装ヘッド40は、ヘッドユニット33に対して、昇降操作可能に支持されている。実装ヘッド40は、電子部品Bを負圧による吸着保持することが出来る。
【0086】
ヘッドユニット33及び実装ヘッド40は、フィーダ35から供給される電子部品Bを、基台中央の作業位置にて、プリント基板Wに実装する機能を果たす。
【0087】
測定装置1は、図11に示すように、ヘッドユニット33に搭載されている。測定装置1は、撮影面を下に向けており、プリント基板Wを撮影する。測定装置1は、得られた画像Gからプリント基板Wの各点の高さや、プリント基板W上に搭載された電子部品Eの高さを測定する。
【0088】
測定結果から、プリント基板Wの反りの有無や電子部品Eの搭載状態の良否など、プリント基板Wの状態を検査することが出来る。このように、測定装置1はプリント基板Wの検査用として使用することが出来る。
【0089】
<実施形態2>
図12は算出シーケンスのフローチャート図である。実施形態2の算出シーケンスは、S10、S20、S30、S50、S90の5つのステップから構成されており、実施形態1の算出シーケンスに対して、S50の算出処理が異なっている。
【0090】
S10~S30では、実施形態1の場合と同様に、プロジェクタ2から3種類の縞パターン光L1~L3を対象物Mに投影し、カメラ3で撮影する処理が実行される。その後、各縞パターン光L1~L3の画像Gから同一画素Psを抽出し、各画素Psの輝度Iの位相値φ1~φ3を解析する処理が行われる。そして、解析処理が終了すると、S50に移行して、算出処理が行われる。
【0091】
算出処理は、S51~S55の5つのステップから構成されている。
S51では、演算装置7は、3つの位相値φ1~φ3のうち、第2位相値φ2と第3位相値φ3を用いて、第2位相値φ2を位相接続する。
【0092】
S52では、演算装置7は、第2位相値φ2の位相次数kを次数閾値koと比較して、位相次数kが次数閾値ko以下か判断する。次数閾値koは、対象物Mが第1縞パターン光L1の有効深度D1内に収まっているか否かの判断用であり、高さの閾値Hoを、位相次数に換算した値である。
【0093】
位相次数kが次数閾値ko以下の場合(S52:YES)、S53に移行する。S53では、演算装置7は、S51で位相接続をした第2位相値φ2を用いて、第1位相値φ1を位相接続する。その後、S54に移行する。
【0094】
S54に移行すると、演算装置7は高精度算出処理を行う。高精度算出処理は、位相接続後の第1位相値φ'1に基づいて、対象物Mの高さH(φ)を算出する処理である。
【0095】
一方、位相次数kが閾値koよりも大きい場合(S52:NO)、S55に移行する。S55に移行すると、演算装置7は低精度算出処理を実行する。低精度算出処理は、S51にて位相接続した第2位相値φ'2に基づいて、対象物Mの高さH(φ)を算出する処理である。
【0096】
その後、S90では、全画素Psについて解析が終了したか、判定する処理が行われる。解析が終了していない画素Psがあれば、S20に移行し、次の画素Psを抽出して位相を解析する処理が実行される。
【0097】
このような処理が各画素Psについて行われ、全対象点の高さH(φ)が推定されると、S90でYES判定され、一連の処理は終了する。
【0098】
実施形態2の算出処理S50は、実施形態1と同様に、高精度算出処理S54と低精度算出処理S55を含んでいる。ピント面Fに近い一部の範囲(深度の浅い範囲)では、高精度算出処理S54を実行することで、高精度な高さH(φ)が得られる。また、ピント面Fから離れた範囲(深度の深い範囲)でも、低精度算出処理S5を実行することで、低精度な高さH(φ)が得られる。以上により、ピント面Fから離れた範囲(深度の深い範囲)に含まれる対象物Mの高さH(φ)の算出を可能としつつ、ピント面Fに近い一部の範囲(深度の浅い範囲)では、対象物の高さH(φ)を、高精度に算出することが出来る。
【0099】
尚、実施形態2では、S52にて、第2位相値φ2の位相次数kを次数閾値koと比較することにより、高精度算出処理(S54)と低精度算出処理(S55)のいずれを実行するのか判断した。これ以外にも、位相接続後の第2位相値φ'2を位相閾値φoと比較して、判断してもよい。位相閾値φoは、高さ閾値Hoに対応する位相値である。
【0100】
判断に第2位相値φ2を用いた場合、精度の高い判断が出来るとメリットがある。また、位相次数kを用いた場合、次数は整数であるから、比較が容易であり、計算負担が小さいと言うメリットがある。
【0101】
<実施形態3>
図13は、測定シーケンスのフローチャート図である。実施形態3の算出シーケンスは、S10、S25、S30、S60、S90の5つのステップから構成されており、実施形態1の算出シーケンスに対して、S25、S60の算出処理が異なっている。
【0102】
S10では、実施形態1の場合と同様に、プロジェクタ2から3種類の縞パターン光L1~L3を対象物Mに投影し、カメラ3で撮影する処理が実行される。その後、S25に移行して解析処理が実行される、解析処理では、S10で撮影した各縞パターン光L1~L3の画像Gについて、輝度Iの位相値φの解析に加えて、輝度IのパワーPが解析される。パワーPは「数式4」より、求めることが出来る。
【0103】
以下、第1縞パターン光L1の輝度IのパワーをP1とする。また、第2縞パターン光L2の輝度Iのパワーと、第3縞パターン光L3の輝度Iのパワーを、それぞれP2、P3とする。そして、解析処理が終了すると、S60に移行して算出処理が行われる。
【0104】
S60の算出処理は、S61~S67の7つのステップから構成されている。S61では、演算装置7により、3つの位相値φ1~φ3のうち、第2位相値φ2と第3位相値φ3を用いて、位相値φ2を位相接続する処理が実行される。
【0105】
S62では、演算装置7により、パワーP1を輝度閾値Poと比較して、パワーP1が輝度閾値Po以上か判断する。輝度閾値Poは、測定精度を維持するために必要なパワーの下限値である。
【0106】
パワーP1が輝度閾値Po以上の場合、S63に移行する。S63に移行すると、演算装置7は、S61で位相接続をした第2位相値φ'2を用いて、第1位相値φ1を位相接続する。その後、S64に移行する。
【0107】
S64に移行すると、演算装置7は、高精度算出処理を実行する。高精度算出処理は、位相接続後の第1位相値φ'1に基づいて対象物Mの高さH(φ)を算出する処理である。
【0108】
一方、パワーP1が輝度閾値Poより小さい場合(S62:NO)、S65に移行する。S65に移行すると、演算装置7は、パワーP2、パワーP3を輝度閾値Poと比較して、パワーP2及びパワーP3が輝度閾値Po以上か判断する。
【0109】
パワーP2とパワーP3が輝度閾値Po以上の場合(S65:YES)、S66に移行する。S66に移行すると、演算装置7は、低精度算出処理を実行する。低精度算出処理は、位相接続後の第2位相値φ'2に基づいて、対象物Mの高さH(φ)を算出する処理である。
【0110】
パワーP2、パワーP3のうち、少なくともいずれ一方が、輝度閾値Po未満の場合(S65:NO)、S67に移行して、その画素Psを無効画素Psとして処理する。
【0111】
その後、S90では、全画素Psについて解析が終了したか、判定する処理が行われる。解析が終了していない画素Psがあれば、S20に移行し、次の画素Psを抽出して位相値φとパワーPを解析する処理が実行される。
【0112】
このような処理が各画素Psについて行われ、全対象点の高さH(φ)が推定されると、S90でYES判定され、一連の処理は終了する。
【0113】
実施形態3の算出処理S60は、実施形態1と同様に、高精度算出処理S64と低精度算出処理S66を含んでいる。ピント面Fに近い一部の範囲(深度の浅い範囲)では、高精度算出処理S64を実行することで、高精度な高さH(φ)が得られる。また、ピント面Fから離れた範囲(深度の深い範囲)でも、低精度算出処理S64を実行することで、低精度な高さH(φ)が得られる。以上により、ピント面Fから離れた範囲(深度の深い範囲)に含まれる対象物Mの高さH(φ)の算出を可能としつつ、ピント面Fに近い一部の範囲(深度の浅い範囲)では、対象物の高さH(φ)を、高精度に算出することが出来る。
【0114】
以上、実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0115】
(1)実施形態1では、測定装置1を表面実装機11に使用した例を示した。測定装置1は、検査装置100に使用してもよい。検査装置100は、プリント基板の製造ラインに使用してもよい。検査装置100は、図14に示すように、基台31と、ヘッドユニッ33と、ヘッドユニット33を基台31上で二軸方向(XY方向)に移動させる駆動装置34を備えた構成でもよい。測定装置1はヘッドユニット33に搭載してもよい。ヘッドユニット33に搭載した測定装置1でプリント基板Wを撮影して、プリント基板Wに搭載された電子部品Bの高さを検査してもよい。また、プリント基板Wの各部の高さを測定して、基板Wの反りなどを検査してもよい。また、測定装置1は、必ずしも表面実装機11や検査装置100の一部である必要はなく、単独で使用してもよい。
【0116】
(2)実施形態1では、縞パターン光の一例として、正弦波を例示したが、明度が周期的に変化する縞状の光であれば、必ずしも正弦波である必要はない。例えば、ノコギリ波でもよい。
【0117】
(3)実施形態1~3では、第2位相値φ2と第3位相値φ3の位相差Δから第2位相値φ2を位相接続した。更に、位相接続後の第2位相値φ'2から第1位相値φ1を位相接続した。そして、高精度算出処理にて、位相接続後の第1位相値φ'1に基づいて、対象物Mの高さH(φ)を推定した。高精度算出処理は、3つの位相値φ1~φ3を用いて、対象物Mの高さH(φ)を推定するものであれば、どのような方法でもよい。
【0118】
(4)実施形態1~3では、第2位相値φ2と第3位相値φ3の位相差Δから第2位相値φ2を位相接続した。そして、低精度算出処理にて、位相接続後の第2位相値φ'2に基づいて、対象物Mの高さH(φ)を推定した。低精度算出処理は、2つの位相値φ2、φ3を用いて、対象物Mの高さH(φ)を推定するものであれば、どのような方法でもよい。
【0119】
(5)実施形態1~3では、第2位相値φ2と第3位相値φ3の位相差Δから第2位相値φ2を位相接続した。そして、低精度算出処理にて、位相接続後の第2位相値φ'2に基づいて、対象物Mの高さH(φ)を推定した。これ以外にも、位相差Δから第3位相値φ3を位相接続してもよい。そして、低精度算出処理にて、位相接続後の第3位相値φ'3に基づいて、対象物Mの高さH(φ)を推定してもよい。H(φ)は低分解能の測定値である。
【符号の説明】
【0120】
1 測定装置
2 プロジェクタ
3 カメラ
5 画像処理部
6 メモリ
7 演算装置
11 表面実装機
100 検査装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14