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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】圧電素子を用いた力率改善及び発電装置
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/10 20060101AFI20230816BHJP
   H02N 2/18 20060101ALI20230816BHJP
   H02J 3/18 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
G05F1/10 Z
H02N2/18
H02J3/18 128
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022537631
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 KR2020018402
(87)【国際公開番号】W WO2021125769
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】10-2019-0168735
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522241480
【氏名又は名称】ベック スン ヒョン
(74)【代理人】
【識別番号】100081318
【弁理士】
【氏名又は名称】羽切 正治
(74)【代理人】
【識別番号】100132458
【弁理士】
【氏名又は名称】仲村 圭代
(74)【代理人】
【識別番号】100165146
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 博喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(72)【発明者】
【氏名】ベック スン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ベック ユン ゾン
(72)【発明者】
【氏名】キム ヒョン ホ
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/035478(WO,A1)
【文献】特開2013-081274(JP,A)
【文献】特許第6409357(JP,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0072310(KR,A)
【文献】特開2008-125005(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1664328(KR,B1)
【文献】特開2005-312269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/10
H02N 2/18
H02J 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の電極を備え、電力線から電圧を印加すると、振動をする第1の圧電素子と、
第1及び第2の電極を備え、前記第1の圧電素子の振動により発電する第2の圧電素子とを含むことを特徴とする装置、
【請求項2】
更に、前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子の間に挟まれる絶縁体を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の圧電素子は、横振動、縦振動、又はせん断振動する構造を有し、
前記第2の圧電素子は、前記第1の圧電素子の振動により、横振動、縦振動、又はせん断振動する構造を有し、電気を発生することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
更に、前記第1の圧電素子及び前記第2の圧電素子の間に位置するメンブレン部材と、
前記メンブレン部材を支持する支持部材とを含み、
前記メンブレン部材は、前記支持部材に固定して発生する曲げ運動で、機械的変位を発生させ、
前記曲げ運動により、前記第2の圧電素子は、振動して発電することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の圧電素子は、複数であり、
前記メンブレン部材の上面、下面、又は、これらの組み合わせに、前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子が配置され、前記メンブレン部材の上面及び下面のそれぞれに、少なくとも1つの前記第2の圧電素子が配置されるようにすることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の圧電素子は、前記電力線の力率補償用コンデンサの材料として用いられ、
更に、前記第1の圧電素子は、複数であり、前記電力線に並列に連結され、負荷が必要とする量だけ、前記並列に連結された複数の第1の圧電素子を選択的に制御する自動力率制御装置を含むことを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記自動力率制御装置は、電流計と電圧計により測定された電流及び電圧により、力率を自動に制御する自動力率制御器と、前記自動力率制御器に電気的に連結され、前記自動力率制御器の制御により、前記第1の圧電素子との連結をスイッチングするためのスイッチング部とを含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
更に、前記メンブレン部材の端部に設けられる重りを含むことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子を用いた力率改善及び発電装置に関し、特に、力率補償用コンデンサの代わりに、圧電素子に固有なコンデンサ成分を用いて、電力線の力率を改善し、発電も可能な圧電素子を用いた力率改善及び発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、力率とは、皮相電力に対する有効電力の割合をいう。すなわち、全体入力される電力中に実際に働く電力の比である。このような力率は、電力制御や消費電力の無駄を防止する技術を要する箇所で、主要な制御因子として活用される。
【0003】
力率制御は、目標とする力率分ほど、負荷の力率を高めることであり、電力設備で主に用いられる力率制御方法は、皮相電力を下げて力率を高める。皮相電力は、無効電力と関係があり、無効電力が大きいほど、皮相電力が高くなり、無効電力が小さいほど、皮相電力は低くなる。そのため、無効電力を低くし、皮相電力を下げることで、力率を補償する。
【0004】
同じ電力を輸送するとき、他の条件はそのまま置き、力率だけを改善すると、(1)変圧器、配電線の損失低減、(2)設備容量の余裕増加、(3)電圧降下の軽減のような効果が得られる。
【0005】
配電線路の力率改善は、電力用コンデンサを負荷に並列に接続して行っているが、一般に採用している方法としては、下記のような3通りがある。
(1)コンデンサバンクを変電所に集中設置するか、配電線路の柱上に設置する。
(2)コンデンサバンクを需用家の受電室に設置する。
(3)コンデンサバンクを負荷に直接設置する。
【0006】
以上の(1)~(3)において、通常、(1)は、電力供給者側で、(2)、(3)は、需用家側で設置してる。コンデンサバンクは、負荷に近接して設置されるので、力率改善効果が直接的であり、且つ、その効果も全系統に及ぶようになるというメリットはあるものの、稼動率が低いため、(1)の設置も必須的である。
【0007】
一方、力率改善のために、韓国電力基本供給約款(2019.07.01)第41条(力率の維持)、第43条(力率による料金の追加又は減額)に規定して、多くの努力をしている。
【0008】
配電線路は、負荷が誘導性負荷である場合、力率が低いという問題点がある。このため、配電線路の力率改善のための電力用コンデンサを、負荷に並列に接続させる。
【0009】
配電線路の力率改善は、電力用コンデンサバンクを負荷に並列に接続させて使用しているが、このコンデンサバンクは、力率を改善するための目的の他には、他の用途として使用が不可であり、何等の他の付随的な効果がない。
【0010】
これに、配電線路や電力線において、電力用コンデンサを使用しなくても、力率を改善することができ、発電も可能で、且つ、無効電力を有用に用いて、エンクロージャ内空間の温度を調節することができる改善した装置が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した問題点を解決するために提案された本発明の目的は、力率補償用コンデンサの代わりに、圧電素子に固有なコンデンサ成分を用いて、電力線の力率を改善することができ、発電も可能な圧電素子を用いた力率改善及び発電装置を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的は、第1の圧電素子と第2の圧電素子の間に配置されるメンブレン部材が支持部材に固定して発生する曲げ運動による機械的変位が、エンクロージャ内の熱を冷却させる冷却ファンとして使用されるようにすることで、別の電力を使用することなく、無効電力を有用に利用することができる圧電素子を用いた力率改善及び発電装置を提供することである。
【0013】
本発明で達成しようとする技術的課題は、前記で言及した技術的課題に制限されず、言及していない更に他の技術的課題は、以下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって、明確に理解されるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した技術的課題を達成するための本発明の実施例による圧電部材を用いた力率改善及び発電装置は、第1及び第2の電極を備え、電力線から電圧を印加すると、振動をする第1の圧電素子と、第1及び第2の電極を備え、前記第1の圧電素子の振動により発電する第2の圧電素子とを含むことを特徴とする、
【0015】
更に、前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子の間に挟まれる絶縁体を含む。
【0016】
前記第1の圧電素子は、横振動、縦振動、又はせん断振動する構造を有し、前記第2の圧電素子は、前記第1の圧電素子の振動により、横振動、縦振動、又はせん断振動する構造を有し、電気を発生する。
【0017】
更に、前記第1の圧電素子及び前記第2の圧電素子の間に位置するメンブレン部材と、前記メンブレン部材を支持する支持部材とを含み、前記メンブレン部材は、前記支持部材に固定して発生する曲げ運動で、機械的変位を発生させ、前記曲げ運動により、前記第2の圧電素子は、振動して発電する。
【0018】
前記第1及び第2の圧電素子は、複数であり、前記メンブレン部材の上面、下面、又はこれらの組み合わせに、前記第1の圧電素子と前記第2の圧電素子が配置され、前記メンブレン部材の上面及び下面のそれぞれに、少なくとも1つの前記第2の圧電素子が配置されるようにする。
【0019】
前記第1の圧電素子は、前記電力線の力率補償用コンデンサの材料として用いられ、更に、前記第1の圧電素子は、複数であり、前記電力線に並列に連結され、負荷が必要とする量だけ、前記並列に連結された複数の第1の圧電素子を選択的に制御する自動力率制御装置を含む。
【0020】
前記自動力率制御装置は、電流計と電圧計により測定された電流及び電圧により、力率を自動に制御する自動力率制御器と、前記自動力率制御器に電気的に連結され、前記自動力率制御器の制御により、前記第1の圧電素子との連結をスイッチングするためのスイッチング部とを含む。
【0021】
更に、前記メンブレン部材の端部に設けられる重りを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、力率補償用コンデンサの代わりに、圧電素子に固有なコンデンサ成分を用いて、電力線の力率を改善することができ、発電も可能である。
【0023】
また、本発明は、第1の圧電素子と第2の圧電素子の間に配置されるメンブレン部材が支持部材に固定して発生する曲げ運動による機械的変位が、エンクロージャ内の熱を冷却させる冷却ファンとして使用されるようにすることで、別の電力を使用することなく、無効電力を有用に利用することができる。
【0024】
特に、エンクロージャの仕切り壁面に別の冷却ファンを設置しなくても、外部の冷たい空気が流入され、内部の暑い空気が流出されて、エンクロージャ内の周囲温度を、国際標準IEX60831-2、及び同じ国内標準規格であるKSC4801などで規定された温度に調節することができる。
【0025】
また、本発明は、支持部材に固定して曲げ運動をするメンブレン部材の上面及び下面のそれぞれに、少なくとも1つの第2の圧電素子が配置されるようにすることで、曲げ運動中に常に、第2の圧電素子を通じて発電することができる。これにより、電気を要する装備、エリアなどに、電力を円滑に供給することができる。
【0026】
更に、本発明は、複数の第1の圧電素子が電力線に並列に連結されて、力率改善が必要なコンデンサの容量分ほど、第1の圧電素子を選択的に制御することで、電力の力率を高めることができる。
【0027】
本発明により得られる効果は、以上で言及した効果に限定されず、言及していない他の効果は、以下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとって、明確に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の一実施例による圧電素子を用いた力率改善及び発電装置を説明するための図である。
図2図2は、本発明の他の実施例による圧電素子を用いた力率改善及び発電装置を説明するための図である。
図3図3は、本発明の他の実施例による圧電素子を用いた力率改善及び発電装置を説明するための図である。
図4図4は、本発明の他の実施例による圧電素子を用いた力率改善及び発電装置を説明するための図である。
図5図5は、本発明の他の実施例による圧電素子を用いた力率改善及び発電装置を説明するための図である。
図6図6は、本発明の他の実施例による圧電素子を用いた力率改善及び発電装置を説明するための図である。
図7図7は、本発明の他の実施例による圧電素子を用いた力率改善及び発電装置を説明するための図である。
図8図8は、本発明の更に他の実施例による圧電素子を用いた力率改善及び発電装置を説明するための図である。
図9図9は、図8における自動力率改善装置を説明するための図である。
図10図10aは、メンブレン部材の上面及び下面に、第1及び第2の圧電素子が設けられたアクチュエータを説明するための斜視図であり、図10bは、図10aにおけるアクチュエータの断面図である。
図11図11は、本発明の更に他の実施例による圧電素子を用いた力率改善及び発電装置を説明するための図である。
図12図12は、バイモルフ式アクチュエータ素子の断面図である。
図13図13は、本発明の原理を説明するための片持ち型の曲げ運動を示す図である。
図14図14a及び図14bは、メンブレン部材の端部に重りが設けられたアクチュエータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施例を、図面により詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付することに当たり、同一の構成要素に対しては、たとえ、他の図面上に示されていても、同一の符号を有していることに留意されたい。また、本発明を説明することに当たり、関連する公知構成又は機能に対する具体的な説明が、本発明の要旨を濁していると判断される場合は、その詳細な説明は省略する。
【0030】
また、本発明の構成要素を説明するにあたり、第1、第2、(a)、(b)などの用語を使用可能である。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためであり、その用語により、該当構成要素の本質や順番などが限定されない。明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」、「備える」とすると、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素を更に含むことを意味する。また、明細書に記載された「…部」、「ユニット」などの用語は、少なくとも1つの機能や動作を処理する単位回路を意味する。
【0031】
本発明の実施例による圧電素子を用いた力率改善装置及び発電装置を、図1を参照して説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施例による圧電素子を用いた力率改善及び発電装置を説明するための図である。
【0033】
図1に示しているように、本発明の一実施例による圧電部材を用いた力率改善及び発電装置は、力率改善のための素子として、第1及び第2の電極101、102を備える第1の圧電素子100と、第1及び第2の電極151、152を備え、第1の圧電素子100の振動によって発電する第2の圧電素子150とを含む。
【0034】
第1の圧電素子100は、電力線から電圧を印加され、振動をする。より具体的に、第1の圧電素子100は、図1の(a)に示しているように、一端に第1の電極101を設け、他端に第2の電極102を設ける。
【0035】
このような第1の圧電素子100は、力率補償用コンデンサの代わりに、該当第1の圧電素子100に固有なコンデンサ成分を用いて、電力線の力率を改善することができる。
【0036】
第2の圧電素子150は、第1の圧電素子100に並列に連結されるように配置される。第2の圧電素子150も同様に、一端に第1の電極151を設け、他端に第2の電極152を設ける。図1では、第2の圧電素子150が、第1の圧電素子100に並列に連結されるように配置されているが、図2に示しているように、第2の圧電素子150が第1の圧電素子100に直列に連結されるように配置されることもできる。
【0037】
第1及び第2の圧電素子100、150は、例えば、接着剤により、相互接着固定される。
【0038】
このように、長さ方向に電極が配置された第1及び第2の圧電素子100、150が並列結合された場合、第1の圧電素子100に電力線から電圧が印加されると、縦方向振動をし、その振動の影響を受けた第2の圧電素子150は、電気を発生させる。
【0039】
更に説明すると、第1の圧電素子100の第1及び第2の電極101、102に電位差がないと、図1の(a)に示しているような元々の形状である第1及び第2の圧電素子100、150の長さを維持する。
【0040】
しかし、第1の圧電素子100の第1の電極101に比べて、低い-電圧が第2の電極102に印加されると、第1の圧電素子100の電極に電位差が生じて、図1の(b)のように、第1の圧電素子100の長さが減少する。長さが減少した第1の圧電素子100に結合された第2の圧電素子150の長さも、第1の圧電素子100と同じく減少し、結果として、第2の圧電素子150の第2の電極152が、第1の電極151よりも低い-電圧を発生させる。
【0041】
これとは反対に、第1の圧電素子100の第1の電極101に比べて、高い+電圧が第2の電極102に印加されると、第1の圧電素子100の電極に電位差が生じて、図1の(c)のように、第1の圧電素子100の長さが増加する。長さが増加した第1の圧電素子100に結合された第2の圧電素子150の長さも、第1の圧電素子100と同じく増加し、結果として、第2の圧電素子150の第2の電極152が、第1の電極151よりも高い+電圧を発生させる。
【0042】
上述したように、第1の圧電素子100の電極に電位差があると、第1の圧電素子100に結合された第2の圧電素子150が振動することによって、電気を発生させる。
【0043】
図1の(a)に示しているような形状を有する第1の圧電素子100の縦方向振動は、該当圧電体が長さ方向に分極された状態で、第1及び第2の電極101、102間の長さ方向に、外部から電気信号が入力されると、それにより、該当圧電体が長さ方向に優勢に振動する形態である。これに、第1の圧電素子100の長さが、横・縦・直径よりも2.5倍以上である場合、外部電気信号に対して、長さ方向の振動が、横・縦・径方向の振動よりも優勢に観られる。
【0044】
そこで、図1の(b)又は(c)に示しているように、両端部に第1及び第2の電極101、102を備える第1の圧電素子100に、-電圧又は+電圧が印加されると、該当第1の圧電素子100の長さが長さ方向に振動し、第1の圧電素子100に並列に結合された第2の圧電素子150も、同じ長さ方向に振動して、電気を発生させる。
【0045】
本実施例では、第1の圧電素子100が長さ方向に振動する、すなわち、縦振動する構造を有し、第2の圧電素子150も、第1の圧電素子100の振動により、縦振動する構造を有する場合を説明しているが、本発明は、図2乃至図7に示しているように、縦振動、横振動、せん断振動、又はこれら間の組合わせを有する構造により、電力線の力率改善のみならず、発電が可能な装置を具現することができる。
【0046】
以下、図2乃至図7を参照して、本発明の他の実施例による圧電素子を用いた力率改善及び発電装置を説明する。
【0047】
まず、図2における圧電素子を用いた力率改善及び発電装置は、前記実施例で説明した第1の圧電素子100及び第2の圧電素子150の他にも、第1の圧電素子100及び第2の圧電素子150の間に位置する絶縁体170を含む。
【0048】
さらには、本発明の他の実施例による圧電素子を用いた力率改善及び発電装置は、図2に示しているように、第1及び第2の圧電素子100、150の両端部が結合される物体(例えば、支持部材、メンブレン部材など)をさらに含めて、第1及び第2の圧電素子100、150の各端部、より具体的に、第1の圧電素子100の第1の電極101の付近と、第2の圧電素子150の第2の電極152の付近が、外部物体の縁部にそれぞれ結合されて固定した構造を有する。
【0049】
第1及び第2の圧電素子100、150は、前記実施例で説明したように、第1及び第2の電極101、102、151、152をそれぞれ備える。前記実施例と異なり、本実施例において、第1の圧電素子100と第2の圧電素子150は、直列に連結されるように配置され、第1の圧電素子100の第2の電極102と、第2の圧電素子150の第1の電極151の間には、絶縁体170が配置される。
【0050】
外部物体の縁部(M、N)に結合された第1及び第2の圧電素子100、150は、第1の圧電素子100の電極に電位差がないと、図2の(a)に示しているように、第1及び第2の圧電素子100、150の長さが同じ長さを維持する。
【0051】
しかし、第1の圧電素子100の第1の電極101に比べて、低い-電圧が第2の電極102に印加されると、第1の圧電素子100の電極に電位差が生じて、図2の(b)のように、第1の圧電素子100の長さが減少する。長さが減少した第1の圧電素子100と長さ方向に結合された第2の圧電素子150は、長さが増加し、結果として、第2の圧電素子150の第2の電極152が、第1の電極151よりも高い+電圧を発生させる。
【0052】
これとは反対に、第1の圧電素子100の第1の電極101に比べて、高い+電圧が第2の電極102に印加されると、第1の圧電素子100の電極に電位差が生じて、図2の(c)のように、第1の圧電素子100の長さが増加する。長さが増加した第1の圧電素子100と長さ方向に結合された第2の圧電素子150は、長さが減少し、結果として、第2の圧電素子150の第2の電極152が、第1の電極151よりも低い-電圧を発生させる。
【0053】
このように、第1の圧電素子100の電極に電位差があると、第1の圧電素子100に直列に結合された第2の圧電素子150が振動することによって、電気を発生させる。
【0054】
そこで、図2の(b)又は(c)に示しているように、第1の圧電素子100に-電圧又は+電圧が印加されると、該当第1の圧電素子100の長さが長さ方向に振動し、第1の圧電素子100と直列に結合された第2の圧電素子150も、長さ方向に振動して、電気を発生させる。
【0055】
図3は、長さ方向に振動する、すなわち縦振動する構造を有する第1の圧電素子100と、その第1の圧電素子100上に幅方向に振動する、すなわち横振動する構造を有する第2の圧電素子150とを示している。
【0056】
これとは異なり、横振動する構造を有する第1の圧電素子100上に、縦振動する構造を有する第2の圧電素子150が配置されることもでき、振動の影響により、第2の圧電素子150が電気を発生させることは、同様である。
【0057】
第1の圧電素子100と第2の圧電素子150は、例えば、接着剤により相互接着固定され、第1の圧電素子100の第1の電極101に比べて、低い-電圧が第2の電極102に印加されると、第1の圧電素子100の電極に電位差が生じて、図3の(b)のように、第1の圧電素子100の長さが減少する。長さが減少した第1の圧電素子100と結合された第2の圧電素子150の長さも、第1の圧電素子100と同じく減少し、結果として、第2の圧電素子150の第2の電極152が、第1の電極151よりも低い-電圧を発生させる。
【0058】
これとは反対に、第1の圧電素子100の第1の電極101に比べて、高い+電圧が第2の電極102に印加されると、第1の圧電素子100の電極に電位差が生じて、図3の(c)のように、第1の圧電素子100の長さが増加する。長さが増加した第1の圧電素子100と結合された第2の圧電素子150の長さも、第1の圧電素子100と同じく増加し、結果として、第2の圧電素子150の第2の電極152が、第1の電極151よりも高い+電圧を発生させる。
【0059】
ここで、横方向振動は、圧電体が厚さ方向に分極した状態で、厚さ方向に外部から電気信号が入力されると、それにより、圧電体が横方向(幅方向)にのみ振動する形態である。実際の状況で、このように、外部電気信号に対して、横方向のみの振動が優勢に観られるためには、圧電体の幅方向の規格が、長さや厚さに比べて10倍以上である場合、外部電気信号に対して、幅方向の振動が、長さ・高さ方向の振動よりも優勢に観察される。
【0060】
そこで、縦振動する構造を有する第1の圧電素子100に-電圧又は+電圧が印加されると、該当第1の圧電素子100の長さが長さ方向に振動し、図3の(b)又は(c)のように、第1の圧電素子100上に積層された第2の圧電素子150が幅方向に振動して、電気を発生させる。
【0061】
図3のように積層された構造を有し、幅振動する構造を有する第1の圧電素子に-電圧又は+電圧が印加されると、該当第1の圧電素子100が幅方向に振動し、第1の圧電素子の下に積層され、縦振動する構造を有する第2の圧電素子が長さ方向に振動して、電気を発生させる構造でも具現可能である。
【0062】
図4は、横方向に振動する、すなわち横振動する第1の圧電素子100と、該当第1の圧電素子100上に横振動する第2の圧電素子150を示している。このように、第1及び第2の圧電素子100、150が積層された構造では、第1及び第2の圧電素子100、150の間に、絶縁体170が位置する。
【0063】
また、図4に示しているように、第1及び第2の圧電素子100、150を支持する支持部材300が設けられる。支持部材300は、第1及び第2の圧電素子100、150の第1の電極101、151の付近に配置されることと説明しているが、これに限定されるものではない。
【0064】
図4の(b)又は(c)に示しているように、横振動する構造を有する第1の圧電素子100に、-電圧又は+電圧が印加されることによって、該当第1の圧電素子100が幅方向に振動し、第1の圧電素子100上に積層された第2の圧電素子150も幅方向に振動して、電気を発生させる。
【0065】
図5は、縦振動する第1の圧電素子100と、第1の圧電素子100の下に配置され、せん断方向に振動する第2の圧電素子150とを示している。
【0066】
図5に示しているように、第1の圧電素子100の電極面ではない面に、第2の圧電素子150の電極面が結合され、第1の圧電素子100の一面、具体的に第1の電極101が位置した面と、第2の圧電素子150の下面、具体的に第1の電極151が位置した面は、支持部材300により支持される。ここで、支持部材300は、L字型であるが、これに限定されるものではない。
【0067】
支持部材300の垂直な垂直面301は、第1の圧電素子100の第1の電極面101を支持し、支持部材300の水平な水平面302は、第2の圧電素子150の第1の電極面151を支持し、第1の圧電素子100の下に配置された第2の圧電素子150と垂直面301は、離れている。前述した実施例とは異なり、第1の圧電素子100の長さは、第2の圧電素子150の長さよりも長い。
【0068】
このような構造を有する第1の圧電素子100の第1の電極101に比べて、高い+電圧が第2の電極102に印加されると、第1の圧電素子100の電極に電位差が生じて、図5の(b)のように、第1の圧電素子100の長さが増加する。長さが増加した第1の圧電素子100と結合されたせん断方向に振動する第2の圧電素子150が変形して、第2の圧電素子150の第2の電極152が、第1の電極151よりも高い+電圧を発生させる。このように、+電圧が第1の圧電素子100の第2の電極102に印加されると、図6の(b)に示しているように、上側が右に傾いた形状を有するように変形する。
【0069】
これとは反対に、第1の圧電素子100の第1の電極101に比べて、低い-電圧が第2の電極102に印加されると、第1の圧電素子100の電極に電位差が生じて、図5の(c)のように、第1の圧電素子100の長さが減少する。長さが減少した第1の圧電素子100に結合された第2の圧電素子150が変形するが、図5の(b)とは反対方向に変形して、第2の圧電素子150の第2の電極152が、第1の電極151よりも低い-電圧を発生させる。このように、-電圧が第1の圧電素子100の第2の電極102に印加されると、図6の(c)に示しているように、上側が左に傾いた形状を有するように変形する。
【0070】
そこで、縦振動する構造を有する第1の圧電素子100に-電圧又は+電圧が印加されると、該当第1の圧電素子100の長さが長さ方向に振動し、第1の圧電素子100の下に配置され、せん断方向に振動する第2の圧電素子150が、せん断方向に振動して、電気を発生させる。
【0071】
同様に、図6のように積層された構造を有し、せん断振動する構造を有する第1の圧電素子に-電圧又は+電圧が印加されると、該当第1の圧電素子がせん断方向に振動し、第1の圧電素子の上に配置され、長さ方向に振動する第2の圧電素子が、長さ方向に振動して、電気を発生させる構造でも具現可能である。
【0072】
ここで、せん断方向の振動(厚さすべり振動)は、圧電体が長さ方向に分極された状態で、厚さ方向に外部から電気信号が入力されると、それにより、圧電体の厚さ方向の上面及び下面がそれぞれ、反対方向に振動する形態である。
【0073】
図7は、横振動する第1の圧電素子100と、第1の圧電素子100の下に配置され、せん断方向に振動する第2の圧電素子150を示している。
【0074】
図7に示しているように、第1の圧電素子100の電極面と、第2の圧電素子150の電極面の間には、絶縁体170を配置する。そして、第1の圧電素子100の第1及び第2の電極101、102が位置しない面と、第2の圧電素子150の第1の電極151が位置した面は、支持部材300により支持される。
【0075】
支持部材300の垂直な垂直面301は、第1の圧電素子100を支持し、支持部材300の水平な水平面302は、第2の圧電素子150を支持し、第1の圧電素子100の下に配置された第2の圧電素子150と垂直面301は、離れている。ここで、第1の圧電素子100の長さは、第2の圧電素子150の長さよりも長い。
【0076】
このような構造を有する第1の圧電素子100の第1の電極101に比べて、高い+電圧が第2の電極102に印加されると、第1の圧電素子100の電極に電位差が生じて、図7の(b)のように、第1の圧電素子100の長さが増加する。長さが増加した第1の圧電素子100に結合されたせん断方向に振動する第2の圧電素子150が変形して、第2の圧電素子150の第2の電極152が、第1の電極151よりも高い+電圧を発生させる。
【0077】
これとは反対に、第1の圧電素子100の第1の電極101に比べて、低い-電圧が第2の電極102に印加されると、第1の圧電素子100の電極に電位差が生じて、図7の(c)のように、第1の圧電素子100の長さが減少する。長さが減少した第1の圧電素子100に結合された第2の圧電素子150が変形するが、図7の(b)とは反対方向へ変形して、第2の圧電素子150の第2の電極152が、第1の電極151よりも低い-電圧を発生させる。
【0078】
そこで、横振動する構造を有する第1の圧電素子100に-電圧又は+電圧が印加されると、該当第1の圧電素子100が横方向に振動し、第1の圧電素子100の下に配置され、せん断方向に振動する第2の圧電素子150がせん断方向に振動して、電気を発生させる。
【0079】
同様に、図7のように積層された構造を有し、せん断振動する構造を有する第1の圧電素子に-電圧又は+電圧が印加されると、該当第1の圧電素子がせん断方向に振動し、第1の圧電素子の上に配置され、横方向に振動する第2の圧電素子が横方向に振動して、電気を発生させる構造でも具現可能である。
【0080】
図8は、本発明の更に他の実施例による圧電素子を用いた力率改善及び発電装置を示している。
【0081】
図8に示しているように、本発明の更に他の一実施例による圧電素子を用いた力率改善及び発電装置は、第1の圧電素子100、第2の圧電素子150、第1の圧電素子100と第2の圧電素子150の間に位置するメンブレン部材200、及び該当メンブレン部材200を支持する支持部材300を含むアクチュエータ(A)と、第1の圧電素子に電源を供給する自動力率制御装置(B)とを含む。
【0082】
第1及び第2の圧電素子100、150は、横振動する構造を有することもできる。
【0083】
第1の圧電素子100は、電力線から電源を供給される。より具体的に、第1の圧電素子100は、自動力率制御装置(B)の制御により、電源端子の電圧を供給されて、横振動する。
【0084】
第1の圧電素子100の振動により、支持部材300に固定したメンブレン部材200は、機械的変位を生じる曲げ運動をすることになる。メンブレン部材200の曲げ運動により、第2の圧電素子150は、発電する。この際、メンブレン部材200の曲げ運動により発生する機械的変位が、冷却ファンとして使用可能である。さらには、メンブレン部材200の端に重り292が設けられることで、曲げ運動(反り運動)の振幅を更に増やして、発電量を増加することができる。
【0085】
図9は、図8における第1の圧電素子100に電力を供給するための電力線に連結される自動力率制御装置を示している。
【0086】
図9を参照して自動力率制御装置(B)を説明すると、自動力率制御装置(B)は、第1の圧電素子100(Cpz-1、Cpz-2、Cpz-3...、Cpz-(n))と、電源端子の一側の電力線(P、Q)に設けられ、電力線(P、Q)に流れる電流に比例する出力信号を提供する電流計(CT)と、電源端子の電圧を、これに比例する低い電圧に変換し、その電圧を測定する電圧計(PT)とを備え、これらの電流計(CT)と電圧計(PT)により測定された電流及び電圧により、力率を自動に制御する自動力率制御器400と、自動力率制御器400に電気的に連結され、該当自動力率制御器400の制御により、並列に連結された第1の圧電素子100(Cpz-1、Cpz-2、Cpz-3...、Cpz-(n))との選択的な連結をスイッチングするためのスイッチング部410とを含む。
【0087】
自動力率制御装置(B)は、図9の断線結線図から見るように、電力線の実際の力率を計測し、複数の第1の圧電素子100の選択的制御により、力率改善が必要とするコンデンサの容量分ほど、並列に連結された複数の第1の圧電素子100に選択的に電力を供給するようにする。これにより、電力の力率を高めることができる。
【0088】
再度、図8において、第1の圧電素子100は、コンデンサとしての電気的特性で力率を改善することができ、第1及び第2の圧電素子100、150の間に位置するメンブレン部材200は、電気的特性で発生する逆圧電効果で機械的変位が生成される。逆圧電効果とは、外部から電圧を第1の圧電素子100にかけると、第1の圧電素子100が付着されたメンブレン部材200が機械的変位を起こす現象(ここでは、曲げ運動、又はウェーブ運動という)を言う。このような曲げ運動、又はウェーブ運動により、メンブレン部材200に付着された第2の圧電素子150は、発電する。
【0089】
コンデンサ容量は、第1の圧電素子100の並列連結が多いほど増加するので、自動力率制御装置(B)は、力率改善が必要な量だけ、後述するスイッチング部410を調節して、電力線(P、Q)に電気的に連結された第1の圧電素子100にのみ、電力が供給されるように制御することができる。これに、流動性負荷である場合、無効電力を、スイッチング部410によりスイッチングされて、電気的に連結された第1の圧電素子100に供給されるようにして、電力の力率を改善することができる。
【0090】
スイッチング部410は、自動力率制御器400の出力に接続され、並列連結された第1の圧電素子100(Cpz-1、Cpz-2、Cpz-3...、Cpz-(n))にそれぞれ対応して設けられ、それぞれの第1の圧電素子100(Cpz-1、Cpz-2、Cpz-3...、Cpz-(n))への電路を開閉するように状態切換可能なスイッチ(SW-1、SW-2、SW-3...、SW-(n))からなり、自動力率制御器400の制御信号によって、該当スイッチ(SW-1、SW-2、SW-3...、SW-(n))の少なくとも1つのスイッチがスイッチングされて、該当第1の圧電素子100(Cpz-1、Cpz-2、Cpz-3...、Cpz-(n))への電路を開閉するように状態が切り換えられる。
【0091】
また、スイッチング部410は、該当スイッチの切換状態によって、該当する第1の圧電素子100(Cpz-1、Cpz-2、Cpz-3...、Cpz-(n))への電路を同時に開放又は投入するように電路を開閉するリレー又は電子開閉器と、その接点から構成されるリレー部とを含む。
【0092】
このようなスイッチング部410に連結された自動力率制御器400は、電圧計(PT)と電流計(CT)からの出力信号を用いて算出された無効電力と、予め設定されたコンデンサ容量とを比較して、目標力率を満たすコンデンサ容量を探し、同時に該当コンデンサへの電路を開閉制御する制御信号を出力する。
【0093】
このように無効電力とコンデンサ容量とを比較して、複数の第1の圧電素子100(Cpz-1、Cpz-2、Cpz-3...、Cpz-(n))を同時に制御できるようにすることで、力率をターゲットの範囲内で維持することができる。さらには、複数の第1の圧電素子100(Cpz-1、Cpz-2、Cpz-3...、Cpz-(n))が有しているコンデンサとしての電気的特性で、電力の力率を更に改善することができる。
【0094】
以下では、自動力率制御装置(B)に連結されたアクチュエータ(A)について、詳述する。
【0095】
図10a及び図10bは、図8におけるアクチュエータを示す図であって、より具体的に、図10aは、図8におけるアクチュエータを説明するための斜視図であり、図10bは、図10aにおけるアクチュエータを説明するための断面図である。
【0096】
図10aに示しているように、アクチュエータ(A)は、メンブレン部材200と、メンブレン部材200の上面と下面にそれぞれ付着される第1及び第2の圧電素子100、150とを含む。
【0097】
図10aに示しているように、メンブレン部材200の上面及び下面に、第1及び第2の圧電素子100、150が複数個付着される。このように、メンブレン部材200の上面及び下面に、第2の圧電素子150が付着されることによって、メンブレン部材200の曲げ運動により、常に発電する環境を提供することができる。
【0098】
しかし、必要に応じて、メンブレン部材200の上面又は下面にのみ、第2の圧電素子150が付着されるようにすることもできる。
【0099】
また、本実施例において、メンブレン部材200を基準に、上面と下面にそれぞれ対応する数ほどの第1及び第2の圧電素子100、150が付着されることと説明しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、メンブレン部材200の上面と下面に付着される第1及び第2の圧電素子100、150の数が互いに異なってもよい。
【0100】
メンブレン部材200に付着される第1及び第2の圧電素子100、150の数は、インクローザ内の環境(例えば、内部空間のサイズ)を考えて決めるのが望ましい。
【0101】
アクチュエータ(A)は、支持部材300を基準に、メンブレン部材200の端部に、図10a及び図10bに示しているように、重量増加のための重り292を設けて、曲げ運動(反り運動)の振幅を、更に増加することができる。このように、振幅が増加すると、発電量も増加する。
【0102】
図10a及び図10bは、重り292が、メンブレン部材200の上面と下面にそれぞれ設けていることと説明しているが、これに限定されるものではなく、重り292がメンブレン部材200の上面又は下面にのみ設置されてもよい。メンブレン部材200の端部に、重量増加のための重り292を設けて、曲げ運動(反り運動)の振幅を更に増加することができる。
【0103】
図11に示しているように、第2の圧電素子150で生成された電圧は、電圧調節器500に伝達される。電圧調節器500は、使用目的によって、第2の圧電素子150で生成された交流電圧を、外部に供給するか、図示していない整流装置により、直流に交換して外部に供給する。これに、使用先で要する電圧を供給することができる。
【0104】
図12は、メンブレン部材200の一方面に付着した第1の圧電素子100と同一の第2の圧電素子150を、メンブレン部材200の他方面に付着したバイモルフ式のアクチュエータ素子の断面図である。
【0105】
第1の圧電素子100とメンブレン部材200の電流膨張率が同一の場合において、第1の圧電素子100が膨張しても、同じ割合でメンブレン部材200も膨張するようになるので、第1の圧電素子100とメンブレン部材200は、曲げ運動をしないが、第1の圧電素子100は、膨張又は収縮し、メンブレン部材200は、膨張又は収縮する割合が非常に低いため、第1の圧電素子100に接着されたメンブレン部材200の端部が、上下に曲げ運動をすることになる。これは、バイメタルの原理と同様である。
【0106】
メンブレン部材200と第1の圧電素子100は、接着剤201により接着され、接着剤201は、通常、圧電ブザー(Piezoelectric Buzzer)に用いられる接着剤を使用する。
【0107】
共振周波数は、下記式1から分かるように、メンブレン部材200の厚さ(t)が薄いほど、メンブレン部材200の長さ(L)が長いほど、共振周波数(fres)が低くなる。下記式1において、fres は、共振周波数、kは、比例定数、tは、メンブレン部材200の厚さ、Lは、支持部材300からメンブレン部材200の端までの長さ、Eは、ヤング率(Young’s Modulus)、ρは、メンブレン部材200の密度、νは、ポアソン比(Poisson’s Ratio)を意味する。

【0108】
第1の圧電素子100に電気的信号が入力される場合は、第1の圧電素子100が収縮又は膨張をすることになり、第1の圧電部材100の収縮又は膨張運動により、第1の圧電素子100とメンブレン部材200が上下に曲げ運動をすることになる。
【0109】
このような曲げ運動により生じる機械的変位は、エンクロージャ内で空気が流入して、内部の暑い空気を流出させる冷却ファンの役割を果たす。これに、別に冷却ファンを設けなくてもよいだけでなく、別の電力を使わなくても、無効電力を有用に利用することができる。特に、エンクロージャ内の周囲温度を、例えば、国際標準IEX60831-2、及び同国内標準規格であるKSC4801での規定温度に調節することができる。
【0110】
【表1】
【0111】
これは、下記式2から分かる。下記式2において、δmaxは、メンブレン部材200端の最大振幅、Pは、第1の圧電素子100の反り強度、Eは、ヤング率、wは、メンブレン部材200の幅、Lは、メンブレン部材200の長さ、tは、メンブレン部材200の厚さを意味する。
【0112】

【0113】
本発明による実施例では、図12に示しているように、メンブレン部材200の上面のみならず、下面にも、第2の圧電素子150を接着することができ、このように、メンブレン部材200の上下面にいずれも、第1の圧電素子100及び第2の圧電素子150を付着する場合を、バイモプ(Bimorph)式という。
【0114】
メンブレン部材200としては、黄銅板、ニッケル合金板、白青銅、燐青銅、ステンレス鋼のような導電性物質が望ましい。
【0115】
第1の圧電素子100は、圧電体110と、外部の駆動回路から与えられる電気的信号を受信するための第1及び第2の電極101、102とを含み、第2の圧電素子150も、圧電体153と、外部の駆動回路から与えられる電気的信号を受信するための第1及び第2の電極151、152とを含んでおり、第1及び第2の圧電素子100、150の電極101、102、151、152は、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、鉛(Pb)など、又は、これらの合金が使用される。
【0116】
前記電極101、102、151、152は、外部から電気的信号が与えられることで、機械的振動を生じるが、メンブレン部材200は、導電性物質である必要はないが、メンブレン部材200が導電性であると、メンブレン部材200を電極として使用することができる。
【0117】
本発明による実施例における圧電体110、153は、PZT、PVDFなどの通常の圧電物質からなる。
【0118】
また、メンブレン部材200は、弾性及び電気導電性が高い素材として、第1の圧電素子100の曲げ運動により振動する全ての部材が使用することができるが、メンブレン部材200を電極として使用しようとする場合は、銅合金板、ニッケル合金板、ステンレス鋼板、チタン板のうち、1つ以上からなる。
【0119】
また、支持部材300の間には、ゴム、発泡ポリウレタン、エラストモ、シリコンなどの弾力部材360が付着される。
【0120】
図13は、本発明の実施例による支持部材300であるボルトとナット351、352に、第1の圧電素子100とメンブレン部材200が結合した形状を示しており、前記式1及び式2がそのまま適用される。すなわち、共振周波数は、メンブレン部材200の長さ及び厚さに関係する。
【0121】
これに、メンブレン部材200の長さは、電源周波数(大韓民国の場合、例えば60Hz)が共振周波数となるように設計するのが望ましい。
【0122】
以下では、本発明によるメンブレン部材200の振動について、説明する。
【0123】
圧電体110の上下面に塗布した電極にそれぞれ、+電圧、-電圧を印加すると、圧電体110が収縮又は膨張することになる。
【0124】
もし、第1の圧電素子100が膨張することになると、第1の圧電素子100に接着されたメンブレン部材200は、殆ど膨張しないが、圧電体110の電流膨張率がメンブレン部材200の電流膨張率よりは大きいので、メンブレン部材200の膨張がほとんど無視され、バイメタルと同様な原理で、メンブレン部材200の両端が下に反る曲げ運動(bending motion)をすることになる。
【0125】
この際、電極に与える電気信号を反対に与えると、反対の現象が生じる。そこで、電極に交流電気を与えると、反復的に交番しながら、第1の圧電素子100とメンブレン部材200が上下に曲げ運動をすることになる。これに、メンブレン部材200の一方を、図13のように、片持ち型の反り運動をすることになると、その反対側に反り運動による振幅は、更に増加する。
【0126】
本発明による実施例では、図14aに示しているように、第1の圧電素子100及び第2の圧電素子150が、支持部材300に密着して形成され、支持部材300により、第1の圧電素子100及び第2の圧電素子150の間にあるメンブレン部材200を支持するように形成することができ、図14bに示しているように、第1の圧電素子100及び第2の圧電素子150が、支持部材300と所定の距離離隔して設置され、支持部材300により、第1の圧電素子100と第2の圧電素子150の間にあるメンブレン部材200を支持するように構成することもできる。
【0127】
前記ボルトとナット351、352は、支持部材300の一例である。
【0128】
さらには、メンブレン部材200端部に付着した重り292を含めて構成する。重り292は、重量増加のためのものであって、反り運動の振幅を更に増加させる。
【0129】
これにより、メンブレン部材200の振幅を大きくして、冷却ファンへの役割を増大することができる。
【0130】
以上の説明は、本実施例の技術思想を例示的に説明したことに過ぎず、本実施例が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性から逸脱しない範囲で、様々な修正及び変形が可能である。そこで、本実施例は、本実施例の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、このような実施例により、本実施例の技術思想の範囲が限定されることではない。本実施例の保護範囲は、以下の請求範囲により解析されるべきであり、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本実施例の権利範囲に含まれることと解析されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図11
図12
図13
図14a
図14b