(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】シート、及び積層シート
(51)【国際特許分類】
C08L 23/00 20060101AFI20230816BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20230816BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20230816BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20230816BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
C08L23/00
C08K3/26
C08J5/18
C08K3/22
B32B27/32 D
(21)【出願番号】P 2023081630
(22)【出願日】2023-05-17
【審査請求日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2023036131
(32)【優先日】2023-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】311018921
【氏名又は名称】株式会社TBM
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【氏名又は名称】新山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】大森 望
(72)【発明者】
【氏名】金▲高▼ 秀成
(72)【発明者】
【氏名】高松 頼信
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-172726(JP,A)
【文献】特開2020-075481(JP,A)
【文献】特開2020-044839(JP,A)
【文献】特開2020-044840(JP,A)
【文献】特開2005-290054(JP,A)
【文献】特開2007-119767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機物質粉末、及び熱可塑性樹脂を含むシートであって、
前記無機物質粉末の含有量が、前記シートに対して、40.0質量以上80.0質量%以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D10が、0.30μm以上0.50μm以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D20が、0.40μm以上0.60μm以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D30が、2.20μm以上3.40μm以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D40が、3.80μm以上5.00μm以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D50が、5.30μm以上6.50μm以下であ
り、
前記無機物質粉末が、炭酸カルシウム粒子を含み、
前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂を含む、
シート。
【請求項2】
前記無機物質粉末における粒度分布D10が、0.35μm以上0.45μm未満であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D20が、0.45μm以上0.59μm未満であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D30が、2.50μm以上3.00μm未満であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D40が、4.20μm以上4.60μm未満であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D50が、5.70μm以上6.10μm未満である、
請求項1に記載のシート。
【請求項3】
前記無機物質粉末における粒度分布D99が、17.50μm以上30.00μm以下である、請求項1に記載のシート。
【請求項4】
前記ポリプロピレン系樹脂が、ポリプロピレンホモポリマー及び/又はポリプロピレンブロックポリマーを含む、請求項
1に記載のシート。
【請求項5】
前記ポリエチレン系樹脂が、高密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンを含む、請求項
1に記載のシート。
【請求項6】
前記無機物質粉末が、
さらに、酸化チタン粒子を含む、請求項1に記載のシート。
【請求項7】
前記炭酸カルシウム粒子が、重質炭酸カルシウム粒子を含む、請求項
6に記載のシート。
【請求項8】
前記シートが、延伸シートである、請求項1から
7の何れかに記載のシート。
【請求項9】
前記シートが、印刷用シートである、請求項1から
7の何れかに記載のシート。
【請求項10】
前記シートが、押出成形シート、又は、インフレーション成形シートである、請求項1から
7の何れかに記載のシート。
【請求項11】
積層シートであって、
前記積層シートが、内層と、前記内層の片面又は両面に積層されたコート層と、を少なくとも備え、
前記内層が、無機物質粉末、及び熱可塑性樹脂を含み、
前記無機物質粉末の含有量が、前記積層シートに対して、40.0質量以上80.0質量%以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D10が、0.30μm以上0.50μm以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D20が、0.40μm以上0.60μm以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D30が、2.20μm以上3.40μm以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D40が、3.80μm以上5.00μm以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D50が、5.30μm以上6.50μm以下であ
り、
前記無機物質粉末が、炭酸カルシウム粒子を含み、
前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂を含む、
積層シート。
【請求項12】
前記コート層が、ポリアミド樹脂を含む、請求項
11に記載の積層シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート、及び積層シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、各種樹脂製品における樹脂成分含有量を低減するための試みが行われている。
このような試みとして、樹脂製品における炭酸カルシウム等の配合量を高めることが挙げられる(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6857428号公報
【文献】特許第7113579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
炭酸カルシウムの配合量が高い樹脂製品は環境負荷が低く、通常、白色がかった成形品である。
しかし、本発明者らは、このような樹脂製品の白色度は、製品の量産時において製品間でのばらつきが生じ易いことを見出した。白色度のばらつきは、外観の品質安定性を損なう可能性がある。
【0005】
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、白色度のばらつきが改善された、無機物質粉末含有シートの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、シートに配合される無機物質粉末について、所定の粒度分布を満たすものを使用することで、上記課題を解決出来る点を見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下を提供する。
【0007】
(1) 無機物質粉末、及び熱可塑性樹脂を含むシートであって、
前記無機物質粉末の含有量が、前記シートに対して、40.0質量以上80.0質量%以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D10が、0.30μm以上0.50μm以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D20が、0.40μm以上0.60μm以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D30が、2.20μm以上3.40μm以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D40が、3.80μm以上5.00μm以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D50が、5.30μm以上6.50μm以下である、
シート。
【0008】
(2) 前記無機物質粉末における粒度分布D10が、0.35μm以上0.45μm未満であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D20が、0.45μm以上0.59μm未満であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D30が、2.50μm以上3.00μm未満であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D40が、4.20μm以上4.60μm未満であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D50が、5.70μm以上6.10μm未満である、
(1)に記載のシート。
【0009】
(3) 前記無機物質粉末における粒度分布D99が、17.50μm以上30.00μm以下である、(1)に記載のシート。
【0010】
(4) 前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂を含む、(1)に記載のシート。
【0011】
(5) 前記ポリプロピレン系樹脂が、ポリプロピレンホモポリマー及び/又はポリプロピレンブロックポリマーを含む、(4)に記載のシート。
【0012】
(6) 前記ポリエチレン系樹脂が、高密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンを含む、(4)に記載のシート。
【0013】
(7) 前記無機物質粉末が、炭酸カルシウム粒子及び/又は酸化チタン粒子を含む、(1)に記載のシート。
【0014】
(8) 前記炭酸カルシウム粒子が、重質炭酸カルシウム粒子を含む、(7)に記載のシート。
【0015】
(9) 前記シートが、延伸シートである、(1)から(8)の何れかに記載のシート。
【0016】
(10) 前記シートが、印刷用シートである、(1)から(8)の何れかに記載のシート。
【0017】
(11) 前記シートが、押出成形シート、又は、インフレーション成形シートである、(1)から(8)の何れかに記載のシート。
【0018】
(12) 積層シートであって、
前記積層シートが、内層と、前記内層の片面又は両面に積層されたコート層と、を少なくとも備え、
前記内層が、無機物質粉末、及び熱可塑性樹脂を含み、
前記無機物質粉末の含有量が、前記積層シートに対して、40.0質量以上80.0質量%以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D10が、0.30μm以上0.50μm以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D20が、0.40μm以上0.60μm以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D30が、2.20μm以上3.40μm以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D40が、3.80μm以上5.00μm以下であり、
前記無機物質粉末における粒度分布D50が、5.30μm以上6.50μm以下である、
積層シート。
【0019】
(13) 前記コート層が、ポリアミド樹脂を含む、(12)に記載の積層シート。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、白色度のばらつきが改善された、無機物質粉末含有シートが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0022】
<シート>
本発明の一形態に係るシートは、以下の要件を全て満たす。
・無機物質粉末、及び熱可塑性樹脂を含む。
・無機物質粉末の含有量が、シートに対して、40.0質量以上80.0質量%以下である。
・無機物質粉末における粒度分布D10が、0.30μm以上0.50μm以下である。
・無機物質粉末における粒度分布D20が、0.40μm以上0.60μm以下である。
・無機物質粉末における粒度分布D30が、2.20μm以上3.40μm以下である。
・無機物質粉末における粒度分布D40が、3.80μm以上5.00μm以下である。
・無機物質粉末における粒度分布D50が、5.30μm以上6.50μm以下である。
【0023】
シートが、本発明の要件を満たしているかどうかは、走査電子顕微鏡(SEM)画像に基づき特定出来る。
具体的には、シートの断面等のSEM画像を分析し、各層に含まれる成分の含有量等を特定出来る。
また、シートが無機物質粉末の粒度分布の要件を満たしているかどうかや、シートに含まれる無機物質粉末の種類等は、後述するレーザ回折式粒度分布測定装置を用いた方法で特定出来る。
【0024】
無機物質粉末が高配合されたシートでは、無機物質粉末のわずかな分散性の変動等による無機物質粉末の分布不均一が、白色度の大きなばらつきにつながり易い。
例えば、シートの白色度を向上させるため、無機物質粉末の粒子径等の調整(例えば、無機物質粉末の粒子径の平均粒子径を所定範囲にすることや、無機物質粉末の粒子径の最大粒子径を所定の値以下に調整すること)や、白色色素や分散剤の利用が考えられる。
しかし、従来は、シートについて、大量生産時の品質を安定させること、すなわち、大量生産時の白色度のばらつきには着目していなかった。
【0025】
上記のような事情のもと、本発明者らによる検討の結果、意外にも、無機物質粉末の粒度分布が、大量生産時の白色度のばらつきに大きな影響を及ぼすことが見出された。本発明の粒度分布を満たすように配合することで、白色度のばらつきを抑制し易いという知見は、極めて意外なものである。
【0026】
本発明において「シートの白色度」とは、JIS P 8148-2018に基づき特定される白色度を包含する。
【0027】
本発明において「シートの白色度のばらつきが抑制されている」とは、シートについて、同条件で多数作製したとき、それら同士の間での白色度のばらつき(標準偏差)が少ないこと(例えば、白色度の標準偏差が、好ましくは30%未満、より好ましくは15%未満であること)を意味する。
【0028】
シートの白色度は、実施例に示した方法で評価し得る。
【0029】
本発明において「成分Aからなる」とは、成分A以外の成分を実質的に含まないことを意味する。
【0030】
本発明において「成分Bを実質的に含まない」とは、成分Bの含有量が、その配合対象全体(例えば、シート)に対して、0.1質量%未満である態様、より好ましくは0.01質量%以下である態様、更に好ましくは成分Bを全く含まない態様を包含する。
【0031】
以下、本発明のシートの構成について詳述する。
【0032】
(1)シートに含まれる無機物質粉末
本発明は、高い割合の無機物質粉末が配合されつつも、無機物質粉末の粒度分布を調整した点に主要な技術的特徴がある。
【0033】
(1-1)シート中の無機物質粉末の配合量
無機物質粉末の含有量は、シートに対して、40.0質量以上80.0質量%以下である。
このように無機物質粉末の含有量が高いシートは、白色度にばらつきが生じ易いという大きな課題を有する。しかし、本発明によれば、後述する無機物質粉末の粒度分布の調整により、白色度のばらつきを抑制出来る。
【0034】
無機物質粉末の含有量は、高度な白色度を付与しつつも白色度にばらつきが生じにくい観点で、シートに対して、40.0質量以上、好ましくは45.0質量以上、より好ましくは50.0質量%以上である。
【0035】
無機物質粉末の含有量は、充分なシート成形加工性を付与するほどの熱可塑性樹脂を配合する観点から、シートに対して、80.0質量以下、好ましくは75.0質量以下、より好ましくは70.0質量%以下である。
【0036】
(1-2)シート中の無機物質粉末の粒度分布
本発明のシートに含まれる無機物質粉末は、その粒子径の積算分布が所定要件を満たすように調整される。
【0037】
「粒度分布DnがXμmである」とは、粒子母集団の「n%」が、「Xμm以下」の粒子径であること、換言すれば、粒子母集団のうち「n%」の粒子径の上限値が「Xμm」であることを意味する。
本発明において「無機物質粉末における粒度分布Dnが、Aμm以上Bμm以下である」とは、無機物質粉末全体のうちの「n%」が、「Aμm以上Bμm以下」の範囲内の値を上限とする粒子径を有することを意味する。
例えば、「D50が1μm以上2μm以下である」とは、無機物質粉末全体のうち、半分(50%)の粒子が、1μm以上2μm以下の範囲内の値を上限とする粒子径を有することを意味する。この例の場合、半分の粒子が、例えば、1μm以下、1.5μm以下、又は2μm以下の粒子径を有する。
【0038】
粒度分布Dnや、無機物質粉末の粒子径の測定機器としては、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いる。
より詳細には、実施例に示す、シートや成形品を焼成して得られた灰分に基づき、レーザ回折・散乱式の粒子径分布測定装置により、積層シートや、該積層シートから得られる成形品に含まれる無機物質粉末の粒度分布を特定出来る。
【0039】
本発明において、下記の粒度分布の各下限及び各上限は、各々独立して組み合わせることが出来る。
【0040】
シート全体に含まれる無機物質粉末における粒度分布D10は、0.30μm以上0.50μm以下である。
本発明の効果が奏され易いという観点から、該粒度分布D10の下限は、0.30μm以上、好ましくは0.35μm以上である。
本発明の効果が奏され易いという観点から、該粒度分布D10の上限は、0.50μm以下、好ましくは0.45μm未満である。
【0041】
シート全体に含まれる無機物質粉末における粒度分布D20は、0.40μm以上0.60μm以下である。
本発明の効果が奏され易いという観点から、該粒度分布D20の下限は、0.40μm以上、好ましくは0.45μm以上である。
本発明の効果が奏され易いという観点から、該粒度分布D20の上限は、0.60μm以下、好ましくは0.59μm未満である。
【0042】
シート全体に含まれる無機物質粉末における粒度分布D30は、2.20μm以上3.40μm以下である。
本発明の効果が奏され易いという観点から、該粒度分布D30の下限は、2.20μm以上、好ましくは2.50μm以上である。
本発明の効果が奏され易いという観点から、該粒度分布D30の上限は、3.40μm以下、好ましくは3.00μm未満である。
【0043】
シート全体に含まれる無機物質粉末における粒度分布D40は、3.80μm以上5.00μm以下である。
本発明の効果が奏され易いという観点から、該粒度分布D40の下限は、3.80μm以上、好ましくは4.20μm以上である。
本発明の効果が奏され易いという観点から、該粒度分布D40の上限は、5.00μm以下、好ましくは4.60μm未満である。
【0044】
シート全体に含まれる無機物質粉末における粒度分布D50は、5.30μm以上6.50μm以下である。
本発明の効果が奏され易いという観点から、該粒度分布D50の下限は、5.30μm以上、好ましくは5.70μm以上である。
本発明の効果が奏され易いという観点から、該粒度分布D50の上限は、6.50μm以下、好ましくは6.10μm未満である。
【0045】
シート全体に含まれる無機物質粉末は、粒径が大きいもの(例えば、直径が30.0μm以上であるもの)が少ないほど、大量生産時のシートの成形性(作り易さ)が向上し易い。
したがって、本発明の一態様において、シートに含まれる無機物質粉末における粒度分布D99は、好ましくは17.50μm以上30.00μm以下である。
【0046】
本発明における粒度分布の要件を全て満たす無機物質粉末の調製方法は特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。
・粒度分布が予め特定された無機物質粉末(市販品等でも良い)を、本発明における粒度分布を満たすようにブレンドする。
・上記ブレンド品を、必要に応じて、孔径のフィルタに通し、粒度分布を調整する。
・上記ブレンド品に対し、必要に応じて、粒度分布が極めて狭い所定粒径の無機物質粉末を添加し、粒度分布を調整する。
【0047】
(1-3)シート中の無機物質粉末の種類
無機物質粉末としては、特に限定されず、通常の樹脂製品等に含まれるものであっても良い。無機物質粉末は、1種類の物質を単独で又は2種類以上の物質を組み合わせて用いられる。
【0048】
シートが積層シートである場合、各層に含まれる無機物質粉末は、全て同一の物質であっても良く、異なる物質であっても良い。
ただし、本発明の効果が奏され易いという観点から、シートにおける各層に含まれる無機物質粉末は、全て同一の物質であることが好ましい。
【0049】
無機物質粉末としては、例えば、以下のものが挙げられる。
金属(カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛等)の炭酸塩、硫酸塩、珪酸塩、リン酸塩、又はホウ酸塩;
金属(カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛等)の酸化物;
上記塩又は酸化物の水和物等。
【0050】
無機物質粉末としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、カオリン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、リン酸マグネシウム、硫酸バリウム、珪砂、カーボンブラック、ゼオライト、モリブデン、珪藻土、セリサイト、シラス、亜硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、チタン酸カリウム、ベントナイト、黒鉛等が挙げられる。
【0051】
無機物質粉末は合成のものであっても良く、天然鉱物由来のものであっても良い。
【0052】
無機物質粉末の分散性や反応性を高めるために、無機物質粉末の表面を、常法に従い、予め表面改質しても良く、しなくても良い。
表面改質法としては、物理的処理方法(プラズマ処理等)、化学的処理方法(カップリング剤や界面活性剤を使用した方法)等が挙げられる。
【0053】
無機物質粉末の形状は、特に限定されず、粒子状(球形、不定形状等)、フレーク状、顆粒状、繊維状等の何れであっても良い。
【0054】
無機物質粉末としては、炭酸カルシウム粒子及び/又は酸化チタン粒子を含むことが好ましい。例えば、無機物質粉末において、炭酸カルシウム粒子及び/又は酸化チタン粒子は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、最も好ましくは100質量%含まれる。
特に、炭酸カルシウム、中でも重質炭酸カルシウムが高充填されたシートは、白色度の安定性に特に劣る。しかし、本発明によれば、シートが炭酸カルシウムを含む場合であっても、白色度のばらつきを良好に抑制出来る。
更に、炭酸カルシウム粒子(特に重質炭酸カルシウム粒子)及び酸化チタン粒子を併用すると、より良好な白色度を実現し易くなる。
【0055】
シート中の無機物質粉末に炭酸カルシウム粒子及び/又は酸化チタン粒子が含まれているかどうかや、その含有量は、シートを焼成し、その灰分分析によって特定出来る。
【0056】
炭酸カルシウムとしては、重質炭酸カルシウム、及び軽質炭酸カルシウムのうち、何れであっても良い。
「重質炭酸カルシウム」とは、CaCO3を主成分とする天然原料(石灰石等)を機械的に粉砕(乾式法、湿式法等)して得られる炭酸カルシウムである。
「軽質炭酸カルシウム」とは、合成法(化学的沈殿反応等)により調製された炭酸カルシウムである。
したがって、重質炭酸カルシウム、及び軽質炭酸カルシウムは互いに明確に区別される。
【0057】
重質炭酸カルシウム、及び軽質炭酸カルシウムの違いは、例えば、SEM画像の分析に基づき算出された真円度から特定出来る。
重質炭酸カルシウム粉末の真円度は、例えば、0.50以上0.95以下の範囲である。軽質炭酸カルシウム粉末の真円度は、例えば、ほぼ1.00である。
【0058】
本発明において「真円度」とは、下式で表される値であり、粒子の不定形性の度合いに関する指標である。真円度が「1」(最大値)に近いほど真円に近いことを意味し、数値が低いほど不定形の度合いが高いことを意味する。
「真円度」=(粒子の投影面積)/(粒子の投影周囲長と同一周囲長を持つ円の面積)
【0059】
重質炭酸カルシウムは、その製法上、形状等が一定ではないため、大量生産時のシートの白色度がばらつき易い。しかし、本発明によれば、粒度分布を調整することにより、重質炭酸カルシウムが高充填されたシートであっても、白色度のばらつきを良好に抑制出来る。
したがって、本発明の好ましい態様において、シートは重質炭酸カルシウムを含む。本発明のより好ましい態様において、シートに含まれる無機物質粉末は重質炭酸カルシウムからなる。
【0060】
重質炭酸カルシウムのJIS M-8511に準じた空気透過法に基づく平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上13.5μm以下、より好ましくは1μm以上10μm以下である。
【0061】
(2)シートに含まれる熱可塑性樹脂
シートに配合される熱可塑性樹脂としては、樹脂シートに通常配合され得る任意の樹脂を採用出来る。熱可塑性樹脂は、1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0062】
(2-1)シート中の熱可塑性樹脂の配合量
熱可塑性樹脂の含有量は、無機物質粉末の配合量に応じて調整出来る。
熱可塑性樹脂の含有量の下限は、シートに対して、好ましくは10.0質量以上、より好ましくは20.0質量以上である。
熱可塑性樹脂の含有量の上限は、シートに対して、好ましくは70.0質量以下、より好ましくは60.0質量以下である。
【0063】
(2-2)シート中の熱可塑性樹脂の種類
【0064】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等が挙げられる。これらのうち、良好な成形性等の観点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0065】
本発明において「ポリオレフィン系樹脂」とは、オレフィン成分単位を主成分とするポリオレフィン系樹脂を意味する。
「オレフィン成分単位を主成分とする」とは、オレフィン成分単位がポリオレフィン系樹脂中に50質量%以上(好ましくは75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上)含まれることを意味する。
なお、本発明に使用されるポリオレフィン系樹脂の製造方法は特に限定されず、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系触媒、ラジカル開始剤(酸素、過酸化物等)等を用いる方法等の何れでも良い。
【0066】
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、本発明の効果が奏され易く、更に、良好な外観等を実現し易いという観点から、ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂を含むことが好ましく、ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂からなることがより好ましい。
【0067】
(2-2-1)ポリプロピレン系樹脂
本発明におけるポリプロピレン系樹脂は、プロピレン成分単位が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、最も好ましくは80質量%以上の樹脂を包含する。
【0068】
ポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレンホモポリマー(プロピレン単独重合体)、プロピレンと他のα-オレフィン(プロピレンと共重合可能なもの)との共重合体等が挙げられる。
「他のα-オレフィン」としては、例えば、炭素数4~10のα-オレフィン(エチレン、1-ブテン、イソブチレン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、3,4-ジメチル-1-ブテン、1-ヘプテン、3-メチル-1-ヘキセン等)が挙げられる。
【0069】
プロピレン単独重合体としては、種々の立体規則性(アイソタクティック、シンジオタクティック、アタクチック、ヘミアイソタクチック等)を示す、直鎖状又は分枝状のポリプロピレン等が包含される。
【0070】
プロピレンの共重合体は、ポリプロピレンランダムコポリマー(ランダム共重合体)、ポリプロピレンブロックコポリマー(ブロック共重合体)、二元共重合体、三元共重合体等の何れであっても良い。具体的には、エチレン-プロピレンランダム共重合体、ブテン-1-プロピレンランダム共重合体、エチレン-ブテン-1-プロピレンランダム3元共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体等が挙げられる。
【0071】
上記のポリプロピレン系樹脂のうち、ポリプロピレンブロックポリマーを含む樹脂が好ましく、ポリプロピレンブロックポリマーからなる樹脂がより好ましい。
【0072】
(2-2-2)ポリエチレン系樹脂
本発明におけるポリエチレン系樹脂は、エチレン成分単位が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、最も好ましくは80質量%以上の樹脂を包含する。
【0073】
ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン1共重合体、エチレン-ブテン1共重合体、エチレン-ヘキセン1共重合体、エチレン-4メチルペンテン1共重合体、エチレン-オクテン1共重合体等が挙げられる。
【0074】
ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンを含む樹脂が好ましく、高密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンからなる樹脂がより好ましい。
【0075】
高密度ポリエチレンは、JIS K 6922-1(ISO1133)によるMFR(190℃、21.6kg)が、5g/10分以上15g/10分以下であるものが好ましく、7g/10分以上13g/10分以下であるものがより好ましい。
【0076】
直鎖状低密度ポリエチレンは、JIS K 6922-1(ISO1133)によるMFR(190℃、2.16kg)が、0.5g/10分以上1.5g/10分以下であるものが好ましく、0.7g/10分以上1.3g/10分以下であるものがより好ましい。
【0077】
高密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンを含む樹脂において、両者の質量比(高密度ポリエチレン:直鎖状低密度ポリエチレン)は、好ましくは90:10~50:50、より好ましくは92:8~50:50、更に好ましくは94:6~50:50である。
【0078】
(3)シートに含まれるその他の成分
シートには、本発明の効果を阻害しない範囲で、無機物質粉末、及び熱可塑性樹脂以外のその他の成分を配合しても良く、配合しなくても良い。
【0079】
その他の成分としては、樹脂シートに通常配合され得る任意の成分を採用出来る。
このような成分として、潤滑剤、分散剤、静電防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
これらの成分の種類や量は、得ようとする効果等に応じて適宜設定出来る。
【0080】
本発明の好ましい態様は、シートが、炭酸カルシウム粒子(より好ましくは、重質炭酸カルシウム粒子)及び/又は酸化チタン粒子、並びに熱可塑性樹脂のみからなるシートを包含する。
【0081】
(4)シートのその他の構成等
本発明のシートは、上記にくわえ、以下の条件を満たしていても良い。
【0082】
シートは単層でも良く、多層であっても良い。
【0083】
本発明のシートが多層である場合、本発明は以下の条件を全て満たす態様を包含する。
・積層シートが、内層と、内層の片面又は両面に積層されたコート層と、を少なくとも備える。
・内層が、無機物質粉末、及び熱可塑性樹脂を含む。
・無機物質粉末の含有量が、積層シートに対して、40.0質量以上80.0質量%以下である。
・無機物質粉末における粒度分布D10が、0.30μm以上0.50μm以下である。
・無機物質粉末における粒度分布D20が、0.40μm以上0.60μm以下である。
・無機物質粉末における粒度分布D30が、2.20μm以上3.40μm以下である。
・無機物質粉末における粒度分布D40が、3.80μm以上5.00μm以下である。
・無機物質粉末における粒度分布D50が、5.30μm以上6.50μm以下である。
【0084】
本発明の好ましい態様において、上記積層シートにおけるコート層は、無機物質粉末を含まない。換言すれば、本発明の好ましい態様において、積層シートにおける無機物質粉末は、内層のみに含まれる。
【0085】
本発明の好ましい態様において、上記積層シートにおけるコート層は、樹脂を含む。
好ましい樹脂としては、ポリアミド樹脂(ナイロン等)等が挙げられる。
コート層の形成方法としては、以下が挙げられる。このような方法により、内層と、内層の片面又は両面に積層されたコート層と、を少なくとも備える積層シートが得られる。
・樹脂を含む塗工液を内層表面に塗布し、乾燥させる。
・各層を共押出する。
【0086】
シートの全体厚さは、シートの層構成等に応じて設定出来る。
シートが単層である場合、シートの全体厚さは、好ましくは50μm以上400μm以下である。
シートが多層(上記積層シート)である場合、内層の厚さは、好ましくは50μm以上400μm以下である。内層に対して設けられるコート層の各厚さは、好ましくは1μm以上10μm以下である。
【0087】
(5)シートの製造方法
本発明のシートの製造方法は特に限定されず、従来知られる単層シートや、多層シートの製造方法を採用出来る。
【0088】
本発明のシートの製造方法として、押出成形、インフレーション成形等が挙げられる。
したがって、本発明のシートは、押出成形シートや、インフレーション成形シートであり得る。
【0089】
本発明のシートは、任意の製造方法に供し、成形品に加工され得る。
【0090】
本発明のシートは、延伸しても良く、延伸しなくても良い。したがって、本発明のシートは、延伸シート、及び、未延伸シートの何れも包含する。
ただし、本発明によれば、延伸シートであっても白色度のばらつきが抑制される点で有利である。
【0091】
(6)シートの用途
本発明のシートは、通常の樹脂シートにおける任意の用途に採用出来る。
【0092】
本発明のシートの成形方法としては、特に限定されず、真空成形、圧空成形、マッチモールド成形等が挙げられる。
【0093】
本発明のシートの好適な用途として、印刷用シートが挙げられる。
本発明のシートは、従来の合成紙の代替品として利用出来る。
【実施例】
【0094】
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0095】
<シートの作製及び評価>
以下の方法でシートを作製し、その評価を行った。
【0096】
(1)材料の準備
各層の材料を以下の通り準備した。
【0097】
(無機物質粉末)
本試験では、無機物質粉末として、炭酸カルシウム粒子(重質炭酸カルシウム粒子)のみを使用した。
各例において、粒度分布が表1中の「炭酸カルシウムの粒子の粒度分布」を満たす炭酸カルシウム粒子を使用した。各炭酸カルシウム粒子は、表1に示す粒度分布(Dn)を有する炭酸カルシウム粒子製品A~Cを適宜比率でブレンドし、更に必要に応じて、所定孔径のフィルタを通したり、粒度分布が極めて狭い所定粒径の炭酸カルシウムを添加したりすることで、所望の粒度分布を有する炭酸カルシウム粒子として準備した。
【0098】
本例において、粒度分布は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置「LA-950」(株式会社堀場製作所)を用いて特定した。
【0099】
レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置による測定においては、以下の条件を採用した。
・分散媒:エタノール
・前処理条件:超音波分散30分
・測定濃度:レーザー透過度94%
・循環速度:8
・撹拌速度:8
【0100】
なお、シート中の炭酸カルシウムの粒度分布は、成形したシートから得られた灰分の粒度分布として特定した。
灰分は、電気炉(「ELECTRIC FURNACE TMF-3100」、東京理化器械株式会社)を用いて500℃で1時間、シートを加熱することで得た。
【0101】
各層における炭酸カルシウムの含有量は、表中の「Ca」に示す値である。
なお、製品A~Cは、本発明における粒度分布Dnのうち、全て、又は一部を満たさない。
【0102】
【0103】
(熱可塑性樹脂)
ポリプロピレン系樹脂(PP):ポリプロピレンブロックコポリマー(融点160℃)
ポリエチレン系樹脂(PE):HDPE及びLLDPEのブレンド(HDPE:LLDPE(質量比)=70:30)
なお、上記HDPEにおける、JIS K 6922-1(ISO1133)によるMFR(190℃、21.6kg)は、7.5g/10分である。
上記LLDPEにおける、JIS K 6922-1(ISO1133)によるMFR(190℃、2.16kg)は、0.8g/10分である。
【0104】
(2)シートの作製
以下の方法で、押出成形シート、又はインフレーション成形シートを作製した。
【0105】
(2-1)押出成形シートの作製
下記表に示す材料を用いて、二軸混練押出機(東洋精機製作所製Tダイ押出成形装置(φ20mm、L/D=25))に投入し、190℃の温度で混練し、ペレット化し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を用いて、190℃で溶融混練後、押出成形法によってシート(厚さ1.2mm)を成形した。次いで、得られた無延伸シートを、二軸方向延伸(縦1.1×横1.1倍)し、延伸シートを得た。
【0106】
(2-2)インフレーション成形シートの作製
表に示す材料を用いて、二軸混練押出機(東洋精機製作所製Tダイ押出成形装置(φ20mm、L/D=25))に投入し、190℃の温度で混練し、ペレット化し、樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物から、インフレーションフィルム押出ライン(60mmの円形ダイ、1.2mmのダイギャップ、30mmのネジ直径、L/D比=30)によってシート(厚さ30μm)を成形した。フィルムは、2.5のBUR(ブローアップ比)で処理した。
なお、押出機において、各区域の温度は180℃~200℃に設定し、回転数は20rpmに維持した。
【0107】
(2-3)シートへのコート層の固着
一部のシートに対し、以下の用法でポリアミド樹脂によるコーティングを行い、コート層を設けた。
まず、ポリアミド樹脂(ナイロン6)を溶剤に溶解させ、塗工液を得た。該塗工液をシートの片面全体に塗布し、乾燥させ、厚さ5μm程度のコート層を形成した。
【0108】
(3)シートの評価
以下の方法で、得られたシート(単層シート)の白色度を評価した。その結果を表中の「白色度」の項に示す。
【0109】
(3-1)白色度の評価方法
各シートを、長さ10cmごとに裁断し、100枚のシート片を準備した。
JIS P 8148-2018に基づき、各シート片の白色度(単位:%)を特定した。白色度が高いほど、シートの白色度が良好であると評価出来る。
【0110】
(3-2)白色度のばらつきの評価基準
各シートの白色度のばらつきを以下の基準で評価した。
A:シートの白色度の標準偏差が15%未満だった。
B:シートの白色度の標準偏差が15%以上30%未満だった。
C:シートの白色度の標準偏差が30%以上だった。
【0111】
(4)結果
表に示される通り、本発明の要件を満たすシートは、シートの白色度のばらつきが抑制されていた。
【0112】
データは示していないが、総量は表に示した値を維持しつつ、無機物質粉末の一部として炭酸カルシウム粒子を酸化チタンに置き換えた場合、白色度の値が高まり易く、より良好な結果が得られ易かった。
【0113】
また、本例で得られた各実施例のシートの表面に、ポリアミド樹脂(ナイロン6)でコーティングしたところ、良好に固着し、印刷性に優れるシートが得られた。
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【要約】
【課題】本発明の課題は、白色度のばらつきが改善された、無機物質粉末含有シートを提供することである。
【解決手段】本発明は、無機物質粉末、及び熱可塑性樹脂を含むシートであって、前記無機物質粉末の含有量が、前記シートに対して、40.0質量以上80.0質量%以下であり、前記無機物質粉末における粒度分布が所定の要件を満たすシートを提供する。
【選択図】なし