(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-15
(45)【発行日】2023-08-23
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 3/43 20060101AFI20230816BHJP
E02F 9/26 20060101ALI20230816BHJP
【FI】
E02F3/43 A
E02F9/26 B
(21)【出願番号】P 2023506938
(86)(22)【出願日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2022008431
(87)【国際公開番号】W WO2022196330
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2021046321
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】井村 進也
(72)【発明者】
【氏名】山本 慎二郎
(72)【発明者】
【氏名】塩飽 晃司
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/181872(WO,A1)
【文献】特開2020-180452(JP,A)
【文献】特開2020-002709(JP,A)
【文献】特開平10-001968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/43
E02F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置と、
前記作業装置の姿勢情報を検出する姿勢検出装置と、
前記作業装置を駆動する油圧アクチュエータと、
外部システムから取得した自動制御に必要なタスク情報に基づいて動作計画情報を生成し、前記動作計画情報及び前記姿勢検出装置の検出結果に基づいて前記油圧アクチュエータの自動制御を実行する制御装置と、を備える作業機械において、
前記制御装置は、
前記動作計画情報を前記外部システムに出力し、
前記外部システムから前記動作計画情報を承認したことを表す承認信号が入力されていない場合には、前記自動制御を実行せず、
前記外部システムから前記承認信号が入力された場合には、前記自動制御を実行する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記作業装置が取り付けられる車体の位置情報を検出する車体位置検出装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記車体位置検出装置の検出結果に基づいて前記車体の位置を演算し、その演算結果と前記姿勢検出装置の検出結果に基づいて前記作業装置の位置及び姿勢の少なくともいずれかを演算する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機械において、
前記制御装置から前記外部システムに出力される前記動作計画情報は、前記作業装置の特定点の軌道である予定動作軌道、前記作業装置の予定位置の時系列情報、前記作業装置の予定姿勢の時系列情報、及び、前記車体の予定位置の時系列情報の少なくともいずれか1つを含む
ことを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1に記載の作業機械において、
前記動作計画情報は、前記作業装置の特定点の軌道である予定動作軌道を含み、
前記制御装置は、
前記自動制御の実行中に、前記作業装置の特定点が前記予定動作軌道から逸脱しているか否かを判定し、
前記自動制御の実行中に、前記作業装置の特定点が前記予定動作軌道から逸脱していると判定すると、前記自動制御を終了し、前記外部システムに異常終了信号を出力し、
前記作業装置の特定点が前記予定動作軌道から逸脱していると判定することなく、前記自動制御を終了した場合には、前記外部システムに正常終了信号を出力する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項1に記載の作業機械において、
前記制御装置は、
前記自動制御の実行中に、前記作業装置の実動作時間が予定動作時間から逸脱しているか否かを判定し、
前記自動制御の実行中に、前記作業装置の実動作時間が前記予定動作時間から逸脱していると判定すると、前記自動制御を終了し、前記外部システムに異常終了信号を出力し、
前記作業装置の実動作時間が前記予定動作時間から逸脱していると判定することなく、前記自動制御を終了した場合には、前記外部システムに正常終了信号を出力する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項6】
請求項1に記載の作業機械において、
前記制御装置は、前記自動制御の実行中に、前記外部システムから一時停止要求信号が入力されると、前記自動制御を一時停止し、前記外部システムに一時停止信号を出力する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項7】
請求項6に記載の作業機械において、
前記制御装置は、
前記自動制御の一時停止中に、前記外部システムから再開要求信号が入力されると、前記自動制御を再開し、
前記自動制御の一時停止中に、前記外部システムから途中終了要求信号が入力されると、前記自動制御を終了し、前記外部システムに途中終了信号を出力する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項8】
請求項1に記載の作業機械において、
前記動作計画情報は、前記タスク情報に基づいて生成された基準動作計画情報と、前記基準動作計画情報を修正した修正動作計画情報とを含み、
前記制御装置は、
修正条件が成立したか否かを判定し、
前記修正条件が成立していない場合には、前記基準動作計画情報及び前記姿勢検出装置の検出結果に基づいて前記油圧アクチュエータの基準自動制御を実行し、
前記修正条件が成立した場合には、前記修正動作計画情報及び前記姿勢検出装置の検出結果に基づいて前記油圧アクチュエータの修正自動制御を実行する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項9】
請求項8に記載の作業機械において、
前記作業装置が取り付けられる車体を備え、
前記基準動作計画情報は、前記作業装置の特定点の軌道である予定動作軌道、前記作業装置の予定位置の時系列情報、前記作業装置の予定姿勢の時系列情報、及び、前記車体の予定位置の時系列情報の少なくともいずれか1つを含み、
前記修正動作計画情報は、前記自動制御の実行中に前記予定動作軌道を修正する可能性のある範囲、前記作業装置の予定位置の時系列情報、前記作業装置の予定姿勢の時系列情報、及び、前記車体の予定位置の時系列情報の少なくともいずれか1つを含む
ことを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの作業機械によって土砂を掘削し、掘削した土砂をダンプトラックなどの運搬車両に積み込む作業がある。このような掘削積込み作業を自動制御で行う技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、油圧ショベルに搭載したセンサシステムを用いて計測した地形データに基づいて、自動的に掘削積込み作業に関連するタスクを計画し実行する制御システムが開示されている。この制御システムは、掘削作業の完了前と完了後、積込み作業の完了前と完了後に、2つの走査センサを用いて掘削領域、移動経路及び積荷領域のうち必要な個所の計測を行い、計測されたデータに基づいて自動的にタスクを計画し実行する。
【0004】
特許文献2には、計測した地形データに基づいて、作業機の現在位置から掘削開始位置までを結ぶ旋回経路を決定し、旋回経路にしたがって作業機を掘削開始位置まで移動させるコントローラを備えた作業機械が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-136549号公報
【文献】特開2020-020153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2に記載された技術は、作業機械の動作の計画から、計画に基づく作業機械の動作の制御までをコントローラが自動で行っている。このため、管理者が意図していない動作が作業機械によって行われてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、管理者が意図した動作を適切に実行可能な作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様による作業機械は、作業装置と、前記作業装置の姿勢情報を検出する姿勢検出装置と、前記作業装置を駆動する油圧アクチュエータと、外部システムから取得した自動制御に必要なタスク情報に基づいて動作計画情報を生成し、前記動作計画情報及び前記姿勢検出装置の検出結果に基づいて前記油圧アクチュエータの自動制御を実行する制御装置と、を備える。前記制御装置は、前記動作計画情報を前記外部システムに出力し、前記外部システムから前記動作計画情報を承認したことを表す承認信号が入力されていない場合には、前記自動制御を実行せず、前記外部システムから前記承認信号が入力された場合には、前記自動制御を実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、管理者が意図した動作を適切に実行可能な作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る油圧ショベルの構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態に係る油圧ショベルの油圧駆動システムを示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態に係るコントローラの機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、掘削作業が行われたときの予定動作軌道と、バケットの爪先が予定動作軌道に沿うように動作する作業装置について示す図である。
【
図5】
図5は、コントローラにより実行される自動運転制御のフローチャートであり、タスク情報の取得処理から制御電流の出力処理までの流れを示す。
【
図6】
図6は、コントローラにより実行される自動運転制御のフローチャートであり、位置姿勢情報演算処理から終了信号出力処理までの流れを示す。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態に係るコントローラの機能ブロック図である。
【
図8】
図8は、掘削作業が行われたときの予定動作軌道と、バケットの爪先が予定動作軌道に沿うように動作する作業装置について示す図であり、予定動作軌道としての基準予定動作軌道及び修正予定動作軌道を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る作業機械について図面を用いて説明する。なお、以下では、作業機械が、作業装置の先端の作業具(アタッチメント)としてバケット10を備える油圧ショベルである例について説明する。
【0012】
また、本稿では、同一の構成要素が複数存在する場合、符号(数字)の末尾にアルファベットを付すことがあるが、当該アルファベットを省略して当該複数の構成要素をまとめて表記することがある。例えば、2つの電磁比例弁54a,54bが存在するとき、これらをまとめて電磁比例弁54と表記することがある。
【0013】
<第1実施形態>
-油圧ショベルの全体構成-
図1は、本発明の第1実施形態に係る油圧ショベル1の構成図である。
図1に示すように、油圧ショベル1は、車体(機体)1Bと、車体1Bに取り付けられる多関節型のフロント作業装置(以下、単に作業装置と記す)1Aと、を備える。車体1Bは、左右の走行油圧モータ3a,3bにより走行する下部走行体11と、下部走行体11の上に取り付けられ、旋回油圧モータ4により旋回する上部旋回体12と、を有する。
【0014】
作業装置1Aは、複数の被駆動部材(ブーム8、アーム9及びバケット10)と、被駆動部材を駆動する複数の油圧アクチュエータと、を備える。複数の被駆動部材は、直列的に連結されている。ブーム8の基端部は上部旋回体12の前部においてブームピンを介して回動可能に支持されている。ブーム8の先端部にはアームピンを介してアーム9が回動可能に連結されている。アーム9の先端部にはバケットピンを介して作業具としてのバケット10が回動可能に連結されている。ブーム8は、油圧アクチュエータである油圧シリンダ(以下、ブームシリンダとも記す)5によって駆動される。アーム9は、油圧アクチュエータである油圧シリンダ(以下、アームシリンダとも記す)6によって駆動される。バケット10は、油圧アクチュエータである油圧シリンダ(以下、バケットシリンダとも記す)7によって駆動される。
【0015】
ブーム8、アーム9及びバケット10の回動角度を測定可能なように、ブーム8にブーム角度センサ30、アーム9にアーム角度センサ31、バケットリンク13にバケット角度センサ32が取り付けられている。上部旋回体12には基準面(例えば水平面)に対する上部旋回体12(車体1B)の傾斜角を検出する車体傾斜角度センサ33が取り付けられている。
【0016】
上部旋回体12には、原動機であるエンジン18及びエンジン18により駆動される油圧ポンプ等の油圧機器が搭載されている。
図2は、油圧ショベル1の油圧駆動システムを示す図である。
図2に示すように、油圧駆動システムは、エンジン18と、メインポンプ2と、パイロットポンプ48と、複数の流量制御弁D1~D6と、複数の電磁比例弁54a~59bと、を備えている。エンジン18は、メインポンプ2及びパイロットポンプ48を駆動する。パイロットポンプ48は固定容量型の油圧ポンプである。
【0017】
メインポンプ2は、レギュレータ2aによって容量が制御される可変容量型の油圧ポンプであり、複数の油圧アクチュエータ(ブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7等)を駆動する圧油を吐出する。レギュレータ2aは、上部旋回体12に搭載されるコントローラ40からの制御指令によって駆動され、メインポンプ2の吐出流量を制御する。
【0018】
メインポンプ2から吐出された圧油は、流量制御弁D1を通じてブームシリンダ5に、流量制御弁D2を通じてアームシリンダ6に、流量制御弁D3を通じてバケットシリンダ7に、流量制御弁D4を通じて旋回油圧モータ4に、流量制御弁D5を通じて走行油圧モータ3aに、流量制御弁D6を通じて走行油圧モータ3bに供給される。供給された圧油によってブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7が伸縮することで、ブーム8、アーム9、バケット10がそれぞれ回動し、作業装置1Aの姿勢及びバケット10の位置が変化する。供給された圧油によって旋回油圧モータ4が回転することで、下部走行体11に対して上部旋回体12が旋回する。供給された圧油によって走行油圧モータ3a,3bが回転することで、下部走行体11が走行する。
【0019】
パイロットポンプ48の吐出配管であるパイロットポンプライン170にはロック弁39が設けられる。パイロットポンプライン170におけるロック弁39の下流側は、複数のパイロットラインC1~C12に分岐されて電磁比例弁54a~59bに接続されている。本実施形態のロック弁39は電磁切換弁であり、そのソレノイドは上部旋回体12の運転室16(
図1参照)に配置されたゲートロックレバー24(
図1参照)の位置センサと電気的に接続されている。ゲートロックレバー24のポジションがその位置センサで検出され、位置センサからゲートロックレバー24のポジションに応じた信号がロック弁39に入力される。ゲートロックレバー24のポジションがロック位置にあればロック弁39が閉じてパイロットポンプ48から電磁比例弁54a~59bへの作動油の供給が遮断される。ゲートロックレバー24のポジションがロック解除位置にあればロック弁39が開いてパイロットポンプ48から電磁比例弁54a~59bへ作動油が供給される。つまり、パイロットポンプライン170がロック弁39によって遮断された状態では、各油圧アクチュエータ(3~7)の動作が禁止される。
【0020】
流量制御弁D1~D6は、メインポンプ2からブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7、旋回油圧モータ4及び走行油圧モータ3a,3bに供給される圧油の流れを制御する。
【0021】
流量制御弁D1は、電磁比例弁54a,54bが設けられたパイロットラインC1,C2を介して受圧室E1,E2に入力されるパイロット圧で駆動される。流量制御弁D1は、メインポンプ2からの圧油の供給方向や流量を制御してブームシリンダ5を駆動する。流量制御弁D2は、電磁比例弁55a,55bが設けられたパイロットラインC3,C4を介して受圧室E3,E4に入力されるパイロット圧で駆動される。流量制御弁D2は、メインポンプ2からの圧油の供給方向や流量を制御してアームシリンダ6を駆動する。流量制御弁D3は、電磁比例弁56a,56bが設けられたパイロットラインC5,C6を介して受圧室E5,E6に入力されるパイロット圧で駆動される。流量制御弁D3は、メインポンプ2からの圧油の供給方向や流量を制御してバケットシリンダ7を駆動する。流量制御弁D4は、電磁比例弁57a,57bが設けられたパイロットラインC7,C8を介して受圧室E7,E8に入力されるパイロット圧で駆動される。流量制御弁D4は、メインポンプ2からの圧油の供給方向や流量を制御して旋回油圧モータ4を駆動する。流量制御弁D5は、電磁比例弁58a,58bが設けられたパイロットラインC9,C10を介して受圧室E9,E10に入力されるパイロット圧で駆動される。流量制御弁D5は、メインポンプ2からの圧油の供給方向や流量を制御して走行油圧モータ3aを駆動する。流量制御弁D6は、電磁比例弁59a,59bが設けられたパイロットラインC11,C12を介して受圧室E11,E12に入力されるパイロット圧で駆動される。流量制御弁D6は、メインポンプ2からの圧油の供給方向や流量を制御して走行油圧モータ3bを駆動する。
【0022】
電磁比例弁54a~59bは、コントローラ40からの制御指令によって制御される。電磁比例弁54a~59bは、パイロットポンプ48から供給される一次圧をコントローラ40からの制御指令(制御電流)に応じた二次圧に減圧することでパイロット圧を生成する減圧弁である。電磁比例弁54a~59bは、生成したパイロット圧を流量制御弁D1~D6の受圧室(E1~E12)へ出力する。
【0023】
コントローラ40には、姿勢検出装置50、車体位置検出装置36、及び、通信装置51が接続されている。姿勢検出装置50は、ブーム8に取り付けられるブーム角度センサ30(
図1参照)、アーム9に取り付けられるアーム角度センサ31(
図1参照)、バケット10に取り付けられるバケット角度センサ32(
図1参照)及び車体1Bに取り付けられる車体傾斜角度センサ33(
図1参照)を有する。これらの角度センサ(30,31,32,33)は、角度を表す情報を作業装置1Aの姿勢情報として取得し、その情報に応じた信号を出力する。すなわち、角度センサ(30,31,32,33)は、作業装置1Aの姿勢情報を検出する姿勢センサとして機能している。姿勢検出装置50は、例えば、角度センサ(30,31,32,33)として、直交3軸の角速度及び加速度を取得するIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)と、IMUで取得した情報に基づいてブーム角、アーム角、バケット角及び車体傾斜角を演算する角度演算装置と、を備える。なお、角度センサ(30,31,32)には、ポテンショメータを採用することもできる。
【0024】
車体位置検出装置36は、上部旋回体12に取り付けられ、上部旋回体12(車体1B)の位置情報及び方位情報を検出する。例えば、車体位置検出装置36は、複数のGNSS(Global Navigation Satellite System:全地球衛星測位システム)用のアンテナ(以下、GNSSアンテナと記す)36a(
図1参照)と、GNSSアンテナ36aで受信された複数の測位衛星からの衛星信号(GNSS電波)に基づいて、地理座標系(グローバル座標系)における上部旋回体12の位置座標(位置情報)及び基準方位からの角度である方位角(方位情報)を演算する測位演算装置と、を有する。
【0025】
通信装置51は、管理システム180と通信を行うための装置である。コントローラ40は、通信装置51を介して情報を管理システム180に送信し、通信装置51を介して管理システム180からの情報を受信する。通信装置51は、広域ネットワークである通信回線20と無線通信可能な無線通信装置であって、所定の周波数帯域を感受帯域とする通信アンテナを含む通信インタフェースを有する。通信回線20は、携帯電話事業者等が展開する携帯電話通信網(移動通信網)、インターネット等である。なお、通信装置51は、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの通信方式を利用して、管理システム180と直接的に、あるいは間接的に情報の授受を行うようにしてもよい。
【0026】
管理システム180は、油圧ショベル1の状態を遠隔で管理(把握、監視)する外部システムであり、油圧ショベル1から離れた施設に設けられる。管理システム180は、管理サーバ181と、表示装置184と、入力装置185と、を備える。管理サーバ181は、通信回線20を介して、油圧ショベル1と通信を行うための通信装置183と、油圧ショベル1から受信した情報等を記憶するハードディスクドライブ等の記憶装置182と、を備える。管理サーバ181は、通信装置183を介して情報をコントローラ40に送信し、通信装置183を介してコントローラ40からの情報を受信する。管理サーバ181は、記憶装置182に記憶された情報を液晶ディスプレイ装置等の表示装置184に表示させる。管理者は、管理サーバ181をキーボード、マウス等の入力装置185により操作し、所定の油圧ショベル1の情報を表示装置184に表示させることで、油圧ショベル1の状態を把握することができる。
【0027】
管理者は、入力装置185を操作して、油圧ショベル1のコントローラ40により実行される自動制御に必要なタスク情報の入力操作を行う。タスク情報には、自動制御の種類及び自動制御を行わせるためのパラメータが含まれる。自動制御の種類には、例えば、掘削作業、積込み作業、車両の移動、掘削積込み作業、移動掘削積込み作業等がある。自動制御を行わせるためのパラメータの一例について説明する。掘削作業の自動制御を行わせるためのパラメータとしては、直方体形状の掘削範囲を画定するための8頂点の地理座標系上の位置座標がある。積込み作業の自動制御を行わせるためのパラメータとしては、放土点の地理座標系上の位置座標がある。
【0028】
入力装置185によるタスク情報の入力操作が行われると、管理サーバ181は、タスク情報を生成し、通信装置183を介して油圧ショベル1にタスク情報を送信する。例えば、管理者は、油圧ショベル1に掘削積込み作業を行わせたい場合、自動制御の種類として掘削積込み作業を選択し、掘削領域の8頂点の位置座標と放土点の位置座標を入力する操作を行う。これにより、管理サーバ181は、油圧ショベル1による掘削動作から積込動作(放土動作)までの作業のまとまりに対する自動制御を一つのタスクとしたタスク情報を生成し、出力する。
【0029】
油圧ショベル1のコントローラ40は、管理システム180からタスク情報を受信すると、タスク情報に基づいて動作計画情報を生成し、通信装置51を介して動作計画情報を管理システム180に送信する。なお、油圧ショベル1のコントローラ40による動作計画情報の生成処理の内容の詳細については後述する。
【0030】
管理システム180には、コントローラ40で生成された動作計画情報が入力される。管理サーバ181は、入力された動作計画情報を表示装置184に表示させる。管理者は、表示装置184の表示画面に表示された動作計画情報を目視し、その動作計画情報に基づく自動制御が実行されることを承認する場合には、入力装置185により承認操作を行う。入力装置185による承認操作が行われると、管理サーバ181は、動作計画情報を承認したことを表す承認信号を生成し、通信装置183を介して油圧ショベル1に承認信号を送信する。管理者は、表示装置184の表示画面に表示された動作計画情報を目視し、その動作計画情報に基づく自動制御が実行されることを承認しない場合には、入力装置185により非承認操作を行う。入力装置185による非承認操作が行われると、管理サーバ181は、動作計画情報を承認しないことを表す非承認信号を生成し、通信装置183を介して油圧ショベル1に非承認信号を送信する。つまり、管理システム180は、入力装置185の操作に応じて承認信号または非承認信号を出力する。
【0031】
油圧ショベル1のコントローラ40は、管理システム180から承認信号が入力された場合には、動作計画情報及び姿勢検出装置50の検出結果に基づいて油圧アクチュエータの自動制御を実行する。なお、コントローラ40は、管理システム180から承認信号が入力されていない場合には、自動制御を実行しない。自動制御が正常に終了すると、コントローラ40は、正常終了信号を生成し、通信装置51を介して管理システム180に正常終了信号を送信する。
【0032】
管理サーバ181は、正常終了信号を受信すると、表示装置184の表示画面に自動制御が正常に終了したことを表すメッセージ等の画像を表示させる。管理者は、自動制御が正常に終了したことを確認すると、再び、タスク情報の入力操作を行う。このように、本実施形態では、(1)管理者によるタスク情報の入力操作、(2)油圧ショベル1のコントローラ40による動作計画情報の生成、(3)管理者による動作計画情報の承認操作、(4)油圧ショベル1のコントローラ40による動作計画情報に基づく自動制御が繰り返し行われることにより油圧ショベル1による作業が進められる。
【0033】
管理サーバ181は、油圧ショベル1から自動制御中であることを表す情報を受信しているときには、表示装置184の表示画面に自動制御中であることを表すメッセージを表示する。管理者は、自動制御を一時的に停止させたい場合には、入力装置185により一時停止要求操作を行う。入力装置185により一時停止要求操作が行われると、管理サーバ181は、一時停止要求信号を生成し、通信装置183を介して油圧ショベル1に一時停止要求信号を送信する。管理者は、自動制御を一時的に停止させた後、再び自動制御を行わせたい場合には、入力装置185により再開要求操作を行う。入力装置185により再開要求操作が行われると、管理サーバ181は、再開要求信号を生成し、通信装置183を介して油圧ショベル1に再開要求信号を送信する。管理者は、自動制御を一時的に停止させた後、自動制御を途中終了させたい場合には、入力装置185により途中終了要求操作を行う。入力装置185により途中終了要求操作が行われると、管理サーバ181は、途中終了要求信号を生成し、通信装置183を介して油圧ショベル1に途中終了要求信号を送信する。
【0034】
以下、自動制御を実現するためのコントローラ40の構成、機能、及び、自動運転制御の処理の流れについて詳しく説明する。
【0035】
-コントローラのハードウェア構成-
コントローラ40は、動作計画情報に基づく油圧ショベル1の自動制御を実行する制御装置である。コントローラ40は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ40a、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の不揮発性メモリ40b、所謂RAM(Random Access Memory)と呼ばれる揮発性メモリ40c、入力インタフェース40d、出力インタフェース40e及び、その他の周辺回路を備えたコンピュータで構成される。なお、コントローラ40は、1つのコンピュータで構成してもよいし、複数のコンピュータで構成してもよい。
【0036】
不揮発性メモリ40bには、各種演算が実行可能なプログラムが格納されている。すなわち、不揮発性メモリ40bは、本実施形態の機能を実現するプログラムを読み取り可能な記憶媒体である。プロセッサ40aは、不揮発性メモリ40bに記憶されたプログラムを揮発性メモリ40cに展開して演算実行する処理装置であって、プログラムに従って入力インタフェース40d、不揮発性メモリ40b及び揮発性メモリ40cから取り入れたデータに対して所定の演算処理を行う。
【0037】
入力インタフェース40dは、姿勢検出装置50、車体位置検出装置36、通信装置51等の装置から入力された信号をプロセッサ40aで演算可能なデータに変換する。出力インタフェース40eは、プロセッサ40aの演算結果に応じた出力用の信号を生成し、その信号を電磁比例弁54a~59b、通信装置51等の装置に出力する。
【0038】
-コントローラの機能-
図3は、コントローラ40の機能ブロック図である。コントローラ40は、位置姿勢演算部43と、電磁比例弁制御部44と、アクチュエータ制御部81と、動作計画部90と、自動動作制御部91と、軌道逸脱判定部92と、時間逸脱判定部93と、第1入力部100と、第2入力部101と、第3入力部102と、第1出力部110と、第2出力部111とを備えている。なお、
図3では、通信装置51の図示は省略し、コントローラ40が、通信装置51を介して情報を管理システム180に送信することを、単に、管理システム180に出力するとも記す。また、コントローラ40が、管理システム180から通信装置51を介して情報を受信することを、単に、管理システム180から情報が入力されるとも記す。
【0039】
第1入力部100には、管理システム180からタスク情報が入力される。第2入力部101には、管理システム180から承認信号または非承認信号が入力される。第3入力部102には、管理システム180から一時停止要求信号、再開要求信号または途中終了要求信号が入力される。
【0040】
位置姿勢演算部43は、車体位置検出装置36の検出結果に基づいて、地理座標系における上部旋回体12の位置及び方位角を演算し、その演算結果と姿勢検出装置50の検出結果に基づいて地理座標系における作業装置1Aの位置及び姿勢を演算する。
【0041】
動作計画部90は、第1入力部100により取得されたタスク情報に基づき、動作計画情報を生成する。動作計画情報は、地理座標系における作業装置1Aの特定点の軌道である予定動作軌道、地理座標系における作業装置1Aの特定点の予定位置の時系列情報、作業装置1Aの予定姿勢の時系列情報、及び、地理座標系における車体1Bの予定位置の時系列情報を含む。本実施形態では、作業装置1Aの特定点は、バケット10の爪先における左右幅方向の中心点である。作業装置1Aの特定点の予定位置の時系列情報は、タスクの開始から終了までの所定時間間隔の各予定時刻における作業装置1Aの特定点の予定位置座標である。作業装置1Aの予定姿勢の時系列情報は、タスクの開始から終了までの所定時間間隔の各予定時刻におけるブーム角、アーム角及びバケット角である。車体1Bの予定位置の時系列情報は、タスクの開始から終了までの所定時間間隔の各予定時刻における車体1Bの基準点の予定位置座標である。油圧ショベル1の車体1Bの基準点には、任意の点を採用することができる。本実施形態では、車体1Bの基準点は、下部走行体11の下面と旋回中心軸の交点である。なお、作業装置1Aの予定動作軌道は、複数の位置座標で構成してもよいし、関数で構成してもよい。
【0042】
第1出力部110は、動作計画部90で生成された動作計画情報を管理システム180に出力する。
【0043】
自動動作制御部91は、第2入力部101に承認信号が入力されたか否かを判定する。自動動作制御部91は、第2入力部101に承認信号が入力されたと判定した場合には、動作計画部90で生成された動作計画情報と、位置姿勢演算部43で演算された油圧ショベル1の位置及び姿勢(作業装置1A、上部旋回体12及び下部走行体11の位置及び姿勢)に基づいて、各油圧アクチュエータの速度の目標値(以下、目標速度と記す)を演算する。
【0044】
例えば、作業装置1Aを駆動する場合には、自動動作制御部91は、動作計画情報と、作業装置1Aの位置及び姿勢に基づいて、作業装置1Aを駆動する油圧シリンダ(5,6,7)の目標速度を演算する。上部旋回体12を駆動する場合には、自動動作制御部91は、動作計画情報と、上部旋回体12の位置及び姿勢に基づいて、上部旋回体12を駆動する旋回油圧モータ4の目標速度を演算する。下部走行体11を駆動する場合には、自動動作制御部91は、動作計画情報と、下部走行体11の位置及び姿勢に基づいて、下部走行体11を駆動する走行油圧モータ3a,3bの目標速度を演算する。
【0045】
アクチュエータ制御部81は、自動動作制御部91で演算された各油圧アクチュエータ(3~7)の目標速度に基づき、各油圧アクチュエータの動作方向に対応する流量制御弁D1~D6の受圧室E1~E12へ作用させるパイロット圧の目標値(以下、目標パイロット圧と記す)を演算する。電磁比例弁制御部44は、アクチュエータ制御部81で演算された目標パイロット圧に基づき、各電磁比例弁54a~59bのソレノイドに供給する制御電流値を演算し、演算結果に応じた制御電流を各電磁比例弁54a~59bのソレノイドに供給する。
【0046】
図4は、掘削作業が行われたときの予定動作軌道と、バケット10の爪先が予定動作軌道に沿うように動作する作業装置1Aについて示す図である。
図4に示すように、コントローラ40から各電磁比例弁54a~59bへの制御電流(制御指令)が出力されることにより、各油圧アクチュエータが動作し、予定動作軌道に沿うように作業装置1Aが動作する。ここで、掘削対象となる土質の影響等により、バケット10の爪先が予定動作軌道からずれてしまったり、バケット10の爪先の移動速度が遅くなってしまったりすることがある。本実施形態では、
図3に示す軌道逸脱判定部92及び時間逸脱判定部93により、動作計画情報に対して作業装置1Aの実際の動作が逸脱しているか否かを監視する。
【0047】
軌道逸脱判定部92は、少なくとも自動制御の実行中に、作業装置1Aの特定点が予定動作軌道から逸脱しているか否かを判定する。軌道逸脱判定部92は、動作計画部90で生成された動作計画情報と、位置姿勢演算部43での演算結果に基づいて、バケット10の特定点が予定動作軌道から逸脱しているか否かを判定する。つまり、軌道逸脱判定部92は、動作計画情報に対する実際の油圧ショベル1の動作の位置的な逸脱の有無を判定する。
【0048】
具体的には、軌道逸脱判定部92は、
図4の拡大図に示すように、位置姿勢演算部43で演算された現在の作業装置1Aのバケット10の爪先(特定点)P0の位置から動作計画部90で演算された予定動作軌道までの最短距離Dminを演算する。軌道逸脱判定部92は、最短距離Dminが距離閾値D0以下であるか否かを判定する。軌道逸脱判定部92は、最短距離Dminが距離閾値D0以下である場合、バケット10の特定点P0が予定動作軌道から逸脱していないと判定する。軌道逸脱判定部92は、最短距離Dminが距離閾値D0よりも大きい場合、バケット10の特定点P0が予定動作軌道から逸脱していると判定する。距離閾値D0は、例えば、数十mmから数百mm程度の値が予め定められ、不揮発性メモリ40bに記憶されている。なお、距離閾値D0は、自動制御の種類に応じて定めてもよい。
【0049】
図3に示す時間逸脱判定部93は、少なくとも自動制御の実行中に、作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱しているか否かを判定する。時間逸脱判定部93は、動作計画部90で生成された動作計画情報と、位置姿勢演算部43での演算結果に基づいて、油圧ショベル1の実動作時間が予定動作時間から逸脱しているか否かを判定する。つまり、時間逸脱判定部93は、動作計画情報に対する実際の油圧ショベル1の動作の時間的な逸脱の有無を判定する。
【0050】
具体的には、時間逸脱判定部93は、
図4の拡大図に示すように、位置姿勢演算部43で演算された現在の作業装置1Aのバケット10の爪先(特定点)P0の位置に最も近い予定動作軌道上の位置を特定する。以下、特定した位置を特定位置P1と記す。時間逸脱判定部93は、現在時刻tcと、動作計画情報に含まれる特定位置P1に関連付けて記憶されている予定時刻teと、の差の絶対値を差分時間tdとして演算する(td=|tc-te|)。なお、現在時刻tcは、コントローラ40のタイマ機能により演算される。時間逸脱判定部93は、差分時間tdが時間閾値t0以下であるか否かを判定する。時間逸脱判定部93は、差分時間tdが時間閾値t0以下である場合、油圧ショベル1の実動作時間が予定動作時間から逸脱していないと判定する。時間逸脱判定部93は、差分時間tdが時間閾値t0よりも大きい場合、油圧ショベル1の実動作時間が予定動作時間から逸脱していると判定する。時間閾値t0は、例えば、数十秒から数分程度の値が予め定められ、不揮発性メモリ40bに記憶されている。
【0051】
図3を参照して、動作計画情報に対して作業装置1Aの実際の動作が逸脱している場合の処理について説明する。自動制御の実行中に、軌道逸脱判定部92により作業装置1Aの特定点が予定動作軌道から逸脱していると判定されると、自動動作制御部91は、自動制御を終了する。さらに、自動動作制御部91は、作業装置1Aの特定点が予定動作軌道から逸脱していることにより自動制御を終了したことを表す第1異常終了信号を生成する。第2出力部111は、自動動作制御部91で生成された第1異常終了信号を管理システム180に出力する。
【0052】
自動制御の実行中に、時間逸脱判定部93により作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱していると判定されると、自動動作制御部91は、自動制御を終了する。さらに、自動動作制御部91は、作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱していることにより自動制御を終了したことを表す第2異常終了信号を生成する。第2出力部111は、自動動作制御部91で生成された第2異常終了信号を管理システム180に出力する。
【0053】
自動動作制御部91は、予定動作軌道の終端の位置座標(すなわち、タスクの終了予定時刻における特定点の位置座標)と、位置姿勢演算部43で演算された現在の作業装置1Aの特定点の位置座標とを結ぶ直線の距離が、終了判定閾値以下であるか否かを判定する。自動動作制御部91は、予定動作軌道の終端の位置座標と、位置姿勢演算部43で演算された作業装置1Aの特定点の位置座標とを結ぶ直線の距離が、終了判定閾値以下である場合、タスク実行完了条件が成立したものとして自動制御を終了する。
【0054】
さらに、自動動作制御部91は、自動制御が正常に終了したことを表す正常終了信号を生成する。つまり、自動動作制御部91は、軌道逸脱判定部92により作業装置1Aの特定点が予定動作軌道から逸脱していると判定されることなく、かつ、時間逸脱判定部93により作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱していると判定されることなく、自動制御を終了した場合には、正常終了信号を生成する。第2出力部111は、自動動作制御部91で生成された正常終了信号を管理システム180に出力する。
【0055】
自動動作制御部91は、自動制御の実行中に、管理システム180から第3入力部102に一時停止要求信号が入力されたか否かを判定する。自動動作制御部91は、自動制御の実行中に、管理システム180から第3入力部102に一時停止要求信号が入力されたと判定した場合には、自動制御を一時停止する。さらに、自動動作制御部91は、自動制御を一時停止したことを表す一時停止信号を生成する。第2出力部111は、自動動作制御部91で生成された一時停止信号を管理システム180に出力する。
【0056】
自動動作制御部91は、自動制御の一時停止中に、管理システム180から第3入力部102に再開要求信号が入力されたか否かを判定する。自動動作制御部91は、自動制御の一時停止中に、管理システム180から第3入力部102に再開要求信号が入力されたと判定した場合には、自動制御を再開する。
【0057】
自動動作制御部91は、自動制御の一時停止中に、管理システム180から第3入力部102に途中終了要求信号が入力されたか否かを判定する。自動動作制御部91は、自動制御の一時停止中に、管理システム180から第3入力部102に途中終了要求信号が入力されたと判定した場合には、自動制御を終了する。さらに、自動動作制御部91は、自動制御を途中で終了したことを表す途中終了信号を生成する。第2出力部111は、自動動作制御部91で生成された途中終了信号を管理システム180に出力する。
【0058】
-自動運転制御の処理の流れ-
図5及び
図6を参照して、コントローラ40により実行される自動運転制御の一例について説明する。
図5のフローチャートは、自動運転制御におけるタスク情報の取得処理から制御電流の出力処理までの流れを示し、
図6のフローチャートは、自動運転制御における位置姿勢情報演算処理から終了信号出力処理までの流れを示している。
【0059】
図5に示すように、ステップS110において、第1入力部100は、管理システム180からタスク情報を取得し、ステップS120へ進む。ステップS120において、動作計画部90は、ステップS110で取得したタスク情報に基づいて動作計画情報を生成し、ステップS130へ進む。ステップS130において、第1出力部110は、ステップS120で生成した動作計画情報を管理システム180に出力し、ステップS140へ進む。
【0060】
ステップS140において、第2入力部101は、管理システム180から信号(以下、第2入力部信号とも記す)を取得し、ステップS150へ進む。ステップS150において、自動動作制御部91は、ステップS140で取得した第2入力部信号が承認信号であるか否かを判定する。ステップS150において、自動動作制御部91は、第2入力部信号が承認信号であると判定するとステップS160へ進み、第2入力部信号が承認信号でないと判定すると(すなわち、第2入力部信号が非承認信号であると判定すると)ステップS110へ戻る。
【0061】
ステップS150で否定判定されている場合には、コントローラ40による自動制御(ステップS160以降の処理)は実行されず、ステップS150で肯定判定されると、コントローラ40による自動制御(ステップS160以降の処理)が実行される。
【0062】
ステップS160において、自動動作制御部91は、位置姿勢演算部43の演算結果である現在の油圧ショベル1の位置姿勢情報(現在の油圧ショベル1の位置及び姿勢)と動作計画情報に基づいて、各油圧アクチュエータの目標速度を演算し、ステップS165へ進む。なお、現在の油圧ショベル1の位置姿勢情報は、後述するステップS180で演算され、不揮発性メモリ40bに保持される。ステップS165において、アクチュエータ制御部81は、ステップS160で演算された目標速度に基づいて、各流量制御弁D1~D6の目標パイロット圧を演算し、ステップS170へ進む。
【0063】
ステップS170において、電磁比例弁制御部44は、ステップS170で演算された目標パイロット圧に基づいて、各電磁比例弁54a~59bのソレノイドに供給する制御電流値を演算し、ステップS175へ進む。ステップS175において、電磁比例弁制御部44は、ステップS170での演算結果に応じた制御電流を電磁比例弁54a~59bのソレノイドに供給し、ステップS180(
図6参照)へ進む。
【0064】
図6に示すように、ステップS180において、位置姿勢演算部43は、車体位置検出装置36の検出結果に基づいて、地理座標系における現在の車体1Bの位置及び上部旋回体12の方位角を演算する。また、ステップS180において、位置姿勢演算部43は、地理座標系における現在の車体1Bの位置及び上部旋回体12の方位角、姿勢検出装置50の検出結果並びに不揮発性メモリ40bに記憶されている油圧ショベル1の各部の寸法情報に基づいて、油圧ショベル1の位置姿勢情報を演算し、ステップS190へ進む。油圧ショベル1の位置姿勢情報には、作業装置1Aの位置及び姿勢、上部旋回体12の位置及び姿勢、並びに、下部走行体11の位置及び姿勢が含まれる。
【0065】
ステップS190において、軌道逸脱判定部92は、軌道逸脱判定処理を実行する。軌道逸脱判定処理において、軌道逸脱判定部92は、ステップS180での演算結果に含まれる作業装置1Aの特定点の位置と、ステップS120で生成された動作計画情報に含まれる予定動作軌道との間の最短距離Dminを演算する。さらに、軌道逸脱判定部92は、最短距離Dminが距離閾値D0以下であるか否かを判定する。ステップS190において、軌道逸脱判定部92は、最短距離Dminが距離閾値D0以下であると判定すると、作業装置1Aの特定点が予定動作軌道から逸脱していないとして、ステップS200へ進む。ステップS190において、軌道逸脱判定部92は、最短距離Dminが距離閾値D0よりも大きいと判定すると、作業装置1Aの特定点が予定動作軌道から逸脱しているとして、ステップS250へ進む。
【0066】
ステップS200において、時間逸脱判定部93は、時間逸脱判定処理を実行する。時間逸脱判定処理において、時間逸脱判定部93は、ステップS180での演算結果に含まれる作業装置1Aの特定点の位置に最も近い予定動作軌道上の位置を特定する。時間逸脱判定部93は、現在時刻tcと、動作計画情報に含まれる特定位置に関連付けて記憶されている予定時刻teと、の差の絶対値を差分時間tdとして演算する。さらに、時間逸脱判定部93は、差分時間tdが時間閾値t0以下であるか否かを判定する。ステップS200において、時間逸脱判定部93は、差分時間tdが時間閾値t0以下であると判定すると、油圧ショベル1の実動作時間が予定動作時間から逸脱していないとして、ステップS210へ進む。ステップS200において、時間逸脱判定部93は、差分時間tdが時間閾値t0よりも大きいと判定すると、油圧ショベル1の実動作時間が予定動作時間から逸脱しているとして、ステップS250へ進む。
【0067】
ステップS210において、第3入力部102は、管理システム180から信号(以下、第3入力部信号とも記す)を取得し、ステップS220へ進む。ステップS220において、自動動作制御部91は、ステップS210で取得した第3入力部信号が一時停止要求信号であるか否かを判定する。ステップS220において、自動動作制御部91は、第3入力部信号が一時停止要求信号であると判定するとステップS260へ進み、第3入力部信号が一時停止要求信号でないと判定するとステップS230へ進む。
【0068】
ステップS230において、自動動作制御部91は、タスク実行完了条件が成立したか否かを判定する。ステップS230において、タスク実行完了条件が成立したと判定するとステップS240へ進み、タスク実行完了条件が成立していないと判定するとステップS160(
図5参照)へ進む。
【0069】
ステップS240において、第2出力部111は、正常終了信号を管理システム180に出力して自動運転制御を終了する。ステップS250において、第2出力部111は、異常終了信号を管理システム180に出力して自動運転制御を終了する。なお、ステップS250において、第2出力部111は、ステップS190で否定判定された場合には第1異常終了信号を管理システム180に出力し、ステップS200で否定判定された場合には第2異常終了信号を管理システム180に出力する。
【0070】
ステップS260において、第2出力部111は、一時停止信号を管理システム180に出力し、ステップS270へ進む。ステップS270において、第3入力部102は、管理システム180から信号(第3入力部信号)を取得し、ステップS280へ進む。
【0071】
ステップS280において、自動動作制御部91は、ステップS270で取得した第3入力部信号が再開要求信号であるか否かを判定する。ステップS280において、自動動作制御部91は、第3入力部信号が再開要求信号であると判定するとステップS230へ進み、第3入力部信号が再開要求信号でないと判定するとステップS290へ進む。
【0072】
ステップS290において、自動動作制御部91は、ステップS270で取得した第3入力部信号が途中終了要求信号であるか否かを判定する。ステップS290において、自動動作制御部91は、第3入力部信号が途中終了要求信号であると判定するとステップS300へ進み、第3入力部信号が途中終了要求信号でないと判定するとステップS270へ戻る。
【0073】
ステップS300において、第2出力部111は、途中終了信号を管理システム180に出力して自動運転制御を終了する。
【0074】
-動作-
本実施形態に係る油圧ショベル1の主な動作について説明する。以下では、自動制御の種類が掘削作業である場合を例に油圧ショベル1の主な動作について説明する。
【0075】
図4に示す例では、油圧ショベル1が停止状態S1であるときに、バケット10の爪先が掘削作業の開始点に位置している。停止状態S1において、管理者が、入力装置185によりタスク情報の入力操作を行うと、管理サーバ181がタスク情報を生成し、油圧ショベル1にタスク情報を送信する。油圧ショベル1のコントローラ40は、入力されたタスク情報に基づき動作計画情報を生成する(
図5のS110→S120)。コントローラ40は、生成した動作計画情報を管理システム180に送信する(
図5のS130)。
【0076】
管理サーバ181は、入力された動作計画情報を表示装置184に表示させる。コントローラ40から管理システム180に出力される動作計画情報は、作業装置1Aの特定点の軌道である予定動作軌道、作業装置1Aの予定位置の時系列情報、作業装置1Aの予定姿勢の時系列情報、及び、車体1Bの予定位置の時系列情報を含む。これにより、管理者は、油圧ショベル1による自動制御が行われる前に、動作計画情報を確認し、その動作計画情報に基づく自動制御を実行させるか否かの判断を行うことができる。
【0077】
例えば、管理サーバ181は、予定動作軌道が入力された場合に、予定動作軌道を表す線の画像と、地形画像とを重ねた合成画像を生成し、表示装置184に出力する。これにより、表示装置184の表示画面に、予定動作軌道を表す線の画像と地形画像の合成画像が表示される。管理者は、表示装置184の表示画面に表示される合成画像を目視することにより、油圧ショベル1による自動制御が行われる前に動作計画情報を確認することができる。管理者は、この動作計画情報に基づいた動作を行って欲しくないと判断した場合には、入力装置185により非承認操作を行う。入力装置185による非承認操作が行われると、管理サーバ181は、非承認信号を生成し、油圧ショベル1に非承認信号を送信する。このように、管理者は、事前に動作計画情報を確認することができるので、管理者の意図しない動作が油圧ショベル1によって行われてしまうことを防止できる。
【0078】
動作計画情報の表示態様は、予定動作軌道を表す線の画像と地形画像の合成画像を表示装置184の表示画面に表示させる態様に限らず、様々な表示態様とすることができる。例えば、管理サーバ181は、動作計画情報に含まれる作業装置1Aの予定位置の時系列情報を表形式あるいはグラフ形式で表示装置184の表示画面に表示させてもよい。また、管理サーバ181は、周知のキーフレーム法などにより、動作計画情報に含まれる作業装置1Aの予定姿勢の時系列情報に基づいて、油圧ショベル1のアニメーションを表示装置184の表示画面に表示させてもよい。なお、自動制御に車両の移動が含まれている場合、管理サーバ181は、車体1Bの予定位置の時系列情報に基づいて、例えば、車体1Bの予定移動軌道を表す線の画像と地形画像の合成画像を表示装置184の表示画面に表示させる。
【0079】
管理者は、非承認操作を行った場合、新たなタスク情報の入力操作を行う。これにより、コントローラ40において、新たなタスク情報に基づく新たな動作計画情報が生成され、管理システム180に出力されるので(
図5のS140→S150でNo→S110→S120→S130)、新たな動作計画情報が表示装置184の表示画面に表示される。管理者は、動作計画情報に問題が無いと判断した場合には、入力装置185により承認操作を行う。入力装置185による承認操作が行われると、管理サーバ181は、承認信号を生成し、油圧ショベル1に承認信号を送信する。
【0080】
コントローラ40は、承認信号が入力されると、動作計画情報に基づく油圧ショベル1の自動制御を実行する(
図5のS140→S150でYes→S160→…→
図6のS180→S190でYes→S200でYes→S210→S220でNo→S230でNo)。自動制御の種類が掘削作業の場合には、コントローラ40は、予定動作軌道に沿ってバケット10の爪先が移動するように各油圧アクチュエータ(5,6,7)の自動制御を実行する。
【0081】
図4に示すように、自動制御が実行されている状態(以下、自動制御状態とも記す)S2において、コントローラ40は、動作計画情報に対して油圧ショベル1の実際の動作が逸脱しているか否かを監視する。
図4においてハッチングで示す領域は、予定動作軌道を距離閾値D0だけ上側にオフセットさせた上側境界と、予定動作軌道を距離閾値D0だけ下側にオフセットさせた下側境界とで囲まれる領域(以下、許容領域と記す)である。
【0082】
自動制御状態S2のときに掘削対象の土質の影響等により、バケット10の特定点である爪先が許容領域内から許容領域外に移動すると、すなわち、バケット10の特定点と予定動作軌道との間の距離が距離閾値D0よりも大きくなると、自動制御が停止する(
図6のS190でNo→S250→END)。したがって、本実施形態によれば、管理者が承認していない動作が行われることを防止できる。
【0083】
なお、自動制御の停止の際、コントローラ40から管理システム180に異常終了信号が出力される(
図6のS250)。その結果、表示装置184の表示画面には、バケット10の爪先が予定動作軌道から逸脱したことにより、自動制御が停止したことを表すメッセージ等の画像が表示される。このため、管理者は、自動制御が停止したこと、及び、その理由を知ることができ、次のタスク情報の作成に役立てることができる。
【0084】
自動制御状態S2のときに掘削対象の土質の影響等により、バケット10の実動作時間と予定動作時間との差が時間閾値t0よりも大きくなると、自動制御が停止する(
図6のS200でNo→S250→END)。したがって、本実施形態によれば、管理者が承認していない動作が行われることを防止できる。
【0085】
なお、自動制御の停止の際、コントローラ40から管理システム180に異常終了信号が出力される(
図6のS250)。その結果、表示装置184の表示画面には、作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱したことにより、自動制御が停止したことを表すメッセージ等の画像が表示される。このため、管理者は、自動制御が停止したこと、及び、その理由を知ることができ、次のタスク情報の作成に役立てることができる。例えば、遅れが生じているような作業が繰り返し行われることを防止できるので、自動制御による作業の遅延を防止できる。
【0086】
自動制御状態S2のときに何らかの理由により油圧ショベル1の自動制御を一時的に停止させたい場合、管理者は、入力装置185により一時停止要求操作を行う。入力装置185により一時停止要求操作が行われると、管理サーバ181は、一時停止要求信号を生成し、油圧ショベル1に一時停止要求信号を送信する。コントローラ40は、一時停止要求信号が入力されると、自動制御を停止する(
図6のS210→S220でYes→S260→S270→S280でNo→S290でNo)。
【0087】
なお、自動制御を一時停止する際、コントローラ40は管理システム180に一時停止信号を出力する(
図6のS260)。その結果、表示装置184の表示画面には、自動制御が一時停止したことを表すメッセージ等の画像が表示される。このため、管理者は、自動制御が一時停止したことを確認できる。
【0088】
一時停止状態のときに自動制御を再開したい場合、管理者は、入力装置185により再開要求操作を行う。入力装置185により再開要求操作が行われると、管理サーバ181は、再開要求信号を生成し、油圧ショベル1に再開要求信号を送信する。コントローラ40は、再開要求信号が入力されると、自動制御を再開する(
図6のS270→S280でYes→S230でNo→
図5のS160→…)。
【0089】
一時停止状態のときに自動制御を途中終了したい場合、管理者は、入力装置185により途中終了要求操作を行う。入力装置185により途中終了要求操作が行われると、管理サーバ181は、途中終了要求信号を生成し、油圧ショベル1に途中終了要求信号を送信する。コントローラ40は、途中終了要求信号が入力されると、自動制御を途中終了する(
図6のS270→S280でNo→S290でYes→S300→END)。
【0090】
なお、自動制御を途中終了する際、コントローラ40は管理システム180に途中終了信号を出力する(
図6のS300)。その結果、表示装置184の表示画面には、自動制御が途中終了したことを表すメッセージ等の画像が表示される。このため、管理者は、自動制御が途中終了したことを確認できる。
【0091】
作業装置1Aの特定点が予定動作軌道から逸脱していると判定されることなく、かつ、作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱していると判定されることなく、自動制御が終了すると、コントローラ40から管理システム180に正常終了信号が出力され、油圧ショベル1は停止状態S3となる(
図6のS230でYes→S240→END)。
【0092】
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0093】
(1)本実施形態に係る油圧ショベル(作業機械)1は、作業装置1Aと、作業装置1Aの姿勢情報を検出する姿勢検出装置50と、作業装置1Aを駆動する油圧アクチュエータ(3a,3b,4,5,6,7)と、管理システム(外部システム)180から取得した自動制御に必要なタスク情報に基づいて動作計画情報を生成し、動作計画情報及び姿勢検出装置50の検出結果に基づいて油圧アクチュエータの自動制御を実行するコントローラ(制御装置)40と、を備える。コントローラ40は、動作計画情報を管理システム180に出力する。コントローラ40は、管理システム180から動作計画情報を承認したことを表す承認信号が入力されていない場合には、自動制御を実行せず、管理システム180から承認信号が入力された場合には、自動制御を実行する。
【0094】
この構成では、コントローラ40は、管理システム180に油圧ショベル1の動作計画情報を提示し、管理システム180から承認信号を取得した場合に動作計画情報にしたがって自動制御を行う。一方、コントローラ40は、管理システム180から承認信号を取得していない場合には動作計画情報にしたがった自動制御を行わない。このため、本実施形態によれば、管理者が意図していない自動制御が行われることを防止できる。つまり、本実施形態によれば、管理者が意図した動作を適切に実行可能な油圧ショベル1を提供することができる。
【0095】
(2)動作計画情報は、作業装置1Aの特定点の軌道である予定動作軌道を含む。コントローラ40は、自動制御の実行中に、作業装置1Aの特定点が予定動作軌道から逸脱しているか否かを判定する。コントローラ40は、自動制御の実行中に、作業装置1Aの特定点が予定動作軌道から逸脱していると判定すると、自動制御を停止し、管理システム180に異常終了信号を出力する。
【0096】
この構成では、作業装置1Aの特定点が予定動作軌道から逸脱した場合には、自動制御が停止するので、管理者が意図していない油圧ショベル1の動作が行われることを防止できる。また、コントローラ40は、管理システム180に対し、自動制御が異常終了したことを提示できる。このため、管理者は、自動制御が異常終了したことを認識できる。
【0097】
(3)コントローラ40は、自動制御の実行中に、作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱しているか否かを判定する。コントローラ40は、自動制御の実行中に、作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱していると判定すると、自動制御を終了し、管理システム180に異常終了信号を出力する。
【0098】
この構成では、作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱した場合には、自動制御が停止するので、管理者が意図していない油圧ショベル1の動作が行われることを防止できる。例えば、管理者が意図していた動作時間に比べて、長い動作時間となってしまうことを防止できる。また、コントローラ40は、管理システム180に対し、自動制御が異常終了したことを提示できる。このため、管理者は、自動制御が異常終了したことを認識できる。
【0099】
(4)コントローラ40は、作業装置1Aの特定点が予定動作軌道から逸脱していると判定することなく、かつ、作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱していると判定することなく、自動制御を終了した場合には、管理システム180に正常終了信号を出力する。これにより、コントローラ40は、管理システム180に対し、自動制御が正常終了したことを提示できる。このため、管理者は、次のタスク情報の入力操作を行うことができる状態であることを認識できる。
【0100】
(5)コントローラ40は、自動制御の実行中に、管理システム180から一時停止要求信号が入力されると、自動制御を一時停止し、管理システム180に一時停止信号を出力する。これにより、管理者は、何らかの理由により自動制御を一時的に停止したい場合に、管理システム180から一時停止要求信号を出力することにより、自動制御を一時停止することができる。また。コントローラ40は、管理システム180に対し、自動制御が一時停止していることを提示できる。このため、管理者は、自動制御が一時停止している状態であることを認識できる。
【0101】
(6)コントローラ40は、自動制御の一時停止中に、管理システム180から再開要求信号が入力されると、自動制御を再開する。コントローラ40は、自動制御の一時停止中に、管理システム180から途中終了要求信号が入力されると、自動制御を終了し、管理システム180に途中終了信号を出力する。これにより、管理者は、自動制御を一時停止した後、管理システム180から再開要求信号を出力することにより、自動制御を再開することができる。また、管理者は、自動制御を途中終了したい場合には、管理システム180から途中終了要求信号を出力することにより、自動制御を途中終了することができる。さらに、コントローラ40は、管理システム180に対し、自動制御が途中終了したことを提示できる。このため、管理者は、自動制御が途中終了したことを認識できる。
【0102】
(7)コントローラ40は、車体位置検出装置36の検出結果に基づいて車体1Bの位置を演算し、その演算結果と姿勢検出装置50の検出結果に基づいて作業装置1Aの位置及び姿勢を演算する。この構成によれば、例えば、地理座標系における作業装置1Aの位置及び姿勢を演算することができるので、地理座標系の動作計画情報に基づく自動制御が可能となる。なお、本実施形態では、コントローラ40は、作業装置1Aの位置及び姿勢の双方を演算する例について説明したが、作業装置1Aの位置及び姿勢の少なくともいずれか一方を演算すればよい。コントローラ40は、作業装置1Aの位置及び姿勢の少なくともいずれか一方と、動作計画情報に基づいて、自動制御を実行することができる。
【0103】
(8)コントローラ40から管理システム180に出力される動作計画情報は、作業装置1Aの特定点の軌道である予定動作軌道、作業装置1Aの予定位置の時系列情報、作業装置1Aの予定姿勢の時系列情報、及び、車体1Bの予定位置の時系列情報を含む。したがって、管理システム180は、予定動作軌道、作業装置1Aの予定位置の時系列情報、作業装置1Aの予定姿勢の時系列情報、及び、車体1Bの予定位置の時系列情報を表示装置184に表示させることができる。
【0104】
<第2実施形態>
図7及び
図8を参照して、本発明の第2実施形態に係る油圧ショベル1を説明する。なお、図中、第1実施形態と同一または相当部分には、同一の参照番号を付し、相違点を主に説明する。
図7は、
図3と同様の図であり、第2実施形態に係るコントローラ240の機能ブロック図である。
図8は、
図4と同様の図であり、掘削作業が行われたときの予定動作軌道と、バケット10の爪先が予定動作軌道に沿うように動作する作業装置1Aについて示す図である。
図8では、予定動作軌道としての基準予定動作軌道及び修正予定動作軌道を示している。
【0105】
-コントローラの機能-
図7に示すように、動作計画部290は、タスク情報に基づいて、基準動作計画情報及び修正動作計画情報を生成する。基準動作計画情報は、第1実施形態で説明した動作計画情報に相当する。修正動作計画情報は、基準動作計画情報を修正した情報であり、基準動作計画情報とは異なる情報である。
【0106】
基準動作計画情報は、作業装置1Aの特定点の軌道である予定動作軌道(以下、基準予定動作軌道とも記す)、作業装置1Aの予定位置の時系列情報、作業装置1Aの予定姿勢の時系列情報、及び、車体1Bの予定位置の時系列情報を含む。修正動作計画情報は、作業装置1Aの特定点の軌道である予定動作軌道(以下、修正予定動作軌道とも記す)、作業装置1Aの予定位置の時系列情報、作業装置1Aの予定姿勢の時系列情報、及び、車体1Bの予定位置の時系列情報を含む。なお、修正予定動作軌道は、基準予定動作軌道とは異なる軌道であり、後述するように、自動制御の実行中に予定動作軌道を修正する可能性のある範囲を示すためにも用いられる。
【0107】
自動動作制御部291は、自動制御の実行中に、修正条件が成立したか否かを判定する。自動動作制御部291は、修正条件が成立していない場合には、基準動作計画情報及び姿勢検出装置50の検出結果に基づいて油圧アクチュエータの基準自動制御を実行する。自動動作制御部291は、修正条件が成立した場合には、修正動作計画情報及び姿勢検出装置50の検出結果に基づいて油圧アクチュエータの修正自動制御を実行する。
【0108】
修正条件は、例えば、掘削対象の土質が想定していたものよりも硬い場合に成立するように予め定められる。修正条件は、例えば、油圧シリンダ(5,6,7)の圧力のいずれかが圧力閾値以上である状態が所定時間以上継続している場合に成立する条件とすることができる。
【0109】
掘削作業の自動制御中に、修正条件が成立しているか否かの判定処理の一例について説明する。コントローラ240は、第4入力部203を備えており、第4入力部203には、圧力検出装置60の検出結果が入力される。圧力検出装置60は、油圧シリンダ(5,6,7)のボトム側油室の圧力及びロッド側油室の圧力を検出する複数の圧力センサを有している。
【0110】
自動動作制御部291は、油圧シリンダ(5,6,7)のボトム側油室の圧力及びロッド側油室の圧力のいずれかが圧力閾値以上である状態が所定時間以上継続している場合に、修正条件が成立していると判定する。自動動作制御部291は、油圧シリンダ(5,6,7)のボトム側油室の圧力及びロッド側油室の圧力のいずれかが圧力閾値以上である状態が所定時間以上継続していない場合に、修正条件は成立していないと判定する。
【0111】
軌道逸脱判定部292は、少なくとも基準自動制御の実行中に、作業装置1Aの特定点が基準予定動作軌道から逸脱しているか否かを判定する。また、軌道逸脱判定部292は、少なくとも修正自動制御の実行中に、作業装置1Aの特定点が修正予定動作軌道から逸脱しているか否かを判定する。
【0112】
時間逸脱判定部293は、少なくとも基準自動制御の実行中及び修正自動制御の実行中において、作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱しているか否かを判定する。
【0113】
基準自動制御の実行中に、軌道逸脱判定部292により作業装置1Aの特定点が基準予定動作軌道から逸脱していると判定されると、自動動作制御部291は、基準自動制御を終了し、第1異常終了信号を生成する。さらに、第2出力部111は、管理システム180に第1異常終了信号を出力する。
【0114】
修正自動制御の実行中に、軌道逸脱判定部292により作業装置1Aの特定点が修正予定動作軌道から逸脱していると判定されると、自動動作制御部291は、修正自動制御を終了し、第1異常終了信号を生成する。さらに、第2出力部111は、管理システム180に第1異常終了信号を出力する。
【0115】
基準自動制御の実行中に、時間逸脱判定部293により作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱していると判定されると、自動動作制御部291は、基準自動制御を終了し、第2異常終了信号を生成する。さらに、第2出力部111は、管理システム180に第2異常終了信号を出力する。
【0116】
修正自動制御の実行中に、時間逸脱判定部293により作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱していると判定されると、自動動作制御部291は、修正自動制御を終了し、第2異常終了信号を生成する。さらに、第2出力部111は、管理システム180に第2異常終了信号を出力する。
【0117】
自動動作制御部291は、軌道逸脱判定部292により作業装置1Aの特定点が基準予定動作軌道から逸脱していると判定されることなく、かつ、時間逸脱判定部293により作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱していると判定されることなく、基準自動制御を終了した場合には、正常終了信号を生成する。さらに、第2出力部111は、管理システム180に正常終了信号を出力する。
【0118】
自動動作制御部291は、軌道逸脱判定部292により作業装置1Aの特定点が修正予定動作軌道から逸脱していると判定されることなく、かつ、時間逸脱判定部293により作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱していると判定されることなく、修正自動制御を終了した場合には、正常終了信号を生成する。さらに、第2出力部111は、管理システム180に正常終了信号を出力する。
【0119】
-動作-
本実施形態に係る油圧ショベル1の主な動作について説明する。以下では、自動制御の種類が掘削作業である場合を例に油圧ショベル1の主な動作について説明する。
【0120】
図8に示すように、停止状態S4では、バケット10の爪先が掘削作業の開始点に位置している。停止状態S4において、管理者が、入力装置185によりタスク情報の入力操作を行うと、管理サーバ181がタスク情報を生成し、油圧ショベル1にタスク情報を送信する。油圧ショベル1のコントローラ240は、入力されたタスク情報に基づき動作計画情報を生成する。コントローラ240は、生成した動作計画情報を管理システム180に送信する。
【0121】
管理サーバ181は、入力された動作計画情報を表示装置184に表示させる。本第2実施形態では、動作計画情報に、タスク情報に基づいて生成された基準動作計画情報と、基準動作計画情報を修正した修正動作計画情報とが含まれる。管理サーバ181は、自動制御の実行中に予定動作軌道を修正する可能性のある範囲を表示装置184の表示画面に表示させる。自動制御の実行中に予定動作軌道を修正する可能性のある範囲とは、例えば、基準予定動作軌道と、修正予定動作軌道とで囲まれる範囲である。なお、複数の修正予定動作軌道が演算される場合には、予定動作軌道と、予定動作軌道から最も離れた修正予定動作軌道とで囲まれる範囲が、自動制御の実行中に予定動作軌道を修正する可能性のある範囲となる。これにより、管理者は、油圧ショベル1による自動制御が行われる前に、修正動作計画情報を含む動作計画情報を確認し、動作計画情報に基づく自動制御を実行させるか否かの判断を行うことができる。管理者は、この動作計画情報に基づいた動作を行って欲しくないと判断した場合には、入力装置185により非承認操作を行う。管理者は、動作計画情報に問題が無いと判断した場合には、入力装置185により承認操作を行う。入力装置185による承認操作が行われると、管理サーバ181は、承認信号を生成し、油圧ショベル1に承認信号を送信する。
【0122】
コントローラ240は、承認信号が入力されると、基準動作計画情報に基づく油圧ショベル1の基準自動制御を実行する。自動制御の種類が掘削作業の場合には、コントローラ240は、基準予定動作軌道に沿ってバケット10の爪先が移動するように各油圧アクチュエータ(5,6,7)の基準自動制御を実行する。
【0123】
基準自動制御が実行されている状態(以下、基準自動制御状態とも記す)S5において、コントローラ240は、基準動作計画情報に対して油圧ショベル1の実際の動作が逸脱しているか否かを監視する。基準自動制御状態S5のときに、基準動作計画情報に対して油圧ショベル1の実際の動作が逸脱している場合には、基準自動制御が停止する。
【0124】
基準自動制御状態S5のときに、修正条件が成立すると、コントローラ240は、修正予定動作軌道に沿ってバケット10の爪先が移動するように各油圧アクチュエータ(5,6,7)の修正自動制御を実行する。基準自動制御状態S5から修正自動制御が実行されている状態(以下、修正自動制御状態とも記す)S6に状態が遷移すると、修正予定動作軌道に応じた許容領域が設定される。
【0125】
修正自動制御状態S6において、コントローラ240は、修正動作計画情報に対して油圧ショベル1の実際の動作が逸脱しているか否かを監視する。修正自動制御状態S6のときに、修正動作計画情報に対して油圧ショベル1の実際の動作が逸脱している場合には、修正自動制御が停止する。
【0126】
作業装置1Aの特定点が修正予定動作軌道から逸脱していると判定されることなく、かつ、作業装置1Aの実動作時間が修正予定動作時間から逸脱していると判定されることなく、修正自動制御が終了すると、コントローラ240から管理システム180に正常終了信号が出力され、油圧ショベル1は停止状態S7となる。
【0127】
このような第2実施形態によれば、第1実施形態で説明した作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0128】
第2実施形態に係るコントローラ240は、予定動作軌道を修正する可能性のある範囲を含めた動作計画情報を提示し、管理システム180から承認信号を取得した場合に動作計画情報にしたがって自動制御を行う。一方、コントローラ240は、管理システム180から承認信号を取得していない場合には動作計画情報にしたがった自動制御を行わない。このため、本実施形態によれば、管理者が意図していない自動制御が行われることを防止できる。つまり、本第2実施形態によれば、第1実施形態と同様、管理者が意図した動作を適切に実行可能な油圧ショベル1を提供することができる。
【0129】
さらに、本第2実施形態では、状況に応じて適切に動作軌道の修正が行われるので、作業効率の向上を図ることができる。例えば、掘削対象の土質が管理者の想定よりも硬い場合には、土質が硬い場合を想定した修正予定動作軌道にしたがった掘削作業の自動制御が実行される。このため、掘削対象の土質が硬い場合に、基準予定動作軌道にしたがった掘削作業の自動制御が実行される場合に比べて、掘削作業の精度を向上することができ、作業のやり直しを防止することにより作業効率の向上を図ることができる。
【0130】
なお、本第2実施形態では、コントローラ240は、基準自動制御の実行中に、作業装置1Aの特定点が基準予定動作軌道から逸脱している、あるいは、作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱していると判定すると、基準自動制御を停止し、管理システム180に異常終了信号を出力する。同様に、コントローラ240は、修正自動制御の実行中に、作業装置1Aの特定点が修正予定動作軌道から逸脱している、あるいは、作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱していると判定すると、修正自動制御を停止し、管理システム180に異常終了信号を出力する。コントローラ240は、作業装置1Aの特定点が基準予定動作軌道から逸脱していると判定することなく、かつ、作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱していると判定することなく、基準自動制御を終了した場合には、管理システム180に正常終了信号を出力する。同様に、コントローラ240は、作業装置1Aの特定点が修正予定動作軌道から逸脱していると判定することなく、かつ、作業装置1Aの実動作時間が予定動作時間から逸脱していると判定することなく、修正自動制御を終了した場合には、管理システム180に正常終了信号を出力する。したがって、本第2実施形態によれば、基準自動制御だけでなく修正自動制御が行われる場合であっても、第1実施形態で説明した(2)~(4)と同様の作用効果を得ることができる。
【0131】
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、上述の異なる実施形態で説明した構成同士を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせることも可能である。
【0132】
<変形例1>
上記実施形態では、作業装置1Aの特定点が、バケット10の爪先における左右幅方向の中心点である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。バケット10の爪先の左端点及び右端点が、それぞれ作業装置1Aの特定点であってもよい。また、バケット10の特定点の位置は、自動制御の種類に応じて変更してもよい。例えば、アーム9が車体1Bから離れるようにアーム9を動作させることにより、傾斜した壁面に対してバケット10の背面を押し付け、土砂を固めて整地する作業を自動制御で行う場合には、バケット10の背面上の点を作業装置1Aの特定点とすることが好ましい。
【0133】
<変形例2>
上記実施形態では、油圧ショベル1が車体位置検出装置36を備えている例について説明したが、本発明はこれに限定されない。油圧ショベル1は、車体位置検出装置36を備えていなくてもよい。この場合、動作計画情報及び油圧ショベル1の各部の位置情報は、ショベル基準座標系で定義すればよい。
【0134】
<変形例3>
上記実施形態では、コントローラ40,240から管理システム180に出力される動作計画情報に、作業装置1Aの特定点の軌道である予定動作軌道、作業装置1Aの予定位置の時系列情報、作業装置1Aの予定姿勢の時系列情報、及び、車体1Bの予定位置の時系列情報が含まれている例について説明したが、これらの情報の少なくともいずれか1つを動作計画情報に含むようにしてもよい。例えば、自動制御の種類が、車両の移動を伴わない作業である場合には、動作計画情報は、作業装置1Aの特定点の軌道である予定動作軌道、作業装置1Aの予定位置の時系列情報、及び、作業装置1Aの予定姿勢の時系列情報の少なくともいずれか1つを含んでいればよい。また、自動制御の種類が、車両の移動である場合には、動作計画情報は、車体1Bの予定位置の時系列情報を含んでいればよい。
【0135】
<変形例4>
上記実施形態では、姿勢検出装置50が、ブーム8、アーム9及びバケット10の姿勢情報を検出する姿勢センサとしての角度センサ(30,31,32)を有している例について説明したが、本発明はこれに限定されない。姿勢検出装置50は、角度センサ(30,31,32)に代えて、油圧シリンダ(5,6,7)のストローク量を姿勢情報として検出するストロークセンサを有していてもよい。位置姿勢演算部43は、油圧シリンダ(5,6,7)のストローク量に基づいて、ブーム角、アーム角及びバケット角を演算する。
【0136】
<変形例5>
上記実施形態では、コントローラ40,240が、動作計画情報に対する実際の油圧ショベル1の動作の位置的及び時間的な逸脱の有無を判定し、逸脱が有る場合に自動制御を停止する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。コントローラ40,240は、例えば、動作計画情報に対する実際の油圧ショベル1の動作の位置的または時間的な逸脱の有無を判定し、逸脱が有る場合に自動制御を停止するようにしてもよい。また、動作計画情報に対する実際の油圧ショベル1の動作の逸脱判定処理、及び、その判定結果に基づく自動制御の停止処理は、省略することもできる。
【0137】
<変形例6>
上記実施形態では、作業機械がバケット10を備える油圧ショベル1である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、バケット以外のアタッチメントを備える作業機械に本発明を適用しても構わない。また、作業機械は、クローラ式の油圧ショベルである場合に限定されることもない。例えば、ホイール式の油圧ショベル、ホイールローダ等の種々の作業機械に本発明を適用することができる。また、作業機械は、移動可能な作業機械に限定されることもない。例えば、固定式の機体に旋回体が設けられ、旋回体に多関節型の作業装置が設けられた作業機械に、本発明を適用することもできる。
【0138】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0139】
1…油圧ショベル(作業機械)、1A…作業装置、1B…車体、2…メインポンプ、3a,3b…走行油圧モータ(油圧アクチュエータ)、4…旋回油圧モータ(油圧アクチュエータ)、5…ブームシリンダ(油圧アクチュエータ)、6…アームシリンダ(油圧アクチュエータ)、7…バケットシリンダ(油圧アクチュエータ)、8…ブーム、9…アーム、10…バケット、11…下部走行体、12…上部旋回体、30,31,32,33…角度センサ(姿勢センサ)、36…車体位置検出装置、40…コントローラ(制御装置)、43…位置姿勢演算部、44…電磁比例弁制御部、50…姿勢検出装置、51…通信装置、60…圧力検出装置、81…アクチュエータ制御部、90…動作計画部、91…自動動作制御部、92…軌道逸脱判定部、93…時間逸脱判定部、100…第1入力部、101…第2入力部、102…第3入力部、110…第1出力部、111…第2出力部、180…管理システム(外部システム)、181…管理サーバ、182…記憶装置、183…通信装置、184…表示装置、185…入力装置、203…第4入力部、240…コントローラ(制御装置)、290…動作計画部、291…自動動作制御部、292…軌道逸脱判定部、293…時間逸脱判定部