IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 釘村 悦了の特許一覧

<>
  • 特許-区分開閉器を備えた高電圧受電設備 図1
  • 特許-区分開閉器を備えた高電圧受電設備 図2
  • 特許-区分開閉器を備えた高電圧受電設備 図3
  • 特許-区分開閉器を備えた高電圧受電設備 図4
  • 特許-区分開閉器を備えた高電圧受電設備 図5
  • 特許-区分開閉器を備えた高電圧受電設備 図6
  • 特許-区分開閉器を備えた高電圧受電設備 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】区分開閉器を備えた高電圧受電設備
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/66 20060101AFI20230817BHJP
   H01H 33/59 20060101ALI20230817BHJP
   H02B 5/02 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
H01H33/66 V
H01H33/59 P
H02B5/02 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022172806
(22)【出願日】2022-10-27
【審査請求日】2022-10-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522423329
【氏名又は名称】釘村 悦了
(74)【代理人】
【識別番号】240000039
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人 衞藤法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】釘村 悦了
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-333468(JP,A)
【文献】特開2016-092930(JP,A)
【文献】特開2012-156038(JP,A)
【文献】特開平02-129819(JP,A)
【文献】特開2002-122616(JP,A)
【文献】特開平04-331416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/28 - 33/68
H02B 1/00 - 1/38
H02B 1/46 - 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力会社の変電所から高電圧(6600V)引込線を介して受電する事業者側に設けられた責任及び財産分界点となる区分開閉器を備えた高電圧受電設備において、
前記区分開閉器は、少なくとも、制御電源用変圧器と、電源側から流入した雷サージを接地線を通じて大地へ逃がす避雷器と、過電流検出器と、電源遮断装置とを備え、
前記過電流検出器を前記引込線の一次側電源接続点側に接続すると共に、前記電流遮断装器を真空バルブの中に可動接点と固定接点を備えた真空スイッチとし、前記制御電源用変圧器は、供給される高電圧(6600V)を低電圧(100V又は200V)に変圧すると共に、前記区分開閉器の外部に、当該区分開閉器の非可動期間においても前記制御電源用変圧器から低電圧(100V)が常時通電されて待機状態を維持するSОG制御装置が設けられていることを特徴とする高電圧受電設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、区分開閉器、および、区分開閉器を備えた高電圧受電設備に関し、特に、波及事故を低減することができる区分開閉器、および、波及事故を低減することができる区分開閉器を備えた高電圧受電設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電力会社が供給する高電圧(6600V)を事業者側で受電して低電圧(200V,100V)に変圧する高電圧受電設備が知られている。図4は、このような高電圧受電設備の一般的な構成を説明する図である。
【0003】
図4において、電力会社の変電所(不図示)から6600Vの高電圧が引込線110を介して、事業者側の高電圧受電設備100に供給されている。高電圧受電設備100には、構内1号柱P上に設けられた区分開閉器120およびSOG制御装置140、区分開閉器120からキュービクルCに高電圧6600Vを出力する出力高圧ケーブル130、出力高圧ケーブル130に接続された避雷器(不図示)等が備えられている。キュービクルCは、受電した高電圧6600Vを低電圧の200V,100Vに変圧して、事業者の工場Fに供給する変圧設備である。
【0004】
区分開閉器120は、電力会社から事業所に高電圧(6600V)を引き込む場合に、その引き込み点に設けられる装置であり、電力会社と事業者との責任分界点近傍に設置される。責任分界点は、区分開閉器120の電源側の入力高圧ケーブル200と電力会社の引き込み線110の接続部分(一次側電源接続点)である。事故の責任がこの責任分界点を境に電力会社または事業者のいずれかに負わされることになっており、事業者側の高電圧受電設備100で事故が発生すると、事業者側の全責任となる。図4において、一点鎖線よりも左側で事故が発生した場合に電力会社の責任、一点鎖線よりも右側で事故が発生した場合に事業者側の責任となる。なお、「責任分界点」は、「責任及び財産分界点」ともいう。
【0005】
ここで、事業者側の高電圧受電設備100で、例えば、1万A(アンペア)の大電流が流れる短絡事故が起きると、電力会社が配電系統を停電させて電力供給を停止するようになっている。電力会社からの電力供給は、通常、複数の事業者に共通に行われているので、停電になるのは事故の発生した事業者だけでなく、同じ電力会社から共通に電力を受けている他の事業者も停電することになる。事故の全責任は、事故の発生した事業者に負わされるので、この事業者は、他の事業者の停電による莫大な損害賠償を支払うことになる。このような事故を波及事故といい、上述したように、いったん事故が起きると、当該事業者だけでなく複数の事業者(例えば、工場、大規模商業施設、銀行、病院、交通システム等)に影響を及ぼし、かつ、事故を起こした事業者に莫大な損害賠償の責任負担があるので、波及事故は社会的な問題となっており、この波及事故が発生しないような対策が望まれている。
【0006】
図5は、従来技術の区分開閉器の特徴を示す概略図であり、図6は、従来の一般的な区分開閉器120の回路図であり、図7は、この一般的な区分開閉器120の主要な構成の概略を説明する図である。なお、図5では、説明の便宜上、単相で示しているが、現実には、図6,7に示すように3相交流である。図5図7において、負荷側は事業者側、電源側は電力会社側を示す。符号ZCTは、零相変流器であり、漏電電流を検知して検知信号を、区分開閉器120外に設けられたSOG制御装置140に送信する。符号OCRは、負荷側内部電極240に被装された過電流検出器であり、過電流を検出して検出信号をSOG制御装置140に送信する。符号VTは、制御電源用変圧器であり、電力会社から供給された6600Vの高電圧を負荷側内部電極240から受電し100Vに変圧して、SOG制御装置140に供給する。符号LAは、負荷側内部電極240に接続された避雷器であり、区分開閉器120が被雷したときに雷サージを接地線210を通じて大地へ逃がすものである。符号160は、トリップ機構であり、SOG制御装置140からの制御信号により、電流遮断装置150の開閉スイッチSWを開放するものである。電流遮断装置150を構成する開閉スイッチSWは、銅板状の可動電極(可動接触子ともいう。)のブレードBと、銅製の固定電極(固定接触子ともいう。)180を備えており、ブレードBを回転させることで固定電極180と開放・接続可能に構成されており、漏電電流を遮断するスイッチとしての機能を果たしている。なお、区分開閉器120は、一般に使用されている公知技術であるので、個々の構成部品についての詳述は極力省略する。
【0007】
この電流遮断装置150は、200mA程度の漏電電流が発生した場合は、零相変流器ZCTから検出信号を受けたSOG制御装置140からトリップ機構160に制御信号を送ることで、トリップ機構160内のトリップコイルTC(図6参照。)や蓄勢されたバネ(不図示。)を作動させ、トリップ機構160とブレードBを連結する連結軸170を作動させて自動的にブレードB(可動電極)を固定電極180から開放することで、電源側からの電力供給を区分開閉器120で遮断することができるので波及事故を防ぐことができるが、1万A以上のような大電流の短絡電流(過電流)が発生した場合は、この構成ではブレードBを開放してもアークが発生して遮断する能力がないので、区分開閉器120での過電流遮断ができない構成になっている。したがって、この過電流が発生すると、電力会社の方でも検知・遮断する構成になっており、一旦過電流が発生して所定時間に復帰しないときは、電力会社の変電所の対応する配電系統を停止させる。このため、上述したように、ある事業者で短絡事故が発生すると、電力会社が配電系統を停止させ電力の供給を停止するので、事故を発生した事業者だけでなく、当該電力会社から共通に電力を受電している複数の事業者が停電の被害を受けることになるのである。
【0008】
そこで、上記のような大電流による波及事故を回避する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、「他の受電設備に不便を及ぼす波及事故を防止できる高圧一括受電設備を提供することを目的」(段落「0009」参照。)として、「高圧電力を受電して低圧電力に降圧して受電ユーザー内の各戸に分配する高圧一括受電設備であって、高圧配電線に接続された高圧気中負荷開閉器と高圧電力を低圧電力に変換するトランスを有する受電装置を備えており、該受電装置は前記高圧一括受電設備内に生じた事故を検知して送電機能を遮断する遮断機能付負荷開閉器を有することを特徴とする高圧一括受電設備」(「請求項1」参照。)が記載されている。
なお、本願発明において、事業者とは、工場や大規模商業施設等の、電力会社から例えば6600Vの高電圧を受電している事業者のことであり、200V,100Vを受電する一般家庭ではない。以下、同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】登録実用新案第3198692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1には、「図2のGBTは遮断機能付負荷開閉器13を示している。本考案における遮断機能付負荷開閉器は自家用電気設備(高圧一括受電したマンションの設備を指す)の事故(故障)が原因で、配電線へ波及し停電になると、他の電気設備も停電し社会的に大きな影響を及ぼすため、こうした波及事故の防止が目的であり、地絡、過負荷、短絡事故の場合に、主遮断装置として機能するものである。」(段落「0020」、図2参照。)、「遮断機能付負荷開閉器としては、上記機能を果すならとくに制限なく種々の負荷開閉器を用いることができるが、(株)戸上電機製作所製の遮断機能付地絡トリップ形高圧ガス負荷開閉器を例示できる。」(段落「0021」参照。)との記載があるが、「高圧ガス負荷開閉器」は、ガスが大気中に漏れる事故が発生する虞があり、現在は製造されていない。
【0011】
また、特許文献1には明示されていないが、上述したように(図4図7参照。)、従来の区分開閉器120には、制御電源用変圧器VT、過電流の検出器OCR、避雷器LA0が設けられることが知られているが、これらの機器は、ブレードBよりも負荷側の位置の電極に接続されている。ところが、例えば、工場Fが製茶工場である場合、製茶工場の稼働期間が夏季の短期間に限られているので、一年を通じては非稼働期間が長い。この製茶工場のように、非稼働期間が長い工場では、非稼働期間は、区分開閉器120を開放し、つまり、ブレードBを開放して経済効果を図っている。区分開閉器120を開放すれば、当然、区分開閉器120内には電力会社からの電力の供給はないのであるから、非稼働期間は、負荷側に設けられた制御電源用変圧器VTは動作しないので、制御電源用変圧器VTから電源を供給されないSOG制御装置140も動作しない。したがって、何らかの要因で、電源側(引き込み線110側)から過電流が流入してもSOG制御装置140は過電流検出・遮断制御の動作をすることができない。
【0012】
また、工場Fの非稼働期間に電源側が被雷して区分開閉器120のブレードBと責任分界点との間に雷サージが入ってき場合には、電流遮断装置150のブレードBが開放されているので、雷サージの逃げ場がなくショート爆発して、電力会社の変電所が停電し波及事故が発生してしまうという虞がある。
【0013】
このため、本発明では、事業所内の事故で発生した過電流を電力会社側で遮断することなく事業者側で遮断することができ、波及事故を低減することができる区分開閉器を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明では、落雷時に事業者側が非稼働期間であっても、常時雷サージ等を大地に放電することが可能であり、波及事故を低減することができる区分開閉器を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明では、事業者側が非稼働期間であっても、常時SOG動作制御装置を動作させておくことで、波及事故を低減することができる高電圧受電設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、電力会社の変電所から高電圧(6600V)引込線を介して受電する事業者側に設けられた責任及び財産分界点となる区分開閉器を備えた高電圧受電設備において、
前記区分開閉器は、少なくとも、制御電源用変圧器と、電源側から流入した雷サージを接地線を通じて大地へ逃がす避雷器と、過電流検出器と、電源遮断装置とを備え、
前記過電流検出器を前記引込線の一次側電源接続点側に接続すると共に、前記電流遮断装器を真空バルブの中に可動接点と固定接点を備えた真空スイッチとし、前記制御電源用変圧器は、供給される高電圧(6600V)を低電圧(100V又は200V)に変圧すると共に、前記区分開閉器の外部に、当該区分開閉器の非可動期間においても前記制御電源用変圧器から低電圧(100V)が常時通電されて待機状態を維持するSОG制御装置が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の区分開閉器によれば、事業所内の事故で発生した過電流を電力会社側で遮断することなく事業者側で遮断することができるので、波及事故を低減するという顕著な効果を奏する。
【0022】
また、本発明の区分開閉器によれば、落雷時に事業者側が非稼期間であっても雷サージ等を大地に放電することができるので、波及事故を低減することができるという顕著な効果を奏する。
【0023】
また、本発明の区分開閉器によれば、事業者側が非稼働期間であっても、常時SOG動作制御装置を動作させて区分開閉器の開放制御をすることができるので、波及事故を低減することができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1実施形態の区分開閉器の発明の特徴を示す概略図である。
図2】本発明の第1実施形態の区分開閉器の回路図である。
図3】本発明の第1実施形態の区分開閉器の構成の概略説明図である。
図4】従来技術の高電圧受電設備の構成を説明する図である。
図5】従来技術の区分開閉器の特徴を示す概略図である。
図6】従来技術の区分開閉器の回路図である。
図7】従来技術の区分開閉器の構成の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、好適な実施形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】
(第1実施形態)
本願発明の特徴は、区分開閉器の内部の構成であり、区分開閉器を備えた高電圧受電設備の構成は、図4に示す従来技術の高電圧受電設備100とほぼ同様の構成であるので、区分開閉器の構成を中心に説明する。図1は、本願発明の第1実施形態の区分開閉器の発明の特徴を示す概念図であり、図2は、本願発明の第1実施形態の区分開閉器の回路図であり、図3は、本願発明の第1実施形態の区分開閉器の構成の説明図である。なお、図1では、説明の便宜上、単相で示しているが、現実には、図2,3に示すように3相交流である。
【0027】
図示するように、本実施形態の区分開閉器1は、主な構成として、零相変流器ZCT1、過電流検出器OCR1、避雷器LA1、制御電源用変圧器VT1、電流遮断装置15、トリップ機構16を備えている。電流遮断装置15は真空スイッチVSWを備えて構成されている。真空スイッチVSWは真空バルブの中に可動接点と固定接点を備えて構成された市販されている公知のものであり、従来の区分開閉器120の開閉スイッチSWに代えて配設されている。固定電極18は、真空スイッチVSWの負荷側の外部電極であり、負荷側内部電極20と接続されている。また、可動電極21は、真空スイッチVSWの電源側の外部電極であり、電源側内部電極22と接続されている。負荷側内部電極20は、出力高圧ケーブル130と接続され、電源側内部電極22は、入力高圧ケーブル200と接続されている。
【0028】
零相変流器ZCT1、過電流検出器OCR1、避雷器LA1、制御電源用変圧器VT1は、それぞれの構成自体は、上述した従来技術の零相変流器ZCT、過電流検出器OCR、避雷器LA、制御電源用変圧器VTと同じもので構わないが、本発明においては、従来技術と異なり、過電流検出器OCR1は、電源側内部電極22の過電流を検出するよう電源側のブッシング23に装着して構成され、避雷器LA1、制御電源用変圧器VT1は、真空スイッチVSWと電源側との間の内部電源電極22に接続されている。内部電源電極22とは、入力高圧ケーブル110と真空スイッチVSWの可動電極21とを電気的に接続する部分であり、銅板またはケーブル等で構成される。
【0029】
零相変流器ZCT1は、漏電電流を検知して検知信号をSOG制御装置14に送信する。過電流検出器OCR1は、電源側内部電極22が挿通された電源側のブッシング23に被装され、過電流を検出した検出信号を、区分開閉器1の外に設けられたSOG制御装置14に送信することができる。例えば、電流遮断装置15が開放された状態において、電源側(電源側内部電極22側)で相間短絡が発生した場合、過電流検出器OCR1で過電流検出信号をSOG制御装置14を介して管理会社に送信することで、波及事故後の早急な対応が可能となる。
【0030】
制御電源用変圧器VT1は、電力会社から供給された6600Vの高電圧を、真空スイッチVSWと電源側との間の電極(例えば、電源側内部電極22)から受電して100Vに変圧して、SOG制御装置14に供給する。避雷器LA1は、被雷したときに雷サージを接地線210を介して大地へ逃がすものである。トリップ機構16は、SOG制御装置14からの制御信号により、真空スイッチVSWを開放・投入するものである。
【0031】
なお、トリップ機構16は、従来技術のトリップ機構160を適宜変更する必要があるが、この変更は、真空スイッチVSWの可動電極21(真空スイッチVSW内部の可動接点)を固定電極18(真空スイッチVSW内部の固定接点)に接続・開放するための機械的設計変更(例えば、連結軸170に関連する機構の設計変更)であり、当業者にとっては極めて容易である。また、真空スイッチVSWの向きを左右変えて配置する構成であっても構わないが、向きがいずれの場合も、トリップ機構16は、真空スイッチVSWの可動電極21を操作するように構成される。
【0032】
真空スイッチVSWの固定電極18は、負荷側の出力高圧ケーブル130に接続された負荷側内部電極20に接続されている。また、真空スイッチVSWの可動電極21は、電源側の入力高圧ケーブル200に接続された電源側内部電極22に接続されている。電源側内部電極22を被装して設けられたブッシングに23は、零相変流器ZCTと過電流検出器OCR1とが隣接して取り付けられている。また、電源側内部電極22と区分開閉器1の筐体19との間には避雷器LA1が接続されている。区分開閉器1の筐体19は金属製であり、接地線210によって接地されている。なお、区分開閉器1内の電源側内部電極22、負荷側内部電極20は、銅板又はケーブル等を用いて構成されている。
【0033】
真空スイッチVSWは、スイッチオン、つまり、真空スイッチVSW内部の可動接点と固定接点が接した状態で、過電流が発生しても、アークを消弧させて、スイッチオフ、つまり、真空スイッチ内部の可動接点と固定接点を開放させることができる。したがって、本願発明では、電流遮断器15を真空スイッチVSWで構成したことにより、短絡による過電流が発生しても、事業者側での遮断能力を有するので、波及事故を低減することができる。なお、真空スイッチVSWがオンの状態では、電流遮断装置15もオンの状態であり、真空スイッチVSWがオフ(開放)の状態では、電流遮断装置15もオフ(開放)の状態である。
【0034】
制御電源用変圧器VT1は、電源側内部電極22から、高電圧6600Vを受電し100Vの低電圧に変圧して、この100VをSOG制御装置14に供給している。この構成により、制御電源用変圧器VT1からは、遮断装置15(真空スイッチVSW)が開放されていても、電力会社からの電源が供給されている期間は常時SOG制御装置14に電源を供給することができる。
【0035】
SOG制御装置14は、図4で示した従来技術と同様に区分開閉器1の外部であって、構内1号柱Pの所定高さの位置に取り付けられている。零相変流器ZCT1の漏電検出信号、過電流検出器OCR1の過電流検出信号は、SOG制御装置14に送信され、SOG制御装置14は、漏電電流や過電流の検出信号を受信したら直ちにトリップ機構16に制御信号を送信して、トリップ機構16を作動させ、真空スイッチVSWを開放させる。このトリップ機構16は、従来技術のトリップ機構160と同様に、トリップコイルTCやバネを作動させて真空スイッチVSWの可動電極21を操作して、前述した真空バルブ内の固定接点と可動接点の接触・開放を制御するものである。
【0036】
本願発明のSOG制御装置14が、従来技術と異なるのは、上述したように、電流遮断装置15(真空スイッチVSW)が開放されていても、電力会社からの電力が供給されている期間は、常時、制御電源用変圧器VTから100Vの電圧が供給されているので、SOG制御装置14は、常時、待機状態を維持することができる。
【0037】
したがって、例えば、図1において、制御電源用変圧器VT1が従来技術のように真空スイッチVSWよりも負荷側に配設された構成の場合、真空スイッチVSWがオフの状態からオンにされたときに、負荷側で短絡が発生していると、制御電源用変圧器VTに6600Vの高電圧が供給されないので、SOG制御装置14にも100Vの低電圧が供給されず、SOG制御装置14が機能しない。したがって、短絡電流の検出・遮断制御ができず、波及事故となってしまう。
【0038】
しかしながら、本願発明のように、制御電源用変圧器VT1が真空スイッチVSWよりも電源側に配設されて電源側内部電極22に接続されている構成では真空スイッチVSWがオフの状態であっても、常時、制御電源用変圧器VT1に6600Vの高電圧が供給されて、SOG制御装置14にも100Vの電圧が供給され待機状態を維持しているので、真空スイッチVSWがオフの状態からオンにされたときに、負荷側で短絡が発生していても、短絡電流の検出が可能であり、真空スイッチVSWを開放することができるので、波及事故を防ぐことができる。
【0039】
避雷器LA1は、電源側端子が電源側内部電極22と接続され、接地端子が開閉器1の筐体19と接続されている。開閉器1の筐体19は接地線210で接地されている。この構成にすることにより、電力会社の送電線から、例えば、雷サージが開閉器1内に流入したとしても、電源内部電極22から開閉器1の筐体19を介して、雷サージを大地へ逃げすことができ、常時開閉器1を保護することができる。従来技術のように、避雷器が負荷側に接続された構成の場合、電流遮断器150が開放されているときは、送電線からの雷サージを大地へ逃がすことができず、開閉器120が破損・短絡して、波及事故になる虞がある。なお、避雷器LA1自体は、市販品である。
【符号の説明】
【0040】
1 区分開閉器
15 電流遮断装置
16 トリップ機構
17 連結軸
18 固定電極
19 筐体
20 負荷側内部電極
21 可動電極
22 電源側内部電極
23 ブッシング
100 高電圧受電設備
110 引き込み線
120 区分開閉器
130 出力高圧ケーブル
140 SOG制御装置
150 電流遮断装置
160 トリップ機構
170 連結軸
180 固定電極
190 筐体
200 入力高圧ケーブル
210 接地線
230 ブッシング
B ブレード(可動電極)
F 工場
LA,LA1 避雷器
OCR,OCR1 過電流検出器
P 構内1号柱
VT,VT1 制御電源用変圧器
ZCT,ZCT1 零相変流器


【要約】
【課題】事業所内の事故で発生した過電流を電力会社側で遮断することなく事業者側で遮断することができ、波及事故を低減することができる区分開閉器を提供することを目的とする。
【解決手段】電力会社と電力会社からの高電圧を受電する事業者との間の責任分界点近傍の事業者側に設けられた区分開閉器であって、前記区分開閉器は、少なくとも、制御電源用変圧器と、避雷器と、過電流検出器と、電流遮断装置とを備え、該電流遮断装置は、真空バルブで構成された真空スイッチを備え、電源側と負荷側との間に配置され、前記過電流検出器は、前記電源側の過電流を検出するよう前記電源側に配設され、前記避雷器、及び、前記制御電源用変圧器は、前記真空スイッチよりも前記電源側に接続されていることを特徴とする。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7