IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社湯山製作所の特許一覧

<>
  • 特許-配薬支援システム、配薬支援プログラム 図1
  • 特許-配薬支援システム、配薬支援プログラム 図2
  • 特許-配薬支援システム、配薬支援プログラム 図3
  • 特許-配薬支援システム、配薬支援プログラム 図4
  • 特許-配薬支援システム、配薬支援プログラム 図5
  • 特許-配薬支援システム、配薬支援プログラム 図6
  • 特許-配薬支援システム、配薬支援プログラム 図7
  • 特許-配薬支援システム、配薬支援プログラム 図8
  • 特許-配薬支援システム、配薬支援プログラム 図9
  • 特許-配薬支援システム、配薬支援プログラム 図10
  • 特許-配薬支援システム、配薬支援プログラム 図11
  • 特許-配薬支援システム、配薬支援プログラム 図12
  • 特許-配薬支援システム、配薬支援プログラム 図13
  • 特許-配薬支援システム、配薬支援プログラム 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】配薬支援システム、配薬支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20230817BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
G16H20/10
A61J3/00 310K
A61J3/00 310F
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019076949
(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公開番号】P2020177263
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】木下 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】大久保 祐希
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-023451(JP,A)
【文献】特開2017-221267(JP,A)
【文献】特開2015-187840(JP,A)
【文献】特開2013-242749(JP,A)
【文献】特開2002-143272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
A61J 1/00 - 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の服用者に対する配薬に関する情報であって、服用者、薬品、配薬日、及び配薬タイミングの情報を取得する取得処理部と、
前記取得処理部によって取得された情報に基づいて服用者及び薬品の情報を配薬日別に出力する第1出力処理と、前記取得処理部によって取得された情報に基づいて服用者及び薬品の情報を配薬タイミング別に出力する第2出力処理との少なくとも一方を実行可能な出力処理部と、
を備え、
前記第1出力処理では、配薬日ごとに対応する一又は複数のシートが印刷され、当該シート各々では、当該シートに対応する配薬日の服用者及び薬品の情報が同一の配薬タイミングの単位で纏めて印刷され、
前記第2出力処理では、配薬タイミングごとに対応する一又は複数のシートが印刷され、当該シート各々では、当該シートに対応する配薬タイミングの服用者及び薬品の情報が同一の配薬日の単位で纏めて印刷される、
配薬支援システム。
【請求項2】
服用者各々に対応する処方データに基づいて薬品を予め設定された分包順で分包装置に分包させるための分包データを生成する手段を備え、
前記出力処理部は、前記分包データに基づいて、前記分包装置において、服用日及び服用時期の組み合わせが同じで服用者が異なる薬品が、連続する分包容器に分包されると判断した場合に、前記第2出力処理を実行する、
請求項に記載の配薬支援システム。
【請求項3】
服用者各々に対応する処方データに基づいて薬品を予め設定された分包順で分包装置に分包させるための分包データを生成する手段を備え、
前記出力処理部は、前記分包データに基づいて、前記分包装置において、複数の服用者の薬品が服用日別に分包される場合であって、服用日及び服用者の組み合わせが同じで服用時期が異なる薬品が、連続する分包容器に分包されると判断した場合に、前記第2出力処理を実行する、
請求項に記載の配薬支援システム。
【請求項4】
服用者各々に対応する処方データに基づいて薬品を予め設定された分包順で分包装置に分包させるための分包データを生成する手段を備え、
前記出力処理部は、前記分包データに基づいて、前記分包装置において、服用時期及び服用者の組み合わせが同じで服用日が異なる薬品が、連続する分包容器に分包されると判断した場合に、前記第1出力処理を実行する、
請求項に記載の配薬支援システム。
【請求項5】
服用者各々に対応する処方データに基づいて薬品を予め設定された分包順で分包装置に分包させるための分包データを生成する手段を備え、
前記出力処理部は、前記分包データに基づいて、前記分包装置において、複数の服用者の薬品が服用者別に分包される場合であって、服用日及び服用者の組み合わせが同じで服用時期が異なる薬品が、連続する分包容器に分包されると判断した場合に、前記第1出力処理を実行する、
請求項に記載の配薬支援システム。
【請求項6】
前記取得処理部は、服用者各々に対応する処方データから薬品の包装状態に関する情報を取得し、
前記出力処理部は、前記取得処理部によって取得された前記薬品の包装状態に関する情報に基づいて前記分包装置による分包対象外と判定した薬品の情報を、服用者及び薬品の情報と共に出力する、
請求項のいずれかに記載の配薬支援システム。
【請求項7】
前記配薬タイミング各々は、予め設定された一又は複数の服用時期を含む、
請求項1~のいずれかに記載の配薬支援システム。
【請求項8】
前記第1出力処理では、前記配薬日が切り替わるごとに改頁された配薬シートが出力される、
請求項1~のいずれかに記載の配薬支援システム。
【請求項9】
前記第2出力処理では、前記配薬タイミングが切り替わるごとに改頁された配薬シートが出力される、
請求項1~のいずれかに記載の配薬支援システム。
【請求項10】
前記第1出力処理では、前記シート各々において、服用タイミングごとに対応する領域が縦方向に沿って並べられ、当該領域各々において、当該領域に対応する服用タイミングの服用者及び薬品の情報が少なくとも横方向に並ぶ態様で前記シートが印刷され、
前記第2出力処理では、前記シート各々において、服用日ごとに対応する領域が縦方向に沿って並べられ、当該領域各々において、当該領域に対応する服用日の服用者及び薬品の情報が少なくとも横方向に並ぶ態様で前記シートが印刷される、
請求項1~9のいずれかに記載の配薬支援システム。
【請求項11】
前記出力処理部は、服用者及び薬品の情報が出力される際の当該情報の縦及び横のいずれか一方又は両方の配置数をユーザー操作に応じて設定可能である、
請求項10に記載の配薬支援システム。
【請求項12】
複数の服用者に対する配薬に関する情報であって、服用者、薬品、配薬日、及び配薬タイミングの情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップによって取得された情報に基づいて服用者及び薬品の情報を配薬日別に出力する第1出力処理と、前記取得ステップによって取得された情報に基づいて服用者及び薬品の情報を配薬タイミング別に出力する第2出力処理との少なくとも一方を実行可能な出力ステップと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための配薬支援プログラムであって、
前記第1出力処理では、配薬日ごとに対応する一又は複数のシートが印刷され、当該シート各々では、当該シートに対応する配薬日の服用者及び薬品の情報が同一の配薬タイミングの単位で纏めて印刷され、
前記第2出力処理では、配薬タイミングごとに対応する一又は複数のシートが印刷され、当該シート各々では、当該シートに対応する配薬タイミングの服用者及び薬品の情報が同一の配薬日の単位で纏めて印刷される、
配薬支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調剤作業又は配薬作業などを支援するための配薬支援システム及び配薬支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
薬局などでは、錠剤又は散薬などの薬品を服用時期ごとに薬包等の分包容器に分包する分包装置(特許文献1参照)が用いられることがある。そして、分包装置で分包された薬品は、病院又は老健施設などの入居施設に搬送され、看護師などの配薬担当者によって服用者に配薬される。なお、服用者各々に対応する薬品の分包容器は、入居施設に搬送される前又は搬送された後に、当該分包容器が服用者に配薬される朝、昼、夜などの配薬タイミングごとに対応する所定のトレイ等に収容されることがある。これにより、配薬タイミング各々における配薬担当者の作業負担を軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-104077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の服用者の分包容器を配薬タイミングごとに振り分ける作業が行われる際、その作業を行う作業者は、各配薬タイミングに配薬されることが必要な全ての服用者、及び各配薬タイミングに服用者各々に配薬するべき薬品の情報などを容易に把握することができなかった。そのため、例えば分包容器を振り分けるための確認に時間を要するために作業効率が悪くなるという問題、又は、分包容器を振り分ける作業でミスが発生する可能性があるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、複数の服用者の分包容器を配薬タイミングごとに振り分ける作業におけるミスを抑制すると共に作業効率を高めることのできる配薬支援システム、及び配薬支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る配薬支援システムは、複数の服用者に対する配薬に関する情報であって、服用者、薬品、配薬日、及び配薬タイミングの情報を取得する取得処理部と、前記取得処理部によって取得された情報に基づいて服用者及び薬品の情報を配薬日別に出力する第1出力処理と、前記取得処理部によって取得された情報に基づいて服用者及び薬品の情報を配薬タイミング別に出力する第2出力処理との少なくとも一方を実行可能な出力処理部と、を備える。そして、前記第1出力処理では、各配薬日の服用者及び薬品の情報が配薬タイミングごとに纏めて出力され、前記第2出力処理では、各配薬タイミングの服用者及び薬品の情報が配薬日ごとに纏めて出力される。
【0007】
本発明に係る配薬支援プログラムは、複数の服用者に対する配薬に関する情報であって、服用者、薬品、配薬日、及び配薬タイミングの情報を取得する取得ステップと、前記取得ステップによって取得された情報に基づいて服用者及び薬品の情報を配薬日別に出力する第1出力処理と、前記取得ステップによって取得された情報に基づいて服用者及び薬品の情報を配薬タイミング別に出力する第2出力処理との少なくとも一方を実行可能な出力ステップと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるための配薬支援プログラムである。そして、前記第1出力処理では、各配薬日の服用者及び薬品の情報が配薬タイミングごとに纏めて出力され、前記第2出力処理では、各配薬タイミングの服用者及び薬品の情報が配薬日ごとに纏めて出力される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の服用者の分包容器を配薬タイミングごとに振り分ける作業におけるミスを抑制すると共に作業効率を高めることのできる配薬支援システム、及び配薬支援プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る配薬支援システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る配薬支援システムで実行される薬品分包処理の結果の一例を示す図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る配薬支援システムで使用される配薬管理情報の一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る配薬支援システムで使用される分包データの一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施の形態に係る配薬支援システムで使用される分包データの一例を示す図である。
図6図6は、本発明の実施の形態に係る配薬支援システムで使用される分包データの一例を示す図である。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る配薬支援システムで使用される分包データの一例を示す図である。
図8図8は、本発明の実施の形態に係る配薬支援システムで実行される配薬支援処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、本発明の実施の形態に係る配薬支援システムで出力される配薬シートの一例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施の形態に係る配薬支援システムで出力される配薬シートの一例を示す図である。
図11図11は、本発明の実施の形態に係る配薬支援システムで出力される配薬シートの一例を示す図である。
図12図12は、本発明の実施の形態に係る配薬支援システムで出力される配薬シートの一例を示す図である。
図13図13は、本発明の実施の形態に係る配薬支援システムで出力される配薬シートの一例を示す図である。
図14図14は、本発明の実施の形態に係る配薬支援システムで出力される配薬シートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0011】
[配薬支援システム10]
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る配薬支援システム10は、配薬支援装置1、調剤機器2、分包装置3、及びプリンタ4などを備える。前記配薬支援装置1、前記調剤機器2、前記分包装置3、及び前記プリンタ4は、ネットワークN1を介して無線又は有線で通信可能に接続されている。前記ネットワークN1は、LAN、WAN、インターネット、又はイントラネットなどである。前記配薬支援システム10において、前記プリンタ4は、後述する配薬シートP1(図9図14参照)の印刷に用いられるが、前記配薬支援装置1からの制御指示に基づいて処方箋又は薬袋などの印刷に用いられてもよい。
【0012】
また、前記配薬支援装置1には、前記配薬支援装置1に処方データを入力する電子カルテシステム又は処方入力端末などの上位システム6が前記ネットワークN1を介して接続される。なお、前記配薬支援装置1が、前記上位システム6から能動的に前記処方データを取得可能な構成であってもよい。
【0013】
前記処方データには、発行年月日、オーダーナンバー、処方区分(新規、変更など)、服用者ID、服用者名、服用者生年月日、薬品情報(薬品コード、薬品名、用量など)、剤形情報(内服、外用など)、服用開始日、服用期間、用法情報(服用時期を含む)、診療種別(外来、入院など)、診療科、担当医師などの情報が含まれる。なお、前記処方データには、「錠分」、「カ分」などの薬品の包装状態に関する情報も含まれる。
【0014】
前記配薬支援装置1、前記調剤機器2、前記分包装置3、及び前記プリンタ4は、前記上位システム6で発行される前記処方データに基づいて薬品の調剤が行われる薬局又は病院などの調剤施設に配置される。なお、前記配薬支援装置1の配置場所は、前記ネットワークN1に接続可能であれば前記調剤施設の外部であってもよい。
【0015】
前記処方データに基づいて前記調剤施設で調剤された薬品は、当該薬品を服用する複数の服用者が入居する病院又は老健施設などの入居施設に配送される。例えば、前記服用者は、病院で診療を受けている患者、又は、老健施設に入居している入居者である。前記入居施設は、前記調剤施設で調剤された薬品を服用する複数の服用者を含む予め設定された配薬グループの一例である。なお、前記配薬グループは、前記入居施設における部屋又はフロアであってもよく、複数の服用者の自宅を含む地域又は配送ルートであってもよい。
【0016】
[調剤機器2]
前記調剤機器2は、前記調剤施設における薬品の調剤作業で使用される。例えば、前記調剤機器2各々は、水剤分注機、PTPシート払出装置、混注装置、又はピッキング支援装置などである。例えば、前記水剤分注機は、複数種類の水剤が収容された複数の薬瓶を有しており、前記配薬支援装置1から入力される調剤用データに従って、前記薬瓶から必要量の水剤を自動的に払い出す。前記PTPシート払出装置は、予め錠剤が包装されたPTPシート又はヒートシールが収容された複数のシートカセットを有し、前記配薬支援装置1から入力される調剤用データに従って、前記シートカセットから前記PTPシート又は前記ヒートシールを自動的に払い出す。なお、前記PTPシート払出装置は、予め錠剤が包装されたPTPシート又はヒートシールが収容された複数のシートカセットを有し、前記配薬支援装置1から入力される調剤用データに従って、必要な前記PTPシート又は前記ヒートシールが収容された前記シートカセットを自動的に払い出すものであってもよい。前記混注装置は、前記配薬支援装置1から入力される調剤用データに従って、抗癌剤などの薬品を輸液に注入する混注作業をロボットアームで自動的に実行する。前記ピッキング支援装置は、薬剤師又はテクニシャンなどによる薬品の取り揃え業務を支援するための各種情報の表示処理を実行する。
【0017】
[分包装置3]
前記分包装置3は、前記配薬支援装置1から入力される後述の分包データD1に基づいて、服用者が服用する薬品を服用時期ごとに図2に示される薬包81のような分包容器に分包することが可能な調剤機器である。なお、前記分包装置3では、当該分包装置3に装填される連続する長尺状の薬包シートの一部が加熱溶融されることにより複数の前記薬包81が形成され、当該薬包81各々の間には切り離しを容易にするためのミシン目82が形成される。
【0018】
具体的に、前記分包装置3は、錠剤を分包する錠剤分包機、又は散薬を分包する散薬分包機などである。前記錠剤分包機は、複数種類の錠剤が収容された複数の錠剤カセットを有し、前記分包データD1に従って前記錠剤カセットから錠剤を払い出して服用時期ごとに前記薬包81で包装する分包動作を実行する。前記散薬分包機は、投入された散薬を前記分包データD1に従って服用時期ごとに前記薬包81で包装する分包動作を実行する。また、前記散薬分包機は、複数の散薬カセットを有し、前記分包データD1に従って前記散薬カセットから散薬を払い出して服用時期ごとに前記薬包81で包装する分包動作を実行するものであってもよい。さらに、前記錠剤分包機又は前記散薬分包機は、錠剤及び散薬を纏めて服用時期ごとに一包化することが可能な構成であってもよい。
【0019】
前記分包装置3は、制御部31及び分包プリンタ32などを備える。前記制御部31は、CPU、ROM、及びRAMなどを備え、前記ROM又は不図示の記憶装置に記憶される制御プログラムに基づいて前記分包装置3の動作を制御する。例えば、前記制御部31は、前記分包プリンタ32を用いて、図2に示されるように、前記薬包81に収容される薬品を服用する服用者を識別可能な服用者名又は服用者IDなどの服用者識別情報と、前記薬包81に収容される薬品の服用日及び服用時期を識別可能な服用時期情報とを少なくとも含む薬包情報を前記薬包81に印刷する。
【0020】
前記分包装置3は、以下に説明する予め設定された4種類の第1分包処理~第4分包処理のいずれかの分包手法に従った分包順で、同一の前記配薬グループに属する複数の服用者に対応する薬品を服用時期ごとに前記薬包81に分包することが可能である。具体的に、前記制御部31は、前記配薬支援装置1から入力される分包データD1に基づいて、前記第1分包処理~前記第4分包処理のいずれかの分包手法に従って分包処理を実行する。即ち、前記配薬支援装置1では、前記第1分包処理~前記第4分包処理のうち特定の分包処理を実行させるための前記分包データD1を生成することが可能である。なお、前記分包装置3は、前記第1分包処理~前記第4分包処理のいずれか三つ以下の分包手法のみが実行可能であってもよい。
【0021】
前記第1分包処理では、図2(A)に示されるように、服用日及び服用時期の組み合わせが同じで服用者が異なる薬品が、連続する前記薬包81に分包される。換言すれば、一の服用日について一の服用時期の異なる服用者各々に対応する前記薬包81が連続する1セットとなり、その1セットの前記薬包81が同じ服用日について服用時期ごとに連続することになる。例えば、図2(A)に示される例では、服用日が「3月3日」であり服用時期が「朝食後」である薬品が、「湯山一郎」、「湯山二郎」、「湯山三郎」の順で分包され、続いて、服用日が「3月3日」であり服用時期が「昼食後」である薬品が、「湯山一郎」、「湯山二郎」、「湯山三郎」の服用者の順で分包される。その後、同様に、服用日が「3月3日」であり服用時期が「夕食後」である薬品が、「湯山一郎」、「湯山二郎」、「湯山三郎」の服用者の順で分包される。そして、同じ服用日の全ての服用者についての薬品の分包が終了すると、次の服用日についても同様に薬品の分包が実行される。
【0022】
前記第2分包処理では、図2(B)に示されるように、複数の服用者の薬品が服用日別に分包される場合であって、服用日及び服用者の組み合わせが同じで服用時期が異なる薬品が、連続する前記薬包81に分包される。換言すれば、一の服用者について一の服用日の服用時期各々に対応する前記薬包81が連続する1セットとなり、その1セットの前記薬包81が異なる服用者について服用日ごとに連続することになる。例えば、図2(B)に示される例では、服用日が「3月3日」であり服用者が「湯山一郎」である薬品が、「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」の服用時期の順で分包され、続いて、服用日が「3月3日」であり服用者が「湯山二郎」である薬品が、「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」の服用時期の順で分包される。その後、同様に、服用日が「3月3日」であり服用者が「湯山三郎」である薬品が、「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」の服用時期の順で分包される。そして、同じ服用日の全ての服用者についての薬品の分包が終了すると、次の服用日についても同様に薬品の分包が実行される。
【0023】
前記第3分包処理では、図2(C)に示されるように、服用時期及び服用者の組み合わせが同じで服用日が異なる薬品が、連続する前記薬包81に分包される。換言すれば、一の服用時期について一の服用者の異なる服用日各々に対応する前記薬包81が連続する1セットとなり、その1セットの前記薬包81が同じ服用者について服用時期ごとに連続することになる。例えば、図2(C)に示される例では、「湯山一郎」の服用者について、服用時期が「朝食後」である薬品が、「3月3日」、「3月4日」、「3月5日」の順で分包され、続いて、「湯山一郎」の服用者について、服用時期「昼食後」である薬品が、「3月3日」、「3月4日」、「3月5日」の順で分包される。その後、同様に、「湯山一郎」の服用者について、服用時期「夕食後」である薬品が、「3月3日」、「3月4日」、「3月5日」の順で分包される。そして、同じ服用者について全ての服用時期についての薬品の分包が終了すると、次の服用者についても同様に薬品の分包が実行される。
【0024】
前記第4分包処理では、図2(D)に示されるように、複数の服用者の薬品が服用者別に分包される場合であって、服用日及び服用者の組み合わせが同じで服用時期が異なる薬品が、連続する前記薬包81に分包される。換言すれば、一の服用者について一の服用日の服用時期各々に対応する前記薬包81が連続する1セットとなり、その1セットの前記薬包81が同じ服用者について服用日ごとに連続することになる。例えば、図2(D)に示される例では、服用日が「3月3日」であり服用者が「湯山一郎」である薬品が、「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」の服用時期の順で分包され、続いて、服用日が「3月4日」であり服用者が「湯山一郎」である薬品が、「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」の服用時期の順で分包される。その後、同様に、服用日が「3月5日」であり服用者が「湯山一郎」である薬品が、「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」の服用時期の順で分包される。そして、同じ服用者の全ての服用日についての薬品の分包が終了すると、次の服用者についても同様に薬品の分包が実行される。なお、前記第1分包処理、前記第2分包処理、前記第3分包処理、及び前記第4分包処理で分包結果として出力される一連の前記薬包81には、図2に示されるように、ある程度の纏まりごとに空の前記薬包81が含まれる。具体的に、前記第1分包処理及び前記第2分包処理では服用日が変化するタイミング、前記第3分包処理及び前記第4分包処理では服用者が変化するタイミングでそれぞれ空の前記薬包81が出力されている。
【0025】
ところで、前記分包装置3で分包された服用者各々の前記薬包81は、入居施設に搬送される前又は搬送された後に、前記薬包81が服用者に配薬される朝、昼、夜などの配薬タイミングごとに対応する所定のトレイ等に収容されることがある。しかしながら、複数の服用者の前記薬包81を配薬タイミングごとに振り分ける作業が行われる際、その作業を行う作業者は、各配薬タイミングに配薬されることが必要な全ての服用者、及び各配薬タイミングに服用者各々に配薬するべき薬品の情報などを容易に把握することができなかった。そのため、例えば前記薬包81を振り分けるための確認に時間を要するために作業効率が悪くなるという問題、又は、前記薬包81を振り分ける作業でミスが発生する可能性があるという問題があった。これに対し、本実施形態に係る配薬支援システム10では、以下に説明するように、複数の服用者の前記薬包81を配薬タイミングごとに振り分ける作業におけるミスを抑制すると共に作業効率を高めることが可能である。
【0026】
[配薬支援装置1]
前記配薬支援装置1は、制御部11、データ記憶部12、通信インターフェース13、表示装置14、操作装置15、及びドライブ装置16などを備えるパーソナルコンピュータである。本実施形態では、前記配薬支援装置1の単体が本発明に係る配薬支援システムの一例である。また、前記分包装置3が、前記配薬支援装置1から必要な情報を取得しつつ、後述の配薬支援処理を実行してもよく、この場合、当該分包装置3が配薬支援システムの一例である。さらに、前記配薬支援装置1及び前記分包装置3が協働して後述の配薬支援処理を実行してもよく、この場合、前記配薬支援装置1及び前記分包装置3を含む構成が配薬支援システムの一例である。
【0027】
また、本実施形態で説明する前記配薬支援装置1における操作及び表示などは、前記ネットワークN1を介して当該配薬支援装置1と通信可能なクライアント端末の操作装置及び表示装置で行われてもよい。この場合、前記制御部11は、前記クライアント端末に対するユーザー操作を受け付けて各種の処理を実行し、当該クライアント端末に各種の情報を表示させるための表示データを送信する。即ち、前記配薬支援装置1及び前記クライアント端末がサーバークライアントシステムを構成し、当該クライアント端末が前記配薬支援装置1の操作端末として使用されてもよい。
【0028】
前記制御部11は、CPU、ROM、及びRAM等を備える。前記CPUは、各種の制御プログラムに従って処理を実行することにより前記配薬支援装置1を制御するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUにより実行されるBIOS等のプログラムが予め記憶された不揮発性メモリである。前記RAMは、前記CPUによる各種の制御プログラムの展開及びデータの一時記憶に用いられる揮発性メモリ又は不揮発性メモリである。そして、前記制御部11は、前記CPUを用いて、前記ROM又は前記データ記憶部12等に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
【0029】
前記データ記憶部12は、前記制御部11によって実行される各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータを記憶するハードディスク又はSSD等の不揮発性の記憶手段である。例えば、前記データ記憶部12には、前記上位システム6から取得する前記処方データが記憶される。
【0030】
また、前記データ記憶部12には、薬品マスター、服用者マスター、薬剤師マスター、診療科マスター、及び病棟マスターなどの各種データベースが記憶される。例えば、前記薬品マスターには、薬品コード、薬品名、JANコード(又はRSS)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、比重、薬品種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項などの情報が含まれる。前記薬品コード又は前記薬品名は薬品を識別可能な薬品識別情報の一例である。また、前記服用者マスターには、服用者各々の服用者ID、服用者名、性別、年齢、住所、既往歴、家族情報、診療科、及び入院病棟と共に、入居先の前記入居施設などの情報が含まれる。前記服用者ID又は前記服用者名は服用者を識別可能な服用者識別情報の一例である。
【0031】
また、前記データ記憶部12には、一又は複数の服用時期と配薬タイミングとが対応付けられた配薬管理情報D0が記憶される。具体的に、図3に示されるように、前記配薬管理情報D0では、「起床時」、「朝」、「昼」、「夜」、「寝る前」などの配薬タイミングごとに対応する一又は複数の服用時期が記憶されている。なお、前記配薬管理情報D0は、前記配薬グループなどの予め設定された単位で個別に設定可能であってもよい。
【0032】
例えば、図3に示される例では、「朝」の配薬タイミングに、「朝食前」及び「朝食後」の服用時期が対応付けられ、「昼」の配薬タイミングに、「昼食前」及び「昼食後」の服用時期が対応付けられ、「夜」の配薬タイミングに、「夕食前」及び「夕食後」の服用時期が対応付けられている。また、「起床時」の配薬タイミングには、「起床時」の服用時期が対応付けられており、「寝る前」の配薬タイミングには、「就寝前」の服用時期が対応付けられている。さらに、「頓服」の配薬タイミングには、「頓服」の服用時期が対応付けられており、「外用」の配薬タイミングには、「外用」の服用時期が対応付けられている。
【0033】
また、前記データ記憶部12には、前記配薬支援装置1において、前記制御部11が前記処方データに基づいて生成する分包データD1が記憶される。ここに、図4図7は、前記分包データD1の一例を示す図である。図4図7に示すように、前記分包データD1では、服用日、服用時期、服用者ID、服用者名、服用薬品などの情報が対応付けて記憶されている。前記分包装置3は、前記分包データD1が入力された場合に、当該分包データD1に示されている順で薬品の分包を実行する。
【0034】
具体的に、図4に示す前記分包データD1では、服用日及び服用時期の組み合わせが同じで服用者が異なる薬品が、同じ服用時期ごとに纏められて、連続する前記薬包81に分包されるように、データが順に並べられている。これにより、前記分包データD1が前記分包装置3に入力された場合には、図2(A)に示される態様の分包結果が得られる。また、図5に示す前記分包データD1では、服用日及び服用者の組み合わせが同じで服用時期が異なる薬品が、異なる服用者について同じ服用日の単位で纏められて、連続する前記薬包81に分包されるように、データが順に並べられている。これにより、前記分包データD1が前記分包装置3に入力された場合には、図2(B)に示される態様の分包結果が得られる。
【0035】
同様に、図6に示す前記分包データD1では、服用時期及び服用者の組み合わせが同じで服用日が異なる薬品が、同じ服用者の全ての服用日について服用時期ごとに纏められて、連続する前記薬包81に分包されるように、データが順に並べられている。これにより、前記分包データD1が前記分包装置3に入力された場合には、図2(C)に示される態様の分包結果が得られる。また、図7に示す前記分包データD1では、服用日及び服用者の組み合わせが同じで服用時期が異なる薬品が、同じ服用者の全ての服用日について当該服用日ごとに纏められて、連続する前記薬包81に分包されるように、データが順に並べられている。これにより、前記分包データD1が前記分包装置3に入力された場合には、図2(D)に示される態様の分包結果が得られる。
【0036】
また、前記データ記憶部12には、後述の配薬支援処理(図8参照)などを前記制御部11に実行させるための配薬支援プログラムが記憶される。そして、前記制御部11は、前記配薬支援プログラムに従って各種の処理を実行することにより、取得処理部111及び出力処理部112などの各種の処理部として機能する。具体的に、前記制御部11は、前記配薬支援プログラムに従って各種の処理を実行することにより前記各種の処理部として機能する。また、前記各種の処理部のいずれか一又は複数がASIC又はDSPなどの電子回路であってもよい。
【0037】
前記取得処理部111は、複数の服用者に対する配薬に関する情報であって、服用者、薬品、配薬日、及び配薬タイミングの情報を取得する。例えば、前記取得処理部111は、前記上位システム6から取得する複数の服用者に対応する複数の処方データと前記配薬管理情報D0とに基づいて、服用者識別情報、薬品識別情報、詳細タイミング、包装状態、服用量、服用量の単位、配薬日、及び配薬タイミングなどの情報を取得する。前記服用者識別情報は、服用者を識別するための情報であり、服用者名又は服用者IDなどの情報である。前記薬品識別情報は、薬品を識別するための情報であり、薬品名又は薬品コードなどの情報である。前記詳細タイミングの情報は、前記配薬タイミングにおける薬品の詳細な服用時期を示す情報であり、「食前」又は「食後」などの情報である。例えば、服用時期が「朝食前」である場合には、配薬タイミングが「朝」であり、前記詳細タイミングが「食前」となる。前記包装状態は、前記処方データに基づいて処方される薬品の包装錠剤を示す情報である。以下では、前記取得処理部111によって取得される情報を第1情報と称することがある。
【0038】
前記出力処理部112は、前記取得処理部111によって取得された情報に基づいて服用者及び薬品の情報を配薬日別に出力する第1出力処理と、前記取得処理部111によって取得された情報に基づいて服用者及び薬品の情報を配薬タイミング別に出力する第2出力処理との少なくとも一方を実行可能である。ここで、前記第1出力処理では、各配薬日の服用者及び薬品の情報が配薬タイミングごとに纏めて出力される。一方、前記第2出力処理では、各配薬タイミングの服用者及び薬品の情報が配薬日ごとに纏めて出力される。本実施形態では、前記出力処理部112によって、前記第1情報のうち服用者及び薬品の情報を含む第2情報D2が出力される。前記第2情報D2は、前記第1情報に含まれる服用者ごとに関する当該服用者の情報と当該服用者に対応する薬品とを含む情報である。より具体的に、前記出力処理部112は、前記分包装置3における薬品の分包順に応じて、前記第1出力処理又は前記第2出力処理のいずれかを実行する。ここで、前記第2情報D2が配薬日別又は配薬タイミング別に出力される態様としては、配薬日ごと又は配薬タイミングごとに異なる頁に出力されることが考えられる。また、前記第2情報D2が配薬日別又は配薬タイミング別に出力される態様はこれに限らず、例えば各配薬日又は各配薬タイミングについて複数の頁に亘って前記第2情報D2が連続して出力されてもよい。なお、前記出力処理部112は、前記第1出力処理又は前記第2出力処理のいずれか一方のみを実行可能であってもよい。
【0039】
前記通信インターフェース13は、前記ネットワークN1を介して前調剤機器2、前記分包装置3、及び前記プリンタ4との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する。前記表示装置14は、前記制御部11からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示手段である。前記操作装置15は、前記配薬支援装置1に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作される操作手段である。具体的に、前記操作装置15は、前記表示装置14の表示画面に従った各種の情報の入力操作を受け付けるキーボード及びマウス(ポインティングデバイス)を含む。
【0040】
前記ドライブ装置16は、前記配薬支援プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体17から前記配薬支援プログラムを読み取ることが可能である。前記記録媒体17は、CD、DVD、BD、又はUSBメモリなどである。そして、前記配薬支援装置1では、前記制御部11により、前記記録媒体17から前記ドライブ装置16で読み取られた前記配薬支援プログラムが前記データ記憶部12にインストールされる。
【0041】
[配薬支援処理]
続いて、前記配薬支援システム10において実行される配薬支援処理の手順の一例について説明する。前記配薬支援処理は、前記配薬支援装置1に対して前記配薬支援プログラムを実行するための所定のユーザー操作が実行された場合に、前記制御部11によって実行される。なお、本発明は、前記配薬支援処理の処理手順の一部又は全部を実行する配薬支援方法、又は当該配薬支援方法を前記配薬支援装置1等のコンピュータに実行させるための前記配薬支援プログラムの発明として捉えられてもよい。
【0042】
<ステップS1>
ステップS1において、前記制御部11は、ユーザー操作に応じて、複数の服用者の処方データを調剤対象として選択する選択処理を実行する。具体的に、前記制御部11は、前記表示装置14に調剤対象を選択するための選択画面を表示させ、前記操作装置15に対するユーザーによる選択操作に応じて前記調剤対象を選択する。
【0043】
例えば、前記選択処理において、前記制御部11は、前記データ記憶部12に記憶されている処方データからユーザー操作に応じて任意の処方データを選択する。また、前記選択処理において、前記制御部11は、前記入居施設のような予め設定された配薬グループがユーザー操作によって選択された場合に、当該配薬グループに属する複数の服用者の処方データを調剤対象として選択してもよい。さらに、前記選択処理において、前記制御部11は、複数の服用者がユーザー操作によって選択された場合に、当該複数の服用者に対応する処方データ各々を調剤対象として選択してもよい。また、前記制御部11は、処方発行日又は服用期間などについてユーザー操作により設定される条件に従って調剤対象となる一群の前記処方データを選択してもよい。
【0044】
<ステップS2>
ステップS2において、前記制御部11は、前記分包装置3に分包処理を開始させる。具体的に、前記制御部11は、前記ステップS1で調剤対象として選択された前記処方データ各々に基づいて前記分包データD1を生成し、当該分包データD1を前記分包装置3に入力する。これにより、前記分包装置3では、前記分包データD1に基づいて分包処理が実行される。なお、前記分包データD1は、前記データ記憶部12にも記憶される。
【0045】
このとき、前記制御部11は、前記第1分包処理~前記第4分包処理のうち予め選択された分包手法で前記分包装置3による分包処理が実行されるように、当該分包手法に対応する分包データD1を生成する。例えば、前記第1分包処理~前記第4分包処理のいずれかの分包手法の選択は、前記ステップS1における前記処方データの選択時、又は初期設定などによってユーザー操作によって行われる。また、前記制御部11が、前記分包装置3に前記処方データと前記分包手法の種別とを入力し、前記分包装置3が、指定された種別の前記分包手法に従って前記分包処理を実行してもよい。なお、前記制御部11は、前記調剤機器2を用いて調剤する薬品が存在する場合には、当該調剤機器2に調剤用データを入力するが、ここではその詳細な説明を省略する。
【0046】
<ステップS3>
ステップS3において、前記制御部11は、複数の服用者に対する配薬に関する情報であって、服用者、薬品、配薬日、及び配薬タイミングの情報を含む前記第1情報を取得する取得ステップを実行する。なお、前記取得ステップは、前記制御部11の取得処理部111によって実行される。具体的に、前記制御部11は、前記ステップS1で調剤対象として選択された複数の服用者に対応する複数の処方データと前記配薬管理情報D0とに基づいて、前記第1情報を取得する。
【0047】
なお、本実施形態では、当該ステップS3以降の処理は、前記ステップS2の実行後に連続して実行される場合について説明するが、当該ステップS3以降の処理は、前記ステップS1の実行後であれば、前記ステップS2の実行前又は実行後などにおける任意のタイミングで実行されてもよい。例えば、前記任意のタイミングは、ユーザーによる後述の配薬シートP1を出力要求操作が行われるタイミングである。
【0048】
例えば、前記制御部11は、前記処方データに含まれる前記服用開始日及び前記服用期間に基づいて、当該服用開始日から当該服用期間が経過するまでの間の日それぞれを前記配薬日として取得する。さらに、前記制御部11は、前記処方データに含まれる前記用法情報と前記配薬管理情報D0とに基づいて、当該用法情報に示された各服用時期に対応する配薬タイミングを取得する。また、前記制御部11は、前記処方データに含まれる前記薬品情報に基づいて、前記配薬日及び前記配薬タイミングの各組み合わせについて、配薬が必要な服用者の情報と、当該服用者に配薬されるべき薬品の情報とを取得する。例えば、前記制御部11は、前記配薬管理情報D0に基づいて、前記服用情報に含まれる服用時期が「朝食前」及び「朝食後」である薬品については、配薬タイミングが「朝」であると判断する。また、本実施形態では、前記配薬タイミングと前記服用時期とが異なる場合があるものとして説明するが、前記配薬タイミングが前記服用時期と同じであってもよく、この場合、前記配薬管理情報D0は不要である。
【0049】
<ステップS4>
ステップS4において、前記制御部11は、当該配薬支援処理で生成する配薬シートP1を第1フォーマットで出力するか否かを判断する。具体的に、前記第1フォーマットは、前記取得処理部111によって取得された情報に基づいて服用者及び薬品の情報を配薬日別に出力する前記第1出力処理により出力される配薬シートP1の態様に対応する。そして、前記制御部11は、前記分包装置3における薬品の分包順に応じて前記第1フォーマットで出力するか否かを判断する。例えば、前記制御部11は、前記ステップS2で生成した前記分包データD1の形式に基づいて、前記分包装置3における薬品の分包順を判断することが可能である。なお、前記制御部11は、前記分包装置3から薬品の分包順の情報を取得してもよい。
【0050】
具体的に、前記制御部11は、前記分包データD1が前記第1分包処理又は前記第2分包処理に対応するデータである場合には、前記第2情報D2を配薬日別に出力する第1フォーマットで前記配薬シートP1を出力すると判断する。また、前記制御部11は、前記分包データD1が前記第3分包処理又は前記第4分包処理に対応するデータである場合には、前記第2情報D2を配薬タイミング別に出力する第2フォーマットで前記配薬シートP1を出力すると判断する。即ち、前記制御部11は、前記分包装置3における薬品の分包順が、同じ服用日が連続する順である場合には第1フォーマットで前記配薬シートP1を出力すると判断し、異なる服用日が混在する場合には第2フォーマットで前記配薬シートP1を出力すると判断する。そして、前記第1フォーマットで出力すると判断されると(S4:Yes)、処理がステップS5に移行し、前記第1フォーマットで出力しないと判断されると(S4:No)、処理がステップS6に移行する。
【0051】
<ステップS5>
ステップS5において、前記制御部11は、前記ステップS3で取得した前記第1情報に基づいて、前記第1フォーマットで前記配薬シートP1を生成する。ここで、図9図11を参照しつつ、前記第1フォーマットで生成された前記配薬シートP1の一例について説明する。図9図11は、前記第1フォーマットで生成された3頁の前記配薬シートP1の一例を示す図である。なお、図9図11に示される前記配薬シートP1に記載されている具体的な情報の内容は、説明の便宜上の情報を含むものであり、図4図7の前記分包データD1と関連するものではない。
【0052】
前記制御部11は、図9図11に示されるように、前記配薬シートP1を前記第1フォーマットで生成する場合には、複数の服用者に対応する複数の前記第2情報D2を配薬日及び配薬タイミングの組み合わせごとにグループ化して複数の配薬単位情報D3を生成する。即ち、一の配薬日における一の配薬タイミングに対応する前記配薬単位情報D3には、当該配薬単位情報D3に対応する一の配薬日における一の配薬タイミングに配薬されるべき薬品が存在する一又は複数の服用者の情報が含まれる。そして、前記制御部11は、前記配薬単位情報D3各々を前記配薬日別に纏めて配置した前記配薬シートP1を生成する。ここで、前記制御部11は、前記配薬シートP1において、前記配薬単位情報D3各々を当該配薬単位情報D3に対応する前記配薬タイミングの時系列順で上から並べて配置する。具体的に、図9図11に示される例では、前記配薬日ごとに対応する1頁の前記配薬シートP1に、当該配薬日に対応する前記配薬単位情報D3が並べて配置されている。即ち、前記制御部11は、前記配薬日が切り替わるごとに改頁された前記配薬シートP1を生成する。なお、前記配薬シートP1が両面印刷で出力される場合、前記改頁には、1枚の前記配薬シートP1の表面から裏面への切り替えも含まれる。
【0053】
図9図11に示される例では、「平成31年3月3日」から「平成31年3月5日」までの3日間の配薬日に対応する3頁の前記配薬シートP1のそれぞれにおいて、「起床時」、「朝」、「昼」、「夜」、「寝る前」の配薬タイミングごとに対応する前記配薬単位情報D3が当該配薬タイミングの時系列順に従って上から順に並べて配置されている。即ち、前記配薬シートP1各々では、当該配薬シートP1に対応する配薬日について、前記配薬タイミングごとに前記第2情報D2が纏めて配置されている。例えば、図9に示される例では、「平成31年3月3日」の配薬日に対応する前記配薬シートP1では、「朝」の配薬タイミングについて、「服用者A」~「服用者I」の9人分の前記第2情報D2を含む前記配薬単位情報D3が配置されている。なお、図9に示されるように、前記調剤対象として選択された前記処方データにおける最初の配薬日に対応する前記配薬シートP1には、前記配薬タイミングが「頓服」及び「外用」である前記第2情報D2が出力されている。また、前記配薬タイミングが任意のタイミングである「頓服」及び「外用」である前記第2情報D2については、別の前記配薬シートP1に出力されてもよい。
【0054】
前記第2情報D2には、前記第1情報D1に含まれる情報のうち、前記服用者識別情報、前記薬品識別情報、前記詳細タイミング、前記包装状態、前記服用量、前記服用量の単位などの情報が含まれる。
【0055】
前記包装状態は、薬品が包装されている状態を示す情報である。例えば、前記包装状態には、錠分、錠ヒ、錠D、カ分、カヒ、カD、散分、散ヒ、水希、水原、又は水ヒなどが含まれる。「錠分」は錠剤分包、「錠ヒ」は錠剤ヒート、「錠D」は錠剤DTA分包、「カ分」はカプセル分包、「カヒ」はカプセルヒート、「カD」はカプセルDTA、「散分」は散薬分包、「散ヒ」は散薬ヒート、「水希」は水剤希釈、「水原」は水剤原液、「水ヒ」は水剤ヒートをそれぞれ示す。即ち、前記包装状態に含まれる「分」、「D」は、前記薬包81に収容されている薬品であることを示す。また、前記包装状態に含まれる「ヒ」は、前記分包装置3による分包対象外の薬品であって、前記薬包81とは別にヒートで既に包装されている薬品である旨を示す。また、前記包装状態に含まれる「頓」は、前記分包装置3による分包対象外の薬品であって、前記薬包81とは別に必要な頓服薬である旨を示し、前記包装状態に含まれる「外」は、前記分包装置3による分包対象外の薬品であって、前記薬包81とは別に必要な外用薬である旨を示す。なお、以下では、前記分包対象外の薬品を分包外薬品と称することがある。
【0056】
具体的に、図9に示される前記配薬シートP1では、「平成31年3月3日」の「朝」の配薬タイミングについて、「施設A」に入居している「服用者A」は、「食後」に、前記薬包81に分包された「薬品A」、「薬品B」、及び「薬品C」をそれぞれ「1錠」ずつ服用する必要があることがわかる。これにより、ユーザーは、当該配薬タイミングについて、当該服用者が前記薬包81の他には同一時期に配薬するべき薬品がないことがわかる。
【0057】
同様に、図9に示される前記配薬シートP1では、「平成31年3月3日」の「朝」の配薬タイミングについて、「施設A」に入居している「服用者B」は、前記薬包81に分包されている「1錠」の「薬品A」を「食前」に服用し、前記薬包81に分包されている「薬品B」、「薬品C」をそれぞれ「1錠」ずつ「食後」に服用する必要があることがわかる。これにより、ユーザーは、当該配薬タイミングについて、当該服用者が同一時期に配薬するべき薬品として、食前及び食後のそれぞれに対応する二つの前記薬包81があることがわかる。なお、前記配薬シートP1では、前記第2情報D2として、前記薬包81の数が明示されてもよい。
【0058】
さらに、図9に示される前記配薬シートP1では、「平成31年3月3日」の「朝」の配薬タイミングについて、「施設A」に入居している「服用者I」は、「食後」に、前記薬包81に分包されている「1錠」の「薬品G」と、前記薬包81とは別のカプセルヒートに収容されている「1錠」の「薬品K」とを服用する必要があることがわかる。これにより、ユーザーは、当該配薬タイミングについて、当該服用者が同一時期に配薬するべき薬品として、前記薬包81及び当該薬包81とは別のカプセルヒートがあることがわかる。このように、前記処方データに、前記薬包81に分包されない分包外薬品の情報(種類、使用時期など)が含まれる場合、前記制御部11は、前記第2情報D2に前記分包外薬品の情報を含めて前記配薬シートP1を出力する。これにより、前記薬包81が配薬タイミングに対応する所定のトレイなどに振り分けられる際に、作業者が、当該薬包81と共に振り分けるべき前記分包外薬品の存在を容易に把握することが可能であり、作業効率が向上すると共に振り分け作業のミスが抑止される。
【0059】
<ステップS6>
ステップS6において、前記制御部11は、前記ステップS3で取得した前記第1情報に基づいて、前記第1フォーマットとは異なる第2フォーマットで前記配薬シートP1を生成する。具体的に、前記第2フォーマットは、前記取得処理部111によって取得された情報に基づいて服用者及び薬品の情報を配薬タイミング別に出力する前記第2出力処理により出力される配薬シートP1の態様に対応する。ここで、図12図14を参照しつつ、前記第2フォーマットで生成された前記配薬シートP1の一例について説明する。図12図14は、前記第2フォーマットで生成された3頁の前記配薬シートP1の一例を示す図である。なお、図12図14に示される前記配薬シートP1に記載されている具体的な情報の内容は、説明の便宜上の情報を含むものであり、図4図7の前記分包データD1と関連するものではない。
【0060】
前記制御部11は、図12図14に示されるように、前記配薬シートP1を前記第2フォーマットで生成する場合には、複数の服用者に対応する複数の前記第2情報D2を配薬日及び配薬タイミングの組み合わせごとにグループ化して複数の配薬単位情報D3を生成する。そして、前記制御部11は、前記配薬単位情報D3各々を前記配薬タイミング別に纏めて配置した前記配薬シートP1を生成する。ここで、前記制御部11は、前記配薬シートP1において、前記配薬単位情報D3各々を当該配薬単位情報D3に対応する前記配薬日の時系列順で上から並べて配置する。具体的に、図12図14に示される例では、前記配薬タイミングごとに対応する1頁の前記配薬シートP1に、当該配薬タイミングに対応する前記配薬単位情報D3が並べて配置されている。即ち、前記制御部11は、前記配薬タイミングが切り替わるごとに改頁された前記配薬シートP1を生成する。
【0061】
図12図14に示される例では、「朝」、「昼」、「夜」の3つの配薬タイミングに対応する3頁の前記配薬シートP1のそれぞれにおいて、「平成31年3月3日」、「平成31年3月4日」、「平成31年3月5日」の配薬日ごとに対応する前記配薬単位情報D3が当該配薬日の時系列順に従って上から順に並べて配置されている。即ち、前記配薬シートP1各々では、当該配薬シートP1に対応する配薬タイミングについて、前記配薬日ごとに前記第2情報D2が纏めて配置されている。例えば、図12に示される例では、「朝」の配薬タイミングに対応する前記配薬シートP1では、「平成31年3月3日」の配薬日について、「服用者A」~「服用者I」の9人分の前記第2情報D2を含む前記配薬単位情報D3が配置されている。なお、図12に示されるように、前記調剤対象として選択された前記処方データにおける最初の配薬タイミングに対応する前記配薬シートP1には、前記配薬タイミングが「頓服」及び「外用」である前記第2情報D2が出力されている。また、前記配薬タイミングが任意のタイミングである「頓服」及び「外用」である前記第2情報D2については、別の前記配薬シートP1に出力されてもよい。
【0062】
<ステップS7>
ステップS7において、前記制御部11は、前記ステップS5又は前記ステップS6で生成された前記配薬シートP1を出力する。具体的に、前記制御部11は、前記プリンタ4に前記配薬シートP1の印刷データを出力し、当該プリンタ4によって前記配薬シートP1を印刷させる。また、前記制御部11は、前記配薬シートP1を前記表示装置14等に表示してもよく、前記配薬シートP1に対応するデータをモバイル端末等の外部機器に送信してもよい。なお、このように前記ステップS5~S7において、前記第1フォーマット又は前記第2フォーマットで生成された前記配薬シートP1を出力する出力ステップは、前記制御部11の出力処理部112によって実行される。
【0063】
以上説明したように、前記配薬支援システム10では、前記分包装置3における薬品の分包順に応じて前記第1フォーマット又は前記第2フォーマットで前記配薬シートP1が印刷される。そのため、複数の服用者の前記薬包81を配薬タイミングごとに所定のトレイなどに振り分ける作業を行う作業者は、前記配薬シートP1を参照しながら作業を行うことにより、当該作業におけるミスを抑制すると共に作業効率を高めることができる。特に、前記調剤施設の薬剤師等は、前記薬包81と前記配薬シートP1とを用いて、当該薬包81の配薬タイミングごとの振り分け作業と共に、当該薬包81についての調剤鑑査を行うことも可能である。
【0064】
ところで、前記配薬支援システム10が使用される前記調剤施設において、前記薬包81を配薬タイミングごとに振り分ける際に用いられる前記所定のトレイにおける薬品の収容部の配置が決まっている場合、前記制御部11は、前記所定のトレイにおける薬品の収容部の配置と同じ配置で前記第2情報D2を前記配薬シートP1に配置して出力することが考えられる。具体的に、前記制御部11は、前記ステップS1における前記処方データの選択時、又は初期設定などにおけるユーザー操作に応じて、前記配薬シートP1における前記第2情報D2の縦及び横のいずれか一方又は両方の配置数を配列情報として予め設定可能であることが考えられる。そして、前記制御部11は、前記配薬シートP1を出力する際には、前記配列情報に基づいて、前記所定のトレイにおける薬品の収容部の配置と同じように前記第2情報D2を配置して前記配薬シートP1を出力する。例えば、図9図14に示されている前記配薬シートP1は、前記配列情報として、前記第2情報D2を横に4列に並べる旨が設定されている場合の出力結果を示す例である。これにより、前記配薬グループごと、又は前記調剤施設ごとなどの任意の単位で前記配薬シートP1における前記第2情報D2の配列を前記所定のトレイにおける薬品の収容部の配列に合わせることができ、前記配薬シートP1を見ながら前記所定のトレイに薬品を振り分ける作業の効率をより高めると共に作業のミスを抑止することが可能である。
【0065】
なお、前記制御部11は、前記分包データD1を生成する際に、当該分包データD1に前記分包外薬品の情報を含めることが考えられる。この場合、前記分包装置3において、前記制御部31は、前記分包プリンタ32を用いて、前記分包外薬品の配薬タイミングに対応する前記薬包81に、前記分包外薬品が存在する旨及び前記分包外薬品の内容などの情報を文字又はピクトグラム(画像)で印刷することが考えられる。これにより、前記薬包81の配薬時に前記分包外薬品の存在を容易に把握することができ、前記分包外薬品の使用忘れを抑制することができる。また、前記分包外薬品の配薬タイミングに対応する前記薬包81が存在しない場合でも、前記制御部31が、空の前記薬包81を出力してその薬包81に前記分包外薬品が存在する旨及び前記分包外薬品の内容などの情報を文字又はピクトグラム(画像)で印刷させることも考えられる。これにより、前記薬包81の配薬タイミングと異なるタイミングで配薬するべき前記分包外薬品が存在する場合でも、空の前記薬包81を参照することにより前記分包外薬品の存在を容易に把握することができ、前記分包外薬品の配薬忘れを抑制することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 配薬支援装置
11 制御部
111 取得処理部
112 出力処理部
12 データ記憶部
2 調剤機器
3 分包装置
31 制御部
32 分包プリンタ
4 プリンタ
81 薬包
10 配薬支援システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14