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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】クリーニング装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20230817BHJP
   B08B 1/00 20060101ALI20230817BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
B05C11/10
B08B1/00
B05C5/00 101
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019106105
(22)【出願日】2019-06-06
(65)【公開番号】P2020199427
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】舘 浩之
(72)【発明者】
【氏名】大久保 貴章
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-058045(JP,A)
【文献】特開2004-314004(JP,A)
【文献】特開平06-063471(JP,A)
【文献】特開平05-329422(JP,A)
【文献】特開平04-035778(JP,A)
【文献】特開2005-159078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00-21/00
B08B 1/00-17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性流体を吐出するニードルを清掃するクリーニング装置であって、
収縮可能な柔軟部材と、
前記ニードルをその軸心が延びる方向に沿って前記柔軟部材が配置されている領域まで移動させるニードル移動部と、
前記柔軟部材が配置されている領域まで前記ニードルが移動した状態で前記軸心が延びる方向と垂直となる方向から前記柔軟部材を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部が前記柔軟部材を圧縮した状態で前記ニードルを前記柔軟部材が配置されている領域から退避させるニードル退避部と、
を備え、
前記ニードル移動部は、前記ニードルを前記柔軟部材に刺し込む、
クリーニング装置。
【請求項2】
粘性流体を吐出するニードルを清掃するクリーニング装置であって、
収縮可能な柔軟部材と、
前記ニードルをその軸心が延びる方向に沿って前記柔軟部材が配置されている領域まで移動させるニードル移動部と、
前記柔軟部材が配置されている領域まで前記ニードルが移動した状態で前記軸心が延びる方向と垂直となる方向から前記柔軟部材を圧縮する圧縮部と、
前記圧縮部が前記柔軟部材を圧縮した状態で前記ニードルを前記柔軟部材が配置されている領域から退避させるニードル退避部と、
を備え、
前記ニードルは、回転部を介して支持され、前記回転部は、前記圧縮部が前記柔軟部材を圧縮した状態で前記ニードルを回転させる、
クリーニング装置。
【請求項3】
前記柔軟部材はスポンジである請求項1または2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記柔軟部材は、第1の柔軟部材と第2の柔軟部材とに分割されており、前記ニードル移動部は、前記第1の柔軟部材と前記第2の柔軟部材との間に前記ニードルを移動させる請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記柔軟部材は、一対の柔軟部材圧縮板に挟まれており、前記一対の柔軟部材圧縮板は、それぞれの対向面に凹部を備え、前記柔軟部材は、前記凹部に入り込んでおり、前記ニードル移動部は、前記ニードルを前記凹部間に移動させる請求項1から4のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記柔軟部材は、前記ニードルのクリーニングを繰り返し行う場合に、その使用位置を前回行ったクリーニング時の使用位置から変更する請求項1から5のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記柔軟部材を移動させ、前記柔軟部材の使用位置を変更する柔軟部材送り部を備える請求項6に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記ニードル移動部を移動させ、前記柔軟部材の使用位置を変更する前記ニードル移動部の送り機構を備える請求項6に記載のクリーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品の実装に用いる接着剤塗布装置が備えるニードル(ノズル)のクリーニングを行う装置が種々提案されている。例えば、接着剤を塗布する針を容器内に配置したスポンジ等の軟質部材に挿脱させてクリーニングすることが知られている(特許文献1参照)。ノズルをスポンジに刺し込んでクリーニングすることは、特許文献2にも開示されている。特許文献1や特許文献2には、スポンジに溶剤を染み込ませることも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-275694号公報
【文献】特開平6-252541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
溶剤は、クリーニングの効果を高めるために有効であるが、溶剤を供給したり、回収したりする装置が必要となり、その管理の負担が大きい。また、溶剤を用いることで、接着剤が薄まったり、溶けたりして、接着剤が有する本来の接着効果が発揮されなくなることも想定される。このため、溶剤の使用は控えることが望ましい。溶剤を用いることなくクリーニングの効果を高めるためには、スポンジの密度や硬度を高めることが考えられる。しかしながら、密度や硬度が高いスポンジを用いると、ニードルをスポンジに刺すときに、ニードルが破損する可能性がある。
【0005】
1つの側面では、本発明は、ニードルの破損を抑制しつつ、クリーニング効果を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、クリーニング装置は、粘性流体を吐出するニードルを清掃するクリーニング装置であって、収縮可能な柔軟部材と、前記ニードルをその軸心が延びる方向に沿って前記柔軟部材が配置されている領域まで移動させるニードル移動部と、前記柔軟部材が配置されている領域まで前記ニードルが移動した状態で前記軸心が延びる方向と垂直となる方向から前記柔軟部材を圧縮する圧縮部と、前記圧縮部が前記柔軟部材を圧縮した状態で前記ニードルを前記柔軟部材が配置されている領域から退避させるニードル退避部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ニードルの破損を抑制しつつ、クリーニング効果を向上させることことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は第1実施形態のクリーニング装置を含む接着剤塗布装置を模式的に示す説明図である。
図2図2は処理装置のハードウェア構成の概略構成を示す説明図である。
図3図3は第1実施形態のクリーニング装置の制御の一例を示すフローチャートである。
図4図4(A)から(D)は第1実施形態のクリーニング装置によってニードルをクリーニングする様子を示す説明図であり、図4(A)はスポンジの上方に待機しているニードルを示す説明図であり、図4(B)はニードルがスポンジに刺された様子を示す説明図であり、図4(C)はスポンジが圧縮されている様子を示す説明図であり、図4(D)は圧縮された状態のスポンジからニードルが抜き取られる様子を示す説明図である。
図5図5(A)から(C)はスポンジ送り部によってニードルの刺し込み位置を変更する様子を示す説明図であり、図5(A)は一回目のニードルの刺し込み位置を示す説明図であり、図5(B)は二回目のニードルの刺し込み位置を示す説明図であり、図5(C)はn回目のニードルの刺し込み位置を示す説明図である。
図6図6(A)から(C)はX方向移動ステージ及びX方向スライダによってニードルの刺し込み位置を変更する様子を示す説明図であり、図6(A)は一回目のニードルの刺し込み位置を示す説明図であり、図6(B)は二回目のニードルの刺し込み位置を示す説明図であり、図6(C)はn回目のニードルの刺し込み位置を示す説明図である。
図7図7は第2実施形態におけるシリンジの回転部を示す説明図である。
図8図8は第2実施形態においてスポンジに挿し込まれたニードルが回転する様子を示す説明図である。
図9図9(A)から(D)は第3実施形態のクリーニング装置によってニードルをクリーニングする様子を示す説明図であり、図9(A)はスポンジの上方に待機しているニードルを示す説明図であり、図9(B)はニードルがスポンジに刺された様子を示す説明図であり、図9(C)はスポンジが圧縮されている様子を示す説明図であり、図9(D)は圧縮された状態のスポンジからニードルが抜き取られる様子を示す説明図である。
図10図10はスポンジ圧縮板の対向面に凹部が設けられている場合のニードルへの圧力のかかり方を模式的に示す説明図である。
図11図11は第4実施形態におけるスポンジ及びスポンジ圧縮板を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては、説明の都合上、実際には存在する構成要素が省略されていたり、寸法が実際よりも誇張されて描かれていたりする場合がある。
【0010】
(第1実施形態)
まず、図1を参照しつつ、第1実施形態のクリーニング装置20を備えた接着剤塗布装置100の概略構成について説明する。接着剤塗布装置100は、ディスペンサ1、シリンジ2、ニードル3を備える。また、接着剤塗布装置100は、シリンジ搬送部10と、クリーニング装置20、さらに、装置全体を制御するための各種処理を行う処理装置30を備える。なお、以下の説明では、図1に示すようにX方向、Y方向及びZ方向が設定されているものとする。Z方向は、鉛直方向と一致している。
【0011】
ディスペンサ1内には、圧縮空気供給部とその制御部(第1制御部)が設けられている。シリンジ2内には、粘性流体としての接着剤が貯留されている。ニードル3は、シリンジ2の先端部に設けられており、その軸心AXが鉛直方向(Z方向)と一致するように設けられている。シリンジ2とディスペンサ1とは、チューブ4で接続されており、ディスペンサ1からシリンジ2へ圧縮空気が送られることで、シリンジ2内に貯留されている接着剤がニードル3の先端から吐出される。
【0012】
シリンジ搬送部10は、X方向に沿って延びるレール状のX方向ステージ11と、このX方向ステージ11上を摺動するX方向スライダ11aを備える。X方向スライダ11a上には、Y方向に沿って延びるレール状のY方向ステージ12が設けられている。Y方向ステージ12上には、Y方向スライダ12aが摺動可能に設けられている。Y方向スライダ12a上には、Z方向に沿って延びる支柱13bが設けられており、この支柱13bに沿ってZ方向ステージ13が設けられている。Z方向ステージ13には、Z方向スライダ13aが摺動可能に取り付けられている。Z方向スライダ13aには、Y方向に沿って延びるアーム部14が設けられている。アーム部14のZ方向スライダ13aとの接続部の反対側の端部には、シリンジ2が設けられている。Z方向ステージ13、Z方向スライダ13a及びアーム部14は、シリンジ2の先端部に設けられているニードル3をその軸心AXに沿って移動させるニードル移動部及びニードル3を退避させるニードル退避部として機能する。ニードル3の移動及び退避については、後に説明する。
【0013】
シリンジ搬送部10は、各スライダを所望の方向へ移動させるための第2制御部15を備えている。
【0014】
接着剤塗布装置100には、X方向に沿って接着剤の塗布領域A1、ニードル3をクリーニングするクリーニング領域A2及び作業待機を行う待機領域A3が設けられている。待機領域A3は、塗布領域A1とクリーニング領域A2との間に設けられているが、この場所に限定されるものではない。シリンジ搬送部10は、X方向スライダ11aを作動させることで、シリンジ2を塗布領域A1、クリーニング領域A2及び待機領域A3の所望の位置へ搬送する。塗布領域A1には、接着剤の塗布対象が並べられ、シリンジ搬送部10は、その座標を取得することで、シリンジ2を塗布対象の上方へ移動させ、さらにZ方向スライダ13aを作動させることで、塗布対象へ接着剤を塗布する状態とすることができる。
【0015】
クリーニング装置20は、クリーニング領域A2に設置されている。クリーニング装置20は、柔軟部材であるスポンジ23を備えている。本実施形態におけるスポンジ23は、多孔質であり、且つ、収縮可能な素材であるウレタン製であるが、類似の性質を有するポリエチレン製やメラミン樹脂製のスポンジを用いてもよい。また、柔軟部材は収縮可能であり、収縮した状態でニードル3の外周面に接触し、ニードル3の外周面に付着した接着剤を拭うことができるものであればスポンジ23以外の素材を採用してもよい。クリーニング装置20は、X方向に沿って延びるスポンジ搬送ステージ21とスポンジ搬送ステージ21上を摺動するスポンジスライダ21aを備える。スポンジ搬送ステージ21及びスポンジスライダ21aは、柔軟部材送り部(スポンジ送り部)として機能する。スポンジスライダ21aには、台座部22が設けられている。台座部22上には、スポンジ23とスポンジ23の両側にスポンジ23を挟むように第1スポンジ圧縮板24a及び第2スポンジ圧縮板24bが配置されている。第1スポンジ圧縮板24aと第2スポンジ圧縮板24bとは、スポンジ23をY方向に沿って圧縮することができるようにY方向に沿って対向配置されている。スポンジ23、第1スポンジ圧縮板24a及び第2スポンジ圧縮板24bは、台座部22に固定されていない。スポンジ23は圧縮作用を受けるためであり、第1スポンジ圧縮板24a及び第2スポンジ圧縮板24bは、スポンジ23を圧縮するために移動することが求められるためである。
【0016】
第1スポンジ圧縮板24aの側方には、第1スポンジ圧縮板24aを第2スポンジ圧縮板24b側へ押圧することができる第1アクチュエータ25aが配置されている。第2スポンジ圧縮板24bの側方には、第2スポンジ圧縮板24bを第1スポンジ圧縮板24a側へ押圧することができる第2アクチュエータ25bが配置されている。第1スポンジ圧縮板24aは第1アクチュエータ25aの可動部に固定されている。第2スポンジ圧縮板24bは第2アクチュエータ25bの可動部に固定されている。
【0017】
第1スポンジ圧縮板24a、第1アクチュエータ25a、第2スポンジ圧縮板24b及び第2アクチュエータ25bは、スポンジ23の圧縮部として機能する。第1アクチュエータ25aは第1スポンジ圧縮板24aをY方向に沿って移動させ、第2アクチュエータ25bは第2スポンジ圧縮板24bをY方向に沿って移動させる。これにより、スポンジ23は、ニードル3の軸心AXと垂直となる方向から圧縮される。
【0018】
クリーニング装置20は、スポンジスライダ21a、第1アクチュエータ25a及び第2アクチュエータ25bの動きを制御する第3制御部26を備えている。
【0019】
なお、Z方向ステージ13、Z方向スライダ13a及びアーム部14は、ニードル移動部及びニードル退避部として機能するものであり、クリーニング装置20の一部として機能している。
【0020】
処理装置30は、ディスペンサ1、第2制御部15及び第3制御部26と電気的に接続されている。処理装置30は、ディスペンサ1、第2制御部15及び第3制御部26が各部を制御するための演算や指示等を行う。図2を参照すると、処理装置30は、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、記憶部(ここではHDD(Hard Disk Drive))34、入出力インタフェース35、可搬型記憶媒体用ドライブ36、表示部39、入力部40等を備えている。これら処理装置30の構成各部は、バス38に接続されている。表示部39は、液晶ディスプレイ等を含み、入力部40は、キーボードやマウス、入力ボタン等を含む。処理装置30では、ROM32あるいはHDD34に格納されているプログラム(演算プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ36が可搬型記憶媒体37から読み取ったプログラム(演算プログラムを含む)をCPU31が実行することにより、処理装置30の各部の機能が実現される。
【0021】
つぎに、図3から図5(C)を参照して、接着剤塗布装置100の動作について説明する。図3は、接着剤塗布装置100の動作の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS1では、第2制御部15は、シリンジ搬送部10に作動信号を発し、シリンジ2を塗布領域A1内に配置されている塗布対象の上方へ移動させる。なお、塗布対象が配置されている塗布位置の座標は予め処理装置30に入力され、または、読み出される。ステップS1に引き続いて行うステップS2では、ディスペンサ1が圧縮空気を吐出する。これにより、シリンジ2内に貯留されている接着剤がニードル3の先端から吐出され、接着剤の塗布が行われる。
【0022】
ステップS2に引き続いて行われるステップS3では、第2制御部15は、シリンジ搬送部10に作動信号を発し、シリンジ2をクリーニング領域A2内のスポンジ23の上方へ移動させる(図4(A)参照)。ここで、クリーニング動作が一回目であるときは、図5(A)に示すように、図5(A)において最も奥側の刺し込み位置h1にニードル3が刺し込まれるようにスポンジ23の位置を設定しておく。スポンジ23は、スポンジ搬送ステージ21に沿って移動できるが、一回目のクリーニングのときのスポンジ23は、図5(A)中、最も手前側に配置されている。
【0023】
ステップS3に引き続いて行うステップS4では、ニードル3のクリーニング対象部分がスポンジ23の上面よりも下方に位置するようにシリンジ2を降下させる。シリンジ2の降下は、Z方向スライダ13aをZ方向ステージ13に沿うって降下させることで行われる。すなわち、ニードル3をその軸心AXが延びる方向に沿ってスポンジ23が配置されている領域まで移動(降下)させる。図4(B)を参照すると、シリンジ2が矢示27のように降下することで、ニードル3がスポンジ23に刺し込まれる。この時点においてスポンジ23は圧縮されていないため、ニードル3は、容易にスポンジ23に刺し込まれる。このため、ニードル3の破損が抑制される。
【0024】
ステップS4に引き続いて行うステップS5では、図4(C)において矢示28で示すようにスポンジ23を圧縮する。具体的には、第1アクチュエータ25aと第2アクチュエータ25bを作動させて、第1スポンジ圧縮板24a及び第2スポンジ圧縮板24bを介してスポンジ23を挟むように圧縮する。第1スポンジ圧縮板24aと第2スポンジ圧縮板24bとを接近させることで、スポンジ23が圧縮され、スポンジ23の密度が高まる。本実施形態のスポンジ23は、元々のスポンジ23の厚さの半分程度となるように圧縮されている。このように圧縮されるスポンジ23内にはニードル3が存在しているが、スポンジ23の圧縮方向がニードル3の軸心AXが延びる方向と垂直なる方向であるため、ニードル3に対する曲げ作用を生じさせないことから、ニードル3の破損が抑制される。
【0025】
ステップS5に引き続いて行うステップS6では、図4(D)において矢示29で示すようにシリンジ2を上昇させ、ニードル3をスポンジ23から引き抜く。このとき、スポンジ23は、矢示28のように圧縮された状態が継続されている。すなわち、ニードル3は、スポンジ23が圧縮された状態を維持したまま、スポンジ23から引き抜かれ、退避する。退避動作は、Z方向スライダ13aをZ方向ステージ13に沿って上昇させ、シリンジ2を上昇させることで行われる。
【0026】
ニードル3は、密度が上昇した状態のスポンジ23から引き抜かれることで、外周面に付着していた接着剤が効率よく拭われる。すなわち、密度が上昇したスポンジ23がニードル3の外周面に擦り付けられるような状態となるため、接着剤が取れやすく、クリーニングの効果が向上する。
【0027】
ステップS6に引き続いて行うステップS7では、スポンジ23の圧縮を解く。すなわち、第1アクチュエータ25aによる第1スポンジ圧縮板24aの押圧及び第2アクチュエータ25bによる第2スポンジ圧縮板24bの押圧が解除される。
【0028】
ステップS7に引き続いて行うステップS8では、第3制御部26は、スポンジスライダ21aを作動させ、図5(B)に示すようにスポンジ23を矢示6のように移動させる。これは、次回のニードル3のクリーニングにおいて、刺し込み位置h2にニードル3が刺し込まれるようにするための準備である。このように、刺し込み位置を異なる位置に設定し、スポンジ23の使用位置を前回行ったクリーニング時の使用位置から変更することで、スポンジ23の汚れていない位置を使用することができる。これにより、ニードル3のクリーニング効果が向上する。
【0029】
ステップS8に引き続いて行うステップS9では、処理装置30は、塗布作業が終了したか否かを判断する。すなわち、予め設定された全ての塗布対象に対し接着剤の塗布作業が終了したか否かを判断する。ステップS9でNOと判断したときは、ステップS1からの処理を繰り返す。なお、繰り返し行われるステップS8では、図5(C)に示すように、刺し込み位置hnまで、順次スポンジ23の位置を移動させる。
【0030】
ステップS9でYESと判断したときは、ステップS10へ進む。ステップS10では、シリンジ搬送部10によってシリンジ2を待機領域A3へ移動させる。これにより、一連の接着剤塗布作業が終了する。
【0031】
このように、本実施形態の接着剤塗布装置100は、クリーニング装置20を備えており、クリーニング装置20は、圧縮されていない状態のスポンジ23にニードル3を刺し込むので、ニードル3の損傷を抑制することができる。また、ニードル3を拭う動作をするときに、スポンジ23を圧縮し、その密度を向上させているため、クリーニング効果を向上させることができる。この結果、ニードル3のクリーニングに溶剤が不要となる。また、その際、スポンジ23の圧縮方向をニードル3の軸心AXが延びる方向と垂直となる方向としているため、この点においても、ニードル3の損傷が抑制される。なお、ニードル3の外周面に接着剤が付着した状態であると、次回の接着剤塗布作業における接着剤の塗布量が変わってしまったり、接着剤の塗布位置以外の箇所に接着剤が付着してしまったりすることが想定されるが、クリーニング効果が向上することで、このような不都合が解消される。
【0032】
また、スポンジ23の使用位置を前回行ったクリーニング時の使用位置から変更することで、ニードル3のクリーニング効果を向上させることができる。
【0033】
(変形例)
ここで、図6(A)から図6(C)を参照して、変形例について説明する。第1実施形態では、スポンジ搬送ステージ21及びスポンジスライダ21aが装備されていた。これに対し、X方向ステージ11及びX方向スライダ11aをニードル移動部の送り機構として活用することでスポンジ23の使用位置を変更する構成としてもよい。すなわち、ニードル移動部として機能するZ方向ステージ13、Z方向スライダ13a及びアーム部14が搭載されているX方向スライダ11aの位置を矢示7のように順次移動させて調整することで、スポンジ23の使用位置を変更する。一回目のクリーニング時には、図6(A)で示すように、ニードル3が刺し込み位置h1の上方に位置するようにX方向スライダ11aの位置を調整する。また、二回目のクリーニング時には、図6(B)で示すように、ニードル3が刺し込み位置h2の上方に位置するようにX方向スライダ11aの位置を調整する。その後は、同様の要領で、図6(C)に示すように、ニードル3が刺し込み位置hnの上方に位置するようにX方向スライダ11aの位置を調整する。このように、X方向ステージ11及びX方向スライダ11aを活用して、スポンジ23の使用位置を変更するようにしてもよい。このような態様を採用する場合は、スポンジ搬送ステージ21及びスポンジスライダ21aが不要となる。
【0034】
また、本実施形態では、第1アクチュエータ25aと第2アクチュエータ25bによってスポンジ23を圧縮しているが、スポンジ23を圧縮する手段は、これに限定されない。例えば、バネ等を用いてスポンジ23を圧縮するようにしてもよいし、また、スポンジ23の周囲に巻き付けるようにベルトを配置し、そのベルトを締め付けることでスポンジ23を圧縮するようにしてもよい。さらに、本実施形態ではニードル3側が移動しているが、スポンジ23側を移動させてもよい。要は、ニードル3とスポンジ23とが相対的に位置を変化させることができればよい。
【0035】
(第2実施形態)
つぎに、図7及び図8を参照して第2実施形態について説明する。第2実施形態は、図7に示すようなシリンジ2の回転部46を備える。回転部46は、アーム部14の先端部に装着される。回転部46は、第1支持板41と第1支持板41に組み込まれたモータによって駆動される駆動歯車42を備える。回転部46は、また、シリンジ2に装着され、駆動歯車42と噛み合う従動歯車43を備える。従動歯車43は、第1支持板41に連設された第2支持板44に取り付けられた保持歯車45と噛み合っている。保持歯車45は、従動歯車43が脱落しないように設けられている。
【0036】
このような回転部46を備えることで、シリンジ2は、図8において矢示8で示すように、回転することができる。ニードル3をスポンジ23に刺し込み、スポンジを圧縮した状態でシリンジ2を回転させることで、ニードル3のクリーニング効果を向上させることができる。なお、ニードル3は、回しながらスポンジ23から引き抜くようにしてもよい。
【0037】
(第3実施形態)
つぎに、図9(A)から図10を参照して第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態のスポンジ23、第1スポンジ圧縮板24a及び第2スポンジ圧縮板24bに替えて、スポンジ53、第3スポンジ圧縮板54a及び第4スポンジ圧縮板54bを備える。第3スポンジ圧縮板54aは、第4スポンジ圧縮板54bと対向する面に弧状の凹部54a1を備えている。第4スポンジ圧縮板54bは、第3スポンジ圧縮板54aとの対向面に弧状の凹部54b1を備えている。スポンジ53は、凹部54a1及び凹部54b1に入り込んでいる。
【0038】
図9(A)及び図9(B)を参照すると、ニードル3は、凹部54a1と凹部54b1との間に移動し、刺し込まれる。そして、図9(C)において矢示55で示すように第4スポンジ圧縮板54b及び第3スポンジ圧縮板54aによってスポンジ53を圧縮する。
【0039】
ここで、図10を参照して、凹部54a1及び凹部54b1を設けたことによる効果を説明する。図10を参照すると、凹部54a1及び凹部54b1を設けることで、ニードル3に対して等方圧を作用させることができる。図10に示すようにニードル3に均等な圧力を作用させた状態で図9(D)に示すようにニードル3を引き抜くことで、ニードル3の外周面を均等にクリーニングすることができる。
【0040】
(第4実施形態)
つぎに、図11を参照して第4実施形態について説明する。第1実施形態は単一のブロック状のスポンジ23を用いていたのに対し、第4実施形態は、分割された第1スポンジ63aと第2スポンジ63bを用いている。第1スポンジ63aの側方には、第5スポンジ圧縮板64aが配置され、第2スポンジ63bの側方には、第6スポンジ圧縮板64bが配置されている。
【0041】
第4実施形態において第1スポンジ63a及び第2スポンジ63bの上縁から下縁までの領域が、スポンジが配置されている領域Arであり、ニードル3をクリーニングする際、ニードル3は、この領域Ar内に位置するように降下する。ニードル3を降下させる際、ニードル3は、第1スポンジ63aと第2スポンジ63bとの間に降下する。すなわち、圧縮されていない状態の第1スポンジ63aと第2スポンジ63bとの間には、隙間が設けられており、ニードル3は、この隙間に降下する。その後は、第5スポンジ圧縮板64aと第6スポンジ圧縮板64bを接近させ、第1スポンジ63aと第2スポンジ63bを圧縮する。そして、第1スポンジ63aと第2スポンジ63bを圧縮した状態でニードル3を引き抜くことで、ニードル3をクリーニングすることができる。
【0042】
第4実施形態では、ニードル3をスポンジに刺し込まないため、ニードル3の損傷を抑制することができる。要は、ニードル3を圧縮されていない状態のスポンジで包みこみ、その後、スポンジを圧縮し、圧縮を維持した状態でニードル3を引き抜けばよい。
【0043】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 ディスペンサ
2 シリンジ
3 ニードル
10 シリンジ搬送部
11 X方向ステージ
11a X方向スライダ
12 Y方向ステージ
12a Y方向スライダ
13 Z方向ステージ
13a Z方向スライダ
14 アーム部
20 クリーニング装置
21 スポンジ搬送ステージ
21a スポンジスライダ
23、53 スポンジ
24a 第1スポンジ圧縮板
24b 第2スポンジ圧縮板
46 回転部
54a1、54b1 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11