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特許7332890音声通信システム、音声通信方法、および、音声通信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】音声通信システム、音声通信方法、および、音声通信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/56 20060101AFI20230817BHJP
   H04M 3/22 20060101ALI20230817BHJP
   H04L 47/31 20220101ALI20230817BHJP
【FI】
H04M3/56 Z
H04M3/22 C
H04L47/31
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019209133
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2021082953
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100174573
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 知美
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 一浩
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 久晃
【審査官】小宮 慎司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-198133(JP,A)
【文献】特表平06-509455(JP,A)
【文献】特開2009-033363(JP,A)
【文献】特開2009-104458(JP,A)
【文献】国際公開第2014/087764(WO,A1)
【文献】特開2008-011180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/00
H04M 3/16 - 3/58
H04M 7/00 - 7/16
H04M 11/00 - 11/10
H04L 47/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して相互に接続されるサーバ装置および複数の端末装置を備えた音声通信システムであって、前記複数の端末装置は、第1、第2の端末装置を含み、
前記第1の端末装置は、ユーザの送信操作に応じて、音声信号を、通信相手である前記第2の端末装置の識別情報とともに前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置は、前記第1の端末装置から送信されてきた音声信号を、前記第2の端末装置に転送し、
前記サーバ装置は、前記音声信号の同時受信数を常時カウントし、
前記同時受信数が所定の規制値に達した場合、前記受信した音声信号に送信規制情報を付して前記第2の端末装置に転送し、
前記第2の端末装置は、送信規制情報が付された音声信号を受信している間、前記ユーザの送信操作があっても音声信号の送信を行わない送信規制を行う
音声通信システム。
【請求項2】
前記端末装置は、音声信号を前記サーバ装置へ送信しているときも、並行して、前記サーバ装置から送信されてくる音声信号を受信するフルデュプレックス通信を行う請求項1に記載の音声通信システム。
【請求項3】
前記サーバ装置および前記端末装置は、前記音声信号を所定時間ずつに分割して順次音声パケットとして送信し、
前記サーバ装置は、
前記同時受信数を前記所定時間ごとにカウントし、
前記同時受信数が所定の規制値に達した場合、前記音声パケットに送信規制情報を付して送信し、
前記端末装置は、前記送信規制情報が付された音声パケットを受信した場合、前記所定時間だけ送信規制を行う
請求項1または請求項2に記載の音声通信システム。
【請求項4】
前記端末装置は、前記音声信号の送信中に前記送信規制情報が付された他の端末装置からの音声信号を受信しても、送信終了まで前記音声信号の送信を継続する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の音声通信システム。
【請求項5】
第1、第2の端末装置を含む複数の端末装置が、ネットワークを介して接続されるサーバ装置を介して相互に通信する方法であって、
前記第1の端末装置が、ユーザの送信操作に応じて、音声信号を、通信相手である前記第2の端末装置の識別情報とともに前記サーバ装置に送信し、
前記サーバ装置が、前記第1の端末装置から送信されてきた音声信号を、前記第2の端末装置に転送し、
前記サーバ装置が、
前記音声信号の同時受信数を常時カウントし、
前記同時受信数が所定の規制値に達した場合、前記受信した音声信号に送信規制情報を付して前記第2の端末装置に転送し、
前記第2の端末装置が、送信規制情報が付された音声信号を受信している間、前記ユーザの送信操作があっても音声信号の送信を行わない送信規制を行う
音声通信方法。
【請求項6】
前記端末装置は、音声信号を前記サーバ装置へ送信しているときも、並行して、前記サーバ装置から送信されてくる音声信号を受信するフルデュプレックス通信を行う請求項5に記載の音声通信方法。
【請求項7】
前記サーバ装置および前記端末装置は、前記音声信号を所定時間ずつに分割して順次音声パケットとして送信し、
前記サーバ装置は、
前記同時受信数を前記所定時間ごとにカウントし、
前記同時受信数が所定の規制値に達した場合、前記音声パケットに送信規制情報を付して送信し、
前記端末装置は、前記送信規制情報が付された音声パケットを受信した場合、前記所定時間だけ送信規制を行う
請求項5または請求項6に記載の音声通信方法。
【請求項8】
前記端末装置は、前記音声信号の送信中に前記送信規制情報が付された他の端末装置からの音声信号を受信しても、送信終了まで前記音声信号の送信を継続する請求項5乃至請求項7のいずれかに記載の音声通信方法。
【請求項9】
前記サーバ装置における同時受信数が前記所定の規制値に達している場合に、前記第1の端末装置および前記第2の端末装置が、前記第1の端末装置の音声信号の送信が終了したのち、前記第2の端末装置が音声信号の送信を開始し、前記第2の端末装置の音声信号の送信が終了したのち、前記第1の端末装置が音声信号の送信を開始する交互通信を行う請求項5乃至8のいずれかに記載の音声通信方法。
【請求項10】
第1および第2の端末装置を含む複数の端末装置とネットワークを介して通信するサーバ装置の制御部を、
前記第1の端末装置から送信されてきた音声信号を受信する第1手段、
前記音声信号の同時受信数を常時カウントする第2手段、
前記受信した音声信号を前記第2の端末装置に転送する手段であって、前記同時受信数が所定の規制値に達した場合、前記受信した音声信号に送信規制情報を付して前記第2の端末装置に転送する第3手段、
として機能させる音声通信プログラム。
【請求項11】
前記第1手段は、所定時間ずつに分割された音声信号を含む音声パケットを順次受信し、
前記第2手段は、前記同時受信数を前記所定時間ごとにカウントする
請求項10に記載の音声通信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無線LANなどのネットワークを用いた音声通信システムにおける音声信号の同時送信数の制限に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に示すように、無線LANトランシーバシステムが実用化されている。無線LANトランシーバシステムなどの音声通信システムは、無線LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)を介して接続された複数の端末装置(トランシーバ)とサーバ装置とを備えている。サーバ装置が、端末装置間の通信を中継する。端末装置は、音声信号をサーバ装置に送信する。音声信号を受信したサーバ装置は、この音声信号を通信相手の端末装置に転送する。音声通信システムでは、無線LANの特性を活かしてフルデュプレックスで個別通信やグループ通信が可能である。端末装置は、ハンディトランシーバに類似した形状をしており、ユーザが従来の無線通信と変わらない使用感で使用することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】”IP ADVANCED RADIO SYSTEM”、アイコム株式会社、インターネット〈https://www.icom.co.jp/products/land_mobile/ip_advanced_radio_system/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の音声通信システムでは、サーバ装置は、予め登録された端末装置の通信を中継する。音声通信システムの規模が大きくなると、登録される端末装置も多数になる。多数の端末装置がサーバ装置に対して同時に音声信号を送信すると、サーバ装置の処理能力を超えてしまう場合がある。処理能力を超えた数の音声信号がサーバ装置に送信されると、通信相手に転送される音声信号の音質が低下し、または、音飛びが発生する場合がある。
【0005】
本発明の目的は、音声信号の受信数が所定数に達すると端末装置に対して音声信号の送信を規制する旨を通知する音声通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の音声通信システムは、ネットワークを介して相互に接続されるサーバ装置および複数の端末装置を備える。複数の端末装置は、第1、第2の端末装置を含む。音声通信システムは、以下の処理を実行する。第1の端末装置は、ユーザの送信操作に応じて、音声信号を、通信相手である第2の端末装置の識別情報とともにサーバ装置に送信する。サーバ装置は、第1の端末装置から送信されてきた音声信号を、第2の端末装置に転送する。サーバ装置は、音声信号の同時受信数を常時カウントする。同時受信数は、言い換えると、音声信号を送信している端末装置の数である。同時受信数が所定の規制値に達した場合、受信した音声信号に送信規制情報を付して第2の端末装置に転送する。第2の端末装置は、送信規制情報が付された音声信号を受信している間、前記ユーザの送信操作があっても音声信号の送信を行わない送信規制を行う。
【0007】
本発明の音声通信方法は、第1、第2の端末装置を含む複数の端末装置が、ネットワークを介して接続されるサーバ装置を介して相互に通信する方法であって以下の手順を含む。第1の端末装置が、ユーザの送信操作に応じて、音声信号を、通信相手である第2の端末装置の識別情報とともにサーバ装置に送信する。サーバ装置が、第1の端末装置から送信されてきた音声信号を、第2の端末装置に転送する。サーバ装置が、音声信号の同時受信数を常時カウントする。サーバ装置が、同時受信数が所定の規制値に達した場合、受信した音声信号に送信規制情報を付して第2の端末装置に転送する。サーバ装置が、第2の端末装置が、送信規制情報が付された音声信号を受信している間、ユーザの送信操作があっても音声信号の送信を行わない送信規制を行う。
【0008】
本発明の音声通信プログラムは、第1および第2の端末装置を含む複数の端末装置とネットワークを介して通信するサーバ装置の制御部を以下の手段として機能させる。第1の端末装置から送信されてきた音声信号を受信する第1手段、音声信号の同時受信数を常時カウントする第2手段、および、受信した音声信号を第2の端末装置に転送する手段であって、同時受信数が所定の規制値に達した場合、受信した音声信号に送信規制情報を付して第2の端末装置に転送する第3手段。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、端末装置の音声信号の送信数が所定数に達した場合、端末装置に対して送信規制情報を送信して、音声信号の送信を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、この発明の実施形態である音声通信システムの構成図である。
図2図2は、音声パケットの構成を示す図である。
図3図3は、端末装置のブロック図である。
図4図4は、サーバ装置のブロック図である。
図5図5は、サーバ装置に設定される端末テーブルを示す図である。
図6図6は、サーバ装置に設定されるグループテーブルを示す図である。
図7図7は、サーバ装置に設定されるセッションテーブルを示す図である。
図8図8は、サーバ装置に設定される送信端末テーブルを示す図である。
図9図9は、サーバ装置の動作を示すフローチャートである。
図10図10は、サーバ装置の動作を示すフローチャートである。
図11図11は、サーバ装置の動作を示すフローチャートである。
図12図12は、端末装置の動作を示すフローチャートである。
図13図13は、端末装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照してこの発明の音声通信システムについて説明する。図1は、この発明の実施形態である音声通信システムの構成図である。この音声通信システムでは、複数の端末装置14が、ネットワーク17を介して相互に通信する。サーバ装置11がその通信を中継する。端末装置14は、無線通信用のハンディトランシーバに似た形状をしており、図3に示すようにPTT(プッシュ・トゥ・トーク)スイッチ220を備えている。ユーザが、PTTスイッチ220を押しながらマイク240(図3参照)に向かって話すと、端末装置14は、マイク240から入力された音声信号をサーバ装置11に送信する。サーバ装置11は、端末装置14から受信した音声信号を、通信相手の端末装置14に転送する。
【0012】
端末装置14は、機能面で言えば、無線アクセスポイント(AP)13を介して音声パケット100を送受信する無線ネットワーク機器である。ネットワーク17は、有線ネットワーク15、および、Wi-Fi(登録商標)などの無線LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)16からなっている。サーバ装置11は、有線ネットワーク15に接続されている。端末装置14は、無線LAN16を介して通信する。無線アクセスポイント13が、無線LAN16を有線ネットワーク15に接続する。
【0013】
有線ネットワーク15として、Ethernet(登録商標)のLANやインターネットなどが使用可能である。インターネットを経由して通信する場合には、VPN(バーチャル・プライベート・ネットワーク)を用いることで安全な通信が可能である。また、無線LAN16として、Wi-FiなどIEEE802.11に準拠した通信方式などが適用可能である。端末装置14と無線アクセスポイント13とは、この無線LAN16の通信方式で通信する。図1では、無線アクセスポイント13が3台設置されているが、この音声通信システムにおいて無線アクセスポイント13の数に制限はない。
【0014】
この音声通信システムでは、以下の手順で音声通信が行われる。端末装置14は、PTTスイッチ220が押されると、事前の通信確立手順無しで音声信号を送信する。サーバ装置11は、端末装置14から事前の通信確立手順無しで送信されてくる音声信号を受信する。送信されてくる音声信号には通信制御情報が添付されている。サーバ装置11は、通信制御情報に基づいて、音声信号を通信相手の端末装置14に転送する。以上の手順により、この音声通信システムでは、ネットワーク17を介した音声通信であるにもかかわらず、SIP手順のような通信確立手順が不要である。これにより、ユーザは、従来の無線通信のトランシーバと同じように、端末装置14のPTTスイッチ220をオンしてマイク240に向けて話すことで、ネットワークを介した音声通信を行うことができる。
【0015】
端末装置14およびサーバ装置11は、音声信号をパケット化して、ネットワーク17を介して送受信する。パケット通信は間欠的な通信であるため、端末装置14は、音声信号の送信と並行して音声信号を受信するフルデュプレックスの通信が可能である。ただし、端末装置14は、常時音声信号を送信し続けないように、PTTスイッチ220が押されているときのみ音声信号を送信する。端末装置14は、PTTスイッチ220が押されて音声信号を送信中も通信相手の端末装置14の音声信号は常に受信しており、この音声はスピーカ241から出力される。
【0016】
この音声通信システムでは、個別通信、グループ通信および全体通信の3種類の通信形態の通信が行われる。個別通信は、1台の端末装置14が他の1台の端末装置を呼び出して相互に通信する一対一の通信形態である。以下、通信相手を呼び出す端末装置14を呼出端末装置14と言う。グループ通信は、呼出端末装置14が、複数の端末装置14が所属するグループを呼び出し、呼出端末装置14と呼び出されたグループに所属する端末装置14とが相互に通信する通信形態である。全体通信は、全端末装置14を対象としたグループ通信であり、呼出端末装置14が全体を呼び出し、全端末装置14が相互に通信する通信形態である。
【0017】
サーバ装置11には、複数の端末装置14が登録(収容)される。登録された端末装置14が、サーバ装置11を経由した音声通信をすることができる。ユーザが多い場合、サーバ装置11には、多数(例えば、3000台)の端末装置14が登録されるが、この登録台数が、サーバ装置11の同時通信処理能力を超える場合がある。例えば、サーバ装置11が同時に処理できる音声の数(最大同時処理数)が2700であったとする。そうすると、全端末装置14が同時に音声信号の送信を行った場合、サーバ装置11は、全ての音声信号を途切れなく転送することができなくなり、音質の低下や音飛びが発生する。
【0018】
そこで、サーバ装置11は、端末装置14からの音声信号の同時受信数が、所定の規制値(例えば、2500)に達した場合、端末装置14によるこれ以上の音声信号の送信を規制する。送信規制は、送信規制情報を端末装置14に送信することによって行われる。送信規制情報は、各端末装置14に音声信号を送信しないよう通知する情報である。送信規制情報は、端末装置14に転送される音声信号に添付されて送信される(規制フラグ101)。端末装置14は、送信規制情報が送られてきている間は、端末装置14側で送信規制を行い、ユーザによるPTTスイッチ220の操作があっても、音声信号を送信しない。
【0019】
図2は、音声パケット100の構成を示す図である。この実施形態ではRTPパケットが音声パケット100として用いられる。音声信号は、20msごとにRTPパケット化される。RTPパケットは、ヘッダおよびデータ本体(ペイロード)からなる。ヘッダは、IPヘッダ、UDPヘッダ、および、RTPヘッダからなる。図2は、ヘッダを簡略化して示している。ヘッダには宛先IPアドレスおよび送信元アドレスが含まれている。端末装置14からサーバ装置11に送信される音声パケットの場合、宛先IPアドレスはサーバ装置11のIPアドレスであり、送信元アドレスは端末装置14のIPアドレスである。また、サーバ装置11から端末装置14に送信される音声パケットの場合、宛先IPアドレスは端末装置14のIPアドレスであり、送信元アドレスはサーバ装置11のIPアドレスである。
【0020】
音声パケット100のデータ本体には、デジタル化された音声信号、および、通信制御情報が含まれている。通信制御情報は、呼出種別、呼出ID、発信ID、および、規制フラグ101を含んでいる。呼出種別は、この音声パケット100がどの通信種別(個別通信、グループ通信、全体通信)の音声信号を伝送するためものであるかを識別する情報である。呼出IDは、通信相手を識別する情報であり、個別通信の場合、通信相手の端末装置14の端末番号が用いられ、グループ通信の場合、呼び出すグループのグループ番号が用いられる。規制フラグ101は、サーバ装置11の送信規制を表すフラグである。サーバ装置11が送信規制を実施しているときに送信される音声パケット100は、規制フラグ101がセットされる。すなわち、セットされた規制フラグ101が、本発明の送信規制情報に対応する。
【0021】
サーバ装置11が端末装置14から受信した音声パケット100が個別通信の音声パケット100である場合、サーバ装置11は、この音声パケットを以下のように再編集して通信相手の端末装置14に転送する。
【0022】
サーバ装置11は;
受信した音声信号(音声パケットのペイロード)を一旦バッファする。
バッファされた音声信号および通信制御情報をペイロードとする音声パケットを作成する。
音声パケットに、宛先IPアドレスとして通信相手の端末装置14のIPアドレスを書き込む。
音声パケットに、送信元アドレスとしてサーバ装置11のIPアドレスを書き込む。
そのときの送信規制の実施/不実施に応じて音声パケットの規制フラグ101をセット/リセットする。
再編集された音声パケットを通信相手の端末装置14に転送する。
【0023】
サーバ装置11が端末装置14から受信した音声パケット100がグループ通信の音声パケット100である場合、サーバ装置11は、受信した音声信号をミキシング転送する。ミキシング転送は、以下の処理からなる。
【0024】
サーバ装置11は;
20msの間、グループに所属する端末装置14から受信する音声信号(音声パケットのペイロード)をバッファする。
バッファした音声信号をミキシングして、グループに所属する各端末装置14に転送するための音声信号をそれぞれ作成する。ミキシングは、エコーが生じないように端末装置14ごとに別々に行われる。20msの間に音声信号を送信しなかった端末装置14に対しては、バッファした全ての音声信号をミキシングし、20msの間に音声信号を送信してきた端末装置14に対しては、その端末装置14が送信した音声信号以外の音声信号をミキシングする。
作成された音声信号および通信制御情報をペイロードとする音声パケットをグループに所属する端末装置14毎に作成する。
音声パケットに、宛先IPアドレスとして送信先の端末装置14のIPアドレスを書き込む。
音声パケットに、送信元アドレスとしてサーバ装置11のIPアドレス書き込む。
そのときの送信規制の実施/不実施に応じて音声パケットの規制フラグ101をセット/リセットする。
それぞれの端末装置14にその端末装置向けに作成された音声パケットを送信する。
【0025】
図3は、端末装置14のブロック図である。上述したように、端末装置14は、機能面から言うと、無線LANの無線アクセスポイント(AP)13を介して音声パケット100を送受信する無線ネットワーク機器である。制御部20は、マイクロプロセッサで構成され、端末装置14の動作を制御する。制御部20は、記憶部21を有している。記憶部21は、RAM210およびフラッシュROM211を有している。RAM210は、動作時のワークメモリとして使用される。フラッシュROM211は、ネットワーク情報などの情報を不揮発に記憶するために使用される。RAM210には、送信規制フラグ2101が設定される。
【0026】
制御部20には、操作部22、表示部23、オーディオ回路24および無線LAN通信部25が接続されている。操作部22は、PTTスイッチ220などのキースイッチを含み、ユーザの操作を受け付けてその操作信号を制御部20に入力する。表示部23は液晶ディスプレイを含む。液晶ディスプレイには、ユーザの操作によって選択された通信相手の端末番号/グループ番号や着信した通信相手の端末番号/グループ番号などが表示される。
【0027】
オーディオ回路24は、マイク240およびスピーカ241を有している。制御部20は、受信した音声パケット100をデコードしてオーディオ回路24に入力する。オーディオ回路は、このデコードされたオーディオ信号をアナログ信号に変換してスピーカ241から出力する。また、オーディオ回路24は、マイク240から入力された音声信号をデジタル信号に変換して制御部20に入力する。制御部20は、このデジタルオーディオ信号を音声パケット化して無線LAN通信部25に入力する。無線LAN通信部25は、IEEE802.11に準拠した通信方式で無線通信を行う回路を有する。無線LAN通信部25は、制御部20から入力されたパケットを無線アクセスポイント13に向けて送信する。以上の機能により、ユーザがPTTスイッチ220を押しながらマイク240に向けて音声を発すると、この音声信号が、音声パケットに編集されてサーバ装置11に送信される。また、無線LAN通信部25は、無線アクセスポイント13を経由してサーバ装置11から受信したパケットを制御部20に入力する。
【0028】
端末装置14は、PTTスイッチ220とともにVOX回路242を有している。VOX回路242とは、マイク240の入力レベルとその持続時間に基づいてユーザの通話音声(音声信号)が入力されたか否かを判定し、通話音声が入力されたと判定された場合に装置をPTTスイッチ220がオンされた場合と同じ送信状態に切り換える回路である。端末装置14は、モード設定により、送信オン/オフの切り換えを、PTTスイッチ220のオンおよびVOX回路242の一方または両方に基づいて用いて行う。本実施形態の説明におけるPTTスイッチ220のオンは、VOX回路242による送信状態への切り換えを含む。
【0029】
図4は、サーバ装置11のブロック図である。サーバ装置11は、制御部30、記憶部31およびネットワーク通信部32を有している。記憶部31は、たとえばハードディスクやRAMなどで構成される。ネットワーク通信部32は、有線ネットワーク15との通信を制御する。制御部30は、端末装置14から送信されてきた音声信号のミキシングおよび転送を行う。記憶部31には、図5に示す端末テーブル311、および、図6に示すグループテーブル312、図7に示すセッションテーブル313、図8に示す送信端末テーブル314、送信端末数レジスタ315、および、規制フラグ316が設定される。送信端末数レジスタ315に記憶される値が、本発明の「同時受信数」に対応する。
【0030】
図5は、サーバ装置11の記憶部31に設けられる端末テーブル311を示す図である。端末テーブル311には、音声通信システムで使用される端末装置14が登録される。端末テーブル311へ登録可能な端末装置14の最大数(最大収容数)は、3000台である。各端末装置14は、各々ユニークに振られている端末番号で識別される。端末テーブル311には、端末番号ごとに、その端末装置14のアクティブフラグ、IPアドレス、および、接続中の無線アクセスポイント13のIPアドレスが記憶されている。アクティブフラグは、端末装置14の電源がオンされ通信可能であることを示すフラグである。
【0031】
図6は、グループテーブル312を示す図である。グループテーブル312には、複数の端末装置14が所属するグループが登録される。各グループは、各々ユニークに振られているグループ番号で識別される。グループテーブル312には、グループごとに、グループ番号、および、そのグループに所属する端末装置14の端末番号が記憶されている。
【0032】
図7はセッションテーブル(ミキシングテーブル)313を示す図である。セッションテーブル313は、サーバ装置11が通信セッションを管理するためのテーブルである。通信セッションとは、サーバ装置11が中継している複数の端末装置14間の通信である。セッションテーブル313は、複数の行を有しており、各行に1つの通信セッションの情報が記憶される。サーバ装置11は、端末装置14から音声信号(音声パケット100)を受信したとき、セッションテーブル313を参照してその音声信号がどの通信セッションのものかを判断する。
【0033】
サーバ装置11が、端末装置14から通信相手の端末装置14を呼び出す最初の音声パケット100(以下、呼出音声パケット100)を受信したとき、この呼出音声パケット100に基づく通信セッションがセッションテーブル313に登録される。
【0034】
セッションテーブル313には、各通信セッションについて、セッション番号、発呼端末番号、参加端末番号、および、保持時間タイマ(TS)の項目が設けられる。セッション番号は、この通信セッションを識別する番号である。発呼端末番号は、この通信セッションの呼出音声パケット100を送信した端末装置14の端末番号である。参加端末番号は、この通信セッションに参加している端末装置14の端末番号である。通信セッションに参加している端末装置14から音声信号が送信されてきた場合、サーバ装置11は、この音声信号を、参加端末番号に登録されている他の端末装置14に転送する。
【0035】
保持時間タイマは、通信セッションの無通信時間をカウントするタイマである。無通信とは、通信セッションに参加しているどの端末装置14からも音声パケット100が送信されてこない状態を言う。サーバ装置11は、無通信状態でも30秒間、通信セッションを維持する。サーバ装置11は、図11のセッションテーブル管理処理で、無通信時間が30秒以上になった通信セッションをセッションテーブル313から消去する。
維持する。
【0036】
図8は送信端末テーブル314、送信端末数レジスタ315および規制フラグ316を示す図である。送信端末テーブル314には、直近の20ms以内に音声パケット100をサーバ装置11宛に送信した端末装置14の端末番号が登録される。さらに送信端末テーブル314には、登録された端末番号のそれぞれに対応付けた送信継続フラグが記憶される。送信端末テーブル314による送信端末数の管理については、図9および図10のフローチャートの説明において詳述する。
【0037】
図9は、サーバ装置11が端末装置14から音声信号(音声パケット100)を受信した場合の処理動作を示すフローチャートである。サーバ装置11は、音声パケット100を受信すると以下の処理を実行する(S10)。サーバ装置11は、受信した音声パケット100を送信した端末装置14の端末番号を割り出し、この端末番号が送信端末テーブル314に登録されているか否かを判断する(S11)。端末番号が送信端末テーブル314に登録されていない場合(S11でNO)、サーバ装置11は、この端末装置14の端末番号を送信端末テーブルに登録し(S12)、送信端末数レジスタ315に1を加算する(S13)。端末番号の登録時、サーバ装置11は、対応する送信継続フラグをセットする。端末番号が既に送信端末テーブル314に登録されている場合(S11でYES)、サーバ装置11は、この端末装置14に対応付けられている送信継続フラグをセットする(S14)。
【0038】
S15では、サーバ装置11は、送信端末数レジスタ315を参照し、送信端末数が送信規制を開始する送信端末数(規制値)である2500に達しているかを判断する。送信端末数が2500に達している場合(S15でYES)、サーバ装置11は、規制フラグ316をセットする(S16)。送信端末数が規制値の2500に達していない場合(S15でNO)、サーバ装置11は、規制フラグ316をリセットする(S17)。
【0039】
S18では、サーバ装置11は、受信した音声パケット100の送り主の端末装置14が参加する通信セッションが、セッションテーブル313に登録されているか否かを判断する。音声パケット100の送り主の端末装置14が参加する通信セッションがセッションテーブル313に登録されていない場合(S18でNO)、サーバ装置11は、この端末装置14および通信相手の端末装置またはグループを参加端末とする通信セッションをセッションテーブル313に登録する(S19)。音声パケット100の送り主の端末装置14が参加する通信セッションが既にセッションテーブル313に登録されている場合(S18でYES)、サーバ装置11は、その通信セッションの保持時間タイマTSを、30秒にリセットする(S20)。
【0040】
こののち、サーバ装置11は、受信した音声信号を転送する。サーバ装置11は、規制フラグ316がセットしているか否か判断する(S21)。規制フラグがセットしている場合(S21でYES)、サーバ装置11は、音声パケット100を、規制フラグ101をセットして、通信相手の端末装置14に転送する(S22)。規制フラグがセットしていない場合(S21でNO)、サーバ装置11は、音声パケット100を、規制フラグ101をリセットして、通信相手の端末装置14に転送する(S23)。
【0041】
個別通信の場合、サーバ装置11は、S10で受信した音声信号を通信相手の端末装置14に転送する。グループ通信の場合、サーバ装置11は、今回S10で受信した音声信号だけでなく、グループの他の端末装置14から受信した音声信号を20ms間バッファし、バッファされた音声信号をミキシング転送する。
【0042】
図10は、送信端末テーブル314の管理処理を示すフローチャートである。この処理は、音声パケット100の送信間隔にあわせて、20ミリ秒毎に定期的に繰り返し実行される。サーバ装置11は、まず送信端末テーブル314の先頭の行を指定する(S31)。サーバ装置11は、指定した行の送信継続フラグがセットしているかを判断する(S32)。送信継続フラグがリセットしている場合(S32でNO)、サーバ装置11は、この行に記載されている端末装置14は音声信号の送信を終了したとしてこの行の登録を消去する(S33)。そして送信端末数レジスタ315から1を減算する(S34)。この減算ののち送信端末数を判断する(S35)。送信端末数が規制値である2500未満の場合(S35でYES)、規制フラグ316をリセットする(S36)。
【0043】
S32で、送信継続フラグがセットしていれば(S32でYES)、サーバ装置11は、この行に記載されている端末装置14は音声信号の送信を継続しているとしてS33-S36の処理をスキップする。サーバ装置11は、以上の処理を送信端末テーブル314の最終行になるまで順次行う(S37、S38)。以上の処理を送信端末テーブル314の最終行まで行うことで、送信端末テーブル314から、音声パケットを送信しなくなった端末装置14が削除される。
【0044】
サーバ装置11は、送信端末テーブル314に登録されている全ての端末装置14に対応する送信継続フラグをリセットして(S37)、処理を終了する。次の20msの間に、送信端末テーブル314に登録されている端末装置14から音声パケットが送信されてきたとき、サーバ装置11は、その端末装置14に対応する送信継続フラグをセットする(図9のS14参照)。このフラグのセットによって、端末装置14が音声パケットの送信を継続していることが記録される。20ms後に送信端末テーブル管理処理(図10)が再度実行されたとき、サーバ装置11は、送信継続フラグがセットされている端末装置14は音声パケットの送信を継続しているとして登録を残し、送信継続フラグがリセットされている端末装置14は音声パケットの送信を終了しているとして登録を消去する。
【0045】
図11はセッションテーブル313の管理処理を示すフローチャートである。この処理は、音声パケット100の送信間隔にあわせて、20ミリ秒毎に定期的に繰り返し実行される。サーバ装置11は、まずセッションテーブルの先頭行の通信セッションを指定する(S41)。サーバ装置11は、指定された通信セッションの保持時間タイマTSを1カウント(20ミリ秒分)減算し(S42)、この減算で保持時間タイマTSが0になったか否かを判断する(S43)。保持時間タイマTSが0になった場合(S43でYES)、サーバ装置11は、この通信セッションは終了したとして、この行の通信セッションを消去する(S44)。サーバ装置11は、以上の処理をセッションテーブル313の最終行になるまで順次行うことで(S45、S46)、セッションテーブル313から終了した通信セッションを消去する。
【0046】
図12は、端末装置14の受信処理を示すフローチャートである。この処理は、音声パケット100の送信間隔にあわせて、20ミリ秒毎に定期的に繰り返し実行される。端末装置14の制御部20は、まずこの20msの間にサーバ装置11から音声パケット100を受信したかを判断する(S51)。音声パケット100を受信していない場合(S51でNO)、制御部20は、送信規制フラグ2101をリセットして(S52)、処理を終了する。送信規制フラグ2101がリセットされているため、この端末装置14は、PTTスイッチ220が押されたとき、音声信号を送信する。
【0047】
音声パケット100を受信している場合(S51でYES)、制御部20は、受信した音声パケット100から音声信号を取り出し(S53),この音声信号をオーディオ回路24に出力する(S55)。制御部20は、受信した音声パケット100の規制フラグ101がセットされているかを判断する(S55)。規制フラグ101がセットされている場合(S55でYES)、制御部20は、送信規制フラグ2101をセットする(S56)。送信規制フラグ2101がセットされたため、この端末装置14は、PTTスイッチ220が押されても音声信号を送信しなくなる。音声パケット100の規制フラグ101がセットされていなかった場合(S55でNO)、制御部20は、送信規制フラグ2101をリセットする(S52)。S52またはS55の処理ののち、制御部20は、処理を終了する。
【0048】
図13は、端末装置14でPTTスイッチ220が押されたときの動作を示すフローチャートである。PTTスイッチ220が押されると(S60)、制御部20は、送信規制フラグ2101がセットされているかを判断する(S61)。送信規制フラグ2101がセットされている場合(S61でYES)、制御部20は、「プププ」という規制音をスピーカ241から出力し(S62)、音声信号の送信は行わない。
【0049】
送信規制フラグ2101がセットされていない場合(S61でNO)、制御部20は、マイク240から入力された音声信号をサーバ装置11に送信する(S63)。音声信号は、制御部20によって、20msずつ音声パケット化され、無線LAN通信部25が、この音声パケット100をサーバ装置11に送信する。サーバ装置11は、PTTスイッチ220がオフされるまで(S64)、音声信号の送信を継続する。PTTスイッチ220がオンされている間に、S56の処理で送信規制フラグ2101がセットされても、音声信号の送信は継続される。PTTスイッチ220がオフされると(S54でYES)、制御部20は、音声信号の送信を終了する。
【0050】
端末装置14は、フルデュプレックスで通信しているため、グループ通信の場合(特に多人数が参加するグループ通信の場合)、ほぼ常時サーバ装置11から音声信号を受信している。このため、サーバ装置11が送信規制を開始して規制フラグ101がセットされた音声パケット100を送信してくると、端末装置14は、自装置からの送信ができない送信規制状態となる。
【0051】
一方、グループ通信に参加しておらず、通信を行っていない端末装置14は、サーバ装置11から音声パケット100を受信していないため、自装置の送信規制フラグ2101がセットされない。このため、通信を行っていない端末装置14は、新たな呼び出し、すなわち通信セッションの開始が可能である。
【0052】
この新たな呼び出しで呼び出された通信相手の端末装置14には、サーバ装置11から規制フラグ101がセットされた音声パケット100が送信される。したがって、この端末装置14は、この呼び出しに対する即座の応答はできない。しかし、呼び出した端末装置14が音声の送信を停止すると、通信相手の端末装置14に音声パケット100が送信されなくなるので、送信規制フラグ2101は即座に(20msで)リセットされる。これにより、通信相手の端末装置14は、呼び出した端末装置14に対する応答が可能になる。すなわち、相手の送信完了を待って、自装置の送信を開始するというシンプレックスの通信セッションは、サーバ装置11が送信規制を開始したのちも確保される。通信規制の規制値(2500)が、最大同時処理数(2700)よりも低い値に設定されているのは、このシンプレックス通信を確保するためである。シンプレックスの通信が、グループ通信であっても構わない。
【0053】
この実施形態では、無線LAN16を含むネットワーク17を介して通信する、いわゆる無線LANトランシーバシステムについて説明したが、本発明は、LTEネットワークを用いた音声通信システムへ適用することも可能である。その場合、図5に示した端末テーブル311の接続先APの欄は不要となる。
【0054】
サーバ装置11は、ネットワーク17を介して接続される端末装置14に加えて、VPNを介して接続される他拠点の端末装置、および、RoIPゲートウェイを介して接続される電話機の音声通信も中継可能である。これらの機器の通信を中継する場合、これらの機器から呼び出しがあり、または、音声信号が送信された場合、これらの機器も送信端末数としてカウントすればよい。
【0055】
この実施形態では、サーバ装置11の最大収容数を3000台、最大同時処理数を2700、規制値を2500としているが、それぞれの数値はこれに限定されない。この実施形態では、送信端末数が規制値に達したとき、規制フラグがオンされることとしているが、送信端末数が規制値を超えたとき、規制フラグがオンされるようにしてもよい。この実施形態では、音声信号のパケット化のサイズ、および、音声パケットの送信間隔を20msとしているが、これらの値は20msに限定されない。その他、本実施形態に記載された数値は、それらの趣旨から外れない範囲で自由に設定可能である。
【0056】
また、図9-13のフローチャートで例示した処理手順は、処理に支障のない範囲で順不同である。
【0057】
「課題を解決するための手段」の欄に記載した音声通信システムおよび音声通信方法は、以下の態様の付加または変形が可能である。
【0058】
端末装置は、音声信号を前記サーバ装置へ送信しているときも、並行して、サーバ装置から送信されてくる音声信号を受信するフルデュプレックス通信を行う。
【0059】
サーバ装置および端末装置は、前記音声信号を所定時間(例えば20ms)ずつに分割して順次音声パケットとして送信する。サーバ装置は、同時受信数を前記所定時間ごとにカウントし、同時受信数が所定の規制値に達した場合、音声パケットに送信規制情報を付して送信する。端末装置は、送信規制情報が付された音声パケットを受信した場合、所定時間だけ送信規制を行う。
【0060】
端末装置は、音声信号の送信中に送信規制情報が付された他の端末装置からの音声信号を受信しても、送信終了まで音声信号の送信を継続する。
【0061】
サーバ装置における同時受信数が所定の規制値に達している場合に、第1の端末装置および第2の端末装置(グループ通信でもよい)が、第1の端末装置の音声信号の送信が終了したのち、第2の端末装置が音声信号の送信を開始し、第2の端末装置の音声信号の送信が終了したのち、第1の端末装置が音声信号の送信を開始する交互通信(シンプレックス通信)を行ってもよい。
【0062】
「課題を解決するための手段」の欄に記載した音声通信プログラムは、以下の態様の付加または変形が可能である。
【0063】
第1手段が、所定時間ずつに分割された音声信号を含む音声パケットを順次受信し、第2手段が、同時受信数を所定時間ごとにカウントする。
【符号の説明】
【0064】
11 サーバ装置
13 無線アクセスポイント
14 端末装置
16 無線LAN
17 ネットワーク
100 音声パケット
315 送信端末数レジスタ
101、316 規制フラグ
2101 送信規制フラグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13