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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20230817BHJP
   F28D 15/04 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
F28D15/02 Z
F28D15/04 B
F28D15/04 D
F28D15/04 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021177180
(22)【出願日】2021-10-29
(65)【公開番号】P2023066530
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000151346
【氏名又は名称】株式会社タツノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大滝 勉
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-063895(JP,A)
【文献】登録実用新案第3124118(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1729238(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/02
F28D 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラインが充填された容器内に浸漬されて内蔵され、
中央の領域と外殻を含む領域とで熱伝導を行う機能を有する熱伝導部材を有し、
当該熱伝導部材は熱伝導性を有する材料で構成され、内部に伝熱流体が内蔵されており、毛細管現象を生じる領域と中空の領域を有しており、毛細管現象を生じる領域は液相の伝熱流体を外殻を含む領域から中央の領域まで移動する機能を有しており、中空の領域は中央の領域で気化して体積が膨張した気相の伝熱流体を外殻を含む領域まで通過させる機能を有していることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
熱伝導部材の前記毛細管現象を生じる領域は複数の溝で構成されている請求項1の熱交換器。
【請求項3】
前記熱伝導部材は熱伝導性を有する材料に形成された貫通孔と、当該貫通孔内部に相通された中実の線状部材を有し、前記貫通孔の内壁と中実の線状部材の間に形成された隙間により前記毛細管現象を生じる領域が構成されている請求項1の熱交換器。
【請求項4】
前記毛細管現象を生じる領域は、ウィック又はメッシュで構成されている請求項1の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水素を冷却する技術に関し、特に、燃料電池を搭載した車両(燃料電池自動車:FCV)等に水素を充填する施設である水素ステーションにおける水素充填装置で、水素を冷却するのに好適に用いられる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、燃料電池を搭載した車両(燃料電池自動車:FCV)の開発・普及に伴い、水素ステーションを増加することが重要視されている。
水素ステーションには水素充填装置が設けられており、水素充填装置により、水素ステーションに到着した前記車両の車載タンク内に所定の圧力で水素を充填する。その際に、水素の充填を安全且つ効率的に行うため、水素充填装置から供給される水素の温度が低温(例えば、-35℃)となる様に冷却される。
【0003】
しかし、従来の水素冷却システムでは、1次側の冷却設備と2次側の冷却設備を具備しているので、冷却システム全体が大きくなり、レイアウトの自由度が制限される等の問題を有している。
また、充填時に常に水素が所定の温度(例えば-35℃)まで冷却されるようにするためには、少なくとも2次側の冷却設備(例えば循環ポンプ)を連続して(例えば、いわゆる「24時間体制」で)運転する必要があり、水素冷却システムが消費するエネルギーが多大であるという問題も存在する。
さらに、被冷却物である水素を所定の温度(例えば-35℃)に冷却し続けることが困難である。
【0004】
これに対して出願人は、断熱性に優れ且つブラインを充填した容器と、当該容器に内蔵されてブラインと水素で熱交換する水素用熱交換器と、ブラインを冷却する冷凍機を含み、当該冷凍機は、凝固したブラインが溶融する際に吸収する溶融熱で水素を冷却し以て冷却された水素温度を一定にするため、容器に充填されるブラインが冷媒により凝固される様に冷媒を冷却する機能を有する水素冷却システムを提供した(特許文献1参照)。この従来技術(特許文献1)によれば、上述した問題を解決することが出来る。
しかし、発明者による更なる研究の結果、水素用熱交換器はブラインが充填された容器内に浸漬されて内蔵されるため、水素用熱交換器の外殻近傍を流れる水素はブラインと熱交換し易いが、水素用熱交換器の中央領域を流れる水素はブラインと熱交換することが困難である。そのため、水素用熱交換器の外殻近傍の領域は低温に維持されるが、中央領域は(外殻近傍の領域に比較して)高温となり、両者間に温度差或いは温度勾配が存在して、水素の冷却効率が低下するという問題が存在することが判明した。
係る問題は上述した従来技術(特許文献1)について判明したものであり、解消手段については提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6860861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、ブラインが充填された容器内に浸漬された水素用熱交換器の外殻を含む領域と、当該水素用熱交換器の中央の領域の温度差を解消することが出来る熱交換器(例えば水素用熱交換器)の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の熱交換器(2:例えば水素用熱交換器)は、ブラインが充填された容器(1)内(でブライン)に浸漬されて内蔵され、
中央の領域と外殻を含む領域(外殻近傍の領域)とで熱伝導を行う機能を有する熱伝導部材(4:ヒートパイプ)を有し、
当該熱伝導部材(4)は熱伝導性を有する材料で(例えば管状に)構成され、内部に伝熱流体(例えば純水)が内蔵されており、毛細管現象を生じる領域(4A)と中空の領域(4B)を有しており、毛細管現象を生じる領域(4A)は液相の伝熱流体を外殻を含む領域(外殻近傍)から中央の領域まで移動する機能を有しており、中空の領域(4B)は中央の領域で気化して体積が膨張した気相の伝熱流体を外殻を含む領域(外殻近傍)まで通過させる機能を有していることを特徴としている。
【0008】
本発明において、熱伝導部材(4-1)の前記毛細管現象を生じる領域(4A-1)は複数の溝(4E)で構成されているのが好ましい。
或いは本発明において、前記熱伝導部材(4-2)は熱伝導性を有する材料に形成された貫通孔(4I)と、当該貫通孔(4I)内部に相通された中実の線状部材(4J)を有し、前記貫通孔(4I)の内壁と中実の線状部材(4J)の間に形成された隙間(4K、4L)により前記毛細管現象を生じる領域(4A-2)が構成されているのが好ましい。
さらに本発明において、前記毛細管現象を生じる領域(4A)は、ウィック或いはメッシュで構成されているのが好ましい。
【0009】
本発明は、
断熱性に優れ且つブラインを充填した容器(1)と、当該容器(1)に内蔵されてブラインと水素で熱交換する水素用熱交換器(2)と、ブラインを冷却する冷凍機(11)を含み、
冷凍機(11)は、凝固したブラインが溶融する際に吸収する溶融熱で水素を冷却し以て冷却された水素温度を一定にするため、容器(1)に充填されるブラインが冷媒により凝固される様に冷媒を冷却する機能を有し、
冷凍機(11)で冷却された冷媒は容器(1)内のブラインを凝固するため容器内(1)に配置された冷媒循環配管(13A)を流れる水素冷却システム(100)の水素用熱交換器(2)として用いられることが好ましい。
その場合、前記水素用熱交換器(2)は複数の板状部材を積層して構成され、板状部材には水素通路(3)が形成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
上述の構成を具備する本発明の熱交換器(2:例えば水素用熱交換器)によれば、中央の領域と外殻を含む領域(外殻近傍)とで熱伝導を行う機能を有する熱伝導部材(4:ヒートパイプ)を有しているので、中央の領域と外殻を含む領域(外殻近傍)で温度差が存在すれば、熱伝導部材(4)により熱量が高温部から低温部に伝達されて、直ちに均一の温度となる。
そのため、熱交換器(2)全体が均一の温度となり、ブラインと冷却するべき流体(水素)との熱交換が効率的に行われる。
【0011】
熱交換器(2)は、ブラインが充填された容器(1)内のブラインに浸漬されて内蔵されるので、ブラインに近接している外殻を含む領域は低温となり、ブラインから離隔している中央部は高温となる傾向が存在する。
本発明によれば、高温の中央部で加熱され気化した伝熱流体は、伝導部材中(4)の中空部(4B)を通過して低温の外殻を含む領域(外殻近傍)に移動し、外殻近傍で冷却されて凝縮し、潜熱である気化熱を外殻近傍に投入して液相の伝熱流体となる。気化熱を投入することにより、外殻近傍は昇温する。
液相の伝熱流体は、毛細管現象を生じる領域(4A)内を移動して、高温の中央部に供給され、潜熱である気化熱を奪って気化し、気相の伝熱流体となる。気化熱を奪うことにより、高温の中央部は降温する。
これにより、伝熱流体は伝導部材(4)内を高温の中央部と低温の外殻を含む領域との間で循環し、高温の中央部の熱量を低温の外殻を含む領域に投入し続ける。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る熱交換器を用いた水素冷却システム及び水素充填装置のブロック図である。
図2図1の水素冷却システムに用いられる熱交換装置のブロック図である。
図3】実施形態に係る水素用熱交換器の説明図である。
図4図3の水素用熱交換器における水素通路とヒートチューブを示す説明図である。
図5】実施形態におけるヒートチューブの説明図である。
図6図5のヒートチューブの一例を示す説明断面図である。
図7図6とは異なるヒートチューブの説明断面図である。
図8図6図7とは異なるヒートチューブの説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図示の実施形態では水素冷却について説明している。そして、熱交換器は水素用熱交換器として説明する。
最初に図1図2を参照して、本発明が適用される水素冷却システムについて説明する。
図1において、全体を符号100で示す水素冷却システムは、水素充填装置本体40に設けられた熱交換装置10と、ブライン(水素冷却用冷媒)を冷却する冷凍機11を有している。ここで、熱交換装置10は、真空断熱容器1(図2参照)と、水素用熱交換器2(水素プレクーラ:図2参照)を含んで構成されている。水素用熱交換器2は真空断熱容器1に内蔵されており、水素冷却用冷媒(ブライン)と水素で熱交換せしめている。なお図1において、符号41は水素充填ノズルを示す。
真空断熱容器1は断熱性に優れた材料で構成され、内部にブラインが充填されており、蓄冷槽として機能する。
【0014】
熱交換装置10の真空断熱容器1と冷凍機11は、冷媒循環配管13により接続される。冷凍機11で冷却された冷媒、例えばフロン或いは二酸化炭素(CO)は、冷媒循環配管13を介して、直接、熱交換装置10の真空断熱容器1に供給され、冷媒が保有する冷熱により、真空断熱容器1内に充填されたブラインを冷却する。
図1において、冷凍機11は冷却配管14によりクーリングタワー12に連通しており、冷凍機11で発生した熱を排出している。冷凍機11を空冷式として構成した場合には、クーリングタワー12及び冷却配管14を省略することが出来る。
図1に示す実施形態の水素冷却システム100では、従来技術に係る水素冷却システムにおけるブライン循環系統(2次側冷媒の循環系統)が省略されている。
【0015】
次に、熱交換装置10について説明する。
図2で示す様に、熱交換装置10の真空断熱容器1には水素用熱交換器2(水素プレクーラ)が内蔵され、ブラインBに浸漬されている。冷却するべき水素は、水素プレクーラ2(水素用熱交換器)の周囲に充填されたブラインBと熱交換を行い、ブラインBが保有する冷熱により冷却される。
冷凍機11で冷却された冷媒(ブライン冷却用冷媒:フロン或いは液化CO)が熱交換装置10の真空断熱容器1内に直接供給され、水素プレクーラ2の周囲に充填されたブラインBと熱交換を行うことにより、当該ブラインBが冷却される。
ここで、冷凍機11で冷却されたブライン冷却用冷媒は、水素充填時或いは真空断熱容器1内に充填されているブラインBが完全に融解した場合に、真空断熱容器1内に供給される。そのため、冷凍機11は断続的に冷媒を冷却すれば良く、従来技術の様に、冷凍機を24時間連続して運転する必要が無い。
発明者の実験では、空冷冷凍機11を数分間程度運転すれば、冷凍機11で冷却された冷媒(フロン或いは液化CO)で真空断熱容器1内のブラインBを-40℃に冷却することが出来た。換言すれば、従来技術に比較して、冷凍機11(図1)の作動時間を大幅に短縮することができた。
【0016】
水素を冷却するブラインBは、熱交換装置10の真空断熱容器1内に、固相或いは固液二相の状態で充填されている。真空断熱容器1内のブラインBが全て融解しない限り(完全に液相の状態にならない限り)、ブラインBの温度は一定であり、一定温度のブラインBにより水素が一定温度に冷却される。
ここでブラインBの融解温度は、ブラインBの種類、成分毎に一定であり、ブラインBの成分調整により適宜調節することが可能である。したがって、水素を冷却するべき温度に対応して、ブラインBを成分調整すれば、真空断熱容器1内のブラインBを一定の所定温度に保持することが出来る。例えば、供給するべき水素の温度を-35℃とする場合は、ブラインBの融解温度が例えば-40℃となる様に、ブラインBの成分調整を行う。ブラインBの融解温度を-40℃に成分調整すれば、真空断熱容器1内のブラインBの温度は常に-40℃に保持される。
【0017】
図2において、熱交換装置10は真空断熱容器1を有しており、真空断熱容器1の内壁面に螺旋状の冷媒循環配管13Aが配置されている。明確には図示されていないが、冷媒循環配管13Aは、熱交換装置10の外部においては冷媒循環配管13(図1)として冷凍機11に連通している。冷媒循環配管13A内には、冷凍機11で冷却されたブライン冷却用冷媒が流れている。冷凍機11で冷却されたブライン冷却用冷媒は、矢印IRで示す様に真空断熱容器1に供給され、ブラインBを冷却して、矢印ORで示す様に真空断熱容器1から排出されて冷凍機11に戻る。
真空断熱容器1内に充填されたブラインBは、水素の冷却するべき温度(例えば-35℃)に対応した融解温度(例えば-40℃)となる様に成分調整されている。そして、ブラインBを充填した真空断熱容器1は蓄冷槽として作用する。
【0018】
真空断熱容器1に充填されたブラインB内には、水素用熱交換器2(水素プレクーラ)が浸漬されており、図2では、真空断熱容器1及び水素用熱交換器2は円柱形状で表現されている。しかし、真空断熱容器1、水素用熱交換器2を円柱形状以外の形状に構成しても良い。例えば、図3図4で示す真空断熱容器1、水素用熱交換器2は、角柱形状に表示されている。
図2において、水素用熱交換器2内を通過する水素の顕熱とブラインBの潜熱(溶解熱)とが熱交換され、水素が所定の温度(例えば-35℃)に冷却される。水素を冷却する際に、水素は矢印IHで示す様に水素充填装置本体40側(図1)から水素用熱交換器2内に供給される。冷却された水素は、矢印OHで示す様に水素用熱交換器2から出て水素充填装置本体40に戻る。そして、充填ノズル41(図1)を介して、図示しない燃料電池自動車の車載タンク内に充填される。
真空断熱容器1内にブラインBを充填し、ブラインBの中に水素用熱交換器2(水素プレクーラ)を浸漬することにより、ブラインB及び水素用熱交換器2は外部から断熱され、外部からの熱により真空断熱容器1内の温度が上昇することが防止される。
【0019】
熱交換装置10或いは真空断熱容器1は蓄冷槽として作用し、ブラインBの溶解潜熱を蓄冷する。そしてブラインBの溶解潜熱は水素の顕熱に比較して遥かに熱量が大きいので、冷凍に関する機器(冷凍機11、冷媒循環配管13、クーリングタワー12等)を小型化して、設置スペースを小さくしても、水素を所定の温度まで確実に冷却することが出来る。
上述した様に、熱交換装置10のブラインBが完全に融解して液相となるまで、ブラインBの温度は一定温度すなわち融解温度(例えば-40℃)に保たれる。したがって、ブラインBの温度管理が簡単で、且つ、ブラインBの定温性(例えば-40℃)も向上する。
そして、熱交換装置10はブラインBの溶解潜熱を蓄熱する蓄冷槽として作用するため、真空断熱容器1内のブラインBが完全に融解した場合や、水素充填時に冷却が必要な場合でなければ、冷凍機11を作動させる必要はなく、冷凍機11の作動エネルギーを節約することが出来る。
【0020】
図示の実施形態で用いられる水素用熱交換器2について、図3図4を参照してさらに説明する。
上述した様に、水素用熱交換器2の外殻近傍の領域はブラインBと接触する近傍であるため、低温のブラインと熱交換され易く、冷却され易い。一方、水素用熱交換器2の中央の領域は、ブラインBと接触している外殻から離隔しているため、低温のブラインと熱交換され難く、冷却され難い。そのため、水素用熱交換器2の外殻近傍の領域と中央の領域にかけて温度差、温度勾配が生じる。
水素用熱交換器2の外殻近傍の領域と中央の領域の温度の不均一を解消して、温度差、温度勾配を解消するため、図示の実施形態に係る水素用熱交換器2では、水素用熱交換器2の外殻近傍の領域と水素用熱交換器2の中央の領域をヒートパイプ4(熱伝導部材)で接続している。
中央の領域と外殻を含む領域(外殻近傍の領域)とで熱伝導を行う機能を有するヒートパイプ4で接続することにより、水素用熱交換器2の中央の領域の熱量を、水素用熱交換器2の外殻近傍の領域に伝達して、温度差、温度勾配を解消することが出来る。
【0021】
図3において、真空断熱容器1内にブラインBが充填されており、ブラインBの中に水素用熱交換器2が浸漬されている。真空断熱容器1の内壁面近傍には冷媒循環配管13Aが螺旋状(角柱形状の真空断熱容器1の内壁面に沿う様な角柱状の螺旋形状)に配置されており、冷媒循環配管13A内にはブライン冷却用冷媒(例えばフロン或いは液化CO)が流れている。図示の簡略化のため、図3では、螺旋状の冷媒循環配管13Aは真空断熱容器1の右側の内壁面に沿った部分のみを示している。
図3において、冷媒循環配管13Aは真空断熱容器1の内壁面に近接しており、水素用熱交換器2の外側面とは隔離する様に配置されている。冷媒循環配管13Aを流れる冷媒によりブラインBのみを冷却し、水素用熱交換器2内を流れる水素が冷媒循環配管13Aを流れる冷媒と熱交換をしない様にするためである。
【0022】
図3において、水素用熱交換器2は、図示しない複数の板状部材を上下方向に積層して構成されており、水素用熱交換器2のそれぞれの板状部材には水素通路3が形成されている。
図4を参照して後述するが、水素通路3は、水素用熱交換器2の上下方向(図3の上下方向、図4では紙面に垂直な方向)に形成された上下方向水素通路3A(図4参照:図3では図示せず)と、水平方向(図3では紙面に垂直な方向、図4では左右方向)に形成された水平方向水素通路3Bを含み、上下方向水素通路3Aと水平方向水素通路3Bは接続されている。
図3において、水平方向水素通路3Bは、同一高さ位置において複数本(例えば12本、図4参照)が配置され、水素用熱交換器2の高さ方向全体に亘って(水素用熱交換器2の上方内壁面の近傍から水素用熱交換器2の下方内壁面の近傍に亘って)配置されている。
図3では、図示の煩雑を回避するため、同一高さ位置において複数本(例えば12本、図4参照)配置される水平方向水素通路3Bの一部のみを示す。すなわち、同一の高さ位置において、水平方向水素通路3Bは1本或いは2本表示されている。なお、水平方向水素通路3Bが2本表示されているのは、水素用熱交換器2の最上方高さ位置及び最下方高さ位置である。
図3では明確には示されないが、それぞれの水平方向水素通路3Bは、図4で示す様に、水素用熱交換器2の一方の側面の内壁面近傍から対面する他方の内壁面近傍まで延設されている。図3では、水平方向水素通路3Bは、水素用熱交換器2の一方の側面の内壁面近傍に位置する(水平方向水素通路3Bの)頭部のみが表示されている。
【0023】
図3において、水素用熱交換器2の中央の領域と外殻を含む領域(外殻近傍の領域)とを接続するヒートパイプ4(熱伝導部材)が設けられている。図3には明確には示されないが、ヒートパイプ4は水素用熱交換器2の一方の側面の内壁面近傍から対面する他方の内壁面近傍まで延設されている。ヒートパイプ4の延設状態についての詳細は、図4に示されている。
そして、ヒートパイプ4は、同一高さ位置において複数本(図4では11本のヒートパイプ4が表示)が配置され、水素用熱交換器2の高さ方向全体に亘って設けられている。ヒートパイプ4の延設される方向は、上述した水平方向水素通路3Bの方向と直交しており、ヒートパイプ4と水平方向水素通路3Bは高さ方向位置が異なっている(図4を参照して後述)。
上述した様に、ヒートパイプ4は、水素用熱交換器2の中央の領域と外殻を含む領域(外殻近傍)とで熱伝導を行う機能を有しており、その機能を有効に発揮するためヒートパイプ4は熱伝導性を有する材料で構成されている。ヒートパイプ4の具体的な構成は、図5図8を参照して後述する。
【0024】
図3の水素用熱交換器2は、水素通路3及びヒートパイプ4が複数層に積層された態様で構成されている。図4は係る積層された構造の1層を示す。
上述した様に、水素通路3は、上下方向水素通路3A(3A1~3A4)と水平方向水素通路3B(3B、3BA、3BB)により構成されている。図4で示す様に、単一の層(図3における同一の高さ位置)において、水平方向水素通路3Bは、複数本(例えば12本)が配置されている。
水素用熱交換器2の高さ方向(図4で紙面に垂直な方向)の全域に亘って(図3の水素用熱交換器2の上方内壁面の近傍から水素用熱交換器2の下方内壁面の近傍に亘って)、水平方向水素通路3Bが配置されている。
それぞれの水平方向水素通路3Bは、水素用熱交換器2の一側面の内壁面(図4の右側の内壁面)近傍に配置された連結用水平方向水素通路3BAとの接続部から、対面する他方の内壁面(図4の左側の内壁面)近傍に配置された連結用水平方向水素通路3BBとの接続部まで延設している。ここで、水素は、図4の右側から左側に向かって、矢印F1方向に流れる。
【0025】
図4において、上下方向水素通路3A(3A1~3A4)は紙面に垂直な方向に延在しており、水素用熱交換器2の上下方向に形成された水素通路である。上下方向水素通路3A1~3A4は、図4において、水素用熱交換器2の内壁面近傍の四隅に設けられている。
上下水道水素通路3A1、3A2は図4の右側領域に配置され、水素供給側の通路であり、その上流側は水素充填装置40本体(図1)と連通する。一方、上下水道水素通路3A3、3A4は図4の左側領域に配置され、水素戻り側の通路であり、その下流側は水素充填装置40本体(図1)と連通する。そして上下方向水素通路3A(3A1~3A4)は、水素用熱交換器2の高さ方向(図4の紙面に垂直な方向)の全体に亘って連続して延設されている。
供給側上下方向水素通路3A1、3A2は連結用水平方向水素通路3BAにより連通し、戻り側上下方向水素通路3A3、3A4は連結用水平方向水素通路3BBにより連通している。連結用水平方向水素通路3BA、3BBは、積層構造の各層毎に設けられており、図4で示す様に、水素用熱交換器2の同一高さ位置における水平方向水素通路3Bと連通している。
すなわち、上下方向水素通路3A(3A1~3A4)は連結用水平方向水素通路3BA、3BBと連通し、連結用水平方向水素通路3BA、3BBは水平方向水素通路3Bと連通している。
【0026】
図4において、水素充填装置40本体側(図1)から供給される水素は、図示しない水素供給配管を流れ、水素用熱交換器2において供給側の上下方向水素通路3A1、3A2に供給される。そして、連結用水平方向水素通路3BA、水平方向水素通路3B、連結用水平方向水素通路3BBを流れて冷却され、冷却された水素は戻り側の上下方向水素通路3A3、3A4から図示しない水素戻り配管を介して、水素充填装置40に戻る。そして充填ノズル41(図1)を介して図示しないFCVに供給される。
水素用熱交換器2の水素通路3A(3A1~3A4)、3B、3BA、3BBを流れる水素は、水素用熱交換器2の周囲に充填された図示しないブラインB(図3参照)と熱交換をして、所定の温度(例えば-35℃)まで冷却される。
【0027】
図4において、ヒートパイプ4(熱伝導部材)は、図4で示す単一の層(水素用熱交換器2の同一高さ位置において)複数本(例えば11本)が配置されている。それぞれのヒートパイプ4は、水素用熱交換器2の高さ方向全体(図4で紙面に垂直な方向の全域:水素用熱交換器2の上方内壁面の近傍から水素用熱交換器2の下方内壁面の近傍まで)に亘って配置されている。
それぞれのヒートパイプ4は、水素用熱交換器2の一方の側面の内壁面(図4で上側の内壁面)近傍から対面する他方の内壁面(図4で下側の内壁面)近傍まで延設されている。そして、ヒートパイプ4が延設される方向は、水平方向水素通路3Bが延設される方向と直交している。
また、ヒートパイプ4が配置される水素用熱交換器2の高さ方向位置は、水平方向水素通路3Bが配置される高さ方向位置とは異なっており、水平方向水素通路3Bとヒートパイプ4は上下方向位置において交互に配置されている。
図示の簡略化のため、図4において、右端に配置される2本のヒートパイプ4は水平方向水素通路3Bの上側に配置されているものが示されており、その他のヒートパイプ4は水平方向水素通路3Bより下側の高さ位置に配置されているものを表示している。
【0028】
図4において、ヒートパイプ4の両端部近傍が配置される水素用熱交換器2の両側面の内壁面近傍の領域E1、E2(一点鎖線で示す領域)は、図示しないブライン(図3)と接触している外殻と近いため、その近傍の水素通路3(3A、3B)を流れる水素は低温のブラインBと熱交換され易く、冷却され易い。一方、ヒートパイプ4の中央部近傍が配置される近傍の水素用熱交換器2の中央の領域(一点鎖線Cで示す領域)は、ブラインBと接触している外殻から離隔しているため、低温のブラインBと熱交換され難く、冷却され難い。
図示の実施形態では、水素用熱交換器2の両側面の内壁面近傍の領域E1、E2(外殻近傍の領域)と水素用熱交換器2の中央の領域Cは、熱伝導の機能を有するヒートパイプ4が延在しているため、ヒートパイプ4を介して、水素用熱交換器2の中央の領域Cの熱量を、水素用熱交換器2の両側面の内壁面近傍の領域E1、E2(外殻近傍の領域)に伝達することが出来る。
【0029】
上述した様な熱伝導の機能を有するヒートパイプ4は、熱伝導性を有する材料で管状に構成され、内部に伝熱流体(例えば純水)が内蔵されており、毛細管現象を生じる領域4A(図5図8参照、図4では図示しない)と、中空の領域4B(図5図8参照、図4では図示しない)を有している。ヒートパイプ4の具体的な構成、作用は、図5図8を参照して後述する。
図4において、水素用熱交換器2の一方の側面(図4で上方の側面)の近傍、及び対面する他方の側面(図4で下方の側面)の近傍であって、真空断熱容器1の内壁面近傍には、ブライン冷却用冷媒の循環配管13Aが配置されている。矢印IRは冷凍機11(図1図2)からブライン冷却用冷媒が供給される方向を示し、矢印ORはブライン冷却用冷媒が冷凍機11へ戻る方向を示す。
【0030】
図5及び図5の断面A-Aを示す図6を参照して、ヒートパイプ4における熱伝達を説明する。
図5において、ヒートパイプ4における冷却部41(低温部)は、ヒートパイプ4を配置した際に水素用熱交換器2の外殻近傍に位置する領域である。冷却部41(低温部)に存在する(ヒートパイプ4内の)伝熱流体は、熱交換され易く、冷却され易い部分であり、低温のブラインにより冷却されている。冷却部41は図4に示されるヒートパイプ4の両端部に存在する。図5ではヒートパイプ4の左側の冷却部のみを示している。
一方、ヒートパイプ4における加熱部42(高温部)は、ヒートパイプ4を配置した際に水素用熱交換器2の中央に位置する部分である。加熱部42(高温部)に存在する伝熱流体は低温のブラインとは熱交換され難く、冷却され難い領域であるため、高温である。加熱部42は図4で示すヒートパイプ4の中央部に存在する。
【0031】
図5図6において、ヒートパイプ4は、熱伝導性の良い材料製の中空管で構成されており、当該中空管の内部には適量の伝熱流体(伝熱用の流体:例えば純水)が充填(内蔵)されている。ヒートパイプ4は、毛細管現象を生じる領域4A(図6)と中空の領域4B(図6)を有している。
毛細管現象を生じる領域4Aは充填された液相の伝熱流体(例えば純水)を、毛細管現象により、ヒートパイプ4の冷却部41が位置する領域(水素用熱交換器2の外殻近傍の領域)からヒートパイプ4の加熱部42が位置する領域(水素用熱交換器2の中央の領域)まで移動する機能を有している。
中空の領域4Bは、毛細管現象を生じる領域4Aにより水素用熱交換器2の中央の領域に移動した液相の伝熱流体が、中央の領域で気化して気相の伝熱流体となり、体積が膨張した際に、当該気相の伝熱流体を外殻近傍の領域まで通過させる機能を有している。
ヒートパイプ4を構成する熱伝導性の良い材料製の中空管は曲げ扁平加工が可能な特性を備えており、図5に示す様に曲がり部4Mで折り曲げることが可能であり、以て、ヒートパイプ4の配策の自由度が確保されている。
【0032】
図6において、ヒートパイプ4の管内の半径方向外方の領域にウィックが断面円環形状に配置されており、毛細管現象を生じる領域4Aを構成している。毛細管現象を生じる領域4Aは液相の熱伝導流体、すなわち液体が移動する部分である。そのため、毛細管現象を生じる領域4Aは、本明細書においては液体移動部4Aと記載される場合がある。
毛細管現象を生じる領域4A(液体移動部)の半径方向内方の領域は中空であり、中空の領域4Bを構成している。中空の領域4Bは気相の熱伝導流体、すなわち期待が移動する部分である。そのため、本明細書では、中空の領域4Bを気体移動部と記載する場合がある。
【0033】
図5図6において、ヒートパイプ4の冷却部41で凝縮した液相の伝熱流体(例えば純水)は毛管現象により液体移動部4A(毛細管現象を生じる領域)内をヒートパイプ4の加熱部42側に移動する。加熱部42に到達した液相の伝熱流体は、加熱部42で加熱されて気化熱を吸収して気化し、気相の伝熱流体(例えば水蒸気)に状態変化する。図5において、加熱部42における気化熱の吸収を矢印Xで示す。気化して体積が増大した気相の伝熱流体は、気体移動部4B(中空の領域)を通過して、直ちに冷却部41に到達し、気化熱を放出して凝縮し、液相の伝熱流体となる。冷却部41における気化熱の放出を矢印Yで示す。
ここで、ウィックが断面円環形状の中空管形状に配置されている液体移動部4Aには液相の伝熱流体が存在し、気相の伝熱流体は液体移動部4Aを流過せず、(気相の伝熱流体の)全量が気体移動部4Bを流れる。
これにより、伝熱流体はヒートパイプ4内を加熱部42(水素用熱交換器2の高温の中央部)と冷却部41(外殻近傍の低温の領域)との間で循環し、加熱部41における熱が冷却部42に伝達され、その結果、水素用熱交換器2の中央の領域と外殻近傍の領域の温度の不均一が解消され、温度差或いは温度勾配が解消される。そして、水素用熱交換器2の全体が均一の温度となり、ブラインと冷却するべき流体(水素)との熱交換が効率的に行われる。
なお、ヒートパイプ4の管内の毛細管現象を生じる領域4Aには、上述したウィックに代えてメッシュやその他の毛細管現象を生じさせる素材を配置しても良い。
【0034】
ここで、図6で示す様に、ヒートパイプ4の管内でウィックやメッシュの様な毛細管現象を生じさせる構造を断面円環形状の中空管形状に配置することは技術的に難しく、そのためヒートパイプ4の製造コストが高騰してしまう恐れがある。
そのため、図示の実施形態では、ウィックを断面円環形状の中空管形状に配置すること(図5図6で示す構造)に代えて、図7図8で示す様な構造を採用することが可能である。
図7図8で示す構造では、2枚の断面矩形状の板状部材(例えば銅製)により、ヒートパイプを構成する。
図7で示すヒートパイプ4-1は、2枚の板状部材4C、4Dを有しており、一方(図7の下側)の板状部材4Cには微細な溝4Eが複数形成されており、複数の微細な溝4Eは毛細管現象を生じる領域4A-1を構成している。他方の板状部材4D(図7の上側)には、例えば断面半円形の中空部4F(中空の領域4B-1、図6の中空の領域4Bに相当)が形成されている。
そして、板状部材4Cの溝4Eを形成した側と、板状部材4Dの中空部4Fを形成した側とを接合して、ヒートパイプ4-1が構成されている。
【0035】
図7において、板状部材4Cの微細な溝4Eで毛細管現象を生じる領域4A-1が構成され、ヒートパイプ4-1の冷却部(図5参照)で凝縮した液相伝熱流体は、毛細管現象により微細な溝4E内を移動してヒートパイプ4-1の加熱部(図5参照)側に移動する。
断面半円形の中空部4Fは気相の伝熱流体が通過する部分を構成するので、加熱部で気化して膨張した気相伝熱流体は中空部4Fを流れ、ヒートパイプ4-1の冷却部に到達する。
そして、図7のヒートパイプ4-1により、図5図6のヒートパイプ4と同様に、ヒートパイプ4-1における加熱部の熱が冷却部に伝達され、水素熱交換器2の中央の領域と外殻近傍の領域の温度の不均一が解消され、温度差或いは温度勾配が解消される。
【0036】
図8で示すヒートパイプ4-2では、2枚の板状部材4G、4Hのうち一方(図8の下側)の板状部材4Gには加工は施されておらず、他方(図8の上側)の板状部材4Hには、例えば断面半円形の中空部4Iが形成されており、中空部4Iには断面円形の線状中実材4Jが中空部4Iと平行に延在する様に相通されている。
線状中実材4Jと中空部4Iの天井部(図8で中空部4Iの上方内壁部)との間には微細な隙間4Kが形成されており、或いは、加工されていない板状部材4Gの上面(板状部材4Hとの境界)と線状中実材4Jとの間にも微細な隙間4Lが形成されている。
線状中実材4Jと中空部4Iの天井部との間に形成された微細な隙間4K或いは加工されていない板状部材4Gの上面(境界)と線状中実材4Jとの間に形成された微細な隙間4Lは、毛細管現象を生じる領域4A-2を構成する。
【0037】
図8において、ヒートパイプ4-2の冷却部(図5参照)で凝縮した液相伝熱流体は、毛細管現象により前記微細な隙間4K或いは隙間4L内を移動して、ヒートパイプ4-1の加熱部側(図5参照)に移動する。
一方、加熱部(図5参照)で気化して膨張した気相伝熱流体は、断面半円形の中空部4Iの線状中実材4J及び前記微細な隙間4K、4L以外の空間4B-2を流れて、ヒートパイプ4-2の冷却部(図5参照)に到達する。換言すれば、空間4B-2は図6における中空部4Bと同様な機能、すなわち気化して膨張した気相伝熱流体が流れる機能を奏する。
そのため、図8のヒートパイプ4-2により、図5図6のヒートパイプ4、図7のヒートパイプ4-1と同様に、加熱部の熱が冷却部に伝達され、水素用熱交換器2の中央の領域と外殻近傍の領域の温度の不均一が解消され、温度差或いは温度勾配が解消される。
【0038】
ここで、単に伝熱するのであれば、図示の実施形態におけるヒートパイプ4に代えて銅線を配置することも可能である。しかし、銅線は熱伝導効率がヒートパイプ4に比較して遥かに低く、水素用熱交換器2の外殻近傍と中央の領域の温度の不均一を解消することが出来ない。
換言すれば、水素用熱交換器2の外殻側領域と中央領域における温度差或いは温度勾配を解消できる程度の熱伝導効率を有する部材であれば、ヒートチューブは限定する必要がない。
【0039】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【符号の説明】
【0040】
1・・・真空断熱容器
2・・・水素用熱交換器(水素プレクーラ)
3・・・水素通路
4、4-1、4-2・・・ヒートパイプ(熱伝導部材)
4A、4A-1、4A-2・・・毛細管現象を生じる領域
4B・・・中空の領域
4E・・・溝
4I・・・貫通孔
4J・・・中実の線状部材
4K、4L・・・隙間
11・・・冷凍機
13、13A・・・冷媒循環配管
100・・・水素冷却システム
B・・・ブライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8