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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】2価鉄イオン生成体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/00 20230101AFI20230817BHJP
   B01J 2/00 20060101ALI20230817BHJP
   B01J 2/28 20060101ALI20230817BHJP
   B01J 20/10 20060101ALI20230817BHJP
   B01J 20/14 20060101ALI20230817BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
C02F3/00 D
B01J2/00 A
B01J2/28
B01J20/10 D
B01J20/14
B01J20/20 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022084450
(22)【出願日】2022-05-24
【審査請求日】2022-10-04
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593035696
【氏名又は名称】杉本 幹生
(73)【特許権者】
【識別番号】303056140
【氏名又は名称】杉本 至健
(73)【特許権者】
【識別番号】522204843
【氏名又は名称】杉本 健斗
(73)【特許権者】
【識別番号】303056151
【氏名又は名称】杉本 慧子
(72)【発明者】
【氏名】杉本 幹生
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-177092(JP,A)
【文献】特開2007-268511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00- 3/34
B01J 2/00- 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉状又は粒状の未酸化鉄材と粉状又は粒状の炭素材の配合混合物に水に溶いた水溶性のデンプン糊を加え撹拌して密接させ固め多数の小塊を成型する第1工程と、前記多数の小塊に水分・湿気を素早く乾燥的に除去する吸湿材粉粒を加え混合した後に加圧して成型し造粒,造塊にする第2工程とから成ることを特徴とする2価鉄イオン生成体の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の2価鉄イオン生成体の製造方法において、
前記吸湿粒は、シリカゲル粒,多孔質の珪藻土粒,ケイ素Si成分が多量に含まれる竹,籾殻,茅・黍類,その他草木,椰子殻等くん炭化物を用いることを特徴とする2価鉄イオン生成体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中に没する状態にすることにより水中に2価鉄イオンを生成させる2価鉄イオン生成体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2価鉄イオン生成体として、特許文献1に記載の特許がある。
この特許は、水中に没する状態にすることにより水中に鉄イオンを発生させる鉄イオン溶出体であって、粉状又は粒状の鉄と粉状又は粒状の炭を水溶性バインダーと共に混合して固めて多数の小塊を成形し、前記多数の小塊の一部同士を非水溶性バインダーで固めて成形され、前記水中に没した状態で、前記非水溶性バインダーで固められていない前記小塊の部分が水と接する形状であり、前記水溶性バインダーは、PVA、デンプン糊、にかわ、コーン、デキストリン、芋、米のいずれかの粉であり、 前記非水溶性バインダーは、粘土、セメントのいずれかの粉であり、 前記水中に没した状態で、 前記非水溶性バインダーで固められていない前記小塊の部分の前記水溶性バインダーが、水と接触して水によって溶けるにつれて前記炭と前記鉄が次々に接触して鉄イオンを溶出可能であることを特徴とする鉄イオン溶出体である。
【文献】特許第5258171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の鉄イオン溶出体は、上述のように、鉄粉粒と炭素粉粒を調合し密着固体を製造の際に加えるバインダーは水に溶けるデンプン粉を加水し溶かした状態で使うが、製造工程で使用する水分の乾燥除去に時間がかかり、空気と水分が鉄粉粒および炭素粉粒に介在(黒鉛微粉や多孔質な活性炭等々の炭素材には吸湿性がある)する時間が長くなって鉄粉粒の酸化は増し金属鉄の性状を喪失してしまう。
特に、金属鉄が微小になるほど短時間に酸化で発熱反応を起こし鉄粉粒が酸化鉄になって金属鉄としての性状を喪失するから2価鉄イオンの溶出量が性状を失った分だけ減少する致命的欠点が生じるという問題点があった。
さらに、保管時においても湿度を伴う空気と触れあい酸化は進行するという問題点があった。
【0004】
本発明の解決しようとする課題は、製造時の2価鉄イオン生成体に残る湿気.水分を素早く乾燥的除去して鉄の酸化を限りなく抑え2価鉄イオンの生成量減少をなくし、かつ、製造された2価鉄イオン生成体を保管し、水中に置いた後は2価鉄イオンを生成溶出+水中にケイ素成分の供給源となる2価鉄イオン生成体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため請求項1記載の2価鉄イオン生成体の製造方法は、粉状又は粒状の未酸化鉄材と粉状又は粒状の炭素材を水に溶いた水溶性のデンプン糊を加え混合して密接させ固め多数の小塊を成型する第1工程と、前記多数の小塊に水分・湿気を素早く乾燥的に除去する吸湿材粉粒を加え混合した後に加圧して成型し造粒,造塊にする第2工程とから成ることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の2価鉄イオン生成体は、請求項1に記載の2価鉄イオン生成体の製造方法において、
前記吸湿粒は、シリカゲル粒,多孔質の珪藻土粒,ケイ素Si成分が多量に含まれる竹,籾殻,茅・黍類,その他草木,椰子殻等くん炭化物を用いていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、上述のように、多数の小塊の一部同士を水溶性のデンプン糊で固着し成型した後、可能な限り金属鉄の性状を喪失させない為に前記水溶性のデンプン糊に含まれる水分,湿気を素早く除去する吸湿材粉粒を加えた状態で鉄粉粒と炭素粉粒を加圧成型して造塊,造粒することで、2価鉄イオンの生成量を極力減らすことなく生成溶出させ、かつ、製造された2価鉄イオン生成体を保管し、水中に置くまでは乾燥的吸湿機能を維持し、水中に置いた後は2価鉄イオン生成+水中にケイ素成分の供給源とすることができるようになるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下にこの発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
まず、この実施例1を説明する。
この実施例1は、請求項1に記載の発明に対応する。
【0010】
この実施例1の2価鉄イオン生成体の製造方法は、粉状又は粒状の未酸化鉄材と粉状又は粒状の炭素材を水に溶いた水溶性のデンプン糊を加え混合して密接させ固着し多数の小塊を成型する第1工程と、前記多数の小塊に水分・湿気を素早く乾燥的に除去する吸湿材粉粒を加え混合した後に加圧して成型し造粒,造塊にする第2工程とから成る。
【0011】
さらに詳述すると、水溶性のデンプン糊を使用するのが最良だが、鉄/炭素とが密接する水溶性で接着剤ならば化学糊系でも使用可である。
ここで云うバインダーとは加熱すれば炭化する接合物質を示す
【0012】
また、吸湿材は、乾燥剤として汎用のシリカゲル粉粒や・イオン交換に使われているゼオライト・中性に加熱処理し調湿剤に用いられる珪藻土の粉粒や・その他ケイ素成分を主とし40%以上占め含有するくん炭処理物(籾殻炭,竹炭,茅類等々の多孔質炭化物)の粉粒が用いられ、いずれもケイ素Si成分を多量に含有する材を採用。
【0013】
即ち、食物連鎖の底辺を支える植物プランクトンの珪藻類や藻類は構成成分のケイ素(Si)塩類と栄養塩類の吸収が必要不可欠。
だから、前もって生態系の動物,植物,プランクトンなどはこれ等塩類を取り込む為に動物のヘモグロビンと同種同類の役目をする2価鉄Fe++を水溶性鉄化合物や錯結合2価鉄(キレート鉄)で摂取しておく必要がある。
【0014】
なお、動物,植物など生き物は摂取した2価鉄が酸素や養分の運搬配送の役割をすると共に、代謝老廃物を運搬排出する役割を果たしているから絶対不可欠である。
又、ケイ素Siを主成分とするシリカゲルやゼオライトや中性処理した珪藻土等々或は、ケイ素Siを40%以上含有する多孔質なくん炭処理した炭化物を粒塊に加工したものに発生させた直後の2価鉄イオン水を染み込ませるかor錯結合した2価鉄イオン水液を染み込ませて水圏水域に散布又は設置し供給する。水圏水域に2価鉄イオンとケイ素成分(珪酸塩類)を補給することで水中の食物連鎖を底辺で支える植物プランクトンを活性し増繁殖する。
食物連鎖の活発化は総合的に水環境を健全にする。
水産資源の増繁殖から食料生産に成果を具現する。
【0015】
また、水圏水域中に散布又は設置した《ケイ素成分をもつ2価鉄イオン生成体》から発生する無垢な2価鉄イオンは水底に堆積する有機腐植物が創り出す様々な有機酸の中にキレート機能があれば無垢な2価鉄イオンと反応してキレート鉄を合成,有機酸の中でも還元性有機酸のアスコルビン酸やポリフェノール類やクエン酸,その他等々と無垢な2価鉄イオンが反応すれば鉄の光触媒を合成し、ヘドロその他堆積有機物が分解されて肥料,養分に還元されれば、水中の生き物の動物,植物,微生物,プランクトン等々に補給されて活性増繁殖に作用効果を現す。
【0016】
次に、この実施例1の作用・効果を説明する。
この実施例1では、上述のように、多数の鉄粉.粒と炭素粉.粒が水溶性のデンプン糊で密着接合させた多数の小塊に前記水溶性のデンプン糊に含まれ余分な水分.湿気を素早く除去する吸湿材粉粒を加え混合した状態で加圧成型して余った水溶性のデンプン糊と加圧で密接成型した造塊,造粒することで、2価鉄イオンの生成量を極力減らすことなく生成溶出させ、かつ、製造された2価鉄イオン生成体を保管し、水中に没するまでは乾燥的吸湿機能を維持し、水中に置いたのちは2価鉄を生成溶出+水中にケイ素成分の供給源とすることが出来るようになる効果が得られる。
【0017】
以上本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【要約】
【課題】 2価鉄イオンの生成量を大幅に増大させ、かつ、製造された2価鉄イオン生成体を保管し、水中に置くまでは乾燥的吸湿機能を維持し、水中に置いた後は従来の同種で上市資材よりも2価鉄イオンを生成溶出+水中にケイ素成分の供給源となる2価鉄イオン生成体の製造方法及び2価鉄イオン生成体を提供すること。
【解決手段】 粉状または粒状の未酸化鉄材と粉状又は粒状の炭素材を水に溶いた水溶性バインダーを加え混合して密接させ固着し多数の小塊を成型する第1工程と、前記した多数の小塊の水分・湿気を素早く乾燥的に除去する吸湿材粉粒を加え混合した後、加圧して成型し造粒,造塊する第2工程とから成る2価鉄イオン生成体の製造方法。