(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】ラッチ錠のハンドルの台座ユニット
(51)【国際特許分類】
E05B 15/02 20060101AFI20230817BHJP
E05B 3/06 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
E05B15/02 M
E05B3/06 B
(21)【出願番号】P 2019031231
(22)【出願日】2019-02-25
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000147442
【氏名又は名称】株式会社WEST inx
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】西 康雄
(72)【発明者】
【氏名】錦野 剛和
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-092061(JP,A)
【文献】特開2013-256800(JP,A)
【文献】特開2005-048354(JP,A)
【文献】特開2005-076409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラッチ錠を備えた扉の一方側及び他方側にそれぞれ配置され、前記ラッチ錠のラッチを操作するハンドルを扉に固定する一対の台座で構成されたラッチ錠のハンドルの台座ユニットであって
、
前記一対の台座は、脚部を有する台座と、保持部を有する台座からなり、
前記脚部を有する台座は、本体を有し、
前記本体は、前記脚部をガイド体として、前記脚部に沿った移動が可能であり、
前記脚部は、基端側から先端側に至る長さを有しており、
前記脚部の先端側には係合部が設けてあり、
前記係合部よりも外形が小さいくびれ部が、前記脚部における係合部の基端側に隣接して設けられており、
前記保持部は、前記係合部を受け入れる受け入れ部と、当該係合部を収容する収容部を有し、
前記受け入れ部は、前記保持部の基端側から先端側へいくほど内周側から外周側へ傾斜する傾斜面又はテーパ面を有し、
前記係合部は前記受け入れ部より大きく、
前記保持部は弾性を有していて前記受け入れ部を拡大可能であり、
前記本体を、
前記保持部を有する台座に接近する方向に付勢する付勢手段を設けたものであり、
前記脚部を2個有し、前記2個の脚部の間に前記付勢手段が配置されていることを特徴とするラッチ錠のハンドルの台座ユニット。
【請求項2】
前記脚部の基端側に、前記脚部の長手方向と交差する方向に張り出す張出部が設けてあり、
前記本体には挿通部が設けてあり、前記脚部は前記挿通部を挿通しており、
前記張出部と前記本体の間に、前記付勢手段が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のラッチ錠のハンドルの台座ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラッチ錠のラッチを操作するハンドルを、扉に固定するための台座ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラッチ錠を備えた扉では、ラッチ錠のラッチを操作するハンドルが、扉に台座を介して取り付けられている。このような台座が例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1には、ドアの両側に配置したハンドル取付座同士をワンタッチで固定できるドアハンドル取付座が開示されている。すなわち、一方のハンドル取付座には、圧入孔を有するパイプシャフトが設けられており、他方のハンドル取付座には、圧入シャフトが設けられている。そして、パイプシャフトの圧入孔に圧入シャフトを圧入することによって、両ハンドル取付座を固定するように、特許文献1に開示されたドアハンドル取付座は構成されている。
特許文献1のドアハンドル取付座では、パイプシャフトの圧入孔に対する圧入シャフトの抜き差し量を加減することで、様々なドアの厚さに対応することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されたドアハンドル取付座では、パイプシャフトの圧入孔に対する圧入シャフトの抜き差し量を加減することでドアの厚さに対応している。しかし、特許文献1のようなドアハンドル取付座をドアに取り付ける際に、ドアの取り付け位置に作業者が手で保持していなければならない。
また、抜き差し量が相違すると、パイプシャフト(一方側の取付座)と圧入シャフト(他方側の取付座)の接触長さが相違するため、パイプシャフトと圧入シャフトの固定強度が相違し、両シャフトに対する離間方向の外力に抗する耐力が扉の厚さによってばらつき、品質を一定に保つことができないという不満がある。
【0005】
そこで本発明は、厚さの異なる扉に対応することができ、扉への取付時に作業者が手で保持する必要がなく、扉の厚さによらず同等の固定強度で扉の両側の台座同士をワンタッチで固定することができるラッチ錠のハンドルの台座ユニットを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための関連の発明は、ラッチ錠を備えた扉の一方側及び他方側にそれぞれ配置され、前記ラッチ錠のラッチを操作するハンドルを扉に固定する一対の台座で構成されたラッチ錠のハンドルの台座ユニットであって、前記各台座は、それぞれ本体を有し、前記各本体は、ガイド体及び/又は保持部を有し、前記ガイド体は、基端側から先端側に至る長さを有しており、ガイド体の先端側には係合部が設けてあり、係合部よりも外形が小さいくびれ部が、前記ガイド体における係合部の基端側に隣接して設けられており、前記保持部は、相手側の台座の係合部を受け入れる受け入れ部と、当該係合部を収容する収容部を有し、前記受け入れ部は、保持部の基端側から先端側へいくほど内周側から外周側へ傾斜する傾斜面又はテーパ面を有し、前記係合部は受け入れ部より大きく、前記保持部は弾性を有していて受け入れ部を拡大可能であり、ガイド体を有する本体は、当該本体に設けたガイド体に沿った移動が可能であり、ガイド体が設けられた本体を、相手側の台座に接近する方向に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とするラッチ錠のハンドルの台座ユニットである。
【0007】
この発明のラッチ錠のハンドルの台座ユニットは、ラッチ錠を備えた扉の一方側及び他方側にそれぞれ配置され、ラッチ錠のラッチを操作するハンドルを扉に固定する一対の台座からなる。
各台座はそれぞれ本体を有し、また、各本体は、ガイド体及び/又は保持部を有し、ガイド体は、基端側から先端側に至る長さを有しており、ガイド体の先端側には係合部が設けてあり、係合部よりも外形が小さいくびれ部が、ガイド体における係合部の基端側に隣接して設けられている。保持部は、相手側の台座の係合部を受け入れる受け入れ部と、当該係合部を収容する収容部を有し、受け入れ部は、保持部の基端側から先端側へいくほど内周側から外周側へ傾斜する傾斜面又はテーパ面を有し、係合部は受け入れ部より大きく、保持部は弾性を有していて受け入れ部を拡大可能である。よって、受け入れ部が拡大することにより、受け入れ部よりも大きい係合部を受け入れることができる。
具体的には、保持部に係合部を押し付けると、係合部が傾斜面又はテーパ面に当接する。そして、さらに係合部を保持部側に移動させると、傾斜面又はテーパ面が外側(外周側)へ押圧される。すなわち、受け入れ部が拡大される。よって、係合部を保持部側へ移動させるだけで受け入れ部が拡大し、係合部を受け入れることができる。すなわち、ワンタッチで両台座を固定することができる。
また係合部が受け入れ部を通過して収容部に収容されると、係合部に隣接したくびれ部が受け入れ部の位置に配置される。すなわち、受け入れ部の位置に係合部よりも小さい外形のくびれ部が配置され、受け入れ部は保持部の弾性によって縮小し、くびれ部に当接する。このときの受け入れ部は係合部よりも小さい。そのため、係合部が保持部から離反することが阻止される。
また、ガイド体を有する本体は、当該本体に設けたガイド体に沿った移動が可能であるので、対向する台座の本体同士の間隔が変化する。その結果、各台座の本体を、異なる厚さの扉の両側に配置して、両者を結合することができる。
さらに、ガイド体が設けられた本体を、相手側の台座に接近する方向に付勢する付勢手段を設けたので、両台座の本体同士は接近する方向に付勢されている。すなわち、両台座を扉に取り付ける際に、作業者は両台座を扉の取り付け位置に保持する必要がない。そのため、付勢手段は、仮止め機能を発揮することができ、作業者は両台座を扉に良好に取り付けることができる。そして、両台座は、良好に扉に装着された状態を維持することができる。付勢手段として、圧縮バネを採用するのが好ましい。
【0008】
関連の発明は、前記ガイド体の基端側に、ガイド体の長手方向と交差する方向に張り出す張出部が設けてあり、前記ガイド体を有する本体には挿通部が設けてあり、ガイド体は前記挿通部を挿通しており、前記ガイド体の張出部と、ガイド体が設けられた本体の間に、前記付勢手段が配置されていることを特徴とする上記のラッチ錠のハンドルの台座ユニットである。
この発明では、ガイド体の基端側に、ガイド体の長手方向と交差する方向に張り出す張出部が設けてあり、ガイド体を有する本体には挿通部が設けてあり、ガイド体は前記挿通部を挿通しており、ガイド体の張出部と、ガイド体が設けられた本体の間に、付勢手段が配置されているので、保持部と係合部が係合した状態で、両台座の本体同士は、付勢手段によって互いに接近する方向に付勢される。すなわち、両台座の本体は、扉に接近する方向に付勢される。よって、両台座は、良好に扉に取り付けられる。
【0009】
請求項1に記載の発明は、ラッチ錠を備えた扉の一方側及び他方側にそれぞれ配置され、前記ラッチ錠のラッチを操作するハンドルを扉に固定する一対の台座で構成されたラッチ錠のハンドルの台座ユニットであって、前記一対の台座は、脚部を有する台座と、保持部を有する台座からなり、前記脚部を有する台座は、本体を有し、前記本体は、前記脚部をガイド体として、前記脚部に沿った移動が可能であり、前記脚部は、基端側から先端側に至る長さを有しており、前記脚部の先端側には係合部が設けてあり、前記係合部よりも外形が小さいくびれ部が、前記脚部における係合部の基端側に隣接して設けられており、前記保持部は、前記係合部を受け入れる受け入れ部と、当該係合部を収容する収容部を有し、前記受け入れ部は、前記保持部の基端側から先端側へいくほど内周側から外周側へ傾斜する傾斜面又はテーパ面を有し、前記係合部は前記受け入れ部より大きく、前記保持部は弾性を有していて前記受け入れ部を拡大可能であり、前記本体を、前記保持部を有する台座に接近する方向に付勢する付勢手段を設けたものであり、前記脚部を2個有し、前記2個の脚部の間に前記付勢手段が配置されていることを特徴とするラッチ錠のハンドルの台座ユニットである。
請求項2に記載の発明は、前記脚部の基端側に、前記脚部の長手方向と交差する方向に張り出す張出部が設けてあり、前記本体には挿通部が設けてあり、前記脚部は前記挿通部を挿通しており、前記張出部と前記本体の間に、前記付勢手段が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のラッチ錠のハンドルの台座ユニットである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のラッチ錠のハンドルの台座ユニットは、厚さの異なる扉に対応することができ、扉の厚さによらず同等の固定強度で扉の両側の台座同士をワンタッチで固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ラッチ錠と、本発明の実施形態に係る台座ユニットの位置関係を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る台座ユニットの分解斜視図である。
【
図3】
図2とは別の方向から見たラッチ錠のハンドルの台座の分解斜視図である。
【
図4】(a)は、本発明の実施形態に係る台座ユニットの斜視図であり、一対の台座同士が離間している状態を示し、(b)は、(a)とは別の方向から見た一対の台座の斜視図である。
【
図5】(a)は、各台座同士が結合する途中の状態を示す斜視図であり、(b)は、(a)のA-A断面図である。
【
図6】結合状態の台座の本体同士が接近している状態を示しており、(a)は斜視図であり、(b)は(a)のB-B断面図である。
【
図7】(a)は、保持部の正面図であり、(b)は、(a)のC-C断面図であって、保持部に係合部が係合する直前の状態を示し、(c)は、(a)のC-C断面図であって、保持部に係合部が係合する途中の状態を示し、(d)は、(a)のC-C断面図であって、保持部に係合部が係合した状態を示す。
【
図8】結合状態の台座の本体同士が離間している状態を示しており、(a)は斜視図であり、(b)は(a)のD-D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、扉1はラッチ錠2を備えている。ラッチ錠2には、挿通孔2b、孔2c、溝2dが設けられており、扉1におけるこれらと一致する位置にはそれぞれ図示しない孔が設けられている。ラッチ錠2の挿通孔2bにはハンドル軸14が挿通されており、挿通孔2bを挿通したハンドル軸14が、図示しない機構を介してラッチ2aと連結されている。
【0013】
また、ハンドル軸14の両端には、ハンドル3a、3bが取り付けられている。すなわち、
図1に示すように、ハンドル3bには、横断面が四角形のハンドル軸14をちょうど嵌入させることができる嵌入穴28が設けてあり、嵌入穴28にハンドル軸14を嵌入させることにより、ハンドル軸14とハンドル3bが一体に回動可能に固定される。
図1に示す例では、ハンドル軸14の一端が、既にハンドル3aの嵌入穴(図示せず)に嵌入しており、ハンドル軸14がハンドル3aと一体化されている。
【0014】
そして、扉1の両側(一方側及び他方側)に設けられたハンドル3a又はハンドル3bを操作するとハンドル軸14が回動し、ラッチ2aが扉1内(ラッチ錠2の筐体内)に退入する。
【0015】
このように、ラッチ2aを作動させるハンドル3a、3bは、本発明の実施形態に係る台座ユニット4を介して扉1に固定されている。台座ユニット4は、一対の台座4a、4bで構成されている。以下、台座4a、4bの構成について説明する。
【0016】
図2、
図3に示すように、台座4aは、本体5a、ガイド体6、圧縮バネ9(付勢部材)を有する。
本体5aは、基部15(
図3)と、筒状部16を有する。
基部15は、平板状の部材であり、中央に筒状部16が設けられている。筒状部16の内部は貫通しており、貫通孔16aを構成している。貫通孔16aは、筒状部16のみならず、基部15も貫通している。
【0017】
基部15における筒状部16の両側には挿通孔11a、11b(挿通部)が設けられている。挿通孔11a、11bは、基部15を貫通する孔である。
また、基部15の周縁部には、起立壁部17が設けられている。すなわち、起立壁部17は、筒状部16と挿通孔11a、11bの周囲を囲むように配置されている。
【0018】
起立壁部17には、部分的に基部15からの起立高さが低い部位が形成されており、当該部位は、ガイド溝18a、18bを構成している。ガイド溝18a、18bは、筒状部16の両側に形成されている。ガイド溝18a、18bは、それぞれ挿通孔11a、11bの直径と同程度か又は若干大きい溝幅を有する。また、ガイド溝18a、18bの溝の中心と、挿通孔11a、11bの中心は、同一直線上に配置されている。
【0019】
図2に示すように、起立壁部17には、係合凸部20a~20dが設けられている。係合凸部20a~20dは、筒状部16の周囲に略均等に配置されており、本体5aの内部方向に突出している。
【0020】
図2、
図3に示すように、台座4aのガイド体6は、基部10と、脚部19a、19bを有する。基部10は、平板状の部材であって、中央に貫通孔10aが設けられている。基部10には、
図2で見て貫通孔10aの上部と下部の位置に係合凹部21a~21dが設けられている。係合凹部21a~21dは、基部10の一部を切り欠いた部位であり、前述の本体5aの係合凸部20a~20と係合する部位である。また、脚部19a、19bは、基部10における貫通孔10aを挟んだ両側(
図2で見て左右方向の両側)に設けられている。
【0021】
基部10における脚部19a、19b付近には、摺動部26a、26bが設けられている。摺動部26a、26bの間隔は、本体5aのガイド溝18a、18bの間隔と一致している。摺動部26a、26bの幅(
図2で見て上下方向の大きさ)は、ガイド溝18a、18bにちょうど嵌まる大きさである。
【0022】
脚部19a、19bは、基端側(基部10側)から先端側に至る長さを有している。具体的には、脚部19a、19bは、扉1を貫通して後述の台座4bと係合できる長さを有している。脚部19a、19bの基端側は基部10に固定されており、脚部19a、19bの先端側は自由端であって係合部8a、8bを構成している。係合部8a、8bは、くびれ部12a、12bを介して脚部19a、19bの基端側の部位と連続している。すなわち、くびれ部12a、12bは、係合部8a、8bよりも基端側に隣接する位置に設けられている。くびれ部12a、12bは、脚部19a、19bの部分的に細い(外形が小さい)部位である。係合部8a、8bは、くびれ部12a、12bとの接続部分を除き、球状の外形(球面形状)を呈している。
【0023】
脚部19a、19bは、同じ大きさ(長さ)及び形状を有し、互いに平行であって基部10に対して起立している。すなわち基部10は、脚部19a、19bに対して脚部19a、19bの長手方向と交差(直交)する方向に張り出す張出部を構成している。
【0024】
脚部19a、19bは、それぞれ本体5aの挿通孔11a、11bを同時に挿通可能である。すなわち、脚部19a、19bは、挿通孔11a、11bと同じ間隔で基部10から起立している。
【0025】
本体5aとガイド体6の間には、圧縮バネ9(付勢手段)が設けられている。圧縮バネ9は、本体5aの筒状部16に外嵌しており、一端が基部15に当接している。また、圧縮バネ9の他端は、ガイド体6の基部10(張出部)に当接している。
【0026】
このような部材を有する台座4aは、次のように構成されている。すなわち、本体5aの筒状部16に圧縮バネ9が外嵌しており、圧縮バネ9の両端は、本体5aの基部15とガイド体6の基部10に当接し、圧縮バネ9は圧縮されている。すなわち、本体5aの基部15とガイド体6の基部10は、圧縮バネ9によって互いに離反する方向に付勢されている。
【0027】
また、ガイド体6の脚部19a、19bが、本体5aの挿通孔11a、11bに挿通されており、
図4(a)に示すように、脚部19a、19bが本体5aを貫通している。さらに、ガイド体6の摺動部26a、26bが、本体5aのガイド溝18a、18bに嵌まって係合している。
これにより、本体5aは、ガイド体6の脚部19a、19bに沿って移動することができる。換言すると、脚部19a、19bが挿通孔11a、11bに沿って移動することができ、本体5aとガイド体6は、脚部19a、19bの長手方向に相対移動が可能である。
【0028】
さらに、本体5aの係合凸部20a~20dと、ガイド体6の係合凹部21a~21dが
図4(a)に示すように係合している。すなわち、本体5aとガイド体6は、圧縮バネ9の付勢力によって付勢されているが、係合凸部20a~20dと係合凹部21a~21dが係合することにより、本体5aからガイド体6が脱落することが阻止されている。換言すると、係合凸部20a~20dは、本体5aからガイド体6が離反するのを阻止する抜け止め機能を有している。
【0029】
一方、台座4bは、
図2、
図3に示すように、本体5bを有する。本体5bは、外形が小判形状の部材である。
本体5bの中央には貫通孔22が設けられている。本体5bにおける貫通孔22が設けられた部位の肉厚は、本体5bの周辺部分よりも厚い。
本体5bの長手方向の両端部分には、保持部7a、7bが設けられている。すなわち保持部7a、7bは、本体5bにおける貫通孔22の両側に設けられている。
【0030】
保持部7aは、本体5bに対して起立した複数(本実施形態では4つ)の保持片13aを有している。各保持片13aは、略長方形形状を呈する薄板で形成されている。各保持片13aは、本体5b上の同一の仮想円に沿って配されている。すなわち、保持部7aは、各保持片13aが環状に配置されて本体5bに接続された構造を有している。また、各保持片13aは、本体5bとの接続部分(基部)から先端側へいくほど先細りした板片である。各保持片13aにおける本体5bとの接続部分(基部)は、配置された仮想円の円周に沿って湾曲している。
【0031】
各保持片13aの先端側は、内側に湾曲している。すなわち、各保持片13aの先端が配された仮想円の直径は、各保持片13aの基部が配された本体5b上の仮想円の直径よりも小さい。各保持片13aの先端は、受け入れ部23aを構成している。
【0032】
本実施形態では、本体5bにおける各保持片13aで囲われた部位に孔25aが設けられている。すなわち、本体5bの孔25aの周囲(例えば縁)に、各保持片13aが配置されている。孔25aは、係合部8aを収容する収容部27aとして機能する。
【0033】
図7(a)に示すように、受け入れ部23aには、板状の保持片13aの厚み方向に傾斜する面(傾斜面、又はテーパ面)が設けられている。本実施形態においては、受け入れ部23aにはテーパ面24が設けられている。テーパ面24は、保持片13aの先端側へいくほど内周側から外周側へ傾斜する円錐状の面である。
【0034】
保持部7bは、保持部7aと同様の構造を有しており、重複する説明は省略する。保持部7bを構成する各部材及び各部位には、保持部7aの各部材及び各部位における「a」の代わりに「b」を付している。
【0035】
以上説明した台座ユニット4の台座4a、4bは、次のように組み合わされている。
台座4aでは、
図2、
図3に示すように、本体5aとガイド体6の間に圧縮バネ9が配されている。圧縮バネ9は、本体5aの筒状部16に外嵌されており、圧縮バネ9の一端は本体5aの基部15に当接している。また、圧縮バネ9の他端は、ガイド体6の基部10に当接している。ガイド体6の脚部19a、19bは、本体5aの挿通孔11a、11bを挿通している。ガイド体6が本体5aを挿通すると、
図4(a)、
図4(b)に示すような状態になる。この状態では、本体5aは、ガイド体6の脚部19a、19bに沿って移動が可能である。また、本体5aとガイド体6は、圧縮バネ9の付勢力によって互いに離反する方向に付勢されている。
【0036】
図4(a)に示すように、台座4bの保持部7a、7bは、本体5aに挿通された脚部19a、19bの先端部分である係合部8a、8bと対向している。すなわち、係合部8a、8bの間隔と、保持部7a、7bの間隔は一致している。そして、台座4a、4bが互いに接近すると、台座4aの係合部8a、8bが、台座4bの保持部7a、7bに係合し、両台座4a、4bは結合される。
【0037】
ここで、両台座の結合の仕方について、
図7を参照しながら説明する。
図7(a)、
図7(b)に示す保持部7a(7b)の各保持片13a(13b)の先端の受け入れ部23a(23b)の配置された仮想円の直径は、球体状の係合部8a(8b)の直径よりも小さい。また、係合部8a(8b)の直径は、保持部7a(7b)の各保持片13a(13b)の基部側が配置された本体5b上の仮想円の直径と同等、又は若干小さく、受け入れ部23a(23b)が配された仮想円の直径よりも大きい。さらに、受け入れ部23a(23b)には、テーパ面24が設けられている。
【0038】
係合部8a(8b)が、保持部7a(7b)に係合する際、まず、係合部8a(8b)の球面形状の表面は、最初にテーパ面24に当接する。このとき、係合部8a(8b)の一部が、受け入れ部23a(23b)が配置された仮想円よりも内側に入り込んでいる。そして、さらに係合部8a(8b)が保持部7a(7b)側に移動すると、係合部8a(8b)の球面形状の表面が、テーパ面24を外側(外周側)へ押圧し、受け入れ部23a(23b)は押し拡げられる。すなわち、係合部8a(8b)が、受け入れ部23a(23b)を押し拡げながら保持部7a(7b)の内部の収容部27a(27b)に入り込む(
図7(c)、
図7(d))。
【0039】
図5(a)、
図5(b)、
図7(c)に示すように、係合部8a(8b)の最も幅広の部位(直径部分)が受け入れ部23a(23b)を通過する際に、受け入れ部23a(23b)が外側に押し広げられる。そのため、このときに受け入れ部23a(23b)が配置された仮想円の直径が拡径(拡大)されて最も大きくなる。
【0040】
係合部8a(8b)の最も幅広の部位(直径部分)がテーパ面24を押圧して受け入れ部23a(23b)を通過すると、受け入れ部23a(23b)はそれ以上拡がらない。すなわち、
図7(d)に示すように、係合部8a(8b)の最も幅広の部位が受け入れ部23a(23b)を通過して収容部27a(27b)に収容されると、元の姿勢に復帰しようとする各保持片13a(13b)の弾性によって、受け入れ部23a(23b)が配置された仮想円は小さくなる。
【0041】
そして、受け入れ部23a(23b)が配置された仮想円は、係合部8a(8b)の直径よりも小さくなり、係合部8a(8b)は、
図7(d)に示すように、各保持片13a(13b)によって抱き抱えられるように保持される。すなわち、係合部8a(8b)が、保持部7a(7b)によって保持される。換言すると、係合部8a(8b)が保持部7a(7b)と係合し、受け入れ部23a(23b)は、くびれ部12a(12b)に密着する。このとき、両台座4a、4bは、
図6(a)、
図6(b)に示すように、結合されて一体化する。
【0042】
すなわち、受け入れ部23a(23b)の位置に、係合部8a(8b)よりも小さい外形のくびれ部12a(12b)が配置され、受け入れ部23a(23b)は保持部7a(7b)の弾性によって縮小し、くびれ部12a(12b)に当接する。このときの受け入れ部23a(23b)は係合部8a(8b)よりも小さい。そのため、係合部8a(8b)が保持部7a(7b)から離反することが阻止される。
【0043】
実際には、台座4a、4bは、扉1(
図1)の表面(外面)と裏面(内面)に取り付けられている。扉1の厚みは一様ではなく、扉1の厚みによって台座4a、4bの間隔は相違する。本実施形態に係る台座4a、4bでは、台座4aが本体5aとガイド体6を有し、ガイド体6が台座4bとワンタッチで一体化されると共に、本体5aがガイド体6の脚部19a、19bに沿って移動することができる。そのため、扉1の厚みに応じて、台座4a(本体5a)と台座4b(本体5b)の間隔を変更することができる。そして、扉1の表面(外面)に台座4aを取り付け、裏面(内面)に台座4bを取り付けることができる。
【0044】
次に、
図6(a)、
図6(b)、
図8(a)、
図8(b)を参照しながら、台座4a、4b(本体5a、5b)の間隔が変化する態様について説明する。
【0045】
図6(a)、
図6(b)に示す状態では、圧縮バネ9が最大限に伸び、ガイド体6の基部10に対して、本体5aの基部15が最大限に離間している。その結果、台座4a(本体5a)と台座4b(本体5b)の間隔は最も狭い状態を呈している。
【0046】
一方、
図8(a)、
図8(b)に示す状態では、圧縮バネ9が最大限に圧縮されており、ガイド体6の基部10に対して、本体5aの基部15が最大限に接近している。その結果、台座4a(本体5a)と台座4b(本体5b)の間隔は最も広い状態を呈している。
【0047】
このように、台座4a(本体5a)と台座4b(本体5b)の間隔を変更することにより、扉1の厚みに対応して、両台座4a、4bを扉1に取り付けることができる。
【0048】
また、台座4a、4bは、保持部7a、7bと係合部8a、8bが互いに結合することにより、扉1側に常時付勢されている。すなわち、扉1から両台座4a、4bが離反するのを阻止する方向に、圧縮バネ9の付勢力が作用している。この状態で図示しない締結手段(例えばネジ止め)により、両台座4a、4bを扉1に固定すると、両台座4a、4bは、扉1に対して良好に取り付けられる。
【0049】
すなわち、両台座4a、4bを扉1に取り付ける際に、作業者は両台座4a、4bを扉1の取り付け位置で保持する必要がない。そのため、圧縮バネ9(付勢手段)は、扉1に両台座4a、4bを取り付ける際の仮止め機能を発揮することができる。これにより作業者は、両台座4a、4bを扉1に良好に取り付けることができる。
【0050】
本実施形態では、ガイド体6の脚部19a、19bが、本体5aの挿通孔11a、11bを挿通する例を示した。ここで、挿通孔11a、11bの代わりに、挿通孔11a、11bの側壁が、軸方向に一部が欠落していてもよい。すなわち、挿通孔11a、11bを筒状部16側が底となる溝又は窪み(凹部)に置き換え、これに脚部19a、19bを嵌めてもよい。
【0051】
以上説明した実施形態では、台座ユニット4の一方側の台座4aには係合部8a、8b(脚部19a、19b)を設け、他方側の台座4bには保持部7a、7bを設ける例を示した。本発明は、このような態様のみならず、一方側の台座に係合部8aと保持部7bを設け、他方側の台座に係合部8bと保持部7aを設けてもよい。すなわち、台座に係合部と保持部の両方を設けることもできる。このような同じ構造の台座を一対用意し、互いの係合部と保持部を係合させる。
【0052】
具体的には、
図2に示すガイド体6は一対の係合部8a、8b(脚部19a、19b)を有しているが、台座の変形例として、一つの係合部8a(脚部19a)のみを有するガイド体と、このガイド体をスライド移動可能に装着する本体で一つの台座を構成する。この台座は、
図2に示す圧縮バネ9と同様に作用する圧縮バネを備えるものである。
【0053】
このような構造の台座を二つ用意し、自身の台座の係合部と保持部を、相手側の台座の保持部と係合部にそれぞれ係合させる。また、台座同士(本体同士)の間隔は、両台座の各本体に設けたガイド体を、それぞれスライドさせることにより変化させることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 扉
2 ラッチ錠
2a ラッチ
3a、3b ハンドル
4 台座ユニット
4a 一方側の台座
4b 他方側の台座
5a 一方側の台座の本体
5b 他方側の台座の本体
6 ガイド体
7a、7b 保持部
8a、8b ガイド体の先端側の係合部
9 圧縮バネ(付勢手段)
10 基部(ガイド体の基端側の張出部)
11a、11b 本体の挿通孔(挿通部)
12a、12b ガイド体のくびれ部
23a、23b 保持部の受け入れ部
27a、27b 保持部の収容部