(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】二軸ヒンジ装置、並びにこの二軸ヒンジ装置を用いた電子機器
(51)【国際特許分類】
F16C 11/04 20060101AFI20230817BHJP
F16C 11/10 20060101ALI20230817BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
F16C11/04 F
F16C11/10 Z
G06F1/16 312J
G06F1/16 312F
(21)【出願番号】P 2019058310
(22)【出願日】2019-03-26
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】近藤 哲生
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-506651(JP,A)
【文献】特開2006-283836(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0086965(US,A1)
【文献】米国特許第09848502(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/04
F16C 11/10
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2筐体に跨ってフレキシブルディスプレイシートを外側にして取り付けて成る電子機器における前記第1及び第2筐体の後端部を連結してその前端部を開閉可能にする二軸ヒンジ装置であって、
第1及び第2ヒンジシャフトと、前記第1及び第2ヒンジシャフト
の間に設けられ前記第1及び第2ヒンジシャフトをそれぞれ逆方向へ同期回転させる同期回転手段と、
前記第1及び第2ヒンジ毎に設けられ所定の回転角度から前記第1及び第2筐体の開位置及び閉位置へ前記第1及び第2ヒンジシャフト
を回転付勢させる吸込手段と、を有する二軸部と、
前記第1及び第2ヒンジシャフトに対してそれぞれ一体に回動可能に設けられた第1及び第2開閉部材と、
前記第1及び第2筐体に対してそれぞれ固定されると共に、前記第1及び第2開閉部材に沿って前端部側及び後端部側へスライド可能に設けられた第1及び第2スライダと、
前記第1及び第2筐体を開く動作に伴って前記吸込手段に駆動された前記第1及び第2スライダをそれぞれ前端部側へ案内し、前記第1及び第2筐体を閉じる動作に伴って前記吸込手段に駆動された前記第1及び第2スライダを後端部側へ案内する案内手段と、を有し、
前記案内手段は、前記第1及び第2ヒンジシャフトの軸線方向の外側に設けられると共に、前記第1及び第2ヒンジシャフトに対して前記第1及び第2スライダを前記軸線方向に垂直な面内でそれぞれ円弧状に案内することを特徴とする、
二軸ヒンジ装置。
【請求項2】
前記案内手段は、
前記第1及び第2ヒンジシャフトを介して回転する第1及び第2開閉部材と、この第1及び第2開閉部材にそれぞれ重ね合わされ相互の案内溝及び/又は被案内突起を噛み合わせることにより互いに係合された状態でスライドする第1及び第2案内部材を有することを特徴とする、
請求項1に記載の二軸ヒンジ装置。
【請求項3】
前記複数の案内部材は、
前記第1及び第2ヒンジシャフトを回転可能に支持するセンターブロックの軸線方向の端部に設けられた半円型の固定案内部材と、
前記第1及び第2スライダにそれぞれ固定される第1及び第2サイドブロックの回転中心側にそれぞれ設けられた第1及び第2回転案内部材と、
前記固定案内部材と前記第1及び第2回転案内部材との間に挟み込んでそれぞれ重ね合わせた第1及び第2中継案内部材と、からなることを特徴とする、
請求項2に記載の二軸ヒンジ装置。
【請求項4】
前記センターブロックは、前記第1及び第2ヒンジシャフトを軸線方向に間隔を設けて二組支持していると共に、二組の前記第1及び第2ヒンジシャフトの間で軸線方向に交差する配線を保持可能な配線保持部を有することを特徴とする、
請求項
3に記載の二軸ヒンジ装置。
【請求項5】
前記第1及び第2ヒンジシャフトの端部に一端を固定して他端を前記第1及び第2開閉部材の回動端に軸支させた第1及び第2回転リンク部材を有し、
前記第1及び第2回転リンク部材の他端は、前記第1及び第2スライダに対して回転自在に当接するローラと共に軸支させていることを特徴とする、
請求項
3に記載の二軸ヒンジ装置。
【請求項6】
前記同期回転手段は、
前記第1及び第2ヒンジシャフトに対称に設けられた第1及び第2螺旋溝と、
前記第1及び第2ヒンジシャフトに案内されて軸線方向に移動可能に設けられ、前記第1及び第2螺旋溝に噛み合う連動部材と、を有することを特徴とする、
請求項1に記載の二軸ヒンジ装置。
【請求項7】
前記吸込手段は、
所定の凹凸を有し、前記第1及び第2ヒンジシャフトに対してそれぞれ一体に回転可能に設けられた第1及び第2回転カムと、
前記所定の凹凸に噛み合う凹凸を有し、前記第1及び第2ヒンジシャフトを回転自在に支持すると共に前記第1及び第2回転カムに前記凹凸を当接させるカムプレートと、
重ね合わせた前記第1及び第2回転カムと前記カムプレートをそれぞれ加圧する第1及び第2弾性手段と、を有することを特徴とする、
請求項1に記載の二軸ヒンジ装置。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載の二軸ヒンジ装置を用いたことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1及び第2筐体に跨って例えば有機EL製のフレキシブルディスプレイシートを外側にして開閉できるように取り付けて成る、例えば携帯電話機、電子手帳、PDA、ネットブック、さらにはノートパソコンなどの電子機器に用いて好適な二軸ヒンジ装置、並びにこの二軸ヒンジ装置を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、第1及び第2筐体の両表面に渡って1枚の有機EL製のフレキシブルディスプレイシートを取り付けて成る折り畳みが可能な電子機器、例えば携帯電話機が開発され、世の中に出回りつつある。このような電子機器に関して、特許文献1、2には、フレキシブルディスプレイシートを外側にして、第1及び第2筐体を閉じた状態では外側のフレキシブルディスプレイシートが中央で半円状に曲げられるものが提案されている。特許文献1の電子機器では、二軸ヒンジ装置を用いて第1及び第2筐体の後端部を連結して前端部を開閉可能にしている。このように連結した場合、第1及び第2筐体を閉じた状態から開いた際に、フレキシブルディスプレイシートの中央でこの半円の長さ分の撓みが発生してしまう。このため、特許文献1では、二軸ヒンジ装置に第1及び第2筐体を前端部側及び後端部側へスライドさせる案内手段を設け、第1及び第2筐体を開いた後に、第1及び第2筐体を前端部側へスライドさせることにより、フレキシブルディスプレイシートの中央の撓みを引き延ばして直線状(平面状)に展開している。
【0003】
しかし、特許文献1の電子機器では、第1及び第2筐体を開いた状態から閉じる際に、フレキシブルディスプレイシートの中央が第1及び第2筐体の後端部側へ引っ張られる可能性がある。
【0004】
そこで、特許文献2の電子機器では、5本のヒンジシャフトを用いた多軸ヒンジ装置を使用し、第1及び第2筐体を開いた状態から閉じる動作に連動させて5本のヒンジシャフトの間隔を狭くすることにより、多軸ヒンジ装置における第1及び第2筐体間のフレキシブルディスプレイシートの支持面の長さが一定に保たれるように工夫されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第9848502号公報
【文献】特開2018-132129号公報
【文献】特開2017-215012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の多軸ヒンジ装置は、ヒンジシャフトの本数が多いため、部品点数が多くなって製造コストが高くなる傾向がある。また、ヒンジシャフトの本数が多いため、第1筐体と第2筐体の開閉に伴うヒンジシャフト1本当たりの回転角度が小さくなって、特許文献3の二軸ヒンジ装置のように力強い動作が可能な同期回転手段や吸込手段を設計することが難しい。本発明は、これらの問題点を解決しようとするもので、その課題は、フレキシブルディスプレイシートを外側にして取り付けた第1及び第2筐体を、フレキシブルディスプレイシートの支持面の長さを一定に保って開閉可能に連結する二軸ヒンジ装置を提供することである。そして、これと同時に、第1及び第2筐体を対称に開閉動作させ、第1及び第2筐体を閉位置と開位置とへ二軸ヒンジ装置の開き角度を強制的に引き込んで開閉動作に快適な手応えを付与する必要があるという技術的要請を、より簡単な構成で実現できる操作性の良い二軸ヒンジ装置を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために請求項1に記載の二軸ヒンジ装置は、第1及び第2筐体に跨ってフレキシブルディスプレイシートを外側にして取り付けて成る電子機器における前記第1及び第2筐体の後端部を連結してその前端部を開閉可能にする二軸ヒンジ装置であって、第1及び第2ヒンジシャフトと、前記第1及び第2ヒンジシャフトの間に設けられ前記第1及び第2ヒンジシャフトをそれぞれ逆方向へ同期回転させる同期回転手段と、前記第1及び第2ヒンジ毎に設けられ所定の回転角度から前記第1及び第2筐体の開位置及び閉位置へ前記第1及び第2ヒンジシャフトを回転付勢させる吸込手段と、を有する二軸部と、前記第1及び第2ヒンジシャフトに対してそれぞれ一体に回動可能に設けられた第1及び第2開閉部材と、前記第1及び第2筐体に対してそれぞれ固定されると共に、前記第1及び第2開閉部材に沿って前端部側及び後端部側へスライド可能に設けられた第1及び第2スライダと、前記第1及び第2筐体を開く動作に伴って前記吸込手段に駆動された前記第1及び第2スライダをそれぞれ前端部側へ案内し、前記第1及び第2筐体を閉じる動作に伴って前記吸込手段に駆動された前記第1及び第2スライダを後端部側へ案内する案内手段と、を有し、前記案内手段は、前記第1及び第2ヒンジシャフトの軸線方向の外側に設けられると共に、前記第1及び第2ヒンジシャフトに対して前記第1及び第2スライダを前記軸線方向に垂直な面内でそれぞれ円弧状に案内することを特徴とする。
【0008】
請求項2の二軸ヒンジ装置では、前記案内手段は、前記第1及び第2ヒンジシャフトを介して回転する第1及び第2開閉部材と、この第1及び第2開閉部材にそれぞれ重ね合わされ相互の案内溝及び/又は被案内突起を噛み合わせることにより互いに係合された状態でスライドする第1及び第2案内部材を有することを特徴とする。
【0010】
請求項3の二軸ヒンジ装置では、前記複数の案内部材は、前記第1及び第2ヒンジシャフトを回転可能に支持するセンターブロックの軸線方向の端部に設けられた半円型の固定案内部材と、前記第1及び第2スライダにそれぞれ固定される第1及び第2サイドブロックの回転中心側にそれぞれ設けられた第1及び第2回転案内部材と、前記固定案内部材と前記第1及び第2回転案内部材との間に挟み込んでそれぞれ重ね合わせた第1及び第2中継案内部材と、を有することを特徴とする。
【0013】
請求項4の二軸ヒンジ装置では、前記センターブロックは、前記第1及び第2ヒンジシャフトを軸線方向に間隔を設けて二組支持していると共に、二組の前記第1及び第2ヒンジシャフトの間で軸線方向に交差する配線を保持可能な配線保持部を有することを特徴とする。
【0014】
請求項5の二軸ヒンジ装置は、前記第1及び第2ヒンジシャフトの端部に一端を固定して他端を前記第1及び第2開閉部材の回動端に軸支させた第1及び第2開閉リンク部材を有し、前記第1及び第2開閉リンク部材の他端は、前記第1及び第2スライダに対して回転自在に当接するローラと共に軸支させていることを特徴とする。
【0015】
請求項6の二軸ヒンジ装置では、前記同期回転手段は、前記第1及び第2ヒンジシャフトに対称に設けられた第1及び第2螺旋溝と、前記第1及び第2ヒンジシャフトに案内されて軸線方向に移動可能に設けられ、前記第1及び第2螺旋溝に噛み合う連動部材と、を有することを特徴とする。
【0016】
請求項7の二軸ヒンジ装置では、前記吸込手段は、所定の凹凸を有し、前記第1及び第2ヒンジシャフトに対してそれぞれ一体に回転可能に設けられた第1及び第2回転カムと、前記所定の凹凸に噛み合う凹凸を有し、前記第1及び第2ヒンジシャフトを回転自在に支持すると共に前記第1及び第2回転カムに前記凹凸を当接させるカムプレートと、重ね合わせた前記第1及び第2回転カムと前記カムプレートをそれぞれ加圧する第1及び第2弾性手段と、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の電子機器は、上述した請求項のうちのいずれか1項に記載の二軸ヒンジ装置を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の二軸ヒンジ装置のように構成すると、フレキシブルディスプレイシートを外側にして取り付けた第1及び第2筐体を、フレキシブルディスプレイシートの支持面の長さを一定に保って開閉可能に連結する二軸ヒンジ装置を提供することができる。そして、これと同時に、第1及び第2筐体を対称に開閉動作させ、第1及び第2筐体を閉じた位置と開いた位置とへ二軸ヒンジ装置の開き角度を強制的に引き込んで開閉動作に快適な手応えを付与する必要があるという技術的要請を、より簡単な構成で実現できる操作性の良い二軸ヒンジ装置を提供することができる。
【0019】
具体的には、案内手段は、第1及び第2ヒンジシャフトに対して第1及び第2スライダを軸線方向に垂直な面内で円弧状に案内することにより、第1及び第2筐体の開閉に連動して、吸込手段に駆動された第1及び第2スライダを前端部側又は後端部側へ連続的に移動させることができる。そして、案内手段が第1及び第2ヒンジシャフトの軸線方向の外側に設けられることにより、第1及び第2ヒンジシャフトの軸線方向の領域を同期回転手段及び吸込手段に多く割り当てることができる。そして、ヒンジシャフトの本数が少ないので、第1筐体と第2筐体の開閉に伴うヒンジシャフト1本当たりの回転角度が大きくなって、特許文献3の二軸ヒンジ装置のような精密で力強い動作が可能な同期回転手段や吸込手段を設計することが容易である。さらに、ヒンジシャフトの本数が少ないため、フレキシブルディスプレイシートを外側にして第1及び第2筐体を開閉可能な二軸ヒンジ装置を部品点数少なく構成できる。
【0020】
請求項2の二軸ヒンジ装置によれば、案内溝と被案内突起を噛み合わせた単純な構造で円弧状の案内を実現すると共に複数の案内部材を軸線方向に重ね合わせて案内手段を構成するので、案内手段の軸線方向の厚みを小さくして第1及び第2ヒンジシャフトに軸線方向の大きなスペースを割り当てることができる。このため、上述したように同期回転手段及び吸込手段の性能を高めることが容易である。
【0022】
請求項3の二軸ヒンジ装置によれば、重ね合わせ3枚、合計枚数5枚という最少の案内部材によって案内手段を構成できる。
【0025】
請求項4の二軸ヒンジ装置によれば、二軸部の厚みを利用して配線保持部を設けているので、二軸ヒンジ装置及び電子機器の薄型化に貢献できる。
【0026】
請求項5の二軸ヒンジ装置によれば、第1及び第2ヒンジシャフトの回転を第1及び第2開閉部材に効率的に伝達できると共に、少ない部品数で第1及び第2開閉部材に対する第1及び第2スライダのスライドを円滑に行うことができる。
【0027】
請求項6の二軸ヒンジ装置では、少ない部品数と狭い空間で円滑な第1及び第2ヒンジシャフトの同期回転を実現できる。これにより、第1及び第2筐体の開閉過程において第1及び第2回転部材に対する第1及び第2スライダのスライドの対称性を高めることができる。
【0028】
請求項7の二軸ヒンジ装置によれば、少ない部品数と狭い空間で、精密にして強力な第1及び第2ヒンジシャフトの回転位置の吸い込みを実現できる。これにより、第1及び第2筐体の開閉過程において複数の案内部材の間の摩擦抵抗に打ち勝って第1及び第2回転部材に対する第1及び第2スライダのスライドを行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係る二軸ヒンジ装置を用いたフレキシブルディスプレイシートを有する携帯電話機を示し、(a)は第1筐体と第2筐体を閉じてみた斜視図、(b)は第1筐体と第2筐体を開いてみた斜視図である。
【
図2】
図1に示した携帯電話機を開いた状態で、フレキシブルディスプレイシートと弾性体シートを取り外してみた一部分解斜視図である。
【
図3】
図1に示した携帯電話機における二軸ヒンジ装置の開閉動作の説明図であって、(a)は第1筐体と第2筐体を閉じてみた部分断面図、(b)は第1筐体と第2筐体を開いてみた部分断面図である。
【
図4】
図3に示した二軸ヒンジ装置の開閉動作の説明図であって、(a)は第1スライダと第2スライダを閉じてみた斜視図、(b)は第1スライダと第2スライダを開いてみた斜視図である。
【
図5】
図4に示した二軸ヒンジ装置の部品構成を説明する分解斜視図である。
【
図6】
図4に示した二軸ヒンジ装置における第1及び第2スライダのスライド動作の説明図であって、(a)は第1及び第2スライダを閉じてみた部分断面図、(b)は第1及び第2スライダを開いてみた部分断面図である。
【
図7】
図4に示した二軸ヒンジ装置を下面側から見上げた状態における回転連動手段及び吸込手段の配置の説明図であって、(a)は第1及び第2スライダを閉じてみた部分断面図、(b)は第1及び第2スライダを開いてみた部分断面図である。
【
図8】本願発明に係る二軸ヒンジ装置におけるセンターブロックを示し、(a)はフレキシブルディスプレイシート支持面側から見た斜視図、(b)は下面側から見た斜視図、(c)は一端側の固定案内部材の側面図、(d)は他端側の固定案内部材の側面図である。
【
図9】本願発明に係る二軸ヒンジ装置における第1及び第2開閉部材を示し、(a)は第1及び第2スライダ側から見た斜視図、(b)はバックサイドカバー側から見た斜視図、(c)は一端側の側面図である。
【
図10】本願発明に係る二軸ヒンジ装置における第1及び第2スライダを示し、(a)は第1及び第2開閉部材側から見た斜視図、(b)は第1及び第2開閉部材側から見た平面図、(c)は背面図である。
【
図11】本願発明に係る二軸ヒンジ装置におけるバックサイドカバーを示し、(a)は第1及び第2開閉部材を覆う反対側から見た斜視図、(b)は第1及び第2開閉部材を覆う反対側から見た平面図である。
【
図12】本願発明に係る二軸ヒンジ装置における第1及び第2ヒンジシャフトを示し、(a)は第1ヒンジシャフトの側面図、(b)は第2ヒンジシャフトの側面図である。
【
図13】本願発明に係る二軸ヒンジ装置におけるホールドブロックを示し、(a)は斜め上方向から見た分解斜視図、(b)は斜め下方向から見た分解斜視図である。
【
図14】本願発明に係る二軸ヒンジ装置における連動部材を示し、(a)は斜め上方向から見た斜視図、(b)は上方から見た平面図、(c)は側面図である。
【
図15】本願発明に係る二軸ヒンジ装置における回転カムを示し、(a)は斜め上方向から見た斜視図、(b)は軸線方向から見た平面図、(c)は側面図である。
【
図16】本願発明に係る二軸ヒンジ装置におけるカムプレートを示し、(a)は斜め上方向から見た斜視図、(b)は軸線方向から見た平面図、(c)は側面図である。
【
図17】本願発明に係る二軸ヒンジ装置における第1サイドブロックを示し、(a)は被案内突起側から見た斜視図、(b)は案内溝側から見た斜視図、(c)は第1及び第2ヒンジシャフト側から見た平面図、(d)は外側から見た平面図である。
【
図18】本願発明に係る二軸ヒンジ装置における第2サイドブロックを示し、(a)は被案内突起側から見た斜視図、(b)は案内溝側から見た斜視図、(c)は第1及び第2ヒンジシャフト側から見た平面図、(d)は外側から見た平面図である。
【
図19】本願発明に係る二軸ヒンジ装置における第1中継案内部材を示し、(a)は被案内突起側から見た斜視図、(b)は案内溝側から見た斜視図、(c)は被案内突起側から見た平面図、(d)は案内溝側から見た平面図である。
【
図20】本願発明に係る二軸ヒンジ装置における第2中継案内部材を示し、(a)は被案内突起側から見た斜視図、(b)は案内溝側から見た斜視図、(c)は被案内突起側から見た平面図、(d)は案内溝側から見た平面図である。
【
図21】本願発明に係る二軸ヒンジ装置における第1及び第2スライドリンク部材を示し、(a)は斜め上方向から見た斜視図、(b)は第1及び第2スライダを閉じた際の動作の模式図、(c)は第1及び第2スライダを開いた際の動作の模式図である。
【
図22】本願発明に係る二軸ヒンジ装置における固定案内部材と第1及び第2中間案内部材の動作の説明図であって、(a)は第1及び第2スライダを閉じた状態、(b)は中間位置の状態である。
【
図23】本願発明に係る二軸ヒンジ装置における第1及び第2中間案内部材と第1及び第2回転案内部材の動作の説明図であって、(a)は中間位置の状態、(b)は第1及び第2スライダを開いた状態である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、本発明に係る二軸ヒンジ装置と、この二軸ヒンジ装置を用いた電子機器の一例としての携帯電話機を例に挙げて本発明の実施の形態を説明する。しかし、本発明に係る二軸ヒンジ装置は、携帯電話機だけに用いられるものではなく、上記したように、電子手帳、PDA、ネットブック、さらにはノートパソコンなどのように、1枚のフレキシブルディスプレイシートを取り付けた第1筐体と第2筐体を、フレキシブルディスプレイシート1を外側にして互いに開閉可能に連結する構成の電子機器において広く用いることができる。
【実施例1】
【0031】
図1~
図3は、本発明の電子機器に係る携帯電話機を概略的に示す。携帯電話機1は、
図1(a)に示すようにフレキシブルディスプレイシート5を外側にして曲げて第1及び第2筐体2、3を対向させる閉位置P1から、
図1(b)に示すようにフレキシブルディスプレイシート5を平坦に展開して第1及び第2筐体2、3を一直線に位置決める開位置P2まで開閉操作することができる。
図2に示すように、携帯電話機1は、第1及び第2筐体2、3と、第1及び第2筐体2、3の両上部側の表面に跨ってフレキシブルな弾性体シート4を介して取り付けたところの、例えば有機EL製のフレキシブルディスプレイシート5と、第1及び第2筐体2、3の後端部側を連結する二軸ヒンジ装置6とで構成されている。二軸ヒンジ装置6は、弾性体シート4しかしてフレキシブルディスプレイシート5の下側において、第1及び第2筐体2、3を開閉可能に連結している。二軸ヒンジ装置6は、第1筐体2側のブラケット6dをねじ6cを用いて第1筐体2に固定し、第2筐体3側のブラケット6eをねじ6cを用いて第2筐体3に固定している。なお、スポンジ層4aは、弾性体シート4の曲げ伸ばしに伴うフレキシブルディスプレイシート5の伸縮を吸収するものである。
【0032】
二軸ヒンジ装置6は、第1筐体2と第2筐体3の左右方向の両側に二軸ヒンジ装置6a、6bを1つずつ設けて一体に構成することにより、第1及び第2筐体2、3の取付精度を高めている。しかし、二軸ヒンジ装置6は、左右方向の中央部で分割して二軸ヒンジ装置6a、6bをそれぞれ別体に構成することも、二軸ヒンジ装置6aのみを使用することも可能である。二軸ヒンジ装置6a、6bの軸線方向の間隔には、第1筐体2の内部空間2aと第2筐体3の内部空間3aを連通して配線を通過させるための配線通過部6pが設けられている。
【0033】
図3に示すように、二軸ヒンジ装置6は、携帯電話機1の閉位置P1と開位置P2の間で手動により開閉操作される。二軸ヒンジ装置6は、第1及び第2筐体2、3を開閉して、閉位置P1から開位置P2にしたときも、開位置P2から閉位置P1にしたときも、案内手段50、60によって二軸ヒンジ装置6に沿ったフレキシブルディスプレイシート5の支持面Lcの長さがほぼ一定に保たれる。
図3(a)に示すように、二軸ヒンジ装置6は、閉位置P1において第1及び第2スライダ15、16を後端部側(上方側)へ移動させている。これにより、第1及び第2筐体2、3を閉じる過程で第1及び第2筐体2、3の間に位置するフレキシブルディスプレイシート5の中央部分が両外側へ強く引張られることが回避されている。
図3(b)に示すように、二軸ヒンジ装置6は、開位置P2において第1及び第2スライダ15、16を前端部側(両外側)へ移動させている。これにより、第1及び第2筐体2、3を開く過程でフレキシブルディスプレイシート5が平坦に保持されて、中央の浮き上がり(撓み)が回避されている。
【0034】
図4~
図23は、本発明の二軸ヒンジ装置に係る二軸ヒンジ装置6を概略的に示す。二軸ヒンジ装置6は、特許請求の範囲の請求項1に記載されるように、第1及び第2筐体2、3に跨ってフレキシブルディスプレイシート5を外側にして取り付けて成る電子機器1における前記第1及び第2筐体2、3の後端部を連結してその前端部を開閉可能にする二軸ヒンジ装置であって、第1及び第2ヒンジシャフト21、22と、前記第1及び第2ヒンジシャフト21、22を同期回転させる同期回転手段30aと、前記第1及び第2筐体2、3の
所定の開閉角度から、開位置P2及び閉位置P1へ前記第1及び第2ヒンジシャフト21、22
を回転付勢させる吸込手段40aと、を有する二軸部20aと、前記第1及び第2ヒンジシャフト21、22に対してそれぞれ一体に回動可能に設けられた第1及び第2開閉部材13、14と、前記第1及び第2筐体2、3に対してそれぞれ固定されると共に、前記第1及び第2開閉部材13、14に沿って前端部側及び後端部側へスライド可能に設けられた第1及び第2スライダ15、16と、前記第1及び第2筐体2、3を開く動作に伴って前記吸込手段40aに駆動された前記第1及び第2スライダ15、16をそれぞれ前端部側へ案内し、前記第1及び第2筐体2、3を閉じる動作に伴って前記吸込手段40aに駆動された前記第1及び第2スライダ15、16を後端部側へ案内する案内手段50と、を有し、前記案内手段50は、前記第1及び第2ヒンジシャフト21、22の軸線方向の外側に設けられると共に、前記第1及び第2ヒンジシャフト21、22に対して前記第1及び第2スライダ15、16を前記軸線方向に垂直な面内でそれぞれ円弧状に案内する。
【0035】
図4(a)、(b)に示すように、二軸ヒンジ装置6は、第1及び第2スライダ15、16を、同期回転手段30a、30bにより連動させて対称に開閉させる。そして、その対称な開閉過程において、二軸ヒンジ装置6は、スライダ15、16を後端部側又は前端部側へ積極的に押し出す。閉位置P1側では閉位置P1に向かってスライダ15、16を引き込んで閉位置P1に停止させ、開位置P2側では開位置P2にスライダ15、16を押し出して開位置P2に停止させる。吸込手段40a、40bは、第1及び第2スライダ15、16を閉位置P1及び開位置P2へ向かって移動させる駆動力を発生する。同期回転手段30a、30bは、第1筐体2と第3筐体3の開閉に伴って、第1及び第2ヒンジシャフト21、22、23、24を連動して回転させることにより、第1ヒンジシャフト21、23に対する第1開閉部材13の回転と、第2ヒンジシャフト22、24に対する第2開閉部材14の回転と、を同期させる。吸込手段40a、40b、40c、40dは、第1筐体2と第3筐体3の開閉に伴って、
図5に示す第1及び第2ヒンジシャフト21、22、23、24の回転位置を、第1筐体2と第3筐体3とが対向する閉位置P1と、第1筐体2と第3筐体3とが一直線に展開される開位置P2と、へ強制的に
回転させる。
【0036】
図5に示すように、二軸ヒンジ装置6は、多数の部品を組み立てて構成されている。センターブロック11は、合成樹脂製の縦長の成型品であって、左右方向の梁部11aの中央に配線保持部11pを有し、左右方向の両端に案内手段50、60の案内部材51、61を有する。センターブロック11は、梁部11aの下面に2個ずつのホールドブロック25を取り付けて、第1ヒンジシャフト21、23及び第2ヒンジシャフト22、24をそれぞれ回転自在に支持している。センターブロック11は、第1及び第2ヒンジシャフト21、22、23、24を軸線方向に間隔を設けて二組支持すると共に、二組の第1及び第2ヒンジシャフト21、22、23、24の間で軸線方向に交差する配線を保持可能な配線保持部11pを有する。このため、二軸ヒンジ装置6に配線通過部6pを確保しつつ二軸ヒンジ装置6を薄型に構成できる。
【0037】
図13(a)、(b)に示すように、ホールドブロック25は、ホールド部材25a、25bに分割され、センターブロック11の雌ねじ25dにねじ25cを締め付けることにより、センターブロック11に取り付けられている。
図12(a)、(b)に示すように、第1ヒンジシャフト21及び第2ヒンジシャフト22の両端部には、ホールド部材25a、25bで挟み込んだ際に軸線方向に拘束されるように、小径部21b、21bが形成されている。バックサイドカバー12は、左右方向の両端のねじ孔12bにねじ12aを挿入して、
図8(b)に示すセンターブロック11の下面の雌ねじ12cに締め付けることにより、センターブロック11の下側に取り付けられて、二軸部20を保護する。
【0038】
第1ヒンジシャフト21、23及び第2ヒンジシャフト22、24には、回転カム41、41、カムプレート42、弾性部材43、43、及び連動部材35、36を挿入して、同期回転手段30a、30b及び吸込手段40a、40b、40c、40dが組み立てられている。
【0039】
図7を参照して
図4に示すように、二軸ヒンジ装置6の二軸部20は、第1及び第2ヒンジシャフト21、22を有する二軸部20aと、第1及び第2ヒンジシャフト23、24を有する二軸部20bとを有する。二軸ヒンジ装置6の二軸部20aと二軸部20bとは、軸線方向の向きが反対であるが、共通の部品を用いて同一に組み立てられている。このため、以下では、ヒンジシャフト21、22を有する二軸部20aについて詳細に説明し、ヒンジシャフト23、24を有する二軸部20bに関する重複した説明を省略する。
【0040】
また、二軸ヒンジ装置6の二軸部20aは、同期回転手段30aを有し、二軸部20bは、同期回転手段30bを有する。上述したように、二軸部20aの同期回転手段30aと、二軸部20bの同期回転手段30bは、軸線方向の向きが反対であるが、共通の部品を用いて同一に組み立てられている。このため、以下では、二軸部20aの同期回転手段30aについて詳細に説明し、二軸部20bの同期回転手段30bに関する重複した説明を省略する。
【0041】
さらに、二軸ヒンジ装置6の二軸部20aは吸込手段40a、40bを有し、二軸部20bは吸込手段40c、40dを有する。上述したように、二軸部20aの吸込手段40a、40bと、二軸部20bの吸込手段40c、40dは、軸線方向の向きが反対であるが、共通の部品を用いて同一に組み立てられている。また、二軸部20aの二つの吸込手段40a、40bは、ヒンジシャフト21、22上の位置が異なるが、共通の部品を用いて同一に組み立てられている。このため、以下では、二軸部20aの片方の吸込手段40aについて詳細に説明し、残りの吸込手段40b、40c、40dに関する重複した説明を省略する。
【0042】
図9に示すように、第1及び第2開閉部材の左右方向の両端部に凹所13a、14a及びピン孔26d、27dが設けられている。
図5に示すように、第1開閉部材13は、第1回転リンク部材26を介して第1ヒンジシャフト21に一端を固定されて、第1ヒンジシャフト21と一体に回転する。第1ヒンジシャフト21の端部には回転を拘束するための扁平軸部21aが形成されている。扁平軸部21aを第1回転リンク部材26の回転中心の扁平孔26eに圧入することにより、第1ヒンジシャフト21の回転が第1回転リンク部材26へ伝達される。第1回転リンク部材26の回動端のピン孔26b及びローラ28を貫通させてピン26aを挿入して第1開閉部材13のピン孔26dへ圧入することにより、第1回転リンク部材26の回動端が第1開閉部材13に軸支され、同時にローラ28が回転自在に設けられている。
【0043】
図6(a)、(b)に示すように、第1開閉部材13は、第1スライダ15とスライダカバー17に囲まれた箱型の空間に保持されている。第1スライダ15及びスライダカバー17は、第1開閉部材13に沿って後端部側及び前端部側へスライド可能である。ローラ28は、当接した側で駆動されて回転することにより、第1スライダ15及びスライダカバー17に対する摩擦を軽減して第1スライダ15のスライドを容易にする。
【0044】
第1スライダ15及びスライダカバー17は、ねじ17e、17e、17e、17eをスライダカバー17の丸孔17f、17f、17f、17fに貫通させて第1スライダ15の雌ねじ17g、17g、17g、17gに締め付けることにより固定されている。また、第1スライダ15及びスライダカバー17の両端部には、後述する案内手段50、60を構成する第1サイドブロック15a、15bが固定されている。
図17に示すように、第1サイドブロック15aには、雌ねじ15f、15i、15i、17c、17cが形成されると共に位置決めピン15j、15jが固定されている。第1サイドブロック15a、15bは、第1スライダ15に対しては、
図10(b)に示すピン孔15k、15kに位置決めピン15j、15jを挿入してねじ15g、15gに締め付けることにより、また、スライダカバー17に対しては、ねじ孔17b、17bにねじ17a、17aを挿入して雌ねじ17c、17cに締め付けることにより、第1スライダ15とスライダカバー17の左右方向の端部に固定されている。
図11に示すように、スライダカバー17には、第1及び第2開閉部材13、14の被案内突起13h、14hを案内する案内溝17h、18hが形成されている。
【0045】
第2開閉部材14は、第2回転リンク部材26を介して第2ヒンジシャフト22に一端を固定されて、第2ヒンジシャフト22と一体に回転する。第2ヒンジシャフト22の端部には回転を拘束するための扁平軸部22aが形成されている。扁平軸部22aを第2回転リンク部材27の回転中心の扁平孔27eに圧入することにより、第2ヒンジシャフト22の回転が第2回転リンク部材27へ伝達される。第2回転リンク部材27の回動端のピン孔27b及びローラ28を貫通させてピン27aを挿入して第2開閉部材14の圧入孔27dへ圧入することにより、第2回転リンク部材27の回動端が第2開閉部材14に軸支され、同時にローラ28が回転自在に設けられている。
【0046】
図6(a)、(b)に示すように、第2開閉部材14は、第2スライダ16とスライダカバー18に囲まれた箱状の空間に保持されている。第2スライダ16及びスライダカバー18は、第2開閉部材14に沿って後端部側及び前端部側へスライド可能である。ローラ28は、当接した側で駆動されて回転することにより、第2スライダ16及びスライダカバー18に対する摩擦を軽減して第2スライダ16のスライドを容易にする。
【0047】
第2スライダ16及びスライダカバー18は、ねじ18e、18e、18e、18eをスライダカバー18の丸孔18f、18f、18f、18fに貫通させて第2スライダ16の雌ねじ18g、18g、18g、18gに締め付けることにより固定されている。また、第2スライダ16及びスライダカバー17の両端部には、後述する案内手段50、60を構成する第2サイドブロック16a、16bが固定されている。
図18に示すように、第2サイドブロック16aには、雌ねじ16f、16i、16i、17c、17cが形成されると共に位置決めピン16j、16jが固定されている。第2サイドブロック16a、16bは、第2スライダ16に対しては、
図10(b)に示すピン孔16k、16kに位置決めピン16j、16jを挿入してねじ16g、16gに締め付けることにより、また、スライダカバー17に対しては、ねじ孔17b、17bにねじ17a、17aを挿入して雌ねじ17c、17cに締め付けることにより、第2スライダ15とスライダカバー17の左右方向の端部に固定されている。
【0048】
次に、同期回転手段30aについて詳細に説明する。
図12(a)、(b)に示すように、第1ヒンジシャフト21及び第2ヒンジシャフト22には、スクリューカム31、32に隣接させて丸軸部21d、22dが形成されている。スクリューカム31、32には、対称な螺旋状の第1及び第2螺旋溝31a、32aが形成されている。
【0049】
図14(a)に示すように、連動部材35は、スクリューカム31、32のカムフォロアであって、第1ヒンジシャフト21のガイド孔35aと、第2ヒンジシャフト22のガイド孔35bと、第1及び第2螺旋溝31a、32aに適合する凸条部35cとを有する。
図7(a)、(b)に示すように、連動部材35は、第1ヒンジシャフト21の丸軸部21d及び第2ヒンジシャフト22の丸軸部22dを回転自在に保持して非回転に保たれた状態で軸線方向へスライド可能である。第1ヒンジシャフト21が回転すると、凸条部35cが軸線方向に駆動されて連動部材35が軸線方向へ移動し、連動部材35の軸線方向の移動に伴って凸条部35cが第2螺旋溝32aを軸線方向に駆動して第2ヒンジシャフト22を回転させる。第1及び第2螺旋溝31a、32aに共通の連動部材35を噛み合わせた第1ヒンジシャフト21及び第2ヒンジシャフト22は、双方向に回転を伝達し合って同期回転する。
【0050】
図7(a)に示すように、開位置P2では、連動部材35が案内手段50側(図中左側)にスライドしてスクリューカム31、32から離間した位置にある。開位置P2からブラケット6d、6eを紙面の上空側へ立ち上げて、
図7(b)に示す閉位置P1へ向かって閉じる過程で、連動部材35がスクリューカム31、32へ近づく方向(図中右側)にスライドする。
図7(b)に示すように、閉位置P1では、連動部材35が案内手段50の反対側にスライドして、スクリューカム31、32に近接した位置にある。
【0051】
なお、同期回転手段30aは、電子機器の二軸ヒンジで使用される別の公知な同期回転手段に置き換え可能である。同期回転手段30aは、例えば特許文献3に示される歯車機構或いは別の歯車機構に置き換えてもよい。
【0052】
次に、吸込手段40aについて詳細に説明する。
図12(a)、(b)に示すように、第1ヒンジシャフト21及び第2ヒンジシャフト22には、小径部21b、21bと丸軸部21d、22dの境界に形成される段差部21e、22eと小径部21b、22bとの間に扁平軸部21c、22cが形成されている。
図7(a)、(b)に示すように、この扁平軸部21c、22cには、吸込手段40aが設けられている。吸込手段40aは、ホールドブロック25と上述した段差部21e、22eとによって両端を規制された距離の中で、2組の回転カム41、41とカムプレート42の重なりを、第1及び第2弾性部材43、43によって軸線方向に加圧している。
【0053】
図12(a)、(b)に示すように、第1ヒンジシャフト21及び第2ヒンジシャフト22には、スクリューカム31、32の端部の段差部21f、22fと小径部21b、21bとの間にも扁平軸部21c、22cが形成されている。
図7(a)、(b)に示すように、この扁平軸部21c、22cには、吸込手段40bが設けられている。吸込手段40bは、上述した段差部21f、22fとホールドブロック25によって両端を規制された距離の中で、2組の回転カム41、41とカムプレート42の重なりを第1及び第2弾性部材43、43によって軸線方向に加圧している。
【0054】
図15に示すように、回転カム41の中心には両側Dカットの扁平孔41aが形成されているので、扁平軸部21c、22cに挿入された回転カム41、41は、第1ヒンジシャフト21又は第2ヒンジシャフト22と一体に回転する。一方、
図16に示すように、カムプレート42には一対の丸孔42a、42aが形成されているので、扁平軸部21c、22cに挿入されたカムプレート42は、第1ヒンジシャフト21及び第2ヒンジシャフト22を回転自在に保持して非回転に保たれる。
【0055】
図15に示すように、回転カム41のカムプレート42に対する対向面には2か所の突起部41b、41bと2か所の凹部41c、41cが形成されている。一方、
図16に示すように、カムプレート42の回転カム41に対する対向面には2か所ずつの突起部42b、42bと2か所ずつの凹部42c、42cが形成されている。
【0056】
連動部材35を介して対称に回転する第1ヒンジシャフト21と第2ヒンジシャフト22の約90度ずつの回転範囲において、閉位置P1と開位置P2の間の中間領域には、弾性部材43の圧縮を伴って突起部41b、41bと突起部42b、42bとが相互に斜面を登ってピークを乗り越える角度範囲が形成されている。そのように、回転カム41、41とカムプレート42の左右方向及び上下方向及び表裏方向の向きが設定されている。
【0057】
そして、回転カム41の突起部41b、41bとカムプレート42の突起部42b、42bとがピークを突き合わせる位相位置では、弾性部材43が最大限に圧縮されてカムプレート42と回転カム41の重なりに最大の加圧力が作用する。そのように、回転カム41、41、カムプレート42、第1及び第2弾性部材43、43がそれぞれ配置されている。
【0058】
図7(a)に示すように、開位置P2では、回転カム41の突起部41b、41bとカムプレート42の凹部42c、42cが噛み合い、回転カム41の凹部41c、41cとカムプレート42の突起部42b、42bとが噛み合っている。そして、開位置P2側の所定範囲では、弾性部材43によるカムプレート42と回転カム41の加圧力が最小となる開位置P2へ向かって、回転カム41の位相位置が強く引き込まれる。
【0059】
図7(b)に示すように、閉位置P1でも、回転カム41の突起部41b、41bとカムプレート42の凹部42c、42cが噛み合い、回転カム41の凹部41c、41cとカムプレート42の突起部42b、42bとが噛み合っている。そして、閉位置P1側の所定範囲では、弾性部材43によるカムプレート42と回転カム41の加圧力が最小となる閉位置P1へ向かって、回転カム41の位相位置が強く引き込まれる。
【0060】
なお、吸込手段40aは、電子機器の二軸ヒンジで使用される別の公知な吸込手段に置き換え可能である。吸込手段40aは、第1及び第2弾性部材43、43をスプリングワッシャの積層体に置き換えてもよい。吸込手段40aは、回転体の外周に直径方向の凹凸を形成し、この回転体の外周の凹凸に内周の凹凸を噛み合わせて回転カムの回転を規制する非回転の弾性変形体を回転体の外側に設けた吸込手段に置き換え可能である。
【0061】
次に案内手段50、60について詳細に説明する。上述したように、案内手段50、60は、手動操作による二軸ヒンジ装置6の開閉動作に伴って第1及び第2スライダ15、16を前端部側及び後端部側へスライドさせる機構である。
図6(a)に示すように、二軸ヒンジ装置6のセンターブロック11は、ホールドブロック25を介して第1及び第2ヒンジシャフト21、23を回転可能に支持している。そして、第1及び第2開閉部材13、14は、第1及び第2回転リンク部材26、27を介して第1及び第2ヒンジシャフト21、23とそれぞれ一体に回転する。
【0062】
一方、上述したように、第1及び第2スライド部材15、16は、第1及び第2開閉部材13、14に対して前端部側及び後端部側へスライド可能に取り付けられると共に、第1及び第2ヒンジシャフト21、23を中心として第1及び第2開閉部材13、14と一体に回転する。また、第1及び第2スライド部材15、16の軸線方向の両端部には、第1及び第2回転案内部材である案内部材54、64、55、65が固定されている。案内手段50、60は、案内部材54、64、55、65の回転に連動させて案内部材54、64、55、65を前端部側及び後端部側へ移動させることにより、第1及び第2スライダ15、16を前端部側及び後端部側へスライドさせる。
【0063】
図4(a)に示すように、二軸部20a、20bを軸線方向に挟んで、二軸ヒンジ装置6の一端部に案内手段50が設けられ、他端部に案内手段60が設けられている。案内手段50は、案内部材51、52、53、54、55を有する。案内部材51は、第1及び第2ヒンジシャフト21、22を回転可能に支持するセンターブロック11の軸線方向の端部に設けられた半円型の固定案内部材である。案内部材54、55は、第1及び第2スライダ15、16にそれぞれ固定される第1及び第2サイドブロック15a、16aの回転中心側にそれぞれ設けられた第1及び第2回転案内部材である。案内部材52、53は、第1及び第2案内部材51と第1及び第2案内部材54、55との間に挟み込んでそれぞれ重ね合わせた第1及び第2中継案内部材である。これに対して、案内手段60は、
図5に示すように、案内部材61、62、63、64、65を有し、案内手段50と共通の部品を用いて、案内手段50と対称に組み立てられている。このため、以下では、案内手段50について詳細に説明し、案内手段60に関する重複した説明を省略する。
【0064】
図8(a)に示すように、センターブロック11の一端部に案内部材51が設けられ、センターブロック11の他端部に案内部材61が設けられている。
図8(c)に示すように、案内部材51は、円弧状の案内溝51e、51gを形成され、案内溝51e、51gの一端部に片寄せて案内溝51e、51gを深く形成した規制溝51f、51hを形成されている。センターブロック11の案内溝51e、51gは、
図19、
図20に示す案内部材52、53の被案内突起52a、53aに噛み合って案内部材52、53を案内溝51e、51gに沿って円弧状にスライド可能にしている。センターブロック11の案内溝51e、51gは、第1及び第2ヒンジシャフト21、22に対して、第1及び第2スライダ15、16を、第1及び第2ヒンジシャフト21、22の軸線方向に垂直な面内でそれぞれ円弧状に案内する。センターブロック11の規制溝51f、51hは、
図19、
図20に示す案内部材52、53の係合突起52b、53bに係合して案内部材52、53の案内溝51e、51gに沿ったスライド範囲を規制する。
【0065】
案内溝51e、51g及び被案内突起52a、53aは、二軸ヒンジ装置6の閉位置P1でフレキシブルディスプレイシート5が曲がって形成する半円弧5eの両端の接線L1、L2と頂点の接線L3との2つの交点をそれぞれ中心C1、C2とする円弧状である。すなわち、案内部材51、52、53、54、55において、案内溝51e、51g、52d、53d及び被案内突起52a、53a、54a、55aは、第1及び第2筐体2、3の開位置P2と閉位置P1とで第1及び第2スライダ15、16に沿ったフレキシブルディスプレイシート5の支持面の長さが等しくなるように設計されている。そのような設計の一例において、案内溝51e、51g、52d、53d及び被案内突起52a、53a、54a、55aは、第1及び第2筐体2、3の閉位置P1でフレキシブルディスプレイシート5が曲がって形成する半円弧5eの両端の接線L1、L2と頂点の接線L3との2つの交点をそれぞれ中心C1、C2とする円弧状である。
【0066】
図17、
図18に示すように、案内部材54と案内部材55とは対称に形成され、案内部材54と案内部材65は同一に形成され、案内部材55と案内部材64は同一に形成されている。
図17に示すように、案内部材54は、
図19に示す案内部材52側に円弧状の被案内突起54aを形成されている。円弧状の被案内突起54aの一端部に片寄せて係合突起54bが形成されている。
図18に示すように、案内部材55は、
図20に示す案内部材53側に円弧状の被案内突起55aを形成されている。円弧状の被案内突起55aの一端部に片寄せて係合突起55bが形成されている。
【0067】
図19、
図20に示すように、案内部材52と案内部材53とは対称に形成され、案内部材52と案内部材63は同一に形成され、案内部材53と案内部材62は同一に形成されている。
図19に示すように、案内部材52は、センターブロック11側に円弧状の被案内突起52aを形成され、
図17に示す案内部材54側に円弧状の案内溝52dを形成されている。円弧状の被案内突起52aの一端部に片寄せて上述した係合突起52bが形成されている。また、案内部材52は、円弧状の案内溝52dの一端部に片寄せて案内溝52dの一部を深く形成した規制溝52eを形成されている。規制溝52eは、
図17に示す案内部材54の係合突起54bに係合して、案内部材54の案内溝52dに沿ったスライド範囲を規制する。
図20に示すように、案内部材53は、センターブロック11側に円弧状の被案内突起53aを形成され、
図18に示す案内部材55側に円弧状の案内溝53dを形成されている。円弧状の被案内突起53aの一端部に片寄せて上述した係合突起53bが形成されている。また、案内部材53は、円弧状の案内溝53dの一端部に片寄せて案内溝53dの一部を深く形成した規制溝53eを形成されている。規制溝53eは、
図18に示す案内部材55の係合突起55bに係合して、案内部材55の案内溝53dに沿ったスライド範囲を規制する。
【0068】
図4(a)、(b)に示すように、二軸ヒンジ装置6は、案内部材51に軸支され、その回動端を第1及び第2サイドブロック15a、16aに対してそれぞれスライド可能に設けた第1及び第2スライドリンク部材56、57を有する。第1及び第2スライドリンク部材56、57は、案内手段50、60の軸線方向の両端部に設けられているが、ここでは、案内手段50に設けたものを説明する。第1スライドリンク部材56の軸孔51bと第2スライドリンク部材57の軸孔51cに回動ピン51aを挿入して、回動ピン51aの先端のねじを案内部材51(61)の雌ねじ51dに締め付けることにより、第1及び第2スライドリンク部材56、57がセンターブロック11に対して回転自在に取り付けられている。
【0069】
一方、第1及び第2スライドリンク部材56、57の回動端は、案内部材54、55の案内溝15m、16mに案内されてスライドすることにより、第1及び第2スライダ15、16の前端部側及び後端部側へのスライドを吸収する。スライド溝カバー19、19を案内溝15m、16m側から貫通させたスライドピン56a、57aの先端が第1及び第2スライドリンク部材56、57の取り付け孔56c、57cにかしめて固定されている。ねじ15d、16dを、スライド溝カバー19、19のねじ孔15e、16eに貫通させて雌ねじ15f、16fに締め付けることにより、スライドピン56a、57aが第1及び第2サイドブロック15a、16aの案内溝15m、16mに沿ってスライド可能に組み立てられている。
【0070】
図21の(a)に示す閉位置P1と(b)に示す開位置P2との間でスライドピン56a、57aが案内溝15m、16mに沿って移動することにより、案内部材51、52、53、54、55の案内溝51e、51g、52d、53d及び被案内突起52a、53a、54a、55aにかかる負荷が軽減されている。
【0071】
図22(a)に示す閉位置P1から
図22(b)に示す中間位置P3までの案内手段50の動作を説明する。案内部材51に案内部材52、53が重ねられ、案内部材51の円弧状の案内溝51e、51gに案内部材52、53の円弧状の被案内突起52a、53aが噛み合っているため、案内部材52、53は、案内部材51の案内溝51e、51gに沿って円弧状にスライド可能である。
【0072】
図22(a)に示す閉位置P1では、案内部材52、53の係合突起52b、53bが案内部材51の規制溝51f、51hの一端に当接している。
図22(b)に示す中間位置P3では、案内部材52、53の係合突起52b、53bが案内部材51の規制溝51f、51hの他端に当接している。係合突起52b、53bの移動範囲は、規制溝51f、51hによって規制されるため、案内部材52、53が案内溝51e、51gに沿って移動できる範囲は、規制溝51f、51h内を係合突起52b、53bが移動できる閉位置P1から中間位置P3までの45度の範囲となる。
【0073】
図23(a)に示す中間位置P3から
図23(b)に示す開位置P2までの案内手段50の動作を説明する。案内部材52、53に案内部材54、55が重ねられ、案内部材52、53の円弧状の案内溝52d、53dに案内部材54、55の円弧状の被案内突起54a、55aが噛み合っているため、案内部材54、55は、案内部材52、53の案内溝52d、53dに沿って円弧状にスライド可能である。
【0074】
図23(a)に示す中間位置P3では、案内部材54、55の係合突起54b、55bが案内部材52、53の規制溝52e、53eの一端に当接している。
図23(b)に示す開位置P2では、案内部材54、55の係合突起54b、55bが案内部材52、53の規制溝52e、53eの他端に当接している。係合突起54b、55bの移動範囲は、規制溝52e、53eによって規制されるため、案内部材54、55が案内溝52d、53dに沿って移動できる範囲は、規制溝52e、53eを係合突起54b、55bが移動できる中間位置P3から開位置P2までの45度の範囲となる。
【0075】
なお、実際には、案内部材51に対する案内部材52、53の円弧状のスライドと、案内部材52、53に対する案内部材54、55の円弧状のスライドと、が45度の中間位置で100%切り替わることはなく、閉位置P1と開位置P2との間で案内部材52、53のスライドと、案内部材54、55のスライドとは比較的に摩擦抵抗の少ない側が選ばれて断続的かつ交互に進行する。しかし、この場合でも同期回転手段30a、30bによって第1及び第2ヒンジシャフト21、22の回転が対称に進行しているため、案内部材51に対する案内部材54、55のそれぞれの円弧状のスライドは対称に進行する。
【0076】
ところで、
図22、23において、係合突起52b、53b、54b、55bが無い場合を考えると、案内手段50は、案内部材52、53を取り除いて、案内部材51に案内部材54、55を直接重ね合わせ、案内部材51の円弧状の案内溝51e、51gに案内部材54、55の円弧状の被案内突起54a、55aを噛み合わせた実施形態でも、案内部材54、55に対して案内手段50の場合と同一の案内機能を実現できる。したがって、二軸ヒンジ装置6の案内手段50において、案内部材52、53は、案内部材51の円弧状の案内溝51e、51gと案内部材54、55の円弧状の被案内突起54a、55aとが支持し合う範囲を案内溝51e、51gに沿って拡張するため、そして、この拡張された範囲に案内部材54、55の回転範囲を規制する係合突起52b、53b、54b、55bを配置するために、補助的に設けられていると理解することができる。逆に言えば、二軸ヒンジ装置6の案内手段50において、案内部材52、53は、案内部材51に対する案内部材54、55の摩擦抵抗や回転ロックを軽減すると共に、その回転範囲を規制する構造をコンパクトに実現するという効果を付加している。そして、上述した第1及び第2スライドリンク部材56、57は、この案内部材52、53と並行して案内部材51が案内部材54、55を支持する点の数と点間の距離をさらに拡大して、案内部材51に対する案内部材54、55の摩擦抵抗や回転ロックを軽減している。
【0077】
また、相互に噛み合う案内溝51e、51gと被案内突起52a、53aとは円弧の半径が同一であって、噛み合った状態では円弧の中心C1、C2が共有されている。しかし、案内溝51e、51gとは独立して被案内突起54a、55aに噛み合う案内溝52e、53eは、必ずしも案内溝51e、51g(すなわち被案内突起52a、52a)と円弧の直径が同一である必要は無く、円弧の中心を共有する必要もない。したがって、この2種類の円弧の直径と中心を少し異ならせることで、閉位置P1から開位置P2までの過程におけるフレキシブルディスプレイパネル5の張力状態及び浮き上がり状態を調整してもよい。さらに、案内部材51(第1及び第2ヒンジシャフト21、22)に対して第1及び第2スライダ15、16を軸線方向に垂直な面内で円弧状に案内する案内手段は、案内溝と被案内突起とが摺擦する組合せには限らない。例えば、円弧状の被案内突起を円弧状の移動軌跡に沿って配置した複数のローラで支持して円弧状に案内する機構に置き換えてもよい。
【0078】
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る二軸ヒンジ装置6では、案内手段50、60が第1及び第2ヒンジシャフト21、22に対して第1及び第2スライダ15、16を軸線方向に垂直な面内で円弧状に案内するので、第1及び第2筐体2、3の開閉動作に連動させて第1及び第2スライダ15、16を前端部側又は後端部側へ連続的に移動させることができる。そして、案内手段50、60が第1及び第2ヒンジシャフト21、22の軸線方向の外側に設けられるので、第1及び第2ヒンジシャフト21、22の軸線方向の領域を同期回転手段30a及び吸込手段40a、40bにより多く割り当てることができる。そして、ヒンジシャフトの本数が少ないので、第1及び第2筐体2、3の開閉に伴うヒンジシャフト1本当たりの回転角度が大きくなって、特許文献3の二軸ヒンジ装置のような精密で力強い動作が可能な同期回転手段や吸込手段を組み込むことが容易である。さらに、ヒンジシャフトの本数が少ないため、フレキシブルディスプレイシート5を外側にして第1及び第2筐体2、3を開閉可能な二軸ヒンジ装置6を部品点数少なく構成できる。
【0079】
二軸ヒンジ装置6は、案内溝と被案内突起を噛み合わせた単純な構造で円弧状の案内を実現すると共に複数の案内部材51、52、53、54、55を軸線方向に重ね合わせて案内手段50を構成するので、案内手段50の軸線方向の厚みを小さくして、第1及び第2ヒンジシャフト21、22に対して軸線方向の大きなスペースを割り当てることができる。このため、上述したように同期回転手段30a及び吸込手段40a、40bの性能を高めることが容易である。
【0080】
二軸ヒンジ装置6は、
図8(c)に示すように、第1及び第2筐体2、3の閉位置P1でフレキシブルディスプレイシート5が曲がって形成する半円弧5eの両端の接線L1、L2と頂点の接線L3との2つの交点C1、C2をそれぞれ中心とする円弧状に第1及び第2スライド部材15、16を案内するので、フレキシブルディスプレイシート5を外側にして取り付けた第1及び第2筐体2、3を、フレキシブルディスプレイシート5の支持面の長さをほぼ一定に保って開閉可能に連結することができる。そして、第1及び第2筐体2、3を対称に開閉動作させ、二軸ヒンジ装置6の開き角度を閉位置P1と開位置P2とへ強制的に引き込んで第1及び第2筐体2、3の開閉動作に快適な手応えを付与するという技術的要請を、より簡単な構成で実現できる操作性の良い二軸ヒンジ装置6を提供することができる。
【0081】
二軸ヒンジ装置6は、上述したように、案内部材51、52、53、54、55が案内溝51e、51g、52d、53d及び/又は被案内突起52a、53a、54a、55aを有し、案内溝51e、51g、52d、53d及び被案内突起52a、53a、54a、55aを相互に噛み合わせて軸線方向に重ね合わせている。このため、案内手段50、60を薄型に構成して案内手段50、60の軸線方向の間隔に第1及び第2ヒンジシャフト21、22を配置するレイアウトが可能になった。
【0082】
二軸ヒンジ装置6は、第1及び第2スライダ15、16に固定されてフレキシブルディスプレイシート5の下面を支持する弾性体シート4を有する。このため、閉位置P1でフレキシブルディスプレイシート5に整った円弧を形成することができる。また、開位置P2における第1及び第2スライダ15、16の間隔でフレキシブルディスプレイシート5を平坦に保持することが容易である。
【0083】
二軸ヒンジ装置6は、第1及び第2ヒンジシャフト21、22の端部に一端を固定して他端を第1及び第2開閉部材13、14の回動端に軸支させた第1及び第2回転リンク部材26、27を有し、第1及び第2回転リンク部材26、27の他端は、第1及び第2スライダ15、16に対して回転自在に当接するローラ28と共に軸支させている。このため、第1及び第2開閉部材13、14を剛性高く回動できると共に、第1及び第2開閉部材13、14に対する第1及び第2スライダ15、16のスライドが円滑である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は以上のように構成したので、開閉可能に連結した第1筐体と第2筐体を同期して開閉させ、開閉時に閉位置P1の近傍と開位置P2の近傍とで吸込トルクを創出して閉位置P1と開位置P2とに第1筐体と第2筐体を位置決めてクリック停止できる機能を持ち、さらに、第1筐体と第2筐体の両表面に渡って設けたフレキシブルディスプレイシートの曲げ部分に浮き上がりの撓みを生じさせたり、第1筐体と第2筐体との間で引っ張ったりすることなく開閉できる二軸ヒンジ装置、並びにこの二軸ヒンジ装置を用いた電子機器として好適に用いられるものである。
【符号の説明】
【0085】
1 携帯電話機(電子機器)
2 第1筐体
3 第2筐体
4 弾性体シート
5 フレキシブルディスプレイシート
6 二軸ヒンジ装置
6a、6b 二軸ヒンジ装置
6c ねじ
6d、6e ブラケット
11 センターブロック
12 バックサイドカバー
13 第1開閉部材
14 第2開閉部材
15 第1スライダ
15a、15b 第1サイドブロック
16 第2スライダ
16a、16b 第2サイドブロック
17、18 スライダカバー
20、20a、20a 二軸部
21、23 第1ヒンジシャフト
22、24 第2ヒンジシャフト
25 ホールドブロック
25a、25b ホールド部材
26 第1回転リンク部材
27 第2回転リンク部材
28 ローラ
30a、30b 同期回転手段
31、32 スクリューカム
31a 第1螺旋溝
32a 第2螺旋溝
35、36 連動部材(カムフォロア)
40a、40b、40c、40d 吸込手段
41 回転カム
42 カムプレート
43 弾性部材
50、60 案内手段
51、61 案内部材(固定案内部材)
51e、51g 案内溝
51f、51h 規制溝
52、62 案内部材(第1中継案内部材)
52a 被案内突起
52b 係合突起
52d 案内溝
52e 規制溝
53、63 案内部材(第2中継案内部材)
53a 被案内突起
53b 係合突起
53d 案内溝
53e 規制溝
54、64 案内部材(第1回転案内部材)
54a 被案内突起
54b 係合突起
55、65 案内部材(第2回転案内部材)
55a 被案内突起
55b 係合突起
56 第1スライドリンク部材
57 第2スライドリンク部材