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  • 特許-ガス供給装置および半導体製造装置 図1
  • 特許-ガス供給装置および半導体製造装置 図2A
  • 特許-ガス供給装置および半導体製造装置 図2B
  • 特許-ガス供給装置および半導体製造装置 図3A
  • 特許-ガス供給装置および半導体製造装置 図3B
  • 特許-ガス供給装置および半導体製造装置 図4A
  • 特許-ガス供給装置および半導体製造装置 図4B
  • 特許-ガス供給装置および半導体製造装置 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】ガス供給装置および半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20230817BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20230817BHJP
   F17D 1/02 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/205
F17D1/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019121020
(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2021006654
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】110002893
【氏名又は名称】弁理士法人KEN知財総合事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 湖介
(72)【発明者】
【氏名】栗城 春彦
(72)【発明者】
【氏名】余湖 隆司
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-321069(JP,A)
【文献】特開平10-227368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
H01L 21/205
F17D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス材料を処理チャンバに供給する複数の流体制御装置を有するガス供給装置であって、
前記複数の流体制御装置の各々は、
プロセス材料が供給される入力部と、前記入力部を通じて供給されたプロセス材料の一部または全部を前記処理チャンバに連通するプロセスラインに排出する第1の出力部と、前記入力部を通じて供給されたプロセス材料の一部を排出する第2の出力部とを備える分岐ブロックを有し、
前記複数の流体制御装置の各々の分岐ブロックは、前記入力部がプロセス材料の供給源に供給管を介して接続され、又は、上流側の他の流体制御装置の分岐ブロックの第2の出力部に分岐管を介して接続され、
最下流側の流体制御装置の分岐ブロックの第2の出力部は、前記分岐管が接続される代わりに、閉止部材によって閉止されており、
前記複数の流体制御装置の各々は、
前記プロセスラインに設けられて液体材料からなるプロセス材料をガス化する気化器と、
前記プロセスラインにおける前記気化器の上流に、上流側から直列にこの順に設けられた第1の二方弁、第1の三方弁、第2の二方弁及び第2の三方弁を含むバルブ列であって、前記第1の三方弁が前記第1の出力部に接続された、バルブ列と、
前記プロセスラインにパージガスを流すためのパージガス用配管を有し、
前記パージガス用配管は、
前記プロセスラインの前記第2の三方弁に接続された上流側配管と、
前記プロセスラインの前記気化器からのガスの排出ラインに接続された下流側配管と、
前記プロセスラインの前記第1の三方弁に接続された最上流側配管と、を有する、ガス供給装置。
【請求項2】
前記分岐管および閉止部材は、前記分岐ブロックに対して着脱自在に形成されている、請求項1に記載のガス供給装置。
【請求項3】
密閉された処理チャンバ内においてプロセスガスによる処理工程を要する半導体装置の製造プロセスにおいて、前記プロセスガスの供給に請求項1又は2に記載のガス供給装置を用いる半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体材料を気化させて処理チャンバに供給するガス供給装置およびこれを用いた半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造プロセスにおいては、気化器を内蔵する流体制御装置を用いて、液体材料をガス化して、処理チャンバに供給することが行われている。
複数の処理チャンバに共通の液体材料をガス化して供給する場合には、複数の処理チャンバの各々に対応して複数の流体制御装置を用意し、液体材料のタンクから複数の流体制御装置にそれぞれ延びる配管を設けることにより対応していた。処理チャンバの複数の箇所にガスを供給する場合にも同様の方法が採用されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の方法で液体材料をガス化して複数の処理チャンバ又は複数の供給箇所に供給したのでは、処理チャンバや供給箇所の数が増減した場合に、液体材料のタンクと各流体制御装置とを結ぶ配管設備を新たに設計しなおす必要があった。
【0004】
本発明の目的は、ガスを供給すべき供給箇所や処理チャンバの増減に柔軟に対応できるガス供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るガス供給装置は、
プロセス材料を処理装置に供給する複数の流体制御装置を有するガス供給装置であって、
前記複数の流体制御装置の各々は、
プロセス材料が供給される入力部と、前記入力部を通じて供給されたプロセス材料の一部または全部を前記処理装置に連通するプロセスラインに排出する第1の出力部と、前記入力部を通じて供給されたプロセス材料の一部を排出する第2の出力部とを備える分岐ブロックを有し、
前記複数の流体制御装置の各々の分岐ブロックは、前記入力部がプロセス材料の供給源に供給管を介して接続され、又は、上流側の他の流体制御装置の分岐ブロックの第2の出力部に分岐管を介して接続され、
最下流側の流体制御装置の分岐ブロックの第2の出力部は、前記分岐管が接続される代わりに、閉止部材によって閉止されている。
【0006】
好適には、前記分岐管および閉止部材は、前記分岐ブロックに対して着脱自在に形成されている、構成を採用できる。
【0007】
さらに好適には、
前記複数の流体制御装置の各々は、パージガス用配管を有し、
前記パージガス用配管は、
前記プロセスラインの前記気化器への液体材料の供給ラインに接続された上流側配管と、
前記プロセスラインの前記気化器からのガスの排出ラインに接続された下流側配管と、
前記供給ラインの前記分岐ブロックの第1の出力部からの液体材料の供給位置よりもさらに上流側に接続された最上流側配管と、を有する。
【0008】
本発明の半導体製造装置は、密閉された処理チャンバ内においてプロセスガスによる処理工程を要する半導体装置の製造プロセスにおいて、前記プロセスガスの供給に上記のガス供給装置を用いる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ガスを供給すべき供給箇所や処理チャンバの増減に容易かつ柔軟に対応でき、拡張性の高いガス供給装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るガス供給装置の概略構成を示す機能ブロック図。
図2A】上流側における分岐ブロック部の外観斜視図。
図2B】上流側における分岐ブロック部の断面図。
図3A】最下流側における分岐ブロック部の外観斜視図。
図3B】最下流側における分岐ブロック部の断面図。
図4A】上流側のガスボックス内の構成の一例を示す図。
図4B】最下流側のガスボックス内の構成の一例を示す図。
図5】本発明の他の実施形態に係るガス供給装置の概略構成を示す機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書および図面においては、機能が実質的に同様の構成要素には、同じ符号を使用することにより重複した説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係るガス供給装置1の概略構成を示している。
図1において、ガス供給装置1は、複数の流体制御装置10(10A~10C)を有している。
【0012】
流体制御装置10A~10Cは、それぞれ液体材料をガス化する気化器11を内蔵しており、ガスを対応する処理チャンバ20A~20Cに供給する。なお、処理チャンバ20A~20Cおよび気化器11については、周知技術であるので詳細説明を省略する。
流体制御装置10A~10Cは、液体材料を処理チャンバ20A~20Cに接続すると共に、下流側の流体制御装置10B、10Cとに分岐させるための分岐ブロック部50をそれぞれ備えている。
【0013】
流体制御装置10Aの分岐ブロック部50は、液体材料タンク30と供給管60により接続され、気化器11に排出管70により接続され、下流側の流体制御装置10Bの分岐ブロック部50に分岐管61により接続されている。
流体制御装置10Bの分岐ブロック部50は、下流側の流体制御装置10Cの分岐ブロック部50と分岐管61により接続され、気化器11に排出管70により接続されている。
図1における40はパージガス供給部であり、供給管60を通じて流体制御装置10A~10CにパージガスPGを供給するが、詳細は後述する。
【0014】
図2Aおよび図2Bに、流体制御装置10A,10Bの分岐ブロック部50の構造を示し、図3Aおよび図3Bに流体制御装置10Cの分岐ブロック部50の構造を示す。
図2A図2Bに示すように、分岐ブロック部50は、分岐ブロック51と、分岐ブロック51上の接続ブロック62,63からなる。
分岐ブロック51には、液体材料Lが供給される入力部51aと、入力部51aを通じて供給された液体材料Lの一部または全部L1を気化器11に排出する第1の出力部51bと、入力部51aを通じて供給された液体材料Lの一部L2を排出する第2の出力部51cが形成されている。
入力部51aには、接続ブロック62によって供給管60または分岐管61が接続されている。
第1の出力部51bには、排出管70が直接接続されている。
第2の出力部51cには、接続ブロック63によって分岐管61が接続されている。
【0015】
図3A図3Bに示す分岐ブロック部50は、分岐ブロック51上の上記の接続ブロック63に代えて閉止部材としての閉止ブロック64が設けられている。
閉止ブロック64は、第2の出力部51cを閉止する。
なお、接続ブロック62,63および閉止ブロック64は、分岐ブロック51に対して着脱自在に形成されている。
【0016】
上記のように本実施形態に係るガス供給装置1は、分岐ブロック部50を複数の流体制御装置10A~10Cの各々に設けて複数の流体制御装置10A~10Cをひとつなぎにしている。このため、処理チャンバ20A~20Cに加えて新たな処理チャンバにガスを供給するには、流体制御装置10を追加し、新たな分岐管61を閉止ブロック64に代えて最下流の流体制御装置10Cの分岐ブロック51の第2の出力部51cに接続し、追加の流体制御装置10の第2の出力部51cを閉止ブロック64で閉止すればよい。
処理チャンバの数を削減する場合には、分岐管61の代わりに閉止ブロック64で第2の出力部51cを閉止すればよい。すなわち、分岐管61と閉止ブロック64の接続関係を変更するだけで、ガスの出力数を簡単に変更できる。
【0017】
次に、ガス供給装置1のパージガスによるメンテナンス方法について説明する。
ガス供給装置1は頻繁に取り外してメンテナンスする必要がある。メンテナンス時には、各配管に液体材料やガスが残留していないようにパージガスで予めパージしてやる必要がある。
このため、図4A,4Bに示すように、複数の流体制御装置10A~10Cの各々は、パージガス用配管100を備えている。
パージガス用配管100は、気化器11の下流に設けられたヒータライン12の下流にパージガスPGを供給する下流側配管101と、気化器11への液体材料Lの供給ライン15に接続された上流側配管102と、供給ライン15の分岐ブロック部50からの液体材料Lの供給位置よりもさらに上流側に接続された最上流側配管103とを有する。ヒータライン12は、気化器11で気化されたガスが液化しないように加熱するために設けられている。
図4Aおよび図4Bに示すパージガス用配管100には、複数のバルブV1~V6(V3,V5は三方弁である。)が設けられている。これらのバルブV1,V2,V3,V4,V6を開放することで、下流側配管101、上流側配管102および最上流側配管103からパージガスPGが供給される。
バルブV1は、図示しないパージガス供給源からのパージガスPGを供給する供給管104に設けられ、バルブV2は下流側配管101の出口に設けられ、バルブV3は上流側配管102の出口に設けられ、バルブV4はバルブV3の上流側に設けられ、バルブV5は排出管70の出口に設けられ、バルブV6はバルブV5の上流側に設けられている。
ここで、バルブV3~V6、供給ライン15、気化器11、ヒータライン12、処理チャンバに連通する排出ライン16を含めてプロセスラインPLとする。
【0018】
プロセスラインPLは、バルブV1,V2,V3,V4,V6を開放することでパージされる。その後、気化器11が取り外され、メンテナンスが行われる。
なお、バルブV3,V4,V6を開放すると、プロセスラインPLの最上流側からパージガスPGが供給され、プロセスラインPL供内の液体材料が全てパージされ、プロセスラインPL内に液体材料Lの液だまりが生じるのを防止できる。
【0019】
供給配管は上流側に設けられたバルブ(図示省略)からパージガスが流入し、最下流側のガスボックスのバルブV1~V6を全て開放することでパージされる。
【0020】
以上のように、本実施形態によれば、処理チャンバの増減に容易かつ柔軟に対応でき、拡張性の高いガス供給装置が得られる。また、メンテナンスの際には、本実施形態に係るガス供給装置はパージガスの供給によりプロセスラインに液体材料の液だまりが生じるのを防ぐことができる。
【0021】
上記実施形態では、液体材料Lを最上流側の流体制御装置10Aから最下流側の流体制御装置10Cに向けて供給したが、最下流側の流体制御装置10C
から最上流側の流体制御装置10Aに向けて液体材料Lを供給することもできる。この場合には、供給管60の接続ブロック62を閉止ブロック64に交換し、最下流側の流体制御装置10Cに設けた閉止ブロック64を供給管60の接続ブロック62に取り換える。このように、分岐ブロック部50により流体制御装置10A~10Cをひとつなぎにすることで、液体材料の供給位置も可変にできる。
【0022】
上記実施形態では、気化器11を各流体制御装置10A~10Cに内蔵した場合を例示したが、これに限定されない。
図5に示すガス供給装置100Aのように、流体制御装置110(110A~110C)の上流側に気化器11を設け、流体制御装置110A~110Cでは気化を行わないことも可能である。
また、最下流側から液体材料を供給する場合には、気化器11を下流側に配置すればよい。
【0023】
上記実施形態では、ガス供給装置から複数の処理チャンバにガスを供給する場合を例示したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、一の処理チャンバの複数個所にガスを供給する場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 :ガス供給装置
10,10A-10C :流体制御装置
11 :気化器
12 :ヒータライン
15 :供給ライン
PL :プロセスライン
20A-20C :処理チャンバ
30 :液体材料タンク
40 :パージガス供給部
50 :分岐ブロック部
51 :分岐ブロック
51a :入力部
51b :第1の出力部
51c :第2の出力部
60 :供給管
61 :分岐管
62,63 :接続ブロック
64 :閉止ブロック
70 :排出管
100 :パージガス用配管
101 :下流側配管
102 :上流側配管
103 :最上流側配管
104 :供給管
L,L1,L2 :液体材料
PG :パージガス
V1-V6 :バルブ
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5