(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】ペン型錠剤取り出し器
(51)【国際特許分類】
A61J 7/00 20060101AFI20230817BHJP
B65D 83/04 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
A61J7/00 C
B65D83/04 D
(21)【出願番号】P 2019159918
(22)【出願日】2019-08-16
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2018192948
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000206185
【氏名又は名称】大成化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【氏名又は名称】村上 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(72)【発明者】
【氏名】石川 成道
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3195886(JP,U)
【文献】登録実用新案第3203690(JP,U)
【文献】特開2001-009007(JP,A)
【文献】特開2015-139498(JP,A)
【文献】特開2006-212389(JP,A)
【文献】特表2012-508677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 7/00
B65D 83/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PTP包装された錠剤を取り出す機能を有する錠剤取り出し器であって、
ホルダー(1)と、キャップ(2,11)と、ホルダー(1)又はキャップ(2)に配されたクリップ(6)とを備え、ホルダー(1)又はキャップ(2)には錠剤貫通穴(3,9,14)が設けられ、クリップ(6)の先端の突起部(5)で錠剤を押し出すと錠剤貫通穴(3,9,14)からホルダー(1)内に錠剤を取り込むことが出来る、錠剤取り出し器
において、
クリップ(6)の突起部(5)に蓋(4)を配し、錠剤取り出し後、錠剤貫通穴(3)を塞ぐことが出来る、錠剤取り出し器。
【請求項2】
PTP包装された錠剤を取り出す機能を有する錠剤取り出し器であって、
ホルダー(1)と、キャップ(2,11)と、ホルダー(1)又はキャップ(2)に配されたクリップ(6)とを備え、ホルダー(1)又はキャップ(2)には錠剤貫通穴(3,9,14)が設けられ、クリップ(6)の先端の突起部(5)で錠剤を押し出すと錠剤貫通穴(3,9,14)からホルダー(1)内に錠剤を取り込むことが出来る、錠剤取り出し器
において、
キャップ(2)とホルダー(1)の重なり合う部分において、キャップ(2)側に錠剤貫通穴(9)を、ホルダー(1)側にカプセル剤対応の貫通穴(7)と丸剤対応の貫通穴(8)とを設け、ホルダー(1)を回転させることにより、カプセル剤対応の貫通穴(7)が錠剤貫通穴(9)に合致する状態(a)、丸剤対応の貫通穴(8)が錠剤貫通穴(9)に合致する状態(b)、及び、錠剤貫通穴(9)を密閉する状態(c)のいずれかにすることが出来る、錠剤取り出し器。
【請求項3】
PTP包装された錠剤を取り出す機能を有する錠剤取り出し器であって、
ホルダー(1)と、キャップ(2,11)と、ホルダー(1)又はキャップ(2)に配されたクリップ(6)とを備え、ホルダー(1)又はキャップ(2)には錠剤貫通穴(3,9,14)が設けられ、クリップ(6)の先端の突起部(5)で錠剤を押し出すと錠剤貫通穴(3,9,14)からホルダー(1)内に錠剤を取り込むことが出来る、錠剤取り出し器
において、
キャップ(11)はホルダー(1)の上端に配されたヒンジ付キャップであり、錠剤貫通穴(14)はホルダー(1)側に配備された貫通穴であり、カプセル剤対応の貫通穴(12)と丸剤対応の貫通穴(13)とを有する回転式ソケット(10)をホルダー(1)に回転可能に設け、回転式ソケット(10)を回転させることにより、カプセル剤対応の貫通穴(12)が錠剤貫通穴(14)に合致する状態(d)、丸剤対応の貫通穴(13)が錠剤貫通穴(14)に合致する状態(e)、及び、錠剤貫通穴(14)を密閉する状態(f)のいずれかにすることが出来る、錠剤取り出し器。
【請求項4】
PTP包装された錠剤を取り出す機能を有する錠剤取り出し器であって、
ホルダー(1)と、キャップ(2,11)と、ホルダー(1)又はキャップ(2)に配されたクリップ(6)とを備え、ホルダー(1)又はキャップ(2)には錠剤貫通穴(3,9,14)が設けられ、クリップ(6)の先端の突起部(5)で錠剤を押し出すと錠剤貫通穴(3,9,14)からホルダー(1)内に錠剤を取り込むことが出来る、錠剤取り出し器
において、
錠剤貫通穴(14)はホルダー(1)側に配備された貫通穴であり、スライド式ソケット(15)をホルダー(1)にスライド可能に設け、ソケット(15)のクリップ(6)側に溝(15)を設け、ソケット(15)を上下にスライドさせることにより、錠剤貫通穴(14)と溝(15)とが合致することで形成される開口がカプセル剤に対応する状態(g)、前記開口が丸剤に対応する状態(h)、及び、錠剤貫通穴(14)を密閉する状態(i)のいずれかにすることが出来る、錠剤取り出し器。
【請求項5】
PTP包装された錠剤を取り出す機能を有する錠剤取り出し器であって、
ホルダー(1)と、キャップ(2,11)と、ホルダー(1)又はキャップ(2)に配されたクリップ(6)とを備え、ホルダー(1)又はキャップ(2)には錠剤貫通穴(3,9,14)が設けられ、クリップ(6)の先端の突起部(5)で錠剤を押し出すと錠剤貫通穴(3,9,14)からホルダー(1)内に錠剤を取り込むことが出来る、錠剤取り出し器
において、
前記ホルダー(1)又は前記キャップ(2)は円筒形であり、錠剤貫通穴(3)は、前記円筒形の側面に開口して設けられている、錠剤取り出し器。
【請求項6】
クリップ(6)の突起部(5)に蓋(4)を配し、錠剤取り出し後、錠剤貫通穴(3)を塞ぐことが出来る、請求項5に記載の錠剤取り出し器。
【請求項7】
キャップ(2)とホルダー(1)の重なり合う部分において、キャップ(2)側に錠剤貫通穴(9)を、ホルダー(1)側にカプセル剤対応の貫通穴(7)と丸剤対応の貫通穴(8)とを設け、ホルダー(1)を回転させることにより、カプセル剤対応の貫通穴(7)が錠剤貫通穴(9)に合致する状態(a)、丸剤対応の貫通穴(8)が錠剤貫通穴(9)に合致する状態(b)、及び、錠剤貫通穴(9)を密閉する状態(c)のいずれかにすることが出来る、請求項5に記載の錠剤取り出し器。
【請求項8】
キャップ(11)はホルダー(1)の上端に配されたヒンジ付キャップであり、錠剤貫通穴(14)はホルダー(1)側に配備された貫通穴であり、カプセル剤対応の貫通穴(12)と丸剤対応の貫通穴(13)とを有する回転式ソケット(10)をホルダー(1)に回転可能に設け、回転式ソケット(10)を回転させることにより、カプセル剤対応の貫通穴(12)が錠剤貫通穴(14)に合致する状態(d)、丸剤対応の貫通穴(13)が錠剤貫通穴(14)に合致する状態(e)、及び、錠剤貫通穴(14)を密閉する状態(f)のいずれかにすることが出来る、請求項5に記載の錠剤取り出し器。
【請求項9】
錠剤貫通穴(14)はホルダー(1)側に配備された貫通穴であり、スライド式ソケット(15)をホルダー(1)にスライド可能に設け、ソケット(15)のクリップ(6)側に溝(15)を設け、ソケット(15)を上下にスライドさせることにより、錠剤貫通穴(14)と溝(15)とが合致することで形成される開口がカプセル剤に対応する状態(g)、前記開口が丸剤に対応する状態(h)、及び、錠剤貫通穴(14)を密閉する状態(i)のいずれかにすることが出来る、請求項5に記載の錠剤取り出し器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はPTP包装された錠剤の取り出し機能と、錠剤取り出し後、そのまま手に触れずに服薬できる服薬補助機能を併せ持つ医薬関連商品である。
【背景技術】
【0002】
従来、PTP包装から錠剤を取り出す場合、指先で押し出しているが、取り出す際に指先に触れて不衛生である。又、指先の鈍麻、痺れ、肥大、変形、疼痛、などの障害がある場合、指で押し出す作業が困難である。従って、家庭などでは小型の錠剤取り出し器を使ってきた。
【0003】
既存の錠剤取り出し器にあっては、文具のステープラ構造のように、PTPシートを挟みこんで、押し出す仕組みのものが多い(特許文献1)(非特許文献1)。
【0004】
これらの方法においては、錠剤を容器に押し出した後、服薬する段階で指先にて把持したり、手のひらに乗せるため不衛生であり、とくに外出先など不衛生な場所では感染症感染のリスクを伴う。
【0005】
中には、錠剤を取り出した後、容器から直接服薬できるシステムのものもある。
【0006】
(特許文献2)は、取り出し機能において、半円筒形容器のヒンジ付蓋開閉を利用して、蓋部分で錠剤をPTPシートから押し出す構造であるが、PTPシートをはさみこむ段階で、ヒンジとシートが干渉する現象を防ぐため、PTPシートの台座部分における最小部分がヒンジ部にくるよう考慮しながらセットしなくてはならない。
【0007】
また、カプセル剤など大きめの錠剤に対応させるため、円筒形容器の側面方向が長くなり、コンパクト性に欠け、蓋の密閉状態が確保されていないなどの不備が目立つ。
【0008】
さらに、錠剤押し出し部分が、蓋の面を利用しているため、錠剤を押し出す際の加重は、通常の指腹で押し出す加重と変わらず、錠剤取り出し専用器(特許文献1)(非特許文献1)のごとく錠剤押し出し部分に突起部を設けたものより強い加重をかけなくてはならない。
【0009】
(特許文献3)は、平らな台形容器の錠剤取り出し器で、服薬補助機能を兼ね備えたものであるが、取り出し機能においては、指腹で直接押し出さなければならず、上記(特許文献1)と同様、加重が軽減されず、そのため容器をテーブルなどに置く必要性がある。
【0010】
また、(特許文献2)においては、錠剤を取り出した後、服薬しようとするとき、錠剤取り出し口が、容器の上方向に開いているため、口元で容器をひっくり返し傾けたり、左右に振りながら錠剤を取り出し口に集める必要性があり、その段階で口元から錠剤が落下するリスクを伴う欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】実登3203690号広報
【文献】特開2011-125392号広報
【文献】実登3195886号広報
【非特許文献】
【0012】
【文献】福祉用具総合カタログAII LIFE VOL-30 P41
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来家庭用錠剤取り出し器にあっては、高齢者や障害者を対象とした日常生活介助用品として扱われており、取り出し機能については、一定の効果を認めるものが多い。しかし、ほとんどの製品が、服薬の際、錠剤を手のひらに出したり、別の容器に移し替えたりすることを前提としている。
【0014】
一部、錠剤取り出し機能と服薬補助機能を兼ね備えたものもあるが(特許文献2)、錠剤取り出し機能を、上部先端に設けた蓋を利用しているために、PTPシートを挟む時、開閉のためのヒンジ部が干渉しやすくなる為、シートの向きを調節しなくてはならない。
【0015】
また、蓋の裏全体で錠剤を押し出す構造であるため、錠剤取り出しに用いる荷重が軽減されにくい。
【0016】
さらに、錠剤の大きさに対応させるため、錠剤取り出し穴を縦長に配するため、蓋や容器のコンパクト性や保管時の密閉性を損なうため、携帯性に欠ける
【0017】
(特許文献3)においても、取り出し時に直接、指腹で押し出したり、服薬時に、容器を裏返して、口元に運び、さらに容器を振りながら錠剤を口腔内に落とし込む必要があるなど、不備が目立つ。
【0018】
上記のように、錠剤取り出しと服薬補助を兼ね備えた報告もあるが、錠剤取り出し機能が不完全であったり、服薬時に落下のリスクがあったり、携帯性に欠けるなどの課題が多く、普及していない。
【0019】
以上のように、PTPシートから錠剤を取り出した後、手に触れずに確実に服薬できる製品は見当たらず、したがって、服薬時に錠剤を手のひらに載せたりつまんだりするという、長年にわたる矛盾した慣習をかえるための製品は見当たらない。
【0020】
また、数ある錠剤取り出し装置においては、PTPシートを平らな面にセットし、上方から押しだす仕組みになっているが、取り出し装置を使用せず、素手で押し出す際には、PTPシートの透明カプセル上部を押しながら、ラミネート台座を逆方向に若干反り返らせる事により、錠剤を取り出しやすくしているため、この作用を応用していない。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、キャップ式ペン型ホルダーのクリップ先端の突起部で錠剤をホルダー内に落とし込んだあと、キャップをはずし、そのまま口元に持っていき、手に触れずに服薬を可能にする物である。
【0022】
円筒形容器にすることで、容器自体を最小体積にしコンパクト性を確保してある。
【0023】
ペン型容器に配したクリップの開閉動作を応用し、錠剤取り出し装置を設けることにより、クリップ先端の錠剤押し出し突起部分と、クリップの付け根の距離を確保し、PTPシートをどの方向からも挟み易くしてある。
【0024】
錠剤取り出し後、容器の密閉性を確保するため、クリップ突起部上に蓋を配してある。
【0025】
錠剤の大きさによって、貫通穴の大きさを変え、押し出し効果を高めるため、キャップとホルダーの重なり合う部分を大きく配備し、キャップ側に錠剤貫通穴フリー(9)を、ホルダー側に貫通穴(7)(8)を設け、ホルダーを回転させることにより、カプセル剤対応(a)、丸剤対応(b)、貫通穴密閉(c)の複数の機能を持たせたホルダー回転式も加えてある。
【0026】
さらに、ホルダーとキャップを一体式にし、上端にヒンジ付キャップ(11)を配した上で、ホルダー側にフリーサイズの貫通穴(7)を配備し、回転式ソケットを回転させることにより、カプセル剤対応(d)、丸剤対応(e)、貫通穴密閉(f)の複数の機能を持たせたソケット回転式を加えてある。
【0027】
さらに、ソケットのクリップ側に溝(15)を設け、ソケットを上下にスライドさせることにより、カプセル剤対応(g)、丸剤対応(h)、貫通穴密閉(i)の複数の機能を持たせたソケットスライド式を加えてある。
【0028】
円筒形容器の頂点に位置する部分に貫通穴(3)を設けてあるため、押し出し時にPTPシートの台座部分が押し出す方向と逆方向に若干反り返るようになっており、この現象は、機器を使わず素手で錠剤を取り出した場合と同様PTPシートのアルミ箔ラミネートが、剥がれやすくなる仕組みになっている。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、従来の錠剤取り出し器をペン型にし、取り出した錠剤をそのまま口に運ぶことが出来るため、最後まで錠剤に触れることなく服薬できる。さらに携帯性を高くすることにより、特に外出先での服薬に効果が大きい。
【0030】
クリップに取り出し機能を持たせる事により、錠剤取り出し専用器同様の取り出し効果を発揮できる
【0031】
容器をペン型円筒形にすることにより、錠剤が入る容積を最小限にとどめコンパクト性を損ねず、服薬時に錠剤が流れ落ちやすくなるため、服薬補助機能の効果が大きく、外出先やトイレの中、災害現場、避難所など不衛生な場面でも使いやすい。
【0032】
また、錠剤の大きさに対応できるよう、ホルダー回転式、ソケット回転式、ソケットスライド式などの対応もできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明におけるキャップ式のペン型錠剤取り出し器を示す全体構成図であ る。
【
図2】PTPシートをクリップに挟み、親指で錠剤を押し出す場面を現した拡大 図である。
【
図3】
図1、
図5に示すごとくキャップ式ペン型錠剤取り出し器において、キャ ップをはずして、服薬する場面を表した図である。
【
図4】
図7、
図9に示すソケット回転式、ソケットスライド式における、ヒンジ 付キャップを開けて服薬する場面を表した図である。
【
図5】
図1に示す、キャップ取り外し式のキャップとホルダーの重なり合う部分 を長くし、ホルダーを回転させ、錠剤の大きさに対応できるようにすることと、貫通穴を塞ぐ、蓋の役目を果たすホルダー回転式全体構成図である。
【
図6】
図5に示すホルダー回転式における展開図で、(a)はカプセルまたは直 方体錠剤用、(b)は丸剤用、(c)は密閉状態の3つの方法を表す図である。
【
図7】基本構造である
図1、
図5に示すキャップ取り外し式を一体式にし、上部 先端に、ヒンジ付キャップを配し、ソケットに設けた錠剤貫通穴の調節により錠剤の 大きさに対応させる、ソケット回転式全体構成図である。
【
図8】
図7に示すソケット回転式の展開図で、(d)はカプセルや直方体錠剤用 、(e)は丸剤用、(f)は密閉状態の3つの方法を表す図である。
【
図9】
図7に示すソケットをスライド式にし、錠剤の大きさに、より細かく対応 できるソケットスライド式の構成図である。
【
図10】
図9に示すソケットスライド式の展開図で、(g)はカプセルや直方体 錠剤(h)は丸剤用、(i)は密閉状態の3つの方法を表す図であり、ソケットは錠剤の大きさに合わせて無段階に調節できることを示す展開図である。
【
図11】錠剤取り出し時における、PTPシートから錠剤を取り出す際の、概略 側面図で、ホルダー1に開けられた錠剤貫通穴3とPTPシートの台座の間にできた隙間(j)を表す図である。
【
図12】
図11のごとく、PTPシートをセットした後、親指にて押し出した際 、PTPシート台座が、隙間(j)のあることによって反り返りかえった状態を示すものと、アルミ箔ラミネートフィルムが剥がれた状態(k)を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
使用者は、
図1に示すキャップ式ペン型錠剤取り出し器において、クリップ(6)の先端に配した蓋つき突起部(5)にPTP錠剤シートを挟みこむ。
【0035】
この際、クリップ(6)の付け根と錠剤を押すクリップ突起部(5)の間に数センチの間隔ができるため、(特許文献2)の錠剤押し出し機構における、ヒンジ付蓋のヒンジが邪魔をして、PTPシートのセットがしづらい状況を解決し、請求項1の錠剤取り出し機能を充分確保しながら、コンパクト性を確保している。
【0036】
次に、
図2のごとくクリップを押して錠剤をホルダー1内に押し込み、その後キャップをはずし
図3のごとく服薬する。このことにより、請求項2に記載の直接錠剤に触れず服薬でき、服薬補助効果を発揮するものである。
【0037】
また、押し出し部分に蓋を配することにより、請求項3に記載の取り出し後の保管や持ち運び時の密閉性を確保する物である。
【0038】
図5のホルダー回転式においては、錠剤の大きさにより、ホルダー側に配された錠剤貫通穴ロング用(7)、または錠剤貫通穴レギュラー用(8)とキャップ側のクリップ押し出し位置に配する錠剤貫通穴(9)を合致させるべく、
図6に示す(a)または(b)のごとくホルダーを回転させ、請求項4記載の錠剤の大ききに対応させるものである。
【0039】
その後、
図1に示すキャップ式錠剤取り出し器と同様の方法で、錠剤を押し出しキャップを開けて服薬し、服薬が終わって保管、または携帯する場合においては
図6に示す(c)の状態で容器全体を密閉する。
【0040】
図7におけるソケット回転式においては、ホルダー(1)に差し込まれた回転式ソケット(10)を回転させることにより、ホルダー(1)に配された錠剤取り出し貫通穴フリー(14)とソケットに設けられた回転式ソケット錠剤貫通穴ロング用(12)または、レギュラー用(13)を合致させ、錠剤を取り出し、取り出し後における保管時は、ソケットを回転させ
図8に示す密閉状態(f)にし、請求項5に示した錠剤の大きさなどに対応できる機能を持たせた。
【0041】
図9におけるソケットスライド式においては、ホルダー(1)に差し込まれたスライド式ソケット(15)をスライドさせることにより、ホルダー(1)に配された錠剤取り出し貫通穴フリー(14)とソケットに設けられたスライド式ソケット錠剤貫通溝(16)を合致させる。
【0042】
この時、
図10に示す、カプセル剤対応状態(g)から丸剤対応(h)まで任意の位置でソケットをスライドさせることができるため、錠剤の大きさに応じて細かく対応できるもので、本発明の錠剤取り出し機能をより高めた請求項6の方式である。
【0043】
本発明のペン型錠剤取り出し器においては、各錠剤取り出し貫通穴を円筒形キャップまたはホルダーの円筒頂点に配しているため、PTPシートをセットする場合、
図11に示すごとく、PTPシートと各錠剤貫通穴の間に隙間(j)が発生する。この隙間(j)が、親指でPTPシートを押し出す際に
図12に示すようにPTPシートを反り返らすことになる。
【0044】
この反り返り現象は、機器を使わず素手で錠剤を取り出した場合と同様PTPシートのアルミ箔ラミネートが、剥がれやすくなる仕組みになっており、従来の錠剤取り出し器に比し、請求項7に示すごとく、錠剤を取り出しやすい仕組みになっている。
【0045】
本発明は、PTP包装された錠剤をペン型ホルダー(1)のキャップ(2)に配されたクリップ(6)に錠剤取り出し機能を持たせ、クリップ先端の突起部(5)で錠剤を押し出し、キャップに設けられた錠剤貫通穴(3)からホルダー内に取り込むことが出来る極めてコンパクトな錠剤取り出し器である。
【0046】
本発明は、錠剤取り出し後、キャップを開け、最後まで錠剤に触れずに服薬することが出来る服薬補助機能を兼ね備えた極めてコンパクトな錠剤取り出し器である。
【0047】
本発明は、クリップ(6)の錠剤押し出し突起部に蓋(4)を配し、錠剤取り出し後、錠剤貫通穴(3)を塞ぎ、衛生的に保管や携帯もできる錠剤取り出し機能と服薬補助機能を兼ね備えた錠剤取り出し器である。
【0048】
キャップに設けられた錠剤貫通穴が、一般的な丸い錠剤対応であるため、カプセルや長い錠剤にも対応させるため、キャップとホルダーの重なり合う部分を長く配置し、キャップ側に錠剤貫通穴フリー(9)を、ホルダー側に貫通穴(7)(8)を設け、ホルダーを回転させることにより、カプセル剤対応(a)、丸剤対応(b)、貫通穴密閉(c)の複数の機能を持たせたホルダー回転式錠剤取り出し器とすることができる。
【0049】
さらに、ホルダーとキャップを一体式にし、上端にヒンジ付キャップ(11)を配した上で、ホルダー側にフリーサイズの貫通穴(7)を配備し、回転式ソケットを回転させることにより、カプセル剤対応(d)、丸剤対応(e)、貫通穴密閉(f)の複数の機能を持たせたソケット回転式錠剤取り出し器とすることができる。
【0050】
さらに、ソケットのクリップ側に溝(15)を設け、ソケットを上下にスライドさせることにより、カプセル剤対応(g)、丸剤対応(h)、貫通穴密閉(i)の複数の機能を持たせたソケットスライド式錠剤取り出し器とすることができる。
【0051】
本発明の錠剤取り出し器は、円筒形容器の頂点に位置する部分に貫通穴(3)を設けて、押し出し時にPTPシートの台座部分が押し出す方向と逆方向に若干反り返るようにすることができる。この現象は、機器を使わず素手で錠剤を取り出した場合と同様PTPシートのアルミ箔ラミネートが、剥がれやすくなる仕組みになっている。
【産業上の利用可能性】
【0052】
PTP包装は1960年代から開発されており、従来、保存や管理、衛生面などの点から製薬会社や医療現場など、提供者側の利益を中心に発展してきた。また利用者側にとっても現在の錠剤を手に取って服薬するという利用方法が定着している。しかし、近年感染症予防はマスクより手洗いが重要であることが科学的にも判明する中、現状の服薬常識では、治療のための服薬が、違う病気に感染することにつながっている。
そこで、本提案においては、商品の普及だけではなく、既存の服薬方法そのものを変革して医薬品産業全体の常識を変えていくものである。
【符号の説明】
【0053】
1 ホルダー(透明PVC)
2 キャップ(透明PVC)
3 錠剤貫通穴
4 貫通穴蓋(透明PVC)
5 クリップ突起部(押し出し部表面ローレット加工)
6 クリップ本体
7 ホルダー錠剤貫通穴ロング用
8 ホルダー錠剤貫通穴レギュラー用
9 キャップ錠剤貫通穴フリー
10 回転式ソケット(透明PVC)
11 ヒンジ付キャップ(透明PVC)
12 回転式ソケット錠剤貫通穴ロング用
13 回転式ソケット錠剤貫通穴レギュラー用
14 一体式錠剤貫通穴フリー
15 スライド式ソケット(透明PVC)
16 スライド式ソケット錠剤貫通溝