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特許7333061タップ、同タップを使用した案内孔へのラグスクリューボルトの埋設方法、同方法による木造建築物の構造躯体の接合構造及び木造建築物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】タップ、同タップを使用した案内孔へのラグスクリューボルトの埋設方法、同方法による木造建築物の構造躯体の接合構造及び木造建築物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/26 20060101AFI20230817BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20230817BHJP
B23G 5/06 20060101ALN20230817BHJP
【ＦＩ】
E04B1/26 Z
E04B1/58 506L
B23G5/06 B
B23G5/06 D
【請求項の数】
7
(21)【出願番号】P 2019178217
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021055338
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】397048287
【氏名又は名称】株式会社エヌ・シー・エヌ
(74)【代理人】
【識別番号】100099047
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】藤代 東
(72)【発明者】
【氏名】小谷 竜城
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開２００５－２８１９６３（ＪＰ，Ａ）
【文献】英国特許出願公開第３６６５１９（ＧＢ，Ａ）
【文献】米国特許第１５４３００７（ＵＳ，Ａ）
【文献】特開平０９－０４２２５４（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開平０５－２７７８３０（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１２－０６６３６９（ＪＰ，Ａ）
【文献】実開昭５８－１３６２２９（ＪＰ，Ｕ）
【文献】特開２０２０－０６６９５５（ＪＰ，Ａ）
【文献】英国特許出願公開第２３８２８５（ＧＢ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｅ０４Ｂ １／２６
Ｅ０４Ｂ １／５８－１／６１
Ｂ２３Ｇ ５／０６
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木造建築物の木製構造躯体に形成された断面円形形状の案内孔の内周面にラグスクリューボルトを埋設するためのらせん状の案内溝を切削加工するためのタップであって、軸外周に後方側が徐々に山径が高くなるように構成されたらせん状の溝切り刃を備えるとともに、前記溝切り刃の前方位置に前記案内孔の内周面の周方向に沿った形状の案内面を備えた第１の案内部材を有するとともに、
前記溝切り刃の後方位置に前記案内孔の内周面の周方向に沿った形状の案内面を備えた第２の案内部材を有し、
前記第１の案内部材と前記溝切り刃の間には周方向に沿って切り粉を溜めるための隙間が形成されていることを特徴とするタップ。
【請求項2】
前記溝切り刃がらせん状に連続する長手方向に対して交差するように切り粉排出溝が形成されていることを特徴とする請求項１に記載のタップ。
【請求項3】
前記切り粉排出溝は軸方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項２に記載のタップ。
【請求項4】
前記切り粉排出溝は前記溝切り刃が形成されている後端位置よりも前方側に形成されていることを特徴とする請求項３に記載のタップ。
【請求項5】
前記切り粉排出溝はらせん状に形成されていることを特徴とする請求項２に記載のタップ。
【請求項6】
前記切り粉排出溝は周方向において対称となる位置に複数形成されていることを特徴とする請求項２～５のいずれかに記載のタップ。
【請求項7】
前記第２の案内部材と前記溝切り刃の間には周方向に沿って切り粉を溜めるための隙間が形成されていることを特徴とする請求項１に記載のタップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタップ、同タップを使用した案内孔へのラグスクリューボルトの埋設方法、同方法による木造建築物の構造躯体の接合構造及び木造建築物等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から木造建築物の木製の構造躯体を連結固定するため、構造躯体の接合面に接合金具を配置することが行われている。例えば、構造躯体としての梁と柱を接合するためにはラグスクリューボルトを使用して接合金具を梁や柱や土台等に固定し、これらの接合金具に対して他の柱や梁を連結するようにする。また、例えば、柱を基礎に固定する際には接合金具を基礎にセットし、この接合金具に対してラグスクリューボルトを使用して柱を立設させる。
このようにラグスクリューボルトを使用して木製構造躯体と接合金具を連結する建築工法の例として特許文献１及び２を示す。特許文献１では構造躯体としての梁１１の上に同じく構造躯体としての管柱１２を連結するためにラグスクリューボルト１５で接合金具としてのＴ字金具１３を固定し、管柱１２を接合金具を介して連結固定する技術が開示されている。また、例えば特許文献２では基礎５６上に固定された柱脚金物５７に 柱５８を立設させる際に柱５８の下端面からラグスクリューボルト６９をねじ込みながら埋設して柱脚金物５７に対してこのラグスクリューボルト６９で柱５８を固定する。
このようにラグスクリューボルトを使用して木製構造躯体と接合金具を連結する建築工法の例として特許文献１及び２を示す。特許文献１では構造躯体としての梁１１の上に同じく構造躯体としての管柱１２を連結するためにラグスクリューボルト１５で接合金具としてのＴ字金具１３を固定し、管柱１２を接合金具を介して連結固定する技術が開示されている。また、例えば特許文献２では基礎５６上に固定された柱脚金物５７に 柱５８を立設させる際に柱５８の下端面からラグスクリューボルト６９をねじ込みながら埋設して柱脚金物５７に対してこのラグスクリューボルト６９で柱５８を固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開２０００－６４４２６号公報
【文献】特開２０１７－１５４１６５号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなラグスクリューボルトを木製構造躯体に埋設する際には、まず、ラグスクリューボルトを埋め込む面にドリルで案内穴を形成し、この案内穴に対して開口部側からジグを用いてラグスクリューボルトを無理嵌め状にねじ込んでいくものである。ラグスクリューボルトをねじ込むことによってスクリュー部のネジ山が案内穴の内周壁面に食い込んで雄ネジと雌ネジの嵌合関係となるためラグスクリューボルトの引っ張り耐力が発現されるというものである。
しかし、埋設が進むにつれてラグスクリューボルトのスクリュー部のネジ山が案内穴の内周壁面に食い込んで木部とスクリュー部との摩擦が大きくなるためねじ込みのトルクもそれに伴って大きくならざるを得ず、施工性がよくなかった。
また、スクリュー部のネジ山が案内穴の内周壁面の繊維方向に対してこれを剪断するように進行するので内周壁面がささくれるように破壊されることとなり、また、図１０に示すように、内周壁面１００がラグスクリューボルト１０１のスクリュー部１０１ａのネジ山に押圧されることで山と山の間の内周壁面１００が引っ張られてしまってラグスクリューボルト１０１のネジ山が木部と密着せずにネジ山側面と木部の間に予定外の隙間１０２ができてしまう場合もあった。それら木部破壊や隙間の発生は引っ張り耐力を低下させる原因ともなる。そのため、ラグスクリューボルトを木製構造躯体に埋設する際に埋設しやすく、かつ引っ張り耐力の低下のない施工方向が求められていた。
本発明は、主として上記の課題等を解決するためのタップ、同タップを使用した案内孔へのラグスクリューボルトの埋設方法、同方法による木造建築物の構造躯体の接合構造及び木造建築物を提供するものである。
しかし、埋設が進むにつれてラグスクリューボルトのスクリュー部のネジ山が案内穴の内周壁面に食い込んで木部とスクリュー部との摩擦が大きくなるためねじ込みのトルクもそれに伴って大きくならざるを得ず、施工性がよくなかった。
また、スクリュー部のネジ山が案内穴の内周壁面の繊維方向に対してこれを剪断するように進行するので内周壁面がささくれるように破壊されることとなり、また、図１０に示すように、内周壁面１００がラグスクリューボルト１０１のスクリュー部１０１ａのネジ山に押圧されることで山と山の間の内周壁面１００が引っ張られてしまってラグスクリューボルト１０１のネジ山が木部と密着せずにネジ山側面と木部の間に予定外の隙間１０２ができてしまう場合もあった。それら木部破壊や隙間の発生は引っ張り耐力を低下させる原因ともなる。そのため、ラグスクリューボルトを木製構造躯体に埋設する際に埋設しやすく、かつ引っ張り耐力の低下のない施工方向が求められていた。
本発明は、主として上記の課題等を解決するためのタップ、同タップを使用した案内孔へのラグスクリューボルトの埋設方法、同方法による木造建築物の構造躯体の接合構造及び木造建築物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
手段１として、木造建築物の木製構造躯体に形成された断面円形形状の案内孔の内周面にラグスクリューボルトを埋設するためのらせん状の案内溝を切削加工するためのタップであって、軸外周に後方側が徐々に山径が高くなるように構成されたらせん状の溝切り刃を備えるとともに、前記溝切り刃の前方位置に前記案内孔の内周面の周方向に沿った形状の案内面を備えた案内部材を有するようにした。
このようなタップを使用することで、案内孔の内周面にラグスクリューボルトを埋設するためのらせん状の案内溝を切削加工することができる。案内部材によって軸がぶれずに正確に溝の加工ができ、案内部材は溝切りをしないため、案内部材が達する案内孔の最深部には案内溝はできず、ラグスクリューボルト先端寄りをしっかりと内周面に食い込ませることができる。木製構造躯体は木製であるがため、案内孔の内周面の固さは一様ではない（均質ではない）。しかし、タップは案内孔の内周面の周方向に沿った形状の案内面を備えた案内部材を有しているため、案内溝の加工の際に案内溝の切削の際に軸心が安定し、らせん状の案内溝がラグスクリューボルトの軸心が案内孔の中心と一致するように正確に切削されることとなる。
このようなタップを使用することで、案内孔の内周面にラグスクリューボルトを埋設するためのらせん状の案内溝を切削加工することができる。案内部材によって軸がぶれずに正確に溝の加工ができ、案内部材は溝切りをしないため、案内部材が達する案内孔の最深部には案内溝はできず、ラグスクリューボルト先端寄りをしっかりと内周面に食い込ませることができる。木製構造躯体は木製であるがため、案内孔の内周面の固さは一様ではない（均質ではない）。しかし、タップは案内孔の内周面の周方向に沿った形状の案内面を備えた案内部材を有しているため、案内溝の加工の際に案内溝の切削の際に軸心が安定し、らせん状の案内溝がラグスクリューボルトの軸心が案内孔の中心と一致するように正確に切削されることとなる。
【0006】
「タップ」は、軸外周に後方側が徐々に山径が高くなるように構成されたらせん状の溝切り刃を備えている。但し、溝切り刃の全域において常の後方側が徐々に山径が高くある必要はない。例えば前方からある一定の領域までが後方側が徐々に山径が高くなるように構成されそれより後の刃の山径は同径となるように構成してもよい。溝切り刃の刃部と交差するように切り粉（切削くず）を排出するための切り粉排出溝が形成されていることがよい。切り粉を効率的に排出でき、溝切り刃の刃先周辺に切り粉が停滞して案内溝の成形に支障を来さないためである。但し、切り粉排出溝がなくとも切り粉は排出できるため、例えば案内孔の長さがそれほどではない場合や、何度かにわけて案内溝を形成する場合には切り粉排出溝を形成しなくともよい。
「タップ」は、溝切り刃の前方位置に案内孔の内周面の周方向に沿った形状の案内面を備えた案内部材を有している。これによって案内溝の切削の際に芯出しができ軸心が安定する。通常タップは均一な素材である金属に雌ネジを形成するために用いられる。しかし、本発明での施工対象は木製構造躯体は木製であるため、案内孔の内周面の固さは一様ではない。例えば節があったり、年輪がはっきりと出ている木材ではそれらの部分の固さが周囲とは異なる。また、案内孔が柾目方向か板目方向かでも切削に伴う応力は部位によって異なる。そのため、断面円形形状、つまり円筒状に形成した案内孔の内周面に案内部材を沿わせてタップを進出させることが安定した正確な案内溝の形成のためによい。「内周面の周方向に沿った形状の案内面」は、例えば案内孔の内周面の周方向の曲率と同じ曲率の当接する面で構成することがよい。案内面は案内孔の内周面の全周に接している必要はない。散点的に接していてもタップ軸心を保持できる構成であれば案内部材の案内面となる。
「タップ」は、溝切り刃の前方位置に案内孔の内周面の周方向に沿った形状の案内面を備えた案内部材を有している。これによって案内溝の切削の際に芯出しができ軸心が安定する。通常タップは均一な素材である金属に雌ネジを形成するために用いられる。しかし、本発明での施工対象は木製構造躯体は木製であるため、案内孔の内周面の固さは一様ではない。例えば節があったり、年輪がはっきりと出ている木材ではそれらの部分の固さが周囲とは異なる。また、案内孔が柾目方向か板目方向かでも切削に伴う応力は部位によって異なる。そのため、断面円形形状、つまり円筒状に形成した案内孔の内周面に案内部材を沿わせてタップを進出させることが安定した正確な案内溝の形成のためによい。「内周面の周方向に沿った形状の案内面」は、例えば案内孔の内周面の周方向の曲率と同じ曲率の当接する面で構成することがよい。案内面は案内孔の内周面の全周に接している必要はない。散点的に接していてもタップ軸心を保持できる構成であれば案内部材の案内面となる。
【0007】
「木製構造躯体」は、木造建築物を建築する際の骨組み（架構を構成する部材）にあたる部分であって、例えば壁、柱、横架材(梁、桁等)、土台、母屋等を広くいう。手段２の「木製構造躯体」も、木造建築物を建築する際の骨組み（架構を構成する部材）にあたる部分であって基礎側に連結固定される部材である。例えば壁、柱等をいう。また、これらはムクの木でも集成材、例えば、ＣＬＴ（Cross Laminated Timber）と称される直交集成板であってもよい。
「らせん状の案内溝」のらせん形状はラグスクリューボルトのスクリュー部のネジ山と同ピッチに構成されることがよい。ピッチが一緒であるとスクリュー部のネジ山が案内溝と一致してずれずに案内されるからである。また、フランク角も同じ角度とすることがよい。また、ここでスクリュー部のネジ山を案内溝内に配置してねじ込んでいくようにしていることは案内溝がない場合にボルト用穴の内周面木部へスクリュー部のネジ山が直接食い込む食い込み量を軽減することが狙いである。案内溝を設けることでネジ山の一部のみ、例えば三角の断面の山であれば山の先端寄りの尖端部分のみを食い込ませることが可能となる。もし、スクリュー部が案内溝内においてまったく食い込まないのであればラグスクリューボルトの機能を果たすことはできない。つまり、案内溝はラグスクリューボルトのスクリュー部を案内し、ネジ作用でグスクリューボルトを保持するとともに、案内溝の内部でスクリュー部が木部に食い込んで保持させるという２つの保持作用を発揮させるものとなる。
「ラグスクリューボルト」は、普通のナットや雌ネジと螺合させるのではなく、木ネジと同様にドリルのように木部に自ら食い込ませて木部と雄雌のネジ作用で固定される固定部材である。例えばヘッドを有していてもヘッドの代わりにナットで締め付けるためのボルト部を有していてもよい。
ラグスクリューボルトは「木製構造躯体」に対して１本でもよく複数が埋設される構成でもよい。
以上の語句の定義・説明等は以下の手段においても同様である。
「らせん状の案内溝」のらせん形状はラグスクリューボルトのスクリュー部のネジ山と同ピッチに構成されることがよい。ピッチが一緒であるとスクリュー部のネジ山が案内溝と一致してずれずに案内されるからである。また、フランク角も同じ角度とすることがよい。また、ここでスクリュー部のネジ山を案内溝内に配置してねじ込んでいくようにしていることは案内溝がない場合にボルト用穴の内周面木部へスクリュー部のネジ山が直接食い込む食い込み量を軽減することが狙いである。案内溝を設けることでネジ山の一部のみ、例えば三角の断面の山であれば山の先端寄りの尖端部分のみを食い込ませることが可能となる。もし、スクリュー部が案内溝内においてまったく食い込まないのであればラグスクリューボルトの機能を果たすことはできない。つまり、案内溝はラグスクリューボルトのスクリュー部を案内し、ネジ作用でグスクリューボルトを保持するとともに、案内溝の内部でスクリュー部が木部に食い込んで保持させるという２つの保持作用を発揮させるものとなる。
「ラグスクリューボルト」は、普通のナットや雌ネジと螺合させるのではなく、木ネジと同様にドリルのように木部に自ら食い込ませて木部と雄雌のネジ作用で固定される固定部材である。例えばヘッドを有していてもヘッドの代わりにナットで締め付けるためのボルト部を有していてもよい。
ラグスクリューボルトは「木製構造躯体」に対して１本でもよく複数が埋設される構成でもよい。
以上の語句の定義・説明等は以下の手段においても同様である。
【0008】
また、手段２として、前記溝切り刃がらせん状に連続する長手方向に対して交差するように切り粉排出溝が形成されているようにした。
つまり、溝切り刃の外周の一部分に溝切り刃の長手方向に連続している刃部をカットして切削に伴って出る切り粉を排出するための排出溝を設けるようにした。
大きな木製構造躯体ではラグスクリューボルトも長くなり、案内孔も長く形成する必要がある。そのため、その内周面に案内溝を形成する際に出る切り粉も大量となる場合がある。切り粉は排出が十分でないと溝切り刃の刃先周辺に切り粉が停滞して案内溝の成形に支障を来たす可能性がある。何度かにわけて案内溝を形成することで一回に排出される切り粉量を減らすことができるが、このように切り粉排出溝を設けることで溝切り刃の刃先周辺に切り粉を停滞させないようにすることができる。
また、このように刃部が切り粉排出溝によって不連続になると、その部分が切れ刃になるためタップの木部を切削する能力が高くなる。
また、手段３として前記切り粉排出溝は軸方向に沿って形成されているようにした。
切り粉排出溝が形成しやすく、刃部に切り粉排出溝によって切れ刃が形成され、切り粉排出溝内に切り粉を収容させることができる。
また、手段４として、前記切り粉排出溝は前記溝切り刃が形成されている後端位置よりも前方側に形成されているようにした。
これによって溝切り刃は後方側で切り粉排出溝を設けるためにカットされないこととなるため、溝切り刃が木部にしっかりと食い込むこととなって切削時の安定性が増すこととなる。
また、手段５として、前記切り粉排出溝はらせん状に形成されているようにした。
切り粉排出溝をらせん状に形成することで、タップの回転に伴って切り粉を後方に送って排出することが可能となる。
また、手段６として、前記切り粉排出溝は周方向において対称となる位置に複数形成されているようにした。
対象となるような配置であると、タップの回転において不均等な回転むらがおきにくく、安定して回転させることができる。対称とは例えば点対称、線対称、鏡像対称であることがよい。
また、手段７として、前記溝切り刃の後方位置に前記案内孔の内周面の周方向に沿った形状の案内面を備えた第２の案内部材を有するようにした。
前方側の案内部材（これを第１の案内部材とする）と併せて前後でタップの軸を支持して回転することができるため、より軸心がぶれずにタップを回転させることができる。
つまり、溝切り刃の外周の一部分に溝切り刃の長手方向に連続している刃部をカットして切削に伴って出る切り粉を排出するための排出溝を設けるようにした。
大きな木製構造躯体ではラグスクリューボルトも長くなり、案内孔も長く形成する必要がある。そのため、その内周面に案内溝を形成する際に出る切り粉も大量となる場合がある。切り粉は排出が十分でないと溝切り刃の刃先周辺に切り粉が停滞して案内溝の成形に支障を来たす可能性がある。何度かにわけて案内溝を形成することで一回に排出される切り粉量を減らすことができるが、このように切り粉排出溝を設けることで溝切り刃の刃先周辺に切り粉を停滞させないようにすることができる。
また、このように刃部が切り粉排出溝によって不連続になると、その部分が切れ刃になるためタップの木部を切削する能力が高くなる。
また、手段３として前記切り粉排出溝は軸方向に沿って形成されているようにした。
切り粉排出溝が形成しやすく、刃部に切り粉排出溝によって切れ刃が形成され、切り粉排出溝内に切り粉を収容させることができる。
また、手段４として、前記切り粉排出溝は前記溝切り刃が形成されている後端位置よりも前方側に形成されているようにした。
これによって溝切り刃は後方側で切り粉排出溝を設けるためにカットされないこととなるため、溝切り刃が木部にしっかりと食い込むこととなって切削時の安定性が増すこととなる。
また、手段５として、前記切り粉排出溝はらせん状に形成されているようにした。
切り粉排出溝をらせん状に形成することで、タップの回転に伴って切り粉を後方に送って排出することが可能となる。
また、手段６として、前記切り粉排出溝は周方向において対称となる位置に複数形成されているようにした。
対象となるような配置であると、タップの回転において不均等な回転むらがおきにくく、安定して回転させることができる。対称とは例えば点対称、線対称、鏡像対称であることがよい。
また、手段７として、前記溝切り刃の後方位置に前記案内孔の内周面の周方向に沿った形状の案内面を備えた第２の案内部材を有するようにした。
前方側の案内部材（これを第１の案内部材とする）と併せて前後でタップの軸を支持して回転することができるため、より軸心がぶれずにタップを回転させることができる。
【0009】
また、手段８として、手段１～７のいずれかに記載されたタップによって案内孔が切削加工されたらせん状の案内溝に、前記ラグスクリューボルトのスクリュー部のネジ山を案内させながら前記ラグスクリューボルトを埋設するようにすることがよい。
上記のようなタップによって内周面に案内溝が形成された案内孔にラグスクリューボルトを埋設していくと、ラグスクリューボルトのネジ山はネジ山に応じてボルト用穴に凹設された案内溝に案内されて進出するため、ねじ込みのトルクは案内されない場合に比べて小さくてよくなり施工性が向上する。また、案内されながらもネジ山は木部に食い込むため、特にラグスクリューボルトのスクリュー部先端寄りは木部にしっかりと保持されることなり、後続のスクリュー部も案内溝内において、ねじ作用によって密着して固定されるためラグスクリューボルト全体として非常に大きな引っ張り耐力が発現されることとなる。
また、手段９として、手段８の方法で前記ラグスクリューボルトを埋設した木造建築物の構造躯体の接合構造とすることがよい。
また、手段１０として、手段９の木造建築物の構造躯体の接合構造を備えた木造建築物とすることがよい。
上記のようなタップによって内周面に案内溝が形成された案内孔にラグスクリューボルトを埋設していくと、ラグスクリューボルトのネジ山はネジ山に応じてボルト用穴に凹設された案内溝に案内されて進出するため、ねじ込みのトルクは案内されない場合に比べて小さくてよくなり施工性が向上する。また、案内されながらもネジ山は木部に食い込むため、特にラグスクリューボルトのスクリュー部先端寄りは木部にしっかりと保持されることなり、後続のスクリュー部も案内溝内において、ねじ作用によって密着して固定されるためラグスクリューボルト全体として非常に大きな引っ張り耐力が発現されることとなる。
また、手段９として、手段８の方法で前記ラグスクリューボルトを埋設した木造建築物の構造躯体の接合構造とすることがよい。
また、手段１０として、手段９の木造建築物の構造躯体の接合構造を備えた木造建築物とすることがよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、このようなタップを使用することで、案内孔の内周面にラグスクリューボルトを埋設するためのらせん状の案内溝を切削加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】（ａ）は実施の形態１のタップの正面図、（ｂ）は同じタップの縦断面図、（ｃ）は同じタップの（ａ）のＡ－Ａ線における断面図。
【図2】実施の形態１のタップを製造するための刃部前駆体の部分拡大正面図。
【図3】（ａ）は実施の形態２のタップの正面図、（ｂ）は同じタップの縦断面図、（ｃ）は同じタップの（ａ）のＢ－Ｂ線における断面図。
【図4】（ａ）は実施の形態３のタップの前方側における正面図、（ｂ）は同じタップの縦断面図、（ｃ）は同じタップの（ａ）のＣ－Ｃ線における断面図。
【図5】（ａ）はラグスクリューボルトの正面図、（ｂ）は同じラグスクリューボルトの（ａ）のＤ－Ｄ線における断面図。
【図6】（ａ）は第１の木製構造躯体又は木製構造躯体に下穴を形成した状態でのその下穴における断面図、（ｂ）は（ａ）の下穴の内周面に案内溝を形成した状態の断面図。
【図8】実施例１においてラグスクリューボルトが埋設された柱にそのラグスクリューボルトを使用してＴ字金具を固着する直前の説明図。
【図9】実施例２においてラグスクリューボルトが埋設された柱を基礎上の柱脚金物に連結固定した状態の正面図。
【図10】ラグスクリューボルトを下穴に埋設した際の従来の問題点を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態であるタップについて図面に基づいて説明する。
（実施の形態１）
図１（ａ）～（ｃ）に示すようにタップ１はタップ本体２と、溝切り刃３と、第１の案内部材としての案内ヘッド４と第２の案内部材としての案内コマ５とから構成されている。タップ本体２は削りだし加工で作成された合金製の横断面円形形状の中実の棒状部材である。本実施の形態１ではタップ本体２は全長６００ｍｍ、軸径１４．５ｍｍとされ、基部側５０ｍｍの部分は横断面正六角形形状に加工され把持部２ａとされている。
溝切り刃３はタップ本体２の外周にタップ本体２と一体的に削りだし加工によって形成されている。溝切り刃３は次のように設計されている。
まず、溝切り刃３の刃部７をラグスクリューボルト用の雄ネジを想定して設計する。具体的には図２に示すようなラグスクリューボルトに対応した全長、所定の山径、谷径、フランク角、ピッチの雄ネジ形状の刃部前駆体８をまず形成する。この際の山径のサイズは先端側が最も低く、先端から後方に向かって順に徐々に高くなるように構成されている。最も後方の山は後述するラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａのネジ山と同形状に構成され（これを完成形形状とする）、それよりも前方の山はその位置に応じて完成形形状に対して上部がカットされた台形形状とされている。
本実施の形態１では全長７４ｍｍ、刃の形状はフランク角４０度のタイプでピッチ６ｍｍ、谷径１４．１ｍｍ、最終的な径の案内溝を加工することとなる後方側の最大径となる山径は２０．５ｍｍとされている。刃部前駆体８は本実施の形態１ではらせん状に連続したネジ山状に構成され、前方側の軸方向全長の２／３程度となる９つのネジ山付近まで山径が徐々に大きくなる先細りのテーパ領域Ｒ１とされ、全長の１／３程度となる後方の４つのネジ山付近で均等な山径となる仕上げ領域Ｒ２とされている。
（実施の形態１）
図１（ａ）～（ｃ）に示すようにタップ１はタップ本体２と、溝切り刃３と、第１の案内部材としての案内ヘッド４と第２の案内部材としての案内コマ５とから構成されている。タップ本体２は削りだし加工で作成された合金製の横断面円形形状の中実の棒状部材である。本実施の形態１ではタップ本体２は全長６００ｍｍ、軸径１４．５ｍｍとされ、基部側５０ｍｍの部分は横断面正六角形形状に加工され把持部２ａとされている。
溝切り刃３はタップ本体２の外周にタップ本体２と一体的に削りだし加工によって形成されている。溝切り刃３は次のように設計されている。
まず、溝切り刃３の刃部７をラグスクリューボルト用の雄ネジを想定して設計する。具体的には図２に示すようなラグスクリューボルトに対応した全長、所定の山径、谷径、フランク角、ピッチの雄ネジ形状の刃部前駆体８をまず形成する。この際の山径のサイズは先端側が最も低く、先端から後方に向かって順に徐々に高くなるように構成されている。最も後方の山は後述するラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａのネジ山と同形状に構成され（これを完成形形状とする）、それよりも前方の山はその位置に応じて完成形形状に対して上部がカットされた台形形状とされている。
本実施の形態１では全長７４ｍｍ、刃の形状はフランク角４０度のタイプでピッチ６ｍｍ、谷径１４．１ｍｍ、最終的な径の案内溝を加工することとなる後方側の最大径となる山径は２０．５ｍｍとされている。刃部前駆体８は本実施の形態１ではらせん状に連続したネジ山状に構成され、前方側の軸方向全長の２／３程度となる９つのネジ山付近まで山径が徐々に大きくなる先細りのテーパ領域Ｒ１とされ、全長の１／３程度となる後方の４つのネジ山付近で均等な山径となる仕上げ領域Ｒ２とされている。
【0013】
図１（ａ）に示すように、実施の形態１では、このような刃部前駆体８の刃の長手方向に対して交差するように切り粉排出溝９が形成されることで刃部７が完成する。刃部７は山形形状であり、同時に刃部７が切り粉排出溝９と交差する不連続部分が回転時に切れ刃としての役割をする。切り粉排出溝９はテーパ領域Ｒ１前端から仕上げ領域Ｒ２中央域付近まで軸線方向と平行に切削形成されている。切り粉排出溝９は切削した切り粉を収容する通路の役割を果たす。図１（ｃ）の仮想線で示す形状が、最大山径に沿った断面での切り粉排出溝９が切削された領域となる。実線は図１（ａ）のＡ－Ａ線を断面とするものであり、タップ本体２の軸線方向に直交する方向での端面図となる。切り粉排出溝９はタップ本体２の中心を挟んで１８０度対向した点対称となる位置に一対として形成されている。つまり、溝切り刃３の刃部７は２つの溝を備えることとなる。切り粉排出溝９は直交する２つの面９ａ、９ｂで構成された空間であり、前方側は開放されており、後方側は刃部７によって封塞されている。
【0014】
溝切り刃３の前方には案内ヘッド４が固着されている。案内ヘッド４は有底円筒形形状の合金製の一種の筒体であり、タップ本体２の先端に冠着されネジ１０によって固定されている。案内ヘッド４がタップ本体２の先端に冠着された状態で案内ヘッド４と溝切り刃３との間には隙間１１が形成される。本実施の形態１では案内ヘッド４の外径は１６．９ｍｍとされている。案内ヘッド４の帯状の外周面４ａが案内面とされる。
溝切り刃３の後方には案内コマ５が固着されている。案内コマ５は前後端部がテーパ状に面取りされた合金製の円筒体である。案内コマ５はタップ本体２に溶接されている。
案内ヘッド４と溝切り刃３の間のタップ本体２回りの隙間は、切り粉を溜める滞留領域１６とされる。このような構成のタップ１は図示しない周知の電気式ドリル装置に装着して使用される。
溝切り刃３の後方には案内コマ５が固着されている。案内コマ５は前後端部がテーパ状に面取りされた合金製の円筒体である。案内コマ５はタップ本体２に溶接されている。
案内ヘッド４と溝切り刃３の間のタップ本体２回りの隙間は、切り粉を溜める滞留領域１６とされる。このような構成のタップ１は図示しない周知の電気式ドリル装置に装着して使用される。
【0015】
（実施の形態２）
実施の形態２は実施の形態１のバリエーションである。
図３（ａ）～（ｃ）に示すようにタップ２１はタップ本体２２と、溝切り刃２３と、案内ヘッド２４とから構成されている。案内ヘッド２４の帯状の外周面２４ａが案内面とされる。
タップ本体２２は削りだし加工で作成された合金製の横断面円形形状に構成された中実の棒状部材である。本実施の形態２では６００ｍｍの長さに構成され、基部側の５０ｍｍの部分は横断面正六角形形状の把持部２２ａとされている。
実施の形態２のタップ２１も図２と同様に刃部前駆体８をまず形成し、図３（ａ）に示すように、刃部前駆体８の刃の長手方向に対して交差するように切り粉排出溝２６が形成されることで刃部２７が完成する。刃部２７は山形形状であり、同時に刃部２７が切り粉排出溝２６と交差する不連続部分が回転時に切れ刃としての役割をする。
実施の形態２の切り粉排出溝２６はテーパ領域Ｒ１前端から仕上げ領域Ｒ２後端にかけて刃部２７のらせん方向と同方向のらせんとなるように切削形成されている。切り粉排出溝２６は切削した切り粉を収容し、排出する通路の役割を果たす。切り粉排出溝２６はタップ本体２の中心を挟んで１８０度対向した点対称となる位置に一対として形成されている。切り粉排出溝２６は外に凹となる湾曲した碗状の内周面で構成されている。
案内ヘッド２４と溝切り刃２３の間とタップ本体２２回りの隙間は切り粉を溜める滞留領域２８とされる。
このような構成のタップ２１は図示しない周知の電気式ドリル装置に装着して使用される。
実施の形態２は実施の形態１のバリエーションである。
図３（ａ）～（ｃ）に示すようにタップ２１はタップ本体２２と、溝切り刃２３と、案内ヘッド２４とから構成されている。案内ヘッド２４の帯状の外周面２４ａが案内面とされる。
タップ本体２２は削りだし加工で作成された合金製の横断面円形形状に構成された中実の棒状部材である。本実施の形態２では６００ｍｍの長さに構成され、基部側の５０ｍｍの部分は横断面正六角形形状の把持部２２ａとされている。
実施の形態２のタップ２１も図２と同様に刃部前駆体８をまず形成し、図３（ａ）に示すように、刃部前駆体８の刃の長手方向に対して交差するように切り粉排出溝２６が形成されることで刃部２７が完成する。刃部２７は山形形状であり、同時に刃部２７が切り粉排出溝２６と交差する不連続部分が回転時に切れ刃としての役割をする。
実施の形態２の切り粉排出溝２６はテーパ領域Ｒ１前端から仕上げ領域Ｒ２後端にかけて刃部２７のらせん方向と同方向のらせんとなるように切削形成されている。切り粉排出溝２６は切削した切り粉を収容し、排出する通路の役割を果たす。切り粉排出溝２６はタップ本体２の中心を挟んで１８０度対向した点対称となる位置に一対として形成されている。切り粉排出溝２６は外に凹となる湾曲した碗状の内周面で構成されている。
案内ヘッド２４と溝切り刃２３の間とタップ本体２２回りの隙間は切り粉を溜める滞留領域２８とされる。
このような構成のタップ２１は図示しない周知の電気式ドリル装置に装着して使用される。
【0016】
（実施の形態３）
図４（ａ）～（ｃ）に示すようにタップ３１はタップ本体３２と、溝切り刃３３と、案内ヘッド３４と案内コマ３５とから構成されている。
タップ本体３２は削りだし加工で作成された合金製の横断面円形形状に構成された中実の棒状部材である。本実施の形態３ではタップ本体３２は全長４００ｍｍ、軸径１１．５ｍｍとした。実施の形態３の案内ヘッド３４はタップ本体３２先端にタップ本体３２と一体的に形成されている。案内ヘッド３４は円柱形状に構成されている。本実施の形態１では案内ヘッド３４の外径は１６．９ｍｍとされている。案内ヘッド３４の帯状の外周面３４ａが案内面とされる。
溝切り刃３３はタップ本体３２の外周に溶接によって固定されている。実施の形態３のタップ３１も実施の形態１や２と同様に刃部前駆体をまず形成する。図示しない刃部前駆体の山径のサイズは先端から後方に向かって順に徐々に高くなるように構成されている。この際の山径のサイズは先端側が最も低く、先端から後方に向かって順に徐々に高くなるように構成されている。最も後方の山は後述するラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａのネジ山と同形状に構成され（これを完成形形状とする）、それよりも前方の山はその位置に応じて完成形形状に対して上部がカットされた台形状とされている。
本実施の形態３では、刃部前駆体は全長５０ｍｍ、刃の形状は４０度ラグタイプでピッチ６ｍｍ、谷径１４．１ｍｍ、最終的な案内溝の径を加工することとなる後方側の最大径となる山径は２０．５ｍｍとされている。
図４（ａ）～（ｃ）に示すようにタップ３１はタップ本体３２と、溝切り刃３３と、案内ヘッド３４と案内コマ３５とから構成されている。
タップ本体３２は削りだし加工で作成された合金製の横断面円形形状に構成された中実の棒状部材である。本実施の形態３ではタップ本体３２は全長４００ｍｍ、軸径１１．５ｍｍとした。実施の形態３の案内ヘッド３４はタップ本体３２先端にタップ本体３２と一体的に形成されている。案内ヘッド３４は円柱形状に構成されている。本実施の形態１では案内ヘッド３４の外径は１６．９ｍｍとされている。案内ヘッド３４の帯状の外周面３４ａが案内面とされる。
溝切り刃３３はタップ本体３２の外周に溶接によって固定されている。実施の形態３のタップ３１も実施の形態１や２と同様に刃部前駆体をまず形成する。図示しない刃部前駆体の山径のサイズは先端から後方に向かって順に徐々に高くなるように構成されている。この際の山径のサイズは先端側が最も低く、先端から後方に向かって順に徐々に高くなるように構成されている。最も後方の山は後述するラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａのネジ山と同形状に構成され（これを完成形形状とする）、それよりも前方の山はその位置に応じて完成形形状に対して上部がカットされた台形状とされている。
本実施の形態３では、刃部前駆体は全長５０ｍｍ、刃の形状は４０度ラグタイプでピッチ６ｍｍ、谷径１４．１ｍｍ、最終的な案内溝の径を加工することとなる後方側の最大径となる山径は２０．５ｍｍとされている。
【0017】
図４（ａ）に示すように、実施の形態３のタップ３１の溝切り刃３３は刃部前駆体の刃の長手方向に対して交差するように切り粉排出溝３６が形成されることで完成する。切り粉排出溝３６は切削した切り粉を収容し、排出する通路の役割を果たす。図４（ｃ）に示すように、実施の形態３では５つの切り粉排出溝３６が周方向に均等な間隔で（つまり点対称となるように）形成されている。切り粉排出溝３６は溝切り刃３３の前端から後端まで軸線方向と平行に切削形成されている。
５つの切り粉排出溝３６によって溝切り刃３３は５つの刃部３７から構成されることとなる。各刃部３７は軸方向に沿って板状に延出され、切削刃となる９つの山３８（つまり周方向でカットされた雄ネジ形状）が形成される。刃部３７が切り粉排出溝３６と交差する不連続部分が回転時に切れ刃としての役割をする。
軸方向に隣接する山３８のピッチはラグスクリューボルト４１のネジのピッチと一致する。各山３８の切削刃となる上端面は周方向に湾曲しており、５枚の刃部３７の山３８は図４（ｃ）に示すように先端から目視した際に円弧状に配置される。各山３８の鞍部の長手方向はタップ３１の軸方向に対して雄ネジに対応して若干斜めに交差する方向に延出されており、各山３８の鞍部を長手方向は隣接する刃部３７の山３８の鞍部を指向している。つまり、すべての刃部３７の山３８はらせん状に連なるように配置される。
溝切り刃３３の後方には案内コマ３５が固着されている。案内コマ３５は前後端部がテーパ状に面取りされた合金製の円筒体である。案内コマ５はタップ本体２に溶接されている。
案内ヘッド３４と溝切り刃３３の間の隙間とタップ本体３２回りと溝切り刃３３と案内コマ３５の間のタップ本体３２回りの隙間は、切り粉を溜める滞留領域３９とされる。
このような構成のタップ３１は図示しない周知の電気式ドリル装置に装着して使用される。
５つの切り粉排出溝３６によって溝切り刃３３は５つの刃部３７から構成されることとなる。各刃部３７は軸方向に沿って板状に延出され、切削刃となる９つの山３８（つまり周方向でカットされた雄ネジ形状）が形成される。刃部３７が切り粉排出溝３６と交差する不連続部分が回転時に切れ刃としての役割をする。
軸方向に隣接する山３８のピッチはラグスクリューボルト４１のネジのピッチと一致する。各山３８の切削刃となる上端面は周方向に湾曲しており、５枚の刃部３７の山３８は図４（ｃ）に示すように先端から目視した際に円弧状に配置される。各山３８の鞍部の長手方向はタップ３１の軸方向に対して雄ネジに対応して若干斜めに交差する方向に延出されており、各山３８の鞍部を長手方向は隣接する刃部３７の山３８の鞍部を指向している。つまり、すべての刃部３７の山３８はらせん状に連なるように配置される。
溝切り刃３３の後方には案内コマ３５が固着されている。案内コマ３５は前後端部がテーパ状に面取りされた合金製の円筒体である。案内コマ５はタップ本体２に溶接されている。
案内ヘッド３４と溝切り刃３３の間の隙間とタップ本体３２回りと溝切り刃３３と案内コマ３５の間のタップ本体３２回りの隙間は、切り粉を溜める滞留領域３９とされる。
このような構成のタップ３１は図示しない周知の電気式ドリル装置に装着して使用される。
【0018】
次に、本実施の形態に使用するラグスクリューボルト４１について説明する。
図５（ａ）（ｂ）に示すように、ラグスクリューボルト４１はらせん状に連続した断面山形状のスクリュー部４１ａを外周に備えたネジ部材である。ラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａのピッチ６．０ｍｍ、内径（谷径）１４．１ｍｍ、外径（山径）２０．６ｍｍ、各山の角度（フランク角）４０度とされている。ラグスクリューボルト４１はここでは全長２４０ｍｍとされ、スクリュー部４１ａが約２００ｍｍにわたって形成されているものを使用する。
スクリュー部４１ａに隣接した位置にはナット部４１ｂが形成されている。ナット部４１ｂはラグスクリューボルト４１を回動させる際に図示しないジグが係合される部分であり外径が正六角形状に構成されている。ナット部４１ｂに隣接した基端側領域には雄ネジ部４１ｃが形成されている。尚、ラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａの長さ径（谷径と山径）各山の角度（フランク角）、ナット部４１ｂの幅、雄ネジ部４１ｃの長さ、スクリュー部４１ａのネジのピッチ等の寸法は木製構造躯体に応じて適宜変更される。そして、それに応じて実施の形態１～３のタップ１、２１、３１の刃部７、２７、３７の全長、径、フランク角等の条件も適宜変更される。
図５（ａ）（ｂ）に示すように、ラグスクリューボルト４１はらせん状に連続した断面山形状のスクリュー部４１ａを外周に備えたネジ部材である。ラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａのピッチ６．０ｍｍ、内径（谷径）１４．１ｍｍ、外径（山径）２０．６ｍｍ、各山の角度（フランク角）４０度とされている。ラグスクリューボルト４１はここでは全長２４０ｍｍとされ、スクリュー部４１ａが約２００ｍｍにわたって形成されているものを使用する。
スクリュー部４１ａに隣接した位置にはナット部４１ｂが形成されている。ナット部４１ｂはラグスクリューボルト４１を回動させる際に図示しないジグが係合される部分であり外径が正六角形状に構成されている。ナット部４１ｂに隣接した基端側領域には雄ネジ部４１ｃが形成されている。尚、ラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａの長さ径（谷径と山径）各山の角度（フランク角）、ナット部４１ｂの幅、雄ネジ部４１ｃの長さ、スクリュー部４１ａのネジのピッチ等の寸法は木製構造躯体に応じて適宜変更される。そして、それに応じて実施の形態１～３のタップ１、２１、３１の刃部７、２７、３７の全長、径、フランク角等の条件も適宜変更される。
【0019】
次に上記実施の形態１～３のタップ１、２１、３１を使用した案内孔へのラグスクリューボルト４１の埋設方法について説明する。
以下では代表として実施の形態１のタップ１を使用するものとして説明する。案内孔としての下穴４５は適宜第１の木製構造躯体と第２の木製構造躯体とを接合する際に第１の木製構造躯体となる例えば壁、柱、横架材(梁、桁等)、土台、母屋等の所定位置に形成される。あるいは木製構造躯体を基礎側に連結固定する際に木製構造躯体となる例えば壁、柱等の所定位置に形成される。
図６（ａ）に示すように、木質構造躯体（例えば、柱、壁、梁等）４６の平らな壁面４７所定の位置に図示しない周知のドリル装置によってボルト用穴としての下穴４５を穿設する。この穴の径は１７．０ｍｍであり内周壁面４５ａは滑らかに形成される。タップ１の先端の案内ヘッド４の径は１６．９ｍｍとされているため、下穴４５との間にほぼ遊びはなく、案内ヘッド４を下穴４５にぴったりと収めることが可能となっている。
図６（ｂ）に示すように、作業者は上記タップ１を下穴４５の開口部４５ｂから挿入し、図示しない周知のドリル装置によって内周壁面４５ａに案内溝４８を形成する。
そのため、作業者は溝切り刃３を正回転方向、つまり、切削しながら切削抵抗で前進する力が作用する方向に回転させた状態で、タップ１の案内ヘッド４を下穴４５内に挿入させ（この段階ではまだ切削はされていない）、案内ヘッド４の外周面４ａを案内にタップ１をゆっくり前進させる。刃部７は先端寄りの高さの浅いテーパ領域Ｒ１先端から木部に接して下穴４５の内周壁面４５ａを切削していき、後続する領域は徐々に高く構成されているため、内周壁面４５ａ木部に対して常に刃部７が深く木部に食い込むことなく、切削におけるタップ１のトルクは比較的安定した低トルクで切削されていく。
このとき、切り粉は基本的に切り粉排出溝９内に収容される。一部漏れた切り粉が滞留領域１６に収容される。溝切り刃３の刃部７の最も後方の山（仕上げ領域Ｒ２の最後尾）が通過することで案内溝４８が予定された深さで形成されていく（完成されていく）。
以下では代表として実施の形態１のタップ１を使用するものとして説明する。案内孔としての下穴４５は適宜第１の木製構造躯体と第２の木製構造躯体とを接合する際に第１の木製構造躯体となる例えば壁、柱、横架材(梁、桁等)、土台、母屋等の所定位置に形成される。あるいは木製構造躯体を基礎側に連結固定する際に木製構造躯体となる例えば壁、柱等の所定位置に形成される。
図６（ａ）に示すように、木質構造躯体（例えば、柱、壁、梁等）４６の平らな壁面４７所定の位置に図示しない周知のドリル装置によってボルト用穴としての下穴４５を穿設する。この穴の径は１７．０ｍｍであり内周壁面４５ａは滑らかに形成される。タップ１の先端の案内ヘッド４の径は１６．９ｍｍとされているため、下穴４５との間にほぼ遊びはなく、案内ヘッド４を下穴４５にぴったりと収めることが可能となっている。
図６（ｂ）に示すように、作業者は上記タップ１を下穴４５の開口部４５ｂから挿入し、図示しない周知のドリル装置によって内周壁面４５ａに案内溝４８を形成する。
そのため、作業者は溝切り刃３を正回転方向、つまり、切削しながら切削抵抗で前進する力が作用する方向に回転させた状態で、タップ１の案内ヘッド４を下穴４５内に挿入させ（この段階ではまだ切削はされていない）、案内ヘッド４の外周面４ａを案内にタップ１をゆっくり前進させる。刃部７は先端寄りの高さの浅いテーパ領域Ｒ１先端から木部に接して下穴４５の内周壁面４５ａを切削していき、後続する領域は徐々に高く構成されているため、内周壁面４５ａ木部に対して常に刃部７が深く木部に食い込むことなく、切削におけるタップ１のトルクは比較的安定した低トルクで切削されていく。
このとき、切り粉は基本的に切り粉排出溝９内に収容される。一部漏れた切り粉が滞留領域１６に収容される。溝切り刃３の刃部７の最も後方の山（仕上げ領域Ｒ２の最後尾）が通過することで案内溝４８が予定された深さで形成されていく（完成されていく）。
【0020】
予定された位置（ここでは下穴４５先端まで）に案内ヘッドを進出させた段階でドリル装置を操作してタップ１を逆回転させる。これによってタップ１は自身が切削した案内溝４８に案内されながら速やかに下穴４５の開口部４５ｂから離脱する。その際に切り粉排出溝９や滞留領域１６に収容された木くずも排出される。この状態が図６（ｂ）の状態である。図６（ｂ）に示すように、下穴４５の内部には案内溝４８が全般にわたって形成されることとなるが、タップ１が最も進出した位置は案内ヘッド４が配置されることとなるため、下穴４５最深部領域には案内溝４８は形成されない。また、案内ヘッド４に続く奥位置では溝切り刃３の刃部７が配置されるが、この領域では溝切り刃３の刃部７のテーパ領域Ｒ１の高さに応じて奥側ほど浅くなる溝が形成される。
【0021】
このようにして案内溝４８が形成された下穴４５に対してラグスクリューボルト４１を埋設する。埋設においては図示しないジグによってナット部４１ｂを支持して正方向（時計回り方向）にねじ込んでいく。
ラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａのネジ山ピッチとは案内溝４８の形状と一致する。一方、山径と谷径は一致していない。山径は本実施の形態では２０．６ｍｍであるため、図６（ａ）における領域Ａ（つまり刃部７の仕上げ領域Ｒが通過した部分）では２０．５ｍｍの案内溝４８の底にスクリュー部４１ａの先端寄りのネジ山はごくわずかにくいこむこととなる。後続するスクリュー部４１ａのネジ山は案内溝４８が同じフランク角で構成されているため、ピッタリと面で密着しながらネジ作用で埋設されていく。図７（ａ）で示すように、ラグスクリューボルト４１は領域Ａの部分では比較的低い均等なトルクで、かつネジ作用によって前方に送られながら埋設されることとなる。
一方、ラグスクリューボルト４１が図７（ａ）の位置から図４（ｂ）の位置まで進出する際には、まず図６（ｂ）における領域Ｂでは徐々に案内溝４８の溝深さが浅くなるため、それに伴ってトルクが大きくなっていく。つまり、ラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａは先端寄りが深く木部に食い込んでいくこととなる。そして図６（ｂ）における領域Ｃは案内溝４８がない領域であるためトルクは最大となり、ラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａは先端寄りで最も深く木部に食い込むこととなる。
本実施の形態では、ラグスクリューボルト４１の埋設が完了した状態でラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａがすべて下穴４５内に埋設されナット部４１ｂとネジ部１ｃが外部に露出する（図７（ｂ）の状態）。
ラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａのネジ山ピッチとは案内溝４８の形状と一致する。一方、山径と谷径は一致していない。山径は本実施の形態では２０．６ｍｍであるため、図６（ａ）における領域Ａ（つまり刃部７の仕上げ領域Ｒが通過した部分）では２０．５ｍｍの案内溝４８の底にスクリュー部４１ａの先端寄りのネジ山はごくわずかにくいこむこととなる。後続するスクリュー部４１ａのネジ山は案内溝４８が同じフランク角で構成されているため、ピッタリと面で密着しながらネジ作用で埋設されていく。図７（ａ）で示すように、ラグスクリューボルト４１は領域Ａの部分では比較的低い均等なトルクで、かつネジ作用によって前方に送られながら埋設されることとなる。
一方、ラグスクリューボルト４１が図７（ａ）の位置から図４（ｂ）の位置まで進出する際には、まず図６（ｂ）における領域Ｂでは徐々に案内溝４８の溝深さが浅くなるため、それに伴ってトルクが大きくなっていく。つまり、ラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａは先端寄りが深く木部に食い込んでいくこととなる。そして図６（ｂ）における領域Ｃは案内溝４８がない領域であるためトルクは最大となり、ラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａは先端寄りで最も深く木部に食い込むこととなる。
本実施の形態では、ラグスクリューボルト４１の埋設が完了した状態でラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａがすべて下穴４５内に埋設されナット部４１ｂとネジ部１ｃが外部に露出する（図７（ｂ）の状態）。
【0022】
実施の形態２のタップ２１と実施の形態３のタップ３１でも上記と同様の操作で上記と同様の案内溝４８を形成することができる。そして、案内溝４８が形成された下穴４５に対してラグスクリューボルト４１を埋設することができる。
実施の形態１のタップ１を使用した場合には、上記のように切り粉は基本的に切り粉排出溝９内に収容されるが、実施の形態２のタップ２１では切り粉排出溝２６はテーパ領域Ｒ１前端から仕上げ領域Ｒ２後端にかけて刃部２７のらせん方向と同方向のらせんとなるように形成されているため、案内溝４８の切削の際に出る切り粉は、タップ２１の回転に伴って切り粉排出溝２６を後方、つまり開口部４５ｂ方向に押し出す力が働くため切削時に常に排出されることとなる。実施の形態３のタップ３１では切り粉排出溝３６はらせん形状ではないため、タップ２１の回転に伴って後方に押し出されることはないが、切り粉が切り粉排出溝３６内に収容されて溜まってくると、その溜まった圧力によって開口部４５ｂ方向に徐々に押し出されて排出されることとなる。
実施の形態１のタップ１を使用した場合には、上記のように切り粉は基本的に切り粉排出溝９内に収容されるが、実施の形態２のタップ２１では切り粉排出溝２６はテーパ領域Ｒ１前端から仕上げ領域Ｒ２後端にかけて刃部２７のらせん方向と同方向のらせんとなるように形成されているため、案内溝４８の切削の際に出る切り粉は、タップ２１の回転に伴って切り粉排出溝２６を後方、つまり開口部４５ｂ方向に押し出す力が働くため切削時に常に排出されることとなる。実施の形態３のタップ３１では切り粉排出溝３６はらせん形状ではないため、タップ２１の回転に伴って後方に押し出されることはないが、切り粉が切り粉排出溝３６内に収容されて溜まってくると、その溜まった圧力によって開口部４５ｂ方向に徐々に押し出されて排出されることとなる。
【0023】
以上、実施の形態１～３のタップ１、２１、３１を使用してラグスクリューボルト４１を埋設することによって次のような効果が奏される。
（１）案内溝４８を切削する際には、まず、下穴４５に対応した径の案内ヘッド４（２４、３４）を挿入し、下穴４５の内周壁面４５ａと案内ヘッド４（２４、３４）の外周面を案内としてタップ１（２１、３１）を進出させることができるため、進出に伴ってタップ１ががたつくことがなく、タップ１（２１、３１）の中心と下穴４５の中心の軸芯出しが正確となる。つまり、切削時にタップ１（２１、３１）がぶれず軸心が安定して正確な案内溝４８を形成することができる。
（２）案内ヘッド４は下穴４５よりもごくわずかに小さな径なので穴４５の内周壁面４５ａと案内ヘッド４（２４、３４）の外周面はぴったりと密着し、がたつくことないため、タップ１（２１、３１）の中心と下穴４５の中心の軸芯出しが正確となる。
（３）タップ１（２１、３１）の溝切り刃３（２３、３３）の刃部７（２７、３７）はテーパ領域Ｒ１を有し先端位置ほど下穴４５内は溝４８が浅くなるように形成できる。一方、仕上げ領域Ｒ２ではラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａの山とほぼ同じ深さの山を形成することができる。また、先端に案内ヘッド４（２４、３４）を形成しているため、まったく溝４８のない部分を下穴４５先端に形成することができ、埋設されたラグスクリューボルト４１をしっかりと保持することができる。
（４）切り粉排出溝６（２６、３６）を形成することで刃部７（２７、３７）との交差部分で切れ刃が形成されることとなるので、木部がけずりやすくなる。
（５）実施の形態１では切り粉を積極的に排出せず、切り粉排出溝６内に収容するようにしており、切り粉排出溝６は溝切り刃３の後方に連通していない。つまり、仕上げ領域Ｒ２の刃部７はカットされていない。そのため、溝切り刃３の回転時の安定性が向上し、ぶれにくくより正確な案内溝４８を形成することができる。
（６）実施の形態２では切り粉排出溝２６は刃部２７のらせん方向と同じ方向のらせん状に形成されているため、タップ２１の回転によって切り粉を後方に送る力が作用することとなる。そのため切り粉を効率よく排出できることとなる。
（７）実施の形態３では４つの切り粉排出溝３６を形成するようにしたため、切れ刃が多くなるため、切削能力が向上する。
（１）案内溝４８を切削する際には、まず、下穴４５に対応した径の案内ヘッド４（２４、３４）を挿入し、下穴４５の内周壁面４５ａと案内ヘッド４（２４、３４）の外周面を案内としてタップ１（２１、３１）を進出させることができるため、進出に伴ってタップ１ががたつくことがなく、タップ１（２１、３１）の中心と下穴４５の中心の軸芯出しが正確となる。つまり、切削時にタップ１（２１、３１）がぶれず軸心が安定して正確な案内溝４８を形成することができる。
（２）案内ヘッド４は下穴４５よりもごくわずかに小さな径なので穴４５の内周壁面４５ａと案内ヘッド４（２４、３４）の外周面はぴったりと密着し、がたつくことないため、タップ１（２１、３１）の中心と下穴４５の中心の軸芯出しが正確となる。
（３）タップ１（２１、３１）の溝切り刃３（２３、３３）の刃部７（２７、３７）はテーパ領域Ｒ１を有し先端位置ほど下穴４５内は溝４８が浅くなるように形成できる。一方、仕上げ領域Ｒ２ではラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａの山とほぼ同じ深さの山を形成することができる。また、先端に案内ヘッド４（２４、３４）を形成しているため、まったく溝４８のない部分を下穴４５先端に形成することができ、埋設されたラグスクリューボルト４１をしっかりと保持することができる。
（４）切り粉排出溝６（２６、３６）を形成することで刃部７（２７、３７）との交差部分で切れ刃が形成されることとなるので、木部がけずりやすくなる。
（５）実施の形態１では切り粉を積極的に排出せず、切り粉排出溝６内に収容するようにしており、切り粉排出溝６は溝切り刃３の後方に連通していない。つまり、仕上げ領域Ｒ２の刃部７はカットされていない。そのため、溝切り刃３の回転時の安定性が向上し、ぶれにくくより正確な案内溝４８を形成することができる。
（６）実施の形態２では切り粉排出溝２６は刃部２７のらせん方向と同じ方向のらせん状に形成されているため、タップ２１の回転によって切り粉を後方に送る力が作用することとなる。そのため切り粉を効率よく排出できることとなる。
（７）実施の形態３では４つの切り粉排出溝３６を形成するようにしたため、切れ刃が多くなるため、切削能力が向上する。
【0024】
次に、上記の実施の形態を使用した具体的な構造の実施例を説明する。木造建築物の構造躯体として下記実施例の構造を有するものである。
（実施例１）
実施例１は第１の木製構造躯体としての柱５１と第２の木製構造躯体としての図示しない梁を接合する場合に接合金具としてのＴ字金具５２と組み合わせて上記ラグスクリューボルト４１を使用する例である。
図８に示すようにＴ字金具５２は略長方形の当接プレート５３と略長方形の挿入プレート５４とが平面視においてＴ字状となるように接合されている。当接プレート５３には上下方向（垂直方向）において等間隔に図示しない４つの透孔が形成され、その透孔を包囲するように４つのジベル５５が溶接によって固着されている。ジベル５５は等幅・等厚のベルト状の板材を無端状のリングとして構成されている。挿入プレート５４のジベル５５に隣接する位置にはナット取り付け穴５６が形成されている。また挿入プレート５４には１つの切り欠き５８と４つの透孔５９が上下方向に直列に配置されて形成されている。
柱５１と梁との接合においては、図８に示すように、上記の手法でラグスクリューボルト４１をジベル嵌合溝６０が形成されている所定の位置に埋設した柱５１に対してＴ字金具５２の当接プレート５３をジベル５５が対応するジベル嵌合溝６０に嵌合されるように取り付ける。そして、図示しない透孔からナット取り付け穴５６に露出したラグスクリューボルト４１のネジ部４１ｃに対して図示しないワッシャとナットによって固定する。次いで、このように固定されたＴ字金具５２の挿入プレート５４に対して図示しない梁を接合する。
（実施例１）
実施例１は第１の木製構造躯体としての柱５１と第２の木製構造躯体としての図示しない梁を接合する場合に接合金具としてのＴ字金具５２と組み合わせて上記ラグスクリューボルト４１を使用する例である。
図８に示すようにＴ字金具５２は略長方形の当接プレート５３と略長方形の挿入プレート５４とが平面視においてＴ字状となるように接合されている。当接プレート５３には上下方向（垂直方向）において等間隔に図示しない４つの透孔が形成され、その透孔を包囲するように４つのジベル５５が溶接によって固着されている。ジベル５５は等幅・等厚のベルト状の板材を無端状のリングとして構成されている。挿入プレート５４のジベル５５に隣接する位置にはナット取り付け穴５６が形成されている。また挿入プレート５４には１つの切り欠き５８と４つの透孔５９が上下方向に直列に配置されて形成されている。
柱５１と梁との接合においては、図８に示すように、上記の手法でラグスクリューボルト４１をジベル嵌合溝６０が形成されている所定の位置に埋設した柱５１に対してＴ字金具５２の当接プレート５３をジベル５５が対応するジベル嵌合溝６０に嵌合されるように取り付ける。そして、図示しない透孔からナット取り付け穴５６に露出したラグスクリューボルト４１のネジ部４１ｃに対して図示しないワッシャとナットによって固定する。次いで、このように固定されたＴ字金具５２の挿入プレート５４に対して図示しない梁を接合する。
【0025】
（実施例２）
実施例２は木製構造躯体としての柱６１を基礎Ｂ上に固定する際に柱脚金物６２と組み合わせて上記ラグスクリューボルト４１が使用された例である。
図９に示すように、柱脚金物６２が基礎Ｂから突出するアンカーボルト６３によって固定され、上記の手法でラグスクリューボルト４１が埋設された柱が柱脚金物６２上に設置されている。
実施例２は木製構造躯体としての柱６１を基礎Ｂ上に固定する際に柱脚金物６２と組み合わせて上記ラグスクリューボルト４１が使用された例である。
図９に示すように、柱脚金物６２が基礎Ｂから突出するアンカーボルト６３によって固定され、上記の手法でラグスクリューボルト４１が埋設された柱が柱脚金物６２上に設置されている。
【0026】
上記実施の形態は本発明の原理およびその概念を例示するための具体的な実施の形態として記載したにすぎない。つまり、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明は、例えば次のように変更した態様で具体化することも可能である。
・タップ１、２１、３１の形状やサイズは一例であり、他の構成で実施することも可能である。例えば実施の形態１のタップ１や実施の形態３のタップ３１では案内コマ５、３５を設けていたが、これはなくともよい。逆に実施の形態２のタップ２１に第２の案内部材を設けるようにしてもよい。
・切り粉排出溝６、２６、３６の数、長さ、溝の形状、深さ、製造方法等は上記は一例であり、変更可能である。また、これら切り粉排出溝６、２６、３６を設けずにタップを作成することも自由である。
・案内ヘッド４、２４、３４の形状は上記は一例である。例えば、上記では円柱形の外観であり、外周全域で下穴４５に接するような構成であったが、外周全域が接しなくとも軸心が安定するような構成であればよい。例えば完全な円形の外周ではなく部分的にカットされていてもよい。
・溝切り刃３、２３、３３のテーパ領域Ｒ１のテーパ度合いは変更は自由である。また、テーパ領域Ｒ１と仕上げ領域Ｒ２の割合も変更可能である。これらは溝切り刃３、２３、３３の長さや刃部７、２７、３７のピッチの数等で適宜設計されるものだからである。
・上記実施の形態のラグスクリューボルト４１の形状は一例であって、他の形態で実施することも自由である。埋設方法も上記は一例にすぎない。
・溝切り刃３、２３、３３の仕上げ領域Ｒ２の山径とラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａの山径について上記ではスクリュー部４１ａの山径を若干大きく構成したが、この径のサイズを同径に構成するようにしてもよい。逆にスクリュー部４１ａの山径を小さく構成するようにしてラグスクリューボルト４１のトルクをより軽減するようにしてもよい。
・タップ１、２１、３１の形状やサイズは一例であり、他の構成で実施することも可能である。例えば実施の形態１のタップ１や実施の形態３のタップ３１では案内コマ５、３５を設けていたが、これはなくともよい。逆に実施の形態２のタップ２１に第２の案内部材を設けるようにしてもよい。
・切り粉排出溝６、２６、３６の数、長さ、溝の形状、深さ、製造方法等は上記は一例であり、変更可能である。また、これら切り粉排出溝６、２６、３６を設けずにタップを作成することも自由である。
・案内ヘッド４、２４、３４の形状は上記は一例である。例えば、上記では円柱形の外観であり、外周全域で下穴４５に接するような構成であったが、外周全域が接しなくとも軸心が安定するような構成であればよい。例えば完全な円形の外周ではなく部分的にカットされていてもよい。
・溝切り刃３、２３、３３のテーパ領域Ｒ１のテーパ度合いは変更は自由である。また、テーパ領域Ｒ１と仕上げ領域Ｒ２の割合も変更可能である。これらは溝切り刃３、２３、３３の長さや刃部７、２７、３７のピッチの数等で適宜設計されるものだからである。
・上記実施の形態のラグスクリューボルト４１の形状は一例であって、他の形態で実施することも自由である。埋設方法も上記は一例にすぎない。
・溝切り刃３、２３、３３の仕上げ領域Ｒ２の山径とラグスクリューボルト４１のスクリュー部４１ａの山径について上記ではスクリュー部４１ａの山径を若干大きく構成したが、この径のサイズを同径に構成するようにしてもよい。逆にスクリュー部４１ａの山径を小さく構成するようにしてラグスクリューボルト４１のトルクをより軽減するようにしてもよい。
【0027】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
また、意匠出願への変更出願により、全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としてもよいし、その部材の部分としてもよい。
また、意匠出願への変更出願により、全体意匠または部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としてもよいし、その部材の部分としてもよい。
【符号の説明】
【0028】
１、２１、３１…タップ、３、２３、３３…溝切り刃、４、２４、３４…案内部材としての案内ヘッド、４ａ、２４ａ、３４ａ…案内面、１６ａ…内周壁面、１８…案内溝、５１、６１…木製構造躯体としての柱、４１…ラグスクリューボル、４５…案内孔としての下穴、４８…案内溝。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】