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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】仕切体及び側壁の結合構造
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/50 20060101AFI20230817BHJP
   B65D 5/492 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
B65D5/50 101Z
B65D5/492
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020180979
(22)【出願日】2020-10-28
(65)【公開番号】P2022071791
(43)【公開日】2022-05-16
【審査請求日】2022-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】502215476
【氏名又は名称】豊田段ボール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161229
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 達彦
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 智康
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直樹
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-266728(JP,A)
【文献】特開2003-300520(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第01480895(GB,A)
【文献】実開昭48-096073(JP,U)
【文献】実開昭58-126927(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/50
B65D 5/492
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1~第4の側壁部で構成され、第1の側壁部と第2の側壁部とが互いに直角に結合されている方形枠状の仕切体であって、
前記第1の側壁部は、結合される側の端縁(以下、「第1端縁」という。)から突出するように延設形成された差込み片を有し、
前記差込み片は、前記第1端縁と平行で前記第1端縁から前記差込み片側に略前記側壁部の厚さ分離間した位置を折り目(以下、「第1折り目」という。)として、前記第1の側壁部の内面側に折曲げ可能となっており、
前記第1の側壁部には、前記第1折り目に沿って、略コ字状のコ字切線が形成され、前記差込み片を折曲げると、前記第1折り目を基端として前記差込み片とは反対側に、前記差込み片と同一平面上に突出し、前記第1折り目で折曲がらず、前記第1折り目を中心として前記差込片と一体的に回動する凸片が形成されるようになっており、
前記第2の側壁部は、結合される側の端縁(以下、「第2端縁」という。)から突出するように延設形成された折曲げ片を有し、
前記折曲げ片は、前記第2端縁を折り目(以下、「第2折り目」という。)として、前記第2の側壁部の内面側に折曲げ可能となっており、
前記第2の側壁部には、前記第2折り目に沿って、所定の孔及び/又は所定の切線が形成され、前記折曲げ片を折曲げると、前記第2折り目に沿って、内面側から前記差込み片を嵌入可能な嵌入孔が形成されるとともに、前記第2折り目を基端として前記折曲げ片とは反対側に、前記折曲げ片と同一平面上に略前記側壁部の厚さ分突出し、前記第2折り目で折曲がらず、前記第2折り目を中心として前記折曲げ片と一体的に回動する凸部が形成されるようになっており、
前記折曲げ片を折曲げ、前記差込み片を前記嵌入孔に嵌入させるとともに折曲げ、前記凸片を前記凸部の先端に横方向から当接させることで、前記差込み片及び前記折曲げ片が折曲がった状態で保持され、前記差込み片が前記嵌入孔から抜け止め状態となっている仕切体。
【請求項2】
前記第1の側壁部に対向する側壁部を前記第3の側壁部とし、前記第2の側壁部に対向する側壁部を前記第4の側壁部とし、前記第3の側壁部と前記第4の側壁部とが互いに直角に結合されている請求項1に記載の仕切体であって、
前記第3の側壁部と前記第4の側壁部との結合部分における前記第3の側壁部の構成は、前記第1の側壁部と前記第2の側壁部との結合部分における前記第1の側壁部の構成と同じであり、
前記第3の側壁部と前記第4の側壁部との結合部分における前記第4の側壁部の構成は、前記第1の側壁部と前記第2の側壁部との結合部分における前記第2の側壁部の構成と同じである請求項1に記載の仕切体。
【請求項3】
前記側壁部は、段ボール又はプラスチック段ボールである請求項1又は請求項2に記載の仕切体。
【請求項4】
第1~第4の側壁が方形枠状に設けられた段ボール構造体又はプラスチック段ボール構造体における、前記第1の側壁と前記第2の側壁とを互いに直角に結合させる結合構造であって、
前記第1の側壁は、結合される側の端縁(以下、「第1端縁」という。)から突出するように延設形成された差込み片を有し、
前記差込み片は、前記第1端縁と平行で前記第1端縁から前記差込み片側に略前記側壁の厚さ分離間した位置を折り目(以下、「第1折り目」という。)として、前記第1の側壁の内面側に折曲げ可能となっており、
前記第1の側壁には、前記第1折り目に沿って、略コ字状のコ字切線が形成され、前記差込み片を折曲げると、前記第1折り目を基端として前記差込み片とは反対側に、前記差込み片と同一平面上に突出し、前記第1折り目で折曲がらず、前記第1折り目を中心として前記差込片と一体的に回動する凸片が形成されるようになっており、
前記第2の側壁は、結合される側の端縁(以下、「第2端縁」という。)から突出するように延設形成された折曲げ片を有し、
前記折曲げ片は、前記第2端縁を折り目(以下、「第2折り目」という。)として、前記第2の側壁の内面側に折曲げ可能となっており、
前記第2の側壁には、前記第2折り目に沿って、所定の孔及び/又は所定の切線が形成され、前記折曲げ片を折曲げると、前記第2折り目に沿って、内面側から前記差込み片を嵌入可能な嵌入孔が形成されるとともに、前記第2折り目を基端として前記折曲げ片とは反対側に、前記折曲げ片と同一平面上に略前記側壁の厚さ分突出し、前記第2折り目で折曲がらず、前記第2折り目を中心として前記折曲げ片と一体的に回動する凸部が形成されるようになっており、
前記折曲げ片を折曲げ、前記差込み片を前記嵌入孔に嵌入させるとともに折曲げ、前記凸片を前記凸部の先端に横方向から当接させることで、前記差込み片及び前記折曲げ片が折曲がった状態で保持され、前記差込み片が前記嵌入孔から抜け止め状態となる側壁の結合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に箱内部の商品を保護するために用いる仕切体及び仕切体等の側壁を結合する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
方形枠状の仕切体において、特許文献1の図4(b)に記載のように、側壁の一部を接着剤等で接着して結合するものが知られている。
【0003】
しかし、接着剤を用いて結合するものでは、組付け作業に時間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-240713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、短時間で組付けられる仕切体及び側壁の結合構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る仕切体は、
第1~第4の側壁部で構成され、第1の側壁部と第2の側壁部とが互いに直角に結合されている方形枠状の仕切体であって、
前記第1の側壁部は、結合される側の端縁(以下、「第1端縁」という。)から突出するように延設形成された差込み片を有し、
前記差込み片は、前記第1端縁と平行で前記第1端縁から前記差込み片側に略前記側壁部の厚さ分離間した位置を折り目(以下、「第1折り目」という。)として、前記第1の側壁部の内面側に折曲げ可能となっており、
前記第1の側壁部には、前記第1折り目に沿って、略コ字状のコ字切線が形成され、前記差込み片を折曲げると、前記第1折り目を基端として前記差込み片とは反対側に、前記差込み片と同一平面上に突出し、前記第1折り目で折曲がらず、前記第1折り目を中心として前記差込片と一体的に回動する凸片が形成されるようになっており、
前記第2の側壁部は、結合される側の端縁(以下、「第2端縁」という。)から突出するように延設形成された折曲げ片を有し、
前記折曲げ片は、前記第2端縁を折り目(以下、「第2折り目」という。)として、前記第2の側壁部の内面側に折曲げ可能となっており、
前記第2の側壁部には、前記第2折り目に沿って、所定の孔及び/又は所定の切線が形成され、前記折曲げ片を折曲げると、前記第2折り目に沿って、内面側から前記差込み片を嵌入可能な嵌入孔が形成されるとともに、前記第2折り目を基端として前記折曲げ片とは反対側に、前記折曲げ片と同一平面上に略前記側壁部の厚さ分突出し、前記第2折り目で折曲がらず、前記第2折り目を中心として前記折曲げ片と一体的に回動する凸部が形成されるようになっており、
前記折曲げ片を折曲げ、前記差込み片を前記嵌入孔に嵌入させるとともに折曲げ、前記凸片を前記凸部の先端に横方向から当接させることで、前記差込み片及び前記折曲げ片が折曲がった状態で保持され、前記差込み片が前記嵌入孔から抜け止め状態となっていることを要旨とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る側壁の結合構造は、
第1~第4の側壁が方形枠状に設けられた段ボール構造体又はプラスチック段ボール構造体における、前記第1の側壁と前記第2の側壁とを互いに直角に結合させる結合構造であって、
前記第1の側壁は、結合される側の端縁(以下、「第1端縁」という。)から突出するように延設形成された差込み片を有し、
前記差込み片は、前記第1端縁と平行で前記第1端縁から前記差込み片側に略前記側壁の厚さ分離間した位置を折り目(以下、「第1折り目」という。)として、前記第1の側壁の内面側に折曲げ可能となっており、
前記第1の側壁には、前記第1折り目に沿って、略コ字状のコ字切線が形成され、前記差込み片を折曲げると、前記第1折り目を基端として前記差込み片とは反対側に、前記差込み片と同一平面上に突出し、前記第1折り目で折曲がらず、前記第1折り目を中心として前記差込片と一体的に回動する凸片が形成されるようになっており、
前記第2の側壁は、結合される側の端縁(以下、「第2端縁」という。)から突出するように延設形成された折曲げ片を有し、
前記折曲げ片は、前記第2端縁を折り目(以下、「第2折り目」という。)として、前記第2の側壁の内面側に折曲げ可能となっており、
前記第2の側壁には、前記第2折り目に沿って、所定の孔及び/又は所定の切線が形成され、前記折曲げ片を折曲げると、前記第2折り目に沿って、内面側から前記差込み片を嵌入可能な嵌入孔が形成されるとともに、前記第2折り目を基端として前記折曲げ片とは反対側に、前記折曲げ片と同一平面上に略前記側壁の厚さ分突出し、前記第2折り目で折曲がらず、前記第2折り目を中心として前記折曲げ片と一体的に回動する凸部が形成されるようになっており、
前記折曲げ片を折曲げ、前記差込み片を前記嵌入孔に嵌入させるとともに折曲げ、前記凸片を前記凸部の先端に横方向から当接させることで、前記差込み片及び前記折曲げ片が折曲がった状態で保持され、前記差込み片が前記嵌入孔から抜け止め状態となることを要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本仕切体及び側壁の結合構造は、組付け時に接着剤等を使用しないため、短時間で組付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態である仕切体1を示した説明図である。
図2】仕切体1を構成するシート材を示した説明図である。
図3】結合構造を示した説明図である。
図4】結合構造を示した説明図である。
図5】結合構造を示した説明図である。
図6】結合構造を示した説明図である。
図7】折曲げ状態を保持する仕組みを示した説明図である。
図8】第1実施形態の変形例を構成するシート材を示した説明図である。
図9】第1実施形態の変形例を構成するシート材を示した説明図である。
図10】第2実施形態である仕切体2を示した説明図である。
図11】仕切体2を構成するシート材を示した説明図である。
図12】第2実施形態の変形例を構成するシート材を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の仕切体を具現化した実施形態について、図面を用いて説明するが、本発明の技術的範囲は、もちろんこれだけに限定されるものではない。なお、周知の技術に関しては、詳細な説明を省略する。また、本明細書中で特に断りなく仕切体について上方向又は下方向という場合、図1を正面視した状態においての上下方向を指すものとする。
【0011】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態である仕切体1の構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は本実施形態の仕切体1を示した説明図である。図2(a)は仕切体1を構成するシート材を示した説明図である。図2(b)は、差込み片を折曲げた状態を示した説明図である。図2(c)は、折曲げ片を折曲げた状態を示した説明図である。
【0012】
図1に示すように、仕切体1は、方形枠状の仕切体であり、主に箱内部の商品を保護するために用いられる。仕切体1は、第1の側壁部11、第2の側壁部12、第3の側壁部13、第4の側壁部14で構成される。第1~第4の側壁部11,12,13,14は、図2に示すように、1枚の略矩形のシート材20によって構成されている。
【0013】
シート材20の材質は、プラスチック段ボール(一般に「プラスチック段ボール」と称される樹脂製の段ボール構造板、以下、単に「プラスチック段ボール」という。)である。これにより、仕切体1は軽量で強度及び緩衝性に優れたものとなっている。
また、シート材20は、プラスチック段ボールをプレス打ち抜き加工して得られたものである。なお、本実施形態では、シート材20の材質をプラスチック段ボールとしたが、段ボールでもよく、可撓性の薄板でもよい。
【0014】
仕切体1は、第1の側壁部11と第2の側壁部12とが互いに直角に結合され、それ以外の側壁部どうしは、1枚のシート材20を折曲げることで連接している。
【0015】
第1の側壁部11は、結合される側の端縁(以下、「第1端縁21」という。)から突出するように延設形成された差込み片22を有している。
【0016】
差込み片22は、第1端縁21と平行で第1端縁21から差込み片22側に略側壁部11~14の厚さ分離間した位置を折り目(以下、「第1折り目23」という。)として、第1の側壁部11の内面側に折曲げ可能となっている。
【0017】
第1折り目23は、折曲げる方向(内面側)の反対側(外面側)のライナーをカットした、いわゆる半切り加工が施されている。本実施形態では半切り加工としたが、罫線加工としてもいいし、それ以外の方法でも第1折り目23で自然に折曲がるような加工法であればどのようなものでも構わない。
また、罫線加工とした場合、半切り加工よりも真っすぐに戻ろうとする力が強くなるため、罫線の一部を切線として戻ろうとする力を弱めてもよい。
【0018】
また、第1の側壁部11には、上下方向略中心の位置に、第1折り目23に沿って、略コ字状のコ字切線26が形成されている。
これにより、図2(b)に示すように、差込み片22を折曲げると、第1折り目23から差込み片22の反対側に向けて突出する凸片25が形成されるようになっている。
凸片25は、差込み片22と同一平面上に延設形成され、差込み片22が第1折り目23を中心として回動すると、第1折り目で折曲がらずに差込み片22と一体的に回動する。
凸片25の横方向の長さは、側壁部11~14の厚さの略2倍となっている。
【0019】
第2の側壁部12は、結合される側の端縁(以下、「第2端縁31」という。)から突出するように延設形成された折曲げ片32を有している。
【0020】
折曲げ片32は、第2端縁31を折り目(以下、「第2折り目33」という。)として、第2の側壁部12の内面側に折曲げ可能となっている。
【0021】
第2折り目33も第1折り目23と同様、折曲げる方向(内面側)の反対側(外面側)のライナーをカットした、いわゆる半切り加工が施されている。罫線加工としてもいいし、それ以外の方法でも構わないことも第1折り目23と同様である。
【0022】
また、第2の側壁部12には、上下方向略中心を対象として、上方と下方に縦長の長方形状の孔34aが、それぞれ一つずつ第2折り目33に沿って形成されている。そして、孔34a、34aの折曲げ片32とは反対側の側縁どうしを繋げるように、切線34bが形成されている。
【0023】
これにより、図2(c)に示すように、折曲げ片32を折曲げると、第2の側壁部12には、第2折り目33に沿って、内面側から差込み片22を嵌入可能な嵌入孔34が形成されるようになっている。
【0024】
また、これにより、図2(c)に示すように、折曲げ片32を折曲げると、第2折り目33から折曲げ片32の反対側に突出する凸部35が形成されるようになっている。
凸部35は、折曲げ片32と同一平面上に延設形成され、折曲げ片32が第2折り目33を中心として回動すると、第2折り目で折曲がらずに折曲げ片32と一体的に回動する。
凸部35の横方向の長さは、側壁部11~14の厚さと略同じとなっている。
【0025】
ただし、本実施形態では、このような構成としたが、第2側壁部12に形成される孔や切線は、これに限られるものではない。
折曲げ片32を折曲げたときに、第2の側壁部12に、第2折り目33に沿って、内面側から差込み片22を嵌入可能な嵌入孔34が形成されるとともに、第2折り目から折曲げ片32の反対側に突出する凸部35が折曲げ片32と同一平面上に延設形成され、折曲げ片32が第2折り目33を中心として回動すると、折曲げ片32と一体的に回動するというものであれば、孔及び/又は切線は、どのようなものでもよい。
【0026】
また、本実施形態では、凸部35の横方向の長さは、側壁部11~14の厚さと略同じとなっているが、側壁部11~14の厚さより僅かに長めにしてもよい。
また、嵌入孔34は、差込み片22を差し込んだときに、両者の間に隙間なく、まさにぴったり嵌め込まなければならないというわけではなく、少々の隙間があってもよいものである(たとえば、図8、9参照)。
【0027】
つぎに、仕切体1の組み付け方法について、図3~6を参照して説明する。
図3図6は、仕切体1を構成する側壁部の結合構造を示した説明図である。
【0028】
図3は、これから結合しようとする第1の側壁部11と第2の側壁部12を示している。
図3の状態から図4に示すように、折曲げ片32を内面側に向けて第2折り目33で約90度折曲げる。
【0029】
そして、図5に示すように、形成された嵌入孔34に差込み片22を嵌入させる。
そして、図6に示すように、差込み片22を内側に向けて折曲げ、凸片25を凸部35の先端に横方向から当接させる。
これにより、差込み片22及び折曲げ片32が折曲がった状態で保持され、差込み片22が嵌入孔34から抜け止め状態となる。
【0030】
この差込み片22及び折曲げ片32が折曲った状態で保持されることについて、図7を参照して説明する。図7(a)は、差込み片が折曲がった状態で保持される仕組みを示す説明図である。図7(b)は、折曲げ片が折曲がった状態で保持される仕組みを示す説明図である。説明をわかりやすくするために、図7(a)においては、差込み片22及び凸片25、折曲げ片32及び凸部35だけが描かれている。また、図7(b)においては、それに第1の側壁部11のみが加えられている。
【0031】
図7(a)に示すように、差込み片22及び凸片25は、第1折り目23を支点として、真っすぐに戻ろうと(図面上左回転しようと)する。しかし、凸片25の側面が凸部35の先端に横方向から当接しているため、差込み片22及び凸片25の回転が阻止される。
【0032】
図7(b)に示すように、折曲げ片32及び凸部35は、第2折り目33を支点として、真っすぐに戻ろうと(図面上右回転しようと)する。しかし、凸部35の先端が凸片25の側面に当接しており、凸片25は第1折り目23を支点として図面上左回転しようとしているため、折曲げ片32及び凸部35の回転が阻止される。また、凸部35の凸片25が当接していない部分は、第1端縁21と第1折り目23との間で凸片25と重ならない部分の差込み片22に当接しているため、折曲げ片32及び凸部35の回転が阻止される。
すなわち、凸部35の上下方向の長さが長いほど、折曲げ片32及び凸部35の回転を阻止する力が強い。
本実施形態でも、凸片25の上下方向の長さよりも凸部35の上下方向の長さのほうが長くなっているが、上記理由のためである。
【0033】
(第1の実施形態の変形例)
つぎに、第1の実施形態である仕切体1の変形例200(図示せず)の構成について、図8を参照して説明する。図8は第1の実施形態の変形例200を構成するシート材220を示した説明図である。なお、シート材20と形状、機能が同一の部位については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0034】
変形例200は、1枚の略矩形のシート材220によって構成される。
【0035】
第1の側壁部11には、コ字切線26の上方と下方に、第1折り目23に沿って、略L字状(逆L字状も含まれるものとする。)のL字切線226、226が形成されている。
これにより、差込み片22を折曲げると、第1折り目23から差込み片22の反対側に向けて突出する凸部225、225が、凸片25の上方と下方に延設形成されるようになっている。
凸部225は、差込み片22と同一平面上に延設形成され、差込み片22が第1折り目23を中心として回動すると、第1折り目23で折れ曲がらずに差込み片22と一体的に回動する。
凸部225の横方向の長さは、側壁部11~14の厚さと略同じとなっている。
【0036】
また、第2の側壁部12には、上下方向略中心を対象として、上方と下方に縦長の長方形状の孔234aが、それぞれ一つずつ第2折折り目33に沿って形成されている。そして、孔234a、234aの折曲げ片32とは反対側の側縁どうしを繋げるように、切線34bが形成されている。また、第2の側壁部12には、上下方向略中心を対象として切線34bの上方及び下方に、第2折り目33に沿って、略コ字状のコ字切線236、236が形成されている。
【0037】
これにより、折曲げ片32を折曲げると、第2の側壁部12には、第2折り目33に沿って、内面側から差込み片22を嵌入可能な嵌入孔34が形成されるようになっている。
【0038】
また、これにより、折曲げ片32を折曲げると、第2折り目33から折曲げ片32の反対側に突出する凸片235、235が形成されるようになっている。
凸片235は、折曲げ片32と同一平面上に延設形成され、折曲げ片32が第2折り目33を中心として回動すると、第2折り目33で折れ曲がらずに折曲げ片32と一体的に回動する。
凸片235の横方向の長さは、側壁部11~14の厚さの略2倍となっている。
【0039】
折曲げ片32を折曲げ、差込み片22を嵌入孔34に嵌入させるとともに折曲げ、凸片25を凸部35の先端に横方向から当接させるとともに、凸片235、235を凸部225、225の先端に横方向から当接させることで、差込み片22及び折曲げ片32が折曲がった状態で保持され、差込み片22が嵌入孔34から抜け止め状態となる。
折曲げ片32も差込み片22と同様の回転阻止手段とすることで、第1の実施形態より差込み片22及び折曲げ片32を折曲がった状態で保持する力を強くすることができる。
【0040】
(第1の実施形態の変形例)
つぎに、第1の実施形態である仕切体1の変形例300(図示せず)の構成について、図9を参照して説明する。図9は第1の実施形態の変形例1を構成するシート材320を示した説明図である。なお、シート材20と形状、機能が同一の部位については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0041】
変形例300は、1枚の略矩形のシート材320によって構成される。
【0042】
第1の側壁部11には、上下方向略中心の位置に、第1折り目23に沿って、略凸字状(凸の字の下部の横線を削除した形状)の凸字切線326が形成されている。
これにより、差込み片22を折曲げると、第1折り目23から差込み片22の反対側に向けて突出する凸部325、325が、凸片25と一体となって延設形成されるようになっている。変形例200の凸部225、225が凸片25方向に移動して凸片25と一体となったと考えてよい。
凸部325は、差込み片22と同一平面上に延設形成され、差込み片22が第1折り目23を中心として回動すると、第1折り目23で折れ曲がらずに差込み片22と一体的に回動する。
凸部325の横方向の長さは、側壁部11~14の厚さと略同じとなっている。
【0043】
また、第2の側壁部12には、上下方向略中心の位置に、第2折り目33に沿って、略凹字状(凹の字の下部の横線を削除した形状)の凹字切線336が形成されている。そして、凹字切線336の上方と下方に縦長の長方形状の孔34aが、それぞれ一つずつ第2折線33に沿って形成されている。
【0044】
これにより、折曲げ片32を折曲げると、第2の側壁部12には、第2折り目33に沿って、内面側から差込み片22を嵌入可能な嵌入孔34が形成されるようになっている。
【0045】
また、これにより、折曲げ片32を折曲げると、第2折り目33から折曲げ片32の反対側に突出する凸片335、335が凸部35と一体となって延設形成されるようになっている。変形例200の凸片235、235が凸部35方向に移動して凸部35と一体となったと考えてよい。
凸片335は、折曲げ片32と同一平面上に延設形成され、折曲げ片32が第2折り目33を中心として回動すると、第2折り目33で折れ曲がらずに折曲げ片32と一体的に回動する。
凸片335の横方向の長さは、側壁部11~14の厚さと略2倍となっている。
【0046】
折曲げ片32を折曲げ、差込み片22を嵌入孔34に嵌入させるとともに折曲げ、凸片25を凸部35の先端に横方向から当接させるとともに、凸片335、335を凸部325、325の先端に横方向から当接させることで、差込み片22及び折曲げ片32が折曲がった状態で保持され、差込み片22が嵌入孔34から抜け止め状態となる。
折曲げ片32も差込み片22と同様の回転阻止手段とすることで、第1の実施形態より差込み片22及び折曲げ片32を折曲がった状態で保持する力を強くすることができる。
また、嵌入孔34の形状等によって、第1の側壁部と第2の側壁部との結合部が若干上下にずれることがあるが、本変形例300のようにすることで、凸片25は、凸片335、335の間に嵌り込み、凸片335、335によって上下方向から挟まれることになるため、上下方向の移動が制限され、第1の側壁部と第2の側壁部との結合部が上下にずれるのを抑制することができる。
【0047】
(第2の実施形態)
つぎに、第2の実施形態である仕切体2の構成について、図10及び図11を参照して説明する。図10は本実施形態の仕切体2を示した説明図である。図11は仕切体2を構成するシート材を示した説明図である。なお、仕切体1と形状、機能が同一の部位については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0048】
仕切体2が仕切体1と異なるのは、仕切体1が1枚のシート材で構成されるのに対し、仕切体2は、2枚のシート材で構成されるということである。
1枚のシート材で構成すると、側壁部の結合は一箇所で済むものの、プレス打ち抜き加工するときの型が細長いものになってしまい、コスト高になる。その点、2枚のシート材にすることにより、コストを抑えることができる。
【0049】
図10に示すように、仕切体2は、仕切体1と同様方形枠状の仕切体である。仕切体2は、第1の側壁部11、第2の側壁部12、第3の側壁部13、第4の側壁部14で構成される。第1~第4の側壁部11,12,13,14は、第1の側壁部11及び第4の側壁部14を構成するシート材420と、第2の側壁部12及び第3の側壁部13を構成するシート材420の、同形の2枚の略矩形のシート材420、420によって構成されている。
【0050】
仕切体2は、シート材420の第1の側壁部11と別のシート材420の第2の側壁部12とが互いに直角に結合され、第1の側壁部11と第4の側壁部14、第2の側壁部12と第3の側壁部13が、1枚のシート材420を折曲げることで連接され、第3の側壁部13と第4の側壁部14が互いに直角に結合されている。
【0051】
図11に示すように、シート材420の図面上左側部分(第1端縁21周辺の構造)は、図2(a)に示すシート材20の図面上左側部分とほぼ同様である。シート材420には、差込み片22の第1端縁側に突起427、427が形成されているが、このようにすることで、作業者に嵌入孔34に差込み片22が嵌っていればロックが正しく機能する旨を指示しやすい、折り畳み・展開時にロックが外れにくいという効果を奏する。ただし、突起427は、本発明の必須要素ではない。
【0052】
図11に示すように、シート材420の図面上右側部分(第2端縁周辺の構造)も図2(a)に示すシート材20の図面上右側部分とほぼ同様である。シート材20では、凸部35の形状が単なる凸状であるのに対し、シート材420では、略凹字状(凹の字の下部の横線を削除した形状)となっている。これは、仕切体1の変形例300と同様に第1の側壁部と第2の側壁部との結合部が上下方向にずれるのを抑制するためである。また、作業者が凸片25の最終位置を確認しやすくするためである。ただし、これは本発明の必須要素ではない。
【0053】
(第2の実施形態の変形例)
つぎに、第2の実施形態である仕切体2の変形例500(図示せず)の構成について、図12を参照して説明する。図12(a)は第2の実施形態の変形例500を構成するシート材520aを示した説明図である。図12(b)は第2の実施形態の変形例500を構成するシート材520bを示した説明図である。なお、シート材420と形状、機能が同一の部位については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0054】
変形例500は、2枚の略矩形のシート材520aと2枚の略矩形のシート材520bによって構成される。
【0055】
変形例500が仕切体2と異なるのは、仕切体2が同形の2枚のシート材で構成されるのに対し、変形例500は、同形の2枚のシート材と、別の同形の2枚のシート材で構成されるということである。一つ一つのパーツが小さくなるため、省スペースで保管できる。それ以外は、ほとんど同様の構成であるため、仕切体2と異なる点についてのみ説明する。
【0056】
変形例500は、仕切体2と同様方形枠状の仕切体である。変形例500は、第1の側壁部11、第2の側壁部12、第3の側壁部13、第4の側壁部14で構成される。第1~第4の側壁部11,12,13,14は、第1の側壁部11を構成するシート材520a、第3の側壁部13を構成するシート材520a、第2の側壁部12構成するシート材520b、第4の側壁部14構成するシート材520bの同形の2枚の略矩形のシート材520a、520a及び同形の2枚の略矩形のシート材520b、520bによって構成されている。
【0057】
変形例500は、平面視右回りに第1の側壁部11(シート材520a)、第2の側壁部12(シート材520b)、第3の側壁部13(シート材520a)、第4の側壁部14(シート材520b)の順に、側壁部どうしが互いに直角に結合されている。
【0058】
図12(a)に示すように、シート材520aの図面上左右側部分(両第1端縁21、21周辺の構造)は、図11に示すシート材420の図面上左側部分と同様である。
【0059】
図12(b)に示すように、シート材520bの図面上左右側部分(両第2端縁31、31周辺の構造)は、図11に示すシート材420の図面上右側部分と同様である。
【0060】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。たとえば、本発明の側壁の結合構造は、有底の箱のような段ボール構造体にも用いることができるし、C式ケースの側面ロックにも使用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 仕切体(第1の実施形態)
2 仕切体(第2の実施形態)
11 第1の側壁部 12 第2の側壁部
13 第3の側壁部 14 第4の側壁部
20 シート材
21 第1端縁 22 差込み片 23 第1折り目
25 凸片 26 コ字切線
31 第2端縁 32 折曲げ片 33 第2折り目
34 嵌入孔 34a 孔 34b 切線
35 凸部
220 シート材 225 凸部 235 凸片
320 シート材 325 凸部 335 凸片
420 シート材
520 シート材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12