(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】色彩情報変換プログラム、色彩情報変換方法及び色彩情報変換情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20230817BHJP
【FI】
G06T1/00 510
(21)【出願番号】P 2021133667
(22)【出願日】2021-08-18
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】394020332
【氏名又は名称】TKK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】安保 誠司
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-201534(JP,A)
【文献】特開2016-063522(JP,A)
【文献】特開2000-348213(JP,A)
【文献】特開2004-206551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
色彩情報を変換させるプログラムであって、
情報処理装置の制御手段に、
ドット絵の各ドットに係る色彩情報を取得させ、
当該色彩情報を、所定の種類の、段差の程度を示す段差情報のうち、いずれかの段差情報に変換させ、
変換した段差情報を、加工対象の各加工箇所を識別する加工対象マス目識別情報に対応付けさせ、
加工対象マス目識別情報に対応付けられた前記段差情報、ユーザによって入力された加工条件に基づき、工作機械を制御する制御プログラムに変換させ、
当該制御プログラムを工作機械に出力させることを特徴とする、色彩情報変換プログラム。
【請求項2】
情報処理装置の制御手段に、
前記色彩情報のRGBの3つの成分の数値のうち、最も大きいものを選択して取得させ、
当該数値に基づいて、前記色彩情報を、所定の種類の、段差の程度を示す段差情報のうち、いずれかの段差情報に変換させることを特徴とする、請求項1に記載の色彩情報変換プログラム。
【請求項3】
情報処理装置の制御手段に、
色彩情報の数値が小さい場合には、段差の程度が小さい段差情報に変換させ、色彩情報の数値が大きい場合には、段差の程度が大きい段差情報に変換させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の色彩情報変換プログラム。
【請求項4】
情報処理装置の制御手段に、
色彩情報の数値が小さい場合には、段差の程度が大きい段差情報に変換させ、色彩情報の数値が大きい場合には、段差の程度が小さい段差情報に変換させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の色彩情報変換プログラム。
【請求項5】
情報処理装置に、色彩情報を変換させる方法であって、
ドット絵の各ドットに係る色彩情報を取得させるステップと、
当該色彩情報を、所定の種類の、段差の程度を示す段差情報のうち、いずれかの段差情報に変換させるステップと、
変換した段差情報を、加工対象の各加工箇所を識別する加工対象マス目識別情報に対応付けさせるステップと、
加工対象マス目識別情報に対応付けられた前記段差情報、ユーザによって入力された加工条件に基づき、工作機械を制御する制御プログラムに変換させるステップと、
当該制御プログラムを工作機械に出力させるステップを有することを特徴とする、色彩情報変換方法。
【請求項6】
色彩情報を変換させる情報処理装置であって、
ドット絵の各ドットに係る色彩情報を取得し、
当該色彩情報を、所定の種類の、段差の程度を示す段差情報のうち、いずれかの段差情報に変換し、
変換した段差情報を、加工対象の各加工箇所を識別する加工対象マス目識別情報に対応付け、
加工対象マス目識別情報に対応付けられた前記段差情報、ユーザによって入力された加工条件に基づき、工作機械を制御する制御プログラムに変換し、
当該制御プログラムを工作機械に出力する制御手段を有することを特徴とする、色彩情報変換情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イラスト、写真、デザイン画等の2次元の画像を立体化(3次元化)する色彩情報変換プログラム、色彩情報変換方法及び色彩情報変換情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元の画像等を立体化するためには、通常、不要な部分を削り落とし、目的のカタチに仕上げる工作機械(工作加工機器)を動作・制御させるNC(=Numerical Control)プログラムを、CAD/CAM装置を用いて作成するのが一般的である。
【0003】
以下、詳しく説明する。CAD(キャド)は、パソコンの画面上で図面を作成するためのソフトウェアであり、3次元CADはX・Y・Zの立体空間上に製図する。
【0004】
CAMでは、3次元CADで作成された3次元の図形(形状)に対し、「使用する工具」、「工具の動かし方」、「加工するスピード」等の情報を設定することで「ツールパス」と呼ばれる工具の軌跡情報を作成する。そして、ポストプロセッサで工具の軌跡情報を、NCプログラムに変換する。
【0005】
CAD/CAM装置は、上述したCADとCAMの両方の機能を併せ持つ装置である。3次元の図形の設計からNCプログラムの作成までを一括して行うことができる。
【0006】
例えば、特許文献1では、オペレーティングシステム等の標準的なソフトウェア及びNCプログラムの作成を支援するソフトウェア等の専用のアプリケーションソフトウェアがインストールされている汎用コンピュータより成るCAD/CAM装置の構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、CAD/CAM装置を用いる場合、CAD機能を使用して、3次元の図形を設計・編集する必要がある。また、NCプログラムでは、命令を示すNCコード、工具が移動する各軸の座標値、及び工具の送り速度等の多くのパラメータを設定する必要がある。
【0009】
そこで本発明は、上記問題点に対処するため、CAD/CAM装置を用いることなく、イラスト、写真、デザイン画等の2次元の画像を立体化できる、色彩情報変換プログラム、色彩情報変換方法及び色彩情報変換情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、
色彩情報を変換させるプログラムであって、
情報処理装置の制御手段に、
ドット絵の各ドットに係る色彩情報を取得させ、
当該色彩情報を、所定の種類の、段差の程度を示す段差情報のうち、いずれかの段差情報に変換させ、
変換した段差情報を、加工対象の各加工箇所を識別する加工対象マス目識別情報に対応付けさせ、
加工対象マス目識別情報に対応付けられた前記段差情報、ユーザによって入力された加工条件に基づき、工作機械を制御する制御プログラムに変換させ、
当該制御プログラムを工作機械に出力させる、色彩情報変換プログラムとした。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、
情報処理装置の制御手段に、
前記色彩情報のRGBの3つの成分の数値のうち、最も大きいものを選択して取得させ、
当該数値に基づいて、前記色彩情報を、所定の種類の、段差の程度を示す段差情報のうち、いずれかの段差情報に変換させる、請求項1に記載の色彩情報変換プログラムとした。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、
情報処理装置の制御手段に、
色彩情報の数値が小さい場合には、段差の程度が小さい段差情報に変換させ、色彩情報の数値が大きい場合には、段差の程度が大きい段差情報に変換させる、請求項1又は2に記載の色彩情報変換プログラムとした。
【0013】
また、請求項4に係る発明は、
情報処理装置の制御手段に、
色彩情報の数値が小さい場合には、段差の程度が大きい段差情報に変換させ、色彩情報の数値が大きい場合には、段差の程度が小さい段差情報に変換させる、請求項1又は2に記載の色彩情報変換プログラムとした。
【0014】
また、請求項5に係る発明は、
情報処理装置に、色彩情報を変換させる方法であって、
ドット絵の各ドットに係る色彩情報を取得させるステップと、
当該色彩情報を、所定の種類の、段差の程度を示す段差情報のうち、いずれかの段差情報に変換させるステップと、
変換した段差情報を、加工対象の各加工箇所を識別する加工対象マス目識別情報に対応付けさせるステップと、
加工対象マス目識別情報に対応付けられた前記段差情報、ユーザによって入力された加工条件に基づき、工作機械を制御する制御プログラムに変換させるステップと、
当該制御プログラムを工作機械に出力させるステップを有する、色彩情報変換方法とした。
【0015】
また、請求項6に係る発明は、
色彩情報を変換させる情報処理装置であって、
ドット絵の各ドットに係る色彩情報を取得し、
当該色彩情報を、所定の種類の、段差の程度を示す段差情報のうち、いずれかの段差情報に変換し、
変換した段差情報を、加工対象の各加工箇所を識別する加工対象マス目識別情報に対応付け、
加工対象マス目識別情報に対応付けられた前記段差情報、ユーザによって入力された加工条件に基づき、工作機械を制御する制御プログラムに変換し、
当該制御プログラムを工作機械に出力する制御手段を有する、色彩情報変換情報処理装置とした。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、イラスト、写真、デザイン画等の2次元の画像を、CAD/CAMソフトを用いることなく、立体化することができる。
【0017】
また、CAD/CAMソフトを用いる場合には、CADの機能を使って、3次元の図形を書き込み設計し、編集する必要があるが、本発明の場合には、ドット絵自体が立体化させる3次元の図形の設計図になるため、新たに設計図を作成する必要がなく、便宜である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明の実施の形態例1の色彩情報変換情報処理装置の概略構成図である。
【
図2】この発明の実施の形態例1の色彩情報変換情報処理装置に係る色彩情報及び段差情報の例を示す説明図である。
【
図3】この発明の実施の形態例1の色彩情報変換情報処理装置の色彩情報記憶領域の構造を模式的に示した図である。
【
図4】この発明の実施の形態例1の色彩情報変換情報処理装置の色彩情報段差情報対応テーブル記憶領域の構造を模式的に示した図である。
【
図5】この発明の実施の形態例1の色彩情報変換情報処理装置の段差情報記憶領域の構造を模式的に示した図である。
【
図6】この発明の実施の形態例1の色彩情報変換情報処理装置の処理の流れを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態例を詳細に説明する。ただし、この実施の形態例に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0020】
<実施の形態例1>
色彩情報変換情報処理装置1は、
図1に示すように、スキャナー2及び工作機械3と相互に通信可能に接続されている。また、色彩情報変換情報処理装置1は、情報処理装置であって、CPU(=Central Processing Unit)等の制御手段11と、RAM(=Random Access Memory)12、ROM(=Read Only Memory)13、HD(=Hard Disk)14、ディスプレイ15、入力手段16、インタフェイス17、これらの機器を接続するバス18を有している。
【0021】
制御手段11は、RAM12上で、スキャナー2等を通じて入力されたイラスト、写真、デザイン画等の2次元の画像をドット絵に変換する。制御手段11は、変換したドット絵に係る色彩情報を、HD14の色彩情報記憶領域141に格納させる。なお、イラスト等の2次元の画像をドット絵に変換する処理については、周知の技術であるため、ここでは説明を割愛する。
【0022】
「ドット絵」とは、ディスプレイ15上の解像度のマス目(=ドット、ピクセル、Excelの各セルに相当)に色を出力することで、画像を表現したものである。ドット絵に変換されることで、各マス目(=各ドット)に色彩情報が割り振られる。制御手段11は、割り振られた各色彩情報を、
図3に示すように、HD14の色彩情報記憶領域141に、各マス目を識別するマス目識別情報に対応付けて格納させる。これらの各色彩情報は、光の三原色であるR(=Red)、G(=Green)、B(=Blue)を夫々示す3つの数値から構成される。例えば、マス目識別情報が、「3,2(=3列2行)」の色彩情報は、「R=1,G=125,B=125」であり、マス目識別情報が、「5,4(=5列4行)」の色彩情報は、「R=1,G=75,B=1」である。色彩情報は、RGBの3つの成分が合わさって1つの色を表す。
【0023】
例えば、
図2に示す例では、色彩情報に係るRGBの各成分の数値は、1~225の範囲で、「1」、「25」、「50」、「75」、「100」、「125」、「150」、「175」、「200」及び「225」の10種類である。そして、色彩情報に係るRGBの各成分の組み合わせは、RGBの各成分について6ビットの「64通り」である。つまり、用いる色彩情報の種類(=表現可能な色数)は64種類である。
【0024】
制御手段11は、HD14の色彩情報記憶領域141に格納されている、各マス目に係る色彩情報を呼び出して取得する。以下、詳しく説明する。上述したように、色彩情報は、光の三原色であるR(=Red)、G(=Green)、B(=Blue)を夫々示す数値から構成されるが、制御手段11は、RGBの各成分に係る3つの数値のうち、最も大きいものを選択して取得する。例えば、RGBの数値が、「1,100,1」の場合、制御手段11は、「100」を選択して取得する。また例えば、RGBの数値が「125,125,125」の場合、「125」を選択して取得する。
【0025】
制御手段11は、取得した、成分に係る最も大きい数値も基づき、色彩情報を段差情報に変換する。
【0026】
以下、詳しく説明する。「段差情報」は、2次元のドット絵の色彩を、3次元の段差(深さ)で表現する際の情報であって、加工対象の金属板等にどのくらいの深さまで、切削・加工して段差をつけるのか、段差の程度を示すものである。
【0027】
例えば、
図2に示す例では、段差情報は、「-1~-10」の10種類あり(4行で示した段差情報のうち、上の2行)、制御手段11は、色彩情報段差情報対応テーブル記憶領域142に格納されている色彩情報段差情報対応テーブルを参照して、取得した成分に係る最も大きい数値に基づき、色彩情報を、10種類の段差情報のうち、いずれかの段差情報(対応する段差情報)に変換する。そして、制御手段11は、段差情報記憶領域143に、変換した各段差情報を、加工対象の金属板等の各加工箇所を識別する加工対象マス目識別情報に対応付けて格納させる。
【0028】
なお、ディスプレイ15上の解像度のマス目を識別するマス目識別情報と、加工対象の金属板等の各加工箇所を識別する加工対象マス目識別情報は、対応していることは言うまでもない。
【0029】
制御手段11は、段差情報、ユーザによって入力された加工条件に基づき、工作機械を制御する制御プログラム(NCプログラム等)に変換する。そして、制御手段11は、制御プログラム記憶領域144に、変換した制御プログラムを格納させる。また、制御手段11は、制御プログラム記憶領域144に格納されている制御プログラムを呼び出して、インタフェイス17を通じて、工作機械3に出力する。
【0030】
RAM12は各種データ、プログラム等を一時的に記憶するためのものであり、制御手段11の主メモリ、ワークエリア等として機能する。ROM13は、内部に基本I/Oプログラム等のプログラム、基本処理において使用する各種データ等を記憶する。
【0031】
HD14は補助記憶装置であり、大容量メモリとして機能する。HD14には、アプリケーションプログラム、OS、制御プログラム、関連プログラム等を記憶する。
【0032】
また、HD14内には、色彩情報記憶領域141、色彩情報段差情報対応テーブル記憶領域142、段差情報記憶領域143及び制御プログラム記憶領域144が設けられている。
【0033】
色彩情報記憶領域141には、
図3に示すように、ディスプレイ15上の解像度の各マス目を識別するマス目識別情報に対応付けて、色彩情報が格納される。色彩情報は、光の三原色であるR、G、Bを夫々示す数値から構成される。また、色彩情報段差情報対応テーブル記憶領域142には、
図4に示すように、色彩情報の成分に係る数値と、段差情報が対応している並べられているテーブルが格納されている。また、段差情報記憶領域143には、
図5に示すように、加工対象の金属板等の各加工箇所を識別する加工対象マス目識別情報に対応付けて、段差情報が格納される。更に、制御プログラム記憶領域144には、工作機械3を制御する制御プログラムが格納される。
【0034】
入力手段16は、例えば、キーボードやポインティングデバイス(マウス等)、タッチパネルである。入力手段16を用いて、ユーザは、色彩情報変換情報処理装置1に対して、色彩情報変換情報処理装置1を制御するコマンド等を入力指示する。特に、ユーザは、入力手段16を通じて、「使用する工具」「工具の動かし方」「加工するスピード」等の加工条件を入力して設定する
【0035】
17はインタフェイスであり、このインタフェイス17を介して、色彩情報変換情報処理装置1は、スキャナー2及び工作機械3等の他の装置との情報や命令のやり取りを行う。バス18は、色彩情報変換情報処理装置1内の情報・命令の流れを司るものである。
【0036】
また、以上の各装置と同等の機能を実現するソフトウェアにより、ハードウェア装置の代替として構成することもできる。
【0037】
本実施の形態例では、本実施の形態例に係るプログラム及び関連データを直接RAM12にロードして実行させる例を示しているが、これ以外にも、本実施の形態例に係るプログラムを動作させる度に、既にプログラムがインストールされているHD14からRAM12にロードするようにしてもよい。また、本実施の形態例に係るプログラムをROM13に格納しておき、これをメモリマップの一部をなすように構成し、直接制御手段11で実行することも可能である。
【0038】
また、本実施の形態例1では、説明の便宜のため、色彩情報変換情報処理装置1を1つの装置で実現した構成について述べるが、複数の装置にリソースを分散した構成によって実現してもよい。例えば、記憶や演算のリソースを複数の装置に分散した形に構成してもよい。或いは、色彩情報変換情報処理装置1上で仮想的に実現される構成要素毎にリソースを分散し、並列処理を行うようにしてもよい。
【0039】
<色彩情報変換情報処理装置1の処理の流れ>
次に、
図6を用いて、色彩情報変換情報処理装置1の処理の流れを説明する。色彩情報変換情報処理装置1は、スキャナー2等を通じて入力されたイラスト、写真、デザイン画等の2次元の画像をドット絵に変換する(ステップS601)。すると、各マス目に色彩情報が割り振られ、割り振られた各色彩情報は、HD14の色彩情報記憶領域141に、各マス目を識別するマス目識別情報に対応付けて格納される。色彩情報変換情報処理装置1は、HD14の色彩情報記憶領域141に格納されている、各マス目に係る色彩情報に係るRGBの3つの数値のうち、最も大きいものを選択して取得する(ステップS602)。
【0040】
色彩情報変換情報処理装置1は、色彩情報段差情報対応テーブル記憶領域142に格納されているテーブルを参照にして、取得した色彩情報を段差情報に変換する(ステップS603)。色彩情報変換情報処理装置1は、段差情報記憶領域143に、変換した段差情報を、加工対象の金属板等の各加工箇所を識別する加工対象マス目識別情報に対応付けて格納する。
【0041】
「色彩情報の取得(ステップS602)→段差情報への変換(ステップS603)→加工対象マス目識別情報に対応付けて格納」の処理を、各マス目について全て完了するまで、繰り返し行う(ステップS604で「YES」)。
【0042】
具体的には例えば、色彩情報変換情報処理装置1は、マス目識別情報「1,1(=1列1行)」のRGBの3つの数値「150,1,1」のうち(
図3を参照)、最も大きい数値の「150」を選択して取得する。色彩情報変換情報処理装置1は、
図4に示す色彩情報段差情報対応テーブル記憶領域142に格納されているテーブルを参照にして、取得した色彩情報「150」を、対応する段差情報「-7」に変換する。色彩情報変換情報処理装置1は、段差情報記憶領域143に、変換した段差情報「-7」を、加工対象の金属板等の各加工箇所を識別する加工対象マス目識別情報「1,1(=1列1行)」に対応付けて格納する(
図5を参照)。
【0043】
次に、色彩情報変換情報処理装置1は、マス目識別情報「1,2(=1列2行)」のRGBの3つの数値「1,125,125」のうち(
図3を参照)、最も大きい数値の「125」を選択して取得する。色彩情報変換情報処理装置1は、
図4に示す色彩情報段差情報対応テーブル記憶領域142に格納されているテーブルを参照にして、取得した色彩情報「125」を、対応する段差情報「-6」に変換する。色彩情報変換情報処理装置1は、段差情報記憶領域143に、変換した段差情報「-6」を、加工対象の金属板等の各加工箇所を識別する加工対象マス目識別情報「1,2(=1列2行)」に対応付けて格納する(
図5を参照)。
【0044】
各マス目について段差情報への変換・格納が全て(6,6(=6列6行))完了するまで、繰り返し行う。
【0045】
そして、各マス目について段差情報への変換・格納が全て完了すると、色彩情報変換情報処理装置1は、段差情報、ユーザによって入力された加工条件に基づき、NCプログラム等、工作機械を制御する制御プログラムに変換する(ステップS605)。色彩情報変換情報処理装置1は、制御プログラム記憶領域144に、変換した制御プログラムを格納する。色彩情報変換情報処理装置1は、制御プログラム記憶領域144に格納されている制御プログラムを呼び出して、インタフェイス17を通じて、工作機械3に出力する(ステップS606)。
【0046】
このように、色彩情報変換情報処理装置1によれば、イラスト、写真、デザイン画等の2次元の画像を、CAD/CAMソフトを用いることなく、立体化することができる。
【0047】
また、CAD/CAMソフトを用いる場合には、CADの機能を使って、3次元の図形を書き込み設計し、編集する必要があるが、色彩情報変換情報処理装置1を用いる場合には、ドット絵自体が立体化させる3次元の図形の設計図になるため、新たに設計図を作成する必要がなく、便宜である。
【0048】
<変形例>
また、上述した本実施の形態例1では、スキャナー2を通じてイラスト、写真、デザイン画等の2次元の画像を、色彩情報変換情報処理装置1に入力する構成を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、デジタルカメラ、スマートフォンを通じてイラスト、写真、デザイン画等の2次元の画像を、色彩情報変換情報処理装置1に入力する構成としても良い。
【0049】
また、上述した本実施の形態例1では、スキャナー2等を通じて入力されたイラスト、写真、デザイン画等の2次元の画像をドット絵に変換する構成を示したが、この構成に限定されるものではない。ユーザが入力手段16を用いて、ディスプレイ15を見ながら、ドット絵を描く構成としても良い。
【0050】
また、上述した本実施の形態例1では、用いる色彩情報の種類が64種類の場合を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、色彩情報に係るRGBの各成分の組み合わせを、RGBの各成分について8ビットの「256通り」とする。つまり、256種類の色彩情報を用いる構成としても良い。
【0051】
また、上述した本実施の形態例1では、元の色彩情報の数値が小さい場合には、変換後の段差情報に係る数値(絶対値)(=設ける段差の程度)を小さくし、元の色彩情報の数値が大きい場合には、変換後の段差情報に係る数値(絶対値)(=設ける段差の程度)を大きくする構成を示した。例えば、元の色彩情報の数値「1」の場合には、変換後の段差情報に係る数値は「-1」になる。一方、元の色彩情報の数値「175」の場合には、変換後の段差情報に係る数値は「-8」になる。しかし、この構成に限定されるものではない。これとは逆に、
図2で示した段差情報の例の2行目及び4行目のように、元の色彩情報の数値が小さい場合には、変換後の段差情報に係る数値(絶対値)を大きくし、元の色彩情報の数値が大きい場合には、変換後の段差情報に係る数値(絶対値)を小さくする構成としても良い。その場合、例えば、
図2で示した段差情報の例の2行目のように、元の色彩情報の数値「1」の場合には、変換後の段差情報に係る数値は「-10」になる。一方、元の色彩情報の数値「175」の場合には、変換後の段差情報に係る数値は「-3」になる。いずれの構成であっても、色彩情報段差情報対応テーブルにおける、色彩情報と段差情報との対応関係によって、実現できる。
【0052】
また、上述した本実施の形態例1では、段差情報間のピッチ(=高低の度合い)が、「-1」、「―2」、「-3」と、均等な構成を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、
図2で示した段差情報の例の3行目及び4行目のように、「0」、「-0.168」、「-0.2718」のように、段差情報間のピッチが不均等である構成としても良い。
【0053】
また、上述した本実施の形態例1では、「-1~-10」の10種類の段差情報を用いる構成を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、「-1~-48」の48種類の段差情報を用いる構成としても良い。用いる段差情報の種類数によって、2次元の画像を粗く立体化したり、細密に立体化したり、調整することができる。
【符号の説明】
【0054】
1:色彩情報変換情報処理装置、11:制御手段、12:RAM、13:ROM、14:HD、141:色彩情報記憶領域、142:色彩情報段差情報対応テーブル記憶領域、143:段差情報記憶領域、144:制御プログラム記憶領域、15:ディスプレイ、16:入力手段、17:インタフェイス、18:バス、
2:スキャナー、3:工作機械