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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】パンツ
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/06 20060101AFI20230817BHJP
【FI】
A41D1/06 M
A41D1/06 501H
A41D1/06 502E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022020294
(22)【出願日】2022-02-14
【審査請求日】2022-04-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1:雑誌への掲載 雑誌「ペン」No.513第94~101ページ 2:ニュースリリース https:www.isseymiyake.com/ja/ 3:ニュースリリース https:www.isseymiyake.com/ja/news/7759 4:実店舗における販売 店舗名IM MEN/AOYAMA 5:オンラインショップにおける販売 https://store.isseymiyake.com/ 6:オンラインショップにおける販売 https://sture.isseymiyake.com/c/la all all/LA11FF061
(73)【特許権者】
【識別番号】390033891
【氏名又は名称】株式会社三宅デザイン事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】小林 信隆
(72)【発明者】
【氏名】河原 遷
(72)【発明者】
【氏名】板倉 裕樹
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-540210(JP,A)
【文献】中国実用新案第201479998(CN,U)
【文献】登録実用新案第3103272(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
股上部と、
前記股上部から下方に延びる左右一対の股下部と、
一方の股下部及び前記股上部に亘って設けられた第1のフラップと、を具備し、
前記第1のフラップが、着用者の股下の前方を覆う第1の状態と、前記股下を前方に露出させる第2の状態と、を取り、
他方の股下部及び前記股上部に亘って設けられ、前記第1のフラップと着脱自在に連結される第2のフラップを更に備え、
前記第2のフラップが、前記第1の状態では前記股下を後方に露出させ、前記第2の状態では前記股下の後方を覆うこと、
を特徴とするパンツ。
【請求項2】
前記第1のフラップが前記一方の股下部及び前記股上部の前側から延び、
前記第2のフラップが前記他方の股下部及び前記股上部の後側から延びること、
を特徴とする請求項1に記載のパンツ。
【請求項3】
前記第1のフラップ及び前記第2のフラップを互いに着脱自在に連結する連結具を更に具備すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のパンツ。
【請求項4】
前記股上部の高さと前記左右一対の股下部の高さを合わせた全丈が、前記第1のフラップの全丈と略同じであること、
を特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のパンツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンツに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1(特許第6881809号公報)は、股上部とその股上部から下方に延びる左右一対の股下部を有するズボンを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6881809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたズボンは、複数の形態を持つなどといった複数の着こなしを想定して作製されていない。世間においても、複数の着こなしを想定して作成されたパンツは少ない。
【0005】
そこで、本発明の目的は、複数の着こなしが可能なパンツを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決すべく、本発明は、
股上部と、
前記股上部から下方に延びる左右一対の股下部と、
一方の股下部及び前記股上部に亘って設けられた第1のフラップと、を具備し、
前記第1のフラップが、着用者の股下の前方を覆う第1の状態と、前記股下を前方に露出させる第2の状態と、を取ること、
を特徴とするパンツ、を提供する。
【0007】
本発明のパンツは、他方の股下部及び前記股上部に亘って設けられ、前記第1のフラップと着脱自在に連結される第2のフラップを更に備え、前記第2のフラップが、前記第1の状態では前記股下を後方に露出させ、前記第2の状態では前記股下の後方を覆うこと、が好ましい。
【0008】
また、本発明のパンツは、前記第1のフラップが前記一方の股下部及び前記股上部の前側から延び、前記他方の股下部及び前記股上部の後側から延びること、が好ましい。
【0009】
また、本発明のパンツでは、前記第1のフラップ及び前記第2のフラップを互いに着脱自在に連結する連結具を更に具備すること、が好ましい。
【0010】
また、本発明のパンツでは、前記股上部の高さと前記左右一対の股下部の高さを合わせた全丈が、前記第1のフラップの全丈と略同じであること、が好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパンツによれば、第1のフラップが、着用者の前側を覆う状態と、着用者の体側を覆う状態と、を取るため、複数の着こなしが可能である。したがって、着用者はパンツの着用をより楽しめるし、デザイナーはより自由なデザインが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態において、フラップ5が前側に配置された状態のパンツ1の前面図及び後面図である。
図2】フラップ5が体側側に配置された状態のパンツ1の前面図及び後面図である。
図3A】畳まれたパンツ1の前面図及び後面図である。
図3B】フラップ5を股下部3側に折り返した状態のパンツ1の前面図及び後面図である。
図3C】フラップ5を更に股下部3に重ねた状態のパンツ1の前面図及び後面図である。
図3D】フラップ5,6が重なった状態のパンツ1の前面図及び後面図である。
図3E】フラップ5の裾部と股下部4の裾部を外側に広げた状態のパンツ1の前面図及び後面図である。
図3F】フラップ5を股下部4側に折り返した状態のパンツ1の前面図及び後面図である。
図3G】フラップ6を股下部4に折り返した状態のパンツ1の前面図及び後面図である。
図3H】連結具を係合させた状態のパンツ1の前面図及び後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るパンツの代表的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面は、本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために、必要に応じて寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もあり、本発明はこれに限定されるものではない。なお、図面上の一点鎖線は、部材間の大よその境界を示すものである。
【0014】
例えば図1及び図2に示すように、パンツ1は、股上部2、左右一対の股下部3,4及びフラップ5(第1のフラップ)を少なくとも具備する。パンツ1は、ポリエステルなどの樹脂素材で好適に作製されるが、天然素材で作製されてもよい。
【0015】
股上部2は、着用者の股間からウエストまでを覆う部分である。図示しないが、股上部2の上縁に沿ってウエストの調節機構が設けられてもよい。
【0016】
股下部3,4は、着用者の脚を覆う部分であり、股上部2から下方に延びる。右側の股下部3は股上部2の右側部分から連続して一体的に(つまり一枚の生地で)形成され、また、左側の股下部4は股上部2の左側部分から連続して一体的に(つまり一枚の生地で)形成されてよい。なお、股下部3,4は、着用者の脚のほぼ全部を覆ってもよいし、脚の一部(例えば膝上まで)を覆ってもよい(ハーフパンツ;図3A図3H参照)。
【0017】
フラップ5は、股下部3及びその上方の股上部2に亘って設けられている(図1(A)参照)。フラップ5は、股下部3及び股上部2の前側から延びる略矩形の生地であるが、これに限られない。ここでは、フラップ5は、股上部2の右側部分及び股下部3から連続して一体的に(つまり一枚の生地で)形成されている。
【0018】
したがって、フラップ5は、着用者の股下(股下部3,4の間)の前方を覆う状態(第1の状態)と、股下を前方に露出させる状態(第2の状態)と、を取ることができる。第1の状態では、パンツ1を前から見たときに、股下は概ねフラップ5で覆われ、パンツ1はスカートないし袴のように見える(図1(A)参照)。逆に、パンツ1を後ろから見たときには、股下は露出し、パンツ1は一般的なパンツのように見える(図1(B)参照)。
【0019】
これに対して、第2の状態では、パンツ1を前面から見たときに、股下は露出し、パンツ1は一般的なパンツのように見える(図2(A)参照)。逆に、パンツ1を後ろから見たときには、股下は概ねフラップ6で覆われ、パンツ1はスカートないし袴のように見える(図2(B)参照)。
【0020】
パンツ1は、フラップ6(第2のフラップ)を更に備えてもよい。フラップ6は、股下部4及びその上方の股上部2に亘って設けられている(図1(B)参照)。フラップ6は、股下部4及び股上部2の後側から延びる略矩形の生地であるが、これに限られない。ここでは、フラップ6は、股上部2の左側部分及び股下部4から連続して一体的に(つまり一枚の生地で)形成されている。
【0021】
パンツ1は、フラップ5,6を互いに着脱自在に連結する連結具7を更に具備してもよい。したがって、フラップ5,6は互いに着脱自在に連結される。連結具7は、例えば、フラップ5の上端側の先端部に取り付けられた係合片71と、フラップ6の上端側の先端部に取り付けられて係合片71と係合する係合片72と、を含むものでよい(図3D図3G参照)。
【0022】
股上部2の高さと股下部3,4の高さとを合わせた全丈H1が、フラップ5,6の丈H2と略同じであることが好ましい(図3A参照)。このとき、畳まれたパンツ1は略矩形になり、収納しやすい。また、製造の観点からは、矩形の生地が増えるため生地のカットや縫製をシンプルにすることができる。
【0023】
次いで、図3A図3Hを参照して、パンツ1を、畳まれた状態から、第2の状態を経て第1の状態に変化させる手順を説明する。なお、作図の便宜上、図3A図3Hに描かれたパンツ1はハーフパンツである。
【0024】
まず、畳まれたパンツ1のフラップ5を股下部3側に折り返し(図3A参照)、フラップ5を股下部3に更に重ねていく(図3B参照)。そして、フラップ5を股下部3を超えて移動させ、フラップ6とほぼ重ねる(図3C参照)。これにより、係合片71,72が重なるとともに、股上部2の中央部(前股部)が露出する(図3D参照)。
【0025】
次いで、股下部4とフラップ5の裾部を外側に開き、連結具7を係合することで、パンツ1は、フラップ5,6が体側側で連結された状態、つまり第2の状態となる(図3E参照)。したがって、この状態のパンツ1を前から見たときには、股下(股下部3,4の間)が露出し、パンツ1は一般的なパンツのように見える一方で、パンツ1を後ろから見たときには、股下は概ねフラップ6で覆われて、パンツ1はスカートないし袴のように見える(併せて図2(A),(B)参照)。
【0026】
そして、連結具7を解除し、フラップ5を股下部4側に返して、股下を覆うようにするとともに(図3E(A)参照)。フラップ6を返して股下部4に重ねる(図3F(B)参照)。すると、係合片71,72が隣り合うように配置されるので(図3G参照)、係合片71,72を係合させると、パンツ1は第1の状態となる(図3H参照)。したがって、この状態のパンツ1を前から見たときには、股下(股下部3,4の間)は概ねフラップ5で覆われて、パンツ1がスカートないし袴のように見える一方で、パンツ1を後ろから見たときには、股下が露出し、パンツ1は一般的なパンツのように見える(図1(A),(B)参照)。
【0027】
パンツ1を第1の状態から第2の状態にするためには、逆に図3Hから図3Eへの手順を辿ればよい。また、パンツ1の収納時には、更に図3Eから図3Aへの順序を辿ればよい。
【0028】
本実施形態によれば、第1のフラップ5,6が、着用者の前側を覆う状態と、着用者の体側を覆う状態と、を取ることができる。これらの状態の間の変更は容易であり、しかも各状態のパンツ1を前及び後ろから見たときの印象は大きく異なる。したがって、着用者は、状況や気分に応じてパンツ1の形態を選択でき、パンツ1の着こなしをより楽しめる。また、デザイナーにとってはより自由なデザインが可能となる。
【0029】
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、本発明はこれらのみに限定されるものではなく、種々の設計変更が可能であり、かかる設計変更した態様も全て本発明の技術的範囲に含まれる。
【0030】
フラップ5,6は上述した実施形態における位置とは反対側に配置されてもよい。すなわち、フラップ5は、股下部4及びその上の股上部2の前側に亘って取り付けられてもよい。また、フラップ6は、股下部3及びその上の股上部2の後側に亘って取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 パンツ
2 股上部
3,4 股下部
5,6 フラップ
7 連結具

【要約】
【課題】 複数の着こなしが可能なパンツを提供する。
【解決手段】 股上部と、前記股上部から下方に延びる左右一対の股下部と、一方の股下部及び前記股上部に亘って設けられた第1のフラップと、を具備し、前記第1のフラップが、着用者の股下の前方を覆う第1の状態と、前記股下を前方に露出させる第2の状態と、を取ること、を特徴とするパンツ。
【選択図】図1
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H