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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】避難用背負子
(51)【国際特許分類】
   A47D 13/02 20060101AFI20230817BHJP
   A61G 1/00 20060101ALI20230817BHJP
   A45F 3/08 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
A47D13/02
A61G1/00 701
A45F3/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023036311
(22)【出願日】2023-03-09
【審査請求日】2023-03-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196106
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 一直
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
【審査官】杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05934529(US,A)
【文献】特開2008-023053(JP,A)
【文献】実開昭56-036277(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47D 13/02
A61G 1/00
A45F 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる本体フレームと、
前記本体フレームに取付けられる肩ベルトと、
前記本体フレームの下端部から突出して設けられる支持フレームと、
前記本体フレームの上端部から、前記支持フレームが突出する方向と平行な方向に突出して設けられる座部フレームと、
前記座部フレームの中央部から上方に向かって突出して設けられる背面防護フレームと、
前記背面防護フレームに回動可能に接続する上方防護フレームと、
避難用品が収納される収容筐体と、を備え、
前記座部フレームは、被運搬者が脚を伸ばして座ることができる座部が装着され、
前記上方防護フレームは、前記被運搬者を防護するための上方防護シートが装着され、
前記上方防護フレームの先端部が、前記本体フレームの上端部に挿嵌されることで、前記上方防護フレームは、前記被運搬者の上方に位置し、
前記収容筐体は、前記支持フレームに積載されることを特徴とする避難用背負子。
【請求項2】
前記背面防護フレームは、前記被運搬者の背面を防護するための背面防護シートが装着されることを特徴とする請求項1に記載の避難用背負子。
【請求項3】
前記背面防護フレームの上端は、前記本体フレームの上端よりも高い位置に位置することを特徴とする請求項2に記載の避難用背負子。
【請求項4】
前記背面防護フレームは、可撓性の棒部材部を有することを特徴とする請求項3に記載の避難用背負子。
【請求項5】
前記上方防護フレームを補強する第1補強部材および/または第2補強部材を備え、
前記第1補強部材の一端は、前記本体フレームの中間部に回動可能に接続し、他端は前記上方防護フレームに係止でき、
前記第2補強部材の一端は、前記座部フレームに回動可能に接続し、他端は前記上方防護フレームに係止できることを特徴とする請求項4に記載の避難用背負子。
【請求項6】
前記被運搬者は、乳児あるいは幼児であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の避難用背負子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時に使用する背負子であって、主に乳児あるいは幼児を運搬するための避難用背負子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、人を乗せて背負うことが容易であり、かつ移送中に休憩姿勢をとることが可能な背負子が提案されている。 胴部と、肩ベルトと、把持部と、脚部と、座部を備え、胴部が、上下に延びていて、前側に肩ベルトを設けてあり、把持部が、胴部の上部に設けてあり、脚部が、胴部の下部の左右両側から下方に延びていて、上下に延びる胴部に対して前側に傾斜しており、背負人が直立すると地面に接地し、背負人が前傾すると地面から離れるものであり、座部が、胴部の後側に設けてあって、少なくとも後側面から上側面にかけて着座可能である。
【0003】
特許文献2では、災害時避難時に背負子を用いて人を搬送する際に、背負う人の荷重の負担を軽減するための機能を有する背負子が提案されている。一対のコの字に曲げたパイプを四本の足とし、その上面に更にコの字に曲げたパイプを台座及び介助者用上部ハンドルとして接合したイス形状の枠体に、上部がUの字に曲げられた背負い用の背もたれを接合し、更に、一対のコの字に曲げた4本の足うち左右に介助者用のL字下部ハンドルを一体的に接合して背負子を作り、前述の上部がUの字に曲げられた背負い用の背もたれには、背負い用肩ベルトと背負われる人を固定するベルト、また、コの字に曲げたパイプでできた台座及び介助者用上部ハンドルには介助者用の首掛けベルトを設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-144101号公報
【文献】実用新案登録第3192154号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2で提案された発明、または考案は、背負子を用いて人を搬送する際に、背負う人の負担を軽減することに着目されたものであり、背負われる人の負担軽減や安全確保については、はほとんど考慮されていない。例えば、背負われる人が、歩行がおぼつかない乳児や幼児である場合、避難する際、大勢の人が押しかけたり、街路樹が倒れて道が狭くなったりしたときも、両手を使って安全に避難できる手立てを講じる必要がある。また、市街地を通過する場合は、建物の倒壊に起因して上方からの飛来が落下するか可能性も否定できない。さらに、降雨等で身体が濡れて体力が消耗し避難に耐えきれない事態も想定される。
【0006】
本発明は、これらの問題点に着目してなされたものであり、背負われる人、主に乳児、あるいは幼児が、安全に輸送できる避難用背負子を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための発明は、避難用背負子であって、上下方向に延びる本体フレームと、本体フレームに取付けられる肩ベルトと、本体フレームの下端部から突出して設けられる支持フレームと、本体フレームの上端部から、支持フレームと同方向に突出して設けられる座部フレームと、座部フレームの中央部から上方に向かって突出して設けられる背面防護フレームと、背面防護フレームに回動可能に接続する上方防護フレームと、を備え、座部フレームは、被運搬者が脚を伸ばして座ることができる座部が装着され、上方防護フレームは、被運搬者を防護するための上方防護シートが装着され、上方防護フレームの先端部が、本体フレームの上端部に挿嵌されることで、上方防護フレームは、被運搬者の上方に位置することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、上方防護フレームは、被運搬者を防護するための上方防護シートが装着されており、上方防護フレームの先端部が、前記本体フレームの上端部に挿嵌されることで、上方防護フレームは、被運搬者が前座部に座るとき、被運搬者の上方に位置するので、被運搬者の上方は、防護シートが装着される上方防護シートで防護される。
【0009】
好ましくは、背面防護フレームは、被運搬者の背面を防護するための背面防護シートが装着されることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、背面防護フレームは、被運搬者の背面を防護するための背面防護シートが装着されるので、被運搬者の背面は、背面防護シートが装着される背面防護フレームで防護される。
【0011】
好ましくは、背面防護フレームの上端は、本体フレームの上端よりも高い位置に位置することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、背面防護フレームの上端は、本体フレームの上端よりも高い位置に位置するので、被運搬者の背面をより広範囲に防護できる。また、上方防護フレームの先端部を、前記本体フレームの上端部に挿嵌したとき、被運搬者の頭上の位置における上方防護フレームの高さを高く設定できる。
【0013】
好ましくは、背面防護フレームは、可撓性の棒部材部を有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、背面防護フレームは、可撓性の棒部材部を有するので、上方防護フレームの先端部を、簡単に本体フレームの上端部に挿嵌できる。
【0015】
好ましくは、上方防護フレームを補強する第1補強部材および/または第2補強部材を備え、第1補強部材の一端は、本体フレームの中間部に回動可能に接続し、他端は前記上方防護フレームに係止でき、第2補強部材の一端は、前記座部フレームに回動可能に接続し、他端は上方防護フレームに係止できることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、第1補強部材および/または第2補強部材を上方防護フレームに係止することで、可撓性の棒部材を有する上方防護フレームの強度を増強できるとともに、変形を抑制できる。
【0017】
好ましくは、避難用品が収納される収容筐体を備え、収容筐体は、支持フレームに積載されることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、避難用品が収容される収容筐体が支持フレームに積載されるので、避難場所に待避を終えた後も、安心して過ごすことができる。
【0019】
好ましくは、被運搬者は、乳児あるいは幼児であることを特徴とする。
【0020】
被運搬者を、乳児あるいは幼児に特定することで、避難用背負子の形状をコンパクトにできるとともに、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(a)は、本実施形態における避難用背負子の保管時における側面図である。(b)は、同、背面図である。
図2】(a)は、本実施形態における避難用背負子の避難時における側面図である。(b)は、同、背面図である。
図3】座部、収容筐体、および第1、2補強部材を省略した斜視図である。
図4】(a)は上方防護フレームが本体フレームに挿嵌される状態を説明する断面図である。(b)は板バネの作用を説明するために示す拡大平面図である。
図5】第1補強部材が上方防護フレームに挿嵌される状態を説明する断面図である。
図6】収容筐体の斜視図である。
図7】避難時における使用態様を説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1~7を参照して本発明の避難用背負子1の実施形態を詳述する。本実施形態における避難用背負子1において、図示垂下位置にある上方防護フレーム50を繋ぎ部50aから図示左方に回動して、後述する挿嵌凹部51を本体フレーム10の挿嵌凸部15に挿嵌させる(図3の矢印K参照)。これにより、上方防護フレーム50が避難用背負子1内の被運搬者150の頭上を覆うようになっている(図7参照)。なお、本実施形態における被運搬者150として、乳児、あるいは幼児を対象としている。
【0023】
図1~3に示す通り、避難用背負子1は、本体フレーム10と、本体フレーム10に取り付けられる肩ベルト100と、本体フレーム10の下端部から突出して設けられる支持フレーム20と、本体フレーム10の上端部から支持フレーム20と同方向に突出して設けられる座部フレーム30と、座部フレーム30の中央部から上方に向かって突出して設けられる背面防護フレーム40と、背面防護フレーム40に回動可能に接続する上方防護フレーム50と、を備えている。支持フレーム20には、収納筐体2が積載されている。
【0024】
また、座部フレーム30は、被運搬者150が脚を伸ばして座ることができる座部60が装着されており、背面防護フレーム40は、被運搬者150の背面を防護するための背面防護シート45が装着されており、上方防護フレーム50は、被運搬者150の上方を防護するための上方防護シート55が装着されている。
【0025】
加えて、上記座部フレーム30では、上方防護フレーム50を補強するための、第1補強部材70および第2補強部材80を備えている。なお、第1補強部材70および第2補強部材80のうち、どちらか一方だけを設けてもよい。
【0026】
本体フレーム10、支持フレーム20、座部フレーム30、および背面防護フレーム40は、アルミニュウム、ジュラルミン、チタン等のパイプ材で構成されている。パイプ材は、丸パイプ、角パイプのいずれであってもよい。また、支持フレーム20、第1補強部材70,および第2補強部材80は可撓性の棒部材等で構成されている。
【0027】
本体フレーム10は、一対の柱状フレーム11、11と、一対の柱状フレーム11、11の間に架け渡される上連結フレーム12、および下連結フレーム13を有している。本実施形態では、柱状フレーム11、上連結フレーム12、および下連結フレーム13は、直線形状のパイプ材で構成されているが、これに限るものではない。例えば、運搬者160の背中の形状に合わせて湾曲形成してもよい。具体的には、柱状フレーム11は、上下方向における中間部が後方にわずかに膨らむように湾曲形成され、上連結フレーム12、および下連結フレーム13は、側方における中間部が後方にわずかに膨らむように湾曲形成されていてもよい。
【0028】
上連結フレーム12、および下連結フレーム13は、それぞれ運搬者160の肩、および腰上の位置に対応している。また、一対の肩ベルト100が、上連結フレーム12、および柱状フレーム11の下端部に架け渡されている。肩ベルト100は、長さ調整ができる調整ベルト(図示略)が装着されている。調整ベルトは下連結フレーム13に接続している。
【0029】
支持フレーム20は、一対の柱状フレーム11、11の下端部から後方向D2に突出して設けられる一対の下端突設フレーム21、21、一対の下端突設フレーム21、21の端部に接続する下端接続フレーム22、および下端連結フレーム23を有している。下端突設フレーム21と下端接続フレーム22の接続部は所定の曲率を有している。下端連結フレーム23の端部は、下端突設フレーム21、および柱状フレーム11に接続している。
【0030】
座部フレーム30は、一対の柱状フレーム11、11の上端部から後方向D2に突出して設けられる一対の上端突設フレーム31、31、一対の上端突設フレーム31、31に接続する上端接続フレーム32、および上端連結フレーム33を有している。上端突設フレーム31と上端接続フレーム32の接続部は所定の曲率を有している。曲率の大きさは、被運搬者150が座部60に座ったときに不快に感じない大きさに設定することが好ましい。上端連結フレーム33の端部は、上端突設フレーム31、および柱状フレーム11に接続している。
【0031】
支持フレーム20の後方向D2への突設長さは、座部フレーム30の後方向D2への突設長さに比べて長く設定することが好ましい。これにより、水平な載置面に避難用背負子1を載置した状態で、座部60に被運搬者150を座らせたとき、避難用背負子1の転倒に対する安定化を図ることができる。
【0032】
背面防護フレーム40は、上端接続フレーム32から上方向D1に突出して設けられる一対の上方突設フレーム41、41と、一対の上方突設フレーム41、41に接続する複数本の背面接続フレーム42を有している。本実施形態では上方突設フレーム41、41、および背面接続フレーム42は直線形状のパイプ材で構成されているが、これに限るものではない。例えば、被運搬者150の背中の形状に合わせて湾曲形成してもよい。具体的には、背面接続フレーム42は、側方における中間部が後方にわずかに膨らむように湾曲形成されていてもよい。
【0033】
上方防護フレーム50は、可撓性の棒部材が梯子状に組まれた構造であり、一端は上端接続フレーム32の上端部に繋ぎ部50aを介して回動可能に接続しており、他端は柱状フレーム11の先端部に挿嵌するための挿嵌凹部51が装着されている。なお、上方防護フレーム50が柱状フレーム11の先端部に挿嵌されないときは、不必要な変位を制限するために、図示垂下位置で上方突設フレーム41、41に係止されている。
【0034】
座部フレーム30に装着される座部60は、上方に向かって開口する開口部が設けられた袋体である。座部60の下端部両側には、被運搬者150の左右の脚150aがそれぞれ対応する位置で、各脚150aを差し入れて伸ばした状態で座るための挿通孔61(一方のみ図示)が設けられている。なお、挿通孔61には、被運搬者150の脚150aも含む下肢を差し入れてもよい。
【0035】
背面防護フレーム40には、背面防護シート45が装着され、また、上方防護フレーム50には上方防護シート55が装着されている。背面防護シート45、上方防護シート55は被運搬者150の避難時の安全を確保するために装着されるシートである。シートの素材は、強度、防火・防炎性能に優れたものであることが好ましい。
【0036】
上方防護フレーム50を図示左方に回動して本体フレーム10に挿嵌することで、被運搬者150の上方が防護できる。具体的には、図4(a)に示す通り、上方防護フレーム50の先端に装着された挿嵌凹部51を、柱状フレーム11の先端部に装着された挿嵌凸部15に挿嵌させる。挿嵌凹部51は、係止ピンを挿通できる孔52が設けられている。挿嵌凸部15は、中央から二つ折りにした断面U字状の板バネ16が取付け収納されている。板バネ16の図示左右の両端部には、それぞれ外部に指向し、孔52に対応する係止ピン17が設けられており、この係止ピン17を、孔52を経由して内部から突き刺すことにより、本体フレーム10と上方防護フレーム50は固定される。この場合、板バネ16は図4(b)に示すように、幅方向Wdに拡縮弾性変形可能になっているため、本体フレーム10と上方防護フレーム50とを固定する際、挿嵌凹部51の内周面が係止ピン17に横方向に遭遇するため、係止ピン17が押し込められて板バネ16が自らの弾性縮小変形を伴いながら係止ピン17(例えば、先細りの丸みを帯びたテーパ状の短寸ピン)を孔52内に挿入させる。係止ピン17が孔52内に挿入された時点で、板バネ16が弾性拡開して元の形状に復帰する。これにより、係止ピン17が孔52内で不動状態に拘束されるため、挿嵌凹部51が挿嵌凸部15に連結装着される。また、挿嵌凹部51を図示上方に所定の以上の力で引っ張ると、孔52の内周縁が係止ピン17を乗り越えられるように、係止ピン17が押し込められて板バネ16が弾性縮小変形する。このため、孔52から係止ピン17が解放されて抜け出し、挿嵌凹部51を挿嵌凸部15から抜出させることができる(図4(a)の矢印H参照)。このように、挿嵌凹部51を挿嵌凸部15に対して差し抜きすることで着脱可能に連結装着している。なお、板バネ16としては、断面U字状に限らず、断面V字状やW字状でもよく、要は図示下方に凸となるように曲成されているか、あるいは幅方向Wdに拡縮弾性変形可能となっておればよい。また、上記とは逆に、挿嵌凹部51を挿嵌凸部とし、挿嵌凸部15を挿嵌凹部として機能させるようにしてもよい。
【0037】
本体フレーム10と上方防護フレーム50を固定したとき、第1補強部材70、および第2補強部材80を上方防護フレーム50に係止することで、上方防護フレーム50は補強される。
【0038】
第1補強部材70は、一方の先端部が本体フレーム10に回動可能に固定された状態で中間部が本体フレーム10に係止される棒部材である。また、上方防護フレーム50が、本体フレーム10に固定されるとき、係止を解除して回動することで他方の先端部は、第1係止部71で上方防護フレーム50に係止される。
【0039】
第2補強部材80は、一方の先端部が本体フレーム10に回動可能に固定された状態で中間部が座部60に係止される棒部材である。また、上方防護フレーム50が、本体フレーム10に固定されるとき、係止を解除して回動することで他方の先端部は、第2係止部81で上方防護フレーム50に係止される。
【0040】
図5に示す通り、第1係止部71は、第1補強部材70の他方の先端部に取り付けられる可撓性を具備する円環部材72と、上方防護フレーム50に取り付けられる円柱部材73を有している。円環部材72を円柱部材73に押し込むことで、第1補強部材70と上方防護フレーム50は接続する。
【0041】
第2係止部81は、第1係止部71とほぼ同様の構成であることから説明は省略する。
【0042】
収納筐体2は、支持フレーム20に積載されており、面ファスナー3で下端突設フレーム21、および座部60の側面に接続している。また、後方面に収容筐体2を開閉するスライドファスナー4が設けられている(図1、6参照)。収容筐体2の内部は、救急用品、避難用品が収容できるようになっている。特に、被運搬者150が乳児である場合は、収容筐体2内には、規定の容器などに収容した液体ミルク(いずれも図示せず)を収納しておくとよい。
【0043】
図7は、災害時に被運搬者150を避難用背負子1に乗せて避難する状態を説明する図面である。この場合の、運搬者160は、肩ベルト100を肩に掛けて避難用背負子1を背負っており、被運搬者150は、乳児、あるいは幼児である。特に、歩行がおぼつかない小さなお子様を対象としている。被運搬者150を避難用背負子1に乗せて避難することで、運搬者160は避難するとき両手を自由に使うことができる。災害時は大勢の人が押しかけたり、街路樹が倒れて道が狭くなったりして、避難には困難が伴うことが一般的である。このような事態に陥ったとき、両手を使うことで危険を回避する一助になり得る。
【0044】
避難時に、背面防護シート45が装着された背面防護フレーム40によって、被運搬者150の背面を防護することができるとともに、上方防護シート55を装着した上方防護シート55を本体フレーム10に固定することで、被運搬者150の上方を、防護できる。
【0045】
本実施形態は例示であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で改変できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る避難用背負子は、災害時においても歩行のおぼつかない小さなお子様を安全に運搬できる。また、災害時出ないときも常時用いる背負子として利用できることから産業用の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0047】
1 :避難用背負子
2 :収容筐体
10 :本体フレーム
20 :支持フレーム
30 :座部フレーム
40 :背面防護フレーム
45 :背面防護シート
50 :上方防護フレーム
55 :上方防護シート
60 :座部
70 :第1補強部材
80 :第2補強部材
100 :肩ベルト
150 :被運搬者
【要約】
【課題】背負われる人、主に乳児、あるいは幼児を、安全に輸送できる避難用背負子を提供する。
【解決手段】避難用背負子1は、上下方向に延びる本体フレーム10と、本体フレーム10に取付けられる肩ベルト100と、本体フレーム10の下端部から突出して設けられる支持フレーム20と、本体フレーム10の上端部から支持フレーム20と同方向に突出して設けられる座部フレーム30と、座部フレーム30の中央部から上方向D1に向かって突出して設けられる背面防護フレーム40と、背面防護フレーム40に回動可能に接続する上方防護フレーム50と、を備える。座部フレーム30は、被運搬者150が脚150aを伸ばして座ることができる座部60が装着され、上方防護フレーム50は、上方防護シートが装着される。上方防護フレーム50の先端部が、本体フレーム10の上端部に挿嵌されることで、上方防護フレーム50は、被運搬者150の上方に位置する。
【選択図】 図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7