(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】誘電率段階調整可能な低温共焼結誘電体材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 35/488 20060101AFI20230817BHJP
C03C 3/064 20060101ALI20230817BHJP
C03C 3/089 20060101ALI20230817BHJP
C03C 3/087 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
C04B35/488
C03C3/064
C03C3/089
C03C3/087
(21)【出願番号】P 2021529074
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(86)【国際出願番号】 CN2020082252
(87)【国際公開番号】W WO2021189506
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】202010221314.X
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519433698
【氏名又は名称】広東風華高新科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG FENGHUA ADVANCED TECHNOLOGY HOLDING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Fenghua Electronic Industrial City No.18 Fenghua Road Zhaoqing,Guangdong 526000(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】沓世我
(72)【発明者】
【氏名】王小舟
(72)【発明者】
【氏名】陳涛
(72)【発明者】
【氏名】劉芸
(72)【発明者】
【氏名】フランクコム、テリー ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】付振暁
(72)【発明者】
【氏名】曹秀華
(72)【発明者】
【氏名】胡春元
【審査官】神▲崎▼ 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-035870(JP,A)
【文献】特開2003-020270(JP,A)
【文献】特開2003-146744(JP,A)
【文献】特開2006-282474(JP,A)
【文献】国際公開第2004/065325(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110436894(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101164967(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109721348(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103803968(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0117412(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第110256060(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/488
C03C 3/064
C03C 3/089
C03C 3/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジルコニア主相とシリコン系非結晶相充填材を含み、前記ジルコニア主相とシリコン系非結晶相充填材との重量比が、ジルコニア主相:シリコン系非結晶相充填材=40~65:35~60であり、重量百分率で、前記シリコン系非結晶相充填材におけるSiO
2の含有量は≧50%であり、
重量百分率で、ZrO
2 40%~65%、SiO
2 27.03%~46.33%、Na
2O 0.27%~0.46%、K
2O 1.23%~2.11%、CaO 0.73%~1.26%、及びB
2O
3 5.73%~9.83%を含む
ことを特徴とする、誘電率段階調整可能な低温共焼結誘電体材料。
【請求項2】
前記ジルコニア主相は、結晶状態又は非結晶状態であることを特徴とする、請求項1に記載の誘電率段階調整可能な低温共焼結誘電体材料。
【請求項3】
前記シリコン系非結晶相充填材は、ガラス又は非結晶相の混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の誘電率段階調整可能な低温共焼結誘電体材料。
【請求項4】
前記シリコン系非結晶相充填材において、NaとKとの原子比が、Na/K=1:2~4であることを特徴とする、請求項1に記載の誘電率段階調整可能な低温共焼結誘電体材料。
【請求項5】
重量百分率で、前記シリコン系非結晶相充填材におけるAl元素の含有量は≦0.01%であることを特徴とする、請求項1に記載の誘電率段階調整可能な低温共焼結誘電体材料。
【請求項6】
前記ZrO
2の粒子径が、0.5μm~10μmであり、好ましくは、前記ZrO
2の粒子径が、1μm~5μmであることを特徴とする、請求項1に記載の誘電率段階調整可能な低温共焼結誘電体材料。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の誘電率段階調整可能な低温共焼結誘電体材料の製造方法であって、
オルトケイ酸エチルをアルコールと脱イオン水との混合溶液に溶解する工程S1と、
溶液のpHを1~3に調整する工程S2と、
シリコン系非結晶相充填材の元素に対応する塩を加えて、60~80℃で加熱しながら均一に撹拌する工程S3と、
溶液のpHを6~8に調整してゲル化させ、ゲルを乾燥して600~750℃で焼成し、前記シリコン系非結晶相充填材を得る工程S4と、
シリコン系非結晶相充填材とジルコニア主相を比率によってボールミルで6~24時間混合し、その後、800~900℃で焼結して、前記誘電率段階調整可能な低温共焼結セラミック材料を得る工程
S5を含むことを特徴とする、製造方法。
【請求項8】
工程S1において、前記オルトケイ酸エチルとアルコールと脱イオン水の体積比は、1:5~15:1であることを特徴とする、請求項7に記載の誘電率段階調整可能な低温共焼結誘電体材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック材料技術分野に属し、具体的に、誘電率段階調整可能な低温共焼結誘電体材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体技術の発展に伴い、アクティブデバイスのパッケージングは、急速に発展してきた。しかしながら、実際的なデバイス応用において、パッシブデバイス(コンデンサ、インダクタ等)の数は、一般的に、アクティブデバイスよりも十倍以上多くなる。そのような大きいパッシブデバイスの数は、デバイスの小型化の発展を制限してきた。低温共焼結セラミック技術は、その独特の三次元立体構造により、現在最も有望なパッシブデバイスパッケージング技術となる。よく使用される低温共焼結セラミック材料は、主に、微結晶ガラス系とガラス/セラミック複合系に基づくものである。現在、ジルコニアが低温共焼結セラミック材料における検討は、主に、微結晶ガラス系に集中し、即ち、ジルコニアを核剤としてガラスの結晶化を制御する。異なる成分のガラスには、加えたジルコニアの含有量が、一般的に、1%~10%であり、しかも一般的に最適値が存在する。この最適値から離れると、明らかな性能の劣化につながるため、試料の誘電率が比較的に単一となる。ガラス/セラミック複合系には、その中のガラスは、主に焼結温度の低下に寄与する一方、セラミック材料は、主に焼結後の性能を決定する。I.Choiらは、ZrO2をセラミック填充材とするカルシウムアルミニウムホウケイ酸塩ガラス主相(融解・焼入れ法により主相を共焼結して製造することを検討したが、得られた試料の誘電率が9程度であり、しかも誘電損失が高い(tanδ=0.006)。まとめると、研究者がジルコニアの低温共焼結セラミックにおける応用を検討及び探索を試みたが、これらの製品の誘電率が比較的に単一となり、ガラス相の高誘電成分が多いため、材料系全体が誘電率の連続的調整を実現するができない。低温共焼結セラミック材料の集積モジュールには、異なる誘電率の材料を含むことが多く、これらの材料が異なる材料系に基づくものであると、共焼結の際にそれらの間の焼結特性の相違により、クラックや反り等の欠損を引き起こすことがある。一方、同一材料系に基づいて誘電率が段階調整可能な配合を開発できれば、このような課題を効果的に避けることができる。なお、現在のガラス/セラミック複合に基づくLTCC材料において、殆どのガラスが融解・焼入れ法により得られるものである。このような方法は、主に二つの欠点がある。一つとして、ガラスにおけるB2O3、及びBi2O3のような蒸発しやすい成分の存在により、得られるガラス粉末は、最初的に設計された成分と異なるため、最終的な試料の性能は、予想された効果に及ばない。もう一つとして、このような方法は、CaO-SiO2ガラス等のような、いずれのガラスの製造に適用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来技術にある欠点を克服し、誘電率段階調整可能な低温共焼結誘電体材料及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明が採用する技術案は、ジルコニア主相とシリコン系非結晶相充填材とを含み、前記ジルコニア主相とシリコン系非結晶相充填材との重量比が、ジルコニア主相:シリコン系非結晶相充填材=40~65:35~60であり、重量百分率で、前記シリコン系非結晶相充填材におけるSiO2の含有量は≧50%である、誘電率段階調整可能な低温共焼結誘電体材料である。
ジルコニア主相とシリコン系非結晶相充填材からなる低温共焼結誘電体材料は、誘電率調整可能性が向上し、7~12の範囲内の誘電率の調整を達成することができる。
好ましくは、前記低温共焼結誘電体材料が、重量百分率で、ZrO2 40%~65%、SiO2 27.03%~46.33%、Na2O 0.27%~0.46%、K2O 1.23%~2.11%、CaO 0.73%~1.26%、及びB2O3 5.73%~9.83%を含む。この材料系は、類似する焼結特性を有し、共焼結の際にクラックや反り等の欠損を避けることができる。
好ましくは、前記ジルコニア主相が、結晶状態又は非結晶状態である。単斜晶ZrO2(~20)と非結晶ZrO2(~22)の誘電率が近いため、いずれか一方又は両方を選択しても、7~12の範囲内の誘電率の調整を達成することができる。
好ましくは、前記シリコン系非結晶相充填材が、ガラス又は非結晶相の混合物である。シリコン系非結晶相を選択すると、高温融解過程を経つ必要がなく、B2O3の揮発を避けることができる。
好ましくは、前記シリコン系非結晶相充填材において、NaとKとの原子比が、Na/K=1:2~4である。上記比率によって、誘電損失を低減することができる。
好ましくは、重量百分率で、前記シリコン系非結晶相充填材におけるAl元素の含有量が≦0.01%である。
好ましくは、前記ZrO2の粒子径が、0.5μm~10μmである。ZrO2の粒子径の範囲内の比表面積が適切となり、この配合で誘電率段階調整可能な低温共焼結誘電体材料を製造することができる。より好ましくは、前記ZrO2の粒子径が、1μm~5μmである。
前記シリコン系非結晶相充填材は、各成分を混合することにより製造されてもよく、湿式化学法により製造されてもよい。好ましくは、前記シリコン系非結晶相充填材の製造方法は、
オルトケイ酸エチルをアルコールと脱イオン水との混合溶液に溶解する工程S1と、
溶液のpHを1~3に調整する工程S2と、
ガラス粉末の元素に対応する塩を加えて、60~80℃で加熱しながら均一に撹拌する工程S3と、
溶液のpHを6~8に調整してゲル化させ、ゲルを乾燥して600~750℃で焼成し、前記ガラス粉を得る工程S4と、
を含む。
【0005】
従来の融解・焼入れ法により製造されるガラスの成分は、最初的に設計されたガラス成分と異なることが多く、これは、ガラスにおけるB2O3及びBi2O3のような揮発しやすい成分の高温融解過程における揮発によるものである。上記方法を採用することにより、低温条件(~700℃)でシリコン系非結晶相充填材を合成することができ、これらの成分の揮発を効果的に抑制することができ、合成されたシリコン系非結晶相充填材の成分を、設計された成分により近いものにする。
前記シリコン系非結晶相充填材の製造方法におけるシリコン以外のその他の元素に対応する塩として、好ましくは、溶解可能な塩であり、Na、K、Ca、Bの硝酸塩、酢酸塩等であってもよい。
好ましくは、工程S1において、前記オルトケイ酸エチルとアルコールと脱イオン水の体積比は、1:5~15:1である。
【0006】
本発明のもう一つの目的は、シリコン系非結晶相充填材とジルコニア主相を比率によってボールミルで6~24時間混合し、その後、800~900℃で焼結して、前記誘電率段階調整可能な低温共焼結セラミック材料を得る工程を含む、前記誘電率段階調整可能な低温共焼結誘電体材料の製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。本発明は、誘電率段階調整可能な低温共焼結誘電体材料を提供し、本発明では、ジルコニア主相とシリコン系非結晶相充填材の割合を制御することにより、得られる材料の誘電率が7~12という比較的に広い範囲に連続的に調整可能となり、しかも誘電損失が0.1%@1MHzと低くなることができる。この材料系は、800~900℃で焼結することができ、銀電極と相容して共焼結することができ、低温共焼結誘電体材料として使用されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1~4における試料の誘電性能(@1MHz)を示す図である。
【
図2】(a)は、実施例3における銀電極と粉末をドライプレスして形成された生地シートを850℃で共焼結した後の断面のSEM図であり、 (b)は、(a)における各箇所の銀の含有量である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の目的、技術案及び利点をよりよく説明するために、以下、具体的な実施例を参照しながら本発明についてさらに説明する。
【0010】
実施例1
本発明に係る低温共焼結誘電体材料の製造方法の一実施例として、本実施例における低温共焼結誘電体材料の製造方法は、以下の工程を含む。
9.3mLのオルトケイ酸エチルを、アルコール(100mL)と脱イオン水(9.3mL)との混合溶液に溶解し、加水分解を促進するために、硝酸を加えて溶液のpHが1程度となるように調整して撹拌し、溶液が清澄となった後、NaNO3 0.07g、KNO3 0.24g、Ca(NO3)2・4H2O 0.28g及びHBO3溶液 0.92gを添加し、急激に撹拌しながら75℃で加熱し、その後、アンモニア水を加えてpHが7程度となるように調整してゲル化させ、得られたゲルを乾燥させた後に、700℃で2時間焼成し、シリコン系非結晶相充填材を得た。最後に、49.81%のZrO2(粒子径5μm)と50.19%のシリコン系非結晶相充填材をはかりとり、ボールミルで上記材料を18時間混合して、干燥後、7MPaでドライプレスによりシート状に成形させ、そして、850℃で焼結し、前記低温共焼結セラミック材料を得た。
【0011】
本実施例で製造された低温共焼結誘電体材料の誘電性能は、
図1に示すように、誘電率が8.89@1MHzであり、誘電損失が0.0012@1MHzである。本実施例における低温共焼結誘電体材料は、銀電極と共焼結した後にも結合が緊密であり、クラックや反り等の現象が発生することがない。
【0012】
実施例2
本発明に係る低温共焼結誘電体材料の製造方法の一実施例として、本実施例における低温共焼結誘電体材料の製造方法は、以下の工程を含む。
9.3mLのオルトケイ酸エチルを、アルコール(93mL)と脱イオン水(9.3mL)との混合溶液に溶解し、加水分解を促進するために、硝酸を加えて溶液のpHが1程度となるように調整して撹拌し、溶液が清澄となった後、NaNO
3 0.07g、KNO
3 0.24g、Ca(NO
3)
2・4H
2O 0.28g及びHBO
3溶液 0.92gを添加し、急激に撹拌しながら80℃で加熱し、その後、アンモニア水を加えてpHが7程度となるように調整してゲル化させ、得られたゲルを乾燥させた後に、700℃で2時間焼成し、シリコン系非結晶相充填材を得た。最後に、55%のZrO
2(粒子径5μm)と45%のシリコン系非結晶相充填材をはかりとり、ボールミルで上記材料を15時間混合して、干燥後、7MPaでドライプレスによりシート状に成形させ、そして、850℃で焼結し、前記低温共焼結セラミック材料を得た。
本実施例で製造された低温共焼結誘電体材料の誘電性能は、
図1に示すように、誘電率が10.48@1MHzであり、誘電損失が0.0011@1MHzである。本実施例における低温共焼結誘電体材料は、銀電極と共焼結した後にも結合が緊密であり、クラックや反り等の現象が発生することがない。
【0013】
実施例3
本発明に係る低温共焼結誘電体材料の製造方法の一実施例として、本実施例における低温共焼結誘電体材料の製造方法は、以下の工程を含む。
9.3mLのオルトケイ酸エチルを、アルコール(100mL)と脱イオン水(9.3mL)との混合溶液に溶解し、加水分解を促進するために、硝酸を加えて溶液のpHが1程度となるように調整して撹拌し、溶液が清澄となった後、NaNO
3 0.07g、KNO
3 0.24g、Ca(NO
3)
2・4H
2O 0.28g及びHBO
3溶液 0.92gを添加し、急激に撹拌しながら60℃で加熱し、その後、アンモニア水を加えてpHが7程度となるように調整してゲル化させ、得られたゲルを乾燥させた後に、700℃で2時間焼成し、シリコン系非結晶相充填材を得た。最後に、60%のZrO
2(粒子径5μm)と40%のシリコン系非結晶相充填材をはかりとり、ボールミルで上記材料を16時間混合して、干燥後、7MPaでドライプレスによりシート状に成形させ、そして、850℃で焼結し、前記低温共焼結セラミック材料を得た。
本実施例で製造された低温共焼結誘電体材料の誘電性能は、
図1に示すように、誘電率が11.11@1MHzであり、誘電損失が0.0006@1MHzである。
当該成分と銀電極との共焼結の際の相容性を検証するため、5%のポリビニルブチラール(PVB)によりボールミル処理後のジルコニアとガラスとの混合粉末に対して造粒処理を行い、その後、7MPaでドライプレスによりシート状に成形させ、さらに、その表面に銀電極を塗布して形成し、最後に、850℃で焼結した。
図2において、(a)は、銀電極との生地シートを共焼結した後の断面のSEM図であり、この図に示すように、銀電極とセラミックとの結合が緊密であり、層分離やクラック現象などが発生することなく、 (b)は、銀の含有量が銀電極とセラミックとの界面で急激に低下することを示しており、焼結過程において拡散がなかったことがわかる。
【0014】
実施例4
本発明に係る低温共焼結誘電体材料の製造方法の一実施例として、本実施例における低温共焼結誘電体材料の製造方法は、以下の工程を含む。
9.3mLのオルトケイ酸エチルを、アルコール(100mL)と脱イオン水(9.3mL)との混合溶液に溶解し、加水分解を促進するために、硝酸を加えて溶液のpHが1程度となるように調整して撹拌し、溶液が清澄となった後、NaNO3 0.07g、KNO3 0.24g、Ca(NO3)2・4H2O 0.28g及びHBO3溶液 0.92gを添加し、急激に撹拌しながら60℃で加熱し、その後、アンモニア水を加えてpHが7程度となるように調整してゲル化させ、得られたゲルを乾燥させた後に、700℃で2時間焼成し、シリコン系非結晶相充填材を得た。最後に、65%のZrO2(粒子径5μm)と35%のシリコン系非結晶相充填材をはかりとり、ボールミルで上記材料を15時間混合して、干燥後、7MPaでドライプレスによりシート状に成形させ、そして、850℃で焼結し、前記低温共焼結セラミック材料を得た。
【0015】
本実施例で製造された低温共焼結誘電体材料の誘電性能は、
図1に示すように、誘電損失が0.0004@1MHzである。本実施例における低温共焼結誘電体材料は、銀電極と共焼結した後にも結合が緊密であり、クラックや反り等の現象が発生することがない。
【0016】
なお、以上の実施例は、本発明の技術案を説明するためのものであり、本発明の保護範囲を制限するものではなく、好適な実施例を参照しながら本発明について詳細に説明したものの、当業者であれば、本発明の技術案の趣旨及び範囲を逸脱しない限り、本発明の技術案に対して修正又は均等的な差し替えを行うことができると理解することができる。