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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-16
(45)【発行日】2023-08-24
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/219 20220101AFI20230817BHJP
   F23N 5/02 20060101ALI20230817BHJP
   F24H 15/355 20220101ALI20230817BHJP
【FI】
F24H15/219
F23N5/02 350E
F24H15/355
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018205640
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2020070978
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-07-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岩間 優子
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-115464(JP,A)
【文献】特開2018-084360(JP,A)
【文献】特開2018-091533(JP,A)
【文献】特開2018-100810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/219
F23N 5/02
F24H 15/355
F24H 15/212
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部と、該加熱部により加熱される熱交換器と、該熱交換器の流入口及び流出口にそれぞれ接続された給水路及び給湯路と、該給水路から該給湯路に前記熱交換器をバイパスさせて通水させ得るように該給水路を該給湯路に接続するバイパス路と、前記熱交換器から前記給湯路に流出する湯水の温度である熱交換器出湯温度を検出する第1温度センサと、前記加熱部の作動制御を行うことにより、前記給湯路の前記バイパス路との接続部の下流側に流れる湯水の温度である給湯温度を制御する機能を有する制御装置とを備える給湯装置であって、
前記制御装置は、前記給湯温度の制御時に、前記加熱部のオン状態及びオフ状態を交互に繰り返すように該加熱部の作動制御を行う機能を有すると共に、該加熱部のオン状態からオフ状態への切替と、該加熱部のオフ状態からオン状態への切替とのうちの少なくとも一方の切替を、前記第1温度センサによる前記熱交換器出湯温度の検出値に応じて実行するように構成されており、
さらに、前記給湯温度を検出する第2温度センサを備えており、
前記制御装置は、前記加熱部のオン状態からオフ状態への切替を、前記熱交換器出湯温度の検出値が所定温度よりも高くなったことが検知された場合に、該検知に応じて実行するように構成されていると共に、該加熱部のオン状態からオフ状態への切替を、前記第2温度センサによる前記給湯温度の検出値が該給湯温度の目標値よりも所定値以上、高くなっていることを必要条件として実行するように構成されていると共に、前記加熱部のオン状態からオフ状態への切替後に、前記熱交換器出湯温度の検出値の下降開始が検知された場合に、該検知に応じて前記加熱部のオフ状態からオン状態への切替を実行するように構成されていることを特徴とする給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置では、バーナ等により構成される加熱部の必要熱量(給湯温度を目標温度に温調制御するための必要熱量)が低い場合に、加熱部の間欠運転を行うものが従来より提案されている。例えば、特許文献1には、必要熱負荷(必要熱量)が小さい場合に、必要熱負荷に応じた周期と、着火・消火時間比(着火時間及び消火時間の比率)でバーナの間欠的な燃焼運転を行うものが提案されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、バーナの間欠燃焼運転の各周期での燃焼時間と消火時間との比を、直前の周期でのバーナの必要熱量の平均値に応じて決定して、バーナの間欠燃焼運転を行うものが提案されている。
【0004】
また、例えば特許文献3には、バーナの間欠燃焼運転における燃焼時間と消火時間とを必要熱量に応じて設定して、バーナの間欠燃焼運転を行うものが提案されている。
【0005】
また、例えば特許文献4には、燃焼機構の要求発生熱量と、推定発生熱量との比較に応じて、燃焼機構の燃焼期間および非燃焼期間の切替を行うものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭62-22956号公報
【文献】特公平3-28663号公報
【文献】特開平6-249501号公報
【文献】特開2018-100810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、給湯装置において、加熱部により加熱される熱交換器から出湯する湯水の温度(以降、熱交換器出湯温度ということがある)は、加熱部をオン状態(作動状態)からオフ状態(作動停止状態)に切替ても、その切替に応じて即座に下降し始めるわけではなく、該熱交換器出湯温度の下降は、一般には、加熱部のオフ状態への切替時点から遅れて開始する。
【0008】
また、熱交換器出湯温度は、加熱部をオフ状態からオン状態に切替ても、その切替に応じて即座に上昇し始めるわけではなく、該熱交換器出湯温度の上昇は、一般には、加熱部のオン状態への切替時点から遅れて開始する。
【0009】
また、加熱部のオン状態及びオフ状態の一方から他方への切替に応じた熱交換器出湯温度の変化の応答特性は、給湯装置の機種、設置環境、外気温、入水温等、様々な要因の影響を受けやすい。
【0010】
このため、前記特許文献1~3に見られる如く、バーナの燃焼時間(加熱部のオン時間)、消火時間(加熱部のオフ時間)、あるいは、これらの比率等を必要熱量に応じて調整する技術、あるいは、前記特許文献4に見られるように、要求発生熱量と、推定発生熱量との比較に応じて、燃焼機構の燃焼期間(加熱部のオン期間)および非燃焼期間(加熱部のオフ期間)の切替を行う技術では、給湯温度の変動幅が大きくなる場合がある。
【0011】
特に、熱交換器の入口側の給水路から出口側の給湯路に給湯用水をバイパスさせるバイパス路を備える給湯装置(例えば、特許文献4に見られる如き給湯装置)では、熱交換器で加熱される湯水の温度が、給湯路の下流側(給湯路とバイパス路との接続部よりも下流側)の実際の給湯温度に比して高温になるために、加熱部のオン状態及びオフ状態の切替に応じた熱交換器出湯温度の変動が顕著に発生しやすい。ひいては、実際の給湯温度の変動幅も大きくなりやすい。
【0012】
また、加熱部のオン・オフの切替えの態様として、例えば、加熱部のオン状態からオフ状態への切替えを、給湯温度を検出する温度センサの検出温度が所定温度よりも高くなったときに実行し、オフ状態からオン状態への切替えを、該温度センサの検出温度が所定温度よりも低くなったときに実行することが考えられる。
【0013】
しかしながら、バイパス路を備える給湯装置では、給湯温度を検出する温度センサは、熱交換器の出口に連なる給湯路と、バイパス路との合流部よりも下流側に位置することから、熱交換器から流出した湯水が該温度センサに到達するまでに通水流量に応じた時間を要する。特に、加熱部の間欠運転は、通水流量が低い状況で行われるので、熱交換器から流出した湯水が該温度センサに到達するまでに要する時間が長くなる。このため、加熱部のオン・オフの切替タイミングが遅れがちになって、実際の給湯温度の変動幅が大きくなりやすい。
【0014】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、バイパス路を備える給湯装置において、加熱部のオン状態及びオフ状態の切替を繰り返す運転時における給湯温度の安定性を高めることが可能となる給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の給湯装置は、上記の目的を達成するために、加熱部と、該加熱部により加熱される熱交換器と、該熱交換器の流入口及び流出口にそれぞれ接続された給水路及び給湯路と、該給水路から該給湯路に前記熱交換器をバイパスさせて通水させ得るように該給水路を該給湯路に接続するバイパス路と、前記熱交換器から前記給湯路に流出する湯水の温度である熱交換器出湯温度を検出する第1温度センサと、前記加熱部の作動制御を行うことにより、前記給湯路の前記バイパス路との接続部の下流側に流れる湯水の温度である給湯温度を制御する機能を有する制御装置とを備える給湯装置であって、
前記制御装置は、前記給湯温度の制御時に、前記加熱部のオン状態及びオフ状態を交互に繰り返すように該加熱部の作動制御を行う機能を有すると共に、該加熱部のオン状態からオフ状態への切替と、該加熱部のオフ状態からオン状態への切替とのうちの少なくとも一方の切替を、前記第1温度センサによる前記熱交換器出湯温度の検出値に応じて実行するように構成されていることを基本構成とする。
【0016】
なお、本発明において、加熱部の「オン状態」は、加熱部を作動させた状態(加熱部による熱交換器の加熱を行う状態)を意味し、加熱部の「オフ状態」は、加熱部の作動を停止した状態を意味する。
【0017】
上記基本構成を有する本発明によれば、加熱部のオン状態からオフ状態への切替と、該加熱部のオフ状態からオン状態への切替とのうちの少なくとも一方の切替を、熱交換器出湯温度の検出値に応じて実行するので、加熱部のオン状態からオフ状態への切替直後に、熱交換器出湯温度が上昇し過ぎたり、あるいは、加熱部のオフ状態からオン状態への切替直後に、熱交換器出湯温度が下降し過ぎたりするのを防止するように当該切替を行うことが可能となる。
【0018】
ひいては、加熱部のオン状態及びオフ状態の切替を繰り返す運転時における給湯温度の安定性を高めることが可能となる。
【0019】
上記基本構成を有する本発明では、より具体的には、前記給湯温度を検出する第2温度センサを備えており、前記制御装置は、前記加熱部のオン状態からオフ状態への切替を、前記熱交換器出湯温度の検出値が所定温度よりも高くなったことが検知された場合に、該検知に応じて実行するように構成されていると共に、該加熱部のオン状態からオフ状態への切替を、前記第2温度センサによる前記給湯温度の検出値が該給湯温度の目標値よりも所定値以上、高くなっていることを必要条件として実行するように構成されていることを特徴とする(第発明)。
【0020】
これによれば、加熱部のオン状態からオフ状態への切替直後に、熱交換器出湯温度が高くなり過ぎるのを効果的に防止することができる。ひいては、加熱部のオン状態からオフ状態への切替直後に実際の給湯温度が上昇し過ぎるのを効果的に防止することが可能となる。
【0022】
また、実際の給湯温度が目標値よりも所定値以上、高くなっている状況、すなわち、加熱部の発生熱量が過剰である状況で、加熱部をオフ状態にするので、実際の給湯温度が目標値よりも高くなり過ぎるのを効果的に防止することが可能となる。
【0023】
上記基本構成を有する本発明では、前記制御装置は、前記加熱部のオン状態からオフ状態への切替後に、前記熱交換器出湯温度の検出値の下降開始が検知された場合に、該検知に応じて前記加熱部のオフ状態からオン状態への切替を実行するように構成されていることが好ましい。
【0024】
これによれば、加熱部のオン状態からオフ状態への切替後に、熱交換器出湯温度が低くなり過ぎない状況で、加熱部をオフ状態からオン状態に切替ることができる。ひいては、実際の給湯温度が低くなり過ぎるのを効果的に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態の給湯装置の構成を示す図。
図2図1に示す制御装置の制御処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の一実施形態を図1及び図2を参照して以下に説明する。図1を参照して、本実施形態の給湯装置1は、屋外に設置される熱源機2を有する。熱源機2には、燃焼室3aを内部に形成する燃焼筐3が搭載され、該燃焼筐3内の燃焼室3aの下部に加熱部としてのバーナ4が配置されている。
【0027】
バーナ4は、本実施形態ではガスバーナであり、各別に燃焼運転を行い得る複数のバーナ、例えば第1バーナ4a、第2バーナ4b及び第3バーナ4cの3つのバーナにより構成されている。なお、図示例では、第1バーナ4a、第2バーナ4b及び第3バーナ4cは、それぞれの燃焼面積が互いに相違するものであるが、バーナ4を構成する2つ以上のバーナのそれぞれの燃焼面積が互いに同じであってもよい。
【0028】
熱源機2には、バーナ4に燃料ガスを供給するための構成要素として、図示しないガス供給源から燃料ガスが供給される主ガス供給路5と、該主ガス供給路5から分岐された3つの副ガス供給路6a,6b,6cとが備えられている。副ガス供給路6a,6b,6cのそれぞれは、第1バーナ4a、第2バーナ4b及び第3バーナ4cのそれぞれに各別に燃料ガスを供給し得るように燃焼筐3の外部から燃焼室3aに導入されている。
【0029】
主ガス供給路5には、これを開閉する電磁弁により構成された元弁7と、バーナ4への燃料ガスの供給量を調整するためのガス量調整弁8とが介装されている。ガス量調整弁8は、例えば比例弁により構成され、その通電電流に応じた流量の燃焼ガスをバーナ4に供給することが可能である。また、副ガス供給路6a,6b,6cには、それぞれを開閉する電磁弁により構成された切替弁9a,9b,9cが各々介装されている。
【0030】
従って、バーナ4の燃焼運転時に、元弁7を開弁した状態で、切替弁9a,9b,9cのそれぞれの開閉状態の組み合わせを切替ることにより、バーナ4の全体の燃焼熱量を幅広い範囲で変化させることが可能となっている。
【0031】
この場合、バーナ4の最小の燃焼熱量は、切替弁9a,9b,9cのうちの所定の1つの切替弁、例えば、第1バーナ4aに対応する切替弁9aだけを開弁させた状態で、該第1バーナ4aだけの燃焼運転を下限の燃料供給量で行うことで実現される。また、バーナ4の最大の燃焼熱量は、切替弁9a,9b,9cの全てを開弁させた状態で、第1~第3バーナ4a,4b,4cの全ての燃焼運転を上限の燃料供給量で行うことで実現される。そして、切替弁9a,9b,9cのうちの開弁させる切替弁と、バーナ4への燃料供給量とを変化させることで、バーナ4の全体の燃焼熱量を最小の燃焼熱量と最大の燃焼熱量との間で変化させることが可能である。
【0032】
また、熱源機2には、バーナ4に燃焼用空気を供給するための送風装置として、図示しない電動モータにより回転駆動される燃焼ファン10が搭載されている。この燃焼ファン10は、その回転駆動により燃焼用空気としての外気を吸入し、吸入した燃焼用空気をバーナ4(第1~第3バーナ4a,4b,4cの全体)に供給するように燃焼筐3の下部に取り付けられている。そして、燃焼ファン10の回転数(回転速度)を可変的に制御することで、バーナ4への燃焼用空気の供給量を変化させることが可能である。
【0033】
燃焼筐3の上部には、バーナ4の燃焼排ガスを燃焼室3aから排気するための排気口3bが開設されている。この排気口3bは、熱源機2の外部に連通されている。
【0034】
さらに、燃焼筐3には、熱源機2に搭載された図示しないイグナイタを作動させることで、バーナ4に点火するための火花放電を発生する点火電極12と、バーナ4の燃焼炎の有無を検知するための炎検知センサ13とが取り付けられている。炎検知センサ13は、例えばフレームロッド、熱電対等により構成される。
【0035】
熱源機2には、バーナ4の燃焼運転に係る上記の構成の他、給湯用水の通水に係る構成も備えられている。具体的には、燃焼筐3内の燃焼室3aには、バーナ4の燃焼熱により加熱される熱交換器21がバーナ4の上方に配置されている。そして、該熱交換器21を経由して通水を行い得る通水路22が配設されている。
【0036】
通水路22は、熱交換器21の通水路21aの流入口に接続され、図示しない給水源から給湯用水が供給される給水路22aと、熱交換器21の通水路21aの流出口に接続された給湯路22bと、給水路22aから熱交換器21をバイパスさせて給湯路22bに給湯用水を流通させ得るように給水路22aを給湯路22bに接続するバイパス路22cとを含む。そして、給湯路22bの下流側は、台所、洗面所、浴室等の図示しない給湯対象部(カラン等)に給湯用水を供給し得るように配設されている。
【0037】
従って、バーナ4の燃焼運転時に、給水路22aから熱交換器21を経由して加熱された給湯用水と、給水路22aからバイパス路22cを経由する給湯用水とを給湯路22bで合流させて得られる湯水を、給湯路22bから給湯対象部に供給し得るように通水路22が構成されている。
【0038】
給水路22aには、該給水路22aの通水流量である給水流量を調整するための電動式の水量制御弁23と、該給水流量を検出する水量センサ24とが、バイパス路22cの分岐部の上流側に介装されている。また、給湯路22bには、給湯対象部に供給される給湯用水の温度(バイパス路22cと給湯路22bとの接続部から下流側に流れる湯水の温度)である給湯温度を検出する温度センサ25と、熱交換器21から給湯路22bに流出する給湯用水の温度である熱交換器出湯温度を検出する温度センサ26と装着されている。温度センサ25,26はそれぞれ、本発明における第2温度センサ、第1温度センサに相当する。
【0039】
なお、バイパス路22cを経由する給湯用水の流量と熱交換器21の通水路21aを経由する給湯用水の流量との比率(所謂、バイパス比)を調整するための制御弁がバイパス路22cと給水路22a又は給湯路22bとの接続部、あるいは、該バイパス路22cの途中部等に設けられていてもよい。
【0040】
次に、給湯装置1の運転制御(バーナ4の燃焼運転制御を含む)に係る構成を説明する。給湯装置1は、その運転制御を行う制御装置30と、給湯装置1の運転操作用のリモコン40とを備える。
【0041】
リモコン40は、台所、浴室等に設置される端末機であり、図示を省略する複数の操作スイッチ、表示器等が備えられている。このリモコン40の操作スイッチの操作を行うことで、給湯装置1の給湯運転のオン・オフ、給湯温度の目標値(以降、目標給湯温度という)の設定等の操作を行うことが可能である。なお、給湯装置1は、リモコン40を含む複数のリモコンを備えていてもよい。
【0042】
制御装置30は、図示しないマイコン、メモリ、インターフェース回路等を含む一つ以上の電子回路ユニットにより構成され、熱源機2に搭載されている。該制御装置30は、リモコン40と有線又は無線により通信を行うことが可能であり、この通信によりリモコン40の操作情報(給湯運転のオン・オフ信号、目標給湯温度の設定値等)が入力される。また、制御装置30には、給湯装置1に備えられた各センサ(前記炎検知センサ13、水量センサ24、温度センサ25,26を含む)の検出信号が入力される。
【0043】
そして、制御装置30は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)の一方又は両方により実現される機能として、バーナ4の燃焼運転を制御する機能を有する。
【0044】
次に、本実施形態の給湯装置1の作動を説明する。まず、給湯装置1の通常の給湯運転時の作動を説明する。なお、通常の給湯運転というのは、詳しくは、バーナ4の燃焼運転による通水の加熱を連続的に行う給湯運転を意味する。
【0045】
給湯路22bの下流端のカランの開栓等により通水路22での通水が開始されると、制御装置30は、当該通水の開始を水量センサ24の検出信号に基づいて検知する。このとき、制御装置30は、燃焼ファン10をバーナ4の点火用の所定の回転数で作動させる(ひいては、点火用の風量の燃焼用空気をバーナ4に供給する)ことと、元弁7と切替弁9a~9cのうちの所定の切替弁(例えば、切替弁9a)とを開弁制御すると共にガス量調整弁8に点火用の所定値の比例弁電流を通電する(ひいては、第1バーナ4aに点火用のガス量の燃料ガスを供給する)ことと、図示しないイグナイタを作動させる(ひいては、点火電極12に火花放電を発生させる)こととを実行することで、第1バーナ4aを点火する。これにより、第1バーナ4aの燃焼運転が開始される。
【0046】
なお、バーナ4の点火処理では、第1バーナ4aと異なるバーナ(第2バーナ4b又は第3バーナ4c)を点火したり、あるいは、第1~第3バーナ4a,4b,4cのうちの2つ以上のバーナを点火してもよい。
【0047】
上記のようにバーナ4の燃焼運転が開始すると、制御装置30は、温度センサ25で検出される給湯温度をリモコン40で設定された目標給湯温度に一致もしくはほぼ一致させるように、バーナ4の燃焼熱量を制御する。
【0048】
具体的には、運転制御部31は、温度センサ25で検出される給湯温度を目標給湯温度に一致もしくはほぼ一致させるための要求熱量(バーナ4の燃焼熱量の要求値)を所定の制御処理周期で逐次決定する。
【0049】
上記要求熱量は、目標給湯温度と、温度センサ25,26及び水量センサ24のそれぞれの検出データ(給湯温度、熱交換器出湯温度及び給水流量のそれぞれの検出値)とを基に、所定の演算式、もしくはマップデータ等を用いて逐次決定される。さらに制御装置30は、目標給湯温度等に応じて給水流量の上限値を設定する。
【0050】
そして、制御装置30は、制御処理周期毎に、決定した要求熱量に応じてバーナ4の燃焼運転を制御する。この場合、制御装置30は、要求熱量に応じて、第1~第3バーナ4a,4b,4cのうちの燃焼運転を行わせる1つ以上のバーナを選定すると共に、バーナ4の実際の燃焼熱量の目標値である目標燃焼熱量を所定の下限値と上限値との間の範囲内で決定する。そして、制御装置30は、選定したバーナに燃料ガスを供給するように1つ以上の切替弁9a~9cを開弁制御すると共に、決定した目標燃焼熱量を実現するように、燃焼ファン10の回転数とガス量調整弁8の通電電流とを制御する。また、制御装置30は、水量センサ24により検出される給水流量が設定した上限値を超える場合には、該給水流路を上限値に制限するように水量制御弁23を制御する。なお、熱源機2がバイパス比を調整するための制御弁を備える場合には、バイパス比の目標値も決定され、その目標値に応じて該制御弁が制御される。
【0051】
給湯装置1の通常の給湯運転は上記の如く行われる。これにより、基本的には、温度センサ25で検出される給湯温度を、目標給湯温度に一致もしくはほぼ一致させ得るように、バーナ4の燃焼運転が制御される。
【0052】
一方、目標給湯温度が低い温度に設定されている場合、該目標給湯温度と、給水路22aの入水温度との差が小さなものとなる場合がある。そして、この場合、バーナ4の燃焼運転を連続的に行うと、該バーナ4の燃焼熱量を下限値に維持しても、実際の給湯温度が目標給湯温度よりも高い温度に昇温してしまう場合がある。また、バイパス比を調整するための制御弁を備える場合には、バイパス路22cの通水流量の割合を最大にすると共に、バーナ4の燃焼熱量を下限値に維持しても、実際の給湯温度が目標給湯温度よりも高い温度に昇温してしまう場合がある。そこで、本実施形態では、制御装置30は、給湯運転時に、図2のフローチャートに示す処理を実行することで、バーナ4の燃焼運転を適宜、間欠的に行わせる。
【0053】
具体的には、STEP1において、制御装置30は、目標給湯温度To_cmdが低温(例えば32℃)に設定されているか否かを判断し、この判断結果が否定的である場合には、STEP1からの処理を継続する。なお、STEP1では、目標給湯温度To_cmdが所定値以下であるか否かを判断してもよい。あるいは、目標給湯温度To_cmdが低温であるか否かを判断する代わりに、例えば、バーナ4の目標燃焼熱量が下限値であるか否か(もしくは所定値以下の低熱量であるか否か)を判断するようにしてもよい。
【0054】
STEP1の判断結果が肯定的である場合には、制御装置30はさらに、STEP2において、温度センサ25による給湯温度Toの検出値と、目標給湯温度To_cmdとの差(=To-To_cmd)が所定値dT0(例えば1℃)以上であるか否か、換言すれば、給湯温度Toの検出値が目標給湯温度To_cmdよりも所定値dT0以上、高い温度であるか否かを判断する。そして、この判断結果が否定的である場合には、制御装置30は、STEP1からの処理を繰り返す。
【0055】
STEP2の判断結果が肯定的である場合には、制御装置30はさらに、STEP3において、温度センサ26による熱交換器出湯温度Thの検出値が、所定値Th0(例えば60℃)よりも高い温度に昇温しているか否かを判断し、この判断結果が否定的である場合には、制御装置30は、STEP1からの処理を繰り返す。
【0056】
ここで、本願発明者の各種実験、検討によれば、目標給湯温度To_cmdが低い場合(もしくは、バーナ4の目標燃焼熱量が低い場合)、熱交換器出湯温度Thが高くなり過ぎると、バーナ4の燃焼運転を停止させても、その後に給湯温度のさらなる昇温が生じやすく、ひいては、実際の給湯温度Toの変動幅が大きくなりやすい。
【0057】
そこで、制御装置30は、熱交換器出湯温度Thの検出値が所定値Th0よりも高くなって、STEP3の判断結果が肯定的になった場合には、STEP4において、バーナ4を、燃焼運転の実行状態としてのオン状態から、消火状態としてのオフ状態に切替える。この場合、制御装置30は、全ての切替弁9a,9b,9c(又は元弁7)を閉弁状態に制御することで、バーナ4を消火させる。
【0058】
なお、バーナ4をオフ状態に切替えるタイミングを規定するSTEP3での所定値Th0は、バーナ4のオフ状態への切替後に、熱交換器出湯温度Thの過剰な昇温を生じないように、あらかじめ実験等に基づき設定されている。
【0059】
次いで、制御装置30は、STEP5において、熱交換器出湯温度Thの検出値が下降を開始したか否かを、該下降が開始するまで監視する。
【0060】
この場合、制御装置30は、例えば、所定の時間間隔の経過毎に(例えば1秒毎に)、該時間間隔内での熱交換器出湯温度Thの検出値の平均値を算出し、最新の平均値が、前回の時間間隔での平均値よりも小さくなった場合に、熱交換器出湯温度Thの検出が下降を開始したことを検知する。
【0061】
なお、熱交換器出湯温度Thの検出値の下降の開始を検知する手法は上記の手法に限られない。例えば、各時間間隔内での熱交換器出湯温度Thの検出値の平均値の代わりに、該時間間隔内での熱交換器出湯温度Thの検出値の中央値を用いてもよい。また、例えば、各時間間隔内での熱交換器出湯温度Thの検出値の時間的変化率(微分値)の平均値に基づいて、熱交換器出湯温度Thの検出値の下降の開始を検知することも可能である。
【0062】
熱交換器出湯温度Thの検出値の下降の開始が検知され、STEP5の判断結果が肯定的になった場合には、制御装置30は、STEP6において、バーナ4をオフ状態からオン状態に切替えて、該バーナ4の燃焼運転を再開させる。
【0063】
この場合、制御装置30は、通水路22の通水開始時におけるバーナ4の点火処理の場合と同様に、元弁7及び切替弁9aを開弁制御すると共に、燃焼ファン10、ガス量調整弁8及びイグナイタを作動させることで、第1バーナ4aを点火させる。そして、該第1バーナ4aの点火後に、第1バーナ4aを下限値の燃焼熱量で燃焼させる。
【0064】
さらに、制御装置30は、STEP6でバーナ4の燃焼運転を開始させた後、STEP1からの処理を再び実行する。なお、制御装置30は、水量センサ24により検出される給水流量が所定量以上になると、バーナ4のオン・オフを繰り返す間欠運転を終了する。
【0065】
以上の如く図2のフローチャートの処理を実行することで、目標給湯温度To_cmdが低い場合(又はバーナ4の燃焼熱量が低い場合)には、給湯温度Toの検出値が目標給湯温度To_cmdよりも所定値dT0以上高くなると共に、熱交換器出湯温度Thの検出値が所定値Th0よりも高くなると、バーナ4がオン状態からオフ状態に切替えられる。そして、熱交換器出湯温度Thの検出値が下降を開始すると、バーナ4の燃焼運転が再開される。これにより、熱交換器出湯温度Thが所定値Th0以下の温度に留まるように、バーナ4のオン・オフが繰り返される(バーナ4の燃焼運転が間欠的に行われる)。その結果、実際の給湯温度Toが目標給湯温度To_cmdに対して上下に大きく変動するのを効果的に防止して、該給湯温度Toの安定性を高めることができる。
【0066】
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態を採用することもできる。例えば、バーナ4のオン・オフを繰り返す間欠運転において、バーナ4をオン状態に維持する時間幅、あるいは、オフ状態に維持する時間幅を熱交換器出湯温度Thに応じて設定してもよい。また、バーナ4をオン状態に維持する時間幅、あるいは、オフ状態に維持する時間幅の一方を所定値の時間幅に設定することも可能である。
【0067】
また、前記実施形態では、バーナ4をオン状態からオフ状態に切替えるタイミングを規定するSTEP3での所定値Th0を一定値としたが、該所定値Th0を、例えば目標給湯温度To_cmdに応じて可変的に設定したり、あるいは、該目標給湯温度To_cmdと給水路22aの入水温度(検出値又は推定値)とに応じて可変的に設定してもよい。例えば、目標給湯温度To_cmdが高いほど、所定値Th0を高く設定したり、目標給湯温度To_cmdと入水温度との差が小さいほど、所定値Th0を低く設定してもよい。
【0068】
また、前記実施形態では、バーナ4は各別に燃焼運転を行い得る複数のバーナ(第1~第3バーナ4a,4b,4c)により構成されているが、バーナ4は、単一のバーナにより構成されていてもよい。また、バーナ4は、ガスバーナに限らず、灯油等の液体燃料を燃焼させるバーナであってもよい。
【0069】
また、本発明の給湯装置の加熱部は、燃焼式のものに限らず、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するものであってもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…給湯装置、4…バーナ(加熱部)、21…熱交換器、22a…給水路、22b…給湯路、22c…バイパス路、25…温度センサ(第2温度センサ)、26…温度センサ(第1温度センサ)、30…制御装置。
図1
図2